JP3761569B2 - ピロリン酸検出センサ、核酸の検出方法、および塩基種判別方法 - Google Patents

ピロリン酸検出センサ、核酸の検出方法、および塩基種判別方法 Download PDF

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Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、試料中のピロリン酸を簡便かつ高感度で検出するセンサ、ならびにこれを用いた核酸の検出方法および塩基種判別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ピロリン酸は、細胞内における酵素反応に深く関与していることが知られている。例えば、タンパク質の合成過程において、アミノ酸がアミノアシルアデニル酸を経由してアミノアシルtRNAを形成する反応においてピロリン酸が生成される。また、例えば、植物などに見られるデンプン合成の過程では、グルコース−1−リン酸とATPとの反応によってADP−グルコースが生成される際に、ピロリン酸が生成される。これら以外にも、種々の酵素反応においてピロリン酸が関与していることが知られている。従って、ピロリン酸を定量的に検出する技術は、細胞状態、あるいは上記の酵素反応等を解析する上で重要な技術である。
【0003】
従来のピロリン酸測定方法として、Grindleyらの化学的方法(非特許文献1参照)が知られている。しかし、この方法では濃硫酸を用いるので、非常に危険が伴う。
【0004】
特許文献1では、濃硫酸などの危険な薬品を用いずに、酵素を利用した三種類のピロリン酸測定方法が開示されている。それらに関して以下に説明する。
【0005】
第1の方法は、ピロリン酸をホスホエノ−ルピルビン酸およびアデノシン一リン酸の存在下で、ピルベートオルソホスフェートジキナーゼを作用させる方法である。この反応によってピルビン酸が生成されるので、ピルビン酸の量を測定することによってピロリン酸の量を算出することができる。なお、ピルビン酸の量を測定する方法は二種類の方法が提案されている。1つは、ラクテートデヒドロゲナーゼの触媒作用を利用してピルビン酸をNADHで還元する際に、NADHの減少を比色定量する方法である。もう1つは、生成したピルビン酸にピルベートオキシダーゼを作用させて生成する過酸化水素を色素に導くことによって比色定量する方法である。
【0006】
第2の方法は、ピロリン酸をシチジン二リングリセロールの存在下でグリセロール−3−ホスフェートシチジルトランスフェラーゼに作用させる方法である。この反応によってグリセロール三リン酸が生成される。従って、グリセロール三リン酸の生成量を測定することでピロリン酸の量を算出することができる。グリセロール三リン酸の量を測定する方法は二種類の方法が提案されている。1つは、グリセロール−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼの触媒作用を利用してグリセロール三リン酸をNAD(P)で酸化する際に、NAD(P)Hの増加を比色定量する方法である。もう1つは、生成したグリセロール三リン酸にグリセロール−3−ホスフェートオキシダーゼを作用させて生成する過酸化水素を色素に導きこれを比色定量する方法である。
【0007】
第3の方法は、ピロリン酸をシチジン二リン酸リビトールの存在下でリビトール−5−ホスフェートシチジルトランスフェラーゼを作用させる方法である。この反応によってD−リビトール−5−リン酸が生成されるため、その生成量を測定することでピロリン酸量を測定することができる。D−リビトール−5−リン酸を測定する方法は、NAD(またはNADP)の存在下でリビトール−5−ホスフェートデヒドロゲナーゼを作用させてNADH(またはNADPH)の増加を比色定量する方法が提案されている。
【0008】
その他にも特許文献2には、ピロホスファターゼによりピロリン酸をリン酸に加水分解した後、プリンヌクレオシドホスホリラーゼによりリン酸をイノシンまたはキサントシンと反応させ、生じたヒポキサンチンをキサンチンオキシダーゼにより酸化してキサンチンとし、さらに酸化して尿酸を生成させ、このキサンチンオキシダーゼによる酸化過程で生じる過酸化水素をペルオキシダーゼを用いて発色剤を発色させる方法が示されている。
【0009】
一方、核酸の伸長反応もピロリン酸が関与する重要な生体反応の一種である。
【0010】
近年、遺伝子情報に関する技術が盛んに開発されている。医療分野では、疾患関連遺伝子を解析することにより、疾患の分子レベルでの治療が可能となってきている。また、遺伝子診断により、患者個人ごとに対応したテーラーメード医療も可能となってきた。製薬分野においては、遺伝子情報を使用して、抗体やホルモンなどのタンパク分子を特定し、薬品として利用している。農業や食品分野などにおいても、多くの遺伝子情報を利用した製品が作り出されている。
【0011】
これらの遺伝子情報の中でも、遺伝子多型は特に重要である。我々の顔や体型などが様々であるように、一人一人の遺伝子情報もかなりの部分で異なっている。これらの遺伝情報の違いのうち、塩基配列の変化が人口の1%以上の頻度で存在するものを遺伝子多型と呼んでいる。これらの遺伝子多型が、個人の顔かたちだけでなく、様々な遺伝子疾患の原因や、体質、薬剤応答性、薬剤の副作用などに関連していると言われ、現在この遺伝子多型と疾患などとの関連が急速に調べられている。
【0012】
この遺伝子多型の中で、近年、特に注目されているのがSNP(Single nucleotide polymorphism)である。SNPは、遺伝子情報の塩基配列の中で、一塩基のみが異なっている遺伝子多型のことを指す。SNPはヒトゲノムDNA内に2〜3百万あると言われており、遺伝子多型のマーカーとして利用しやすく、臨床への応用が期待されている。現在では、SNP関連技術として、ゲノム中のSNPの位置同定およびSNPと疾患との関連性等の研究とともに、SNP部位の塩基を判別するSNPタイピング技術の開発が行われている。
【0013】
SNPタイピングの技術は、ハイブリダイズを利用したもの、制限酵素を利用したもの、リガーゼ等の酵素を利用したもの等様々な種類のものがある。それらの技術のうち、最も簡便な技術としてプライマー伸長反応を利用するものがある。この技術では、プライマー伸長反応が起こるか否かを判定することによって、SNPタイピングを行なう。
【0014】
プライマー伸長反応を利用したSNPタイピング技術の検出には、実際のDNAの増幅産物を蛍光色素を用いて検出する方法や、固定化プローブを用いる方法の他に、DNAポリメラーゼによる核酸合成の副産物であるピロリン酸を検出する方法も考案されている。この方法では、伸長反応の進行の差を検出するために、プライマー伸長反応の進行に伴って生成されるピロリン酸をATPに変換し、その後ルシフェラーゼ反応を利用してピロリン酸の量を測定する方法を用いている(非特許文献2参照)。
【非特許文献1】
G.B.Grindley and C.A.Nichel, Anal.Biochem, vol33.p114(1970)
【特許文献1】
特開昭61−12300号公報
【特許文献2】
特開2002−369698号公報
【非特許文献2】
J.ImmunologicalMethod,156,55−60,1992
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら上述した方法よるピロリン酸の測定方法においては、プライマー伸長反応においてdATPを用いる場合、dATPはATPと同様にルシフェラーゼ反応の基質になる。このため、正確なSNP部位の塩基種の判別ができない。従って、dATPの代わりにDNAポリメラーゼの基質として作用し、且つルシフェラーゼ反応の基質としては作用しない特殊なdATPアナログを用いる必要があるという課題があった。
【0016】
