JP3760868B2 - 中空体成形装置および中空体成形方法 - Google Patents
中空体成形装置および中空体成形方法 Download PDFInfo
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一対の熱可塑性の樹脂シートを閉鎖空間を形成するように空間を隔てて配置して中空成形体に成形する中空体成形装置および中空体成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば自動車に用いられる部品には、軽量であり、かつ、高剛性・高強度であることが要求され、当該部品の材料に樹脂材料を適用する場合においても、同じことが要求される。かかる要求に応えるために、内部に中空部を有する中空成形体の開発が行われている。中空成形体から樹脂製部品を構成することにより、部品の軽量化を図りつつ、剛性ないし強度を向上させることができる。
【0003】
一対の熱可塑性の樹脂シートから中空成形体を成形する技術として、従来、特開平6−114919号公報、特開平9−262899号公報に示されるものが知られている。
【0004】
前者の公報(特開平6−114919号公報)に示される技術では、熱可塑性樹脂シートを加熱ヒータによって加熱軟化させる工程は、初期加熱工程と逓減加熱工程とを含み、樹脂シートの成形適正温度に基づき、加熱ヒータの加熱温度を制御している。
【0005】
後者の公報(特開平9−262899号公報)に示される技術では、2枚の熱可塑性の樹脂シートの間に通気性耐熱支持部材を挿入し、2枚の樹脂シートが中空部において接触したり融着したりしないようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
中空成形体を一対の熱可塑性の樹脂シートから成形する場合、対面して一対となる2枚の熱可塑性樹脂シートを相互間が閉鎖空間となるように周縁部を固定し、この樹脂シートを予め加熱して軟化させた後に、2枚の樹脂シートの固定された周縁部の内側を、金型により挟み込んでいる。このため、目的とする成形品が大型であるために樹脂シート自体の面積や寸法が大きいときには、加熱軟化された熱可塑性樹脂シートが自重により垂れ下がり易くなる。両樹脂シートの融着などを防止するためには、両樹脂シート間の空間を広く設定しなければならない。この結果、2枚の樹脂シートの周縁部の内側に金型が接触してから、金型のプレスが完了するまでの加圧時間が長くなり、樹脂シートの加熱軟化温度からの温度低下が進んでしまい、両樹脂シートを圧着する接合部に、接合強度の不足が生じる虞がある。
【0007】
また、2枚の熱可塑性樹脂シート間に、両樹脂シートの融着などを防止する通気性耐熱支持部材などのインサート物を挿入した場合には、当該インサート物が中空成形体の内部に残存する。このため、樹脂シートに透明な熱可塑性樹脂材料を用いたときには、内部に残存するインサート物が透過して見えてしまうので、完全に透明な成形体を得ることができないという問題もある。
【0008】
本発明は、上記従来技術に伴なう課題を解決するためになされたものであり、一対の熱可塑性樹脂シート間の接合強度が高く、インサート物も存在しない中空成形体を成形し得る中空体成形装置および中空体成形方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記する手段により達成される。
【0010】
(1)一対の熱可塑性の樹脂シートを閉鎖空間を形成するように空間を隔てて配置して中空成形体に成形する中空体成形装置において、
加熱軟化させた前記一対の樹脂シートを金型により加圧圧着するときに、当該金型により加圧される部位近傍の樹脂シートを加熱する加熱部を有することを特徴とする中空体成形装置。
【0011】
(2)一対の熱可塑性の樹脂シートを中空成形体に成形する中空体成形装置において、
前記一対の樹脂シートのそれぞれを空間を隔てて固定して前記一対の樹脂シート相互間に閉鎖空間を形成するホルダと、
加熱軟化した前記一対の樹脂シートを加圧圧着する金型と、
前記一対の樹脂シートを前記金型内に形成されたキャビティの形状に賦形する賦形手段と、を備え、
前記ホルダは、
前記一対の樹脂シートのそれぞれの周縁部を支持する支持部と、
前記樹脂シートのそれぞれの周縁部を前記支持部に押圧する押さえ部と、
前記押さえ部に配置され前記金型により加圧される部位近傍の樹脂シートを加熱する加熱部と、を含んでいることを特徴とする中空体成形装置。
【0012】
(3)前記加熱部は、前記押さえ部の内部に設けられていることを特徴とする上記(2)記載の中空体成形装置。
【0013】
(4)前記加熱部は、前記押さえ部の前記樹脂シートと接する面に設けられていることを特徴とする上記(2)記載の中空体成形装置。
【0014】
(5)前記賦形手段は、真空成形、圧空成形または真空圧空成形を行うための部材を含んでいることを特徴とする上記(2)記載の中空体成形装置。
【0015】
(6)一対の熱可塑性の樹脂シートを閉鎖空間を形成するように空間を隔てて配置して中空成形体に成形する中空体成形方法において、
加熱軟化させた前記一対の樹脂シートを金型により加圧圧着するときに、当該金型により加圧される部位近傍の樹脂シートを加熱することを特徴とする中空体成形方法。
【0016】
(7)一対の熱可塑性の樹脂シートを中空成形体に成形する中空体成形方法において、
前記一対の樹脂シートのそれぞれを空間を隔ててホルダに固定し、前記一対の樹脂シート相互間に閉鎖空間を形成する工程と、
加熱軟化した前記一対の樹脂シートを金型により加圧圧着する加圧圧着工程と、
前記一対の樹脂シートを前記金型内に形成されたキャビティの形状に賦形する賦形工程と、を備え、
前記加圧圧着工程では、前記樹脂シートのそれぞれの周縁部を押圧する押さえ部に配置された加熱部により、前記金型により加圧される部位近傍の樹脂シートを加熱していることを特徴とする中空体成形方法。
【0017】
(8)前記加圧圧着工程では、前記押さえ部の少なくとも一部は、前記樹脂シートの軟化温度以上に加熱されていることを特徴とする上記(7)記載の中空体成形方法。
【0018】
(9)前記賦形工程は、真空成形法、圧空成形法または真空圧空成形法により行われることを特徴とする上記(7)記載の中空体成形方法。
【0019】
(10)前記樹脂シートは、有機充填材、無機充填剤または繊維強化材を配合した樹脂シートである上記(7)記載の中空体成形方法。
【0020】
【発明の効果】
本発明の中空体成形装置および中空体成形方法によれば、加熱軟化させた一対の樹脂シートを金型により加圧圧着するときに、当該金型により加圧される部位近傍の樹脂シートを加熱しているため、金型により加圧される部位近傍の樹脂シートの温度低下を遅延し、樹脂シート周縁部の延伸性を保って、樹脂シートの間隔を容易に狭圧することができる。このため、大型ないし広大な熱可塑性樹脂シートを使用するために一対の樹脂シートの間隔を広めに設定したときであっても、金型により加圧される部位近傍の樹脂シートの温度低下を遅延できることから、両樹脂シートを圧着する接合部に接合強度の不足が生じることはなく、賦形性を向上しつつ内部に中空部を有する中空成形体の成形が可能となる。さらに、中空体内部にインサート物が存在しないため、見栄えのよい透明な成形体を得ることができる。よって、一対の熱可塑性樹脂シート間の接合強度が高く、インサート物も存在しない中空成形体を成形し得る。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0022】
図1は、本発明に係る中空体成形装置10を示す断面図、図2は、中空体成形装置10のホルダ30を、一対の熱可塑性樹脂シート20を加熱軟化させる加熱装置60とともに示す断面図、図3は、図1の3−3線に沿う断面図である。
【0023】
本発明に係る中空体成形装置10は、一対の熱可塑性の樹脂シート20を、内部に中空部21を有する中空成形体22(図5(B)を参照)に成形するために用いられる。図1に示すように、中空体成形装置10は、一対の樹脂シート20のそれぞれを空間を隔てて固定して一対の樹脂シート20相互間に閉鎖空間31を形成するホルダ30と、加熱軟化した一対の樹脂シート20を加圧圧着するプレス金型40と、一対の樹脂シート20をプレス金型40内に形成されたキャビティ41の形状に賦形する賦形手段50と、を備えている。また、図2に示すように、中空体成形装置10は、ホルダ30に固定された一対の樹脂シート20を加熱して軟化させる加熱装置60を備えている。
【0024】
前記樹脂シート20の材料は、加熱時に軟化する熱可塑性樹脂であれば適用でき、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、アクリロニトリル・スチレン・ブタジエンブロック共重合体、ナイロンなどの一般的な熱可塑性樹脂や、エチレン・プロピレンブロック共重合体、スチレン・ブタジエンブロック共重合体などの熱可塑性エラストマー、あるいはこれらのポリマーアロイなどが挙げられる。本明細書における「熱可塑性樹脂」という文言は、これらのすべてを包含する概念である。
【0025】
また、樹脂シート20は、有機充填材、無機充填剤または繊維強化材を配合したものでもよい。具体的には、上述した熱可塑性樹脂中に、タルクやガラス繊維などの各種の充填材、あるいは、可視光線の波長(380〜770nm)よりもはるかに小さい数10nmオーダの微粒材料が配合されたナノコンポジット材料であってもよい。微粒材料としては、粘土、タルクあるいはシリカなどが挙げられる。さらに、顔料、滑材、帯電防止剤、酸化防止剤などの通常使用される各種の添加剤が配合された熱可塑性樹脂でもよい。
