JP3758343B2 - 車両用バンパスプリング - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両サスペンションのサスペンションインシュレータに対するショックアブソーバの取付部に配置され、ショックアブソーバの変位の際にショックアブソーバのシリンダが当接され、変位を弾性的に緩和させる弾性材料からなる筒形状の車両用バンパスプリングに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の車両用バンパスプリングとしては、例えば図4に示すように、全体を略等しい肉厚の蛇腹形状にすると共に全長を長くして、ショックアブソーバとの間隔を小さくしたものが知られている。そのため、このバンパスプリングは、車両の通常走行時においても、その減衰作用が働くようになっており、またストロークが大きいことによりエネルギ吸収を大きくできて、ショックアブソーバからの大きな変位の受け止めが可能になっている。さらに、バンパスプリングの全体を蛇腹形状とすることにより、軸方向への撓みを容易にして、圧縮時の車両用バンパスプリングの座屈を防止している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記車両用バンパスプリングは、全体が略等しい肉厚の蛇腹形状になっているため、10N/mm以下のような極低ばね域に対応することが困難であり、全長を長くしたことによりショックアブソーバの小さな変位の際にも当接するようになることから、そのような当接の頻度の増加によって当接時のショック感が問題になっている。これに対し、車両用バンパスプリングの肉厚を薄くすることにより、極低ばね域に対応することは可能であるが、車両用バンパスプリングの座屈強度が低下すると共に変位エネルギの吸収が少なくなり、大荷重入力に対応できないことになる。
本発明は、上記した問題を解決しようとするもので、極低ばね域に対応できてショックアブソーバとの当接によるショック感を緩和できると共に座屈強度の高い車両用バンパスプリングを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記目的を達成するために、上記請求項1に係る発明の構成上の特徴は、車両サスペンションのサスペンションインシュレータに対するショックアブソーバの取付部に位置して、ショックアブソーバのロッドの上端部が挿入され、ショックアブソーバの変位の際にショックアブソーバのシリンダが当接され、かかる変位を弾性的に緩和させる弾性材料からなる筒形状の車両用バンパスプリングであって、サスペンションインシュレータ側に位置する、内周面がストレート形状であり外周面の複数位置に同軸的にへこんだ環状凹部を有する上部筒部と、シリンダ側に位置する、内周面が径方向外側に向けてへこんだ1つの内側環状凹部を有すると共に全体が蛇腹状に屈曲させられた下部筒部とを備えてなり、内側環状凹部の最大内径を環状凹部の最小外径より大きくしたことにある。弾性材料としては、発泡ウレタン、ポリエステル系エラストマ、ゴム等が用いられる。
【0005】
上記のように構成した請求項1に係る発明においては、内側環状凹部の最大内径を環状凹部の最小外径より大きくしたことにより、下部筒部のショックアブソーバの当り始めが剪断変形で作用するため、当り始めの極低ばね域に対応できてショックアブソーバとの当接によるショック感を緩和できる。そして、ショックアブソーブのシリンダの当りがさらに強くなるにしたがって、内周面がストレート形状で外周面の複数位置に同軸的に屈曲凹部を有する上部円筒部が軸方向に撓んで圧縮変形することにより、バンパスプリングの座屈強度が確保され、大きな変位エネルギの吸収が可能になる。
その結果、請求項1の発明によれば、ショックアブソーバの当り始めの極低ばね域に対応できると共に、大荷重入力に対して、バンパスプリングが座屈することなく受け入れが可能となる。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明すると、図1及び図2は、同実施形態である自動車の車体とサスペンション間に介装される車両用のバンパスプリング10を断面図及び平面図により示したものである。
【0007】
バンパスプリング10は、発泡ウレタン製の筒状体であって、上端10aから下端10b近傍に至る上部筒部11と、その下に位置する下部筒部20とを一体で設けている。上部筒部11は、外周面の中間の2箇所及び下端位置に略V状の溝である3つの環状凹部12a,12b,12cを同軸的に設けており、この凹部によって外周面を上側から順に上側部11a、中間部11b、下側部11cに分けている。上側部11aは、外径が中間部11b及び下側部11c外形よりわずかに大きくなっている。上側部11aと中間部11bは高さが略同一であり、下側部11cより高くされている。上部筒部11の軸孔13は略ストレートになっているが、上端10aから上側部11aの上下中間位置に至る部分のみの内径が、他の部分よりわずかに小さくされており、この小径部13aの内径は、後述するショックアブソーバのロッドの外形と略同一にされている。
【0008】
上端10aには、直径位置に1対の溝部14,15が形成されている。溝部14,15は、その内端が小径部13a壁面に設けた軸方向に平行な内溝部14a,15aにつながっており、その外端が上側部11a外壁面に設けた軸方向に平行な外溝部14b,15bにつながっている。すなわち、溝部14,14a,14bと溝部15,15a,15bは、軸孔13内部とバンパスプリング10の外部とを連通させる空気の流通路になっている。
【0009】
