JP3760348B2 - 粉体篩い分け機における目詰まり防止方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、粉体篩い分け機のスクリーンの目詰まりを防止する方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
粉体篩い分け機では、篩面(スクリーン)の目詰まりが作業効率を著しく低下させる原因として大きな問題となっている。目詰まりの要因として、粉体同士及び粉体と篩面とが衝突や摩擦を繰り返して静電気が生じ、粉体同士及び粉体と篩面とが静電気によって付着することが考えられる。
【0003】
本発明者らは、小型の実験用振動篩い器を用い、篩い分け時の振動振幅が粉体帯電量に及ぼす影響について実験により調べた結果、振幅が増加すると、粒子運動も増加することから、粉体の帯電量も増加し、それに伴い篩い効率E(篩面を通過した粉体質量Mと振動篩い器に投入した粉体質量Maの割合M/Ma)が低下することを確認した。図1はその実験結果のグラフを示し、振幅Aを3段階に変えて篩い効率Eを調べた。
【0004】
従来、粉体篩い分け機のスクリーン(篩網)の目詰まりを防止する技術として、例えば次の公報に開示のものがある。
▲1▼ 特開平5−146757号
篩網を張設した振動器体の天井部中央から中空軸を垂下し、この中空軸の下端に、相対する一対の回転ノズルを水平に架設し、これら回転ノズルを篩網の上方で回転させながら、中空軸を通じて回転ノズルに圧縮空気を間欠的に送給して、回転ノズルから篩網へ向かって上方から間欠的に空気を噴射することにより、目詰まりを防止する。
【0005】
▲2▼ 特開2002−186908号公報
篩網の下方において、中空軸を中心に旋回する旋回ノズルを底板上に装着し、この旋回ノズルを旋回させながら、その横長溝状の吹出口から篩網に向かって空気を吹き上げることにより、吹き上げられた空気が篩網を下から上へ通過した後、Uターンして篩網を上から下へ抜けることで、目詰まりを防止する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これら▲1▼及び▲2▼によると次のような問題点がある。
▲1▼では、篩網へ向かって上方から空気を吹き付け、▲2▼では、篩網へ向かって下方から空気を吹き付けるだけであり、いずれも静電気に対する対策は何ら講じておらず、空気を吹き付けることで、却って粉体の衝突と摩擦が促進され、静電気の帯電が増加するので、目詰まりは若干改善されるものの、篩い効率の向上にはほとんど効果がない。この点も本発明者らは後述のように実験により確認している。
【0007】
▲1▼の場合には、空気を下向きに吹き付けるのでそれほどではないにしても、▲2▼の場合には、旋回ノズルの吹出口が横長溝状で上に向いており、篩網を通過して落下してくる粉体に逆らって下から撹乱する状態になるので、篩い分け精度の低下を招くとともに、粉体が静電気で旋回ノズルの外面に付着したり、吹出口から旋回ノズル内に入り込んだり、その軸受部に入り込むことは避けられない。
【0008】
本発明者らは、スクリーン(篩網)へ向かって空気を吹き付けるだけでは上記のような問題があることから、その対策のために、粉体の運動とその帯電量と篩い効率との関係について実験を行った結果、粉体の帯電量の大小が篩い効率に大きく影響していることを突き止め、篩面での除電を効率良く行うことで目詰まりが解消され、篩い効率を著しく向上させることができるとともに、粉体の帯電による各種の弊害も解消できる本発明を案出するに至ったものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、粉体篩い分け機のスクリーンに向かい、その下側から除電器よりイオンを吹き付けて除電することを特徴とする。
【0010】
図2に本発明の作用の模式図を示す。この図は、粉体1が全体としてプラス極性に帯電していると仮定して、篩面(スクリーン)2に向かい、その下方から除電器3よりマイナスのイオン4を空気(上昇気流)5と共に吹き付けている状態である。篩面2上に達した粉体1は、篩目2aにおいてマイナスイオン4が付着することにより中和除電されるとともに、篩面2の振動により篩面2上で衝突と摩擦を繰り返すことによる帯電も抑制され、粉体1同士、及び粉体1と篩面2との間の静電気による吸着力が無くなり、篩目4を次から次に通過して落下していく。篩面2上に堆積した粉体1も、下から次々に除電されて下へ崩れ落ちるように篩目4を通過する。マイナスイオン4は、篩目2aを通過して落下する粉体1にも付着するので、後続して落下してくる粉体との間で静電気の斥力が生じ、上昇気流にて舞い上がって再び篩面2の上方へ逆流する動きを抑制される。