【0026】
前記ホルダ30は、図1および図2に示すように、2枚の熱可塑性樹脂シート20の間に空間を持たせて、樹脂シート20間が閉鎖空間31となるように当該樹脂シート20の周縁部を固定する構造を有する。すなわち、ホルダ30は、一対の熱可塑性樹脂シート20のそれぞれの周縁部を支持する支持部32と、樹脂シート20のそれぞれの周縁部を支持部32に押圧する押さえプレート33(押さえ部に相当する)と、を含んでいる。さらに、ホルダ30は、押さえプレート33に配置されプレス金型40により加圧される部位近傍の樹脂シート20を加熱する加熱部34を含んでいる。
【0027】
支持部32は、断面が矩形の箱形状を有し、上下壁のそれぞれに開口32aが形成されている。開口32aの内周縁には、樹脂シート20を保持するフランジ32bが形成されている。各開口32aが樹脂シート20により閉塞されると、支持部32内が密閉状態となり、一対の樹脂シート20相互間に閉鎖空間31が形成される。上下壁の間隔つまり相対する熱可塑性樹脂シート20の間隔は、加熱装置60により樹脂シート20を加熱軟化した際に当該樹脂シート20が垂れ下がっても、一対の樹脂シート20が相互に接触したり融着したりすることがない寸法に設定されている。
【0028】
支持部32の材料としては、樹脂シート20を加熱する過程で樹脂シート20の熱変形時に発生する応力に耐え得る材料であれば、特に限定されるものではない。例えば、鉄系、非鉄系金属あるいはセラミック系、熱硬化性樹脂材料が挙げられる。好ましくは、安価で加工の容易な鉄系、非鉄系金属材料である。
【0029】
押さえプレート33は、支持部32の上方側および下方側のそれぞれに、開口32a内周縁に沿って設けられている。押さえプレート33は、支持部32に対して接近離反移動自在に設けられ、樹脂シート20のそれぞれの周縁部を支持部32に対して押圧する。これにより、一対の樹脂シート20のそれぞれは、空間を隔ててホルダ30に固定される。
【0030】
押さえプレート33を支持部32に固定する手法としては、押さえプレート33および支持部32のうちの一方にガイド穴を樹脂シート20周縁部に沿って加工し、他方に前記ガイド穴に嵌まり込む針状突起物を突設し、ガイド穴に針状突起物を嵌め込んでプレートなどで狭圧するガイドピン締結法が挙げられる。このガイドピン締結法による樹脂シート20の固定が一般的であるが、その他に、油圧または空圧によるプレス締結法、ボルト締結法、押さえプレート33を押さえるプレートを蝶番を使用して狭圧するプレート狭圧締結法が挙げられる。
【0031】
後述するように、押さえプレート33の内部に加熱部34を配置してあるため、押さえプレート33の材料としては、熱伝導性が良好な材料が好ましく、かかる材料としては、例えば、アルミニウム、銅、真鍮材料などが挙げられる。
【0032】
本実施形態の加熱部34は、図3に示すように、押さえプレート33の内部に配置されている。加熱部34は、押さえプレート33の内部に埋め込まれた発熱体から構成され、当該発熱体は、樹脂シート20周縁部を当該樹脂シート20の軟化温度以上に加熱し、プレス金型40により加圧される部位近傍の樹脂シート20を加熱するのに必要な熱量を発する。発熱体としては、ニクロム線ヒータ、各種のシーズヒータ、セラミックヒータなどが挙げられる。
【0033】
前記プレス金型40は、図1に示すように、上型42と、当該上型42に対して相対的に接近離反移動自在な下型43とを有している。上下型42、43は、樹脂シート20の固定された周縁部の内側を挟み込む位置に設けられている。加熱軟化された一対の樹脂シート20は、上下型42、43が移動することにより、周縁部の内側が挟み込まれて加圧圧着される。上下型42、43の内面には、中空成形体22の外形形状に合致した内面形状を有するキャビティ41が形成されている。
【0034】
プレス金型40の型材料としては、鉄系、非鉄系金属あるいはセラミック材料、熱硬化性樹脂材料などが挙げられる。
【0035】
成形体を賦形可能な成形方法としては、真空成形法、圧空成形法、真空圧空成形法が挙げられる。
【0036】
真空成形法を行う装置は、一般に、成形体を賦形可能なキャビティが形成された金型を備え、この金型には、真空引きを行うための吸引口が設けられている。金型は、キャビティと樹脂シートとの間の空間が閉鎖空間となるように、樹脂シートを狭圧する構造を有している。真空成形法を行う場合、まず、加熱装置により、熱可塑性樹脂シートを熱変形温度以上に予め加熱する。この加熱された樹脂シートを金型により狭圧し、キャビティと樹脂シートとの間に閉鎖空間を形成する。そして、樹脂シートが熱変形温度以上にある間に、吸引口よりキャビティ内を負圧にして、樹脂シートを所定の形状に賦形する。
【0037】
圧空成形法は、上述した真空成形法とは実質的に反対の手法を用いた成形法であり、熱可塑性樹脂シート間にできる閉鎖空間に、外側から圧空を供給し、熱変形温度以上に加熱された熱可塑性樹脂シートをキャビティ内面に密着させて所定の形状に賦形する方法である。
【0038】
真空圧空成形法は、真空成形法と、圧空成形法とを併せ持った成形方法である。
【0039】
図示する実施形態では、これらの成形方法のうち真空圧空成形法を採用している。前記賦形手段50は、真空圧空成形を行うための部材、すなわち、真空引きを行うための吸引口51と、一対の樹脂シート20間の閉鎖空間31に加圧ガスを送入するガス送入パイプ52と、を含んでいる。
【0040】
吸引口51は、図1に示すように、上下型42、43のキャビティ41面に加工されている。吸引口51の形状は中空成形体22の表面に転写されることから、中空成形体22のコーナ部に対応した位置に吸引口51を形成するのが好ましい。吸引口51の数は、特に限定されるものではなく、適宜の数を形成できる。吸引口51の穴径は、1mm以下が好ましい。
【0041】
ガス送入パイプ52は、図1および図2に示すように、支持部32を貫通して設けられている。ガス送入パイプ52は、上型42と下型43とがプレスされる面の水平位置となる所望の場所に配置されている。ガス送入パイプ52の先端は、金型プレス時に閉鎖空間31に連通する位置まで延伸している。
【0042】
ガス送入パイプ52の途上には、加圧ガスの供給または供給停止を制御するバルブ53が設けられている。バルブ53は、通常は閉じられており、金型プレスの開始と同時または金型プレスが完了したのと同時に、加圧ガスを送入するために開かれる。また、ガス送入パイプ52には、樹脂シート20間の空間を閉鎖空間31または開放空間とするための図示しないオンオフ機構が設けられている。このオンオフ機構は、一対の樹脂シート20をプレス金型40により加圧圧着して加圧ガスの送入が完了するまでの間は、樹脂シート20間の空間を閉鎖空間31あるいは加圧状態とする一方、中空成形体22を取り出す直前には、中空部21内の圧力を大気開放する機構であることが好ましい。加圧ガスは、その注入時間、注入圧力、注入開始時期などが制御されている。
【0043】
ガス送入パイプ52の材料としては、鉄系、非鉄系金属あるいはセラミック系、樹脂系材料などを使用できる。
【0044】
使用されるガスには、一般的なガスが使用され、かかるガスとしては空気、窒素、炭酸ガスなどが代表的なものとして例示される。好ましくは、窒素ガスである。また、使用する加圧ガスの下限値は、それぞれの成形条件、樹脂種によっても異なるが、1MPa以上の高圧ガスであってもよいし、1MPa未満の低圧ガスであってもよい。好ましくは、1MPa未満の低圧ガスが取り扱い上便宜である。
【0045】
真空圧空成形時には、上下型42、43による樹脂シート20のプレスが完了した直後にバルブ53が開かれ、加圧ガスが、ガス送入パイプ52を通って樹脂シート20間の閉鎖空間31に供給される。これと同時に、吸引口51より真空引きされ、樹脂シート20のキャビティ41内壁面への賦形が促進される。
【0046】
前記加熱装置60は、熱可塑性樹脂シート20を軟化温度以上に加熱し得る限度において、種々の方式を採用できる。例えば、熱風加熱方法、最大エネルギー波長が4μm近傍にある遠赤外線ヒータによる加熱方法、最大エネルギー波長が1μm〜3μm近傍にある短波長あるいは中波長ヒータによる間接加熱方法が挙げられる。ヒータの出力波長と樹脂の吸収波長とがほぼ一致する遠赤外線ヒータによる加熱方法が一般的である。
【0047】
次に、上述した中空体成形装置10を使用して、一対の熱可塑性樹脂シート20を中空成形体22に成形する手順を説明する。
【0048】
図4(A)は、加圧圧着工程の途中の状態を示す断面図、図4(B)は、加圧圧着工程が完了し、さらに賦形工程が完了した状態を示す断面図、図5(A)は、トリミング工程の途中の状態を示す断面図、図5(B)は、製造された中空成形体22を示す断面図である。
【0049】
まず、図2に示すように、押さえプレート33により、一対の熱可塑性樹脂シート20のそれぞれの周縁部を支持部32に押圧する。これにより、一対の熱可塑性樹脂シート20のそれぞれが空間を隔ててホルダ30に固定され、樹脂シート20相互間に閉鎖空間31が形成される(閉鎖空間31の形成工程)。
【0050】
