JP3760682B2 - 制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、温度調節器などの制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
温度調節器12は、例えば、図19に示されるように、プラスチックシート10をロール状の一対の加熱体11で矢符方向に挟圧搬送してシート端部10aを封止し、さらに、図示しない工程を経てプラスチック袋を製造する包装機械などにおいて、ヒータが内蔵された前記加熱体11の温度制御などに利用される。なお、図19においては、一方の加熱体11の温度制御のみ示されているが、他方の加熱体11も同様に温度制御される。
【0003】
このような包装機械において温度調節器12は、加熱体11の温度を温度センサ13で検出し、その検出温度が目標温度に一致するように予め制御しておくことで、プラスチックシート10が一対の加熱体11で挟圧搬送されると直ちにその熱でシート端部10aを熱圧着させて封止できるようにしている。
【0004】
このように、包装機械の運転を開始してプラスチックシート10の挟圧搬送を開始するまでは、加熱体11の温度が目標温度に一致していても、包装機械の運転を開始して加熱体11でプラスチックシート10を挟圧したときにプラスチックシート10に熱が奪われる結果、加熱体11の温度が目標温度以下に低下し、温度調節器12は、PID制御で、加熱体11の温度の低下をフィードバックして目標温度との偏差を求め、操作量を大きい側に変更して加熱体11の温度を上昇させることで、加熱体11の温度を目標温度に一致させるよう制御する。
【0005】
この包装機械の運転の開始による加熱体11の温度低下は外乱とされるものであって、かかる外乱は、その印加を予知できる外乱である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、外乱によって加熱体11の温度が低下し操作量が変更されるまでには遅れ時間が生じる。PID制御などのフィードバック型の制御方式は、加熱体11の温度が変化し始めてからでないと操作量が調整されないため、PID制御などの制御のパラメータをどのように調整したとしても、応答遅れは不可避であって、外乱によって加熱体11の温度、すなわち、制御量が乱れることになる。
【0007】
本発明は、上述の点に鑑みて為されたものであって、予知可能な外乱による制御量の乱れを可及的に低減することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明では、上述の目的を達成するために、次のように構成している。
【0009】
すなわち、本発明の制御装置は、印加を予知できる外乱に対応する外乱操作量を予測し、この予測した外乱操作量を、制御手段からの本来の操作量に対して外乱を打ち消すように加えるようにしている。
【0010】
本発明の制御装置によれば、外乱を打ち消すように外乱操作量を、制御手段からの操作量にフィードフォワード的に加えるので、印加を予知できる外乱による制御量の乱れを低減できることになる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面によって本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0012】
先ず、実施の形態の説明に先立って、本発明の参考となる参考例について説明する。
【0013】
(参考例1)
この参考例では、制御装置として、温度制御を行う温度調節器に適用して説明する。この温度調節器は、例えば、上述の図10に示される包装機械によるプラスチックバッグの製造における加熱体11の温度制御に用いられるものであり、図1は、そのブロック図である。
【0014】
同図において、1はPID制御手段、2は上述の加熱体である制御対象、3は包装機械の運転開始に伴って生じる印加の予知が可能な外乱要素を示す。
【0015】
4は温度調節器であって、この温度調節器4は、外乱に対応する外乱操作量、すなわち、外乱を操作量として把握したときの操作量を予測する外乱操作量予測手段5と、予測された外乱操作量を、外乱を打ち消すようにPID制御手段1からの操作量に加える外乱操作量印加手段6とを備えており、外乱操作量予測手段5には、包装機械からの運転の開始/停止信号が与えられる。
