JP3759677B2 - 光波干渉計における寸法測定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光波干渉計を用いた寸法測定に関し、特に複数の波長に基づき干渉次数を算出する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ブロックゲージは、様々な測定機器の校正にも使用されており、それ自体の寸法精度は、非常に高いものを要求される。現実には、ブロックゲージの寸法をその呼び寸法どおりに作成するのは困難なため、現実のブロックゲージの寸法と呼び寸法との差である中央寸法誤差を測定し、この中央寸法誤差をブロックゲージごとに前記呼び寸法と合わせて表記し、そのゲージの寸法を示している。なお、中央寸法誤差の「中央」とは、ブロックゲージ測定面の中央の寸法誤差であることを示すものである。
【0003】
中央寸法誤差の測定方法の一つとして、中央寸法誤差が既知である基準ブロックゲージと、測定対象物(この場合はブロックゲージ)との差を光の干渉縞から求める方法が知られている。この方法においては、基準ブロックゲージからの反射波と、測定対象ブロックゲージからの反射波により干渉縞を形成し、この干渉縞を目盛りとして利用して測定を行う。この目盛りは、一様に繰り返されるのみであるから、ある干渉縞(目盛り)が何番目の目盛りかは、このままでは判断できない。すなわち、干渉縞の間隔は光の波長の半分に相当するから、原理的には、光の波長の半分以内の測定しか行うことができない。光の波長は非常に短く、このままでは測定可能範囲が狭いので、これ以上の長さを測定する場合には、あらかじめ他の方法により2分の1波長以下の精度で、予備測定を行っておく。予備測定により得られた値を2分の1波長の長さで除算したときの商が、前記干渉縞(目盛り)の数を表すことになる。この商は、干渉次数と呼ばれている。この干渉次数と、光波干渉測定による1目盛り以下の寸法値を加算すれば、長い寸法を精密に測定することができる。
【0004】
しかし、前述の方法において、予備測定に要求される精度は、2分の1波長以下という厳しいものであり、また温度など環境条件にも左右されるので、目盛りの数え違い、すなわち干渉次数が誤って算出される場合があった。そこで、前記の測定を複数の波長の光ごとに行い、各波長に基づき測定、算出された中央寸法誤差が等しくなる値を真の測定値とする方法が知られている。真の中央寸法誤差は一つしか存在しないはずであり、それは波長に依存することはない、というのが前述の方法の基本的な考え方である。このようにすれば、波長を選択することによって、予備測定に要求される精度は波長の数倍程度に緩和することができる。なお、以降の説明において、複数の波長ごとに算出された中央寸法誤差が一致することを合致、合致する干渉次数を求めるをこと合致を求めるまたは合致次数を求めると記載する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、複数の波長から合致を求めることは、一般的には手作業でなされており、多くの時間を要していた。また、各波長ごとの測定データを入力し、合致に関しては、計算機により計算する測定方法が、例えば特開平10−9809号にて提案されているが、計算負荷が大きく、処理時間が長くなるという問題があった。
【0006】
本発明は、前述の問題点を解決するためになされたものであり、合致次数をより短時間で算出し、測定対象物の寸法を短時間で測定することができる方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するために、本発明にかかる光干渉計による寸法測定方法は、波長の異なる複数の光源の、参照鏡または基準ゲージからの反射波と測定対象物からの反射波との波長ごとの干渉縞に基づき、測定対象物の寸法を測定する方法において、前記各波長ごとに、干渉縞端数および仮干渉次数を求め、仮干渉次数ごとの測定対象物の寸法を算出する手順と、前記複数波長のうち基準となる基準波長により測定された仮干渉次数ごとの測定対象物の寸法のそれぞれに対し、これにもっとも近い、基準波長以外の波長により測定された測定対象物の寸法との差の絶対値を算出する手順と、前記仮干渉次数に対する前記寸法差の絶対値の関数が極小となる仮干渉次数を真の干渉次数として算出する手順と、前記真の干渉次数と、前記基準波長における干渉縞端数に基づき測定対象物の寸法を算出する手順と、を有している。
