JP3757774B2 - 空気清浄機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気中に含まれている汚れ物質を除去して清浄にするフィルタをフィルタ収容室に収容する空気清浄機に関する。本発明は例えば車両の室内の天井側に取り付けられる空気清浄機に適する。
【0002】
【従来の技術】
特開平7−315044号公報(公開日:1995年12月5日)には、図6に示すように、機内に延設された空気流路101と空気流路101の一部に設けられたフィルタ収容室102と、空気流路101を流れる空気流を形成するファンと、フィルタ収容室102に収容され空気流に含まれている汚れ物質を付着するフィルタ104とを有する自動車用空調装置が開示されている。
【0003】
この公報技術においてはフィルタ収容室102自体は、空気流が流れる空気流路101に設けられている。しかしながらフィルタ104をフィルタ収容室102に挿入するためのフィルタ挿入経路は、空気流が流れる空気流路101とは独立した別の経路として設けられている。即ち図6に示すように、空気流路101の経路とは別の箇所にフィルタ出入口200が形成されている。そしてフィルタ出入口200とフィルタ収容室102とを連通すべく、フィルタ収容室102の筒体106の壁106aに形成したスリット107と、スリット107の下方に設けられた空間108とにより、フィルタ出入口200とフィルタ収容室102とをつないでいる。このようにフィルタ挿入経路を構成する空間108及びフィルタ出入口200は、空気流が流れる空気流路101とは独立した別の経路とされている。
【0004】
この公報技術では、空気流路101の延設方向(図6の紙面の垂直方向)つまり空気流の流れ方向に対して交差する方向(矢印X1方向)に沿って、薄盤状のフィルタ104をフィルタ出入口200に挿入する。更に、空間108を利用して、空気流路101の延設方向(紙面の垂直方向)つまり空気流の流れ方向に対して交差する方向(矢印X2方向)に沿ってフィルタ104を旋回させつつ、スリット107からフィルタ収容室102に挿入する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記した図6に示す従来技術によれば、フィルタ104をフィルタ収容室102に挿入するためのフィルタ挿入経路は専用経路であり、空気流が流れる空気流路101とは独立した経路である。このような従来技術は、全体サイズの大型化を誘発する。この場合、コンパクト化の要請が強い場所、例えば車両の室内等に取り付ける装置としては、好ましいものではない。
【0006】
サイズの小型を図るべく、フィルタ出入口200のサイズHを小さくすると、フィルタ104を旋回挿入させづらくなり、フィルタ104の出入操作が容易ではなくなる。フィルタ104の出入操作を容易にするにはフィルタ出入口200の高さサイズHを大きくすれば良いが、全体サイズの大型化を招く。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、フィルタを旋回させつつフィルタ室に対して出し入れすることができ、しかも、空気流路とフィルタ挿入経路とを共通化でき、全体サイズのコンパクト化に貢献できる空気清浄機を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る空気清浄機は、機内に延設された空気流路と、空気流路の一部に設けられたフィルタ収容室と、空気流路を流れる空気流を形成するファンと、フィルタ収容室に収容され空気流に含まれている汚れ物質を付着するフィルタとを有する空気清浄機において、空気流路の一部を形成するフィルタ出入口と、該フィルタ収容室に連通するように且つフィルタ収容室の空気流方向に沿った中心線を介してフィルタ出入口に対して反対側に設けられフィルタの旋回を促進させる凹み部とを有し、
