JP3760312B2 - トンネルの構築方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、岩盤などの自立性を有する地盤内に形成されるとともにセグメントライニングが覆工されたトンネルの構築方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、セグメントライニングは、通常、シールドトンネルのような軟弱地山や湧水性地山を対象としたトンネルに対して覆工される。このような地山は、それ自体では自立できないものであり、セグメントライニングを覆工して地山の崩落を防ぐとともに、セグメントライニングと地山との間に裏込め材を充填することにより、地山の変形を最小限に抑えるようにしている。
【0003】
また、山岳トンネルのような岩盤を対象とするトンネルにおいて、セグメントライニングを覆工する事例がある。セグメントライニングの適用により、施工中に軟弱地盤や湧水性地盤のような不良地山区間に遭遇した場合に、地山の崩落や湧水を防止するとともに、セグメントに推進反力を取りながら掘進を行うことを可能となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、シールドトンネルのような不良地山を対象としたトンネルを構築する場合、地山の緩みを最小限に抑制するために、裏込めコンクリートの注入をシールドマシンに追随して行う必要がある。この場合、シールドマシン内において注入作業が行われることとなるために、マシン内部での作業が錯綜し、著しく作業が煩雑なものとなる。また、これを避けるために、裏込め材の自動注入設備が採用されることもあるが、これには多額の設備費が必要となってしまう。
【0005】
一方、岩盤内にトンネルを構築する場合、良好な地山区間内においては地山が安定するため、掘進作業を行う位置から離れて裏込め注入作業を行うことによって、錯綜作業を回避できると考えられる。しかしながら、このような対策を採用した場合、セグメントライニングと地山との間に、充填されていない空隙が、トンネルの軸方向に亘って連続することとなるので、圧入した裏込め材が、圧入位置からトンネルの軸方向に逸散し、完全な裏込め充填が困難となる。
【0006】
本発明は、こうした事情に鑑みてなされたものであり、岩盤などの自立性を有する地盤内においてセメントライニングを覆工する際に、裏込め充填作業を、作業の錯綜や過大な設備費を伴うことなく、完全に行うことができるような技術を提供することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明においては以下の手段を採用した。
請求項1記載のトンネルの構築方法は、掘進手段を用いて地盤内に坑道を掘削するとともに、該坑道の内面を覆うようにセグメントを組み立ててセグメントライニングを形成し、さらに、その後方において、該セグメントライニングの外面と前記坑道の内面との間に裏込め材を注入する構成となっており、
前記セグメントライニングを形成する際には、前記セグメントに対して、前記セグメントライニングの外面と前記坑道の内面との間の空隙を前記坑道の掘進方向に複数の区画に分断するための型枠を設けておき、
前記裏込め材を注入する際には、前記各区画内に対してそれぞれ裏込め材を充填するトンネルの構築方法であって、
前記セグメントを組み立ててから、同位置に前記裏込め材の注入を行うまでの間に、少なくともトンネルのインバート部に位置する前記空隙に対して砂利を充填しておくことを特徴としている。
【0014】
このような構成により、裏込め材の注入までに、セグメントが掘削断面に対してずれることを防止できる。
【0015】
請求項2記載のトンネルの構築方法は、請求項1記載のトンネルの構築方法であって、
前記坑道を形成するには、前記掘進手段を保護するためのスキンプレートを備えた掘進機を用いるとともに、該スキンプレートのインバート部に、該スキンプレートの内外を連通するスリットを設けておき、
トンネルのインバート部に位置する前記空隙に対して砂利を充填する際には、前記スキンプレート内から前記スリットを通じて砂利を吹き込むことを特徴としている。
【0016】
このような構成により、砂利の充填作業をスキンプレート内において行うことができる。
【0017】
請求項3記載のトンネルの構築方法は、請求項1または2記載のトンネルの構築方法であって、