【0011】
このような作用により篩面2の目詰まりが効果的に解消され、篩い効率が向上する。
なお、本発明は、スクリーンへその下側からイオンを吹き付けることを要旨としており、除電器自体の設置位置をスクリーンの下側に限定するものではない。
【0012】
篩面2は振動しているので、その上に乗った粉体1は、篩面2の中央部から周辺部へと移動して遠心状に片寄る傾向になる。従って、目詰まりは、篩面2の中央部より周辺部に行くに従い起きやすい。
【0013】
そこで、イオンを、篩面であるスクリーンの下側周囲の複数箇所からスクリーンに向かって同時に吹き付ければ、篩面の目詰まりを平均に解消できる。
【0014】
粉体は、粉体篩い分け機内へ投入される以前の供給過程で既に帯電していることが多いので、粉体がスクリーン上に達する以前に粉体に予めイオンを吹き付ければ、粉体を予備除電、又はその帯電極性をプラス又はマイナスの一極性に予め一様化できるので、除電効果が向上し、篩い効率の一層の向上が図れる。
また、スクリーンをアースすることにより、篩面自体でも除電できる。
【0015】
上記のように、除電器自体の設置位置には限定はないが、その設置位置によっては、除電器内に粉体が入り込む懼れがある。
【0016】
そこで、除電器内にエアー等の気体を送って、その吹出口をパージしながらイオンを気体と共にスクリーンに向かって吹き付ければ、除電器内に粉体が入り込むのを防止しながら、効率よく除電できる。
【0017】
スクリーンの周囲の帯電極性と帯電量(帯電電圧や電界)を静電気センサで同時に測定しながら、除電器による除電量を実時間でフィードバック制御すれば、除電器からのイオンで粉体を逆に帯電させてしまう逆効果を回避できるとともに、所望の除電ができる。
【0018】
スクリーン通過後(篩い分け後)の粉体の電荷量を測定し、その電荷量に従い除電器による除電量をフィードバック制御すれば、粉体の残留電荷を無くしたり、所望の除電ができる。電荷量の測定は、例えばファラデーケージ等の電荷量センサにて電圧又は電流(誘電電流)として検出できる。
【0019】
静電気センサ内に粉体が入り込むと、測定誤差が生ずるので、静電気センサ内にエアー等の気体を送ってその検出部をパージしながら測定する。
【0020】
除電器の除電量の制御には、次のような態様がある。
直流型除電器の場合、除電電極へ直流高電圧を印加する直流高電圧回路にて制御する。
除電電極として正負それぞれの除電電極を用い、これらに直流高電圧を印加する直流高電圧回路の出力(電圧と電流の両方、又はいずれか一方)と極性を制御する。
交流型除電器の場合、除電電極へ交流高電圧を印加する交流高電圧回路にて制御する。
【0021】
除電器としては、除電電極を囲んで接地電極となるノズルを有し、該ノズルから気体と共にイオンを噴射する構造が良い。このような構造によると、除電電極自体は、プラス・マイナス両極性のイオンを発生する場合でも、粉体が例えばプラスの極性に帯電していると仮定すると、ノズルが接地電極となっているので、その周囲に存在するプラス極性の粉体のために、粉体と同極性のプラスイオンは除電器からの吹き出しを抑制される。又は、除電電極自体、プラスイオンの発生を抑制される。従って、除電器からは、プラス極性の粉体とは異極性となるマイナスイオンの方がより多く、又はマイナスイオンのみが吹き出されることとなり、粉体の除電が効果的に行われる。
【0022】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0023】
図3において、粉体篩い分け機10は、振動容器11内へその上部の原料供給口11aから粉体を供給される。振動容器11は、スプリング12で支承されてモータ13の回転により振動される。振動容器11内にはスクリーン(篩網)14が張設されており、原料供給口11aからの粉体1は投入口11bから投入されて、振動しているスクリーン14上へ落下し、このスクリーン14にてオーバーサイズとアンダーサイズとに篩い分けられ、それぞれの排出口15・16から排出される。