凹み部を用いてフィルタを旋回させつつ、フィルタ出入口から空気流路の延設方向に沿ってフィルタを移動させることにより、フィルタ収容室に対するフィルタの出し入れを行うようにしたことを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
・本発明によれば、空気流路の一部を形成するフィルタ出入口と、フィルタ収容室の空気流に沿った中心線を介してフィルタ出入口に対して反対側に設けられフィルタの旋回を促進させる凹み部とを有する。凹み部を用いてフィルタを旋回させつつ、空気流路の延設方向に沿って(つまり空気流の上流から下流への方向、あるいは、空気流の下流から上流への方向)、フィルタを移動させることにより、フィルタ出入口からフィルタの出し入れを行う。
【0010】
このように空気流路の延設方向に沿ってフィルタの出し入れを行うため、フィルタ挿入経路を空気清浄機の空気流路自体で構成することができる。従って従来技術とは異なり、空気流路に対して専用のフィルタ挿入経路を別途設けずとも良い。このようにフィルタ挿入経路を空気流路自体で構成している本発明に係る空気清浄機では、空気流路の下流側の吹出口がフィルタ出入口を兼用することができる。場合によっては、出し入れされるフィルタとファンとが干渉しない条件で、空気流路の上流側の吸気口がフィルタ出入口を兼用しても良い。
【0011】
・フィルタ出入口は、フィルタ収容室の空気流方向に沿った中心線に対して傾斜する向きに形成している形態を採用できる。この場合フィルタ収容室に対してフィルタを斜めに出し入れし易い。
【0012】
・凹み部は、フィルタ収容室の上流部及び下流部の少なくとも一方に、フィルタの旋回を補助する案内部をもつ形態を採用できる。更に詳しくは、旋回促進用の凹み部のうち、フィルタ収容室の上流端には、上流に向かうにつれて次第にフィルタ収容室に向かう傾斜をもつ第1案内部が形成されている形態を採用できる。フィルタ収容室の下流端には、下流に向かうにつれてフィルタ収容室に向かう傾斜をもつ第2案内部が形成されている形態を採用できる。凹み部は第1案内部及び第2案内部の少なくとも一方を有することができる。
【0013】
・フィルタとしては、PPやPET等の樹脂系材料から形成された不織布、あるいはガラス繊維フィルタを用いて形成することができる。塵埃等の捕獲のため、フィルタの表面積は大きいほど好ましいので、山折りと谷折りが交互に繰り返されたコルゲート形状とすることが望ましい。また必要に応じて帯電処理することも好ましい。フィルタは、活性炭、ゼオライト、シリカゲル等の少なくとも1種を主要成分とする層と、帯電処理した層とを積層して形成できる。
【0014】
・フィルタは、光触媒を併有する形態でも良く、光触媒を併有していない形態でもよい。フィルタが光触媒を併有する場合には、粉末状の光触媒をスラリー化して塗布、浸漬等によりフィルタに含浸させたものを採用でき、あるいは、フィルタとをなる材料に粉末状の光触媒を塗り込んでも良い。光触媒は、たばこ等のにおい物質を除去するのに有効であり、TiO2 、 WO3 、 CdS、SrTiO3 、MoS2 等公知のものを用いることができる。取扱容易性や活性の程度を考慮すると、TiO2を用いることが望ましい。TiO2の結晶構造としては、ルチル型及びアナターゼ型のいずれも用いることができるが、一般的には触媒活性の大きいアナターゼ型の方が好ましい。光触媒の形状は特に制限されず、粉末状あるいは粒子状等のように種々の形状及び大きさとすることができる。この場合には光触媒物質自体を粉末状、粒子状としても良いし、あるいは、粉末状や粒子状の担体に光触媒を担持することにしても良い。担体としては例えばシリカゲル粒子、活性炭等があげられるが、これらに限定されるものではない。
【0015】
