JP3866277B2 - ピロリン酸測定方法及びプライマー伸張反応検出方法、並びにこれら方法を実施するための装置 - Google Patents

ピロリン酸測定方法及びプライマー伸張反応検出方法、並びにこれら方法を実施するための装置 Download PDF

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Description

本発明は、ピロリン酸測定方法及び特定核酸塩基配列又は特定塩基種の検出方法、並びにこれら方法を実施するためのピロリン酸測定装置、プライマー伸張反応装置に関する。
ピロリン酸(以下、「PPi」)は、細胞内における酵素反応に深く関与していることが知られている。例えば、蛋白質の合成過程において、アミノ酸がアミノアシルアデニル酸を経由してアミノアシルtRNAを形成する反応においてPPiが生成される。また、例えば、植物などに見られるデンプン合成の過程では、グルコース-1-リン酸とATPとの反応によってADP-グルコースが生成される際に、PPiが生成される。これら以外にも、種々の酵素反応においてPPiが関与していることが知られている。従って、PPiを定量的に検出する技術は、細胞状態、あるいは上記の酵素反応等を解析する上で重要な技術である。
従来のPPi測定方法として、Grindleyらの化学的方法(非特許文献1)が知られている。しかし、この方法では濃硫酸を用いるので、安全上好ましくない。
ここで、特許文献1には、濃硫酸などの危険な薬品を用いずに、酵素を利用した三種類のPPi測定方法が開示されている。
第1の方法は、PPiをホスホエノ−ルピルビン酸及びアデノシン一リン酸の存在下で、ピルベートオルソホスフェートジキナーゼを作用させる方法である。この反応によってビルビン酸が生成されるので、ピルビン酸の量を測定することによってPPiの量を算出することができる。なお、ピルビン酸の量を測定する方法には、二種類の方法が提案されている。1つは、ラクテートデヒドロゲナーゼの触媒作用を利用してピルビン酸をNADHで還元する際に、NADHの減少を比色定量する方法である。もう1つは、生成したピルビン酸にピルベートオキシダーゼを作用させて、生成する過酸化水素を色素に導くことによって比色定量する方法である。
第2の方法は、PPiをシチジン二リングリセロールの存在下でグリセロール-3-ホスフェートシチジルトランスフェラーゼに作用させる方法である。この反応によってグリセロール三リン酸が生成される。従って、グリセロール三リン酸の生成量を測定することでPPiの量を算出することができる。グリセロール三リン酸の量を測定する方法は二種類の方法が提案されている。1つは、グリセロール-3-ホスフェートデヒドロゲナーゼの触媒作用を利用してグリセロール三リン酸をNAD(P)で酸化する際に、NAD(P)Hの増加を比色定量する方法である。もう1つは、生成したグリセロール三リン酸にグリセロール-3-ホスフェートオキシダーゼを作用させて生成する過酸化水素を色素に導きこれを比色定量する方法である。
第3の方法は、PPiをシチジン二リン酸リビトールの存在下でリビトール-5-ホスフェートシチジルトランスフェラーゼを作用させる方法である。この反応によってD-リビトール-5-リン酸が生成されるため、その生成量を測定することでPPi量を測定することができる。D-リビトール-5-リン酸を測定する方法は、NAD(又はNADP)の存在下でリビトール-5-ホスフェートデヒドロゲナーゼを作用させてNADH(又はNADPH)の増加を比色定量する方法が提案されている。
また、上記以外では、PPiをATPに変換し、その後ルシフェラーゼ反応を利用する方法も知られている。
さらに上述のPPi測定技術は、単なるPPi測定のみならず、例えば、PCR法に代表される核酸増幅方法を利用した特定の核酸塩基配列の検出にも応用可能である。ここで、目的とする核酸配列に特異的に結合するプライマーからの伸長反応が行われたか否かによって、試料中に目的とする特定の核酸塩基配列が存在するか否かを判断することが可能となるが、プライマー伸長反応では、その副産物としてPPiが生成されることが知られている。
従って、プライマー伸長反応(核酸増幅反応)に伴うPPiの検出は、そのまま目的とする核酸塩基配列の検出へとつながるため、プライマー伸長反応と上述のPPi測定技術のいずれかを組み合わせ、PPiを測定することで、目的とする核酸塩基配列の検出が可能となる。このような技術は、例えば、食品中の細菌やウイルスによる汚染検査や、あるいは人体への細菌やウイルスの感染検査に応用可能である。
またさらに、PPi測定技術は、核酸塩基配列内の特定の塩基種判別への応用にも可能である。すなわち、例えば、ある遺伝子内の特定の一塩基の変異が重篤な病気を引き起こしたり、あるいはSNPと呼ばれる一塩基の変化による遺伝子多型が各個人の体質へ影響することが知られている。そのため、このような特定の一塩基の塩基種を判別する技術が近年特に重要視されてきているのだが、そのような技術の代表的なものとして、プライマー伸長反応を利用するものが知られている。
この方法は、目的塩基の塩基種に依存したプライマー伸長反応の有無や効率の違いを解析することによって、その塩基種を特定するというものであるが、この方法についても上記の核酸塩基配列検出方法の場合と同様に、反応に伴うPPi生成量を測定することで目的の解析を達成することができる。
一方、H-ピロホスファターゼ(H-pyrophosphatase、以下「H-PPase」)は、PPiの高エネルギーリン酸結合を加水分解する過程で放出されるエネルギーを、膜を介したHの能動輸送に転換するエネルギー変換酵素である。もともと光合成細菌(Rhodospilium rubrum)において、その酵素機能が検出されたH-PPaseであるが、近年のゲノムプロジェクト進行等に伴い、生物界において予想以上に広い範囲で分布することが明らかになってきている。
すなわちH-PPaseは、高等植物や緑藻等を含めた植物界全体、そして光合成細菌や古細菌などのある種の細菌類の細胞膜、Trypanosoma cruziやマラリア原虫などの寄生原生生物が持つ細胞内酸性顆粒の膜などに存在していることが分かってきた。これらのうち、比較的良く研究されているのは植物に見られるH-PPaseであり、未解明の部分も多く残されているものの植物にとって必須の酵素と推測され、その重要性にはもはや疑問の余地はない。より具体的には、以下のとおりである。
植物の液胞膜内に内在するH-PPaseは、加水分解により細胞質PPi除去を行い生体内の高分子合成反応を促進する。また、上記加水分解により得られたエネルギーを利用して細胞質のHを液胞内に輸送し、細胞質pHの維持と液胞酸性化及び液胞膜のエネルギー化に寄与している。液胞膜の内外にpH勾配を形成することで生じるエネルギーは、液胞膜上に存在するその他の二次輸送体の駆動力として必要である。
このように、植物のH-PPaseは、植物において非常に重要な役割を担っているが、放線菌(Streptomyces coelicolor)のH-PPaseの役割もまた非常に大きいと予想される。しかし、放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseは、植物のH-PPaseと異なり、生理機能・生化学的機能などそのほとんどの点において未解明である。
最近のH-PPaseに関わる研究例としては、非特許文献2がある。この文献では、液胞膜H-PPaseにおいて高度に保存されている6つのヒスチジン残基の重要性について解析が行われている。その手法は、緑豆の液胞膜H-PPase中のヒスチジン残基を他のアミノ酸残基に置き換え、それら変異型液胞膜H-PPaseについて解析を行っている。その結果、上記6つのヒスチジン残基は、液胞膜H-PPaseの酵素活性および構造形成において重要な役割を担っていることが示されている。
なお、被分析物質を定量的に分析するためのバイオセンサーとして、イオンチャンネルを含む脂質二重層からなるバイオセンサーが、特許文献2に開示されている。このバイオセンサーは、内部チャンバーにむき出しの極性物質からなる少なくとも一つの壁を持つチャンバーを区切るための容器、チャンバー内に含まれる大量の水性電解質媒体、チャンバーの上部に位置し、電解質媒体に浸されている参照電極、チャンバーの下部に位置する記録電極、イオンチャンネルを含む脂質二重層からなる液晶膜であって、この液晶膜が参照電極と記録電極間の電解質媒体中に浸されているものであり、架橋固定化分子が、片側が記録電極と、他の側が脂質二重層と結合して、脂質二重層を記録電極と空間的に連結することにより、少なくとも一つの壁の極性物質と接触した極性により密閉されている脂質二重層の上面と仮面とが大量の水性電解質媒体と連続的に接続されることを特徴とする、架橋固定化高分子を含むバイオセンサーである。
特開昭61−12300号公報 米国特許第5204239号明細書 G.B.Grindley and C.A.Nichel, Anal.Biochem,.vol33.p114(1970). Hsiao YY, Van RC, Hung SH, Lin HH, Pan RL., " Roles of histidine residues in plant vacuolar H(+)-pyrophosphatase," Biochim Biophys Acta. 2004 Feb 15;1608(2-3):190-9.
