JP3759279B2 - 双方向光通信用モジュール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は光ファイバを用いた光通信などに用いられる時分割双方向の光通信モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の双方向光通信用モジュールは、たとえば図3に示されるように、送信信号光を発生する半導体レーザなどの発光素子21と、受信信号光をハーフミラー23を介して受光するフォトダイオード、フォトトランジスタなどからなる受光素子22と、送信信号光を光ファイバなどの光伝送路25に結合させる集光レンズ24と、集光した光を伝送する光伝送路25と、光伝送路25から出射してハーフミラー23により反射する受信信号光を受光素子22に集光する集光レンズ26とからなっている。この構成で、発光素子21から送信信号光がハーフミラー23を介して光伝送路25に入射し、相手方に送られる。また、相手方から送られた信号を受信する場合は、光伝送路25からの受信信号光をハーフミラー23により反射して受光素子22により電気信号に変換することにより受信することができ、光通信が行われる。この場合、時分割により送信と受信とが交互に切り替えて行われ、相互間の干渉は起こらない。
【0003】
この構成では、ハーフミラーを介して発光素子と受光素子とをそれぞれ独立に集光レンズの光軸に合せて組み立てなければならず、精度よく組み立てるのが非常にむつかしい。そのため、図4に示されるように、ハーフミラーを使用しないで、受光素子22の受光面を半分程度反射面として受光すると共に発光素子21からの光を反射させて集光レンズ24や図示しない光伝送路と結合する構成のものも、たとえば特開平8−114726号公報などに開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述の構成の光通信用モジュールでは、発光素子から光伝送路に入射する光は、ハーフミラーまたは受光素子により約50%になり、しかも戻り光が反射して光伝送路に入らないように発光素子の発光面を光ビームの軸に対して傾ける(50%程度のロス)必要があり、発光素子の出射光の25%(0.5×0.5)程度に減衰する。また、光伝送路から受光素子に入射する受信信号光も、ハーフミラーまたは受光素子の受光面に形成される反射面により約50%に減衰する。ハーフミラーを使用する構成では、発光素子の場合と同様に受光素子による反射光が光伝送路に戻らないように受信信号光のビームに対して受光面を傾けなければならず、全体で25%程度に減衰する。そのため、発光素子や受光素子と光伝送路との間の結合効率が低くなり、出力の大きい発光素子や、感度のよい受光素子を使用しなければならず、コストアップの要因となっている。
【0005】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、発光素子や受光素子と光伝送路との結合効率を向上させると共に、部品点数を減らして組立性を簡略化し、安価で特性の安定した双方向光通信用モジュールを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明による双方向光通信用モジュールは、送信信号を発生させる発光素子と、該発光素子からの送信信号光を光伝送路に結合させる集光レンズと、前記光伝送路からの受信信号光を受信する受光素子とからなり、前記発光素子からの送信信号光が前記集光レンズを介して直接前記光伝送路と結合するように前記発光素子が設けられ、前記光伝送路からの受信信号光の前記発光素子の発光面での反射光を受光できる位置に前記受光素子が設けられている。
【0007】
この構成にすることにより、発光素子や受光素子をビームに対して傾けることによる減衰はあるものの、発光素子から出射する光は50%程度の減衰部品を経由しない。また、光伝送路からの受信信号光は、発光素子の発光面で反射した光を受光するため、一部減衰するが、発光面の反射率を50%より高くすることができるため、発光素子および受光素子の両方共に光伝送路との結合効率を高くすることができる。
【0008】
具体的には、前記発光素子は、前記集光レンズの光軸上で、かつ、その発光面が前記光軸に対して斜めになるように設けられ、前記受光素子は、その受光面が前記光伝送路からの受信信号光の前記発光素子による反射ビームに対して斜めになるように設けられることにより、形成される。
【0009】