また、他のピロリン酸の測定技術においても、複数種の酵素、試薬などを必要とし、コストが増大し、工程が複雑化してしまうという不具合がある。また、これらの測定方法においては、上記の理由からキット化および小型センサとしてのデバイス化が困難であるという課題があった。
【0017】
さらにこれらの方法のほとんどは光学式検出法であるため、測定装置が大型化してしまうという問題点もあった。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、試料液中のピロリン酸を簡便かつ高感度でピロリン酸を検出し、かつ構成が簡便なピロリン酸検出センサ、ならびにこれを用いた核酸の検出方法および塩基種判別方法を提供することを目的とする。
【0019】
これらの目的を達成するために、本発明は、試料液中のピロリン酸を検出するピロリン酸検出センサであって、前記試料液を受容する試料液受容部と、H−ピロホスファターゼを有するH難透過性膜と、前記H難透過性膜を固定する固定層と、前記固定層の水素イオン濃度変化に伴う電気化学的変化を測定する測定手段と、を備え、前記H−ピロホスファターゼは、前記試料液中のピロリン酸を加水分解し、これに伴って固定層の水素イオン濃度に変化をもたらすように配されている。このような構成においては、H−ピロホスファターゼにより水素イオンの濃度変化がもたらされる固定層が、H難透過性膜を固定する機能をも有するので、ピロリン酸検出センサを簡便に構成することができる。
【0020】
上記ピロリン酸検出センサの一形態は、前記固定層がその上面又はその内部にH難透過性膜を固定する構成である。
【0021】
上記ピロリン酸検出センサの一形態は、前記H難透過性膜が膜小胞であり、前記固定層は前記H難透過性膜をその内部に固定する構成である。
【0022】
上記ピロリン酸検出センサの一形態は、前記測定手段が、前記固定層に接する水素イオン感受性電極と、前記試料液を受容した状態で前記試料液に接するように配された参照電極とを有する構成である。そして、前記測定手段は、前記水素イオン感受性電極と前記参照電極との電位差の変化を測定するように構成することが好ましい。
【0023】
上記ピロリン酸検出センサの一形態は、前記固定層が高分子ゲルまたは自己組織化単分子膜(以下、SAM膜とも称す)からなる構成である。高分子ゲルは、その保持能により前記H難透過性膜を固定しうる。
【0024】
上記ピロリン酸検出センサの一形態は、前記固定層が水素イオン濃度の変化により酸化還元反応が生じる材料を含み、前記測定手段が前記固定層に接する分極性電極と、前記試料液を受容した状態で前記試料液に接するように配された参照電極とを有する構成である。そして、前記測定手段は、前記分極性電極と前記参照電極との間の電流の変化を測定するように構成することが好ましい。
【0025】
上記ピロリン酸検出センサの一形態は、前記固定層が水素イオン濃度の変化により酸化還元反応が生じるメディエータを含む高分子ゲルまたは自己組織化単分子膜からなり、その上面に前記H難透過性膜を固定する構成である。
【0026】
上記ピロリン酸検出センサの一形態は、前記固定層が水素イオン濃度の変化により酸化還元反応が生じる電解重合材料からなる構成である。
【0027】
また、本発明は、上記ピロリン酸検出センサを用いる、特定の塩基配列を有する核酸の検出方法であって、試料と、前記核酸に相補的に結合する相補結合領域を含む塩基配列を有するプライマーと、ヌクレオチドとを含む試料液を調製する工程(a)、前記試料液を前記プライマーの伸長反応が生じる条件下におき、前記伸長反応が生じた場合にピロリン酸を生成する工程(b)、前記ピロリン酸検出センサの前記試料液受容部に前記試料液が受容された状態とする工程(c)、前記ピロリン酸検出センサの前記測定手段により前記固定層の水素イオン濃度変化に伴う電気化学的変化を測定する工程(d)、工程(d)の測定結果に基づいて前記伸長反応を検出する工程(e)、および工程(e)の検出結果に基づいて前記核酸を検出する工程(f)を包含する。
【0028】
また、本発明は、上記ピロリン酸検出センサを用いる、核酸の塩基配列中の塩基種判別方法であって、核酸と、前記核酸に相補的に結合する相補結合領域を含む塩基配列を有するプライマーと、ヌクレオチドとを含む試料液を調製する工程(a)、前記試料液を前記プライマーの伸長反応が生じる条件下におき、前記伸長反応が生じた場合にピロリン酸を生成する工程(b)、前記ピロリン酸検出センサの前記試料液受容部に前記試料液が受容された状態とする工程(c)、前記ピロリン酸検出センサの前記測定手段により前記固定層の水素イオン濃度変化に伴う電気化学的変化を測定する工程(d)、工程(d)の測定結果に基づいて前記伸長反応を検出する工程(e)、および工程(e)の検出結果に基づいて前記核酸の塩基配列中の塩基種を判別する工程(f)を包含する。
【0029】
本発明の上記目的、他の目的、特徴、及び利点は、添付図面参照の下、以下の好適な実施態様の詳細な説明から明らかにされる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、ピロリン酸の高感度、高速、かつ定量的な測定が可能となるピロリン酸検出センサならびにこれを用いた核酸の検出方法および塩基種判別方法を提供する。
【0031】
また、本発明によれば、DNAの伸長反応に伴って生成されるピロリン酸を測定することによって、試料中の目的DNAを標識することなく、目的の核酸の有無を定量的に測定することが出来る。さらには、目的のSNPのタイピングを、高感度かつ高速に測定することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0033】
まず、図1を用いて本発明の反応原理を説明する。本発明では、ピロリン酸を定性的又は定量的に検出するために、H+−ピロホスファターゼを用いる。図1は、植物の液胞膜に内在された状態のH+−ピロホスファターゼを模式的に表す図である。図1に示すように、H+−ピロホスファターゼ11は通常、植物等の液胞膜13内に存在する膜タンパク質であり、1分子のピロリン酸10から2分子のリン酸12を生成する加水分解反応に伴って、水素イオンを通さない、あるいは通しにくい液胞膜13の外側(表面13a側)から液胞膜13の内側(裏面13b側)に向けて水素イオンを輸送する性質を有する。このため、H+−ピロホスファターゼの酵素反応によって、液胞膜13の内部では水素イオン濃度が増大し、液胞膜13の外部では水素イオン濃度が減少する。
【0034】
各実施形態にかかるピロリン酸検出センサでは、H+−ピロホスファターゼの上記性質及び膜タンパク質であるという形態を利用して、ピロリン酸の検出を行う。すなわち、H+−ピロホスファターゼを保持する膜で領域を分離し、少なくともいずれか一方の水素イオン濃度の変化を測定することにより、H+−ピロホスファターゼが加水分解に寄与したピロリン酸の量を検出することができる。このように、各実施形態にかかるピロリン酸検出センサでは、H+−ピロホスファターゼの作用に直接的にかかわった水素イオンの濃度変化を検出することにより、ピロリン酸の検出を行うので、簡便かつ高感度の検出が可能である。また、上述の検出を行うためには、水素イオンの輸送元の領域と、水素イオンの輸送先の領域との分離が必須要件となるが、H+−ピロホスファターゼは膜タンパク質であることにより、その形態を領域の分離に利用することができる。このことは、ピロリン酸検出センサの構成の簡素化に寄与する。
【0035】
各実施形態のピロリン酸検出センサを用いた検出工程においては、ピロリン酸を含む試料液を、植物細胞等から単離してきた液胞膜13等のH難透過性膜に内在している状態のH+−ピロホスファターゼに接触させる。
【0036】
この後、H難透過性膜の内側あるいはH難透過性膜の外側の水素イオン濃度の変化を測定する。このことによって、試料液中のピロリン酸の有無あるいは量を測定し、ピロリン酸の定性的検出あるいは定量的検出を行う。
【0037】
(第1の実施形態)