【0016】
外乱操作量予測手段5は、包装機械の運転の開始によって印加される外乱に対応した外乱操作量を予測するものであって、この実施の形態では、外乱が印加された制御状態における操作量および制御量に基づいて、外乱操作量を次のようにして予測するものである。
【0017】
ここで、図2に示されるように、制御対象2の検出温度である制御量をPV、PID制御手段1から出力される操作量をMV、包装機械の運転の開始によって印加される外乱をW、制御対象2の伝達関数をP(s)とすると、制御のブロック線図により、次式が成立する。
【0018】
PV=(MV+W)P(s)
したがって、W={PV/P(s)}−MV
となる。
【0019】
すなわち、外乱Wに対応する外乱操作量の予測値Wは、
W={PV/P(s)}−MV
として算出されることになる。
【0020】
ここで、{PV/P(s)}は、図3(a)に示されるPV波形を1/P(s)のフィルタに通した図3(b)に示される波形と同じである。このフィルタは、P(s)が一次遅れのローパスフィルタ特性なので、1/P(s)は一次進みのハイパスフィルタとなる。このフィルタ後の図3(b)の波形から図3(c)に示される操作量MVを差し引くことにより、図3(d)に示される外乱に対応する外乱操作量の予測波形が求まることになる。
【0021】
そこで、この参考例では、最初の運転時には、通常のPID制御のみを行って、外乱が印加された状態の制御量PVおよび操作量MVに基づいて、上述のように外乱操作量を演算予測し、次回の運転時から予測した外乱操作量を、外乱操作量印加手段6を介して外乱を打ち消すように、すなわち、図3(d)の符号を反転して外乱が印加されるタイミング、すなわち、運転開始のタイミングで印加するものである。
【0022】
次に、この参考例の動作を説明する。
【0023】
先ず、与えられた目標値に従ってPID制御手段1が操作量を決定し、これを制御対象2に与えることにより、その制御量を目標値と一致させる。制御対象2における制御量はフィードバックされ、目標値と制御量との偏差が算出され、PID制御手段1はその偏差をゼロにするような操作量を算出して制御対象2に与える。その結果、制御量が調整されて目標値に近づき、最終的には制御量が目標値と一致して偏差がゼロとなり、制御系が整定されることになる。すなわち、図10の包装機械における制御対象2である加熱体11の温度が目標値に制御されることになる。
【0024】
ここで、包装機械の最初の運転を開始し、プラスチックシート10の熱圧着を開始する。このときには、外乱操作量の予測が行われていないので、運転開始に伴う外乱要素3による外乱がPID制御手段1からの操作量に加えられることになる。すると、制御量が目標値から離れるようになり、偏差が増大し、この偏差をなくすように操作量が調整される。
【0025】
この外乱印加時における制御量と操作量とに基づいて、外乱操作量予測手段5は、上述のように外乱に対応する外乱操作量を演算予測する。
【0026】
そして、多数のプラスチックシート10を連続的に熱圧着した最初の運転が一旦、例えば、昼休みなどによって停止され、昼休み後の次回の運転開始時には、予測された外乱操作量を、外乱操作量印加手段6を介して符号を反転してPID制御手段1からの操作量に対してフィードフォワード的に加える。すなわち、本来の操作量に外乱打ち消しの操作量が加算されたものとなり、その印加のタイミングは、外乱が印加されるタイミングである包装機械の運転開始時である。
【0027】
これによって、制御対象2に加えられる総合的な操作量MVtotalは、MVtotal=MV−W+W=MVとなり、外乱が印加されないのと同じ操作量MVとなる。換言すれば、制御量の乱れの原因である外乱Wを、予測した外乱操作量Wによって過不足なく打ち消すことができる。
【0028】
その結果、制御量、すなわち、加熱体の温度は運転を開始したにも拘わらず、実質的に乱れを生じないで済み、応答遅れも実質的に生じない。
【0029】
