JP3758553B2 - クロック発振回路およびそれを備えたスイッチングレギュレータ - Google Patents

クロック発振回路およびそれを備えたスイッチングレギュレータ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スイッチングレギュレータに用いられるクロック発振回路、およびそのスイッチングレギュレータに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、スイッチングレギュレータでは、商用交流電源からの交流電圧を整流および平滑して得られた直流電圧を、スイッチング素子によってスイッチングすることにより高い周波数の交流電圧にし、この交流電圧から高周波トランス等を用いて所望の直流電圧を生成し、この直流電圧と所定の基準電圧との差を負帰還させることで安定な直流電源電圧が得られるように構成されている。
【0003】
ここで、上記スイッチング素子の出力は、高周波トランスの1次側巻線に与えられるので、磁気飽和を回避するために、できるだけスイッチング素子の出力に直流電流成分を含まないようにする必要がある。そのためには、たとえばパルス周波数変調(PFM)発振器を制御に使用している場合は、発振周波数が変化したときでもデューティーサイクルがほぼ50%に維持できるようにする必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記クロック信号を発振させるクロック発振回路は、たとえば図9に示すように、CMOSからなる第1ないし第4インバータ41〜44が直列接続され、第1ないし第3インバータ41〜43に対して抵抗R31が並列接続され、第1および第2インバータ41,42に対して、コンデンサC21が並列接続されている構成のものが一般的である。
【0005】
また、他の構成のクロック発振回路では、図10に示すように、CMOSからなる第1ないし第4インバータ45〜48が直列接続され、第1および第2インバータ45,46の間に抵抗R32が介装され、第2および第3インバータ46,47に対して抵抗R33が並列接続され、第1ないし第3インバータ41〜43に対して抵抗R34が並列接続され、第1インバータ44に対して、コンデンサC22が並列接続されている。
【0006】
図9に示すクロック発振回路においては、抵抗R31の値を変更することにより発振周波数を変化させることができる。また、図10に示すクロック発振回路においては、抵抗R34の値を変更することにより発振周波数を変化させることができる。
【0007】
抵抗R31,R34に流れる電流は、その方向がクロックの半周期ごとに変化するので、デューティサイクルを50%に維持するためには、いずれの方向の電流に対しても同じ抵抗値である必要がある。通常の抵抗器や機械的な可変抵抗器は、自ずとこの要求を満たすことができる。しかし、上記したように、高周波トランス等によって所望の直流電圧を生成し、この直流電圧と所定の基準電圧との差を負帰還させる際、負帰還の伝達が電気的に絶縁され、しかも高速性を必要とする場合、機械的な可変抵抗器は不向きである。
【0008】
そこで、この場合には、電子的に制御することのできる対称型の可変抵抗素子が必要となるが、上記抵抗R31,R34は、その両端の電位がグランドに対して固定されていない、いわゆるフロートの状態とされている。そのため、可変抵抗素子を制御する基準電位が変動し、制御が困難であるため、フォトカプラで抵抗を制御することが効率的と言える。しかしながら、発光ダイオードおよびフォトトランジスタを組み合わせたフォトカプラや、発光ダイオードおよびフォトダイオードで構成されるフォトカプラでは、抵抗値が電流方向に依存するので、抵抗に流れる電流がいずれの方向に対して同じ値であるといった条件を満足することができない。
【0009】
この場合、フォトカプラを2個用いてそれぞれ電流の向きが逆方向になるように並列接続する方法も考えられるが、全く同じ特性を有する2個のフォトカプラを用いることは実際的に不可能である。また、発光ダイオードおよびCdSを組み合わせたフォトカプラを使用することも考えられ、CdS自体は、抵抗に対する電流の向きに方向性をもたないため対称性はよいが、応答時間が比較的長く高速性を要求できないといった欠点を有する。
【0010】
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、負帰還の伝達が電気的に絶縁されたフォトカプラ等で行われ、かつ高速性が必要とされるときでも、デューティサイクルをほぼ50%に維持することのできるクロック発振回路を提供することを、その課題としている。