上述したとおり、PPi測定技術として、従来からいくつかの方法が知られているが、いずれの方法においても複数種の酵素、試薬などを必要とするためコストが高く、また、工程も複雑であるという欠点がある。さらに用いられる酵素は、すべて熱に対して不安定であるため、使用する際も適宜氷中で保存する必要がある。
ここで、PPiの測定に用いられる酵素が以下のような熱耐性を有していると、上述した従来技術の欠点は、大きく解消される。すなわち、少なくとも40℃の条件下で30分間曝されても、氷中に30分間保存しておいた場合と同様の活性が維持されていることである。しかし、PPiの測定に用いられる酵素の中で、このような耐熱性を有する酵素は知られていない。
また、従来の核酸塩基配列又は塩基種の検出方法においては、感度の点などから、PPiをATPに変換し、その後ルシフェラーゼ反応を利用するPPi検出方法がよく用いられる。しかし、この場合、プライマー伸長反応において通常用いられるdATPは、ルシフェラーゼ反応の基質になるため用いることができない。従って、dATPの代わりにDNAポリメラーゼの基質として作用し、かつ、ルシフェラーゼ反応の基質としては作用しない特殊なdATPアナログを用いる必要があるという欠点がある。
この他、植物のH-PPaseはTris緩衝液に接触すると失活する。そのため、測定の対象となる溶液がTris緩衝液を含んでいると、植物のH-PPaseを用いてPPiを測定することができない、という課題もあった。
本発明者らは上記課題に対して鋭意検討した結果、H-PPaseの中でも放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseが耐熱性を有し、さらにTris緩衝液に接触しても失活しないという知見を見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、上記知見に基づいてなされ、そのPPi測定方法及びプライマー伸張反応検出方法、並びにこれら方法を実施するための装置を提供することを目的とする。
具体的に、本発明は、
放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseを保持し、かつ、Hを通しにくい膜によって区画された第1領域及び第2領域のうち、前記膜に接触するように前記第1領域にピロリン酸を含む溶液を添加する工程(a)と、
前記工程(a)の後に、前記第1領域又は前記第2領域のいずれか一方のH濃度を測定する工程(b)とを含み、
前記放線菌Streptomyces coelicolor H-ピロホスファターゼのピロリン酸を加水分解する活性部位は、前記第1領域に露出していることを特徴とするピロリン酸の測定方法である。
前記溶液は、Tris緩衝液を含んでもよい。
前記工程(b)において、前記第1領域又は前記第2領域のいずれか一方のH濃度を、光学的に測定してもよい。
前記工程(b)において、前記第1領域又は前記第2領域の少なくとも一方にpH感受性色素又は膜電位感受性色素が添加されており、前記pH感受性色素又は膜電位感受性色素の光学的特性を解析することでH濃度を測定してもよい。
前記pH感受性色素又は膜電位感受性色素は、ピラニン、フルオレセインイソチオシアネート-デキストラン、アクリジンオレンジ、キナクリン及びオクソノールVからなる群のうちの少なくとも一つであることが好ましい。
前記工程(b)において、前記第1領域又は前記第2領域のいずれか一方のH濃度を、電気的に測定してもよい。
また、本発明は、
容器と、
前記容器内を内部領域と外部領域とに区画する、Hを通しにくい膜と、
前記外部領域又は内部領域に貯留される溶液に接触するように設けられた参照電極と、
前記内部領域に貯留される溶液に接触するように設けられたH感受性電極とを備え、
前記膜には、放線菌Streptomyces coelicolor H-ピロホスファターゼのピロリン酸を加水分解する活性部位を前記外部領域に露出するように保持されていることを特徴とするピロリン酸測定装置である。
前記溶液は、Tris緩衝液を含んでもよい。
また、本発明は、
上記ピロリン酸の測定方法を用いて、
前記工程(a)の前に、被検核酸と、該被検核酸に相補的に結合する塩基配列を有するプライマーとを含み、前記プライマーの伸長反応が生じた場合にピロリン酸を生成する反応溶液を調製する工程(c)を含み、
前記工程(a)において、前記工程(c)でプライマーの伸長反応が生じた場合に生成するピロリン酸を含む前記反応溶液を、前記膜に接触するように前記第1領域に添加し、前記反応溶液中のピロリン酸を測定することにより、前記被検核酸中の特定の塩基配列又は塩基種の存在を判別する、プライマー伸張反応の検出方法である。
前記工程(b)において、H濃度を光学的に測定してもよい。
前記工程(b)において、前記第1領域又は前記第2領域の少なくとも一方にはpH感受性色素又は膜電位感受性色素が添加されており、前記pH感受性色素又は膜電位感受性色素の光学的特性を解析することでH濃度を測定してもよい。
前記pH感受性色素又は膜電位感受性色素は、ピラニン、フルオレセインイソチオシアネート-デキストラン、アクリジンオレンジ、キナクリン及びオクソノールVからなる群のうちの少なくとも一つであることが好ましい。
前記工程(b)において、前記第1領域又は前記第2領域の少なくとも一方のH濃度を、電気的に測定してもよい。
また、本発明は、
上記ピロリン酸測定装置を備え、
前記容器が、試料を注入するための試料注入口と、
プライマー伸長反応処理を行うプライマー伸長反応槽と、
ピロリン酸測定のための反応を行うピロリン酸反応槽と、
前記プライマー伸長反応槽とピロリン酸反応槽をつなぐ流路とを備える反応容器であり、
前記プライマー伸張反応槽は、核酸と、該核酸に相補的に結合する相補結合領域を含む塩基配列を有するプライマーを含む溶液であって、前記プライマーの伸長反応が生じた場合にピロリン酸を生成する反応溶液を貯留し、
前記ピロリン酸反応槽は、参照電極及びH感受性電極によって、槽内に発生する信号を検出する検出装置を備え、
プライマー伸長反応により生成するピロリン酸を含む溶液を、放線菌Streptomyces coelicolor H-ピロホスファターゼを保持し、かつ、Hを通しにくい膜によって区画された第1領域及び第2領域のうち、前記第1領域に接触するように添加させた後、前記第1領域又は前記第2領域のいずれか一方のH濃度を測定することを特徴とするプライマー伸張反応検出装置である。
前記プライマー伸張反応検出装置は、前記プライマー伸長反応槽の温度を制御する温度制御手段がさらに備えていることが好ましい。
前記プライマー伸張反応検出装置は、前記検出装置内に測定結果を解析する解析手段をさらに備えていることが好ましい。
図1に示すように、自然界において、H-PPaseは、液胞膜などの脂質二重膜中に内在しており、この膜によって隔てられた二領域のいずれか一方側に対して露出する形でPPiを加水分解する活性部位を有している。そして、このPPi加水分解活性部位が露出した側の領域にPPiが存在する場合、H-PPaseは、このPPiをリン酸へと加水分解するとともに、上記PPi加水分解活性部位が露出した側の領域中のHを、膜によって隔てられた反対側の領域へと輸送する性質を有する。このため、H-PPaseの酵素反応によって、膜によって隔てられた二領域のうち、H-PPaseのPPi加水分解活性部位が露出している側の領域中のH濃度は減少し、もう一方側の領域中のH濃度は増大する。
本発明のPPi測定方法によれば、熱耐性である放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseを保持し、かつ、Hを通しにくい膜によって区画された第1領域及び第2領域のうち、前記膜に接触するように前記第1領域にPPiを含む溶液を貯留させることによって、第1領域から第2領域へHが輸送され、第1溶液及び第2溶液のH濃度が変化する。このため、第1溶液又は第2溶液のいずれか一方のH濃度の変化を測定することによって、第1溶液中のPPi量を測定することができる。従って、本発明のPPiの測定方法では、複数種の酵素、試薬などが不要であり、工程も単純で、測定にかかるコストが低減される。
また、熱耐性である放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseは、植物H-PPaseと異なり50℃以上においても酵素活性を有しているため、従来のPPiの測定技術と異なり、厳密な温度管理の必要がない。
放線菌Streptomyces coelicolorのH-PPaseは、60℃以上で酵素活性を維持しているため非常に扱いやすい。なお、放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseについては、本願発明者が大量生産する手段を確立したために、より好ましい。
また、本発明のPPi測定装置では、容器内に試料溶液が注入されると、試料溶液中にPPiが存在する場合、H-PPaseの酵素反応が生じて、膜によって隔てられた内部領域ではH濃度が増大し、外部領域ではH濃度が減少する。このため、参照電極とH感受性電極とによって、電気的にH濃度の変化を測定することによって、PPiの量を定量的に測定することができる。