なお、この参考例の変形例として、運転が開始される度に、あるいは、操作入力に応じて予測した外乱操作量を修正する、すなわち、上述の外乱操作量の予測演算を繰り返し行うようにしてもよい。この場合には、上述の外乱Wから予測した外乱操作量Wを差し引いたW−Wを新たに外乱として扱えばよい。
【0030】
このように外乱操作量の修正を繰り返すことにより、一層確実に外乱による制御量の乱れをなくすことができる。
【0031】
(参考例2)
上述の参考例1では、外乱が印加されている制御状態における制御量および操作量に基づいて、外乱に対応する外乱操作量を演算予測したけれども、この実施の形態では、外乱が印加されている制御状態における制御量に基づいて、外乱に対応する外乱操作量を予測するものであり、外乱操作量予測手段5の構成が相違するものである。
【0032】
図4(b)は、外乱を操作量として表したものであり、同図(a)は、この参考例で予測する外乱操作量の符号を反転した打ち消しのための外乱操作量を示しており、この参考例では、ステップ状の外乱操作量を、後述のようにして予測するものである。なお、図4において、tsは包装機械の運転開始、すなわち、外乱の印加開始の時点を示し、teは、例えば昼休みや就業時間の終了などによる運転停止の時点を示している。
【0033】
例えば、運転の開始に伴う外乱の印加によって、制御量が、図5に示されるように変化したときには、過渡温度と目標温度との最大偏差em、外乱が印加されてから最大偏差が生じるまでの時間T1、最大偏差が生じてから目標値に復帰までの時間T2などを計測し、これらの計測値に基づいて、図4(a)に示されるステップ状の外乱操作量の第1のステップの高さH1、その幅Wおよび第2のステップの高さH2を算出するものである。
【0034】
この算出式は、例えば実験的に定められる。
【0035】
したがって、この参考例では、上述の参考例と同様に、最初の運転時には、通常のPID制御を行って外乱が印加されたときの制御量の変動から上述のようにステップ状の外乱操作量を予測し、次回の運転時から予測した外乱操作量を、外乱を打ち消すように印加するのである。なお、このステップ状の打ち消しのための外乱操作量の印加は、図4に示されるように、運転の停止teに応答して停止させるのであるが、他の例として、運転の停止前の外乱の操作量が安定した適当な時点で外乱操作量の印加を停止するようにしてもよい。
【0036】
この参考例によれば、制御対象に加えられる総合的な操作量は、外乱がほぼ打ち消された操作量となり、制御量は、外乱の印加にもかかわらず実質的に乱れを生じないで済み、応答遅れも実質的に生じない。
【0037】
なお、この参考例の変形として、運転が開始される度あるいは操作入力に応じて、制御量の変動から外乱操作量を再び予測して最初の外乱操作量を修正し、より確実に外乱の影響をなくすようにしてもよい。
【0038】
また、この参考例では、外乱操作量をステップ状として予測したけれども、他の例として、図6(a)に示されるように外乱に対応した減衰曲線状あるいは図7(a)に示されるように外乱に対応した三角波状として予測してもよいし、さらに、他の形状として予測してもよい。
【0039】
さらに、この参考例では、外乱が印加されている制御状態における制御量の変動に基づいて、外乱操作量を予測したけれども、他の例として、外乱が印加されている状態で操作量を一定に保持したときの制御量の変動に基づいて、外乱操作量を予測するようにしてもよい。
【0040】
(参考例3)
この参考例は、上述の参考例2において、ステップ状の外乱操作量が予測された後に、その外乱操作量を、ユーザがその希望に応じて調整するものである。
【0041】
すなわち、図8に示されるステップ状の外乱操作量の第1のステップの高さをH1、その幅をW、第2のステップの高さをH2としたときに、図9(a)の実線および破線に示される過渡温度の相違Aに応じて、第1のステップの高さH1を調整し、図9(b)の実線および破線に示される目標温度に復帰するまでの温度上昇の相違Bに応じて、第1のステップの幅Wを調整し、図9(c)の実線および破線に示される定常温度の相違Cに応じて、第2のステップの高さH2を調整するものである。
【0042】
この調整操作は、温度調節器4の操作部の操作によって調整モードを設定してユーザが希望に応じて調整するものである。
【0043】
