JP5616153B2 - セグメントリングの移動規制構造および移動規制方法 - Google Patents
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Description
このような特許文献1に記載の技術においては、相互に離れた少なくとも二つのセグメントリングの外周部に装着された遮蔽袋を膨張させて、複数のセグメントリングを支えるとともにシールド掘削機を用いて掘削した穴を区切り、さらに、前記遮蔽袋の間に瞬結性注入材を充填することによって前記複数のセグメントリングを前記穴内に安定して保持し、シールド掘削機の推進反力を支持させるようにしている。
また、前記シールド掘削機の掘削機構の直後から、粘度・比重を調製した粘動性注入材を圧入し、さらに、前記遮蔽袋を膨らました後に、前記遮蔽袋の間において前記粘動性注入材を前記瞬結性注入材に置換することによって、余掘り部において地盤変状が起きにくくなるため、地盤改良にかかる手間やコストを省略できるようになっている。
このため、前記セグメントリングの周方向に沿って設けられた複数の遮蔽袋のうち、最初に注入材が注入されて膨張した遮蔽袋によって、セグメントリングが掘削壁面から離間するようにして移動してしまう場合がある。特にトンネル曲線部では、直線部よりもセグメントから掘削壁面までの空間が広い余掘り部が形成されるので、セグメントリングの移動距離も大きくなってしまう場合がある。
そして、このように遮蔽袋の膨張によってセグメントリングが移動してしまうと、トンネルの線形を設計どおりに維持できない場合がある。さらに、シールド掘削機を構成するスキンプレートの後端部の内周面には、先端部が、セグメントリングの前端部の外周面に当接することによって、圧入された粘動性注入材や瞬結性注入材の漏出を防ぐためのテールブラシが設けられるが、セグメントリングの移動によって、このテールブラシが変形したり破損したりしてしまう場合もある。
相互に離れた少なくとも二つの前記セグメントリングの外周部に、該セグメントリングを支えるとともに前記穴を区切る膨張可能な遮蔽袋が装着されており、
シールド掘削機の外殻となるスキンプレートの後端部の内周面と、このスキンプレート内で組み立てられるとともに該スキンプレート内に位置するセグメントリングの前端部の外周面との間には、該セグメントリングの移動を規制するキャンバーが差し込まれており、
前記スキンプレートの内側には、シールド掘削機の推進反力をセグメントリングの前端部に伝達するためのシールドジャッキスプレッダーが、該スキンプレート内周面の周方向に沿って複数設けられており、
前記キャンバーは、前記スキンプレートの後端部の内周面とセグメントリングの前端部の外周面との間に、互いに隣り合うシールドジャッキスプレッダー間に位置するようにして差し込まれており、
前記キャンバーは、直角三角形状に形成された対向する2つの壁面と、切羽側を向く壁面と、前記スキンプレートの内周面に当接する矩形状の底面と、前記セグメントリングの前端部に当接する斜面とを備えた楔状部材であることを特徴とする。
シールド掘削機の外殻となるスキンプレートの内側に、シールド掘削機の推進反力をセグメントリングの前端部に伝達するためのシールドジャッキスプレッダーを、該スキンプレート内周面の周方向に沿って複数設け、
相互に離れた少なくとも二つの前記セグメントリングの外周部に装着され、該セグメントリングを支えるとともに前記穴を区切るための遮蔽袋を膨張させる際に、
予め、前記スキンプレートの後端部と、このスキンプレート内側で組み立てられるとともに該スキンプレート内に位置するセグメントリングの前端部との間に、
直角三角形状に形成された対向する2つの壁面と、切羽側を向く壁面と、前記スキンプレートの内周面に当接する矩形状の底面と、前記セグメントリングの前端部に当接する斜面とを備えた楔状部材であって、かつ該セグメントリングの移動を規制するキャンバーを、前記スキンプレートの後端部の内周面とセグメントリングの前端部の外周面との間に、互いに隣り合うシールドジャッキスプレッダー間に位置するようにして差し込んでおくことを特徴とする。
この曲線部2は、比較的カーブの緩い緩曲線と、比較的カーブの急な急曲線とに分けられる。また、前記シールド掘削機10によって曲線部2を形成するには、地山を余掘りしなければ掘進することはできないため、図示はしないが、シールド掘削機10のカッタ板の外周面からコピーカッターを突出させ、このコピーカッターによって地山を計画的に余掘りしている。