次いで、加熱装置60により、ホルダ30に固定された一対の熱可塑性樹脂シート20を加熱し、当該樹脂シート20を軟化させる(加熱軟化工程)。
【0051】
樹脂シート20が加熱軟化温度に到達した時点あるいは加熱軟化温度下で数分間保持された時点において、図4(A)に示すように、上下型42、43によるプレスが開始され、加熱軟化した一対の樹脂シート20を上下型42、43により加圧圧着する(加圧圧着工程)。ガス送入パイプ52が配置された水平位置まで上型42および下型43がプレスされる過程で、支持部32および一対の樹脂シート20により囲繞された閉鎖空間31が圧縮される。閉鎖空間31の空間体積が減少することから、各樹脂シート20が予張される。
【0052】
この加圧圧着工程では、押さえプレート33の内部に設けられた加熱部34により、押さえプレート33の少なくとも一部、すなわち押さえプレート33の内側周縁部が樹脂シート20の軟化温度以上に加熱されている。これにより、樹脂シート20周縁部は、当該樹脂シート20の軟化温度以上に加熱され、さらに、プレス金型40により加圧される部位近傍の樹脂シート20も加熱される。このため、押さえプレート33の内側周縁部に近接している樹脂シート20は、加熱軟化温度からの温度低下が遅延される。したがって、加圧圧着工程が開始してから完了するまでの間、押さえプレート33に接触している樹脂シート20周縁部の延伸性が保たれ、樹脂シート20の間隔が容易に狭圧される。この結果、両樹脂シート20を圧着する接合部に、接合強度の不足が生じる虞がなくなる。
【0053】
次いで、図4(B)に示すように、上下型42、43によるプレスが完了すると、加熱軟化された一対の樹脂シート20を、賦形手段50により真空圧空成形を行い、キャビティ41の形状に賦形する(賦形工程)。具体的には、上下型42、43によるプレスが完了した直後にバルブ53を開き、加圧ガスを、ガス送入パイプ52を介して、樹脂シート20間の閉鎖空間31に供給する。これと同時に、吸引口51より真空引きし、樹脂シート20のキャビティ41内壁面への賦形を促進する。
【0054】
成形体の冷却が完了した後、バルブ53を閉じ、ガス送入パイプ52からの加圧ガスの供給を停止する。オンオフ機構により、中空部21内の圧力を大気開放する。その後、図5(A)に示すように、ガス送入パイプ52を成形体から引き抜き、上下型42、43を型開きしてトリミングする(トリミング工程)。
【0055】
以上の一連の工程を経て、図5(B)に示すように、内部に中空部21を有する中空成形体22が得られる。
【0056】
図6(A)(B)は、プレス過程において、プレス金型40により加圧される部位近傍の樹脂シート20の温度変化を示す図である。図6(A)は、加熱軟化させた一対の樹脂シート20をプレス金型40により加圧圧着するときに、当該プレス金型40により加圧される部位近傍の樹脂シート20を加熱した本実施形態における経時温度変化を示す図である。図6(B)は、加熱軟化させた一対の樹脂シート20をプレス金型40により加圧圧着するときに、当該プレス金型40により加圧される部位近傍の樹脂シート20を加熱しない比較例における経時温度変化を示す図である。図6(C)は、測温箇所を示す図である。
【0057】
使用した熱可塑性樹脂シート20は、アクリルシート、330mm×330mm×板厚1〜5mm(三菱レイヨン製、アクリルライトL(無色透明))である。加熱装置60による加熱軟化温度を200℃とした。本実施形態における経時温度変化を示す図6(A)は、加熱部34の温度を160℃とした場合の結果を示している。
【0058】
図6(C)に示すように、押さえプレート33の内方に3個の測温素子36a、36b、36cを取り付け、熱可塑性樹脂シート20表面の温度を測定した。測温素子36a、36cにより、押さえプレート33の内側周縁部での樹脂シート20表面の温度を測定し、測温素子36bにより、押さえプレート33の中心部での樹脂シート20表面の温度を測定した。温度測定は、上述した成形体を得るための製造工程において、加熱軟化工程の完了後、上下型42、43によるプレス工程に移行した直後から行った。温度測定には、コンパクトサーモTVS2000MKII(日本アビオニクス社製)を使用した。
図6(A)(B)に示される熱可塑性樹脂シート20の経時温度変化から明らかなように、押さえプレート33を加熱しない比較例の場合には、押さえプレート33を加熱した本実施形態に比べて、熱可塑性樹脂シート20の周縁部内側の温度低下速度が急速であり、賦形性を悪化させる要因の一つであることが判明し、押さえプレート33を加熱することによって賦形性が向上したことを確認した。
【0059】
なお、比較例のように熱可塑性樹脂シートの周縁部内側の温度低下速度が急速な場合、温度低下を見込んで、加熱軟化工程で熱可塑性樹脂シートを加熱する温度を予め上昇させておき、金型プレスが完了するときまで2枚の熱可塑性樹脂シートが良好な接合強度を発現するようにすることも考えられる。しかしながら、熱可塑性樹脂シートの温度を必要以上に上昇させると、熱可塑性樹脂シートにボイドが発生したり、熱可塑性樹脂シートの分解ガスなどによるピンホール状の多数のブツが金型の圧着面に発生したりして、成形品の外観を大きく損ねるとい問題がある。
【0060】
以上説明したように、本実施形態の中空体成形装置10および中空体成形方法によれば、加熱軟化させた一対の樹脂シート20をプレス金型40により加圧圧着するときに、当該プレス金型40により加圧される部位近傍の樹脂シート20を加熱部34により加熱しているため、プレス金型40により加圧される部位近傍の樹脂シート20の温度低下を遅延し、樹脂シート20周縁部の延伸性を保って、樹脂シート20の間隔を容易に狭圧することができる。このため、大型ないし広大な熱可塑性樹脂シート20を使用するために一対の樹脂シート20の間隔を広めに設定したときであっても、プレス金型40により加圧される部位近傍の樹脂シート20の温度低下を遅延できることから、両樹脂シート20を圧着する接合部に接合強度の不足が生じることはなく、賦形性を向上しつつ内部に中空部21を有する中空成形体22の成形が可能となる。また、プレス金型40により加圧される部位近傍の樹脂シート20に対する加熱は温度低下を遅延するためになされるものであるため、成形に要する時間が長くなることもない。
【0061】
さらに、中空成形体22の内部にインサート物が存在しないため、見栄えのよい透明な成形体を得ることができる。
【0062】
よって、一対の熱可塑性樹脂シート20間の接合強度が高く、インサート物も存在せず、軽量かつ高剛性・高強度を発現できる樹脂成形品を短い製造工程で成形ないし製造することが可能となる。
【0063】
(改変例)
図7(A)は、改変例におけるホルダ30を示す断面図、図7(B)は、押さえプレート37を示す平面図である。
【0064】
上述した実施形態では、押さえプレート33の内部に加熱部34を配置した場合を示したが、本発明はこの場合に限定されるものではない。例えば、図7(A)(B)に示すように、押さえプレート37の樹脂シート20と接する面つまり押圧面37aに加熱部38を配置してもよい。加熱部38は、押さえプレート37の押圧面37aに設けられた発熱体から構成され、当該発熱体は、樹脂シート20周縁部を当該樹脂シート20の軟化温度以上に加熱し、プレス金型40により加圧される部位近傍の樹脂シート20を加熱するのに必要な熱量を発する。発熱体としては、ニクロム線ヒータ、樹脂シート埋め込みヒータ、各種のシーズヒータ、セラミックヒータなどが挙げられる。
【0065】
図7(A)に示される加熱構造を使用する場合には、押さえプレート37の材料としては、熱損失を低減するために熱伝導性が低い材料が好ましく、かかる材料としては、例えば、セラミック、熱硬化性樹脂などの耐熱性樹脂、ガラス系断熱材、断熱構造を持つラミネート材料などが挙げられる。
【0066】
また、賦形手段50として、真空圧空成形を行うための部材51、52を含む場合を示したが、本発明はこの場合に限定されるものではない。例えば、賦形手段50として真空成形を行うための部材、すなわち、真空引きを行うための吸引口51のみを金型40に設け、真空成形法により、成形体を賦形してもよい。また、賦形手段50として圧空成形を行うための部材、すなわち、一対の樹脂シート20間の閉鎖空間31に加圧ガスを送入するガス送入パイプ52のみを備え、圧空成形法により、成形体を賦形してもよい。
【0067】
【実施例】
以下、押さえプレート37を加熱した本発明の実施例1〜6と、押さえプレート37を加熱しない比較例1〜4とを、実験結果に基づいて説明する。
【0068】
(1)熱可塑性樹脂シート20
熱可塑性樹脂シート20として、330mm×330mm×板厚5mm(三菱レイヨン製、アクリルライトL(無色透明))の2枚のアクリルシートを準備した。
【0069】
(2)プレス金型40
図1に示される構造を有するアルミ製金型を準備した。プレス金型40には、真空引き可能な吸引口51を設けた。中空部21の形成数は1個である。金型プレス面は200mm×200mmとした。上下型42、43の各キャビティ41の内容積は、縦150mm×横150mm×深さ100mm、深さ方向の抜き勾配5度、隅アール5度の箱型構造とした。金型プレス面の周縁より内側25mmまでの全周・全面を加圧圧着できる金型を使用した。
【0070】
(3)ホルダ30