【0024】
このような粉体篩い分け機10において、スクリーン14の下側周囲の複数箇所からスクリーン14に向かってイオンをエアーと共に同時に吹き付けるため、振動容器11の胴部の複数箇所に除電器17が設置されている。これら除電器17は、イオンを含むエアーを、スクリーン14に対しその外周下方から中央へ向かうように斜め上向きに噴射する。スクリーン14は電気的にアースされている。そのアースはスクリーン14自体を直接アースしてもよいが、スクリーン14と振動容器11とが電気的に導通している場合には、振動容器11をアースすることで、スクリーン14もアースできる。
【0025】
除電器17は、その除電電極での放電が粉体への着火源とならないようにするとともに、除電電極への粉体の付着を防止するため、内部にエアー(圧縮空気)を送入されて、その吹出口をパージしながらイオンと共にエアーを噴射するエアー噴射型となっている。なお、空気に代えて例えば窒素ガスを用いれば、着火防止の面でより効果的である。
【0026】
除電器17の一例を図4に示す。同図において、絶縁材による電極ホルダ20の先端に針状の除電電極21が植設され、その周囲は、電極ホルダ20の先端部に被せた金属製キャップであるノズル22にて覆われている。このノズル22が除電電極21に対する接地電極となる。除電電極21は、放電電流制限用抵抗23及びケーブル24を介して高電圧発生回路18に接続され、この高電圧発生回路18からの直流又は交流の高電圧を印加されることにより、除電電極21と接地されたノズル22との間でコロナ放電が生ずる。ノズル22の円錐形先端部の中央には吹出口25が設けられ、また電極ホルダ20の後端部に被せた絶縁材の後端キャップ26には、エアー入口27が設けられている。このエアー入口27は、後端キャップ26により形成されるエアーチャンバ28及び電極ホルダ20に設けられたエアー通路29を通じてノズル22内と連通しており、エアー入口27より送入されたエアーは、除電電極21の周りを通ってこれをエアーパージしながらイオンと共に吹出口25から噴射される。
【0027】
除電電極21は、高電圧発生回路18からの印加電圧が交流の場合には単極でよい。また、直流の場合には、正負それぞれの除電電極を用意して、正負別々に制御するのが好ましいが、粉体の帯電極性が正負いずれかに片寄っている場合には、単極としても構わない。
【0028】
図3において、スクリーン14は振動しているので、その上に乗った粉体は、スクリーン14の中央部から周辺部へと移動して遠心状に片寄る傾向になるが、除電器17は、スクリーン14の下側周囲の複数箇所から、イオンを含むエアーを、スクリーン14に対しその外周下方から中央へ向かうように斜め上向きに吹き付けるので、篩面に当たるイオン量は、その中央部よりも周辺部が多く、従って篩面の目詰まりは平均に防止される。スクリーン14はアースされているので、粉体1の除電はスクリーン14自体でも行われる。
【0029】
粉体が例えばプラスの極性に帯電していると仮定すると、ノズル22が接地電極となっているので、その周囲に存在するプラス極性の粉体のために、粉体と同極性のプラスイオンは除電器17からの吹き出しを抑制される。又は、除電電極21自体、プラスイオンの発生を抑制される。従って、除電電極21自体は、プラス・マイナス両極性のイオンを発生する場合でも、除電器17からは、プラス極性の粉体とは異極性となるマイナスイオンの方がより多く、又はマイナスイオンのみが吹き出されるので、粉体の除電が効果的に行われ、篩い効率が向上する。
【0030】
なお、個々に分離した図4に示すような除電器17を、スクリーン14の周囲の複数箇所に設置するのに代えて、除電器本体を振動容器11の全周にわたるリング状とし、そのリング状本体内に、除電電極を一定の間隔で配置し、各除電電極毎に吹出口を設けるとともに、共通の接地電極を設けた1個の除電器を用いてもよい。
【0031】
粉体1は、投入口11bから投入される以前に既に帯電していることが多いので、例えば原料供給口11aから投入口11bまでの途中に別に除電器(予備除電器)を設置して、粉体に予めイオンを吹き付ければ、粉体を予備除電、又はその帯電極性をプラス又はマイナスの一極性に予め一様化できるので、上記のような除電器17による除電効果が向上し、篩い効率の一層の向上が図れる。
