JP3759179B2 - ハーネス保持クリップ - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、自動車の内部に配線されるハーネスを保持して、パネルの定位置に固定する保持クリップの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種保持クリップとして、例えば、実開平3−36509号公報に示すものが存する。
該従来の保持クリップは、具体的には図示しないが、合成樹脂の一体成形品で、ベース板の左右両側部に係脱可能な二対のロック片を薄肉ヒンジを介して回動可能に連設すると共に、ベース板の上面両端部に上方に突出する一対の支持壁を立設し、且つ、ベース板の上面中央部にハーネスを上方に押し上げる突起を設ける一方、ベース板の下面にパネルに穿設された取付孔に係着する弾性変形可能な脚体を一体に垂設する構成となっている。
【0003】
そして、実際の使用に際しては、ベース板の上面長手方向に沿ってハーネスを載置しながら、ベース板の左右両側部に連設されている二対のロック片を個々に薄肉ヒンジを介してベース板方向に回動して、対応するロック片同士を重合状態に係合させると、ハーネスは、各ロック片による下方への押圧作用と一対の支持壁及び中央部の突起による上方への押圧作用を得て、ベース板上に蛇行状態をもって保持されることとなるので、後は、脚体をパネルの取付孔に係着すれば、ハーネスが所定パネルの定位置に固定されることとなる。
しかも、斯る固定状態にあっては、既述した如く、ハーネスはベース板上に蛇行状態をもって強固に保持されているので、ハーネスがベース板上で不用意に移動したり、自動車の走行振動等により抜け外れることがない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
然し乍ら、この従来の保持クリップの下で、ハーネスを蛇行状態に保持することは、ハーネスの移動や抜け外れを防止する上では好都合となるが、反面、その作業に際しては、ハーネスを無理に蛇行状態に押し曲げながら、左右二対のロック片同士を重合状態に係合させなければならないので、ロック片同士を係合させる時には、相当強い操作力が要求されることとなって、作業性が低下してしまう大きな問題点を有している。
又、ハーネスを蛇行状態に保持するためには、ベース板自体を長尺体にしなければならないことは勿論であるが、その他にも、かなりの距離を隔てて配される一対の支持壁や左右二対のロック片等が必要となるので、保持クリップ自体も自ずと大型化してしまう嫌いがあった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、斯る従来保持クリップの抱える課題を有効に解決するために開発されたもので、ベース板の一端部に先端にロック爪を有するロック板を回動可能に連設し、ベース板の他端部に上記ロック板のロック爪を係合する受け部を設ける一方、ベース板の下面にパネルの取付孔に係着する脚体を設けて、ベース板の上面とロック板の内面間でハーネスを保持するハーネス保持クリップを前提として、上記ベース板の上面とロック板の内面夫々に、ハーネスの配線方向に対して等しい角度で傾斜するリブ壁を対向して突設すると共に、この対向する各リブ壁の高さ寸法を高低差をつけて連続的に変化させて、ベース板側のリブ壁とロック板側のリブ壁間に連続して画成される保持空間に広狭の差を持たせる構成を採用した。
【0006】
【作用】
依って、本発明の保持クリップで、ハーネスを保持する場合には、最初の段階では、広い保持空間を画成することとなるベース板側のリブ壁の部位にハーネスを載置して、後は、ロック板をベース板方向に回動して、該ロック板のロック爪をベース板の受け部に係合すれば、一応、ハーネスがベース板とロック板間に仮保持されることとなるが、この仮保持状態にあっては、ハーネスがベース板側のリブ壁とロック板側のリブ壁で画成される最も広い保持空間内に位置することとなるので、ロック板のロック爪をベース板の受け部に係合させる作業には、それ程大きな操作力が要求されることがない。
【0007】
そして、次に、斯る状態のまま、ハーネスを所定方向に引っ張ると、今度は、ハーネスが各リブ壁の頂部稜線に案内されながら、ベース板側のリブ壁とロック板側のリブ壁で画成される狭い保持空間方向に移行して、当該狭い保持空間内で保持されることとなるので、これにより、ハーネスは、最終的には、ベース板側のリブ壁とロック板側のリブ壁とで上下から強く押さえ付けられた状態の下で本保持されることとなる。
従って、この本保持状態の下で、ハーネスがパネルの定位置に固定された場合には、従来の如く、ハーネスを無理に蛇行状態に押し曲げて保持しなくとも、ハーネスがベース板上で不用意に移動したり、自動車の走行振動等により抜け外れることが防止できる。