図7に示される構造を有するアルミ製の支持部32を、上下壁の間隔が30mm、50mm、100mmの3種類を準備した。支持部32には、SUS304製の外径φ6mmのガス送入パイプ52を設けた。ガス送入パイプ52は、金型プレス時に、キャビティ41端部壁面より突出し、上下型42、43がプレスされる面の水平位置となる場所に配置した。ガス送入パイプ52には、加圧された窒素ガスを金型プレスと同時に送入するためのバルブ53を設けた。
【0071】
実施例1〜6では、図7に示される押圧面37aに加熱部38を配置した構造を有する加熱可能な押さえプレート37を使用した。加熱部38を構成する発熱体として、シリコンラバーヒータを使用した。
【0072】
比較例1〜4では、実施例1〜6にて使用した押さえプレート37の加熱部38を、当該押さえプレート37と同材料に置き換えた押さえプレート37を使用した。
【0073】
押さえプレート37により固定された熱可塑性樹脂シート20の周縁部内側のサイズは、300mm×300mmである。
【0074】
(4)成形工程
2枚の熱可塑性樹脂シート20を押さえプレート37により支持部32に固定し、樹脂シート20の加熱軟化が完了した後、金型プレス時間を60秒、真空圧空タイミングをプレス完了直後として、真空圧空成形した。プレス金型40の温度は、上下型42、43とも85℃±5℃とした。実施例1〜6では、金型プレス時に押さえプレート37を加熱したが、比較例1〜4では、押さえプレート37を加熱しなかった。加圧ガスには、圧力0.5MPaの窒素ガスを使用した。
【0075】
(5)成形条件および評価結果
成形条件および評価結果を、下記の表1および表2に示す。成形条件として、支持部32の上下壁の間隔つまり相対する熱可塑性樹脂シート20の間隔、加熱軟化温度、および、押さえプレート37に設けた発熱体の温度を変化させた。なお、以下の説明では、支持部32の上下壁の間隔をホルダ間隔とも言う。
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】
【0078】
ホルダ間隔は、30mm〜100mmである。加熱軟化温度は、160℃〜200℃である。実施例1〜6では、押さえプレート37に設けた加熱部38の温度を120℃〜160℃とした。一方、比較例1〜4では、金型プレス時に押さえプレート37を加熱せず、プレス金型40により加圧される部位近傍の樹脂シート20を加熱しなかった。
【0079】
賦形性については、深絞りが良好で、隅アール=5度の転写性が良好なものを「良」と判定した。
【0080】
圧着性は、圧着部をハンマーで破壊し、熱可塑性樹脂シート20圧着界面での剥離が無いものを「良」と判定した。
【0081】
接触痕については、中空部21に熱可塑性樹脂シート20同士の接触痕や融着が無いものを「良」と判定した。
【0082】
表1および表2において、賦形性や圧着性が良好な場合および接触痕の無い場合は良好であるとして記号「○」で表示し、不良の場合は記号「×」で表示した。また、総合評価として、賦形性および圧着性が良好で、かつ、接触痕の無い成形体が得られた場合は、総合評価が良好であるとして記号「○」で表示し、不良の場合は記号「×」で表示した。
【0083】
実施例1〜6および比較例1〜4のそれぞれの成形条件および評価結果は次のとおりである。
【0084】
(実施例1)
実施例1では、ホルダ間隔が30mmの支持部32を使用し、アクリルシートの加熱軟化温度を160℃、加熱部38の温度を120℃に設定して成形した。中空成形体22の賦形性、圧着性および接触痕の評価結果を表1に示した。総合評価は良好であった。
【0085】
(実施例2)
実施例2では、ホルダ間隔が30mmの支持部32を使用し、アクリルシートの加熱軟化温度を160℃、加熱部38の温度を160℃に設定して成形した。総合評価は良好であった。
【0086】
(実施例3)
実施例3では、ホルダ間隔が50mmの支持部32を使用し、アクリルシートの加熱軟化温度を180℃、加熱部38の温度を120℃に設定して成形した。総合評価は良好であった。
【0087】
(実施例4)
実施例4では、ホルダ間隔が100mmの支持部32を使用し、アクリルシートの加熱軟化温度を180℃、加熱部38の温度を140℃に設定して成形した。総合評価は良好であった。
【0088】
(実施例5)
実施例5では、ホルダ間隔が100mmの支持部32を使用し、アクリルシートの加熱軟化温度を200℃、加熱部38の温度を120℃に設定して成形した。総合評価は良好であった。
【0089】
(実施例6)
実施例6では、ホルダ間隔が100mmの支持部32を使用し、アクリルシートの加熱軟化温度を200℃、加熱部38の温度を160℃に設定して成形した。総合評価は良好であった。
【0090】
(比較例1)
比較例1では、ホルダ間隔が30mmの支持部32を使用し、アクリルシートの加熱軟化温度を160℃に設定し、押さえプレート37を加熱することなく成形した。中空成形体22の賦形性、圧着性および接触痕の評価結果を表2に示した。この条件では、アクリルシートの加圧圧着部の圧着が不十分となり、転写性良好な成形品が得られなかった。
【0091】
(比較例2)
比較例2では、ホルダ間隔が30mmの支持部32を使用し、アクリルシートの加熱軟化温度を180℃に設定し、押さえプレート37を加熱することなく成形した。この条件では、賦形性、圧着性は良好であったが、加熱軟化時に支持部32に固定された2枚のアクリルシートが接触・融着し、良好な成形品が得られなかった。
【0092】
(比較例3)
比較例3では、ホルダ間隔が100mmの支持部32を使用し、アクリルシートの加熱軟化温度を180℃に設定し、押さえプレート37を加熱することなく成形した。この条件では、アクリルシートの加圧圧着部の全面が圧着されず、圧空圧抜けが発生してしまい、賦形性良好な成形品が得られなかった。
【0093】
(比較例4)
比較例4では、ホルダ間隔が100mmの支持部32を使用し、アクリルシートの加熱軟化温度を200℃に設定し、押さえプレート37を加熱することなく成形した。この条件では、加圧圧着された場所の一部にエアー溜まりが発生してしまい、良好な成形品が得られなかった。
【0094】
(考察)
実施例によれば、大型ないし広大なシート状の熱可塑性樹脂シート20においても、熱可塑性樹脂シート20の加熱軟化時あるいは成形時に垂れ下がりによる接触・融着を生じない必要な範囲にホルダ30間隔を離面し、内部に中空部21を有する中空成形体22の成形が可能となり、内部にインサート物がなく、接合部強度の高い、軽量かつ高剛性・高強度を発現できる優れた樹脂成形品の製造が飛躍的に改善されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る中空体成形装置を示す断面図である。
【図2】 中空体成形装置のホルダを、一対の熱可塑性樹脂シートを加熱軟化させる加熱装置とともに示す断面図である。
【図3】 図1の3−3線に沿う断面図である。
【図4】 図4(A)は、加圧圧着工程の途中の状態を示す断面図、図4(B)は、加圧圧着工程が完了し、さらに賦形工程が完了した状態を示す断面図である。
【図5】 図5(A)は、トリミング工程の途中の状態を示す断面図、図5(B)は、製造された中空成形体を示す断面図である。
【図6】 図6(A)(B)は、プレス過程において、プレス金型により加圧される部位近傍の樹脂シートの温度変化を示す図、図6(C)は、測温箇所を示す図である。
【図7】 図7(A)は、改変例におけるホルダを示す断面図、図7(B)は、押さえプレートを示す平面図である。
【符号の説明】
10…中空体成形装置
20…熱可塑性樹脂シート
21…中空部
22…中空成形体
30…ホルダ
31…閉鎖空間
32…支持部
33、37…押さえプレート(押さえ部)
34、38…加熱部
40…プレス金型(金型)
41…キャビティ
42、43…上下型
50…賦形手段
51…吸引口(賦形手段(真空成形または真空圧空成形を行うための部材))
52…ガス送入パイプ(賦形手段(圧空成形または真空圧空成形を行うための部材))
60…加熱装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、一対の熱可塑性の樹脂シートを閉鎖空間を形成するように空間を隔てて配置して中空成形体に成形する中空体成形装置および中空体成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば自動車に用いられる部品には、軽量であり、かつ、高剛性・高強度であることが要求され、当該部品の材料に樹脂材料を適用する場合においても、同じことが要求される。かかる要求に応えるために、内部に中空部を有する中空成形体の開発が行われている。中空成形体から樹脂製部品を構成することにより、部品の軽量化を図りつつ、剛性ないし強度を向上させることができる。
【0003】
一対の熱可塑性の樹脂シートから中空成形体を成形する技術として、従来、特開平6−114919号公報、特開平9−262899号公報に示されるものが知られている。
【0004】
前者の公報(特開平6−114919号公報)に示される技術では、熱可塑性樹脂シートを加熱ヒータによって加熱軟化させる工程は、初期加熱工程と逓減加熱工程とを含み、樹脂シートの成形適正温度に基づき、加熱ヒータの加熱温度を制御している。
【0005】