本実施形態は、ピロリン酸検出センサに係るものである。図2は、本実施形態のピロリン酸検出センサの構成を模式的に示す断面図である。ピロリン酸検出センサ31は、絶縁基板22と、絶縁基板22上に固定された溶液保持部材25によって形成される溶液保持部32と、測定手段とを有する。溶液保持部32は、基板22上に形成された固定層51と、前記固定層51上面に固定されたH難透過性膜21と、これらが構成されていない領域である試料液受容部33とからなる。測定手段は、固定層51と接するように基板22直上に配された水素イオン感受性電極23と、試料液受容部33に試料液26が満たされた状態で、試料液26に接するように配された参照電極27とを有する。
【0038】
難透過性膜21は、H−ピロホスファターゼ11を有する。H難透過性膜21は、H−ピロホスファターゼ11の部分を除いて水素イオンを透過させにくい膜からなり、例えば天然の液胞膜、もしくは人工の脂質二重膜等が利用できる。H難透過性膜21において、H−ピロホスファターゼ11のピロリン酸を加水分解する活性部位は、試料液受容部33側に露出している。
【0039】
固定層51は、水素イオンを十分透過させ水分を保持し得る材料で形成されている。また、固定層51は、その上面にH難透過性膜21を固定可能な材料で形成されている。固定層51は、その保持能を利用してH難透過性膜21を上面に固定するゲルや、架橋反応を利用してH難透過性膜21を上面に固定するSAM膜で形成することができる。このような材料として、アガロースゲル等の高分子ゲル、フラーレン様化合物を含む材料、等を用いることができる。
【0040】
水素イオン感受性電極23としては、通常のpHセンサとして機能できるものであればよく、ガラス電極、ISFET電極(ion sensitive FET、ゲートにイオン感受性膜を使用したイオン感受性FET)、LAPS(Light−Addressable Potentiometric Sensor)等が利用できる。
【0041】
参照電極27には、標準水素電極、銀/塩化銀電極、飽和カロメル電極等が利用できる。
【0042】
絶縁基板22と溶液保持部材25は、ピロリン酸の加水分解反応に影響しない材料で形成されていればよく、ガラス、シリコン、プラスチック等で形成され得る。
【0043】
ピロリン酸検出センサ31を用いて、試料液26中に含まれるピロリン酸を検出する方法及びその原理について説明する。まず、試料液26を試料液受容部33に満たす。試料液26にピロリン酸が含まれる場合、H−ピロホスファターゼ11の活性により、ピロリン酸がリン酸へと加水分解され、それに伴って固定層51内の水素イオン濃度が上昇する。それを、水素イオン感受性電極23を用いて測定することによって、測定液26中のピロリン酸濃度を検出することができる。具体的には、水素イオン感受性電極23と参照電極27との電位差の変化を測定することによって、固定層51内の水素イオン濃度変化を測定し、かかる測定結果に基づいて測定液26中のピロリン酸濃度を検出する。
【0044】
なお、H難透過性膜21は、ピロリン酸を加水分解する活性部位が固定層51側(内部)に露出しているH−ピロホスファターゼを含んでいても良い。ただし、ピロリン酸を加水分解する活性部位が内部に露出しているH−ピロホスファターゼを有するH難透過性膜21を用いる場合、固定層51のピロリン酸の濃度は、試料液26のピロリン酸の濃度よりも低くしておくことが好ましく、固定層51にはピロリン酸を含まないことが最も好ましい。このことによって、固定層51から試料液26への水素イオン輸送が減少あるいは停止し、試料液26から固定層51への水素イオンの輸送が優勢となって、固定層51の水素イオン濃度の変化が、試料液26中に含まれるピロリン酸によるものにほぼ限定される。したがって、試料液26中に含まれるピロリン酸の量を正確に見積もることができる。
【0045】
ピロリン酸検出センサ31は、固定層51の試料液受容部33との境界面全てがH難透過性膜21で被覆されている構成ではないので、H難透過性膜21で被覆されていない境界部分から試料液26と固定層51との間の水素イオンの移動が可能であり、平衡状態を保つべくこの部分から水素イオンが拡散するが、拡散による水素イオンの移動は、H−ピロホスファターゼ11の活性による水素イオンの移動と比較して遅いので、水素イオン感受性電極23によって測定される水素イオンの濃度変化はほぼH−ピロホスファターゼ11の活性によるものとすることができる。
【0046】
(第2の実施形態)
本実施形態は、ピロリン酸検出センサに係るものである。図3は、本実施形態のピロリン酸検出センサの構成を模式的に示す断面図である。本実施形態のピロリン酸検出センサ34は、第1の実施形態のピロリン酸検出センサ31とは、固定層51が絶縁基板22直上の全領域に形成されており、固定層51と試料液受容部33との全境界領域にH難透過性膜21が配されている点が異なるのみである。その他の構成は、第1の実施形態のピロリン酸検出センサ31と同じなので、説明を省略する。
【0047】
(第3の実施形態)
本実施形態は、ピロリン酸検出センサに係るものである。図4は、本実施形態のピロリン酸検出センサの構成を模式的に示す断面図である。第1の実施形態と異なる点は、H難透過性膜が膜小胞71で形成されている点と、膜小胞71であるH難透過性膜の固定されている位置である。以下、第1の実施形態と異なる点のみ説明する。
【0048】
膜小胞71はH+−ピロホスファターゼ11を有し、固定層72内に固定されている。固定層72は、例えばゲルの保持能によって膜小胞71を内部に固定し得る材料からなる。膜小胞71としては、細胞から単離された液胞から調製されたものを用いることができる。また、膜小胞71としては、人工的に形成した脂質二重層膜やLB膜などの水素イオンを通さない、あるいは通しにくい膜内に単離および精製したH+−ピロホスファターゼを内在するように再構築することによって形成されたものを用いてもよい。
【0049】
膜小胞71の膜には、H+−ピロホスファターゼ以外のタンパク質が含まれていてもよい。但し、これらのタンパク質は、ピロリン酸と反応しない、あるいは反応性の低いタンパク質であることが好ましい。すなわち、ピロリン酸が膜小胞71の膜中にあるH+−ピロホスファターゼ以外のタンパク質と反応する場合、H+−ピロホスファターゼと反応するピロリン酸の量が減少し、それに伴ってHの輸送量が減少するからである。また、ピロリン酸とは反応せず、且つピロリン酸以外の物質との反応によって水素イオンを輸送するタンパク質が膜小胞71の膜に含まれている場合、そのタンパク質が反応する物質が試料液26中にほとんど含まれていないことが好ましい。例えば、具体的には、膜小胞71の膜には、ピロリン酸とほとんど反応せず、且つATPとの反応によって水素イオンを輸送するタンパク質であるATPaseが含まれている場合、試料液26中にATPをほとんど含まないようにすることが好ましい。
【0050】
ピロリン酸検出センサ35を用いて、試料液26中に含まれるピロリン酸を検出する方法及びその原理について説明する。まず、試料液26を試料液受容部33に満たす。試料液26中にピロリン酸が存在する場合、ピロリン酸は固定層72に拡散される。そして、固定層72に拡散されたピロリン酸は、H+−ピロホスファターゼ11の活性により、リン酸へと加水分解され、それに伴って膜小胞71の内部液24の水素イオン濃度が上昇し、H+−ピロホスファターゼ11の周辺では、それに伴って水素イオン濃度が減少する。H+−ピロホスファターゼが水素イオン感受性電極23のごく近傍に存在したとき、水素イオン濃度の減少が水素イオン感受性電極23により測定され、試料液26中のピロリン酸濃度を測定することができる。
【0051】
(第4の実施形態)
本実施形態は、ピロリン酸検出センサに係るものである。図5は、本実施形態のピロリン酸検出センサの構成を模式的に示す断面図である。ピロリン酸検出センサ36は、第2の実施形態とは、固定層の構成と、測定電極の構成が異なるのみである。以下、この点について説明する。
【0052】