前記区画内に裏込め材を充填するには、該区画と前記セグメントライニングの内方とを連通する注入孔を、少なくとも前記掘進方向に複数設けておき、前記掘進方向と最も反対側に位置する注入孔から前記区画内に対して前記裏込め材の注入を開始し、前記裏込め材の注入を開始した注入孔に対して前記掘進方向に隣接する別の注入孔から前記裏込め材のリターンが確認された際には、前記裏込め材の注入対象の注入孔をリターンが確認された注入孔に対して盛り替えることを特徴としている。
【0018】
このような構成により、同一区画内において、裏込め材を、掘進方向に順次充填していくことができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施の形態を示す図であって、図中、符号1はトンネルを示す。このトンネル1は、岩盤G内を図5に示すようなトンネルボーリングマシン2(以下、TBMという。)により掘削して、坑道3を形成するとともに、この坑道3の内面3aを覆うようにセグメントライニング4を設けた構成となっている。
【0020】
ここで、図5に示すTBM2は、メインビーム6の先端部に岩盤を掘削可能なカッター装置7とその駆動機構8を装備するとともに、メインビーム6の基部に、地山をグリップするメイングリッパ9を前後方向に移動可能に装備したものであり、メイングリッパ9にメインビーム6を前方に押し出すためのスラストジャッキ10を設け、カッター装置7により岩盤を掘削してはメイングリッパ8を介して地山から反力をとり、スラストジャッキ10によりメインビーム6を前進させることで掘進を行う構成のものである。
【0021】
そして、このTBM2は、上記のような機能に加え、実質的にシールド掘削機としての機能をも併せ持つものとされ、上記のようなTBM2としての構成に加えて以下の構成が付加されている。
【0022】
すなわち、カッター装置7の後方にはメインフレームFおよびメインビーム6の先端部を覆うシールドシェル(スキンプレート)11が設けられ、そのシールドシェル11はバルクヘッド12により前後に区画されてその前部、つまりカッター装置7の後方に泥水チャンバ13が形成可能とされ、その泥水チャンバ13内において泥水を攪拌するアジテータ14が設けられている。また、泥水チャンバ13には泥水管15と排泥管16および図示していない泥水ポンプからなる送排泥機構17が設けられていて、泥水管15により泥水チャンバ13に泥水を加圧供給してその加圧泥水により切羽を安定に保持可能であり、かつ、排泥管16により泥水チャンバ13から泥水とともに掘削土を排出し得るものとされている。そして、シールドシェル11の後部には、セグメント18を組み立てるためのエレクタ19と、組み立てたセグメント18から反力をとって掘進を行うためのシールドジャッキ20が搭載されている。なお、シールドシェル11の後方にはセグメント18の組立作業を行うに必要なスペース(2.5m程度で良い)を確保しておく。
【0023】
以上の構成からなるTBM2は、硬質岩盤を掘削する際には通常のオープン工法により掘削を行い、軟弱地盤や湧水性地盤に遭遇したような場合には直ちに泥水加圧シールド工法によるシールドモードに切り替えてそのまま掘削を行い得るものとなっている。
【0024】
すなわち、山岳トンネル等の硬質岩盤を掘削する際には、図5(a)に示すように、従来のTBMと同様に通常のオープン工法による掘削を行う。つまりカッター装置7により岩盤を掘削して掘削土をベルトコンベアB(図5(a)参照)により排出するとともに、メイングリッパ9を地山に押圧してそのメイングリッパ9を介して地山から反力をとりつつ、スラストジャッキ10によりメインビーム6を前進させることで掘削を行う。
【0025】
そして、施工途中において切羽が自立し得ないような軟弱地盤や多量の湧水が想定される湧水性地盤に遭遇したような場合には、シールドモードに切り替えて泥水加圧シールド工法による掘削を行う。つまり、図5(b)に示すように、ベルトコンベアBを引き込んでバルクヘッド12を閉鎖したうえで、泥水チャンバ13に泥水を加圧供給してその加圧泥水により切羽を安定に保持するとともに、送排泥機構17による泥水循環により掘削土の排出を行う。
【0026】
また、このTBM2は、エレクタ19によりセグメント18を組み立てて、カッタ装置7により形成した坑道3(図1参照)の内部に、セグメントライニング4(図1参照)を施工することができるようになっている。そして、軟弱な地山においては、施工したセグメントライニング4から反力をとってシールドジャッキ20により掘進を行う。
【0027】