核酸中に存在する特定塩基の塩基種を判別する方法として、例えば、判別したい塩基の3’側に隣接する塩基配列に対して完全に相補的な配列を有するプライマーと、判別したい塩基の予想される塩基種に対して相補的であるdNTPとを用いてプライマー伸長反応を行なった場合に、プライマー伸長反応の進行の程度によって、判別したい塩基の塩基種を判別する方法がある。また、判別したい塩基を含む塩基配列に対して相補的な塩基配列を有し、かつ、4種類のdNTPを同時に用いてプライマー伸長反応を行なった場合に、判別したい塩基の塩基種に依存してプライマー伸長反応の進行の程度に差が生じる、いわゆるアレル特異的プライマーを用いる方法もある。
いずれの方法も、プライマー伸長反応の進行の程度によって、特定の塩基配列又は塩基種を判別する点が共通している。プライマーは、相補的な塩基配列を有する核酸にハイブリダイズし、プライマー伸長反応によって伸長する。プライマー伸長反応が起こると、PPiが生成する。本発明の特定塩基配列の検出方法及び検出装置は、このプライマー伸長反応によって生成するPPiを測定することによって、プライマー伸張反応の進行の程度を解析することができる。従って、特定塩基の塩基種を判別することが可能である。
また、試料溶液中の特定塩基配列を有する核酸の有無を判別したい場合、プライマー伸張反応が進行していれば、溶液中に、プライマーに相補的な塩基配列を有する核酸が存在していることがわかる。逆に、プライマー伸張反応が進行していなければ、溶液中に、プライマーに相補的な塩基配列を有する核酸が存在していないことがわかる。
このように、本発明の特定塩基配列の検出方法及び検出装置は、試料溶液中の特定塩基配列を有する核酸の有無を判別し、特定の核酸を検出することも可能である。
本発明によれば、放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseを用いることで、従来知られていたPPiの定量的測定方法と異なり、厳密な温度管理が必要なく、しかも、わずか1種類の酵素のみによるPPiの定量的測定方法を提供することができる。
また、本発明によれば、放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseを用いることで、従来のプライマー伸長反応検出方法よりも用いる酵素の種類が少なく、さらに従来のプライマー伸長反応検出方法と異なり、通常のdATPを使用でき、かつ、厳密な温度管理も必要ないプライマー伸長反応検出方法を提供することができる。
この他、本発明によれば、放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseを用いることで、測定の対象となる溶液がTris緩衝液を含んでいても、PPiを定量的に測定することができる。
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を用いて説明する。
本願においては、「少なくとも40℃の条件下で30分間曝されても、氷中に30分間保存しておいた場合と同様の活性が維持されている」酵素のことを「熱耐性」酵素と定義する。
まず、本発明者らにより見出された知見である、放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseの熱安定性及び化学的安定性について説明する。
<放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseの熱安定性解析実験>
はじめに、放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseの熱安定性についての解析を行った。まず、膜内に放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseを発現させた大腸菌株を作成し、この大腸菌の膜画分を調製した。以下、この膜分画を放線菌Streptomyces coelicolor H-PPase内在大腸菌膜と呼ぶ。そして、この放線菌Streptomyces coelicolor H-PPase内在大腸菌膜に、さらにCHAPSによる可溶化、及びショ糖密度勾配遠心法による精製を行った精製放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseを調製し、これら放線菌Streptomyces coelicolor H-PPase内在大腸菌膜サンプル及び精製放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseサンプルについて、図11に示す方法に従って実験を行った。その結果を図12に示す。
図12では0℃でインキュベートしたときの酵素活性を100%とした場合の比活性を縦軸、インキュベート温度を横軸としている。図12に示される曲線A及びBから、両サンプルとも、50℃までのインキュベートでは100%の活性を維持し、さらに60℃までのインキュベートにおいても60%を超える活性を維持するという強い熱安定性を示すことが分かった。
<Tris系バッファによる放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseの酵素活性阻害実験>
次に、放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseの化学的安定性に関する解析として、Tris系バッファによる従来のH-PPase及び放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseに対する影響について比較した。より具体的には、図13に示す方法に従って、50mM K+存在下(K(+))及び非存在下(K(-))における、ヤエナリ(Vigna radiata)H-PPaseと放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseの加水分解活性に対する0-100mM Tris-HCl(pH7.3)の影響を比較した。その結果を図14に示す。
図14の縦軸は、ヤエナリH-PPaseと放線菌Streptomyces coelicolor H-PPase のそれぞれについて、50mM K+存在下、Tris非存在下における活性を100%とした場合の比活性を表している。この図から、特にK+非存在下において、ヤエナリH-PPaseはTris-HClによる強い活性阻害を受けるが、放線菌Streptomyces coelicolor H-PPase はK+存在下、非存在下に関わらず、Tris-HClによる阻害作用は全く受けないことが分かった。
以上のように、上記の実験により、放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseが耐熱性を有し、さらにTris緩衝液に接触しても失活しないことが理解される。
以下、適宜図面を参照しながら、本発明実施の形態を順に説明する。なお、本発明は、これらに限定されない。
(実施の形態1)
実施の形態1は、放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseを用いたPPi定量的測定方法を例示する。以下、図2を用いて説明する。
まず、放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseを内在する膜と、それによって隔てられた二種類の領域(図2では領域A(第一領域)と領域B(第二領域))からなる状態を作る。この際用いられる膜は、放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseの酵素活性を著しく抑制することなく保持し、かつ、Hをほとんど通さないものであればよい。例えば、天然又は人工の脂質二重膜であってもよく、それ以外のものでもよい。また、その形状は、いわゆる小胞体状であってもよいし、平面状であってもよく、上記二種類の領域を隔てる構成になっていればよい。
この膜内に内在している放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseの配向性は、PPi測定感度の観点から考えると一様であることが望ましいが、異なる配向性のものが混在していても構わない。また、上記二種類の領域は、バッファ等のある種の溶液によってあらかじめ満たされていてもよいし、あるいは上記の膜構造及び放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseの活性が完全に失われない程度の湿潤状態であってもよい。