後者の公報(特開平9−262899号公報)に示される技術では、2枚の熱可塑性の樹脂シートの間に通気性耐熱支持部材を挿入し、2枚の樹脂シートが中空部において接触したり融着したりしないようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
中空成形体を一対の熱可塑性の樹脂シートから成形する場合、対面して一対となる2枚の熱可塑性樹脂シートを相互間が閉鎖空間となるように周縁部を固定し、この樹脂シートを予め加熱して軟化させた後に、2枚の樹脂シートの固定された周縁部の内側を、金型により挟み込んでいる。このため、目的とする成形品が大型であるために樹脂シート自体の面積や寸法が大きいときには、加熱軟化された熱可塑性樹脂シートが自重により垂れ下がり易くなる。両樹脂シートの融着などを防止するためには、両樹脂シート間の空間を広く設定しなければならない。この結果、2枚の樹脂シートの周縁部の内側に金型が接触してから、金型のプレスが完了するまでの加圧時間が長くなり、樹脂シートの加熱軟化温度からの温度低下が進んでしまい、両樹脂シートを圧着する接合部に、接合強度の不足が生じる虞がある。
【0007】
また、2枚の熱可塑性樹脂シート間に、両樹脂シートの融着などを防止する通気性耐熱支持部材などのインサート物を挿入した場合には、当該インサート物が中空成形体の内部に残存する。このため、樹脂シートに透明な熱可塑性樹脂材料を用いたときには、内部に残存するインサート物が透過して見えてしまうので、完全に透明な成形体を得ることができないという問題もある。
【0008】
本発明は、上記従来技術に伴なう課題を解決するためになされたものであり、一対の熱可塑性樹脂シート間の接合強度が高く、インサート物も存在しない中空成形体を成形し得る中空体成形装置および中空体成形方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記する手段により達成される。
【0010】
(1)一対の熱可塑性の樹脂シートを閉鎖空間を形成するように空間を隔てて配置して中空成形体に成形する中空体成形装置において、
加熱軟化させた前記一対の樹脂シートを金型により加圧圧着するときに、当該金型により加圧される部位近傍の樹脂シートを加熱する加熱部を有することを特徴とする中空体成形装置。
【0011】
(2)一対の熱可塑性の樹脂シートを中空成形体に成形する中空体成形装置において、
前記一対の樹脂シートのそれぞれを空間を隔てて固定して前記一対の樹脂シート相互間に閉鎖空間を形成するホルダと、
加熱軟化した前記一対の樹脂シートを加圧圧着する金型と、
前記一対の樹脂シートを前記金型内に形成されたキャビティの形状に賦形する賦形手段と、を備え、
前記ホルダは、
前記一対の樹脂シートのそれぞれの周縁部を支持する支持部と、
前記樹脂シートのそれぞれの周縁部を前記支持部に押圧する押さえ部と、
前記押さえ部に配置され前記金型により加圧される部位近傍の樹脂シートを加熱する加熱部と、を含んでいることを特徴とする中空体成形装置。
【0012】
(3)前記加熱部は、前記押さえ部の内部に設けられていることを特徴とする上記(2)記載の中空体成形装置。
【0013】
(4)前記加熱部は、前記押さえ部の前記樹脂シートと接する面に設けられていることを特徴とする上記(2)記載の中空体成形装置。
【0014】
(5)前記賦形手段は、真空成形、圧空成形または真空圧空成形を行うための部材を含んでいることを特徴とする上記(2)記載の中空体成形装置。
【0015】
(6)一対の熱可塑性の樹脂シートを閉鎖空間を形成するように空間を隔てて配置して中空成形体に成形する中空体成形方法において、
加熱軟化させた前記一対の樹脂シートを金型により加圧圧着するときに、当該金型により加圧される部位近傍の樹脂シートを加熱することを特徴とする中空体成形方法。
【0016】
(7)一対の熱可塑性の樹脂シートを中空成形体に成形する中空体成形方法において、
前記一対の樹脂シートのそれぞれを空間を隔ててホルダに固定し、前記一対の樹脂シート相互間に閉鎖空間を形成する工程と、
加熱軟化した前記一対の樹脂シートを金型により加圧圧着する加圧圧着工程と、
前記一対の樹脂シートを前記金型内に形成されたキャビティの形状に賦形する賦形工程と、を備え、
前記加圧圧着工程では、前記樹脂シートのそれぞれの周縁部を押圧する押さえ部に配置された加熱部により、前記金型により加圧される部位近傍の樹脂シートを加熱していることを特徴とする中空体成形方法。
【0017】
(8)前記加圧圧着工程では、前記押さえ部の少なくとも一部は、前記樹脂シートの軟化温度以上に加熱されていることを特徴とする上記(7)記載の中空体成形方法。
【0018】
(9)前記賦形工程は、真空成形法、圧空成形法または真空圧空成形法により行われることを特徴とする上記(7)記載の中空体成形方法。
【0019】
(10)前記樹脂シートは、有機充填材、無機充填剤または繊維強化材を配合した樹脂シートである上記(7)記載の中空体成形方法。
【0020】
【発明の効果】
本発明の中空体成形装置および中空体成形方法によれば、加熱軟化させた一対の樹脂シートを金型により加圧圧着するときに、当該金型により加圧される部位近傍の樹脂シートを加熱しているため、金型により加圧される部位近傍の樹脂シートの温度低下を遅延し、樹脂シート周縁部の延伸性を保って、樹脂シートの間隔を容易に狭圧することができる。このため、大型ないし広大な熱可塑性樹脂シートを使用するために一対の樹脂シートの間隔を広めに設定したときであっても、金型により加圧される部位近傍の樹脂シートの温度低下を遅延できることから、両樹脂シートを圧着する接合部に接合強度の不足が生じることはなく、賦形性を向上しつつ内部に中空部を有する中空成形体の成形が可能となる。さらに、中空体内部にインサート物が存在しないため、見栄えのよい透明な成形体を得ることができる。よって、一対の熱可塑性樹脂シート間の接合強度が高く、インサート物も存在しない中空成形体を成形し得る。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0022】
図1は、本発明に係る中空体成形装置10を示す断面図、図2は、中空体成形装置10のホルダ30を、一対の熱可塑性樹脂シート20を加熱軟化させる加熱装置60とともに示す断面図、図3は、図1の3−3線に沿う断面図である。
【0023】
本発明に係る中空体成形装置10は、一対の熱可塑性の樹脂シート20を、内部に中空部21を有する中空成形体22(図5(B)を参照)に成形するために用いられる。図1に示すように、中空体成形装置10は、一対の樹脂シート20のそれぞれを空間を隔てて固定して一対の樹脂シート20相互間に閉鎖空間31を形成するホルダ30と、加熱軟化した一対の樹脂シート20を加圧圧着するプレス金型40と、一対の樹脂シート20をプレス金型40内に形成されたキャビティ41の形状に賦形する賦形手段50と、を備えている。また、図2に示すように、中空体成形装置10は、ホルダ30に固定された一対の樹脂シート20を加熱して軟化させる加熱装置60を備えている。
【0024】
前記樹脂シート20の材料は、加熱時に軟化する熱可塑性樹脂であれば適用でき、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、アクリロニトリル・スチレン・ブタジエンブロック共重合体、ナイロンなどの一般的な熱可塑性樹脂や、エチレン・プロピレンブロック共重合体、スチレン・ブタジエンブロック共重合体などの熱可塑性エラストマー、あるいはこれらのポリマーアロイなどが挙げられる。本明細書における「熱可塑性樹脂」という文言は、これらのすべてを包含する概念である。
【0025】
また、樹脂シート20は、有機充填材、無機充填剤または繊維強化材を配合したものでもよい。具体的には、上述した熱可塑性樹脂中に、タルクやガラス繊維などの各種の充填材、あるいは、可視光線の波長(380〜770nm)よりもはるかに小さい数10nmオーダの微粒材料が配合されたナノコンポジット材料であってもよい。微粒材料としては、粘土、タルクあるいはシリカなどが挙げられる。さらに、顔料、滑材、帯電防止剤、酸化防止剤などの通常使用される各種の添加剤が配合された熱可塑性樹脂でもよい。
【0026】
前記ホルダ30は、図1および図2に示すように、2枚の熱可塑性樹脂シート20の間に空間を持たせて、樹脂シート20間が閉鎖空間31となるように当該樹脂シート20の周縁部を固定する構造を有する。すなわち、ホルダ30は、一対の熱可塑性樹脂シート20のそれぞれの周縁部を支持する支持部32と、樹脂シート20のそれぞれの周縁部を支持部32に押圧する押さえプレート33(押さえ部に相当する)と、を含んでいる。さらに、ホルダ30は、押さえプレート33に配置されプレス金型40により加圧される部位近傍の樹脂シート20を加熱する加熱部34を含んでいる。
【0027】
支持部32は、断面が矩形の箱形状を有し、上下壁のそれぞれに開口32aが形成されている。開口32aの内周縁には、樹脂シート20を保持するフランジ32bが形成されている。各開口32aが樹脂シート20により閉塞されると、支持部32内が密閉状態となり、一対の樹脂シート20相互間に閉鎖空間31が形成される。上下壁の間隔つまり相対する熱可塑性樹脂シート20の間隔は、加熱装置60により樹脂シート20を加熱軟化した際に当該樹脂シート20が垂れ下がっても、一対の樹脂シート20が相互に接触したり融着したりすることがない寸法に設定されている。
【0028】