・フィルタと光触媒とが空気清浄機に併有される場合には、光触媒はフィルタの下流側に配置しても上流側に配置しても良いが、フィルタで大きな粒子を捕獲できるため、大きな粒子が光触媒に付着することを抑制して光触媒の性能を高めること等を考慮すれば、光触媒はフィルタの下流に配置することが好ましい。光触媒を励起させる励起手段としては、発光ダイオード、ブラックライト、冷陰極管等を採用できる。この発光ダイオードとして短波長の光を発するものを採用でき、波長は例えば360nm〜400nmとすることができるが、この波長域に限定されるものではない。発光ダイオードとして窒化ガリウム(GaN)系を用いることができるが、これに限定されるものではない。発光ダイオードは小型素子であり、一般的には、設置のための空間を多く必要としないため、コンパクト化に有利である。また発光ダイオードは低電圧電流で発光するため、省電力に有利である。
【0016】
なお、光触媒がフィルタの下流側に設けられる形態では、発光ダイオード等の励起手段をフィルタの下流側に配置することもできる。空気流路を流れる空気流中の塵埃等がフィルタで除去されるため、発光ダイオード等の励起手段に塵埃等が付着することは抑制され、発光ダイオード等の励起手段を保護するのに有利であり、発光ダイオード等の励起手段の必要能力を長期にわたり維持できる。
【0017】
【実施例】
以下、本発明を具体化した実施例について、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
本実施例に係る空気清浄機は自動車等の車両の室内の天井側に取り付けられるものであり、図1に示すように、薄型つまり偏平型の本体1と、本体1のファン室1aに配置されたファン2と、本体1内のフィルタ収容室1bに配置された第1吸着部として機能する集塵用のフィルタ3と、本体1内に配置された第2吸着部として機能する光触媒40を収容した光触媒ホルダ4とを有する。図1に示すように、本体1は、車体の室内R側に吸気口10tをもつ前面板10と車体側の裏面板11とを一体的に連結して形成された箱形のボディ12と、室内Rに対面するようにボディ12の下面に着脱可能に装備された化粧グリル5とをもつ。
【0019】
図1において、前記した化粧グリル5は、本体1のボディ12の下面の半分以上を覆うと共に多数のグリル吸気口52を形成する吸気グリル51と、吸気グリル51に着脱可能に装着された吹出グリル54とを有する。吸気グリル51にはフィルタ出入口を兼ねる吹出口53が形成されている。図2に示すように、この吹出口53はフィルタ収容室1bの中心線Pに対して下向きとされている。本実施例の空気清浄機は室内Rの天井側に取り付けられるため、浄化した空気を吹出口53から下方の室内Rに向けて吹き出すためである。図2に示すように、吹出口53の法線53mは、下方に移行するにつれてフィルタ収容室1bから離れる方向に傾斜している。吹出口53は、浄化された空気流を室内Rに向けて吹き出す機能の他に、フィルタ3の出し入れを行うフィルタ出入口としても機能できる。
【0020】
前記した吸気グリル51は、室内Rに対面するように本体1の下面に着脱可能に装着されている。吹出グリル54は室内Rに対面しており、多数のグリル吹出口55をもつ。吹出グリル54のサイズは吸気グリル51よりも小さい。グリル吹出口55はフィルタ収容室1b及び室内Rに連通する。吹出グリル54を吸気グリル51の吹出口53に取り付けるにあたっては、図2から理解できるように、吹出グリル54の一端側の係止爪56を吸気グリル51の下流側の被係止部51sに係止させると共に、吹出グリル54の他端側のグリル係止爪54xを吸気グリル51の下流部51sのグリル係止爪51xに着脱可能に係止させる。
【0021】
図1に示すように、本体1内においてグリル吹出口55とグリル吸気口52との間には空気流路1cが形成されている。空気流路1cにおいては、上流側から下流側にかけて、グリル吸気口52に対面するファン2、主として塵埃等を捕獲するフィルタ3、主としてたばこ等の臭い等を除去する光触媒ホルダ4が順に配置されている。
【0022】
図1に示すファン2は遠心ファン(例えば多翼ラジアルファン)であり、複数の回転羽根20と、回転羽根20を駆動させる駆動部21とを有する。
【0023】