【0008】
前述のように、測定対象物の寸法および中央寸法誤差は、測定に用いた波長に依存しないので、他の誤差を考慮しなければ波長によらず同一となる。ただし、各波長ごとの測定における干渉次数は、仮のものであって真のものと異なる場合がある。そこで、一つの波長を基準波長と定め、この波長により測定、算出された各干渉次数ごとの個々の測定対象物の寸法に対して、基準波長以外の波長により測定、算出された各干渉次数ごとの寸法とを比較し、一番近いものを選出する。選出された寸法と基準波長の寸法との組ごとに、これらの差の絶対値を求める。そして、仮の干渉次数に対する前記差の絶対値の関数が極小となる仮干渉次数を真の干渉次数に定める。極小となる干渉次数を求める場合、前記関数の1階微分が0で、2階微分が正の干渉次数を真の干渉次数と定めることができる。
【0009】
以上の手順は、プログラムとして記録媒体に記録し、このプログラムに従って装置各部を制御するようにコンピュータを機能させることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)を、図面に従って説明する。
【0011】
[光波干渉計の概要]
図1には、本実施形態の光波干渉計の概略構成が示されている。以下、ブロックゲージの中央寸法誤差を測定する場合に関して説明するが、本光波干渉計は他の測定対象についても対応可能である。
【0012】
本装置の本体、すなわち光源からの光を基準ゲージと測定対象ゲージに照射し、それらの反射光により干渉縞を形成し、この干渉縞の観察を行う部分は、防振台上に設置されている。本装置は、光源として、波長633nmの赤色He−Neレーザ光源10と、波長543nmの緑色He−Neレーザ光源12を備えている。二つのレーザ光源10,12の正面には、シャッタ14,16が設けられ、これらのシャッタの開閉により光源の選択をすることができる。赤色レーザ光源10は、縦偏光の光を出射し、この出射光は、これが横偏光となるように調整設置された2分の1波長板18を通過し、偏光ビームスプリッタ20に入射する。一方、緑色レーザ光源12は、同じく縦偏光の光を出射し、この出射光は、これが縦偏光となるように調整設置された2分の1波長板22を通過する。さらに、反射鏡24に反射されて偏光ビームスプリッタ20に入射する。このような構成によって、横偏光で入射した赤色レーザ光は高透過率で偏光ビームスプリッタ20を透過して出射すると共に、縦偏光で入射した緑色レーザ光は高反射率で偏光ビームスプリッタ20を反射して出射する。このため、両レーザ光は大幅に減衰することなく、同一光軸に合成されて明るい干渉縞を得ることができる。
【0013】
偏光ビームスプリッタ20を通過した光は、4分の1波長板26を通過し、円偏光に変換される。円偏光に変換することにより、干渉部からの戻り光を効果的に遮断し、光源10,12への悪影響が防止される。円偏光となった出射光は、対物レンズ28、ピンホール30、コリメータレンズ32を通過し、平行光となる。さらに、平行光は反射鏡34で反射されて、ビームスプリッタ36に入射し、分割される。分割された一方の光は参照鏡38で反射し、他方の光は光学くさび40を通過した後、ブロックゲージ42とブロックゲージ42が密着設置されているベースプレート44に到達し、反射する。二つの反射光は、再びビームスプリッタ36により合成されるが、ここで二つの反射光の光路差に基づき干渉縞が形成される。干渉縞は、望遠レンズ46、ピンホール48および接眼レンズ50を通過してCCDカメラ52により観察することができる。また、干渉縞は光路切替鏡54により図中上方に示された光センサ56で受光することもできる。光センサ56は、ブロックゲージ42の中央点からの反射光と、ベースプレート44上の2点からの反射光の合計3点について検出するよう配置されている。実際は、上記3点に光ファイバの一端を配置し、外部に設けられた光センサ56まで導くようになっている。そして、上記3点が、現在干渉縞の暗部にあるのか、明部にあるのかが光センサ56によって判定される。光学くさび40は、光路に対し直交する方向に図示しない駆動モータにより駆動され、これにより実質的な光路長が変更される。この光学くさび40の移動量は、リニアエンコーダ58により検出される。