前記発光素子の発光面に多層絶縁膜が形成され、該多層絶縁膜により前記発光面における反射率が30〜90%に調整されることにより、発光素子および受光素子の両方の結合効率を上昇させることができる。なお、発光面の反射率を高くすると、発光素子で発光した光の出射率が低下するが、発光素子のレーザ共振器内での発振が強くなり発振開始電流(Ith)を下げることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
つぎに、図面を参照しながら本発明の双方向光通信用モジュールについて説明をする。
【0011】
本発明の光通信用モジュールは、図1にその一実施形態の側面説明図が示されるように、送信信号を発生させる発光素子1と、発光素子1からの送信信号光を光伝送路5に結合させる集光レンズ4と、前記光伝送路5からの受信信号光を受信する受光素子2とからなっており、光伝送路5からの受信信号光の発光素子1による反射光を受光できる位置に受光素子2が設けられている。図1に示される例では、リード8が固定されたステム7にマウント台6が固定され、そのマウント台6に発光素子1および受光素子2が固着されており、その相互の位置関係はマウント台6に両素子を固着するだけで得られる構造になっている。
【0012】
発光素子1は、たとえばその端面である発光面AからレーザビームBを出射する半導体レーザチップ1aがシリコン基板などからなるサブマウント1bに固着されることにより形成されている。半導体レーザは、その発光面である端面が劈開などにより鏡面にされると共に、アモルファスSiやAl2 O3 などの無機物からなる多層膜が形成されることにより発振波長に対する反射率が適当に設定されるようになっており、発光層と端面の多層膜とにより共振器が形成されて共振器内で発振し得る構造になっている。したがって、この多層膜の調整により反射率を調整することができ、共振器内での発振強度を調整することができると共に、受信信号光の反射率もこの多層膜により調整することができる。通常の光通信用モジュールとして使用される発光素子では、この端面での反射率が30%程度になるように多層膜が調整されるが、この反射率を30〜90%程度にしても共振器から出射する光の割合は小さくなるものの、充分に発振してその強度が大きくなるため、トータル的な光の強度は下がらず、受光素子による受光量を増やすことができる。この反射率は好ましくは50〜90%程度、さらに好ましくは60〜90%程度に調整される。
【0013】
この発光素子1のサブマウント1bをマウント台6にInなどの低融点金属などにより固着することにより集光レンズ4の光軸に対して発光面Aが所定の角度傾いて光軸上に位置するように取り付けられている。この発光面Aが光軸に対して傾けて取り付けられる理由は、光伝送路5からの受信信号光が発光面Aで反射して再度光伝送路5に戻らないようにすると共に、その反射光を受光素子2により受光できるようにするためである。したがって、反射光が集光レンズに入らない程度に傾けられればよく、図2に発光素子1および受光素子2の部分の拡大説明図が示されるように、発光素子1の発光面Aと直角の底面が光軸の方向である鉛直方向となす角度αが、たとえば11.5゜程度になるように傾けられる。
【0014】
受光素子2は、たとえばフォトダイオードや、フォトトランジスタ、光電池などからなり、その受光面が発光素子1の発光面Aにより反射した光伝送路5からの受信信号光を受光することができるように取り付けられている。この受光面が発光面Aからの反射ビームに対して直角にならないで傾くように、受光素子2が配設されている。その理由は、受光素子2の受光面で反射した光が発光面に戻ってさらに光伝送路5に戻らないようにするためである。したがって、受光面による反射光が発光面に戻らなければよく、図2に示される例では、受光素子2の受光面と平行な底面が鉛直方向とのなす角度βが、たとえば30゜程度になるように傾けられる。
【0015】
マウント台6は、たとえば鉄、銅合金などからなり、その発光素子1の載置面および受光素子2の載置面が前述の角度になるように予め形成されることにより、発光素子1および受光素子2をその載置面に接着するだけで簡単に前述の関係に組み立てられる。このステム上に前述の集光レンズ4が取り付けられたキャップ(図示せず)が被せられることにより、集光レンズ4の光軸と位置合わせされる発光素子1および受光素子2が組み立てられた光通信用モジュールが得られる。
【0016】