本体1を構成する裏面板11のうちフィルタ収容室1bにおいては、図1に示すように、フィルタ収容室1bの容積が増加する方向に裏面板11の壁部分11wを退避させることにより凹み部15が形成されている。凹み部15はフィルタ収容室1bの上部側に配置されており、後述から理解できるように、フィルタ3を旋回させるための旋回促進用空間として機能できる。図2から理解できるように、裏面板11のうち凹み部15を形成する壁部分11wは、空気流に沿った向きのフィルタ収容室1bの中心線Pに沿って延設されている。図2から理解できるように、凹み部15は、フィルタ収容室1bの中心線Pを介してフィルタ出入口でもある吹出口53と反対側に設けられている。凹み部15の凹み深さH1は、フィルタ3の高さHAよりもかなり小さく設定されている。なお、凹み部15の凹み長さL1はフィルタ3の長さLAよりもやや少な目である。凹み部15のうち、フィルタ収容室1bの上流端には、上流に向かうにつれて次第に下方(フィルタ収容室1b)に向かう傾斜をもつ第1案内部17が形成されている。フィルタ収容室1bの下流端には、下流に向かうにつれて下方(フィルタ収容室1b)に向かう傾斜をもつ第2案内部18が形成されている。
【0024】
フィルタ3は主として集塵を目的とする集塵フィルタであり、空気透過性及び可撓性をもつ薄板状のフィルタ材を山部3m及び谷部3nを交互に形成するようにプリーツ状に織り込まれて形成されており、全体外観は実質的に四角箱状(長さLA、高さHA、幅DA、図2及び図3参照)をなしており、図2に示すように、上面部3u、下面部3d、側面部3eをもつ。フィルタ3を構成するフィルタ材は、活性炭を主要成分とする層と、帯電処理した層とを積層した積層構造とされており、塵埃捕獲性を向上させている。図2に示すように、フィルタ3の上流端3fの端面3foは本体1の裏面板11のフィルタ上流係止部19に係止されており、これにより空気流路1cを流れる空気が凹み部15内に進入しないようにシールしていると共に、フィルタ3の挿入方向への位置決めを行っている。フィルタ上流係止部19は図3に示すように本体1の幅方向(矢印E方向)に沿って延設されており、フィルタ3の上流端3fの端面3foの全幅またはほぼ全幅をシールしている。
【0025】
図2に示すように、フィルタ3の下流端3rの端面3roは、本体1の裏面板11に保持されたフィルタ下流係止部1xに僅かに係止されており、これによってもフィルタ3の挿入方向への位置決め、フィルタ3のがた防止を行っている。なお図2に示すように、フィルタ下流係止部1xの下面である傾斜案内面1yは、下流側に移行するにつれて吹出グリル54側に向けて下降傾斜しており、出し入れされるフィルタ3の傾斜動作を促進させ得る機能を有する。
【0026】
更に、フィルタ3の下流端3rの下面部3d、上面部3u、側面部3eには、シール性の向上、フィルタ3のがたつきを一層抑えるためのクッション材31が保持されている。即ち、図2に示すように、フィルタ3の上面部3uのクッション材31が凹み部15の下流端に接触するため、フィルタ3の上面部3uのシール性が良好に維持されると共に、フィルタ3のがたつきが一層防止が行われている。また図2に示すように、吹出グリル54を閉じたときには、吹出グリル54の押込凸部57がフィルタ3の下面部3dのクッション材31に押し込まれるため、フィルタ3の下面部3dのシール性が良好に維持されると共に、フィルタ3のがたつきが一層抑えられている。
【0027】
上記したようにフィルタ3はフィルタ収容室1bにシール状態で収容されているため、空気流路1cを流れる空気は、凹み部15を通過することは抑えられ、フィルタ3内を確実に通過するようになる。フィルタ3の下流端3rの上部には、フィルタ引張部材として機能できるタブ33が一体的に設けられている。タブ33を指先等で引っ張ると、フィルタ収容室1b内のフィルタ3を吹出口53の側に引き抜くことができる。
【0028】