測定電極は、絶縁基板22上に形成された分極性電極81からなる。分極性電極81は、金、白金、カーボン等の通常の電気化学測定に使用できる電極で構成することができる。分極性電極81には、非常に簡便な構成の電極を利用することができる。このことは、ピロリン酸検出センサの全体構成の簡便化に寄与する。さらに、本実施形態の場合、参照電極27としては、標準水素電極、銀/塩化銀電極、飽和カロメル電極等に加え、金、白金、カーボン等の電極も利用することができ、さらなるピロリン酸検出センサの全体構成の簡便化に寄与しうる。
【0053】
分極性電極81表面には、メディエータ82を含む固定層83が形成されている。固定層83としては、例えば一端にチオール基を持つ直鎖状炭素を利用したSAM膜(selfーassembled monolayer)などが利用できる。ただし、固定層83はH難透過性膜21を固定可能な材質で形成されていればこれに限定されることなく、その保持能によりH難透過性膜21を固定するゲルで形成されていても良い。メディエータ82としては、水素イオン感受性物質の酸化体を使用することができる。このように形成された固定層83上にH+−ピロホスファターゼを含むH難透過性膜21を固定する。固定層83に上述したSAM膜を利用した場合、チオール基の架橋反応によりH難透過性膜21を固定層83上面に固定することができる。H難透過性膜21が、脂質膜である場合、固定層83および脂質膜の疎水性部分が対向し、脂質膜の親水性部分が膜表面を形成する。H+−ピロホスファターゼ11は固定層83および脂質膜の疎水性部分が形成する膜の内部に固定されるが、このとき、H+−ピロホスファターゼ11のピロリン酸を加水分解する活性部位は、H難透過性膜21の外部に露出している。
【0054】
ピロリン酸検出センサ36を用いて、試料液26中に含まれるピロリン酸を検出する方法及びその原理について説明する。まず、試料液26を試料液受容部33に満たす。試料液26中にピロリン酸が存在する場合、H+−ピロホスファターゼ11の活性により、ピロリン酸がリン酸へと加水分解され、それに伴って固定層83内の水素イオン濃度が上昇する。このとき水素イオン感受性のメディエータ82の酸化体が存在した場合、酸化還元反応によりメディエータ82の還元体が生成される。分極性電極81にメディエータ82の酸化還元電位より十分に高い電位を加えておくことにより、メディエータ82の還元物質の濃度に応じた電流を測定することができる。よって、試料液26中のピロリン酸の濃度を検出することが可能である。
【0055】
(第5の実施形態)
本実施形態は、ピロリン酸検出センサに係るものである。図6は、本実施形態のピロリン酸検出センサの構成を模式的に示す断面図である。本実施形態のピロリン酸検出センサ37の第4の実施形態と異なる点は、H難透過性膜が膜小胞71で形成されている点と、膜小胞71であるH難透過性膜の固定されている位置と、固定層の構成である。以下、第4の実施形態と異なる点のみ説明する。
【0056】
膜小胞71はH−ピロホスファターゼ11を有し、固定層91内に固定されている。固定層91は、電解重合膜からなる。電解重合膜によって膜小胞を固定する方法は、例えば重合前のモノマーと膜小胞71を混合しておき、所定の電圧を加えることで形成できる。電解重合膜を形成する電解重合材料としては電気化学的に活性なものが選択でき、例えばポリ(アニリン)、ポリ(o−フェニレンジアミン)、ポリ(N−メチルアニリン)、ポリ(ピロール)、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(チオフェン)等が使用できる。
【0057】
ピロリン酸検出センサ37を用いて、試料液26中に含まれるピロリン酸を検出する方法及びその原理について説明する。まず、試料液26を試料液受容部33に満たす。試料液26中にピロリン酸が存在する場合、ピロリン酸が固定層91に拡散され、H+−ピロホスファターゼ11の活性により、ピロリン酸がリン酸へと加水分解される。ピロリン酸の加水分解に伴って内部液24の水素イオン濃度が上昇し、H+−ピロホスファターゼ11の周辺では水素イオン濃度が減少する。この水素イオン濃度の変化により、固定層91である電解重合膜の酸化還元反応が起こり、その電子移動を分極性電極81で測定することによって、試料液26中のピロリン酸濃度を検出することができる。
【0058】
本発明にかかるピロリン酸検出センサにおいては、図1を用いて説明した反応原理からわかるように、H−ピロホスファターゼを含むH難透過性膜と測定電極(水素イオン感受性電極23、分極性電極81)との間に、水素イオンもしくは水素イオン感受性メディエータの酸化体が、イオンの状態で存在しうる場が必要である。このような場として、バルクの水溶液を用いることも可能である。しかしながら、H難透過性膜と測定電極との間に、バルクの水溶液を存在させるためには、例えば特開平6−90736号公報に示されているような、非常に複雑な工程を経て、センサを作製する必要がある。さらに、このように作製したセンサでは、一旦作製してしまうと水溶液中でしか保存することができず、例えばピロリン酸検出センサをDNA検出センサとして用いた場合、その取扱方法や保存方法も極めて特殊なものとなり、作製方法の複雑さも考慮すると、例えばディスポーザブル形式の臨床検査等の使用には適さない。一方、第1〜第5の実施形態のピロリン酸検出センサにおいては、上述した水素イオンもしくは水素イオン感受性メディエータの酸化体が、イオンの状態で存在しうる場は、固定層からなる。かかる固定層は、例えばSAM膜や電解重合膜で形成することができ、比較的簡便な方法でセンサを作製することができる。また、高分子ゲルを固定層としたセンサでは、水分子を保持したまま保存することが可能であるので、取扱や保存が極めて簡便となる。その他の材料で固定層を形成する場合であっても、バルクの水溶液で前記場を構成する場合と比較して、取扱や保存が非常に簡便である。したがって、例えばディスポーザブル形式の臨床検査等の使用にも適したものを構成することができる。さらに、固定層の厚さをできる限り薄くすることによって、水素イオン濃度の変化率を上げ、感度を向上させることも可能である。
【0059】
以下、H+−ピロホスファターゼを用いたピロリン酸検出センサの他の構成例を示す。
【0060】
<ピロリン酸検出センサの構成例1>
図7は、ピロリン酸検出センサの一構成例を模式的に示す断面図である。第1の実施形態とは、水素イオン感受性電極23の周囲が内部液24で満たされている点と、H難透過性膜21が水素イオン感受性電極23を覆うように絶縁基板22上に固定されている点のみが異なる。以下、第1の実施形態と異なる点のみ説明する。
【0061】
難透過性膜21の固定方法は、H難透過性膜21が水素イオン感受性電極23の表面をすべて覆っていればどのような方法でもよく、例えばリポソームを利用してSAM膜に転写する方法や、LB法を用いることができる。H難透過性膜21によって分離された溶液保持部32内の領域のうちの水素イオン感受性電極23が含まれた領域には、内部液24が満たされているようにする。
【0062】
ピロリン酸検出センサ38を用いて、試料液26中に含まれるピロリン酸を検出する方法及びその原理について説明する。まず、試料液26を試料液受容部33に満たす。試料液26にピロリン酸が含まれる場合、H−ピロホスファターゼ11の活性により、ピロリン酸がリン酸へと加水分解され、それに伴って内部液24内の水素イオン濃度が上昇する。それを、水素イオン感受性電極23を用いて測定することによって、測定液26中のピロリン酸濃度を検出することができる。
【0063】
内部液24は特に限定されないが、H難透過性膜21において、ピロリン酸の活性部位が水素イオン感受性電極23側(内側)の領域に露出しているH+−ピロホスファターゼを含む場合、内部液24のピロリン酸の濃度は、試料液26のピロリン酸の濃度よりも低くしておくことが好ましく、内部液24にはピロリン酸を含まないことが最も好ましい。このことによって、内部液24から試料液26への水素イオン輸送が減少あるいは停止し、試料液26から内部液24への水素イオンの輸送が優勢となって、内部液24の水素イオンの濃度の変化が、試料液26中に含まれるピロリン酸によるものにほぼ限定される。従って、試料液26中に含まれるピロリン酸の量を正確に見積もることができる。