次に、上記二領域の一方側(図2では領域A側)に対して未知濃度のPPi試料を添加する。この際、上記一方側の領域には、放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseの全部又は一部のPPi加水分解活性部位が露出している必要がある。この操作により、PPi試料中のPPiが加水分解され、上記一方側の領域から他方側の領域に向かってHが輸送される。このH輸送は、上記PPi試料中のPPi濃度に依存して行われるため、これを解析することで、上記PPi試料中のPPi濃度を測定することができる。
H輸送を解析する方法としては、光学的方法と電気的方法が挙げられる。光学的な方法を用いる場合であれば、例えば、H輸送後の上記二領域のいずれか一方のpHについてpH試験紙などで調べる方法や、又は上記二領域のいずれか一方の領域中に、H濃度変化に依存して光特性が変わるような物質を添加すればよい。
H濃度変化に依存して光特性が変わるような物質としては、具体的にはpH感受性色素又は膜電位感受性色素が挙げられるが、これらの中でも扱いやすさの面などから、ピラニン、フルオレセインイソチオシアネート-デキストラン、アクリジンオレンジ、キナクリン又はオクソノールVが好ましい。
また、電気的な方法であれば、金属電極法(水素電極法、キンヒドロン電極法、アンチモン電極法等)、ガラス電極法、ISFET電極法、パッチクランプ法、LAPS法、脂溶性イオン(具体的には、テトラフェニルホスホニウム、トリフェニルメチルホスホニウム、ClO4−、テトラフェニルホウ素等)と脂溶性イオン選択性電極を併用した脂溶性イオン選択性電極法等が挙げられる。しかし、H輸送を解析する方法としては、これらの方法に限られず、H輸送を光学的又は電気的な信号に変換し、その信号を検知できる方法であればよい。
(実施の形態2)
実施の形態2は、PPi測定方法に使用するキット(PPi測定キット)を例示する。以下、図3を用いて説明する。
図3では本実施の形態のPPi測定キットを含む溶液が、容器に保存されている状態を示している。本実施の形態のPPi測定キットは、少なくとも放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseを内在する膜小胞9と、pH感受性色素6又は膜電位感受性色素7から構成される。従って、使用者は、未知濃度のPPi試料を本実施例のPPi測定キットと混合し、混合後のpH感受性色素6又は膜電位感受性色素7の光学的信号を検出、解析することで、上記未知試料中におけるPPi濃度を測定することができる。
ここで、図3の放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseが含まれる膜小胞9は、放線菌Streptomyces coelicolor H-PPase8の酵素活性を著しく抑制することなく保持し、かつ、Hをほとんど通さないものであれば、例えば、天然又は人工の脂質二重膜であってもよいし、それ以外のものでもよい。
また、放線菌Streptomyces coelicolor H-PPase8は、その全部又は一部のPPi加水分解活性部位が、膜小胞9の外側に露出している状態である必要がある。
pH感受性色素6は、膜小胞9の内側又は外側の溶液中のH濃度変化に依存して、その光特性が変化するものであれば、その種類は限定されないが、扱いやすさなどの面からピラニン、フルオレセインイソチオシアネート-デキストラン、アクリジンオレンジ又はキナクリンであることが好ましい。
膜電位感受性色素7は、膜小胞9の膜電位に依存して、その光特性が変化するものであれば、その種類は限定されないが、扱いやすさなどの面からオクソノールVであることが好ましい。
膜小胞9と、pH感受性色素6又は膜電位感受性色素7は、図3に示したように、バッファ等の溶媒に溶解した状態で、使用者に提供されてもよいし、また、使用直前に使用者によって所望のバッファ等の溶媒に溶解させてもよい。PPiの定量的測定時において、膜小胞が健全に形成され、かつ、放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseの活性が維持された状態で膜小胞9内に存在しえるように使用者に提供されればよい。
また、膜小胞9と、pH感受性色素6又は膜電位感受性色素7は、図3のようにあらかじめ混合され、密閉された容器に保存された状態で使用者に提供されてもよいし、あるいは異なる密閉された容器に別々に保存された状態で使用者に提供され、使用前に使用者によって混合されてもよい。
(実施の形態3)
実施の形態3は、放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseを用いた光学的PPi測定装置の一例を例示する。以下、図4を用いて説明する。
本実施の形態のPPi測定装置は、放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseを用いた光学的PPi測定装置であり、未知濃度PPi試料中のPPi測定のための反応を行うPPi反応容器10と、このPPi反応容器中の光学的な信号を検出する検出装置11とを備える。
より具体的には、PPi反応容器11には、少なくとも放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseが内在する小胞体状の膜(放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseが含まれる膜小胞9)と、pH感受性色素6又は膜電位感受性色素7との混合物が含まれている。このとき放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseは、その全部又は一部のPPi加水分解活性部位が、膜小胞の外側に露出している状態である必要がある。そして、検出装置11は、PPi反応容器を着脱でき、かつ、装着した際にpH感受性色素6又は膜電位感受性色素7の光学的信号を検出できる構成となっている。
ここで、使用者が未知濃度のPPi試料をPPi反応容器10中に添加すると、PPi試料中のPPiが、放線菌Streptomyces coelicolor H-PPase8によって加水分解され、それにともなって膜小胞9の外側から内側に向かってH輸送が行われる。その結果、pH感受性色素6又は膜電位感受性色素7は、H輸送に依存した光学的信号を呈するため、これを検出装置11によって解析することでPPi試料中のPPi濃度を測定することができる。
なお、膜小胞9は、放線菌Streptomyces coelicolor H-PPase8の酵素活性を著しく抑制することなく保持し、かつ、Hをほとんど通さないものであれば、例えば、天然又は人工の脂質二重膜であってもよく、それ以外のものでもよい。
膜小胞9と、pH感受性色素6又は膜電位感受性色素7との混合物は、バッファ等の何らかの溶媒によって溶かされた溶液状態であってもよく、膜小胞9及び放線菌Streptomyces coelicolor H-PPase8の活性が完全に失われない程度の湿潤状態であってもよい。
pH感受性色素6は、膜小胞9の内側又は外側の溶液中のH濃度変化に依存して、その光特性が変化するものであれば、その種類は限定されないが、扱いやすさなどの面からピラニン、フルオレセインイソチオシアネート-デキストラン、アクリジンオレンジ又はキナクリンであることが好ましい。
膜電位感受性色素7は、膜小胞9の膜電位に依存して、その光特性が変化するものであれば、その種類は限定されないが、扱いやすさなどの面からオクソノールVであることが好ましい。
PPi反応容器10は、蓋などで密閉されていることが好ましい。すなわち、使用者が使用前に蓋を開け、PPi試料をPPi反応容器中に添加することが好ましい。
(実施の形態4)
実施の形態4は、放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseを用いた電気的PPi測定装置の一例を例示する。以下、図5〜8を用いて説明する。
本実施の形態のPPi測定装置は、図5に示すように、未知濃度PPi試料中のPPi濃度測定のための反応を行うPPi反応容器10と、このPPi反応容器中の電気的な信号を検出する検出装置11とを備える。以下に詳細に説明する。
まず、図5及び図6(a),(b)では、PPi反応容器10に放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseを含む膜3が張られ、二種類の領域A及びBが構成されている。ここで膜13は、図5のように、PPi反応容器10の側面に固定される他、図6(a)のようにPPi反応容器10の底面に直接固定されていてもよく、また、図6(b)のように、直鎖状炭素化合物等の高分子化合物14を介して、PPi反応容器10の底面に固定されていてもよい。
このとき、放線菌Streptomyces coelicolor H-PPase8は、その全部又は一部のPPi加水分解活性部位が領域A側に露出している状態である必要がある。さらに、図5又は図6(a),(b)のいずれの場合も、このPPi反応容器10の底には領域Bに触れる形でH感受性電極13が配置され、また領域A側には、このH感受性電極13に対する参照電極12が配置されており、これら電極間の電位差は、検出装置によって解析できる構成となっている。なお、図5及び図6(a),(b)では、領域A側に参照電極12が配置されているが、領域B側に、H感受性電極13に触れない形で配置されてもよい。