光触媒ホルダ4は主として脱臭を目的とする脱臭フィルタであり、フィルタ3の下流側において、下面が吹出グリル54に対面すると共に上面が励起手段49に対面するように設けられている。光触媒ホルダ4は空気透過性のための窓をもち、着脱可能に互いに一定的に取り付けられた第1ケース41及び第2ケース46で薄型つまり偏平型の箱状に形成されており、前述したように多数個の光触媒40をがたつかないように光触媒40を高密度で収容している。
【0029】
光触媒40は微小球状であり、TiO2を主要成分としている。図2に示すように、光触媒ホルダ4のうち、後述の励起手段49に対向する側には、多数の網目をもつ金属製のメッシュ部材42が配置されており、励起手段49に背向する側には、空気透過製をもちゴムや樹脂等の高分子材料が被覆されたメッシュ部材44、多数の網目をもつ金属製のメッシュ部材43が敷設されている。これにより微小球状の光触媒40の脱落を防止しつつ、微小球状の光触媒40を高密度で光触媒ホルダ4内に収容でき、微小球状の光触媒40ががたつかないようになり、且つ、空気透過性も確保されている。なお、メッシュ部材44にはゴムや樹脂等の高分子材料が被覆されているため、微粒子形状の光触媒40のがたつき音を抑えるのに有利である。
【0030】
光触媒ホルダ4は吹出グリル54の裏面54r側に着脱可能に装備されている。従って、本体1に取り付けられた吸気グリル51の吹出口53から吹出グリル54が取り外されると、光触媒ホルダ4も同様に本体1から自動的に取り外される。更に吹出グリル54から光触媒ホルダ4も取り外すことができるため、光触媒ホルダ4内の光触媒40を交換するのに有利である。
【0031】
図1、図2に示すように、光触媒ホルダ4に対面するように、光触媒ホルダ4の上方に、光触媒40を励起させる励起手段49が本体1内に保持されている。励起手段49は多数個の発光ダイオード49mを並設して形成されており、全体として薄型つまり偏平型をなしている。発光ダイオード49mは窒化ガリウム系光半導体で形成されており、短波長(波長360〜400nm)の光を光触媒40に照射するものであり、空気流路1cに露出している。発光ダイオード49mからの光が照射されると、光触媒40は励起されて活性化し、光触媒40に付着しているにおい物質等の物質を分解する作用が高まる。励起手段49はフィルタ3の下流側に配置されているため、空気流に含まれている塵埃が発光ダイオード49mに付着することは抑えられ、長期にわたる発光ダイオード49mの光量の確保に有利であり、ひいては発光ダイオード49mから照射される光で活性化される光触媒40の浄化能の確保にも有利である。
【0032】
本実施例に係る空気清浄機は、図3において、後側に設けられた爪部材90、本体1の固定部13の挿通孔14に挿通された取付具等を利用して車両の天井側に取り付けられる。ここで本体1、励起手段49、光触媒ホルダ4は薄型であるため、空気清浄機の薄型化に貢献でき、狭い室内Rにおいても天井壁部200に沿って違和感なく配置され、車体の室内Rを広く確保するのに有利である。なお天井壁部は200は内層202と外層201とからなる。
【0033】
次に空気清浄機を使用する場合について説明する。この場合にはファン2を回転させると共に、励起手段49の発光ダイオード49mを発光させ光触媒40を活性化させる。ファン2の回転により車両の室内Rの空気は、吸気グリル51のグリル吸気口52を介して吸気口10tから吸引され、その空気流は空気流路1cを流れ、フィルタ3及び光触媒40を順に経て浄化される。浄化された空気は吹出口53を経て、吹出グリル54のグリル吹出口55から室内Rに吹き出される。このような運転の継続により室内Rが次第に清浄化される。空気中の塵埃等のように比較的大きい粒子はフィルタ3で捕獲され、空気中に含まれている臭い物質の粒子等のように極微の粒子は光触媒40に吸着される。光触媒40に付着された物質は次第に分解除去される。
【0034】