また、ここでは、地山が岩盤Gのように硬質なものである場合にも、セグメントライニング4を施すこととしている。すなわち、図1に示したものは、岩盤G内を掘削して形成した坑道3にセグメントライニング4を施した際の状況である。なお、岩盤G内においては、セグメント18の組み立て直後にセグメントライニング4の外面に裏込め充填材としてのセメントミルクCを充填するのでなく、セメントミルクCを注入する作業を、TBM2から後方に離間した位置で行うようにし、これにより裏込め材充填に伴う錯綜作業を避けるようにしている。このように、裏込め材の充填作業を行うことができるのは、硬質岩盤を掘削する際には、硬質岩盤は自立すると考えられるので、セグメント18の組み立て直後に裏込め材の注入を行ってセグメント18の位置を安定させる必要がないからである。
【0028】
また、図1に示すように、このトンネル1においては、TBM2の後方で裏込め充填作業を行う際に、裏込め材(セメントミルクC)が逸散しないように、トンネル1の延在方向に一定間隔をおいて妻型枠(型枠)21を設けるようにしている。この妻型枠21は、セグメントライニング14を構成する一部のセグメントリング22の外周に対して同心円状に設けられて、セグメントライニング14と坑道3の内面3aとの間の空隙23を、坑道3の延在方向(図中x1方向)に複数の区画24,24,…に分断するために用いられている。そして、このように形成された各区画24内にセメントミルク(裏込め材)Cが充填されるようになっている。
【0029】
なお、妻型枠21は、後述するように、パッカー25内にモルタル等の硬化性充填材(充填材)を充填することにより形成されるものである。
【0030】
次に、TBM2で岩盤G内に坑道3を形成した後、セグメントライニング4の外面と坑道3の内面3aとの間にセメントミルクCを注入するまでのトンネル1の構築手順を説明する。
【0031】
図6は、TBM2のシールドシェル11内においてセグメント18を組み立ててセグメントライニング4を形成する際の状況を示している。
セグメントライニング4を形成するには、TBM2のシールドシェル11内において、セグメント18を用いてセグメントリング22を組み立てるとともに、セグメントリング22に対して、数基ごとに、その外面22aにパッカー25を設けておく。ここで、パッカー25が設けられたセグメントリング22は、その外面22aのうち、パッカー25が配置される部分が所定寸法の深さで凹状に切り欠かれた切欠部26として形成されたものとされ、その切欠部26にパッカー25が配置されるようになっている。
【0032】
パッカー25をセグメントリング22の外面22aに配置するには、例えば図7に示すように、セグメント18に対して設けられた裏込め材注入用の注入孔28であって、トンネル1の断面中心に関して対称に位置する28A,28Bを利用する。すなわち、図7(a)の状態から、図7(b)のように、一方の注入孔28Aに対して、セグメントリング22の内方から外方に向けて紐29を挿通し、この紐29を、セグメントリング22の外面22aを経由させて、注入孔28Aと対称に位置する注入孔28Bから再びセグメントリング22の内方に引き込む。そして、図7(c)に示すように、紐29の一方の端部29aに対して折り畳んだパッカー25の一端25aを取り付け、紐29の他方の端部29bを引っ張ることにより、図7(d)に示すように、セグメントリング22の外面22aのうち、半周分にパッカー25を設置する。
【0033】
次に、図7(e)のように、パッカー25の他端25bにも新たに紐30の一端30aを取り付け、この紐30を注入孔28Aに対して挿通するとともに、セグメントリング22の外面22aを経由させて、注入孔28Bからセグメントリング22の内部に引き込むことにより、図7(f)のように、セグメントリング22の外面22aのうち残りの半周側にもパッカー25が巻回されるようにする。また、ここでは図示しないが、切欠部26をセグメントリング22の妻部(端面)外周側にL型に設ければ、セグメントライニング4を組み終えた後、妻部からパッカー25を配置することができる。
【0034】
次に、図8のように、このようにして形成したセグメントリング22を、TBM2のシールドジャッキ20を用いて既設のセグメントライニング4に対して取り付け、ボルト固定して接続する。そして、図9のように、TBM2を前進させるとともに、空隙23のうちインバート部に位置する部分に対して豆砂利31を充填する。この豆砂利31は、シールドシェル11のインバート部に対して、シールドシェル11の周方向に延在するように形成されたスリット32を通じて、シールドシェル11の内部側から供給される。
また、豆砂利31が充填される範囲は、トンネルの断面中心Oから見て一定角度θ(例えば90°)の範囲内とされる。
【0035】