【0064】
<ピロリン酸検出センサの構成例2>
図8は、ピロリン酸検出センサの一構成例を模式的に示す断面図である。上述の構成例1とは、H難透過性膜21の固定方法のみが異なる。以下、構成例1と異なる点のみ説明する。
【0065】
本構成例のピロリン酸検出センサ39のH難透過性膜21は、直鎖状炭素化合物49を介して絶縁基板22上に固定されている。
【0066】
<ピロリン酸検出センサの構成例3>
図9は、ピロリン酸検出センサの一構成例を模式的に示す断面図である。上述の構成例1とは、H難透過性膜21の固定方法のみが異なる。以下、構成例1と異なる点のみ説明する。
【0067】
本構成例のピロリン酸検出センサ40のH難透過性膜21は、溶液保持部材25に両端が固定されている。
【0068】
<ピロリン酸検出センサの構成例4>
図10は、ピロリン酸検出センサの一構成例を模式的に示す断面図である。本構成例のピロリン酸検出センサ41において、H難透過性膜21は、絶縁基板22に形成された貫通孔に固定されている。H難透過性膜21の内側には水素イオン感受性電極23が備えられ、外側には参照電極27が備えられている。水素イオン感受性電極23および参照電極27は、絶縁基板22上に形成されていてもよい。内部液24および試料液26は、それぞれ水素イオン感受性電極23および参照電極27に接しかつH難透過性膜21に接し得る。H−ピロホスファターゼの方向性については、第1の実施形態と同様である。貫通孔へのH難透過性膜21の固定方法は、例えば、Langmuir−Blodgette法を応用した公知の方法によって行うことが可能である(吉岡書店、岡田泰伸編「新パッチクランプ実験技術法」p.214参照)。また、絶縁基板22上への貫通孔およびウェルの形成および絶縁基板22上への電極の形成方法は、例えばシリコン基板のエッチング等により行うことが可能である(特開2004−12215号公報参照)。
【0069】
試料液26中のピロリン酸の検出方法及びその原理は構成例1と同様であるので、説明を省略する。
【0070】
(第6の実施形態)
第6の実施形態は、本発明に係るピロリン酸センサを用いて特定配列を持つDNAを検出する方法である。
【0071】
本実施形態においては、まず、目的とするDNAの配列に相補的な配列を持つDNAプローブ、DNAポリメラーゼ、デオキシヌクレオチドを含む反応系に試料が供せられる。ここで「反応系」とは、以下に説明するような一連の核酸伸長反応およびこのような反応が実施される場をいう。「反応系」には、一連の反応が実施されるのに必要な成分が存在する。「反応系」は、通常、上記成分が適切な溶媒(例えば、Tris−HCl緩衝液、核酸伸長反応または核酸増幅反応で通常使用され得るいずれもの緩衝液(市販による入手可能なキット中の緩衝液を含む))中に溶解された溶液の形態で提供され得る。DNAポリメラーゼは、市販により入手可能な、または当業者により調製可能な、任意のDNAポリメラーゼであり得る。好ましくは、Taqポリメラーゼが使用され得るが、これに限定されない。デオキシヌクレオチドは、各デオキシヌクレオシド三リン酸(dNTPとも称される:デオキシシトシン三リン酸、デオキシグアニン三リン酸、デオキシアデニン三リン酸、およびデオキシチミジン三リン酸を含む)であり得、通常、DNA合成の直接の前駆物質として使用され得る物質である。これにより、DNAプローブを伸長させ、ここでピロリン酸がこのDNAプローブの伸長反応に伴って生成される。この反応について、化学反応式1を用いて説明する。
【0072】
このDNAプローブは目的のDNAとハイブリダイズすると、反応系中に存在するDNAポリメラーゼによって、反応系中の1つのデオキシヌクレオチド(化学反応式1中、dNTP)を取り込んで伸長され、ピロリン酸が1つ生成される。
[化学反応式1]
DNA(n)+dNTP ⇔ DNA(n+1)+PPi
【0073】
化学反応式1中、添え字のn+1は、nベースのDNAプローブがn+1ベースに伸長したことを示す。このようにして生成されたピロリン酸を、上述の各実施形態のピロリン酸検出センサを用いて検出することにより、試料液中の特定配列を持つDNAを検出することが可能である。
【0074】
具体的には、上述のいずれかのピロリン酸検出センサの試料液受容部33にピロリン酸を含む前記試料液を満たす工程(c)、ピロリン酸検出センサの測定手段により固定層の水素イオン濃度の変化を電気化学的に測定する工程(d)、工程(d)の測定結果に基づいてDNAの伸長反応を検出する工程(e)、および工程(e)の検出結果に基づいて前記DNAを検出する工程(f)を経て、特定配列を持つDNAを検出することができる。
【0075】
本実施の形態で使用されるDNAプローブは、検出を目的とされるDNAの配列に対して相補的な配列を有するように設計される。このDNAプローブは、検出を目的とされるDNAの配列とハイブリダイズした場合に、当該DNAプローブの伸長のためのプライマーとして働く。したがって、DNAプローブの長さは、伸長反応のためのプライマーとして働くのに十分な長さである。例えば、少なくとも10塩基、少なくとも12塩基、少なくとも15塩基、少なくとも20塩基、少なくとも30塩基の長さであり得る。ハイブリダイゼーションおよびプライマー伸長を十分に行い得、かつその調製の容易さを考慮すると、20〜25塩基の長さが好ましい。本発明の方法で使用されるDNAプローブは、検出を目的とされるDNAに特異的にハイブリダイズし、かつ当該DNAプローブの伸長のためのプライマーとして働く限り、いずれの長さでもあり得る。
【0076】
DNAプローブは、試料液中の目的のDNAと特異的にハイブリダイズし、かつプライマーとして働くため、検出しようとする配列が既知である場合、この配列に対して完全に相補的である、すなわち、配列中の塩基に対して正確に対応する(A−TまたはC−Gペア)配列を有するように設計され得る。試料液中に目的の特定配列を有するDNAが存在しない場合、当然のことながらDNAプローブとのハイブリダイズは起こらない。したがって、本反応系を使用することにより、検出しようとする配列が既知または未知であるに関わらず、このDNAプローブに完全に相補的である配列の存在を検出し得る。
【0077】
ハイブリダイゼーションおよび伸長反応は、DNAのハイブリダイゼーション、ならびにDNAポリメラーゼの作用によるプライマーおよびデオキシヌクレオチドによるDNAの伸長反応が行われる任意の条件下で実施され得る。DNAプローブと目的DNAとのハイブリダイゼーションは、例えば、Sambrookら(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、第1〜3巻、Cold Spring Harbor Laboratoryなどの実験書に記載される方法によって行なわれ、本方法は当業者に公知である。
【0078】
反応系中に含み得るDNAプローブ、ポリメラーゼ、デオキシヌクレオチドの量は、当業者によって適宜決定され得る。
【0079】
また、化学反応式1に示すように、デオキシヌクレオチドが1つ伸長する度にピロリン酸が1つ生成されるので、目的の特定配列を持つDNAおよびDNAプローブの両方の長さ(ベース)が既知であれば、目的の特定配列を持つDNAを定量的に検出することが可能である。
【0080】