【0008】
【実施例】
以下、本発明を図示する一実施例に基づいて詳述すれば、該実施例に係る保持クリップも、合成樹脂の一体成形品で、その基本構造は、図1に示す如く、矩形状を呈するベース板1の一端部に先端にロック爪4を有するロック板2を薄肉ヒンジ5を介して回動可能に連設し、ベース板1の他端部に上記ロック板2のロック爪4を係合する受け部6を設ける一方、ベース板1の下面にパネルの取付孔に係着する脚体3を一体に垂設して、ベース板1の上面とロック板2の内面間でハーネスを保持する構成となっている。尚、図中、7と8は、ベース板1とロック板2の連設側の端部同士を係合する補助ロック爪と補助受け部である。
【0009】
そして、本実施例にあっては、斯る基本構造を前提として、上記ベース板1の上面とロック板2の内面に、夫々がハーネスの配線方向に対して等しく傾斜する2本のリブ壁9・10を互いに対向させてV字状に突設すると共に、この対向するベース板1側の各リブ壁9とロック板2側の各リブ壁10の高さ寸法を同一条件下で徐々に変化させて、ベース板1側の各リブ壁9とロック板2側の各リブ壁10間に連続して画成される保持空間に広狭の差を積極的に持たせる構成を採用したものである。
【0010】
これを具体的に説明すると、上記ベース板1側とロック板2側の全てのリブ壁9・10を断面三角形状となし、これら三角形状の各リブ壁9・10に対して、図2に示す如く、その中央頂部9a・10aを最大限低くし、当該各中央頂部9a・10aから続く両側頂部9b・9c・10b・10cを徐々に高くすることにより、ロック板2のロック爪4をベース板1の受け部6に係合した状態では、ベース板1のリブ壁9における中央頂部9aとロック板2のリブ壁10における中央頂部10a間に画成される保持空間が最も広くなり、各リブ壁9・10における両側頂部9b・10bと9c・10c間に画成される保持空間が徐々に狭まって、その各最端縁の保持空間が最も狭くなるように設定する。
【0011】
依って、斯る構成の保持クリップを用いて、ハーネスHをパネル11の定位置に固定する場合には、最初の段階では、ベース板1のリブ壁9の中央頂部9aにハーネスHを載置して、後は、ロック板2を薄肉ヒンジ5を介してベース板1方向に回動して、該ロック板2のロック爪4と補助ロック爪7とをベース板1の対応する受け部6と補助受け部8とに夫々係合すれば、一応、ハーネスHがベース板1とロック板2間に仮保持できることとなる訳であるが、この仮保持状態にあっては、図3に示す如く、ハーネスHがベース板1のリブ壁9における中央頂部9aとロック板2のリブ壁10における中央頂部10a間で画成される最も広い保持空間内に位置することとなるので、特に、ロック板2のロック爪4と補助ロック爪7とをベース板1の受け部6と補助受け部8とに係合させる作業に際しては、それ程大きな操作力が要求されることがない。
【0012】
そして、次に、斯る仮保持状態のまま、今仮に、ハーネスHを図4のAに示すF1方向に引っ張ると、ハーネスHがベース板1とロック板2の各リブ壁9・10の頂部稜線に案内されながら、ベース板1のリブ壁9における内寄り側頂部9bとロック板2のリブ壁10における内寄り側頂部10bで画成される狭い保持空間方向Xに移行して、同図のBに示す如く、当該最も狭い内寄りの保持空間内に本保持されることとなるので、これにより、ハーネスHはベース板1のリブ壁9とロック板2のリブ壁10とで上下から強い力を伴って押さえ付けられる。
【0013】
逆に、ハーネスHを図5のAに示すF2方向に引っ張ると、ハーネスHがベース板1とロック板2の各リブ壁9・10の頂部稜線に案内されながら、今度は、ベース板1のリブ壁9における外寄り側頂部9cとロック板2のリブ壁10における外寄り側頂部10cで画成される狭い保持空間方向Yに移行して、同図のBに示す如く、当該最も狭い外寄りの保持空間内に本保持されることとなるので、やはり、ハーネスHはベース板1のリブ壁9とロック板2のリブ壁10とで上下から強い力を伴って押さえ付けられる。
【0014】
従って、実際の作業に際しては、保持すべきハーネスHを引き易い方向に引っ張って、各保持空間内に本保持した状態を得て、後は、従来と同様に、脚体3をパネル11の取付孔12に弾性係着すれば、図6に示す如く、従来の如く、ハーネスHを無理に蛇行状態に押し曲げて保持しなくとも、ハーネスHがベース板1上で不用意に移動したり、自動車の走行振動等により抜け外れることを有効に防止できる訳である。
尚、2本のハーネスHの本保持位置は、図6にあっては、夫々が各リブ壁9・10の外側寄りで保持されている状態を示しているが、これに限定されるものではなく、夫々を各リブ壁9・10の内側寄りで保持することも可能であるし、且つ、一方のハーネスHを各リブ壁9・10の外側寄りで保持し、他方のハーネスHを各リブ壁9・10の内側寄りで保持することも可能であるので、本保持する位置を適宜選択すれば、パネル11に対する正確な位置規制が可能となると共に、パネル11の定位置に対するハーネスHの位置ズレ等をも効果的に吸収できることとなる。