さらに、図10のように、パッカー25内に硬化性充填材を充填することによりパッカー25を膨張させて妻型枠21を形成し、これによってセグメントリング22の外面22aと坑道3の内面3aとの間の空隙23が、トンネル1の延在方向(x1方向)に所定間隔(例えば、10mごと)をおいて分断されるようにする。そして、このような坑道3の掘進、TBM2の盛り替え、セグメント18の組み立ておよび建て込み、およびセグメントライニング4と坑道3との間の空隙23のインバート部に対する豆砂利31の充填作業をTBM2において行うとともに、TBM2から後方に離間した位置において、図示しない後続台車を利用して、セグメントリング22と坑道内面3aとの間の空隙23における側壁部および天端部に対しても豆砂利31を充填する。この場合、図11に示すように、セグメント18に設けられた裏込め材グラウト用の注入孔28に対して、豆砂利31の吹付用ホース34を挿入し、さらに、この吹付用ホース34を介して、豆砂利31をエアー圧送することによって、坑道内面3aとセグメントリング22との間を豆砂利31により充填していく。そして、そのさらに後方において、妻型枠21によって空隙23が分断されることにより形成された各区画24ごとに、豆砂利31の充填完了後、セメントミルクCを充填していく。
【0036】
これには、まず、図1に示すように、セメントミルクCの注入に先立ち、それぞれのセグメントリング22ごとに、注入孔28のうち天端に設けられた注入孔28Cに対して、パイプ35を挿通しておく。このパイプ35は、セメントミルクCの注入およびそのリターンの確認のために用いるものであり、空隙23の天端まで十分な充填ができるように、坑道3の天端面にまで立ち上げておくようにする。また、この場合、充填能力を考慮して、パイプ35の先端部を斜めに切断しておくようにし、さらに、このパイプ35の切断面35aをすべてトンネル1の掘進方向(図1中x2方向)と逆向きになるように配置しておく。これによって、各パイプ35の切断面35aは、そのパイプ35が挿通された注入孔28Cとx2方向に隣接する注入孔28Cに対して、反対側を向くように位置することとなる。
【0037】
次に、図1に示すように、区画24に対して、セグメントライニング4の側面部に設けられた注入孔28からセメントミルクCを注入していく。なお、図1から図4においては、説明のため、セグメントライニング4の外面と坑道内面3aとの間に充填された豆砂利31については、その記載を省略している。
【0038】
このようにセグメントライニング4の側面の注入孔28からセメントミルクCの注入を開始することにより、図1のように、空隙23のうち、坑道3の中央部より下方の部分が順次セメントミルクCにより充填される。
【0039】
そして、側面からの注入が終了したら、次に、天端部に設けられたパイプ35を通じて、セメントミルクCの空隙23に対する充填を行う。これには、図2に示すように、トンネルの掘進方向(x2方向)と最も反対側に位置する注入孔28CからセメントミルクCの注入を開始する。注入孔28CからセメントミルクCが注入されると、そのリターンは、まず、掘進方向(x2方向)に隣接する注入孔28Cから確認されることが予想されるので、ここでは、セメントミルクCの注入対象の注入孔28Cに掘進方向(x2方向)隣接する注入孔28Cからリターンが確認された場合に、セメントミルクCの注入対象の注入孔28Cをリターンが確認された注入孔28Cに対して順次盛り替えるようにする。なお、通常の泥水圧の裏込め注入圧力が泥水圧+0.2〜0.5kg/cm2であるのに対し、ここでは、岩盤G内を掘削しており、泥水圧が作用しないために、注入圧力を0.5kg/cm2とする。
【0040】
このように、セメントミルクCの注入および注入孔28Cのx2方向への盛り替えを順次行っていくことにより、図3に示すように、坑道3の中央部より上方の空隙23においては、セメントミルクCが矢印Aで示すように順次充填されていく。同一区画24内において、最も掘進方向(x2方向)に位置する注入孔28Cからリターンが確認されたら、そこでも注入を実施する。これにより、図4に示すように区画24内の全ての位置においてセメントミルクCが充填されることとなる。なお、ここでの注入圧力は2.0kg/cm2とし、これを約30分程度保持するようにする。
【0041】