これによって、予測された外乱操作量によって完全に外乱が打ち消せない場合であっても、ユーザの希望に応じた外乱操作量の修正によって外乱の影響をユーザの希望に応じて修正できることになる。
【0044】
(実施の形態1)
次に、本発明の実施の形態について説明する。
【0045】
上述の参考例2では、外乱が印加されている制御状態における制御量の変動に基づいて、外乱操作量を予測したけれども、この実施の形態1は、外乱が印加されている制御状態における操作量の変動に基づいて、外乱操作量を予測するものであり、上述の図1の外乱操作量予測手段5の構成が相違するものである。
【0046】
図10(a)は、外乱が印加されたときのPID制御における操作量MVの波形を示し、同図(b)は、そのときの制御量PVの波形を示しており、tsは包装機械の運転開始時、すなわち、外乱の印加開始の時点を示し、teは包装機械の運転停止の時点を示している。
【0047】
制御量PVが目標値と一致して制御系が整定している状態で、包装機械の運転を開始すると、外乱によって図10(b)に示されるように制御量PVが目標値から離れて偏差が増大し、図10(a)に示されるように操作量MVが偏差をなくすように調整されることになる。
【0048】
この実施の形態は、外乱の印加による図10(a)の操作量MVの増加分の時間積分、すなわち、面積が、外乱に対応する外乱操作量と密接な関係を有するという点に着目してなされたものであって、図10(a)の操作量MVの時間積分から次のようにして外乱操作量を予測するものである。
【0049】
すなわち、図11は、この実施の形態によって予測される外乱操作量を示しており、この外乱操作量は、予め想定された2段のステップ状の波形であり、このステップ状の波形を、操作量MVの時間積分から以下のようにして決定するものである。
【0050】
図10(a)に示される操作量MVの増加分の時間積分を、斜線が施された二つの領域S1,S2に分割する。この分割は、安定状態の操作量MVを外乱印加の開始時点ts側へ仮想線で示すように延長することによって区分されるものであり、インパルスの部分とステップの部分とに区分するものである。
【0051】
一方、図11のステップ状の外乱操作量も斜線が施された二つの領域S1’,S2’に分割する。この分割は、安定状態に対応する第2のステップの外乱操作量を、外乱印加開始時点ts側の第1のステップへ仮想線で示されるように延長することによって区分されるものであり、インパルスの部分とステップの部分とに区分するものである。
【0052】
そして、インパルスの部分に対応する第1の領域S1,S1’同士を対応させるとともに、ステップの部分に対応する第2の領域S2,S2’同士を対応させて外乱操作量を最終的に決定するのである。
【0053】
すなわち、操作量MVの第1の領域S1の面積と外乱操作量の第1の領域S1’の面積との間には、一定の関係式を導くことができ、また、操作量MVの第2の領域S2の面積と外乱操作量の第2の領域S2’の面積との間にも一定の関係式を導くことができる。この関係式は、例えば実験的に導かれる。
【0054】
操作量MVの第1,第2の領域S1,S2の面積が得られれば、上記関係式を利用して外乱操作量の第1,第2の領域S1’,S2’の面積が得られることになる。
【0055】
そして、外乱操作量は、包装機械の運転開始tsから運転停止teの期間に亘って加えられるものであるから第2の領域S2’の面積を前記期間で割ることにより、第2の領域S2’の高さH2、すなわち、安定状態に対応する外乱操作量の値が算出されることになり、また、第1の領域S1’の高さH1は、100%の操作量から第2の領域S2’の高さH2を差し引いたものであるから第1の領域S1’の面積を、第1の領域S1’の高さH1で割ることにより、第1の領域S1’の幅、すなわち100%の外乱操作量を加えるべき期間T1が算出されることになる。
【0056】
なお、この実施の形態では、第1のステップの外乱操作量を、100%としたけれども、100%でなくてもよいのは勿論である。
【0057】
このように外乱を印加した状態における操作量MVの増加分の時間積分を算出することにより、それに基づいて、ステップ状の外乱操作量を決定できることになる。
【0058】