【0014】
さらに本装置には、温度等による補正を行うために、温度等を測定し、測定値をコンピュータ等に記憶し、演算処理し、処理結果を出力するための構成が設けられている。ブロックゲージ42には、これの温度を検出するための温度センサ59が設けられ、また空気の温度を検出するための気温センサ60が光路の空気温度を検出するのに適切な位置に配置されている。これらのセンサ59,60は、センサ切替器62を介して温度計64に接続され、検出された温度がコンピュータ66に出力される。また、気圧センサを内蔵した気圧計68が設けられ、検出された気圧がコンピュータ66に出力される。さらに、空気中の湿度を検出する湿度センサ70および湿度計72が設けられ、この検出値もコンピュータ66に出力される。さらに、リニアエンコーダ58の出力を計数するカウンタ74が備えられ、計数値はコンピュータ66に出力される。また、光センサ56の出力も光検出器76に送出され、さらにコンピュータ66に出力される。
【0015】
前記コンピュータ66には、プリンタ80が接続され、測定結果等を印刷して出力できるようになっている。また、前記シャッタ14,16、切替鏡54、光学くさび40の駆動モータなどは、コンピュータ66の指令に基づき動作するよう構成されている。コンピュータ66は、あらかじめ記録されたプログラムによって、装置各部を制御し測定を実行する。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な外部記録媒体、例えばフレキシブルディスク(FD)、CD−ROMなどに記録しておき、測定に先立ってコンピュータで読み取ることができる。
【0016】
図2には、干渉縞の観測例が示されている。図においては、干渉縞は明暗の2領域からなるものと描かれているが、実際には、その明るさの変化は2値的なものではなく、連続的に変化するものである。中央の長方形の領域Aは、ブロックゲージ42からの反射光により形成された干渉縞で、その周囲の領域Bはベースプレート44からの反射光により形成された干渉縞である。ベースプレート44は、ブロックゲージ42の底面と同一の平面に存在し、この平面からブロックゲージ42の寸法を測定することによって、ブロックゲージ42の寸法が測定される。この意味で、ベースプレート44も測定対象物である。図示するように、中央領域Aと周囲領域Bの干渉縞は位相がずれている。このずれは、各々の反射光の光路差を反映したものである。ブロックゲージ42からの反射波の光路とベースプレート44からの反射波の光路との差が光の波長の2分の1の整数倍であれば、前記のようなずれは生じない。前述のように位相がずれているのは、前記の光路差が前記2分の1波長より短い端数を有していることを表している。言い換えれば、この場合、ブロックゲージ42の寸法は、2分の1波長をある整数倍した長さと、前記端数が示すある長さの和となっていることを示している。
【0017】
この端数を、2分の1波長の何分の1であるかによって示すとすれば、端数は図2に示す寸法b,aの比b/aで表される。すなわち、干渉縞の1波長aと、中央領域Aと周囲領域Bの位相差bの比が、2分の1波長に対する端数の比と等しくなる。寸法の比b/aの実際の測定および算出は次のように行われる。図2には示していないが、本装置の光学系には、図2の視野の中央で十字に交差するレクチル線目盛りが設けられている。この水平方向の目盛りに、図2の周囲領域Bの干渉縞のもっとも明るい部分であるx線を合わせる。これは、前記光学くさび40を移動させることにより行う。光学くさび40は、その進退によって光路長さを変更することができ、よってその進退により図2に示す干渉縞は上下に平行移動し、x線をレクチル線目盛りに合わせることができる。そして、このときのエンコーダの読み(x位置)を記憶する。同様に、光学くさび40を進退させて、中央領域Aの干渉縞のもっとも明るい部分であるy線、および周囲領域において、前記x線にかかる明部分の隣の明部分の軸線であるz線をレクチル線目盛りに合わせ、これらのエンコーダの読み(y位置、z位置)に基づき前記端数、すなわち干渉縞端数を算出する。すなわち、干渉縞端数b/aは、