このようにセメントミルクCの充填作業を行う場合、パイプ35が、その切断面35aがリターンを確認すべき注入孔28Cに対して常に逆側を向くように設置されることから、注入孔28CからセメントミルクCを充填する際に、セメントミルクCが、パイプ35の先端部から、すでにセメントミルクCが充填されている部分に向けて吐出されることとなる。したがって、注入されたセメントミルクCが隣接する注入孔28Cから直接排出されるようなことがなく、区画24内のうち、掘進方向(x2方向)と反対側の奥側から、セメントミルクCが順次詰まっていくことが期待される。
【0042】
そして、一つの区画24においてセメントミルクCの注入が完了したら、掘進方向(x2方向)に隣接する他の区画24においても、同様の手順によりセメントミルクCを充填していく。これにより、セグメントライニング4の裏込め充填作業を完了させ、トンネル1の構築を完了させることができる。
【0043】
以上述べたトンネル1およびその構築方法においては、セグメントライニング4の外面と坑道内面3aとの間の空隙23が、妻型枠21により、坑道3の延在方向に複数の区画24,24,…に分断され、各区画24にそれぞれセメントミルクCが充填されているために、掘進作業位置から離れた位置で、各区画ごとにセメントミルクCの充填作業を行うことができるとともに、空隙23が坑道3の延在方向(x1方向)に連続しないので、圧入したセメントミルクCが逸散することがなく、各区画24内において裏込め充填を完全に行うことができる。これにより、TBM2内での作業が錯綜することなく裏込め注入作業を行うことができ、作業性の低下や設備費の高騰を抑制することができる。さらに、完全な裏込充填を行うことができるため、施工品質の向上を図ることができる。
【0044】
また、妻型枠21が、パッカー25内に硬化性充填材を注入することにより形成されているために、セグメントリング22の建て込み時には、パッカー25を収縮させておき、セグメントリング22の建て込み終了後にパッカー25を膨張させて妻型枠21を形成することができる。したがって、セグメントリング22の建て込み時にパッカー25がシールドシェル11に接触しにくく、妻型枠21が設けられたセグメントリング22のTBM2内における建て込み作業を容易なものとすることができる。また、セグメントリング22の建て込み時における妻型枠21の破損の可能性を減少させることができる。
【0045】
また、セグメントリング22の外面のうちパッカー25の取付対象位置に対して切欠部26を設けておいたために、セグメントリング22を建て込む際に、パッカー25を切欠部26に収容しておくことができる。これにより、セグメントリング22の建て込み時に、パッカー25がシールドシェル11に接触する可能性をさらに低減することができ、パッカー25が離脱するなどの理由による施工不良の発生を防ぐことができる。
【0046】
また、このトンネル1の構築方法においては、セグメント18を組み立ててから、その位置にセメントミルクCを裏込め充填するまでの間に、インバート部の空隙23に対して豆砂利31を充填しておいたために、セメントミルクCの注入までに、セグメントライニング4が豆砂利31を介して坑道3の下面から支持されることとなり、セグメントライニング4が掘削断面に対してずれることを防止できる。したがって、セグメントライニング4を掘削断面に対して同心円状に設置することができ、セグメントライニング4の蛇行等を避けることができる。
【0047】
また、豆砂利31をインバート部の空隙23に充填するには、シールドシェル11のインバート部に、シールドシェル11を内外に連通するスリット32を設けておき、このスリット32を通じてTBM2の内部側から豆砂利31を吹き込むようにしたので、豆砂利31の充填に係る作業をシールドシェル11内において行うことができる。これにより、セグメントリング22を豆砂利31とともに設置する際に、地山直下で作業を行う必要が無く、安全性の高い施工を実現することができる。
【0048】
また、各区画24内にセメントミルクCを充填するには、セグメントライニング4の天端部に、各区画24とセグメントライニング4の内方とを連通する注入孔28Cを、掘進方向(x2方向)に複数設けておき、掘進方向(x2方向)と最も反対側に位置する注入孔28Cから区画24内に対するセメントミルクCの注入を開始し、掘進方向(x2方向)に隣接する別の注入孔28CからセメントミルクCのリターンが確認された際には、注入対象の注入孔28Cをリターンが確認された注入孔28Cに対して盛り替えるようにしたため、セメントミルクCを、掘進方向(x2方向)に順次充填していくことができ、同一区画24内において完全なセメントミルクCの充填が可能となる。また、掘進方向(x2方向)に順次充填作業を行うことができることとなるために、掘進作業の進行に追従して裏込め充填作業を行うことができ、作業効率がよい。