【0011】
【発明の開示】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0012】
本発明の第1の側面によって提供されるクロック発振回路は、交流電圧を整流平滑して直流電圧とし、その直流電圧をスイッチングするためのスイッチング回路にタイミング信号を出力するためのクロック発振回路であって、入力信号を絶縁しつつ後段に伝達するためのフォトカプラと、上記フォトカプラの正極側端子および負極側端子にそれぞれ接続された一対のカレントミラー回路と、上記タイミング信号を生成する主発振回路と、上記一対のカレントミラー回路の出力端にそれぞれ接続されるとともに、上記主発振回路のタイミング信号に応じて交互にオンすることにより、上記主発振回路に設けられた充放電素子に対する電流の向きを変化させる一対のスイッチング素子とを備え、上記フォトカプラのフォトトランジスタのインピーダンスが上記入力信号に応じて制御されることにより、上記一対のカレントミラー回路間に流れる基準電流が制御されることを特徴としている。
【0013】
好ましい実施の形態によれば、上記一対のスイッチング素子は、出力端同士が互いに接続されているとともに、その接続部には、上記主発振回路の入力端が接続されており、上記主発振回路の出力端には、上記一対のスイッチング素子の各駆動端がそれぞれ接続されている。
【0014】
本発明の第2の側面によって提供されるクロック発振回路は、交流電圧を整流平滑して直流電圧とし、その直流電圧をスイッチングするためのスイッチング回路にタイミング信号を出力するためのクロック発振回路であって、入力信号を絶縁しつつ後段に伝達するための信号伝達回路と、上記信号伝達回路の正極側端子および負極側端子にそれぞれ接続された一対のカレントミラー回路と、上記タイミング信号を生成する主発振回路と、上記一対のカレントミラー回路の出力端にそれぞれ接続されるとともに、上記主発振回路のタイミング信号に応じて交互にオンすることにより、上記主発振回路に設けられた充放電素子に対する電流の向きを変化させる一対のスイッチング素子とを備え、上記主発振回路は、直列に接続された複数のインバータと、この複数のインバータのうち2個のインバータの入出力間に接続された第1抵抗と、最終段のインバータの出力と上記一対のスイッチング素子の各駆動端との間にそれぞれ介装された第2および第3抵抗とを備え、上記第1ないし第3抵抗と、最前段のインバータの入出力間に接続された上記充放電素子とを含むことを特徴とする
【0015】
本発明の第3の側面によって提供されるクロック発振回路は、交流電圧を整流平滑して直流電圧とし、その直流電圧をスイッチングするためのスイッチング回路にタイミング信号を出力するためのクロック発振回路であって、入力信号を絶縁しつつ後段に伝達するための信号伝達回路と、上記信号伝達回路の正極側端子および負極側端子にそれぞれ接続された一対のカレントミラー回路と、上記タイミング信号を生成する主発振回路と、上記一対のカレントミラー回路の出力端にそれぞれ接続されるとともに、上記主発振回路のタイミング信号に応じて交互にオンすることにより、上記主発振回路に設けられた充放電素子に対する電流の向きを変化させる一対のスイッチング素子と、上記タイミング信号を所定のデューティー比に設定するためのサーボ回路とを備え、上記サーボ回路は、上記主発振回路におけるインバータ出力と、その出力に対して反転された出力とが供給される一対の差動トランジスタと、それに接続された定電流回路とから構成されており、上記一対の差動トランジスタのうち一方の差動トランジスタの出力端からは、上記タイミング信号のデューティー比を補正するために、上記主発振回路の入力端に制御線を接続していることを特徴とする
【0016】
他の好ましい実施の形態によれば、上記定電流回路は、その駆動端が上記一対のカレントミラー回路の入力端に接続されている。
【0017】
本発明によれば、信号伝達回路としてのフォトカプラの正極側端子および負極側端子に一対のカレントミラー回路をそれぞれ接続し、一対のカレントミラー回路のそれぞれに、主発振回路から出力されるクロック信号に応じてオン、オフする一対のスイッチング素子を接続する。この場合、一方のスイッチング素子は、その駆動端がたとえば正極側電極端子に接続され、他方のスイッチング素子は、その駆動端がたとえば負極側電極端子に接続されているため、クロック信号の「high」レベル時および「low」レベル時で交互にオン、オフする。そのため、主発振回路の入力端側に設けられた充放電素子(たとえばコンデンサ)において充放電が行われることになり、主発振回路の入力端において、クロックの半周期ごとに逆方向の電流を流すことができる。したがって、負帰還の伝達が電気的に絶縁されたフォトカプラ等で行われ、かつ高速性が必要とされるときでも、デューティーサイクルをほぼ50%に維持することができる。