下部筒部20は、環状凹部12cに続いて、下側部11cと略同一外径でかつ略同一高さの筒状部21と、筒状部21から下端10bの間の逆円錐面状に傾斜した傾斜部22とからなっている。また、下部筒部20の内周面は、上部筒部11の軸孔13の下端から続いて、筒状部21の上下略中間位置まで漏斗状に拡径されて底部23aとなり、底部23aから下端10bまでは漏斗状に縮径されており、内側環状凹部23に形成されている。そして、内側環状凹部23の最大内径である底部23aの内径は、上記環状凹部12a,12b,12cの最小外径より大きくされており、また、下端10bの開口23bの内径は、内周面13の内径よりわずかに大きくされている。すなわち、下部筒部20は、上部筒部11から続いて、1山の蛇腹形状に屈曲形成されており、そのため下部筒部20の肉厚は、上部筒部11各部分の肉厚に比べて薄肉になっている。上記バンパスプリング10は、図示しない成形金型に発泡ウレタン樹脂を注入することにより、一体的に形成されるものである。
【0010】
バンパスプリング10は、図3に示すように、自動車のサスペンションのショックアブソーバ30の取付部分に配置され、上端10aが車体に取り付けられるサスペンションインシュレータ31に固定され、下端10bがショックアブソーバ30のシリンダ32に近接して対向している。軸孔13内には、ショックアブソーバのロッド33が挿入されて、その先端がサスペンションインシュレータ31に固定される。
【0011】
以上のように構成したバンパスプリング10は、下部筒部20の底部23aの内径を環状凹部12a,12b,12cの最小外径より大きくしたことにより、上部筒部11に比べて薄肉になっており、かつ1山の蛇腹形状に屈曲形成されているため、バンパスプリング10へのシリンダ32の当り始めに対して下部筒部20は剪断により変形するようになっている。そのため、通常の車両走行時におけるような極低ばね領域の変形の頻繁な入力に対応して、バンパスプリング10に対するシリンダ32の当接によるショック感を緩和できる。
【0012】
そして、ショックアブソーブのシリンダ32の当りが強くなるにしたがって、環状凹部12a,12b,12cが圧縮変形することにより、変位エネルギを吸収する。さらにシリンダ32の当りが強くなると、上側部11a、中間部11b、下側部11cが圧縮変形することにより変位エネルギを吸収できる。また、上部筒部11の内周面が略ストレート形状で外周面の複数位置に同軸的に環状凹部12a,12b,12cを有するため、大きな変位が加えられても、上部筒部11が軸方向に撓んで圧縮変形することにより、バンパスプリング10の座屈を避けることができる。
【0013】
なお、本発明の車両用バンパスプリングの具体的外形等については、上記実施形態に示したものに限られるものではなく、適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である車両用バンパスプリングの図2に示すI−I線方向の断面図である。
【図2】同バンパスプリングを示す平面図である。
【図3】同バンパスプリングを自動車のサスペンション機構に取り付けた状態を示す断面図である。
【図4】従来例の車両用バンパスプリングを示すIV−IV線方向の断面図及び平面図である。
【符号の説明】
10…バンパスプリンブ、10a…上端、10b…下端、11…上部筒部、11a…上側部、11b…中間部、11c…下側部、12a,12b,12c…環状凹部、13…軸孔、13a…小径部、14,15…溝部、14a,15a…内溝部、14b,15b…外溝部、20…下部筒部、21…筒状部、22…傾斜部、23…内壁面、23a…底部、23b…開口、30…ショックアブソーバ、31…サスペンションインシュレータ、32…シリンダ、33…ロッド。
Claims (1)
- 車両サスペンションのサスペンションインシュレータに対するショックアブソーバの取付部に位置して、該ショックアブソーバのロッドの上端部が挿入され、該ショックアブソーバの変位の際に該ショックアブソーバのシリンダが当接され、かかる変位を弾性的に緩和させる弾性材料からなる筒形状の車両用バンパスプリングであって、
前記サスペンションインシュレータ側に位置する、内周面がストレート形状であり外周面の複数位置に同軸的にへこんだ環状凹部を有する上部筒部と、前記シリンダ側に位置する、内周面が径方向外側に向けてへこんだ1つの内側環状凹部を有すると共に全体が蛇腹状に屈曲させられた下部筒部とを備えてなり、前記内側環状凹部の最大内径を前記環状凹部の最小外径より大きくしたことを特徴とする車両用バンパスプリング。
Priority Applications (1)
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JP32578497A JP3758343B2 (ja) | 1997-11-27 | 1997-11-27 | 車両用バンパスプリング |
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JPH11159564A JPH11159564A (ja) | 1999-06-15 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US10029528B2 (en) | 2014-03-26 | 2018-07-24 | Sumitomo Riko Company Limited | Urethane bumper spring, and method for producing same |
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1997
- 1997-11-27 JP JP32578497A patent/JP3758343B2/ja not_active Expired - Fee Related
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US10029528B2 (en) | 2014-03-26 | 2018-07-24 | Sumitomo Riko Company Limited | Urethane bumper spring, and method for producing same |
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