このようなPPi反応容器10において、領域A側に対して未知濃度のPPi試料を添加すると、放線菌Streptomyces coelicolor H-PPase8のPPi加水分解部位のうち領域A側に露出しているものが、この試料中のPPiを加水分解し、それにともない領域A側からB側へとHを輸送する。このとき、領域B側のH濃度変化は、H感受性電極13の電位変化を解析することによって測定することができ、かつ、PPi試料添加後の領域B側のH濃度は、このPPi試料中のPPi濃度に依存する。従って、PPi試料添加後のH感受性電極13の電位を、検出装置によって解析することにより、PPi試料中のPPi濃度を測定することが可能である。
ここで、領域A及びBは、測定時にバッファ等の溶液によって満たされた状態であればよい。あらかじめ溶液を領域A及びBに満たして使用者に提供してもよいし、測定前に使用者が溶液を領域A及びBに満たすようにしてもよい。
また、PPi反応容器10の他の形態例として、図7(a)に示すものが挙げられる。すなわち、PPi反応容器10の底面に配置されたH感受性電極13上に、Hを十分通過させ、かつ、水分を十分保持し得る膜15を形成し、さらにその表面に放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseを含む膜3を固定してもよい。
Hを十分通過させ、かつ、水分を十分保持し得る膜15としては、アガロースゲル等の高分子ゲルやフラーレン様化合物を含む膜等を用いることができる。このとき、放線菌Streptomyces coelicolor H-PPase8は、その全部又は一部のPPi加水分解活性部位が、Hを十分通過させ、かつ、水分を十分保持し得る膜15には接しない側の領域Cに露出している状態である必要があり、PPi試料もこの領域に添加される。その結果、領域Cに対してPPi加水分解活性部位を露出させている放線菌Streptomyces coelicolor H-PPase8が、PPi試料中のPPiを加水分解するとともに、領域Cから、Hを十分通過させ、かつ、水分を十分保持し得る膜15へとHを輸送する。輸送されるH量は、PPi試料中のPPi濃度に依存し、またこれら輸送されたHは、H感受性電極13上まで到達し得るため、PPi試料中のPPi濃度を、H感受性電極13によって測定することができる。
また、PPi反応容器10の他の形態例として、図7(b)に示すものも挙げられる。すなわち、図7(b)では放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseを含む膜として、膜小胞9を用いる。ここで膜小胞9は、例えば、高分子膜16でH感受性電極13表面に固定され得る。この場合、放線菌Streptomyces coelicolor H-PPase8の固定化に用いる膜は、Hを速やかに通過させる膜であることが好ましい。
このように作製された反応容器10(センサ)のPPi試料溶液中にPPiが存在する場合、H-PPaseの活性により、PPiがリン酸へと加水分解され、それに伴って膜小胞9内部液のH濃度が上昇し、膜小胞9の周辺ではH濃度が減少する。このH濃度の減少の程度は、PPi試料中のPPi濃度に依存するため、膜小胞9がH感受性電極13のごく近傍に存在したとき、H濃度の減少をH感受性電極13を用いて測定することにより、試料溶液中のPPi濃度を測定することができる。
さらに、PPi反応容器10の他の形態例としては、図8に示すものが挙げられる。図8では、絶縁基板上に分極性電極17が形成されており、これによってアンペロメトリックな測定も可能である。分極性電極17としては、金、白金、カーボン等の通常の電気化学測定に使用できる電極を使用しうる。この分極性電極17表面には、メディエータ19を含む有機薄膜18が形成されている。有機薄膜18としては、例えば、一端にチオール基を持つ直鎖状炭素を利用したSAM膜(self-assembled monolayer)等が利用できる。メディエータ19としては、H感受性物質の酸化体を使用することができる。このように形成された有機薄膜18上にH-PPaseを含む膜3を固定する。
H-PPaseを含む膜3が、脂質膜である場合、有機薄膜及び脂質膜の疎水性部分が対向し、脂質膜の親水性部分が膜表面を形成する。H-PPase8は、有機薄膜及び脂質膜の疎水性部分が形成する膜の内部に固定されるが、このとき、H-PPase8のPPiを加水分解する活性部位は、膜13の外部に露出している。このように作製された反応容器10(センサ)の試料溶液中にPPiが存在する場合、H-PPase8の活性により、PPiがリン酸へと加水分解され、それに伴って有機薄膜内のH濃度が上昇する。
H感受性のメディエータ19の酸化体が存在する場合、酸化還元反応によりメディエータ19の還元体が生成される。分極性電極17にメディエータ19の酸化還元電位より十分に高い電位を加えておくことにより、メディエータ19の還元物質の濃度に応じた電流を測定することができる。従って、試料溶液中のPPiの濃度を測定することが可能である。
メディエータ19を含む有機薄膜18の代わりに、ポリ(アニリン)、ポリ(o-フェニレンジアミン)、ポリ(N-メチルアニリン)、ポリ(ピロール)、ポリ(N-メチルピロール)、ポリ(チオフェン)等の電気化学的に活性な電解重合膜を利用することも可能である。また、分極性電極17上のメディエータ19を含む有機薄膜18や電解重合膜の中に放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseを含む膜小胞を固定し、膜小胞外部のHの減少に伴うメディエータや電解重合膜の酸化還元電流を分極性電極で測定することも可能である。
ここで、図5〜8中の放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseを含む膜3は、放線菌Streptomyces coelicolor H-PPase8の酵素活性を著しく抑制することなく保持し、かつ、Hをほとんど通さないものであれば、例えば、天然又は人工の脂質二重膜であってもよいし、それ以外のものでもよい。膜小胞9についても同様である。
なお、図5〜8中の放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseを含む膜3には、放線菌Streptomyces coelicolor H-PPase以外のタンパク質が含まれていてもよいが、当該タンパク質は、PPiと反応しない、又は反応性の低いタンパク質であることが好ましい。PPi試料中のPPiが膜中のH-PPase以外のタンパク質と反応する場合、H-PPaseと反応するPPiの量が減少し、それに伴ってHの輸送量が減少するからである。
また、PPiとは反応せず、かつ、PPi以外の物質との反応によってHを輸送するタンパク質が膜に含まれている場合、当該タンパク質が反応する物質が、試料溶液中にほとんど含まれていないことが好ましい。例えば、膜中にATPaseが含まれている場合、試料溶液中にはATPがほとんど含まれないようにすることが好ましい。
図5〜7のH感受性電極13としては、通常のpHセンサとして機能できるものであればよく、ガラス電極、ISFET電極、LAPS (Light-AddressAble Potentiometric Sensor) 等が利用できる。一方、参照電極12としては、水素電極、飽和カロメル電極、水銀・酸化銀電極等が使用できるが、取り扱いの容易さ等から考えて、銀塩化銀電極を用いることが好ましい。
実施の形態3及び4においては、本発明のPPi測定装置について説明した。しかし、これらで示したのは、その一例に過ぎない。すなわち、本発明のPPi測定装置の特徴は、PPiを、放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseによって加水分解し、それにともなって行われるH輸送を光学的又は電気的に検出することであり、PPi濃度を測定できる構成になっていればよい。
(実施の形態5)
実施の形態5は、放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseを用いたプライマー伸張反応の検出方法(核酸の塩基配列検出方法及び塩基種判別方法)、並びにこれら方法を実施するキット及び装置を例示する。上述したように、核酸の塩基配列の検出及び塩基種判別においても、結局はプライマー伸長反応が起こったか否かについて調べるという点については共通であるため、以下にまとめて「プライマー伸長反応検出方法、キット及び装置」として説明する。
[放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseを用いたプライマー伸長反応検出方法]