つぎに、本発明の光通信用モジュールの作用について説明をする。まず、信号を送る場合は、発光素子1から信号により変調された光ビームが発せられ、集光レンズ4を介して光伝送路5に入射する。この際、発光素子1の発光面Aが集光レンズ4の光軸に対して傾いて設けられているため、発光素子1で発光する光の50%程度の光が集光レンズ4と結合する。しかし他に減衰する部品がないため、発光する光の50%程度の強さで光伝送路を経て相手方に送られる。一方、相手方から送られてくる受信信号は、光伝送路5から集光レンズ4を介して発光素子1の発光面で反射して受光素子2の受光面に達し、受光される。発光面Aで反射されるため、その反射率により受光素子に達する光の量が異なり、反射率がたとえば80%であれば、受光素子2以外に反射光が広がっていることにより、さらに50%程度に減衰するため、送られてくる受信光の40%程度の強さで受信される。
【0017】
すなわち、従来は発信側および受信側共に25%程度に減衰するのに対して、本発明によれば、発信側は50%程度の減衰だけで結合効率が2倍程度に向上し、受信側も発光面の反射率により異なるが、発光面の反射率が60〜90%程度であれば結合効率は30〜45%程度(反射率が80%の場合で40%となり、従来より60%の向上)となる。とくに発信側の減衰が小さいため、その出力を小さくすることができ、発光面での反射率を高くすることができる。発光面での反射率を高くすることにより、発振させる電流のスレッショルド電流Ith(したがって動作電流Iop)を下げることができ、低い入力で発振させることができる。また、発光素子の輝度を小さくしなければ、光伝送路5から出射される受信光の輝度が大きくなり、いずれにしても発光素子1の出射光に対する受光素子2による受信光の割合は一層向上する。
【0018】
なお、前述の発信と受信とは、時分割により発信と受信とが時間的に分けて行われるため、光伝送路からの受信信号光が発光素子に入射して発光素子の発振に影響を及ぼすことはない。
【0019】
本発明によれば、ハーフミラーなどが不要で部品点数が減少する。しかも、前述のように、発光素子の発光面にもともと設けられる多層膜によりその反射率を調整することができ、従来のハーフミラーや受光素子の受光面での反射率を調整するために反射膜を設ける必要がない。
【0020】
【発明の効果】
本発明によれば、発光素子および受光素子と光伝送路との結合効率がそれぞれ非常に向上し、発光素子の出力を小さくすることができる。さらに、部品点数が少なく、また、組立ても容易となり、安価で高性能の双方向光通信用モジュールが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の双方向光通信用モジュールの一実施形態の説明図である。
【図2】図1の発光素子および受光素子部分の拡大説明図である。
【図3】従来の双方向光通信用モジュールの一例の説明図である。
【図4】従来の双方向光通信用モジュールの他の例の説明図である。
【符号の説明】
1 発光素子
2 受光素子
4 集光レンズ
5 光伝送路
Claims (3)
- 送信信号を発生させる発光素子と、該発光素子からの送信信号光を光伝送路に結合させる集光レンズと、前記光伝送路からの受信信号光を受信する受光素子とからなる双方向光通信用モジュールであって、前記発光素子からの送信信号光が前記集光レンズを介して直接前記光伝送路と結合するように前記発光素子が設けられ、前記光伝送路からの受信信号光の前記発光素子の発光面での反射光を受光できる位置に前記受光素子が設けられてなる双方向光通信用モジュール。
- 前記発光素子は、前記集光レンズの光軸上で、かつ、その発光面が前記光軸に対して斜めになるように設けられ、前記受光素子は、その受光面が前記光伝送路からの受信信号光の前記発光素子による反射ビームに対して斜めになるように設けられてなる請求項1記載の光通信用モジュール。
- 前記発光素子の発光面に多層絶縁膜が形成され、該多層絶縁膜により前記発光面における反射率が30〜90%に調整されてなる請求項1または2記載の光通信用モジュール。
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-
1997
- 1997-04-10 JP JP09200697A patent/JP3759279B2/ja not_active Expired - Fee Related
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