そこで、この実施の形態では、最初の運転時には、通常のPID制御のみを行って、外乱が印加された状態の操作量MVに基づいて、上述のようにステップ状の外乱操作量を演算予測し、次回の運転時から予測した外乱操作量を、外乱操作量印加手段6を介して外乱を打ち消すように外乱が印加されるタイミングで印加するものである。
【0059】
ここでは、外乱操作量を予測するための運転を、外乱オートチューニング(AT)といい、この実施の形態の温度調節器には、この外乱オートチューニングを実行するための操作キーが設けられており、最初の運転時には、この操作キーの操作によって外乱オートチューニングが実行される。
【0060】
図12は、この実施の形態の外乱オートチューニングの動作説明に供するフローチャートであり、先ず、前記操作キーが操作されて外乱オートチューニングがONであるか否かを判断し(ステップn1)、オン状態であるときには、外乱入力信号がONしたか否か、すなわち、包装機械の運転が開始されたか否かを判断し(ステップn2)、開始されたときには、通常のPID制御を行いながら操作量MVの増加分の時間積分(面積)を計測し(ステップn3)、外乱入力信号がOFFしたか否か、すなわち、包装機械の運転が停止されたか否かを判断し(ステップn4)、停止されたときには、操作量MVの増加分の時間積分(面積)から上述のようにして外乱操作量を算出して記憶し(ステップn5)、次回の運転時には、この求められた外乱操作量を、外乱を打ち消すように印加する。
【0061】
この実施の形態の図11に示される外乱操作量の波形パターンでは、外乱の印加が開始された当初の第1のステップの外乱操作量と、安定した状態の第2のステップの外乱操作量との差が大きく、急激に外乱操作量が変化することになるので、波形が変動してしまう虞れがあり、そこで、本発明の他の実施の形態として、図13あるいは図14に示されるように、さらにステップS3を加えた波形の外乱操作量あるいは三角波S4を加えた波形の外乱操作量を用いてもよく、この場合に、加える波形部分の外乱操作量は、適宜選定すればよく、また、加えた波形部分の外乱操作量に対応する操作量分を、第1,第2の領域S1’,S2’から差し引くようにしてもよい。
【0062】
また、外乱操作量の波形パターンは、ステップ状に限らず、図15あるいは図16に示されるように、減衰波形S5,S6を合わせた波形パターンを用いてもよい。これらの波形パターンにおいても、上述の実施の形態と同様に、第1の領域S1’と第2の領域S2’とに区分して操作量の増加分の時間積分から外乱操作量を予測演算する。
【0063】
なお、領域の区分は、この実施の形態に限るものではなく、例えば、図17の操作量MVおよび図18の外乱操作量に示されるように区分してもよいし、さらに、細かく区分して対応させてもよく、要は、操作量の時間積分と外乱操作量とを対応づければよい。
【0064】
また、予め、上述の図11〜図16に示されるような何種類からの波形パターンを記憶しておき、制御対象の特性、すなわち、用途に応じて、いずれの波形パターンを用いるかをユーザが選択キーなどで選択できるようにしてもよい。
【0065】
(その他の実施の形態)
上述の実施の形態では、包装機械における加熱体の温度制御に適用して説明したけれども、本発明は、これに限るものではなく、外乱の印加が予知できる恒温層の扉の開閉やその他の温度制御に適用してもよいのは勿論である。
【0066】
上述の実施の形態では、運転開始による外乱の打ち消しに適用して説明したけれども、運転の停止によって印加される外乱の打ち消しに適用してもよい。この場合、上述の実施の形態1では、操作量の減少分の時間積分に基づいて外乱操作量を予測演算することになる。
【0067】
上述の各実施の形態では、PID制御手段からの操作量に外乱操作量を加えたけれども、PID制御手段のP制御、I制御あるいはD制御のいずれかの制御手段からの操作量に加えるようにしてもよいのは勿論である。
【0068】
また、本発明は、温度制御に限らず、圧力、流量などの他の制御に適用してもよい。
【0069】
上述の実施の形態では、PID制御に適用して説明したけれども、本発明は、PID制御に限らず、ファジィ制御、あるいは、PID制御とファジィ制御とを組み合わせたハイブリッド制御やその他の制御に適用してもよい。