本実施の形態に係る、放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseを用いたプライマー伸長反応検出方法について、図9を用いて説明する。本検出方法においては、実施の形態1に記した、放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseを用いたPPi定量的測定方法を利用する。
はじめに、核酸配列検出又は塩基種判別のためのプライマー伸長反応処理を行う。そして、このプライマー伸長反応処理開始済みの試料溶液(すなわち、プライマー伸長反応処理が完全に終了した試料溶液またはプライマー伸長反応が進行している試料溶液)を、未知濃度のPPi試料の代わりに用いて実施の形態1の操作を行い、それによる光学的又は電気的信号について解析すればよい。仮に、上記プライマー伸長反応処理においてプライマー伸長反応が行われていれば、プライマー伸長反応処理済みの試料溶液中にはPPiが含まれているが、逆に、上記プライマー伸長反応処理においてプライマー伸長反応がほとんど又は全く行われていなければ、プライマー伸長反応処理済みの試料溶液中にはPPiがほとんど又は全く含まれていない。実施の形態1の測定方法がPPi濃度を定量できることは、上述したとおりである。従って、光学的又は電気的信号を解析することで上記プライマー伸長反応が行われたか否かについて解析することが可能である。
[放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseを用いたプライマー伸長反応検出キット]
次に、本実施の形態に係る、放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseを用いたプライマー伸長反応検出キットについて説明する。本プライマー伸長反応検出キットの構成は、実施の形態2と同様である。使用者は、上記プライマー伸長反応検出方法の場合と同様に、まず、核酸配列検出又は塩基種判別のためのプライマー伸長反応処理を行う。次に、このプライマー伸長反応処理済みの試料溶液を本実施の形態のキットと混合し、本キット中に含まれるpH感受性色素6又は膜電位感受性色素7の光学的信号を解析すればよい。これにより上記プライマー伸長反応が行われたか否かについて解析することが可能である。
[放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseを用いたプライマー伸長反応検出装置]
次に、本実施の形態に係る、放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseを用いたプライマー伸長反応検出装置について、図10を用いて説明する。本プライマー伸長反応検出装置は、図10に示すように、プライマー伸長反応が起こるか否かについて調べたい未知核酸試料を注入するための試料注入口22と、プライマー伸長反応処理を行うプライマー伸長反応槽21と、PPi測定のための反応を行うPPi反応槽24を有する反応容器20と、検出装置11とを備える。
まず、検出装置11が光学的検出装置であるプライマー伸長反応検出装置について説明する。プライマー伸長反応槽21は、プライマー伸長反応処理を行うための反応槽であり、実施の形態3において説明したPPi反応容器と本質的に同じ機能を持つ反応槽である。また、検出装置11も、実施の形態3における検出装置と同様の機能を有する。すなわち、PPi反応槽中の光学的信号を検出できる構成となっている。
より具体的には、PPi反応槽24には少なくとも放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseが内在する小胞体状の膜(膜小胞)と、pH感受性色素6又は膜電位感受性色素7との混合物が含まれており、このとき放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseは、その全部又は一部のPPi加水分解活性部位が膜小胞の外側に露出している状態である必要がある。そして、検出装置11は、反応容器20を着脱でき、かつ、装着した際にpH感受性色素6又は膜電位感受性色素7の光学的信号を検出できる構成となっている。
また、試料注入口22、プライマー伸長反応槽21及びPPi反応槽24の構成については、未知核酸試料が試料注入口22から注入された後、例えば、流路23等を通って、まずプライマー伸長反応槽21へ送られ、最後にPPi反応槽24へと送られる構成となっている。
PPi反応槽24においては、プライマー伸長反応処理済み試料中のPPiが、放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseによって加水分解され、それにともなって膜小胞の外側から内側に向かってH輸送が行われる。その結果、pH感受性色素6又は膜電位感受性色素7は、H輸送に依存した光学的信号を呈する。この信号を検出装置11によって解析することで、未知核酸試料について実際にプライマー伸長反応が行われたか否かを判断することができる。
ここで、プライマー伸長反応槽21においては、プライマー伸長反応処理をする上で必要と分かっているポリメラーゼ、dNTP、プライマー等の材料の全部又は一部が、あらかじめ保持されている状態で使用者に提供されてもよいし、あるいは使用者自身によって試料注入口22から注入されてもよい。
また、膜小胞は、放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseの酵素活性を著しく抑制することなく保持し、かつ、Hをほとんど通さないものであれば、例えば、天然又は人工の脂質二重膜であってもよいし、それ以外の膜でもよい。
膜小胞と、pH感受性色素6又は膜電位感受性色素7との混合物は、バッファ等の何らかの溶媒によって溶かされた溶液状態であってもよいし、あるいは上記の膜構造及び放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseの活性が完全に失われない程度の湿潤状態であってもよい。
pH感受性色素6は、膜小胞の内側又は外側の溶液中のH濃度の変化に依存して、その光特性が変化するものであれば、その種類は限定されないが、扱いやすさなどの面からピラニン、フルオレセインイソチオシアネート-デキストラン、アクリジンオレンジ又はキナクリンであることが好ましい。
膜電位感受性色素7は、膜小胞の膜電位に依存して、その光特性が変化するものであれば、その種類は限定されないが、扱いやすさなどの面からオクソノールVであることが好ましい。
試料注入口22は、蓋などで密閉されていることが好ましい。すなわち、使用者が、使用前に蓋を開け、未知核酸試料を注入するのが好ましい。
プライマー伸長反応処理のために、プライマー伸長反応槽21の温度を制御する必要がある場合、例えば、反応容器20自身に温度制御機能を付与した構成としてもよいし、又は検出装置11等に温度制御機能を付与してプライマー伸長反応槽21内の温度を制御できる構成にしてもよい。
次に、検出装置11が電気的検出装置であるプライマー伸長反応検出装置について説明する。本電気的プライマー伸長反応検出装置の反応容器20の基本的構成及び使用方法は、基本的には上記光学的プライマー反応検出装置と同様である。
PPi反応槽24は、実施例4において説明したPPi反応容器と本質的に同じ機能を持つ反応槽であり、例えば、図5〜8に示す構造を持ちうる。検出装置11については、実施例4における検出装置と同様の機能に加え、プライマー伸長反応を行うことが可能な機能を有する。すなわち、PPi反応槽中の電気的信号を検出できる構成と共に、温度制御が可能な構成となっている。また、プライマー伸長反応が終了したサンプルを、プライマー伸長反応槽からPPi反応槽へと送液することも可能な構成となっている。
まず使用者は、プライマー伸長反応が起こるか否かについて調べたい未知核酸試料を試料注入口より注入し、プライマー伸長反応槽21においてプライマー伸長反応処理を行う。次に、このプライマー伸長反応処理済みの試料は、PPi反応槽24の領域A側(図5及び6の領域Aに該当する)に送られる。その結果、プライマー伸長反応処理済み試料中のPPi濃度は、PPi反応槽24の領域B側(図5及び6の領域Bに該当する)のH濃度に反映されるため、これを電気的検出装置11によって解析することで、未知核酸試料について実際にプライマー伸長反応が行われたか否かを判断することができる。
プライマー伸長反応槽21には、プライマー伸長反応処理をする上で必要なポリメラーゼ、dNTP、プライマー等の材料のうち全部又は一部が、あらかじめ保持されている状態であってもよいし、あるいは使用者自身によって試料注入口22から注入されてもよい。
また、PPi反応槽24の領域A及び領域Bは、あらかじめ何らかのバッファ等の溶液によって満たされていてもよいし、あるいはそうでなくてもよい。いずれにしても、添加するPPi試料中のPPi濃度と、それに伴って得られる電気的信号の相関関係についてあらかじめ把握できていれば、未知試料中のPPi濃度を電気的に測定することが可能である。