空気清浄機の使用期間が長くなると、光触媒40を交換する必要がある。この場合には、図2に示すように、吹出グリル54のグリル係止爪54xと吸気グリル51のグリル係止爪51xとの間の隙間51nに、工具、コイン、指先等の挿入物SAを挿入して適宜回動操作させる。これによりグリル係止爪51x、54xの少なくとも一方を適宜弾性変形させ、吹出グリル54のグリル係止爪54xと吸気グリル51のグリル係止爪51xとの係止を解除する。すると、図4に示すように、光触媒ホルダ4が一体的に取り付けられた吹出グリル54が、吹出グリル54の係止爪56の付近を回動中心として、矢印B1方向に自重により回動しつつ下降する。図4において、吸気グリル51の下流側に設けられているストッパ部1mに、吹出グリル54の係止爪56が一次的に係止するため、吹出グリル54は、矢印B1方向に沿って下方に回動するもののストッパ部1mから直ちには分離せず、下方に回動した状態に維持される。従って、ストッパ部1mは、吹出グリル54を開放状態のまま本体1に一次的に保持する一次的保持手段として機能できる。
【0035】
その後、吹出グリル54全体を矢印B2方向に少量持ち上げてほぼ水平とし、吹出グリル54の係止爪56とストッパ部1mとの係止を解除する。解除した状態で、吹出グリル54を本体1の吸気グリル51から取り外して矢印B3方向に分離し、吹出口53を開放する。更に、吹出グリル54から光触媒ホルダ4を取り外し、新しい光触媒ホルダ4と交換する。そして新しい光触媒ホルダ4を吹出グリル54に取り付ける。その後、吹出グリル54の係止爪56をストッパ部1mに係止させると共に、吹出グリル54を矢印B2方向に上方旋回させ、吹出グリル54のグリル係止爪54xと吸気グリル51のグリル係止爪51xとを係止させ、吹出グリル54を吸気グリル51に着脱可能に取り付ける。なお、励起手段49で励起される光触媒40を有する光触媒ホルダ4の取外頻度は、フィルタ3の取外頻度に比較して少ないものである。
【0036】
さて本実施例の特徴形態、即ち、フィルタ3を空気清浄機に取り付ける形態について説明を加える。この場合にはフィルタ3を空気流路1cに沿ってこれの下流側から上流側に向けて押し込み移動させる。即ち、図5から理解できるように、吹出グリル54を本体1の吸気グリル51の吹出口53から分離し、フィルタ出入口である吹出口53を開放させた状態で行う。図5に示すように、上流端3fが上側となり、下流端3rが下側となるようにフィルタ3を斜めに傾ける。その状態のフィルタ3をこれの上流端3fから吸気グリル51の吹出口53から矢印D4方向に沿ってフィルタ収容室1bに向けて挿入する。このときフィルタ下流係止部1xの傾斜案内面1y及び凹み部15の第2案内部18の傾斜案内作用により、フィルタ3の上流端3f付近を良好に案内することができる。
【0037】
そして、フィルタ3の上流端3fの上部を凹み部15に進入させつつ、フィルタ3が偏平型のフィルタ収容室1bに沿うようにフィルタ3を次第に水平に近くなるように押し込みつつ旋回させる。凹み部15がフィルタ収容室1bに対面して形成されているため、斜めに傾斜したフィルタ3をほぼ水平に旋回させる旋回操作は容易となる。殊に本実施例においては、フィルタ3の上流端3fが第1案内部17にあたれば、第1案内部17の傾斜案内作用により、フィルタ3の上流端3fを下向きに案内することができ、フィルタ3を横向き(ほぼ水平状態)にさせる旋回操作が一層容易となる。
【0038】
上記のようにしてフィルタ収容室1bにフィルタ3を取り付けた後に、吹出グリル54を吸気グリル51の吹出口53に取り付ける。即ち、前述したように、吹出グリル54の係止爪56を吸気グリル51のストッパ部1mに係止させると共に、吹出グリル54を矢印B2方向に向けて上方旋回させ、吹出グリル54のグリル係止爪54xと吸気グリル51のグリル係止爪51xとを係止させ、吹出グリル54を吸気グリル51に取り付ける。
【0039】