【0032】
除電器17による粉体1への逆帯電を防止したり、除電精度をより向上させたり、所望の除電を行うためには、スクリーン14の周囲の帯電極性と帯電量を静電気センサで同時に測定しながら、除電器17による除電量を実時間でフィードバック制御することが好ましい。
【0033】
図5のその場合のブロック図を示す。静電気センサ8の出力は、検出処理回路8aにて帯電極性及び帯電量を表すデジタル信号に変換されてから、制御回路(コンピュータ)9に入力され、高電圧発生回路18が制御回路9にてPID(比例・積分・微分)演算により実時間でフィードバック制御される。すなわち、除電器17による除電量が、静電気センサ8による検出極性及び検出帯電量(電位又は静電界強度)に基づいて実時間でフィードバック制御される。
【0034】
静電気センサ8は、その検出を例えば振動容器11の胴部に設けられた検出窓(開口)を通じて行うことから、静電気センサ8の検出部に粉体が入り込まないように、その検出部に外部からエアーパージ用のエアー(圧縮空気)を送入する。そのエアーは、除電器17と同じエアー供給源から供給する。
【0035】
図6に、エアーパージ構造とした静電気センサ8の一具体例を示す。この静電気センサ8は、静電気を非接触検出するセンサ素子50を露出状態で内蔵したセンサケース51と、その前半部を収容する外ケース52と、この外ケース52の先端部外周に着脱可能に取り付けた外付けリング53とからなる。外ケース52は、センサケース51と互いの雌雄のねじ部を螺合させることにより、センサケース51の外周に固定され、外付けリング53は、止めねじ53aにより外ケース52の外周に固定されている。
【0036】
センサ素子50は、帯板状の回路基板54に実装され、センサケース51の後端から導出するセンサケーブル55に接続されている。
【0037】
センサケース51は、前胴部となるキャップ56と中間接続筒57と後胴部となる後筒58とからなり、センサ素子50を回路基板54と共に余裕をもって収容している。図7の拡大図に示すように、キャップ56の先端部56aは胴部56bよりも肉薄で、これら先端部56aと胴部56bとの角部56cは、胴部56bから先端部56aへと円弧を描きながら徐々に薄くなっている。キャップ56の先端部56aの中央には小さい円形の検出孔59が設けられ、センサ素子50の先端はこの検出孔59の至近位置に臨んでいる。
【0038】
外ケース52は、センサケース51及び中間接続筒57の全体と後筒58の一部分を覆うキャップ状で、センサケース51との間にエアー通路60を形成している。外ケース52の先端部52aは、胴部52bよりもはるかに肉薄(キャップ56の先端部56aよりは僅かに厚い)で、これら先端部52aと胴部52bとの角部52cの内面は、円弧を描きながらセンサケース51のキャップ56の角部56cの外面に接近している。外ケース52の先端部52aの中央には、センサケース51の検出孔59よりもはるかに大きい円形の中央排気口61が設けられ、これら検出孔59と中央排気口61とは僅かな隙間をもって対向している。
【0039】
センサケース51と外ケース52の間のエアー通路60は、センサケース51の胴部外面と外ケース52の胴部内面との間におけるエアー通路60aと、センサケース51の先端外面と外ケース52の先端内面との間におけるエアー通路60bとからなり、これらエアー通路60aと60bとは、センサケース51の先端角部と外ケース52の先端角部とが上記のようになっているので、この角部で円弧を描きながら前者のエアー通路60aから後者のエアー通路60bへと狭くなり、この薄い隙間であるエアー通路60bから中央排気口61へと開口している。中央排気口61の口縁には、排出されるエアーの乱流を防止するため、内側から外側へ向かって丸みを付けてある。また、エアー通路60aの中途には、センサケース51のキャップ56を断面台形に部分的に厚くすることにより、エアー通路60aの全周にわたる絞り部60cが形成されている。
【0040】
外ケース52の胴部52bの後端には、エアー通路60aへ通じる複数のエアー供給口62が円周方向に等間隔に設けられ、これらエアー供給口62に外部からエアー(圧縮空気)を供給することにより、エアー通路60a・60bを通じて中央排気口61からエアーが排気される。