さらに、化学反応式1の反応をPCR等の核酸増幅反応と置き換えることにより、試料中の目的の特定配列を持つDNAの量を飛躍的に増加させることができる。PCR増幅の方法は、当該分野で周知である(PCR Technology: Principles and Applications for DNA Amplification、HA Erlich編、Freeman Press、NewYork、NY(1992);PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications、Innis、Gelfland、Snisky、およびWhite編、Academic Press、San Diego、CA(1990);Mattilaら(1991) Nucleic Acids Res. 19: 4967;Eckert、K.A.およびKunkel、T.A.(1991)PCR Methods and Applications 1: 17;PCR、McPherson、Quirkes、およびTaylor、IRL Press、Oxford)。PCR等の核酸増幅反応を用いることにより、極微量のDNAの検出も可能である。
【0081】
(第7の実施形態)
本発明の第7の実施形態は、本発明に係るピロリン酸検出センサを用いて測定系のDNAの塩基種を判別する方法、より具体的にはSNPを高速にタイピングする方法である。
【0082】
第7の実施形態について図11および図12を用いて説明する。図11は、検出を目的とするDNAとDNAプローブとにおいてSNP部位が一致した場合の反応系を示し、図12は、検出を目的とするDNAとDNAプローブとにおいてSNP部位が一致しない場合の反応系を示す。図11および図12中、1はDNAプローブ、2は目的の特定配列を持つDNA、3aは一致したSNP部位、3bは一致しないSNP部位、4はDNAポリメラーゼ、そして5はdNTPを表す。
【0083】
本実施形態においては、まず、目的とするDNAの配列に相補的な配列を持ち、かつ3’末端がSNP部位であるDNAプローブ1、DNAポリメラーゼ4、デオキシヌクレオチド5を含む反応系に試料が供せられる。これにより、DNAプローブ1が伸長され、ここでピロリン酸が、このDNAプローブ1の伸長反応に伴って生成される。
【0084】
本実施形態で使用されるDNAプローブ1は、目的の配列に相補的であり、かつ3’末端がSNP部位であるように設計され得る。本実施形態において、DNAプローブ1は、3’末端がSNP部位であることを除いては、上述の第6の実施形態と同様に設計され得る。本実施形態において使用されるDNAポリメラーゼ4およびデオキシヌクレオチド5は、上述の第6の実施形態と同様であり得る。本実施の形態におけるハイブリダイゼーションおよび伸長の条件もまた、上述の第6の実施形態と同様であり得る。なお、本実施の形態におけるDNAプローブは、SNP部位における塩基種のタイピングが可能であればどのようなものでもよく、上記により設計されたプローブに限られるものではない。
【0085】
試料液中の目的のDNA2およびDNAプローブ1の塩基配列が、SNP部位も含めて完全に相補する場合、当該DNAプローブ1は目的のDNA2にハイブリダイズし、かつ当該プローブ1のさらなる伸長のためのプライマーとして働く。この場合、図11に示されるように、反応系中に存在するDNAポリメラーゼ4によって、DNAプローブ1にデオキシヌクレオチド5が1つ伸長されて、ピロリン酸が1つ生成される。一方、試料液中の目的のDNA2およびDNAプローブ1の塩基配列が、SNP部位において相補的でない場合(たとえ他の部分において相補的であったとしても)、DNAプローブ1は、目的のDNA2とハイブリダイズは行い得るが、DNAプローブ1の3’末端がミスマッチとなるため、当該プローブ1の伸長のためのプライマーとして働かない。この場合、図12に示されるように、反応系中にDNAポリメラーゼ4および必要なデオキシヌクレオチド5が存在しても、化学反応式1の反応は起こらず、ピロリン酸は生成されない。
【0086】
よって、DNAの伸長反応後の試料液中のピロリン酸を、上述の各実施形態のピロリン酸検出センサを用いて検出することにより、試料液中の目的の特定配列を持つDNA2およびDNAプローブ1は、SNP部位も含め完全に一致していると判別できる。SNP部位における多くとも4種類のプローブ1を用いれば、試料中の特定配列を持つDNA2のSNPを4種類の塩基についてタイピングすることが可能である。
【0087】
なお、SNP部位における塩基の種類が既知の場合、そのタイピングに必ずしも4種類のプローブが必要でないことは言うまでもない。
【0088】
DNAの伸長反応後の試料液中のピロリン酸を、上述の各実施形態のピロリン酸検出センサを用いて検出することによりSNPをタイピングする方法は、より具体的には、上述のいずれかのピロリン酸検出センサの試料液受容部33にピロリン酸を含む前記試料液を満たす工程(c)、ピロリン酸検出センサの測定手段により固定層の水素イオン濃度の変化を電気化学的に測定する工程(d)、工程(d)の測定結果に基づいてDNAの前記伸長反応を検出する工程(e)、および工程(e)の検出結果に基づいてDNAの塩基配列中のSNP部位の塩基種を判別する工程(f)を有する。
【0089】
本発明で使用される「試料液」とは、ピロリン酸を含み得るいずれの試料液をもいう。第6及び第7の実施形態においては、伸長反応によりピロリン酸が生成されるDNAを含み得る試料液である。特にDNAの検出に関する方法(第6又は第7の実施形態)においては、「試料液」は、目的とするDNAを含み得る任意の被分析物に由来し得る。このような被分析物は、目的とするDNAが疾患と関連し得る場合、疾患によって罹患された細胞、組織、器官、または血液であり得る。もちろん、本発明の方法は、臨床用途に限定されることなく、あらゆる分野において使用され得、従って、このような被分析物は、目的とするDNAが発現しているかまたはその存在が確認されている細胞、組織、器官、または血液であり得る。DNAは、このような被分析物から、フェノール抽出法およびアルコール沈殿のような常法を用いて抽出され得る。DNAの純度は反応の効率に影響を与え得、DNAの精製の手順もまた当業者に公知である。
【0090】
以上説明したように、本発明によれば、ピロリン酸の高感度、高速、かつ定量的な測定が可能となるピロリン酸検出センサならびにこれを用いた核酸の検出方法および塩基種判別方法を提供する。
【0091】
また、本発明によれば、DNAの伸長反応に伴って生成されるピロリン酸を測定することによって、試料中の目的DNAを標識することなく、目的の核酸の有無を定量的に測定することが出来る。さらには、目的のSNPのタイピングを、高感度かつ高速に測定することが出来る。
【実施例1】
【0092】
本実施例は、第4の実施形態に係るピロリン酸検出センサを作製するものである。
【0093】
まず、Shizuo Yoshida等の方法(Masayoshi Maeshima and Shizuo Yoshida.(1989)J.Biol.Chem.264(33),20068−20073)に準じて、ヤエナリ由来の液胞膜13からなる膜小胞をTris/Mesバッファー(濃度5mM、pH7.0)、sorbitol(濃度0.25M)、DTT(濃度2mM)からなる溶液中に溶かし、H+−ピロホスファターゼを含む液胞膜13からなる膜小胞の懸濁液とした。
【0094】
一方、金電極(分極性電極81)を1mM n−オクタンチオール/エタノール溶液中に浸漬し、室温で4時間放置して、金電極表面にオクタンチオールのSAM膜(固定層83)を形成した。次に、オクタンチオール修飾電極を10mMチオニン水溶液中に浸漬し、室温で1時間静置して、SAM膜間にチオニン(メディエータ82)を固定化した。
【0095】
こうして作製したチオニン/オクタンチオール修飾電極に、H+−ピロホスファターゼを含む膜小胞の懸濁液を滴下することによって、H+−ピロホスファターゼを固定層83表面に固定し、H−ピロホスファターゼ電極を構成した。ピロリン酸ナトリウムの各終濃度がそれぞれ20μM、40μM、60μM、80μMおよび100μMとなるようにピロリン酸ナトリウム溶液をH−ピロホスファターゼに接触させ、H+−ピロホスファターゼによるピロリン酸の加水分解反応を開始した。
【0096】
サンプル液中のピロリン酸ナトリウムの濃度と、参照電極27として銀/塩化銀電極を用い、200mVの電位をかけたときの金電極の示した電流値は、ほぼ直線関係であるという結果が得られた。このことから、本方法によりピロリン酸の量を測定できることがわかった。