支持部32の材料としては、樹脂シート20を加熱する過程で樹脂シート20の熱変形時に発生する応力に耐え得る材料であれば、特に限定されるものではない。例えば、鉄系、非鉄系金属あるいはセラミック系、熱硬化性樹脂材料が挙げられる。好ましくは、安価で加工の容易な鉄系、非鉄系金属材料である。
【0029】
押さえプレート33は、支持部32の上方側および下方側のそれぞれに、開口32a内周縁に沿って設けられている。押さえプレート33は、支持部32に対して接近離反移動自在に設けられ、樹脂シート20のそれぞれの周縁部を支持部32に対して押圧する。これにより、一対の樹脂シート20のそれぞれは、空間を隔ててホルダ30に固定される。
【0030】
押さえプレート33を支持部32に固定する手法としては、押さえプレート33および支持部32のうちの一方にガイド穴を樹脂シート20周縁部に沿って加工し、他方に前記ガイド穴に嵌まり込む針状突起物を突設し、ガイド穴に針状突起物を嵌め込んでプレートなどで狭圧するガイドピン締結法が挙げられる。このガイドピン締結法による樹脂シート20の固定が一般的であるが、その他に、油圧または空圧によるプレス締結法、ボルト締結法、押さえプレート33を押さえるプレートを蝶番を使用して狭圧するプレート狭圧締結法が挙げられる。
【0031】
後述するように、押さえプレート33の内部に加熱部34を配置してあるため、押さえプレート33の材料としては、熱伝導性が良好な材料が好ましく、かかる材料としては、例えば、アルミニウム、銅、真鍮材料などが挙げられる。
【0032】
本実施形態の加熱部34は、図3に示すように、押さえプレート33の内部に配置されている。加熱部34は、押さえプレート33の内部に埋め込まれた発熱体から構成され、当該発熱体は、樹脂シート20周縁部を当該樹脂シート20の軟化温度以上に加熱し、プレス金型40により加圧される部位近傍の樹脂シート20を加熱するのに必要な熱量を発する。発熱体としては、ニクロム線ヒータ、各種のシーズヒータ、セラミックヒータなどが挙げられる。
【0033】
前記プレス金型40は、図1に示すように、上型42と、当該上型42に対して相対的に接近離反移動自在な下型43とを有している。上下型42、43は、樹脂シート20の固定された周縁部の内側を挟み込む位置に設けられている。加熱軟化された一対の樹脂シート20は、上下型42、43が移動することにより、周縁部の内側が挟み込まれて加圧圧着される。上下型42、43の内面には、中空成形体22の外形形状に合致した内面形状を有するキャビティ41が形成されている。
【0034】
プレス金型40の型材料としては、鉄系、非鉄系金属あるいはセラミック材料、熱硬化性樹脂材料などが挙げられる。
【0035】
成形体を賦形可能な成形方法としては、真空成形法、圧空成形法、真空圧空成形法が挙げられる。
【0036】
真空成形法を行う装置は、一般に、成形体を賦形可能なキャビティが形成された金型を備え、この金型には、真空引きを行うための吸引口が設けられている。金型は、キャビティと樹脂シートとの間の空間が閉鎖空間となるように、樹脂シートを狭圧する構造を有している。真空成形法を行う場合、まず、加熱装置により、熱可塑性樹脂シートを熱変形温度以上に予め加熱する。この加熱された樹脂シートを金型により狭圧し、キャビティと樹脂シートとの間に閉鎖空間を形成する。そして、樹脂シートが熱変形温度以上にある間に、吸引口よりキャビティ内を負圧にして、樹脂シートを所定の形状に賦形する。
【0037】
圧空成形法は、上述した真空成形法とは実質的に反対の手法を用いた成形法であり、熱可塑性樹脂シート間にできる閉鎖空間に、外側から圧空を供給し、熱変形温度以上に加熱された熱可塑性樹脂シートをキャビティ内面に密着させて所定の形状に賦形する方法である。
【0038】
真空圧空成形法は、真空成形法と、圧空成形法とを併せ持った成形方法である。
【0039】
図示する実施形態では、これらの成形方法のうち真空圧空成形法を採用している。前記賦形手段50は、真空圧空成形を行うための部材、すなわち、真空引きを行うための吸引口51と、一対の樹脂シート20間の閉鎖空間31に加圧ガスを送入するガス送入パイプ52と、を含んでいる。
【0040】
吸引口51は、図1に示すように、上下型42、43のキャビティ41面に加工されている。吸引口51の形状は中空成形体22の表面に転写されることから、中空成形体22のコーナ部に対応した位置に吸引口51を形成するのが好ましい。吸引口51の数は、特に限定されるものではなく、適宜の数を形成できる。吸引口51の穴径は、1mm以下が好ましい。
【0041】
ガス送入パイプ52は、図1および図2に示すように、支持部32を貫通して設けられている。ガス送入パイプ52は、上型42と下型43とがプレスされる面の水平位置となる所望の場所に配置されている。ガス送入パイプ52の先端は、金型プレス時に閉鎖空間31に連通する位置まで延伸している。
【0042】
ガス送入パイプ52の途上には、加圧ガスの供給または供給停止を制御するバルブ53が設けられている。バルブ53は、通常は閉じられており、金型プレスの開始と同時または金型プレスが完了したのと同時に、加圧ガスを送入するために開かれる。また、ガス送入パイプ52には、樹脂シート20間の空間を閉鎖空間31または開放空間とするための図示しないオンオフ機構が設けられている。このオンオフ機構は、一対の樹脂シート20をプレス金型40により加圧圧着して加圧ガスの送入が完了するまでの間は、樹脂シート20間の空間を閉鎖空間31あるいは加圧状態とする一方、中空成形体22を取り出す直前には、中空部21内の圧力を大気開放する機構であることが好ましい。加圧ガスは、その注入時間、注入圧力、注入開始時期などが制御されている。
【0043】
ガス送入パイプ52の材料としては、鉄系、非鉄系金属あるいはセラミック系、樹脂系材料などを使用できる。
【0044】
使用されるガスには、一般的なガスが使用され、かかるガスとしては空気、窒素、炭酸ガスなどが代表的なものとして例示される。好ましくは、窒素ガスである。また、使用する加圧ガスの下限値は、それぞれの成形条件、樹脂種によっても異なるが、1MPa以上の高圧ガスであってもよいし、1MPa未満の低圧ガスであってもよい。好ましくは、1MPa未満の低圧ガスが取り扱い上便宜である。
【0045】
真空圧空成形時には、上下型42、43による樹脂シート20のプレスが完了した直後にバルブ53が開かれ、加圧ガスが、ガス送入パイプ52を通って樹脂シート20間の閉鎖空間31に供給される。これと同時に、吸引口51より真空引きされ、樹脂シート20のキャビティ41内壁面への賦形が促進される。
【0046】
前記加熱装置60は、熱可塑性樹脂シート20を軟化温度以上に加熱し得る限度において、種々の方式を採用できる。例えば、熱風加熱方法、最大エネルギー波長が4μm近傍にある遠赤外線ヒータによる加熱方法、最大エネルギー波長が1μm〜3μm近傍にある短波長あるいは中波長ヒータによる間接加熱方法が挙げられる。ヒータの出力波長と樹脂の吸収波長とがほぼ一致する遠赤外線ヒータによる加熱方法が一般的である。
【0047】
次に、上述した中空体成形装置10を使用して、一対の熱可塑性樹脂シート20を中空成形体22に成形する手順を説明する。
【0048】
図4(A)は、加圧圧着工程の途中の状態を示す断面図、図4(B)は、加圧圧着工程が完了し、さらに賦形工程が完了した状態を示す断面図、図5(A)は、トリミング工程の途中の状態を示す断面図、図5(B)は、製造された中空成形体22を示す断面図である。
【0049】
まず、図2に示すように、押さえプレート33により、一対の熱可塑性樹脂シート20のそれぞれの周縁部を支持部32に押圧する。これにより、一対の熱可塑性樹脂シート20のそれぞれが空間を隔ててホルダ30に固定され、樹脂シート20相互間に閉鎖空間31が形成される(閉鎖空間31の形成工程)。
【0050】
次いで、加熱装置60により、ホルダ30に固定された一対の熱可塑性樹脂シート20を加熱し、当該樹脂シート20を軟化させる(加熱軟化工程)。
【0051】
樹脂シート20が加熱軟化温度に到達した時点あるいは加熱軟化温度下で数分間保持された時点において、図4(A)に示すように、上下型42、43によるプレスが開始され、加熱軟化した一対の樹脂シート20を上下型42、43により加圧圧着する(加圧圧着工程)。ガス送入パイプ52が配置された水平位置まで上型42および下型43がプレスされる過程で、支持部32および一対の樹脂シート20により囲繞された閉鎖空間31が圧縮される。閉鎖空間31の空間体積が減少することから、各樹脂シート20が予張される。
【0052】
この加圧圧着工程では、押さえプレート33の内部に設けられた加熱部34により、押さえプレート33の少なくとも一部、すなわち押さえプレート33の内側周縁部が樹脂シート20の軟化温度以上に加熱されている。これにより、樹脂シート20周縁部は、当該樹脂シート20の軟化温度以上に加熱され、さらに、プレス金型40により加圧される部位近傍の樹脂シート20も加熱される。このため、押さえプレート33の内側周縁部に近接している樹脂シート20は、加熱軟化温度からの温度低下が遅延される。したがって、加圧圧着工程が開始してから完了するまでの間、押さえプレート33に接触している樹脂シート20周縁部の延伸性が保たれ、樹脂シート20の間隔が容易に狭圧される。この結果、両樹脂シート20を圧着する接合部に、接合強度の不足が生じる虞がなくなる。
【0053】