【0041】
このとき、エアー通路60aの途中には全周に絞り部60cが形成されているので、複数のエアー供給口62から供給されたエアーはこの絞り部60cにより流れを安定化(整流)され、エアー通路60aと60bとの角部が円弧を描いて徐々に狭くなっていることにより、乱流を生ずることなく狭いエアー通路60bへスムーズに流れ、センサケース51の検出孔59の開口面でエアーカーテンを形成しながら、中央排気口61からの排出直後に一旦すぼまるようなエアー流れを形成して外部へ放流される。
【0042】
一方、外付けリング53には、その前面にリング状の凹部63が形成されている。そして、この凹部63をエアーチャンバとするため、外付けリング53の前面に固定したリング状のカバー64で凹部63を前側から覆い、このカバー64の内周縁部と外付けリング53の前面との間に僅かな隙間を形成して、この隙間を凹部63に通ずるリング状のエアーカーテン排気口65としている。このエアーカーテン排気口65から外ケース52の中央排気口61へ至る外ケース52の先端面は、中央排気口61へ向かって傾斜しながら僅かに前方へ突出している。
【0043】
外付けリング53には、凹部63へ通じる複数のエアー供給口66が円周方向に等間隔に設けられ、これらエアー供給口66に外部からエアー(圧縮空気)を供給することにより、凹部63を通じてエアーカーテン排気口65からエアーが排出される。
【0044】
このとき、エアーカーテン排気口65から排出されたエアーは、上記のように傾斜している外ケース52の先端面に沿って中央排気口61へ向かって流れ、外ケース52の先端面に沿ったエアーカーテンを形成する。
【0045】
このように構成された静電気センサ8は、振動容器11の検出窓68に前面を臨ませ、取付金具69で振動容器11に取り付けて使用される。その使用状態において、中央排気口61から排出されるエアーは、センサケース51の先端中央の検出孔59の前面でエアーカーテンを形成しながら、一旦すぼまるようなエアー流れを形成して外部(振動容器11の内部)へ放流されるので、振動容器11内の粉体が中央排気口61を通じて外ケース52内に入り込むことはなく、更に超えて検出口59からセンサケース51内に入り込むことはない。また、外ケース52の先端面に沿ってエアーカーテンが形成され、そのエアーの流れも中央に向かって流れるので、中央排気口61から上記のように排出されるエアーの流れを阻害することはなく、中央排気口61の外部周辺でも乱流は生じない。
【0046】
この静電気センサ8では、センサ素子50及び回路基板54とこれらを内蔵したセンサケース51とが検出部となり、その周囲がこれをエアーパージする構造となっている。
【0047】
図8に、センサ素子50及び回路基板54とこれらを内蔵したセンサケース51とによる検出部の一例の模式図を示す。この例では、センサ素子50として音叉型のセンサ素子を用いたもので、検出孔59を有するセンサケース51内に、一対の圧電素子70を付設した音叉型振動子71と検出電極72とプリアンプ73を内蔵している。この場合、検出孔59を通じて検出電極72へ向かう帯電物体からの電気力線が音叉型振動子71の振動によりチョッピングされ、プリアンプ73により交流電圧として外部出力される。音叉型振動子71を振動させる振動子駆動回路や、プリアンプ73の出力を処理する回路は、外部に設けられている。図9はそのブロック図である。なお、図5では、これらの外部回路を検出処理回路8aとしてまとめて示す。
【0048】
図9において、振動子駆動回路75は、一対の圧電素子70に給電して音叉型振動子71を振動させる。プリアンプ73の出力は、交流増幅回路76にて増幅された後、同期検波整流回路77にて整流され、そのとき極性判別回路78にて極性が判別されるとともに、同期検波整流回路77の出力が直流増幅回路79にて増幅されて、直流電圧として取り出される。
【0049】
従って、静電気センサ8は、センサ素子50の周囲を上記のようにエアーパージしながら、スクリーン14の周囲の粉体の帯電量を直流電圧として検出すると同時に、その極性も検出する。この場合、静電気センサ8から出力される直流電圧を、表面電位として検出することができるのは勿論であるが(この場合、静電気センサ8は表面電位センサとして機能する)、次のような手法を用いれば電界強度として検出することができる(この場合、静電気センサ8は静電界センサとして機能する)。