試料注入口22が蓋等で密閉されていること、及び温度制御の好ましい構成については、上記光学的プライマー反応検出装置と同様である。
実施の形態1〜5において示したPPi定量的測定方法及びプライマー伸長反応検出方法、並びにこれらの方法を実施するキット及び装置は、放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseを用いることを特徴とする。放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseを用いることで、従来のPPi定量的測定の場合とは異なり、複数種類の酵素を必要としない。また、図12に示したように、放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseは強い熱耐性を有するため、実施の形態1及び5のPPi定量的測定方法及びプライマー伸長反応検出方法において、適宜H-PPaseを、氷中又は4℃条件下に置くなどの厳密な温度管理が必要とされない。
また、現在知られているH-PPaseの中には、Tris系バッファによる酵素活性阻害を受けるものがあるが、放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseは、図14に示したように、そのような酵素活性阻害をほとんど受けない。従って、実施の形態1及び5のPPi定量的測定方法及びプライマー伸長反応検出方法についても、Tris系バッファによって試料調製を行うことができる。このようなメリットは、特に、実施例5について重要である。プライマー伸長反応は、PCR法に代表されるように、多くの場合Tris系バッファを用いるからである。
なお、実施の形態2及び5で示したPPi測定キット及びプライマー伸長反応検出キットにおいても、上記と同様のメリットが挙げられる。すなわち、放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseを用いることで、従来技術よりも用いる酵素の種類が少なくて済み、また、放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseが熱に対して安定しているため、使用又は保存において、キットが厳密な温度管理を必要としない。さらに、放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseは、Tris系バッファによる酵素活性阻害をほとんど受けないため、Tris系バッファによって調製された試料を扱うこともできる。この点に関しては、特にプライマー伸長反応検出において重要であることは上記のとおりである。
また、実施の形態3、4及び5で示した光学的及び電気的PPi測定装置、並びに光学的及び電気的プライマー伸長反応検出装置においても、上記と同様のメリットが挙げられる。すなわち、PPi測定装置又はプライマー伸長反応検出装置のいずれにおいても、放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseを含む反応容器と、この反応容器中の光学的又は電気的信号を検出する検出装置とを備えるが、放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseは熱に対して安定しているため、反応容器の使用又は保存において、厳密な温度管理を必要とせず扱い易い。
特に、プライマー伸長反応検出装置の場合においては、プライマー伸長反応槽とPPi反応槽の二種類の反応槽が、同一反応容器内に存在する。プライマー伸長反応処理には通常、温度制御が必要なのは上述したとおりである。すなわち、例えばPCR法を用いるのであれば、約50℃〜90℃付近の温度帯での上昇下降をする必要があり、また、LAMP(Loop-Mediated Isothermal Amplification)法などを用いるのであれば、65℃付近の温度を一定に保つ必要がある。このような温度制御機能は、反応容器そのものに備え付けられていてもよいし、あるいは検出装置に備え付けられていてもよいが、いずれにしてもこれら温度制御機能によってプライマー伸長反応槽内の溶液が、一時的に高温条件下に置かれる。このような場合、仮に熱に対して不安定なH-PPase用いると、プライマー伸長反応槽を上記のような高温条件下に置く際に、そのような高温条件の影響がPPi反応槽には及ばないように、厳密な温度管理をする工夫を行う必要がある。
しかし、放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseは、上述したとおり熱に対して非常に安定であるため、そのような厳密な温度管理は必要ない。特に、放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseは、60℃条件下に30分間さらした後にも60%以上の酵素活性を維持している。このような熱耐性は、特にLAMP法を用いる場合に大きなメリットとなる。つまり、上記のとおりLAMP法は65℃付近の温度条件を保ちながら行われるが、このときPPi反応槽が65℃条件下におかれたとしても、放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseの場合には、完全に失活する恐れがないからである。
また、放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseがTris系バッファによる酵素活性阻害をほとんど受けないことによるメリットは、上述したとおりである。
ここで、H-PPaseの熱安定性に関しては、放線菌Streptomyces coelicolor H-PPase以外に、好熱細菌Thermotoga maritimeやPyrobaculum aerophilumのH-PPaseも熱耐性であることが知られている(FEBS Letters 496 (2001) 6-11、FEBS Letters 460 (1999) 505-512参照)。より具体的には、Thermotoga maritimeのH-PPaseの至適温度は70℃、Pyrobaculum aerophilumのH-PPaseの至適温度は90℃とされている。従って、単に熱安定性の面からのみ考えれば、上記実施の形態1〜5において、これら好熱細菌由来のH-PPaseを用いれば、放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseを用いる場合よりも大きな効果を得ることができる。
しかし、本願発明者は、放線菌Streptomyces coelicolor の増殖速度が遅いために、大量生産が困難である放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseについて、非常に効率の良い大腸菌での発現系を確立しており、容易に大量の放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseを調製することができる。一方、上記二種類の好熱細菌のH-PPaseについては、大腸菌での発現系は確立されておらず、これらの好熱細菌由来のH-PPaseを迅速に大量調製することは、現時点においては不可能である。従って、産業応用の面から考えたときに、放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseを用いる利点は非常に大きい。
本発明のPPi定量的測定方法及びプライマー伸長反応検出方法、並びにこれら方法を実施するキット及び装置は、放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseを用いることにより、従来のPPi定量的測定方法及びプライマー伸長反応検出方法に関する技術より、必要とされる酵素の種類が少なくて済むと同時に、熱に対する不安定さといった課題も克服できる。また、Tris系バッファによる酵素活性阻害をほとんど受けないという特筆すべき特性を示す。このことから、本発明のPPi測定及びプライマー伸長反応検出の方法、並びにこれら方法を実施するキット及び装置は、従来のH-PPaseを用いた場合よりも保存性や扱い易さといった面で非常に優れた特性を有する。
特に、本発明のプライマー伸長反応の検出方法、検出キット及び検出装置は、SNPや突然変異の診断、細菌又はウイルス等による食品の汚染検査、細菌又はウイルス等の人体への感染検査等に有用である。