【数1】
b/a=(x位置−y位置)/(x位置−z位置) ・・・(1)
と表される。
【0018】
次に、干渉次数の決定を行う。干渉次数は、予備測定により求められたブロックゲージの寸法に基づき、
【数2】
より算出する。ここで、
Lo:ブロックゲージの呼び寸法
L’:予備測定値
ΔLr:光学位相差補正値
t:ブロックゲージの温度
λv:真空中における波長
n:空気屈折率
No:干渉次数+干渉縞端数
α:ブロックゲージの熱膨張係数
である。
【0019】
[測定対象物の寸法の決定]
予備測定に基づき算出された干渉次数は、前述のように予備測定の精度が高くない場合、真の干渉次数とは異なる場合がある。以下、予備測定の精度が真の干渉次数を定めるほどには高くない場合における真の干渉次数を求める方法を説明する。以降、予備測定から求められた干渉次数を仮干渉次数と記して、真の干渉次数と区別する。
【0020】
図3には、2種の波長を用いて真の干渉次数を求める方法のフローチャートが示されている。本方法は、2種の波長により別個に算出された測定対象物の寸法が最も近くなる干渉次数(合致次数)を真の干渉次数と定めることを基本としている。特に、2種の波長により算出された測定対象物の寸法がどの次数で合致するのかは、仮干渉次数に対する2種の波長により測定された寸法の差の関数が、極小となる次数を合致次数としている。
【0021】
シャッタ14,16の開閉により、赤色(Red)レーザ光源10と緑色(Green)レーザ光線12の切換えを行い、各々について、前述の測定を行い(S100,S102)、前述の方法により干渉縞端数を求める(S104,S110)。また、式(2)から干渉次数を求める。式(2)のNoの整数部分が干渉次数であるが、以後の説明においては、これを干渉次数0次とする(S106,S112)。言い換えれば、本来の干渉次数からNoの整数部分を引き、干渉次数全体をシフトさせる。さらに、仮干渉次数0次の他、±7次までの次数に対し、ブロックゲージの呼び寸法との差である中央寸法誤差を算出する(S108,S114)。各次数の中央寸法誤差は、
【数3】
(中央寸法誤差)=(λ/2)×(次数)+b/a ・・・(3)
より算出される。±7次までに対応する中央寸法誤差の一例を図4に示す。
【0022】
次に、赤色レーザ光源10を用いて算出された中央寸法誤差に、これと最も近い緑色レーザ光源12を用いて算出された中央寸法誤差を組み合わせて測定値の組を作る。例えば、図4において、赤色レーザの−6次の値−1.833に最も近い緑色レーザの測定値は−7次の−1.889であり、これらにより組を作る(S116)。この選択を赤色レーザの測定値の全てについて行った結果が図5に示されている。なお、この時点で緑色レーザについての次数は、意味をなさなくなる。
【0023】
前記の測定値の組について、測定値の差の絶対値を算出する(S118)。この結果が図6に示されている。図6において+7次,−7次の値が突出して大きくなっているが、これは±7次の間のデータで計算したためである。すなわち、赤色レーザの+7次,−7次の値に最も近い緑色レーザの値は、+8次,−8次であるが、データの範囲にないので、前述のような突出した値が算出されてしまう。したがって、以降の処理については±6次の範囲で行う(S120)。±6次の範囲の寸法差の絶対値を図7に示す。図7に示す関係を、すなわち干渉次数に対する寸法差の絶対値の関係を関数とみて、この関数の1階微分、2階微分を求める(S122,S124,S126)。関数が定義された範囲の両端では微分不能となるので、1回の微分ごとに関数の定義範囲が狭まり、2階微分した後は関数の定義範囲は±4次となる(S128)。