【0018】
本発明の第の側面によって提供されるスイッチングレギュレータは、本発明の第1〜第3の側面によって提供されるクロック発振回路が備えられたことを特徴としている。
【0019】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
【0021】
図1は、本発明に係るクロック発振回路が適用されたスイッチングレギュレータの概略回路ブロック図である。このスイッチングレギュレータは、整流平滑回路1、スイッチング回路2、トランス3、整流回路4、平滑回路5、電圧変化検出回路6、アイソレータ7、クロック発振回路8、および定電圧電源回路9を備えている。
【0022】
整流平滑回路1は、入力端子INに入力された商用交流電源からの交流電圧を整流および平滑し、得られた直流電圧をスイッチング回路2に供給する。整流平滑回路1は、たとえば図示しないダイオードブリッジ回路および平滑コンデンサからなる。
【0023】
スイッチング回路2は、クロック発振回路8により制御されて、整流平滑回路1からの直流電圧をスイッチングし、スイッチングにより得られた電圧をトランス3の1次側巻線に供給する。
【0024】
トランス3は、たとえば高周波トランスであり、1次側巻線に印加された電圧を所定の電圧に変圧して2次側巻線から出力させる。
【0025】
整流回路4は、トランス3の2次側巻線から出力された電圧を整流して平滑回路5に供給する。
【0026】
平滑回路5は、整流回路4からの電圧を平滑し、得られた直流電圧を出力端子OUTおよび電圧変化検出回路6に供給する。
【0027】
電圧変化検出回路6は、平滑回路5からの直流電圧と所定の基準電圧とを比較し、その偏差に応じた制御信号を、アイソレータ7を介してクロック発振回路8に供給する。
【0028】
アイソレータ7は、たとえばフォトカプラからなり、電圧変化検出回路6からの制御信号を絶縁するとともに、クロック発振回路8に伝達する。
【0029】
クロック発振回路8は、電圧変化検出回路6からの制御信号に応じた周波数のクロック信号を生成し、そのクロック信号をタイミング信号としてスイッチング回路2に供給する。クロック発振回路8は、後述する主発振回路16を内蔵しており、クロック信号のデューティサイクルを約50%に維持させる。
【0030】
定電圧電源回路9は、トランス3の1次側巻線からの電圧に基づいて、所定の電圧値の直流電圧を生成し、それをスイッチング回路2およびクロック発振回路8に電源として供給する。
【0031】
図2は、クロック発振回路8の回路図である。クロック発振回路8は、フォトカプラ11、第1および第2カレントミラー回路12,13、第1および第2スイッチングトランジスタ14,15、および主発振回路16を備えている。フォトカプラ11は、発光側の発光ダイオード17と、受光側のフォトトランジスタ18とを備えている。
【0032】
第1カレントミラー回路12は、ベース端子同士が互いに接続された一対のPNP型トランジスタ21,22と、一端が正極側電源端子VDDに、他端が両トランジスタ21,22のエミッタ端子にそれぞれ接続された2個の抵抗R1,R2とによって構成されている。一方のトランジスタ21は、ベース−コレクタ間が短絡され、コレクタ端子には、最大電流制限用抵抗R3の一端が接続されている。他方のトランジスタ22のコレクタ端子には、第1スイッチングトランジスタ14のエミッタ端子が接続されている。
【0033】
また、第2カレントミラー回路13は、ベース端子同士が互いに接続された一対のNPN型トランジスタ23,24と、一端が両トランジスタ23,24のエミッタ端子に、他端が負極側電源端子VSSに接続された2個の抵抗R4,R5とによって構成されている。一方のトランジスタ23は、ベース−コレクタ間が短絡され、コレクタ端子には、最小電流制限用抵抗R6の一端が接続されている。他方のトランジスタ24のコレクタ端子には、第2スイッチングトランジスタ15のエミッタ端子が接続されている。
【0034】