次に、フィルタ3を本体1のフィルタ収容室1bから取り外す場合について説明を加える。この場合には基本的にはフィルタ3をフィルタ収容室1bに取り付ける場合と逆の操作を行えば良く、フィルタ収容室1b内のフィルタ3を空気流路1cの上流側から下流側に向けて引張って移動させる。即ち、まず吹出グリル54を本体1の吸気グリル51から外し、フィルタ出入口でもある吹出口53を開放させる。そして図5から理解できるように、フィルタ3の下流端3rの上部に連結されているタブ33を吹出口53側に向けて矢印D5方向に引っ張りながら、フィルタ3をフィルタ収容室1bから引き抜く。このときフィルタ3の上流端3fの上部が凹み部15に進入するように、フィルタ3の下流端3rが斜め下向きとなるように旋回させつつ、フィルタ3を更に引き抜く。本実施例では、フィルタ収容室1bの上部に凹み部15が形成されているため、引き抜く際にも、ほぼ水平のフィルタ3を、これの上流端3fが上側となり下流端3rが下側となるように、傾斜させつつ旋回操作することは容易となる。
【0040】
殊に本実施例においては、凹み部15の下流に設けられている第2案内部18や傾斜案内面1yの傾斜案内作用により、フィルタ3を斜め旋回する操作は一層容易となる。上記したように引き抜いた後、フィルタ3を清掃または交換する。そして清掃または交換したフィルタ3を前述のようにフィルタ収容室1bに再び取り付け、本体1に固定されている吸気グリル51の吹出口53に吹出グリル54を取り付ける。
【0041】
以上説明したように本実施例において、フィルタ出入口である吹出口55の反対側に設けた凹み部15を利用して、フィルタ3を旋回させつつ、フィルタ出入口である吹出口55から空気流路1cの延設方向に沿って(空気流の上流から下流への方向、あるいは、空気流の下流から上流への方向)フィルタ3を移動させてフィルタ3の出し入れを行う。このように空気流が流れる空気流路1cの延設方向に沿ってフィルタ3を移動させて出し入れを行うことができるため、空気流路1cとフィルタ挿入経路とを共通化できる。従って図6に示す従来技術とは異なり、フィルタ3を出し入れする専用のフィルタ挿入経路を、空気流路1cに対して独立に別個形成せずとも良い。よって、本体1のサイズのコンパクト化に貢献でき、車両の室内Rの天井側に取り付ける空気清浄機に適する。
【0042】
(その他)
上記した実施例では、フィルタ3は、空気透過性及び可撓性をもつ薄板状のフィルタ材を山部及び谷部を交互に形成するようにプリーツ状に織り込まれて形成されているが、これに限定されるものではなく、メッシュ材を用いても良い。メッシュ材は単層構造でも複層構造としても良い。フィルタ3は全体外観が実質的に四角箱状をなしているが、これに限らず円筒形状でも良い。フィルタ3を構成するフィルタ材は、活性炭を主要成分とする層と、帯電処理した層とを積層した積層構造とされているが、これに限らず単層構造でも良く、他の複層構造でも良い。フィルタ3はクッション材31をもつが、シール性が維持されれば、クッション材31を廃止しても良い。フィルタ3にはフィルタ引張部材として機能できるタブ33が一体的に設けられているが、引張操作性が維持されれば、タブは無くても良い。その他、本発明は上記し且つ図面に示した実施例のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できるものである。上記した実施例は本発明の概念を例示したものであり、実施例に記載の語句、部材、部材を修飾している語句は、一部であっても、各請求項に記載できるものである。
【0043】
(付記)上記した記載から次の技術的思想も把握できる。
・各請求項において、フィルタは空気流路の延設方向に沿ってのびる長さを有する箱状または筒状であることを特徴とする空気清浄機。
・各請求項において、フィルタと別体または一体で光触媒が設けられており、光触媒を励起する励起手段は、フィルタ収容室に対して出入されるフィルタと干渉しない配置されていることを特徴とする空気清浄機。
・各請求項において、フィルタは撓み性をもつフィルタ材で形成されていることを特徴とする空気清浄機。
・各請求項において、フィルタ収容室にフィルタを係止させるフィルタ係止部がフィルタ収容室の上流端及び下流端の少なくとも一方に設けられていることを特徴とする空気清浄機。