次いで、図4(B)に示すように、上下型42、43によるプレスが完了すると、加熱軟化された一対の樹脂シート20を、賦形手段50により真空圧空成形を行い、キャビティ41の形状に賦形する(賦形工程)。具体的には、上下型42、43によるプレスが完了した直後にバルブ53を開き、加圧ガスを、ガス送入パイプ52を介して、樹脂シート20間の閉鎖空間31に供給する。これと同時に、吸引口51より真空引きし、樹脂シート20のキャビティ41内壁面への賦形を促進する。
【0054】
成形体の冷却が完了した後、バルブ53を閉じ、ガス送入パイプ52からの加圧ガスの供給を停止する。オンオフ機構により、中空部21内の圧力を大気開放する。その後、図5(A)に示すように、ガス送入パイプ52を成形体から引き抜き、上下型42、43を型開きしてトリミングする(トリミング工程)。
【0055】
以上の一連の工程を経て、図5(B)に示すように、内部に中空部21を有する中空成形体22が得られる。
【0056】
図6(A)(B)は、プレス過程において、プレス金型40により加圧される部位近傍の樹脂シート20の温度変化を示す図である。図6(A)は、加熱軟化させた一対の樹脂シート20をプレス金型40により加圧圧着するときに、当該プレス金型40により加圧される部位近傍の樹脂シート20を加熱した本実施形態における経時温度変化を示す図である。図6(B)は、加熱軟化させた一対の樹脂シート20をプレス金型40により加圧圧着するときに、当該プレス金型40により加圧される部位近傍の樹脂シート20を加熱しない比較例における経時温度変化を示す図である。図6(C)は、測温箇所を示す図である。
【0057】
使用した熱可塑性樹脂シート20は、アクリルシート、330mm×330mm×板厚1〜5mm(三菱レイヨン製、アクリルライトL(無色透明))である。加熱装置60による加熱軟化温度を200℃とした。本実施形態における経時温度変化を示す図6(A)は、加熱部34の温度を160℃とした場合の結果を示している。
【0058】
図6(C)に示すように、押さえプレート33の内方に3個の測温素子36a、36b、36cを取り付け、熱可塑性樹脂シート20表面の温度を測定した。測温素子36a、36cにより、押さえプレート33の内側周縁部での樹脂シート20表面の温度を測定し、測温素子36bにより、押さえプレート33の中心部での樹脂シート20表面の温度を測定した。温度測定は、上述した成形体を得るための製造工程において、加熱軟化工程の完了後、上下型42、43によるプレス工程に移行した直後から行った。温度測定には、コンパクトサーモTVS2000MKII(日本アビオニクス社製)を使用した。
図6(A)(B)に示される熱可塑性樹脂シート20の経時温度変化から明らかなように、押さえプレート33を加熱しない比較例の場合には、押さえプレート33を加熱した本実施形態に比べて、熱可塑性樹脂シート20の周縁部内側の温度低下速度が急速であり、賦形性を悪化させる要因の一つであることが判明し、押さえプレート33を加熱することによって賦形性が向上したことを確認した。
【0059】
なお、比較例のように熱可塑性樹脂シートの周縁部内側の温度低下速度が急速な場合、温度低下を見込んで、加熱軟化工程で熱可塑性樹脂シートを加熱する温度を予め上昇させておき、金型プレスが完了するときまで2枚の熱可塑性樹脂シートが良好な接合強度を発現するようにすることも考えられる。しかしながら、熱可塑性樹脂シートの温度を必要以上に上昇させると、熱可塑性樹脂シートにボイドが発生したり、熱可塑性樹脂シートの分解ガスなどによるピンホール状の多数のブツが金型の圧着面に発生したりして、成形品の外観を大きく損ねるとい問題がある。
【0060】
以上説明したように、本実施形態の中空体成形装置10および中空体成形方法によれば、加熱軟化させた一対の樹脂シート20をプレス金型40により加圧圧着するときに、当該プレス金型40により加圧される部位近傍の樹脂シート20を加熱部34により加熱しているため、プレス金型40により加圧される部位近傍の樹脂シート20の温度低下を遅延し、樹脂シート20周縁部の延伸性を保って、樹脂シート20の間隔を容易に狭圧することができる。このため、大型ないし広大な熱可塑性樹脂シート20を使用するために一対の樹脂シート20の間隔を広めに設定したときであっても、プレス金型40により加圧される部位近傍の樹脂シート20の温度低下を遅延できることから、両樹脂シート20を圧着する接合部に接合強度の不足が生じることはなく、賦形性を向上しつつ内部に中空部21を有する中空成形体22の成形が可能となる。また、プレス金型40により加圧される部位近傍の樹脂シート20に対する加熱は温度低下を遅延するためになされるものであるため、成形に要する時間が長くなることもない。
【0061】
さらに、中空成形体22の内部にインサート物が存在しないため、見栄えのよい透明な成形体を得ることができる。
【0062】
よって、一対の熱可塑性樹脂シート20間の接合強度が高く、インサート物も存在せず、軽量かつ高剛性・高強度を発現できる樹脂成形品を短い製造工程で成形ないし製造することが可能となる。
【0063】
(改変例)
図7(A)は、改変例におけるホルダ30を示す断面図、図7(B)は、押さえプレート37を示す平面図である。
【0064】
上述した実施形態では、押さえプレート33の内部に加熱部34を配置した場合を示したが、本発明はこの場合に限定されるものではない。例えば、図7(A)(B)に示すように、押さえプレート37の樹脂シート20と接する面つまり押圧面37aに加熱部38を配置してもよい。加熱部38は、押さえプレート37の押圧面37aに設けられた発熱体から構成され、当該発熱体は、樹脂シート20周縁部を当該樹脂シート20の軟化温度以上に加熱し、プレス金型40により加圧される部位近傍の樹脂シート20を加熱するのに必要な熱量を発する。発熱体としては、ニクロム線ヒータ、樹脂シート埋め込みヒータ、各種のシーズヒータ、セラミックヒータなどが挙げられる。
【0065】
図7(A)に示される加熱構造を使用する場合には、押さえプレート37の材料としては、熱損失を低減するために熱伝導性が低い材料が好ましく、かかる材料としては、例えば、セラミック、熱硬化性樹脂などの耐熱性樹脂、ガラス系断熱材、断熱構造を持つラミネート材料などが挙げられる。
【0066】
また、賦形手段50として、真空圧空成形を行うための部材51、52を含む場合を示したが、本発明はこの場合に限定されるものではない。例えば、賦形手段50として真空成形を行うための部材、すなわち、真空引きを行うための吸引口51のみを金型40に設け、真空成形法により、成形体を賦形してもよい。また、賦形手段50として圧空成形を行うための部材、すなわち、一対の樹脂シート20間の閉鎖空間31に加圧ガスを送入するガス送入パイプ52のみを備え、圧空成形法により、成形体を賦形してもよい。
【0067】
【実施例】
以下、押さえプレート37を加熱した本発明の実施例1〜6と、押さえプレート37を加熱しない比較例1〜4とを、実験結果に基づいて説明する。
【0068】
(1)熱可塑性樹脂シート20
熱可塑性樹脂シート20として、330mm×330mm×板厚5mm(三菱レイヨン製、アクリルライトL(無色透明))の2枚のアクリルシートを準備した。
【0069】
(2)プレス金型40
図1に示される構造を有するアルミ製金型を準備した。プレス金型40には、真空引き可能な吸引口51を設けた。中空部21の形成数は1個である。金型プレス面は200mm×200mmとした。上下型42、43の各キャビティ41の内容積は、縦150mm×横150mm×深さ100mm、深さ方向の抜き勾配5度、隅アール5度の箱型構造とした。金型プレス面の周縁より内側25mmまでの全周・全面を加圧圧着できる金型を使用した。
【0070】
(3)ホルダ30
図7に示される構造を有するアルミ製の支持部32を、上下壁の間隔が30mm、50mm、100mmの3種類を準備した。支持部32には、SUS304製の外径φ6mmのガス送入パイプ52を設けた。ガス送入パイプ52は、金型プレス時に、キャビティ41端部壁面より突出し、上下型42、43がプレスされる面の水平位置となる場所に配置した。ガス送入パイプ52には、加圧された窒素ガスを金型プレスと同時に送入するためのバルブ53を設けた。
【0071】
実施例1〜6では、図7に示される押圧面37aに加熱部38を配置した構造を有する加熱可能な押さえプレート37を使用した。加熱部38を構成する発熱体として、シリコンラバーヒータを使用した。
【0072】
比較例1〜4では、実施例1〜6にて使用した押さえプレート37の加熱部38を、当該押さえプレート37と同材料に置き換えた押さえプレート37を使用した。
【0073】
押さえプレート37により固定された熱可塑性樹脂シート20の周縁部内側のサイズは、300mm×300mmである。
【0074】
(4)成形工程
2枚の熱可塑性樹脂シート20を押さえプレート37により支持部32に固定し、樹脂シート20の加熱軟化が完了した後、金型プレス時間を60秒、真空圧空タイミングをプレス完了直後として、真空圧空成形した。プレス金型40の温度は、上下型42、43とも85℃±5℃とした。実施例1〜6では、金型プレス時に押さえプレート37を加熱したが、比較例1〜4では、押さえプレート37を加熱しなかった。加圧ガスには、圧力0.5MPaの窒素ガスを使用した。
【0075】
(5)成形条件および評価結果