したがって、図2に示すような本実施の形態の曲線部2においても、余掘り部3が形成されている。すなわち、この余掘り部3とは、前記セグメントリング15の外周面と、穴1の掘削壁面との間に形成される空間を指している。なお、この空間の大きさは、シールド掘削機10の長さや、カーブの緩急に応じて変化するものである。
フード部Aは、最前部に、周知の掘削機構10aを有しており、テール部Bは掘削機構10aの排土を排出する周知の排土機構10bを有する。
また、このシールド掘削機10は、シールド掘削機10のフード部Aおよびテール部Bを構成し、シールド掘削機10自体の外殻となるスキンプレート11を備えている。
ここで、前記充填材17としては、前記穴1と前記シールド掘削機10、前記セグメントリング15…、前記遮蔽袋16との間に空隙を生じず、さらに、前記シールド掘削機10の動作を妨げない程度の流動性を有すること、また、礫等の落下を抑制する適正な粘度と比重を有すること、また、裏込め材18との置換が容易であること、さらには、地下水などで材料分離を起こさないこと、などがある。このような粘動性注入材17としては、粘土鉱物、粘土鉱物と増粘材と水との混合物、ベントナイトと粘土との混合物などを用いることが可能である。また、この粘動性注入材17の注入圧を、前記掘削機構10aのチャンバー内圧より高い値に維持すると、排土は余掘り部3に廻り込まず、切羽は安定する。
すなわち、シールド掘削機10を曲線部2の計画線に沿って正確に掘進させるには、これら複数のシールドジャッキスプレッダー13…の当接部13a…を、テール部B内で組み立てられたセグメントリング15の前端部15aに受け止めさせて、該シールドジャッキスプレッダー13…の推進力を制御することによって行われる。
また、このセグメントリング15は、通常、穴1の直線部に配置される直線部用と、穴1の曲線部2に配置される曲線部用とが用いられている。なお、直線部用のセグメントリングは、前後方向の幅が全周に亘って一定幅となるように設定されており、曲線部用のセグメントリング15は、前後方向の幅が穴1の屈曲方向の外側において広く、内側において狭くなるように設定されている。つまり、曲線部用のセグメントリング15は、図2に示すように、平面視において穴1の外側の円弧側に位置する部分の前後方向の幅が広く、内側の円弧側に位置する部分の前後方向の幅が狭くなっている。
また、この遮蔽袋16はセグメントリング15と掘削壁面との間を十分に埋めることができるように、大きめのサイズで作製されている。すなわち、大きく膨張するように構成されてる。
なお、瞬結性注入材18としては、硬化発現材としてセメント系またはスラグ・石灰系材料を使用し、流動性を良くするために、例えばベントナイト等の粘土鉱物を使用したものを用いる。また、瞬結性を持たせるために、例えば水ガラス系の珪酸を混合させたものを用いる。これら充填材料、硬化剤等の混合比率の選択により、硬化時間を選択する。
なお、この瞬結性注入材18は、遮蔽袋16内に注入されるだけでなく、シールド掘削機10およびセグメントリング15と、穴1との間に形成される空間にも注入されるものである。
また、このキャンバー20は、前記スキンプレート11の後端部11aの内周面とセグメントリング15の前端部15aの外周面との間に、互いに隣り合うシールドジャッキスプレッダー13,13間に位置するようにして差し込まれるものであり、このキャンバー20が、前記シールドジャッキスプレッダー13の動きを阻害するのを極力防げるようになっている。
なお、キャンバー20を、すべてのジャッキスプレッダー13,13間に設けるか、適当な個数とするかは、シールド掘削機10の構造や曲線半径、地盤の固さによって適宜変更可能とされている。すなわち、本実施の形態においては、図3に示すように、すべてのシールドジャッキスプレッダー13,13…間に設けられるものとするが、これに限られるものではなく、数を少なくする場合もあり、適宜変更可能である。このようにキャンバー20の使用個数を減らすことによって、キャンバー20に係る手間や製造・施工のコストを低減できるので、セグメントリング15の移動を規制できる範囲で、キャンバー20の個数を適宜調整し、手間やコストの低減を図るようにしてもよいものとする。
この出し入れ機構は、先端部に前記キャンバー20が取り付けられるロッド21を備えており、このロッド21の先端部に前記キャンバー20が取り付けられている。
なお、本実施の形態において、前記キャンバー20は、互いに隣り合うシールドジャッキスプレッダー13,13間に設けられることによって複数用いられており、このロッド21も前記キャンバー20の数に対応した本数用いられている。
また、これら複数のロッド21…は、すべて同時に、また別個にも前記キャンバー20…を出し入れできるように設定されている。