各電流制限用抵抗R3,R6は、直列接続され、最小電流制限用抵抗R6の両端には、フォトカプラ11のフォトトランジスタ18の出力端が接続されている。すなわち、各電流制限用抵抗R3,R6によって、これらの抵抗R3,R6に流れる基準電流Iの最大および最小を制限することで、発振周波数の上限および下限の範囲を制限するようにしている。
【0035】
第1スイッチングトランジスタ14は、そのベース端子が抵抗R7を介して正極側電源端子VDDに接続されている。一方、第2スイッチングトランジスタ15のベース端子は、抵抗R8を介して負極側電源端子VSSに接続されている。そして、第1および第2スイッチングトランジスタ14,15の各コレクタ端子は、互いに接続されている。
【0036】
第1および第2スイッチングトランジスタ14,15のコレクタ端子同士は、主発振回路16の入力端である第1インバータ25に接続されている。主発振回路16は、第1ないし第4インバータ25〜28と、抵抗R9〜R12と、コンデンサC1とによって構成されている。第1ないし第4インバータ25〜28は、直列的に接続されており、第1および第2インバータ25,26との間には、電流制限用抵抗R9が介装されている。
【0037】
第1インバータ25の両端には、コンデンサC1が並列接続され、積分回路を構成している。また、第2および第3インバータ26,27の両端には抵抗R10が並列接続されている。そして、第4インバータ28の出力端は、抵抗R11を介して第1スイッチングトランジスタ14のベース端子に接続されているとともに、抵抗R12を介して第2スイッチングトランジスタ15のベース端子に接続されている。
【0038】
次に、上記スイッチングレギュレータおよびクロック発振回路8における動作を説明する。このスイッチングレギュレータでは、商用交流電源からの交流電圧を整流平滑回路1によって整流および平滑し、これにより得られた直流電圧をスイッチング回路2によってスイッチングすることにより高い周波数の交流電圧にされる。この交流電圧は、トランス3の1次側巻線に供給され、2次側巻線から所定の電圧値に変圧されて出力される。2次側巻線から出力された電圧は、整流回路4によって整流され、平滑回路5によって平滑されて、出力端子OUTから出力されるとともに、電圧変化検出回路6に供給される。
【0039】
電圧変化検出回路6では、平滑回路5からの直流電圧と基準電圧との偏差に応じた制御信号がアイソレータ7を介してクロック発振回路8に供給される。クロック発振回路8では、電圧変化検出回路6からの制御信号に応じてスイッチング回路2に供給するクロック信号の周波数が変化される。具体的には、平滑回路5からの直流電圧が基準電圧よりも高い場合は、それに応じてクロック信号の周波数が高くなり、逆に平滑回路5からの直流電圧が基準電圧よりも低い場合は、それに応じてクロック信号の周波数が低くなる。
【0040】
クロック発振回路8では、電圧変化検出回路6からの制御信号がフォトカプラ11に供給される。これにより、フォトカプラ11の発光ダイオード17に流れる電流によって、フォトトランジスタ18の出力インピーダンスが制御されることになり、最大電流制限用抵抗R3に流れる基準電流Iが制御される。
【0041】
最大電流制限用抵抗R3に流れる基準電流Iは、正極側電源端子VDDおよび負極側電源端子VSSにかかる電圧と、抵抗R1の値、第1カレントミラー回路12の一方のトランジスタ21のベース・エミッタ間電圧、各電流制限用抵抗R3,R6の値、第2カレントミラー回路の一方のトランジスタ23のベース・エミッタ間電圧、および抵抗R4の値とによって決定される。
【0042】
一方、主発振回路16では、第1ないし第4インバータ25〜28によって、マルチバイブレータが構成され、クロック信号が出力端に出力される。このとき、クロック信号の「low」レベル時では、抵抗R11に図2における右向きの電流が流れ、この電流により第1スイッチングトランジスタ14がオンする。これにより、主発振回路16の入力端においては、図2に示すA方向の向きに電流が流れ、コンデンサC1において充電が行われる。また、このとき、第2スイッチングトランジスタ15は、オフとされる。
【0043】
一方、クロック信号の「high」レベル時では、抵抗R12に図2における左向きの電流が流れ、この電流により第2スイッチングトランジスタ15がオンする。これにより、主発振回路16の入力端においては、図2に示すB方向の向きに電流が流れ、この場合、コンデンサC1で蓄えられた電荷が放電される。また、このとき、第2スイッチングトランジスタ14は、オフとされる。
【0044】