成形条件および評価結果を、下記の表1および表2に示す。成形条件として、支持部32の上下壁の間隔つまり相対する熱可塑性樹脂シート20の間隔、加熱軟化温度、および、押さえプレート37に設けた発熱体の温度を変化させた。なお、以下の説明では、支持部32の上下壁の間隔をホルダ間隔とも言う。
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】
【0078】
ホルダ間隔は、30mm〜100mmである。加熱軟化温度は、160℃〜200℃である。実施例1〜6では、押さえプレート37に設けた加熱部38の温度を120℃〜160℃とした。一方、比較例1〜4では、金型プレス時に押さえプレート37を加熱せず、プレス金型40により加圧される部位近傍の樹脂シート20を加熱しなかった。
【0079】
賦形性については、深絞りが良好で、隅アール=5度の転写性が良好なものを「良」と判定した。
【0080】
圧着性は、圧着部をハンマーで破壊し、熱可塑性樹脂シート20圧着界面での剥離が無いものを「良」と判定した。
【0081】
接触痕については、中空部21に熱可塑性樹脂シート20同士の接触痕や融着が無いものを「良」と判定した。
【0082】
表1および表2において、賦形性や圧着性が良好な場合および接触痕の無い場合は良好であるとして記号「○」で表示し、不良の場合は記号「×」で表示した。また、総合評価として、賦形性および圧着性が良好で、かつ、接触痕の無い成形体が得られた場合は、総合評価が良好であるとして記号「○」で表示し、不良の場合は記号「×」で表示した。
【0083】
実施例1〜6および比較例1〜4のそれぞれの成形条件および評価結果は次のとおりである。
【0084】
(実施例1)
実施例1では、ホルダ間隔が30mmの支持部32を使用し、アクリルシートの加熱軟化温度を160℃、加熱部38の温度を120℃に設定して成形した。中空成形体22の賦形性、圧着性および接触痕の評価結果を表1に示した。総合評価は良好であった。
【0085】
(実施例2)
実施例2では、ホルダ間隔が30mmの支持部32を使用し、アクリルシートの加熱軟化温度を160℃、加熱部38の温度を160℃に設定して成形した。総合評価は良好であった。
【0086】
(実施例3)
実施例3では、ホルダ間隔が50mmの支持部32を使用し、アクリルシートの加熱軟化温度を180℃、加熱部38の温度を120℃に設定して成形した。総合評価は良好であった。
【0087】
(実施例4)
実施例4では、ホルダ間隔が100mmの支持部32を使用し、アクリルシートの加熱軟化温度を180℃、加熱部38の温度を140℃に設定して成形した。総合評価は良好であった。
【0088】
(実施例5)
実施例5では、ホルダ間隔が100mmの支持部32を使用し、アクリルシートの加熱軟化温度を200℃、加熱部38の温度を120℃に設定して成形した。総合評価は良好であった。
【0089】
(実施例6)
実施例6では、ホルダ間隔が100mmの支持部32を使用し、アクリルシートの加熱軟化温度を200℃、加熱部38の温度を160℃に設定して成形した。総合評価は良好であった。
【0090】
(比較例1)
比較例1では、ホルダ間隔が30mmの支持部32を使用し、アクリルシートの加熱軟化温度を160℃に設定し、押さえプレート37を加熱することなく成形した。中空成形体22の賦形性、圧着性および接触痕の評価結果を表2に示した。この条件では、アクリルシートの加圧圧着部の圧着が不十分となり、転写性良好な成形品が得られなかった。
【0091】
(比較例2)
比較例2では、ホルダ間隔が30mmの支持部32を使用し、アクリルシートの加熱軟化温度を180℃に設定し、押さえプレート37を加熱することなく成形した。この条件では、賦形性、圧着性は良好であったが、加熱軟化時に支持部32に固定された2枚のアクリルシートが接触・融着し、良好な成形品が得られなかった。
【0092】
(比較例3)
比較例3では、ホルダ間隔が100mmの支持部32を使用し、アクリルシートの加熱軟化温度を180℃に設定し、押さえプレート37を加熱することなく成形した。この条件では、アクリルシートの加圧圧着部の全面が圧着されず、圧空圧抜けが発生してしまい、賦形性良好な成形品が得られなかった。
【0093】
(比較例4)
比較例4では、ホルダ間隔が100mmの支持部32を使用し、アクリルシートの加熱軟化温度を200℃に設定し、押さえプレート37を加熱することなく成形した。この条件では、加圧圧着された場所の一部にエアー溜まりが発生してしまい、良好な成形品が得られなかった。
【0094】
(考察)
実施例によれば、大型ないし広大なシート状の熱可塑性樹脂シート20においても、熱可塑性樹脂シート20の加熱軟化時あるいは成形時に垂れ下がりによる接触・融着を生じない必要な範囲にホルダ30間隔を離面し、内部に中空部21を有する中空成形体22の成形が可能となり、内部にインサート物がなく、接合部強度の高い、軽量かつ高剛性・高強度を発現できる優れた樹脂成形品の製造が飛躍的に改善されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る中空体成形装置を示す断面図である。
【図2】 中空体成形装置のホルダを、一対の熱可塑性樹脂シートを加熱軟化させる加熱装置とともに示す断面図である。
【図3】 図1の3−3線に沿う断面図である。
【図4】 図4(A)は、加圧圧着工程の途中の状態を示す断面図、図4(B)は、加圧圧着工程が完了し、さらに賦形工程が完了した状態を示す断面図である。
【図5】 図5(A)は、トリミング工程の途中の状態を示す断面図、図5(B)は、製造された中空成形体を示す断面図である。
【図6】 図6(A)(B)は、プレス過程において、プレス金型により加圧される部位近傍の樹脂シートの温度変化を示す図、図6(C)は、測温箇所を示す図である。
【図7】 図7(A)は、改変例におけるホルダを示す断面図、図7(B)は、押さえプレートを示す平面図である。
【符号の説明】
10…中空体成形装置
20…熱可塑性樹脂シート
21…中空部
22…中空成形体
30…ホルダ
31…閉鎖空間
32…支持部
33、37…押さえプレート(押さえ部)
34、38…加熱部
40…プレス金型(金型)
41…キャビティ
42、43…上下型
50…賦形手段
51…吸引口(賦形手段(真空成形または真空圧空成形を行うための部材))
52…ガス送入パイプ(賦形手段(圧空成形または真空圧空成形を行うための部材))
60…加熱装置
Claims (10)
- 一対の熱可塑性の樹脂シートを閉鎖空間を形成するように空間を隔てて配置して中空成形体に成形する中空体成形装置において、
加熱軟化させた前記一対の樹脂シートを金型により加圧圧着するときに、当該金型により加圧される部位近傍の樹脂シートを加熱する加熱部を有することを特徴とする中空体成形装置。 - 一対の熱可塑性の樹脂シートを中空成形体に成形する中空体成形装置において、
前記一対の樹脂シートのそれぞれを空間を隔てて固定して前記一対の樹脂シート相互間に閉鎖空間を形成するホルダと、
加熱軟化した前記一対の樹脂シートを加圧圧着する金型と、
前記一対の樹脂シートを前記金型内に形成されたキャビティの形状に賦形する賦形手段と、を備え、
前記ホルダは、
前記一対の樹脂シートのそれぞれの周縁部を支持する支持部と、
前記樹脂シートのそれぞれの周縁部を前記支持部に押圧する押さえ部と、
前記押さえ部に配置され前記金型により加圧される部位近傍の樹脂シートを加熱する加熱部と、を含んでいることを特徴とする中空体成形装置。 - 前記加熱部は、前記押さえ部の内部に設けられていることを特徴とする請求項2記載の中空体成形装置。
- 前記加熱部は、前記押さえ部の前記樹脂シートと接する面に設けられていることを特徴とする請求項2記載の中空体成形装置。
- 前記賦形手段は、真空成形、圧空成形または真空圧空成形を行うための部材を含んでいることを特徴とする請求項2記載の中空体成形装置。
- 一対の熱可塑性の樹脂シートを閉鎖空間を形成するように空間を隔てて配置して中空成形体に成形する中空体成形方法において、
加熱軟化させた前記一対の樹脂シートを金型により加圧圧着するときに、当該金型により加圧される部位近傍の樹脂シートを加熱することを特徴とする中空体成形方法。 - 一対の熱可塑性の樹脂シートを中空成形体に成形する中空体成形方法において、
前記一対の樹脂シートのそれぞれを空間を隔ててホルダに固定し、前記一対の樹脂シート相互間に閉鎖空間を形成する工程と、
加熱軟化した前記一対の樹脂シートを金型により加圧圧着する加圧圧着工程と、
前記一対の樹脂シートを前記金型内に形成されたキャビティの形状に賦形する賦形工程と、を備え、
前記加圧圧着工程では、前記樹脂シートのそれぞれの周縁部を押圧する押さえ部に配置された加熱部により、前記金型により加圧される部位近傍の樹脂シートを加熱していることを特徴とする中空体成形方法。 - 前記加圧圧着工程では、前記押さえ部の少なくとも一部は、前記樹脂シートの軟化温度以上に加熱されていることを特徴とする請求項7記載の中空体成形方法。
- 前記賦形工程は、真空成形法、圧空成形法または真空圧空成形法により行われることを特徴とする請求項7記載の中空体成形方法。
- 前記樹脂シートは、有機充填材、無機充填剤または繊維強化材を配合した樹脂シートである請求項7記載の中空体成形方法。
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