【0049】
また、セメントミルクCを注入するには、先端部をあらかじめ斜めに切断しておいたパイプ35を注入孔28Cに対して挿通しておき、このパイプ35を通じてセメントミルクCの注入を行うようにしたので、パイプ35の先端部が閉塞されることがなく、充填能力を確保することができる。
【0050】
そして、注入孔28Cに対してパイプ35を設置する際に、パイプ35の先端部の切断面35aが、注入孔28Cに対して掘進方向(x2方向)に隣接する注入孔28Cと反対側を向くように、パイプ35を配置したために、パイプ35の先端部から、すでに、セメントミルクCが充填されている部分に向けてセメントミルクCを吐出させることができ、注入されたセメントミルクCが隣接する注入孔28Cから直接排出されるようなことが無く、セメントミルクCが掘進方向(x2方向)と反対側から順次、区画24内に充填されることが期待できる。
【0051】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で他の構成を採用することが可能である。
例えば、パッカー25をセグメントリング22の外周に配置する手順は、図7に示したような手順に限らず、図12(a)に示すように、あらかじめセグメントリング22を構成するセグメント18の各ピースの外面にパッカー25を取り付けておいてもよい。妻型枠21を形成するには、このように取り付けたパッカー25を、(b),(c)に示すように順次膨張させ、(d)のような妻型枠21を形成するようにする。
【0052】
また、上記実施の形態のような裏込め充填作業の手順は、岩盤Gのように自立可能な良好な地山においては好適であるが、TBM2がグリッパ推進をすることができないような軟弱地盤等の不良地山では、組み立てたセグメントライニング4に推進反力を取りながら、掘進が行われることとなる。この場合、セグメントライニング4に偏心推力が作用すると、セグメントライニング4が破損したり、シールドジャッキ20を破壊する可能性もある。また、偏心によりシールドシェル11のテール部とセグメントライニング4とのクリアランスが無くなり、セグメント18が組み立て不能となる事態も想定される。したがって、この場合は、裏込め充填作業に関しては、シールド工法で用いられている即時注入方式を採用することとする。すなわち、妻型枠付きのセグメントリング22を毎基建て込み、さらに裏込め充填作業も各セグメントリング22ごとにTBM2の直後で行うことにより、セグメントライニング4の偏心などの問題を予防する。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係るトンネルの構築方法においては、セグメントライニングの外面と坑道内面との間の空隙が、型枠により、坑道の延在方向に複数の区画に分断され、各区画にそれぞれ裏込め材が充填されているために、掘進作業位置から離れた位置で、各区画ごとに裏込め材の充填作業を行うことができる。また、空隙が坑道の延在方向に連続しないので、圧入した裏込め材が逸散することなく、その区画内において裏込め充填を完全に行うことができる。これにより、TBM内での作業が錯綜することなく、注入作業を行うことができ、作業性の低下や設備費の高騰を抑制することができる。また、完全な裏込充填を行うことができるため、施工品質の向上を図ることができる。
【0056】
また、請求項1に係るトンネルの構築方法においては、セグメントを組み立ててから、その位置に裏込め材を裏込め充填するまでの間に、インバート部の空隙に対して砂利を充填しておいたために、裏込め材の注入までに、セグメントが砂利を介して坑道の下面から支持されることとなり、セグメントが掘削断面に対してずれることを防止できる。したがって、セグメントを掘削断面に対して同心円上に設置することができ、セグメントの蛇行等を避けることができる。
【0057】
請求項2に係るトンネルの構築方法においては、砂利をインバート部の空隙に充填するために、スキンプレートのインバート部に、スキンプレートを内外に連通するスリットを設けておき、このスリットを通じて砂利を吹き込むようにしたので、砂利の充填作業をスキンプレート内において行うことができる。これにより、セグメントを砂利とともに設置する際に地山直下で作業を行う必要が無く、安全性の高い施工を実現することができる。
【0058】