さらに、このロッド21は、互いに隣り合う前記シールドジャッキスプレッダー13,13間に位置するように配置されており、これによって、出し入れ機構と、シールドジャッキスプレッダー13…とが互いに動きを阻害しないようになっている。
なお、このロッド21としては、例えば油圧シリンダ(図示せず)等のピストンロッド等が挙げられる。
さらに、本実施の形態の出し入れ機構は、以上のようにロッド21…を備えるものとしたが、これに限られず、前記キャンバー20…を出し入れできればよく、適宜変更可能である。
なお、本実施の形態においては、前記シールド掘削機10と、前記セグメントリング15…と、充填材17である粘動性注入材を、前記フード部Aに形成された注入孔からシールド掘削機10と穴1との間に充填する充填機構(図示せず)と、裏込め材18である瞬結性注入材を、前記セグメントリング15に形成された注入孔から前記遮蔽袋16内および、遮蔽袋16が装着されないセグメントリング15と穴1との間に注入する注入機構(図示せず)と、充填機構を制御する制御機構(制御手段:図示せず)とを用いて、シールド余掘り部の先行充填置換工法によってトンネル施工を行うものとする。
本実施の形態のセグメントリングの移動規制方法は、このシールド余掘り部の先行充填置換工法の途中に組み込まれている。
ここで、前記充填機構を用いて、前記フード部Aの注入孔およびテール部Bの注入孔から、余掘り部3にそれぞれ充填材17を充填する。また、この際、フード部Aおよびテール部Bのすべての注入孔から同時に充填材17を充填する。
これと同時に、テール部Bの直後に位置するセグメントリング15(15A)に形成された注入孔からも、充填材17を余掘り部3へと充填する。この際は、底部側に位置する注入孔から順次充填する。
これにより、穴1内部は掘削直後から充填材17を加圧充填するため、地山落ちや地盤沈下が生じにくい。また、ここで、制御機構によって、充填材17の注入圧を、掘削機構10aのチャンバー内圧より高い状態に維持することによって、排土が余掘り部3に廻り込まず、切羽が安定する。
なお、本実施の形態においては、前記出し入れ機構によって複数のキャンバー20…を同時に出し入れする。
この際、遮蔽袋16は、底部側から順次膨張させる。これにより、シールド掘削機10は、遮蔽袋16付きのセグメントリング15や、後方に位置するその他の遮蔽袋16付きのセグメントリング15…あるいは瞬結性注入材18を支えとして推進できる。
すなわち、二つのセグメントリング15,15の外周部に装着された遮蔽袋16,16間で、遮蔽袋16が装着されないセグメントリング15…の底部側に位置する注入孔から順次、裏込め材18である瞬結性注入材を圧入する。
ここで、この底部側の注入孔の上方に隣接する注入孔を解放する。これにより、充填材17である粘動性注入材は該上側の注入孔から、該遮蔽袋16が装着されないセグメントリング15…内部に出てくる。
ここで、粘動性注入材17が出てきた注入孔から、瞬結性注入材18が出てきたときに、瞬結性注入材18の圧入を修了し、該上側の注入孔を新たに次の段階の瞬結性注入材18を注入するための注入孔として、同様の作業を行う。
なお、粘動性注入材17から瞬結性注入材18に置換する場合は、瞬結性注入材18を、セグメントリング15の底部側に位置する注入孔から順次圧入するとしたが、これに限られるものではなく、セグメントリング15の頂部側から圧入するようにしてもよいものとする。
すなわち、シールド掘削機10によって穴1を掘削し、余掘り部3を形成し、シールド掘削機10の外側に形成される空間に充填材17を充填するとともに、テール部B直後に位置するセグメントリング15Aの外側に形成される空間にも充填材17を充填する。さらに、テール部B内で新たにセグメントリング15を組み立てて、前記セグメントリング15Aと相互に支え合うように連結し、シールドジャッキ12によってシールド掘削機10を推進させようとする。
そして、前記セグメントリング15Aよりも後方に位置する遮蔽袋16を膨張させて穴1の掘削壁面に固定するが、この時に、シールドジャッキスプレッダー13の当接部13aが当接するセグメントリング15の前端部15aと、スキンプレート11の後端部11aとの間に、前記複数のキャンバー20…を差し込んでおき、セグメントリング15が遮蔽袋16の膨張によって移動してしまうことを防止する。つまり、このように複数のキャンバー20…を差し込んでから、前記遮蔽袋16を膨らませるようにする。
その後、遮蔽袋16を膨らませて、遮蔽袋16付きのセグメントリング15を穴1の掘削壁面に固定したら、前記シールドジャッキ12を利用してシールド掘削機10を推進させる。