【0050】
いま、音叉型振動子71によるチョッピング周期をω、時間t=0において帯電物体から発生する電界をE0、振動により周期的に変化する電極面積をS1とすると、検出電極72と接地間の抵抗Rsに発生する電圧Vsは次式で表すことができる。
【0051】
Vs=RsIs=RsE0ε0ωS1cosωt
【0052】
従って、抵抗Rsに発生する電圧Vsを測定することにより、帯電物体の電界強度E0(kV/cm)を検出することができる。
【0053】
なお、静電気センサとしては、アメリシウム等の放射性物質で空気を電離させて静電界を極性と共に検出する電離型のものでもよい。
【0054】
図10に、除電器に正負それぞれの除電電極21A・21Bを用意して、正負それぞれの直流高電圧回路から正負の直流高電圧を別々に印加するとともに、正負それぞれについて目標値になるようにフィードバック制御する場合の回路例を示す。
【0055】
図10において、正負の高電圧発生回路12A・12Bは、いずれも発振回路30、昇圧トランス31、コンデンサとダイオードを多段に積み重ねた倍電圧整流回路32で構成され、その段数は正負同じになっている。これら正負の高電圧発生回路12A・12Bは、それぞれ放電電流制限用抵抗23A・23Bを介して正負の除電電極21A・21Bに接続される。
【0056】
正負それぞれの高電圧発生回路12A・12Bは、昇圧トランス31の二次側と倍電圧整流回路32との間で接地する放電電流検出用抵抗33にて放電電流を検出され、その検出された放電電流は、高周波分除去用コンデンサ34を介して電流制御回路35にフィードバックされる。この電流制御回路35は、フィードバックされた放電電流をコンピュータからの目標値と比較して一次電圧制御回路36を制御し、その一次電圧が制御されることにより、正負それぞれの高電圧発生回路12A・12Bにおいて出力される直流高電圧が、コンピュータ11によるPID制御にて実時間で制御される。正負いずれの高電圧発生回路12A・12Bを制御するか、又はその双方を制御するかは、静電気センサ8による検出極性に従って決定される。
【0057】
なお、図10では、放電電流を検出してフィードバック制御を行ったが、放電電圧を検出してフィードバック制御を行ってもよい。除電電極を単極として交流高電圧を印加する場合にも同様である。交流高電圧を印加する場合、正又は負の一方が除電に有効であるので、単極の除電電極で除電できるが、正負両方の除電精度をともに良くするには、交流高電圧発生回路に、静電気センサが検出した帯電量及び極性に応じた直流バイアスをかけて交流高電圧発生回路の出力を制御するとよい。
【0058】
また、上記の実施例では、スクリーン14を通過する前の粉体の帯電極性と帯電量を静電気センサ8で検出して除電器17をフィードバック制御したが、図12に示すように、スクリーン14を通過後の粉体の電荷量をファラデーケージ等の電荷量センサ19にて測定し、その電荷量にて除電器17をフィードバック制御してもよい。粉体の電荷量は電圧又は電流(誘電電流)から検出でき、更にその極性の検出も可能である。
【0059】
<実験例>
本発明者らは、小型の実験用振動篩い器を用い、次の▲1▼〜▲5▼の場合について篩い効率を調べた。
▲1▼ 振動篩い器のスクリーンに振動のみを与えた場合。
▲2▼ 振動するスクリーンの真下に図4に示した構造の除電器を設置し、その除電電極に電圧を印加しないでエアーを送って、スクリーンにエアーのみを吹き付けた場合。
▲3▼ 除電器にエアーを送りながら、除電電極に高電圧を印加し、その供給電流を−4μAとして、プラスに帯電している粉体とは異極性のマイナスイオンをエアーと共にスクリーンに吹き付けた場合。
▲4▼ 除電器にエアーを送りながら、除電電極に高電圧を印加し、その供給電流を−8μAとして、プラスに帯電している粉体とは異極性のマイナスイオンをエアーと共にスクリーンに吹き付けた場合。
▲5▼ 除電器にエアーを送りながら、除電電極に高電圧を印加し、その供給電流を−12μAとして、プラスに帯電している粉体とは異極性のマイナスイオンをエアーと共にスクリーンに吹き付けた場合。
【0060】