請求項3に係るトンネルの構築方法においては、各区画内に裏込め材を充填するには、各区画とセグメントライニングの内方とを連通する注入孔を、掘進方向に複数設けておき、掘進方向と最も反対側に位置する注入孔から前記区画内に対する前記裏込め材の注入を開始し、掘進方向に隣接する別の注入孔から前記裏込め材のリターンが確認された際には、注入対象の注入孔をリターンが確認された注入孔に対して盛り替えるようにしたため、裏込め材を、掘進方向に順次充填していくことができ、一区画内において完全な裏込め材の充填が可能となる。また、掘進方向に順次充填作業を行うことができることとなるために、掘進作業の進行に追従して裏込め充填作業を行うことができ、作業効率がよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態であるトンネルを構築する際の一工程を示すトンネルの側断面図である。
【図2】 図1の次工程を示すトンネルの側断面図である。
【図3】 図2の次工程を示すトンネルの側断面図である。
【図4】 図3の次工程を示すトンネルの側断面図である。
【図5】 図1から図4に示したトンネルを掘削するためのTBMの概略構成図であり、(a)はオープン型、(b)はシールド型を示す図である。
【図6】 図1から図4に示したトンネルのセグメントライニングを組み立てる際の一工程を示す図であって、(a)は、トンネルおよびTBMの側断面図(b)は、同、正断面図である。
【図7】 図6に示したセグメントライニングに対して取り付けるべきセグメントリングの外面にパッカーを配置する手順を示す工程図である。
【図8】 図6の次工程を示す図であって、(a)は、トンネルおよびTBMの側断面図、(b)は、同、正断面図である。
【図9】 図8の次工程を示す図であって、(a)は、トンネルおよびTBMの側断面図、(b)は、同、正断面図である。
【図10】 図9の次工程を示す図であって、(a)は、トンネルおよびTBMの側断面図、(b)は、同、正断面図である。
【図11】 組み立てたセグメントライニングと坑道内面との空隙の側壁部および天端部に豆砂利を充填する際の状況を示すトンネルの要部拡大正断面図である。
【図12】 本発明の他の実施の形態を示す図であって、図6に示したセグメントライニングに対して取り付けたセグメントリングの外面に、妻型枠を形成する際の手順を示す工程図である。
【符号の説明】
1 トンネル
2 トンネルボーリングマシン(TBM)
3 坑道
3a 内面
4 セグメントライニング
11 シールドシェル(スキンプレート)
18 セグメント
21 妻型枠
22 セグメントリング
23 空隙
24 区画
25 パッカー
26 切欠部
28 注入孔
31 豆砂利
32 スリット
35 パイプ
35a 切断面
Claims (3)
- 掘進手段を用いて地盤内に坑道を掘削するとともに、該坑道の内面を覆うようにセグメントを組み立ててセグメントライニングを形成し、さらに、その後方において、該セグメントライニングの外面と前記坑道の内面との間に裏込め材を注入する構成となっており、
前記セグメントライニングを形成する際には、前記セグメントに対して、前記セグメントライニングの外面と前記坑道の内面との間の空隙を前記坑道の掘進方向に複数の区画に分断するための型枠を設けておき、
前記裏込め材を注入する際には、前記各区画内に対してそれぞれ裏込め材を充填するトンネルの構築方法であって、
前記セグメントを組み立ててから、同位置に前記裏込め材の注入を行うまでの間に、少なくともトンネルのインバート部に位置する前記空隙に対して砂利を充填しておくことを特徴とするトンネルの構築方法。 - 請求項1記載のトンネルの構築方法であって、
前記坑道を形成するには、前記掘進手段を保護するためのスキンプレートを備えた掘進機を用いるとともに、該スキンプレートのインバート部に、該スキンプレートの内外を連通するスリットを設けておき、
トンネルのインバート部に位置する前記空隙に対して砂利を充填する際には、前記スキンプレート内から前記スリットを通じて砂利を吹き込むことを特徴とするトンネルの構築方法。 - 請求項1または2記載のトンネルの構築方法であって、
前記区画内に裏込め材を充填するには、該区画と前記セグメントライニングの内方とを連通する注入孔を、少なくとも前記掘進方向に複数設けておき、前記掘進方向と最も反対側に位置する注入孔から前記区画内に対して前記裏込め材の注入を開始し、前記裏込め材の注入を開始した注入孔に対して前記掘進方向に隣接する別の注入孔から前記裏込め材のリターンが確認された際には、前記裏込め材の注入対象の注入孔をリターンが確認された注入孔に対して盛り替えることを特徴とするトンネルの構築方法。
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