また、このようにシールド掘削機10で穴1を掘削する過程で、シールド掘削機10の外側の空間やセグメントリング15の外側に形成される空間に充填された充填材17(粘動性注入材)を、裏込め材18(瞬結性注入材)へと置換する。この時は、相互に離れた二つのセグメントリング15,15に装着された遮蔽袋16,16を膨張させた状態とし、これら遮蔽袋16,16で区切られた空間の充填材17を裏込め材18へと置換するようにする。
以上のような流れで、シールド余掘り部の先行充填置換工法が行われ、その中で、本実施の形態のセグメントリングの移動規制方法が行われるようになっている。
なお、本実施の形態のセグメントリングの移動規制方法は、シールド余掘り部の先行充填置換工法に組み込まれるものとしたが、これに限られるものではなく、遮蔽袋16のような袋体によってセグメントリング15…の移動を規制しようとするその他の技術に適宜組み込むことが可能である。
2 曲線部
3 余掘り部
10 シールド掘削機
11 スキンプレート
11a 後端部
12 シールドジャッキ
13 シールドジャッキスプレッダー
13a 当接部
14 テールブラシ
15 セグメントリング
15a 前端部
16 遮蔽袋
17 充填材(粘動性注入材)
18 裏込め材(瞬結性注入材)
20 キャンバー
Claims (4)
- 最前部に掘削機構を有するシールド掘削機を用いて掘削した穴の内周に、相互に支え合うとともに穴の掘削壁面を覆う複数のセグメントリングが形成されており、
相互に離れた少なくとも二つの前記セグメントリングの外周部に、該セグメントリングを支えるとともに前記穴を区切る膨張可能な遮蔽袋が装着されており、
シールド掘削機の外殻となるスキンプレートの後端部の内周面と、このスキンプレート内で組み立てられるとともに該スキンプレート内に位置するセグメントリングの前端部の外周面との間には、該セグメントリングの移動を規制するキャンバーが差し込まれており、
前記スキンプレートの内側には、シールド掘削機の推進反力をセグメントリングの前端部に伝達するためのシールドジャッキスプレッダーが、該スキンプレート内周面の周方向に沿って複数設けられており、
前記キャンバーは、前記スキンプレートの後端部の内周面とセグメントリングの前端部の外周面との間に、互いに隣り合うシールドジャッキスプレッダー間に位置するようにして差し込まれており、
前記キャンバーは、直角三角形状に形成された対向する2つの壁面と、切羽側を向く壁面と、前記スキンプレートの内周面に当接する矩形状の底面と、前記セグメントリングの前端部に当接する斜面とを備えた楔状部材であることを特徴とするセグメントリングの移動規制構造。 - 前記スキンプレートの内側には、前記キャンバーを、前記スキンプレートの後端部の内周面とセグメントリングの前端部の外周面との間へと差し込む方向および取り外す方向に移動させる出し入れ機構が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のセグメントリングの移動規制構造。
- 前記出し入れ機構は、先端部に前記キャンバーが取り付けられるロッドを備えており、このロッドは、互いに隣り合う前記シールドジャッキスプレッダー間に位置するように配置されていることを特徴とする請求項2に記載のセグメントリングの移動規制構造。
- 最前部に掘削機構を有するシールド掘削機を用いて掘削した穴の内周に、相互に支え合うとともに穴の掘削壁面を覆う複数のセグメントリングを形成し、
シールド掘削機の外殻となるスキンプレートの内側に、シールド掘削機の推進反力をセグメントリングの前端部に伝達するためのシールドジャッキスプレッダーを、該スキンプレート内周面の周方向に沿って複数設け、
相互に離れた少なくとも二つの前記セグメントリングの外周部に装着され、該セグメントリングを支えるとともに前記穴を区切るための遮蔽袋を膨張させる際に、
予め、前記スキンプレートの後端部と、このスキンプレート内側で組み立てられるとともに該スキンプレート内に位置するセグメントリングの前端部との間に、
直角三角形状に形成された対向する2つの壁面と、切羽側を向く壁面と、前記スキンプレートの内周面に当接する矩形状の底面と、前記セグメントリングの前端部に当接する斜面とを備えた楔状部材であって、かつ該セグメントリングの移動を規制するキャンバーを、前記スキンプレートの後端部の内周面とセグメントリングの前端部の外周面との間に、互いに隣り合うシールドジャッキスプレッダー間に位置するようにして差し込んでおくことを特徴とするセグメントリングの移動規制方法。
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