このように、フォトカプラ11のフォトトランジスタ18の正極側端子および負極側端子に、それぞれ第1および第2カレントミラー回路12,13並びに第1および第2スイッチングトランジスタ14,15を組み合わせて設けることにより、主発振回路16で生成されるクロック信号の「high」レベル時、および「low」レベル時において、第1および第2スイッチングトランジスタ14,15のオン、オフを交互に切り換えることができる。これにより、主発振回路16の入力端において、クロック信号の「high」レベル時、および「low」レベル時とで電流の向きが切り換えられ、主発振回路16の入力端に設けられたコンデンサC1において充放電が行われる。そのため、負帰還の伝達が電気的に絶縁されたアイソレータ7等で行われ、かつ高速性が必要とされるときでも、また、一方向にしか電流を流すことのできないフォトカプラ11を用いても、デューティーサイクルをほぼ50%を維持して出力することができる。
【0045】
なお、主発振回路16においては、第1および第2スイッチングトランジスタ14,15のベース端子に対して、第4インバータ28の出力ではなく、第2インバータ26の出力を接続するようにしてもよい。
【0046】
また、図3に示すように、主発振回路16′において、抵抗R10〜R12の両端には、第1および第2スイッチングトランジスタ14,15のスイッチング速度を促進させるための小容量のコンデンサC2〜C4がそれぞれ並列接続されていてもよい。
【0047】
ここで、図2に示すクロック発振回路8において、さらにクロック信号のデューティーサイクルを50%に近づけるためには、たとえば図4に示すように、図2に示したクロック発振回路16に加えて、デューティーサーボ回路31を付加するようにしてもよい。
【0048】
図4によれば、デューティーサーボ回路31は、第3カレントミラー回路32と、差動増幅器を構成する誤差検出回路33とによって構成されている。
【0049】
第3カレントミラー回路32は、ベース端子同士が互いに接続された一対のPNP型のトランジスタ34,35と、一端が正極側電源端子VDDに、他端が両トランジスタ34,35のエミッタ端子にそれぞれ接続された2個の抵抗R14,R15とによって構成されている。一方のトランジスタ35は、ベース−コレクタ間が短絡されている。そして、他方のトランジスタ34のコレクタ端子と、第2スイッチングトランジスタ15のコレクタ端子とが、制御線Lによって接続されている。
【0050】
誤差検出回路33は、2個の差動トランジスタ36,37と、定電流トランジスタ38と、抵抗R16〜R22と、コンデンサC5,C6とによって構成されている。
【0051】
差動トランジスタ36,37は、その各コレクタ端子が第3カレントミラー回路32のトランジスタ34,35のコレクタ端子にそれぞれ接続されるとともに、互いにエミッタ端子同士が接続されている。一方の差動トランジスタ36は、そのベース端子が抵抗R16を介して主発振回路16の第4インバータ28の出力に接続されているとともに、抵抗R17を介して負極側電源端子VSSに接続されている。抵抗R17の両端には、コンデンサC5が並列接続されている。
【0052】
また、他方の差動トランジスタ37は、そのベース端子が抵抗R18を介して主発振回路16の第3インバータ27の出力に接続されているとともに、抵抗R19を介して負極側電源端子VSSに接続されている。抵抗R19の両端には、コンデンサC6が並列接続されている。
【0053】
定電流トランジスタ38は、コレクタ端子が差動トランジスタ36,37のエミッタ端子に接続され、エミッタ端子が抵抗R20を介して負極側電源端子VSSに接続されている。また、ベース端子は、抵抗R21を介して正極側電源端子VDDに接続されているとともに、抵抗R22を介して負極側電源端子VSSに接続されている。すなわち、定電流トランジスタ38のベース端子には、抵抗R21,R22によって固定バイアス電圧が印加される。
【0054】
通常、クロックのデューティーサイクルが50%であると、主発振回路16の第3インバータ27の出力(図4の点C参照)と、それを第4インバータ28で反転した出力(図4の点D参照)とのそれぞれの平均電圧は、等しくなるはずである。ところが、図5に示すように、デューティーサイクルが50%でない場合には、第3インバータ27の出力と、第4インバータ28の出力とでは、平均電圧が異なる。
【0055】