【0024】
本実施形態において用いているレーザ光源の波長は、633nmと543nmであるので、双方の測定結果の差が小さくなる測定値が約2μmごとに現れる。これは、干渉次数で±3次に相当し、この範囲の演算結果を図8に示す。1階微分が0で、2階微分が正、すなわち関数が極小となるのは、仮干渉次数が0次のときであることが分かる。このほかに極小値はないので(S130)、この仮干渉次数が真の干渉次数であることが分かり、0.015が中央寸法誤差として算出される(S132)。このように、真の干渉次数が0次となる場合は、予備測定の値が真の値に近かったことを示している。なお、前述のように、前記の2波長を用いた測定においては、干渉次数が±3次の範囲で極小値を探せば良いので、2階微分および2波長測定データの差演算を考慮して最初の計算次数は、±6次が少なくとも必要である。本実施形態においては、余裕をみて、±7次を最初の計算次数としている。
【0025】
予備測定の値が真の値と比較的離れていた場合、図9に示すように極小値が0次以外のところに表れる。図9の場合には、−2次が極小値となり、これが合致次数である。
【0026】
また、干渉縞端数の精度が悪い場合には、極小値(合致点)が二つ並ぶ場合がある。例えば、図10において、0次と−1次の関数値がほとんど等しい。このような場合には、1階微分値が小さい方、すなわち0に近い方を合致点として採用する。1階微分値が等しい場合は、予備測定値に近い方を採用する。
【0027】
さらに、予備測定の精度が±1μmを超えると極小値(合致点)が二つ現れる。横軸のフルスケールは、1.6μmであり、この場合、予備測定値は±1μmなければならないので、予備測定値に近い値を選択する(S134)。選択された値に基づき、真の中央寸法誤差が算出される(S132)。なお、この場合には、合致点が二つ存在したことを操作者に報知し、測定結果の信頼性について警告する。以上の処理により、より短時間で測定を行うことが可能となった。
【0028】
[光源波長の校正]
図1に示すように、本実施形態の装置は光源を二つ備えており、それぞれの光源について高精度に校正を行うことは、光源の取り外し、校正機関への輸送、校正後の再設置、光軸調整など経済的、時間的負担が大きくなる。そこで、本装置においては、一方の光源について校正機関などによる高精度な校正をし、他方については干渉計上に設置したまま、校正済みの光源の波長を用いて校正を行うことを可能としている。以下、他方の光源の波長の校正について説明する。
【0029】
ブロックゲージの寸法Lは、本装置の二つのレーザの波長(543nm,633nm)から、
【数4】
と表せる。ただし、λは波長、Nは干渉次数、εは干渉縞端数であり、添え字rは、赤色レーザに関する値および赤色レーザによる測定時の値であることを示し、添え字gは、緑色レーザに関する値および緑色レーザによる測定時の値であることを示す。
【0030】
空気の屈折率とブロックゲージの熱膨張を考慮して、式(4.1),(4.2)を補正すると、
【数5】
を得る。このとき、Loはブロックゲージの呼び寸法、αはブロックゲージの熱膨張係数、tはブロックゲージの温度、nは空気の屈折率である。同一のブロックゲージについて測定を行えば、式(5.1),(5.2)のLは消去でき、
【数6】
を得る。これを変形し、
【数7】
を得る。式(7)において、NrとNgは、干渉測定からは容易に得ることはできないが、00級のブロックゲージ(寸法許容差0.06μm)であれば、呼び寸法から干渉次数を求めることも十分可能である。すなわち、呼び寸法を波長で除算したときの商が干渉次数である。また、赤色レーザの波長が校正されていれば、その他の値は、既知の値を用いることにより、緑色レーザの波長を算出することができる。
【0031】
なお、上記の例においては、二つの光源を有する装置について説明したが、三つ以上の光源を有する場合においても、同様に校正することが可能である。