【0015】
又、上記の実施例では、ハーネスHの本保持位置を二方向に選択することを可能とするために、図2に示す如く、各リブ壁9・10の中央頂部9a・10aを最大限低くして、当該中央頂部9a・10aから続く両側頂部9b・9c・10b・10cを徐々に高くする構成を採用したものであるが、本発明はこれに限定されるものではなく、図7のAに示す如く、各リブ壁9・10の内寄り側頂部9b・10bを最も高くし、外寄り側頂部9c・10cを最も低くして、その中間をこの高低差に応じて徐々に変化させたり、逆に、同図のBに示す如く、各リブ壁9・10の内寄り側頂部9b・10bを最も低くし、外寄り側頂部9c・10cを最も高くして、その中間をこの高低差に応じて徐々に変化させても、本保持位置が一方向に限定される点を除けば、実施例のものと同様な作用効果が期待できることとなる。但し、これらの場合にあっても、ベース板1側とロック板2側の各リブ壁9・10の頂部高さを同一条件下で変化させなければならないことは言うまでもない。
【0016】
更に、実施例では、ベース板1の上面とロック板2の内面に突設される夫々のリブ壁9・10をV字状に交差するように配置したものであるが、各面側において、2本のリブ壁9・10を一定の間隔をおいて平行となるように配置しても、同様な効果が得られることとなる。しかし、この場合にあっても、平行する各リブ壁9・10が、ハーネスHの配線方向に対して傾斜することは勿論である。
又、実施例では、2本のハーネスHを保持する保持クリップを対象としているが、この点に関しても拘束されるものではなく、具体的には図示しないが、同一原理の下で、1本のハーネスHを保持する保持クリップとして構成したり、2本以上のハーネスHを保持する保持クリップとして構成することも実施に応じ任意である。
【0017】
【発明の効果】
以上の如く、本発明は、上記構成の採用により、それ程大きな操作力を用いずとも、ロック板のロック爪をベース板の受け部に簡単に係合させることが可能となるので、従来のものと比較すると、作業性が極めて良好となると共に、ハーネスを無理に蛇行状態に押し曲げて保持しなくとも、保持空間に付与された広狭の差を利用するだけで、ハーネスを確実強固に保持できるので、ハーネスがベース板上で不用意に移動したり、自動車の走行振動等により抜け外れる心配も決してない。
又、ハーネスを狭い保持空間側で本保持することは、ハーネスのパネルに対する位置規制や位置ズレの吸収にも大いに役立つこととなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係るハーネス保持クリップを展開して示す斜視図である。
【図2】ベース板とロック板の各リブ壁の形状を説明する概略図である。
【図3】ハーネスを仮保持した状態を示す正面図である。
【図4】(A)は仮保持状態にあるハーネスを一方向に引っ張って本保持方向へ移行させる原理を示す説明図、(B)はその本保持状態を示す正面図である。
【図5】(A)は仮保持状態にあるハーネスを他方向に引っ張って本保持方向へ移行させる原理を示す説明図、(B)はその本保持状態を示す正面図である。
【図6】本保持状態にあるハーネスを最終的にパネルの定位置に固定した状態を示す断面図である。
【図7】(A)(B)はリブ壁の形状の他例を説明する概略図である。
【符号の説明】
H ハーネス
1 ベース板
2 ロック板
3 脚体
4 ロック爪
5 薄肉ヒンジ
6 受け部
9 ベース板側のリブ壁
9a 同中央頂部
9b 同内寄り側頂部
9c 同外寄り側頂部
10 ロック板側のリブ壁
10a 同中央頂部
10b 同内寄り側頂部
10c 同外寄り側頂部
11 パネル
12 取付孔
Claims (1)
- ベース板の一端部に先端にロック爪を有するロック板を回動可能に連設し、ベース板の他端部に上記ロック板のロック爪を係合する受け部を設ける一方、ベース板の下面にパネルの取付孔に係着する脚体を設けて、ベース板の上面とロック板の内面間でハーネスを保持するハーネス保持クリップであって、上記ベース板の上面とロック板の内面夫々に、ハーネスの配線方向に対して等しい角度で傾斜するリブ壁を対向して突設すると共に、この対向する各リブ壁の高さ寸法を高低差をつけて連続的に変化させて、ベース板側のリブ壁とロック板側のリブ壁間に連続して画成される保持空間に広狭の差を持たせたことを特徴とするハーネス保持クリップ。
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