そこで、上記のように、図2に示すクロック発振回路8にデューティーサーボ回路31を付加するようにすれば、第3インバータ27の出力、および第4インバータ28の出力における平均電圧が等しくなるようになる。すなわち、誤差検出回路33において検出される、第3および第4インバータ27,28の出力平均電圧差に相当する補正微小電流ΔAもしくはΔBを制御線Lに流すようにして、主発振回路16の入力端において、逆方向A,Bに流れる電流が等しくなるようにしている。これにより、クロック信号のデューティーサイクルを50%により近づけることができる。
【0056】
ところで、図4に示すクロック発振回路8′において、たとえば、第1および第2カレントミラー回路12,13の電流伝達比に誤差が生じると、この電流伝達比の誤差により、主発振回路16の入力端における電流の値が充電時と放電時とで異なってしまい、この充放電時における電流誤差により、デューティーサイクルに変移が生じる。
【0057】
第1および第2カレントミラー回路12,13の電流伝達比の誤差による充放電時における電流誤差は、最大電流制限用抵抗R3に流れる基準電流Iに比例する。具体的には、基準電流Iが小さいときには、すなわち発振周波数が低いときには充放電時の誤差電流も小さく、基準電流Iが大きいときには、すなわち発振周波数が高いときには充放電時の誤差電流も大きくなる。
【0058】
ここで、上記補正微小電流ΔAもしくはΔBを流すための定電流トランジスタ38において、そのベース端子に対するバイアス電流は、抵抗R21,R22によって固定された電流となっている。そのため、誤差検出回路33では、発振周波数が急変した場合に、それにともなって即座に補正微小電流ΔA,ΔBを急変させることができない。すなわち、図6に示すように、発振周波数自体は比較的高速に変化するが、デューティーサイクルは、発振周波数の切換時においてその変化に追従することが困難となり、しばらくの間デューティーサイクルが50%からずれてしまうといった欠点を有する。
【0059】
そこで、図7に示すように、デューティーサーボ回路31′においては、誤差検出回路33の定電流トランジスタ38のベース端子と、第2カレントミラー回路13のトランジスタ23のコレクタ端子とを制御線Eによって接続するようにしている。
【0060】
換言すれば、正極側電源端子VDDと抵抗R21,R22とによって定電流回路として構成された定電流トランジスタ38のベース端子に対するバイアス電流を、最大電流制限用抵抗R3を流れる基準電流Iと比例するように、第2カレントミラー回路13のトランジスタ23のコレクタ端子から与えるようにしている。
【0061】
これにより、補正微小電流ΔA,ΔBは、最大電流制限用抵抗R3に流れる基準電流Iに比例することになり、すなわち、主発振回路16の入力端における充放電時の誤差電流を打ち消すように、補正微小電流ΔAもしくはΔBを流すことができる。そのため、発振周波数が急変した場合でも、デューティーサーボ回路31′の補正微小電流ΔAもしくはΔBは、発振周波数の急変に即座に追従して流れるので、充放電時に流れる電流を等しくすることができ、図8に示すように、デューティーサイクルをほぼ50%に維持することができる。
【0062】
したがって、発振周波数が急変した場合であっても、デューティーサイクルをほぼ50%に維持することができるPFM発振器としてのクロック発振回路8′を提供することができる。また、デューティーサイクルをほぼ50%に維持しながらスイッチング回路2に対するクロック信号を生成することができるので、トランス3に直流成分を含まない純交流電圧を印加させることができる。
【0063】
もちろん、この発明の範囲は上述した実施の形態に限定されるものではない。たとえば、上記実施形態においては、カレントミラー回路12,13,32、主発振回路16,16′、およびデューティーサーボ回路31,31′等の一例を示したが、これらの具体的な回路構成は、上記した回路構成に限るものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るクロック発振回路が適用されたスイッチングレギュレータの概略回路ブロック図である。
【図2】図1に示すクロック発振回路の回路図である。
【図3】図2に示すクロック発振回路の変形回路図である。
【図4】デューティーサーボ回路が付加されたクロック発振回路の回路図である。
【図5】第3インバータおよび第4インバータの出力波形を示す図である。
【図6】発振周波数とデューティーサイクルとの関係を示す図である。
【図7】デューティーサーボ回路が付加されたクロック発振回路の変形回路図である。
【図8】図7に示す変形回路図における発振周波数とデューティーサイクルとの関係を示す図である。