【実施例2】
【0097】
本実施例は、第1の実施形態にかかるピロリン酸検出センサを作製するものである。
【0098】
まず、Masasuke Yoshida等の方法(MasaH.Sato,Masahiko Kasahara,Noriyuki Ishii,Haruo Homareda,Hideo Matsui and Masasuke Yoshida.(1994)J.Biol.Chem.269(9),6725−6728)に準じ、カボチャの種から液胞膜H+−ピロホスファターゼの精製を行なった。
【0099】
一方、0.1gポリビニルブチラル樹脂と1gヘキサメチレンジアミンをジクロロメタンに溶解し、室温で30分間撹拌した溶液を、ISFETのゲート電極(水素イオン感受性電極23)に滴下した後、5%グルタルアルデヒドに浸漬し、室温で24時間放置した。このようにしてISFET電極上に固定層51を形成した。そして、固定層51が形成されたISFET電極(修飾ISFET電極)を、5mg/mlのH+−ピロホスファターゼ溶液に浸漬し、4℃で24時間静置し、H+−ピロホスファターゼをISFETのゲート電極に固定した。このH+−ピロホスファターゼ固定ISFET電極に対してピロリン酸ナトリウムの各終濃度がそれぞれ20μM、40μM、60μM、80μMおよび100μMとなるようにピロリン酸ナトリウム溶液を添加し、ピロリン酸のH+−ピロホスファターゼによる加水分解反応を開始した。
【0100】
サンプル液中のピロリン酸ナトリウムの濃度と、参照電極27として銀/塩化銀電極を用い、H+−ピロホスファターゼ固定ISFET電極のソース−ドレイン間に4.0Vの電圧をかけ、ソース−ドレイン間の電流値を400μAに保ったときのゲート電圧値は、ほぼ直線関係であるという結果が得られた。このことから、本方法によりピロリン酸の量を測定できることがわかった。
【実施例3】
【0101】
本実施例は、第5の実施形態のピロリン酸検出センサを作製するものである。
【0102】
まず、上記実施例2と同様にカボチャの種由来の液胞膜H+−ピロホスファターゼを精製した。
【0103】
次に、上述した液胞膜H+−ピロホスファターゼ50mg/mlと、0.1Mのピロールと、1Mの塩化カリウムとを混合し、電解重合用混合液を得た。この電解重合用混合液に、分極性電極81である白金電極と、参照電極27として銀/塩化銀電極を浸漬し、白金電極に+1Vの定電圧を6分間印加し、電解重合によりH+−ピロホスファターゼ固定化ポリピロール膜修飾電極を得た。このようにして得られたH+−ピロホスファターゼ固定化ポリピロール膜修飾電極に対してピロリン酸ナトリウムの各終濃度がそれぞれ20μM、40μM、60μM、80μMおよび100μMとなるようにピロリン酸ナトリウム溶液を添加し、ピロリン酸のH+−ピロホスファターゼによる加水分解反応を開始した。
【0104】
ピロリン酸ナトリウムの濃度と、参照電極27として銀/塩化銀電極を用い、300m
Vの電位をかけたときのH+−ピロホスファターゼ固定化ポリピロール膜修飾電極の示した電流は、ほぼ直線関係であるという結果が得られた。このことから、本方法によってピロリン酸の量を測定できることがわかった。
【実施例4】
【0105】
本実施例では、試料中におけるλDNA(λDNAの全塩基配列は、GenBankデータベースのAccession No.V00636、J02459、M17233、X00906を参照)の検出を行なった。
【0106】
まず、λDNA(宝酒造(株)製)が10ng/μLの濃度で蒸留水中に溶解されている試料液26A、および蒸留水のみからなる試料液26Bを用意した。また、図13Aに示すように、λDNAの特定の塩基配列に完全にハイブリダイズし得る2種類のプライマーC(配列番号:1)およびプライマーD(配列番号:2)をそれぞれ蒸留水に溶かしたプライマー溶液EおよびF(いずれも20μM)を用意した。
【0107】
上記試料液26Aおよび26Bそれぞれに、TaKaRa La Taq(5U/μL、宝酒造(株)製)、TaKaRa La Taqの専用バッファーである2×GC bufferI(宝酒造(株)製)、dNTP mixture(各濃度2.5mM、宝酒造(株)製)、ならびにプライマー溶液EおよびFを添加して、図13Bに示す組成のPCR反応液GおよびHを調製した。
【0108】
次に、PCR反応液GおよびHのそれぞれについて、図13Cに示す反応温度条件でPCR反応を行なった。
【0109】
PCR反応終了後、PCR反応液GおよびHのそれぞれを、上記実施例1に記載のH+−ピロホスファターゼ電極を用いて、実施例1と同様に参照電極として銀/塩化銀電極を用い、200mVの電位を印加して電流を測定したところ、PCR反応液Gの方が、PCR反応液Hよりも明らかに電流値が大きかった。つまり、PCR反応液Gでは、プライマー伸長反応が進行したことがわかる。従って、本方法により標的核酸の検出ができることがわかった。
【実施例5】
【0110】
本実施例では、λDNAの塩基配列内におけるある塩基を人為的に他の塩基に置換した変異型λDNAを作製し、通常のλDNAと変異λDNAとを判別できるか否かについて検討した。
【0111】
まず、λDNA(宝酒造(株)製)(配列番号:3)を用いて変異型λDNA(配列番号:4)を作製した。変異型λDNAは、λDNA(以下、通常のλDNAのことを野性型λDNAと記す)の二本鎖DNA配列内に存在するGC塩基対(図中の領域R1)を当業者に周知の方法で人為的にAT塩基対(図中の領域R2)に置換した。
【0112】
次に、野性型λDNAおよび変異型λDNAのそれぞれを最終濃度10ng/μLとなるように蒸留水に溶解したものをそれぞれ野性型λDNA液および変異型λDNA液とした。
【0113】
次に、上記の塩基の違いを判別するために、図14Aに示すタイピングプライマー(配列番号:5)を用意した。続いて、タイピングプライマーを最終濃度20μMとなるように蒸留水に溶解したタイピングプライマー溶液を調製した。
【0114】
なお、図14Aに示すタイピングプライマーは、野性型λDNAの下の段に記した一本鎖DNAに完全にハイブリダイズする。しかし、このタイピングプライマーの3’末端のGは、変異λDNAの下の段に記した一本鎖DNAにハイブリダイズできない。従って、このタイピングプライマーを用いてプライマー伸長反応を行なうと、野性型λDNAの場合は良好に反応が進行するが、変異λDNAの場合は反応があまり進行しない。
【0115】
また、上記実施例4で用いたプライマー溶液Fも用意した。
【0116】
次に、野性型λDNA液および変異型λDNA液のそれぞれについて、TaKaRa Taq(5U/μL、宝酒造(株)製)、およびTaKaRa Taq専用の10×PCR buffer(宝酒造(株)製)、およびdNTP mixture(各濃度2.5mM、宝酒造(株)製)、およびタイピングプライマー溶液およびプライマー溶液Fを用いて、図14Bに示す組成のPCR反応液IおよびJを調製した。
【0117】
そして、PCR反応液IおよびJにおいて、それぞれ図14Cに示す反応温度条件でPCR反応を行なった。
【0118】
PCR反応終了後、各PCR反応液をH+−ピロホスファターゼを固定した修飾ISFET電極に導入した。修飾ISFET電極は、上記実施例2で用いたものと同様である。
【0119】
この修飾ISFET電極を用いて、実施例2と同様に参照電極として銀/塩化銀電極を用い、H+−ピロホスファターゼ固定ISFET電極のソース−ドレイン間に4.0Vの電圧をかけ、ソース−ドレイン間の電流値を400μAに保ったときのゲート電圧を測定したところ、PCR反応液Iの方が、PCR反応液Jよりも明らかに電圧値が大きかった。つまり、PCR反応液Iでは、プライマー伸長反応が進行したことがわかる。これは、反応液Jでは伸長反応が起きなかったが、変異型λDNAを含む伸長反応液IではdATPによる1塩基伸長反応が起こり、その結果、生成されるピロリン酸が修飾ISFET電極上のH+−ピロホスファターゼと反応し、水素イオンが修飾ISFET電極側に輸送されたためと考えられる。