・各請求項において、フィルタ出入口は空気流路の下流側に、凹み部はフィルタ収容室の上側に形成されていることを特徴とする空気清浄機。
・各請求項において、凹み部を形成する壁部分は、フィルタ収容室の中心線に沿って延設されていることを特徴とする空気清浄機。
・各請求項において、凹み部の凹み長さはフィルタの長さよりもやや少な目であることを特徴とする空気清浄機。
・各請求項において、フィルタ収容室にフィルタが収容されているとき、凹み部の上流端はフィルタの上流端または上流端付近によりシールされていることを特徴とする空気清浄機。
・各請求項において、フィルタ収容室にフィルタが収容されているとき、凹み部の下流端はフィルタの下流端または下流端付近によりシールされていることを特徴とする空気清浄機。
・各請求項において、空気流路においてフィルタ収容室の下流側に、光触媒、光触媒を励起させる励起手段が配置されていることを特徴とする空気清浄機。
・各請求項において、空気流路においてフィルタ収容室の下流側に、光触媒、光触媒を励起させる励起手段が配置されており、励起手段とフィルタ収容室との間には、フィルタの上流端が上側にフィルタの下流端が下側となるようにフィルタを案内する傾斜案内面が設けられていることを特徴とする空気清浄機。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、凹み部を用いてフィルタを旋回させつつ、フィルタ出入口から空気流路の延設方向に沿ってフィルタの出し入れを行うため、空気流路とフィルタ挿入経路とを共通化できる。よって従来技術とは異なり、フィルタを挿入するための専用のフィルタ挿入経路を別途設けずとも良く、空気清浄機のサイズのコンパクト化に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係り、空気清浄機の断面図である。
【図2】本発明の一実施例に係り、空気清浄機のフィルタ及び光触媒ホルダ付近の拡大断面図である。
【図3】本発明の一実施例に係り、空気清浄機の平面図である。
【図4】本発明の一実施例に係り、吹出グリルを下方回動させた形態を示す拡大断面図である。
【図5】本発明の一実施例に係り、空気清浄機の本体のフィルタ収容室にフィルタを出し入れする過程を模式的に示す拡大断面図である。
【図6】従来技術に係り、フィルタ収容室にフィルタを出し入れする過程を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
図中、1は本体、1cは空気流路、15は凹み部、17は第1案内部、18は第2案内部、2はファン、3はフィルタ、4は光触媒ホルダ、40は光触媒、49は励起手段、51は吸気グリル、52はグリル吸気口、53は吹出口(フィルタ出入口)、54は吹出グリル、55はグリル吹出口をそれぞれ示す。
Claims (3)
- 機内に延設された空気流路と、該空気流路の一部に設けられたフィルタ収容室と、該空気流路を流れる空気流を形成するファンと、該フィルタ収容室に収容され空気流に含まれている汚れ物質を付着するフィルタとを有する空気清浄機において、
該空気流路の一部を形成するフィルタ出入口と、該フィルタ収容室に連通するように且つ該フィルタ収容室の空気流方向に沿った中心線を介して該フィルタ出入口に対して反対側に設けられ該フィルタの旋回を促進させる凹み部とを有し、
該凹み部を用いて該フィルタを旋回させつつ、該フィルタ出入口から該空気流路の延設方向に沿って該フィルタを移動させることにより、該フィルタ収容室に対する該フィルタの出し入れを行うようにしたことを特徴とする空気清浄機。 - 請求項1において、該フィルタ出入口は該空気流路の下流側の吹出口であることを特徴とする空気清浄機。
- 請求項1または請求項2において、該凹み部は、該フィルタ収容室の上流部及び下流部の少なくとも一方に、該フィルタの旋回を補助する案内部をもつことを特徴とする空気清浄機。
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