【図9】従来のクロック発振回路の回路図である。
【図10】従来の他のクロック発振回路の回路図である。
【符号の説明】
8 クロック発振回路
11 フォトカプラ
12 第1カレントミラー回路
13 第2カレントミラー回路
14 第1スイッチングトランジスタ
15 第2スイッチングトランジスタ
16 主発振回路
25〜28 インバータ
31 サーボ回路
36,37 差動トランジスタ
38 定電流トランジスタ

Claims (6)

  1. 交流電圧を整流平滑して直流電圧とし、その直流電圧をスイッチングするためのスイッチング回路にタイミング信号を出力するためのクロック発振回路であって、
    入力信号を絶縁しつつ後段に伝達するためのフォトカプラと、
    上記フォトカプラの正極側端子および負極側端子にそれぞれ接続された一対のカレントミラー回路と、
    上記タイミング信号を生成する主発振回路と、
    上記一対のカレントミラー回路の出力端にそれぞれ接続されるとともに、上記主発振回路のタイミング信号に応じて交互にオンすることにより、上記主発振回路に設けられた充放電素子に対する電流の向きを変化させる一対のスイッチング素子とを備え
    上記フォトカプラのフォトトランジスタのインピーダンスが上記入力信号に応じて制御されることにより、上記一対のカレントミラー回路間に流れる基準電流が制御されることを特徴とする、クロック発振回路。
  2. 上記一対のスイッチング素子は、出力端同士が互いに接続されているとともに、その接続部には、上記主発振回路の入力端が接続されており、
    上記主発振回路の出力端には、上記一対のスイッチング素子の各駆動端がそれぞれ接続されている、請求項1に記載のクロック発振回路。
  3. 交流電圧を整流平滑して直流電圧とし、その直流電圧をスイッチングするためのスイッチング回路にタイミング信号を出力するためのクロック発振回路であって、
    入力信号を絶縁しつつ後段に伝達するための信号伝達回路と、
    上記信号伝達回路の正極側端子および負極側端子にそれぞれ接続された一対のカレントミラー回路と、
    上記タイミング信号を生成する主発振回路と、
    上記一対のカレントミラー回路の出力端にそれぞれ接続されるとともに、上記主発振回路のタイミング信号に応じて交互にオンすることにより、上記主発振回路に設けられた充放電素子に対する電流の向きを変化させる一対のスイッチング素子とを備え、
    上記主発振回路は、直列に接続された複数のインバータと、この複数のインバータのうち2個のインバータの入出力間に接続された第1抵抗と、最終段のインバータの出力と上記一対のスイッチング素子の各駆動端との間にそれぞれ介装された第2および第3抵抗と、最前段のインバータの入出力間に接続された上記充放電素子とを含むことを特徴とする、クロック発振回路。
  4. 交流電圧を整流平滑して直流電圧とし、その直流電圧をスイッチングするためのスイッチング回路にタイミング信号を出力するためのクロック発振回路であって、
    入力信号を絶縁しつつ後段に伝達するための信号伝達回路と、
    上記信号伝達回路の正極側端子および負極側端子にそれぞれ接続された一対のカレントミラー回路と、
    上記タイミング信号を生成する主発振回路と、
    上記一対のカレントミラー回路の出力端にそれぞれ接続されるとともに、上記主発振回路のタイミング信号に応じて交互にオンすることにより、上記主発振回路に設けられた充放電素子に対する電流の向きを変化させる一対のスイッチング素子と、
    上記タイミング信号を所定のデューティー比に設定するためのサーボ回路とを備え
    上記サーボ回路は、上記主発振回路におけるインバータ出力と、その出力に対して反転された出力とが供給される一対の差動トランジスタと、それに接続された定電流回路とから構成されており、
    上記一対の差動トランジスタのうち一方の差動トランジスタの出力端からは、上記タイミング信号のデューティー比を補正するために、上記主発振回路の入力端に制御線を接続していることを特徴とするクロック発振回路。
  5. 上記定電流回路は、その駆動端が上記一対のカレントミラー回路の入力端に接続されている、請求項4に記載のクロック発振回路。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載のクロック発振回路が備えられたことを特徴とする、スイッチングレギュレータ。
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