【0120】
従って、本実施例によれば、DNAの特定の塩基配列中の1塩基対の違いを判別できることがわかった。すなわち、本実施例は、本発明の方法が、SNP部位の塩基種の判別、突然変異による1塩基対の変異など、特定の塩基配列を判別するために非常に有効であることを示すものである。
【0121】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本発明に係るピロリン酸検出センサは、例えばSNP部位の塩基種の判別に利用することができ、従ってSNPタイピングに基づいた薬の投与といったテーラーメード医療に有用である。また、本発明に係るピロリン酸検出センサは、DNAの塩基配列中の突然変異の解析に有用であり、かかる解析結果を創薬や臨床に利用することができる。
【0123】
さらに、本発明に係るピロリン酸検出センサは、特定の塩基配列を有する核酸の検出に利用することができ、核酸の検出は、遺伝病の診断、細菌およびウィルス等による食品の汚染検査、人体への感染検査に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】植物の液胞膜に内在された状態のH+−ピロホスファターゼを模式的に表す図である。
【図2】第1の実施形態のピロリン酸検出センサの構成を模式的に示す断面図である。
【図3】第2の実施形態のピロリン酸検出センサの構成を模式的に示す断面図である。
【図4】第3の実施形態のピロリン酸検出センサの構成を模式的に示す断面図である。
【図5】第4の実施形態のピロリン酸検出センサの構成を模式的に示す断面図である。
【図6】第5の実施形態のピロリン酸検出センサの構成を模式的に示す断面図である。
【図7】ピロリン酸検出センサの構成例1を模式的に示す断面図である。
【図8】ピロリン酸検出センサの構成例2を模式的に示す断面図である。
【図9】ピロリン酸検出センサの構成例3を模式的に示す断面図である。
【図10】ピロリン酸検出センサの構成例4を模式的に示す断面図である。
【図11】検出を目的とするDNAとDNAプローブとにおいてSNP部位が一致した場合の反応系を示す図である。
【図12】検出を目的とするDNAとDNAプローブとにおいてSNP部位が一致しない場合の反応系を示す図である。
【図13A】λDNAの特定の塩基配列に完全にハイブリダイズし得る2種類のプライマーCおよびプライマーDを表す図である。
【図13B】PCR反応液GおよびHの組成を表す表を示す図である。
【図13C】PCR反応を行なった反応温度条件を表すフローチャートである。
【図14A】野性型λDNA、変異型λDNAおよびタイピングプライマーを表す図である。
【図14B】PCR反応液IおよびJの組成を表す表を示す図である。
【図14C】PCR反応を行なった反応温度条件を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0125】
1 DNAプローブ
2 DNA
3a 一致したSNP部位
3b 一致しないSNP部位
4 DNAポリメラーゼ
5 dNTP
10 ピロリン酸
11 H+−ピロホスファターゼ
12 リン酸
13 液胞膜
21 H+難透過性膜
22 絶縁基板
23 水素イオン感受性電極
24 内部液
25 溶液保持部材
26 試料液
27 参照電極
49 直鎖状炭素化合物
32 溶液保持部
33 試料液受容部
51 固定層
71 膜小胞
72 固定層
81 分極性電極
82 メディエータ
83 固定層
91 電解重合膜
【配列表のフリーテキスト】
【0126】
配列番号1の<223>:プライマー
配列番号2の<223>:プライマー
配列番号3の<223>:二本鎖DNA
配列番号4の<223>:二本鎖DNA
配列番号5の<223>:プライマー

Claims (12)

  1. 試料液中のピロリン酸を検出するピロリン酸検出センサであって、
    前記試料液を受容する試料液受容部と、
    −ピロホスファターゼを有するH難透過性膜と、
    前記H難透過性膜を固定する固定層と、
    前記固定層の水素イオン濃度変化に伴う電気化学的変化を測定する測定手段と、を備え、
    前記H−ピロホスファターゼは、前記試料液中のピロリン酸を加水分解し、これに伴って固定層の水素イオン濃度に変化をもたらすように配されている、ピロリン酸検出センサ。
  2. 前記固定層は、その上面又はその内部にH難透過性膜を固定する、請求項1に記載のピロリン酸検出センサ。
  3. 前記H難透過性膜は膜小胞であり、前記固定層は前記H難透過性膜をその内部に固定する、請求項1に記載のピロリン酸検出センサ。
  4. 前記測定手段は、前記固定層に接する水素イオン感受性電極と、前記試料液を受容した状態で前記試料液に接するように配された参照電極とを有する、請求項1に記載のピロリン酸検出センサ。
  5. 前記測定手段は、前記水素イオン感受性電極と前記参照電極との電位差の変化を測定する、請求項4に記載のピロリン酸検出センサ。
  6. 前記固定層は高分子ゲルまたは自己組織化単分子膜からなる、請求項4に記載のピロリン酸検出センサ。
  7. 前記固定層は、水素イオン濃度の変化により酸化還元反応が生じる材料を含み、
    前記測定手段は、前記固定層に接する分極性電極と、前記試料液を受容した状態で前記試料液に接するように配された参照電極とを有する、請求項1に記載のピロリン酸検出センサ。
  8. 前記測定手段は、前記分極性電極と前記参照電極との間の電流の変化を測定する、請求項7に記載のピロリン酸検出センサ。
  9. 前記固定層は、水素イオン濃度の変化により酸化還元反応が生じるメディエータを含む高分子ゲルまたは自己組織化単分子膜からなり、その上面に前記H難透過性膜を固定する、請求項7に記載のピロリン酸検出センサ。
  10. 前記固定層は、水素イオン濃度の変化により酸化還元反応が生じる電解重合材料からなる、請求項7に記載のピロリン酸検出センサ。
  11. 請求項1に記載のピロリン酸検出センサを用いる、特定の塩基配列を有する核酸の検出方法であって、該方法は以下の工程を包含する;
    試料と、前記核酸に相補的に結合する相補結合領域を含む塩基配列を有するプライマーと、ヌクレオチドとを含む試料液を調製する工程(a)、
    前記試料液を前記プライマーの伸長反応が生じる条件下におき、前記伸長反応が生じた場合にピロリン酸を生成する工程(b)、
    前記ピロリン酸検出センサの前記試料液受容部に前記試料液が受容された状態とする工程(c)、
    前記ピロリン酸検出センサの前記測定手段により前記固定層の水素イオン濃度変化に伴う電気化学的変化を測定する工程(d)、
    工程(d)の測定結果に基づいて前記伸長反応を検出する工程(e)、および
    工程(e)の検出結果に基づいて前記核酸を検出する工程(f)。
  12. 請求項1に記載のピロリン酸検出センサを用いる、核酸の塩基配列中の塩基種判別方法であって、該方法は以下の工程を包含する;
    核酸と、前記核酸に相補的に結合する相補結合領域を含む塩基配列を有するプライマーと、ヌクレオチドとを含む試料液を調製する工程(a)、
    前記試料液を前記プライマーの伸長反応が生じる条件下におき、前記伸長反応が生じた場合にピロリン酸を生成する工程(b)、
    前記ピロリン酸検出センサの前記試料液受容部に前記試料液が受容された状態とする工程(c)、
    前記ピロリン酸検出センサの前記測定手段により前記固定層の水素イオン濃度変化に伴う電気化学的変化を測定する工程(d)、
    工程(d)の測定結果に基づいて前記伸長反応を検出する工程(e)、および
    工程(e)の検出結果に基づいて前記核酸の塩基配列中の塩基種を判別する工程(f)。
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