【0070】
上述の実施の形態では、例えば、包装機械の運転の開始あるいは停止の外部からの信号をトリガとして外乱操作量を、制御手段からの操作量に加えたけれども、本発明の他の実施の形態として、例えば、制御量あるいは操作量の急激な変化を検出してそれを内部のトリガとして外乱を打ち消すように外乱操作量を加えてもよいし、外部のシーケンサなどの機器との通信によって、例えば、包装機械の運転が開始されたことを受信し、それを外部からのトリガとして外乱を打ち消すように外乱操作量を加えるようにしてもよい。
【0071】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、外乱に対応する外乱操作量を予測し、この外乱操作量を、制御手段からの操作量に対してフィードフォワード的に加えるように構成したので、外乱に起因した制御量の乱れを実質的に応答遅れなしになくすことができる。特に、運転開始/停止を繰り返して行うアプリケーションでは制御量の乱れが無くなることで生産効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例の温度調節器のブロック図である。
【図2】 動作説明に供する要部のブロック図である。
【図3】 外乱予測の処理手順を説明するための波形図である。
【図4】 他の参考例の外乱操作量の予測を説明するための波形図である。
【図5】 図4の参考例の動作説明に供する波形図である。
【図6】 参考例の外乱操作量の波形図である。
【図7】 他の参考例の外乱操作量の波形図である。
【図8】 さらに他の参考例の外乱操作量の波形図である。
【図9】 図8の参考例の動作説明に供する波形図である。
【図10】 本発明の実施の形態の操作量および制御量の波形図である。
【図11】 図10に対応する外乱操作量の波形図である。
【図12】 動作説明に供するフローチャートである。
【図13】 本発明の他の実施の形態の外乱操作量の波形パターンを示す図である。
【図14】 本発明のさらに他の実施の形態の外乱操作量の波形パターンを示す図である。
【図15】 本発明の他の実施の形態の外乱操作量の波形パターンを示す図である。
【図16】 本発明のさらに他の実施の形態の外乱操作量の波形パターンを示す図である。
【図17】 本発明の他の実施の形態の操作量の波形図である。
【図18】 図17に対応する外乱操作量の波形図である。
【図19】 温度調節器を用いたシステムの構成図である。
【符号の説明】
1 PID制御手段
2 制御対象
3 外乱要素
4 温度調節器
5 外乱操作量予測手段
6 外乱操作量印加手段
Claims (4)
- 目標値と制御量との偏差をなくすように制御対象に対して操作量を出力する制御手段と、印加を予知できる外乱に対応する外乱操作量を予測する外乱操作量予測手段と、予測された外乱操作量を、前記外乱を打ち消すように前記制御手段からの操作量に加える手段とを備え、
前記外乱操作量予測手段は、前記外乱が印加された制御状態における操作量の時間積分に基づいて、ステップ状、減衰曲線状および三角波状の部分の少なくともいずれか一つの部分を含む波形パターンの前記外乱操作量を予測することを特徴とする制御装置。 - 目標値と制御量との偏差をなくすように制御対象に対して操作量を出力する制御手段と、印加を予知できる外乱に対応する外乱操作量を予測する外乱操作量予測手段と、予測された外乱操作量を、前記外乱を打ち消すように前記制御手段からの操作量に加える手段とを備え、
前記外乱操作量予測手段は、予め想定された波形パターンと、前記外乱が印加された制御状態における操作量の時間積分とに基づいて前記外乱操作量を予測することを特徴とする制御装置。 - 複数の前記波形パターンが記憶された記憶部と、前記複数の波形パターンから外乱操作量の予測に用いる波形パターンを選択するために操作される操作部とを備える請求項2に記載の制御装置。
- 前記波形パターンは、ステップ状の部分を含み、外乱の印加による操作量の増加分あるいは減少分の時間積分から前記ステップ状の部分の高さおよび幅を決定する請求項2または3に記載の制御装置。
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