図11にその実験結果のグラフを示す。このグラフから、▲2▼のエアーのみの場合は、▲1▼の振動のみの場合とほとんど変わらず、篩い効率はほとんど改善されていないが、▲3▼〜▲5▼のようにイオンをエアーと共にスクリーンに吹き付ければ、篩い効率の改善効果が高く、しかも供給電流が高いほど良いことが分かる。
【0061】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、粉体篩い分け機のスクリーンに向かい、その下側から除電器よりイオンを吹き付けて除電するので、篩面の目詰まりが解消され、エアーのみを吹き付ける場合に比べ、篩い効率を著しく向上させることができるとともに、粉体の帯電による各種の弊害も解消できる。
【0062】
イオンを、篩面であるスクリーンの下側周囲の複数箇所からスクリーンに向かって同時に吹き付ければ、篩面の目詰まりを平均に解消できる。
【0063】
粉体がスクリーン上に達する以前に粉体に予めイオンを吹き付ければ、粉体を予備除電、又はその帯電極性をプラス又はマイナスの一極性に予め一様化できるので、除電効果が向上し、篩い効率の一層の向上が図れる。
【0064】
また、スクリーンをアースすることにより、篩面自体でも除電できる。
除電器内にエアー等の気体を送って、その吹出口をパージしながらイオンを気体と共にスクリーンに向かって吹き付ければ、除電器内に粉体が入り込むのを防止しながら、効率よく除電できる。
【0065】
スクリーンの周囲の帯電極性と帯電量を静電気センサで同時に測定しながら、除電器による除電量を実時間でフィードバック制御すれば、除電器からのイオンで粉体を逆に帯電させてしまう逆効果を回避できるとともに、所望の除電ができる。スクリーン通過後の粉体の電荷量を測定し、その電荷量に従い除電器による除電量をフィードバック制御しても、同様の効果がある。
【0066】
静電気センサ内にエアー等の気体を送ってその検出部をパージしながら測定すれば、精度良く測定できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】小型の実験用振動篩い器を用い、篩い分け時の振動振幅と篩い効率との関係を調べた実験結果のグラフである。
【図2】本発明の作用の模式図である。
【図3】本発明の一例の概要図である。
【図4】除電器の一例の簡略断面図である。
【図5】スクリーンの周囲の帯電極性と帯電量を静電気センサで同時に測定しながら、除電器による除電量を実時間でフィードバック制御する実施例のブロック図である。
【図6】静電気センサの一具体例を示す断面図である。
【図7】同上の部分拡大図である。
【図8】同静電気センサの検出部の模式図である。
【図9】同じくブロック図である。
【図10】正負それぞれの除電電極を用意して、正負それぞれの直流高電圧回路から正負の直流高電圧を別々に印加する場合の回路例である。
【図11】小型の実験用振動篩い器を用い、振動篩い器のスクリーンに振動のみを与えた場合、振動するスクリーンの真下に図4に示した構造の除電器を設置し、その除電電極に電圧を印加しないでエアーを送って、スクリーンにエアーのみを吹き付けた場合、除電器にエアーを送りながら、除電電極に高電圧を印加し、プラスに帯電している粉体とは異極性のマイナスイオンをエアーと共にスクリーンに吹き付けた場合について調べた実験結果のグラフである。
【図12】スクリーン通過後の粉体の電荷量を測定し、その電荷量に従い除電器による除電量をフィードバック制御する場合のブロック図である。
【符号の説明】
1 粉体
8 静電気センサ
9 制御回路
10 粉体篩い分け機
14 スクリーン
17 除電器
18 高電圧発生回路
19 電荷量センサ
21 除電電極
22 ノズル
25 吹出口
Claims (22)
- 粉体篩い分け機のスクリーンに向かい、その下側から除電器よりイオンを吹き付けて除電することを特徴とする、粉体篩い分け機における目詰まり防止方法。
- イオンを、スクリーンの下側周囲の複数箇所からスクリーンに向かって同時に吹き付けることを特徴とする請求項1に記載の、粉体篩い分け機における目詰まり防止方法。
- スクリーンをアースすることを特徴とする請求項1又は2に記載の、粉体篩い分け機における目詰まり防止方法。