図1は、H-PPaseを表す概念図である。 図2は、実施の形態1におけるPPi測定方法の原理を説明する図である。 図3は、実施の形態2のPPi測定キットを示す図である。 図4は、実施の形態3の光学的PPi測定装置の一例を示す図である。 図5は、実施の形態4の電気的PPi測定装置の一例を示す図である。 図6は、実施の形態4の電気的PPi測定装置の別の一例を示す図である。 図7は、実施の形態4の電気的PPi測定装置のさらに別の一例を示す図である。 図8は、実施の形態4における電気的PPi測定装置のさらにまた別の一例を示す図である。 図9は、実施の形態5に係る、プライマー伸長反応検出方法の原理を説明する図である。 図10は、実施の形態5に係る、プライマー伸長反応検出装置の一例を示す図であり、図10(a)は反応容器が横型の種類、図10(b)は反応容器が縦型の種類をそれぞれ示している。 図11は、放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseの熱安定性解析実験の方法を説明する図である。ここで、ステップS3の測定用基本バッファは、20mM Bicine-NaOH, pH 8.0, 100mM KCl, 1mM MgCl2, 0.15M sucrose, 0.4mM Na4PPiである。ただし、実施例3の実験においては、20mM Bicine-NaOH, pH 8.0の代わりに、各pHに適した20mMのバッファを使用した。また、ステップS5の発色液として、和光純薬製「ホスファCテストワコー(商品名)」を使用した。 図12は、放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseの熱安定性解析実験の結果を示す図である。ここで、「A」は放線菌Streptomyces coelicolor H-PPase内在大腸菌膜サンプルの図であり、「B」は精製放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseサンプルの図である。 図13は、Tris系バッファによる放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseの酵素活性阻害実験の方法を示す図である。ここで、ステップS12の測定用基本バッファは、0-100mM Tris-HCl, pH 7.3, 50mM又は0mM KCl, 1mM MgCl2, 0.15M sucrose, 0.4mM Na4PPiである。ただし、実施例3の実験においては、0-100mM Tris-HCl, pH 7.3の代わりに、各pHに適した20mMのバッファを使用した。また、ステップS14の発色液として、和光純薬製「ホスファCテストワコー(商品名)」を使用した。 図14は、Tris系バッファによる放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseの酵素活性阻害実験の結果を示す図である。ここで、「A」は放線菌Streptomyces coelicolor H-PPase内在大腸菌膜サンプルの図であり、「B」はヤエナリ液胞膜サンプルの図である。
符号の説明
1 ピロリン酸(PPi)加水分解活性部位
2 脂質二重膜
3 放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseを含む膜
4 蓋
5 容器
6 pH感受性色素
7 膜電位感受性色素
8 放線菌Streptomyces coelicolor H-PPase
9 放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseが含まれる膜小胞
10 PPi反応容器
11 検出装置
12 参照電極
13 H感受性電極
14 高分子化合物
15 Hを十分通過させ、かつ、水分を十分保持し得る膜
16 高分子膜
17 分極性電極
18 有機薄膜
19 メディエータ
20 反応容器
21 プライマー伸張反応槽
22 試料注入口
23 流路
24 放線菌Streptomyces coelicolor H-PPaseを用いたPPi反応槽

Claims (16)

  1. 放線菌Streptomyces coelicolor H-ピロホスファターゼを保持し、かつ、Hを通しにくい膜によって区画された第1領域及び第2領域のうち、前記膜に接触するように前記第1領域にピロリン酸を含む溶液を添加する工程(a)と、
    前記工程(a)の後に、前記第1領域又は前記第2領域のいずれか一方のH濃度を測定する工程(b)とを含み、
    前記放線菌Streptomyces coelicolor H-ピロホスファターゼのピロリン酸を加水分解する活性部位は、前記第1領域に露出していることを特徴とするピロリン酸の測定方法。
  2. 前記溶液がTris緩衝液を含む、請求項1に記載のピロリン酸の測定方法。
  3. 前記工程(b)において、前記第1領域又は前記第2領域のいずれか一方のH濃度を、光学的に測定することを特徴とする請求項1に記載のピロリン酸の測定方法。
  4. 前記工程(b)において、前記第1領域又は前記第2領域の少なくとも一方にpH感受性色素又は膜電位感受性色素が添加されており、前記pH感受性色素又は膜電位感受性色素の光学的特性を解析することでH濃度を測定することを特徴とする請求項3に記載のピロリン酸の測定方法。
  5. 前記pH感受性色素又は膜電位感受性色素は、ピラニン、フルオレセインイソチオシアネート-デキストラン、アクリジンオレンジ、キナクリン及びオクソノールVからなる群のうちの少なくとも一つであることを特徴とする請求項4に記載のピロリン酸の測定方法。
  6. 前記工程(b)において、前記第1領域又は前記第2領域のいずれか一方のH濃度を、電気的に測定することを特徴とする請求項1に記載のピロリン酸の測定方法。
  7. 容器と、
    前記容器内を内部領域と外部領域とに区画する、Hを通しにくい膜と、
    前記外部領域又は内部領域に貯留される溶液に接触するように設けられた参照電極と、
    前記内部領域に貯留される溶液に接触するように設けられたH感受性電極とを備え、
    前記膜には、放線菌Streptomyces coelicolor H-ピロホスファターゼのピロリン酸を加水分解する活性部位を前記外部領域に露出するように保持されていることを特徴とするピロリン酸測定装置。
  8. 前記溶液がTris緩衝液を含む、請求項7に記載のピロリン酸の測定装置。
  9. 請求項1に記載のピロリン酸の測定方法を用いて、
    前記工程(a)の前に、被検核酸と、該被検核酸に相補的に結合する塩基配列を有するプライマーとを含み、前記プライマーの伸長反応が生じた場合にピロリン酸を生成する反応溶液を調製する工程(c)を含み、
    前記工程(a)において、前記工程(c)でプライマーの伸長反応が生じた場合に生成するピロリン酸を含む前記反応溶液を、前記膜に接触するように前記第1領域に添加し、前記反応溶液中のピロリン酸を測定することにより、前記被検核酸中の特定の塩基配列又は塩基種の存在を判別する、プライマー伸張反応の検出方法。
  10. 前記工程(b)において、H濃度を光学的に測定することを特徴とする請求項に記載のプライマー伸張反応の検出方法。
  11. 前記工程(b)において、前記第1領域又は前記第2領域の少なくとも一方にはpH感受性色素又は膜電位感受性色素が添加されており、前記pH感受性色素又は膜電位感受性色素の光学的特性を解析することでH濃度を測定することを特徴とする請求項に記載のプライマー伸張反応の検出方法。
  12. 前記pH感受性色素又は膜電位感受性色素は、ピラニン、フルオレセインイソチオシアネート-デキストラン、アクリジンオレンジ、キナクリン及びオクソノールVからなる群のうちの少なくとも一つであることを特徴とする請求項11に記載のプライマー伸張反応の検出方法。
  13. 前記工程(b)において、前記第1領域又は前記第2領域の少なくとも一方のH濃度を、電気的に測定することを特徴とする請求項に記載のプライマー伸張反応の検出方法。
  14. 試料を注入するための試料注入口と、
    プライマー伸長反応処理を行うプライマー伸長反応槽と、
    ピロリン酸測定のための反応を行うピロリン酸反応槽と、
    前記プライマー伸長反応槽とピロリン酸反応槽をつなぐ流路とを備え、
    前記プライマー伸張反応槽は、核酸と、該核酸に相補的に結合する相補結合領域を含む塩基配列を有するプライマーを含む反応溶液であって、前記プライマーの伸長反応が生じた場合にピロリン酸を生成する反応溶液を貯留し、
    前記ピロリン酸反応槽は、参照電極及びH感受性電極によって、槽内に発生する信号を検出する検出装置を備え、
    プライマー伸長反応により生成するピロリン酸を含む溶液を、放線菌Streptomyces coelicolor H-ピロホスファターゼを保持し、かつ、Hを通しにくい膜によって区画された第1領域及び第2領域のうち、前記第1領域に接触するように添加させた後、前記第1領域又は前記第2領域のいずれか一方のH濃度を測定することを特徴とするプライマー伸張反応検出装置。
  15. 前記プライマー伸長反応槽の温度を制御する温度制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項14に記載のプライマー伸張反応検出装置。
  16. 前記検出装置内に測定結果を解析する解析手段をさらに備えることを特徴とする請求項14に記載のプライマー伸張反応検出装置。
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