【0032】
本実施形態によれば、一つの光源(一つの波長)についてのみ高精度な校正を行うことで、他の光源は干渉計上で設置状態のまま波長校正を行うことができる。したがって、波長校正の費用と時間の節減が可能となる。また、一方の光源が取り外されず、干渉計上に設置されたままであるので、光軸が保存される。したがって、外部に校正を委託した光源を再設置する場合において、すでに定まっている光軸に合わせればよいので、光軸調整が容易となる。このことは、干渉計の測定信頼性の維持を容易にする。
【0033】
以上、本実施形態において、基準ブロックゲージを用いない装置に関して説明したが、参照鏡上にベースプレートを密着した基準ブロックゲージを配置して、基準ブロックゲージに対する測定対象のブロックゲージの誤差を測定する場合にも、同様に前述の干渉次数の決定方法が適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態の光波干渉計の概略構成を示す図である。
【図2】 光波干渉計によって観測される干渉縞の例を示す図である。
【図3】 本実施形態の測定手順をしめすフローチャートである。
【図4】 図3のステップS108,S114の計算結果を示す図である。
【図5】 図3のステップS116の結果を示す図である。
【図6】 図3のステップS118の結果を示す図である。
【図7】 図3のステップS120の結果を示す図である。
【図8】 図3のステップS128の結果を示す図である。
【図9】 図3のステップS128の結果を示す図であり、特に予備測定の精度が低い場合に起こり得る例である。
【図10】 図3のステップS128の結果を示す図であり、特に干渉縞端数の測定精度が低い場合に起こり得る例である。
【図11】 図3のステップS128の結果を示す図であり、極小値が2個ある場合の例である。
【符号の説明】
10 赤色レーザ光源、12 緑色レーザ光源、20 偏光ビームスプリッタ、26 4分の1波長板、42 ブロックゲージ(測定対象物)、44 ベースプレート(測定対象物)、52 CCDカメラ、56 光センサ。
Claims (2)
- 波長の異なる複数の光源の、参照鏡または基準ゲージからの反射波と測定対象物からの反射波との波長ごとの干渉縞に基づき、測定対象物の寸法を測定する方法において、
前記各波長ごとに、干渉縞端数および仮干渉次数を求め、仮干渉次数ごとの測定対象物の寸法を算出する手順と、
前記複数波長のうち基準となる基準波長により測定された仮干渉次数ごとの測定対象物の寸法のそれぞれに対し、これにもっとも近い、基準波長以外の波長より測定された測定対象物の寸法との差の絶対値を算出する手順と、
前記仮干渉次数に対する前記寸法差の絶対値の関数が極小となる仮干渉次数を真の干渉次数として算出する手順と、
前記真の干渉次数と、前記基準波長における干渉縞端数に基づき測定対象物の寸法を算出する手順と、
を有する光波干渉計における寸法測定方法。 - 波長の異なる複数の光源の、参照鏡または基準ゲージからの反射波と測定対象物からの反射波との波長ごとの干渉縞に基づき、測定対象物の寸法を測定する手順の少なくとも一部をコンピュータおよびこれに接続される装置に実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
前記各波長ごとに、干渉縞端数および仮干渉次数を求め、仮干渉次数ごとの測定対象物の寸法を算出する手順と、
前記複数波長のうち基準となる基準波長により測定された仮干渉次数ごとの測定対象物の寸法のそれぞれに対し、これにもっとも近い、基準波長以外の波長より測定された測定対象物の寸法との差の絶対値を算出する手順と、
前記仮干渉次数に対する前記寸法差の絶対値の関数が極小となる仮干渉次数を真の干渉次数として算出する手順と、
前記真の干渉次数と、前記基準波長における干渉縞端数に基づき測定対象物の寸法を算出する手順と、
を実行させるためのプログラムを記録した記録媒体。
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