- 除電器内にエアー等の気体を送って、その吹出口をパージしながらイオンを気体と共にスクリーンに向かって吹き付けることを特徴とする請求項1、2又3に記載の、粉体篩い分け機における目詰まり防止方法。
- スクリーンの周囲の帯電極性と帯電量を静電気センサで同時に測定しながら、除電器による除電量を実時間でフィードバック制御することを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の、粉体篩い分け機における目詰まり防止方法。
- 静電気センサ内にエアー等の気体を送ってその検出部をパージしながら測定することを特徴とする請求項5に記載の、粉体篩い分け機における目詰まり防止方法。
- スクリーン通過後の粉体の電荷量を測定し、その電荷量に従い除電器による除電量をフィードバック制御することを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の、粉体篩い分け機における目詰まり防止方法。
- 除電器の除電量を、除電電極へ直流高電圧を印加する直流高電圧回路にて制御することを特徴とする請求項5、6又は7に記載の、粉体篩い分け機における目詰まり防止方法。
- 除電電極を正負共通の単極性電極とし、これに直流高電圧を印加する直流高電圧回路の出力と極性を制御することを特徴とする請求項5、6又は7記載の、粉体篩い分け機における目詰まり防止方法。
- 除電電極として正負それぞれの除電電極を用い、これらに直流高電圧を印加する直流高電圧回路の出力と極性を制御することを特徴とする請求項5、6又は7に記載の、粉体篩い分け機における目詰まり防止方法。
- 除電器の除電量を、除電電極へ交流高電圧を印加する交流高電圧回路にて制御することを特徴とする請求項5、6又は7に記載の、粉体篩い分け機における目詰まり防止方法。
- 振動するスクリーン上に粉体を落下させて篩い分ける粉体篩い分け機において、前記スクリーンに向かい、その下側からイオンを吹き付けて除電する除電器を備えたことを特徴とする、粉体篩い分け機における目詰まり防止装置。
- 除電器は、スクリーンの下側周囲の複数箇所からスクリーンに向かってイオンを同時に吹き付けることを特徴とする請求項12に記載の、粉体篩い分け機における目詰まり防止装置。
- スクリーンがアースされていることを特徴とする請求項12又は13に記載の、粉体篩い分け機における目詰まり防止装置。
- 除電器内にエアー等の気体を送って、その吹出口をパージしながらイオンを気体と共にスクリーンに向かって吹き付けるパージ送風手段を備えたことを特徴とする請求項12、13又は14に記載の、粉体篩い分け機における目詰まり防止装置。
- 除電器は、除電電極を囲んで接地電極となるノズルを有し、該ノズルから気体と共にイオンを噴射することを特徴とする請求項15に記載の、粉体篩い分け機における目詰まり防止装置。
- スクリーンの周囲の帯電極性と帯電量を同時に測定する静電気センサと、その測定値に従い除電器による除電量を実時間でフィードバック制御するフィードバック制御系とを備えたことを特徴とする請求項12、13、14、15又は16に記載の、粉体篩い分け機における目詰まり防止装置。
- スクリーン通過後の粉体の電荷量を測定する電荷量センサと、その電荷量に従い除電器による除電量をフィードバック制御するフィードバック制御系とを備えたことを特徴とする請求項12、13、14、15又は16に記載の、粉体篩い分け機における目詰まり防止装置。
- フィードバック制御系が、除電電極へ直流高電圧を印加する直流高電圧発生回路と、その出力を制御する制御回路とを含むことを特徴とする請求項17又は18に記載の帯電物体の帯電量自動制御装置。
- 除電電極を正負共通の単極性電極とし、制御回路が、直流高電圧発生回路の出力と極性を制御することを特徴とする請求項19に記載の帯電物体の帯電量自動制御装置。
- 除電電極として正負それぞれの除電電極を用い、制御回路が、正負の直流高電圧を印加する直流高電圧発生回路の出力を制御することを特徴とする請求項19に記載の帯電物体の帯電量自動制御装置。
- フィードバック制御系が、除電電極へ交流高電圧を印加する交流高電圧発生回路と、その出力を制御する制御回路とを含むことを特徴とする請求項17又は18に記載の帯電物体の帯電量自動制御装置。
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