JP3700905B2 - 空気清浄機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、室内に配置され室内空気中の汚れ物質を除去して清浄にする空気清浄機に関し、さらに詳しくは光触媒により脱臭機能も付加した空気清浄機に関する。本発明の空気清浄機は薄型にすることができるので、できるだけ広い居室空間が求められる自動車室内などに設けると効果的である。
【0002】
【従来の技術】
自動車の室内には、車内の空気を清浄にするための空気清浄機が備えられている。この空気清浄機は、図10に示すように車体の天井に固定された基部 100と、基部 100に着脱可能に保持された本体部 200とからなり、本体部 200内には図11に示すようにファン 201と集塵フィルタ 202及び脱臭材 203が配置されている。
【0003】
集塵フィルタ 202は紙質材料から断面鋸刃形状に形成され、表面積を大きくすることで通過する空気中の微粒子状物質を捕捉する。また脱臭材 203は、ハニカム形状の基材に活性炭やゼオライトなどの吸着材を担持したものが用いられ、基材を通過する空気中の臭い物質を吸着することで脱臭する。
本体部 200には吸気口 204と吹出口 205とが設けられ、ファン 201の回転により吸気口 204から吸引された空気は、先ず集塵フィルタ 202を通過することで花粉や埃などが除去される。次いで脱臭材 203を通過すると、集塵フィルタ 202を通過したきわめて微細な煙草の煙などの臭い物質が吸着材に吸着するため悪臭が除去され、清浄となった空気は吹出口 205から吹き出す。
【0004】
この空気清浄機では、集塵フィルタ 202には花粉や埃などが堆積して蓄積し、最終的には目詰まりが生じる。したがって所定時間運転したら集塵フィルタ 202を新品に交換する必要がある。この場合には、本体部 200を基部 100から下方へ取り外し、本体部 200から集塵フィルタ 202を取り出して新品と交換する。
なお上記空気清浄機では、脱臭材 203も定期的に交換する必要があるが、この手間を省くために脱臭材 203の表面に光触媒を付着させ、内部にブラックライト、冷陰極管、紫外線ランプなど光触媒に短波長の光を照射する光源を配置した空気清浄機も知られている。このような空気清浄機では、空気中の有機物を主とする臭い物質を分解して除去することができる。また脱臭材に吸着した臭い物質が光触媒の触媒作用によって分解して脱臭材の吸着作用が回復するため、脱臭材の交換を不要とすることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが上記した従来の空気清浄機では、本体部 203が車室内に突出するため、車室内がその分狭くなる。したがって本体部 203の厚さをできるだけ薄くすることが求められ、できれば車室の天井内に本体部を埋設して吸気口と吹出口のみが表出するように構成することが望ましい。
【0006】
一方、上記したハニカム形状の脱臭材 203をもつ空気清浄機において、脱臭機能を向上させるためには脱臭材 203の空気と接触する面積を大きくする、すなわちハニカム通路の数を多くする必要がある。また通気抵抗を小さくするためには、ハニカム通路の伸びる方向をファン 201からの風向きと一致させることが望ましい。また空気清浄機の厚さを薄くするには、ファン 201からの風向きは車体天井に沿う方向とすることが望ましい。しかし、ファン 201からの風向きを車体天井に沿う方向とし、ハニカム通路の伸びる方向をファン 201からの風向きと一致させた場合において、ハニカム通路の数を多くすると本体部 200の厚さが厚くなり好ましくない。また脱臭材 203を図12に示すようにハニカム通路の方向が車体天井と直交するように配置すれば、ハニカム通路の数を多くしても全体の厚さを薄くすることができる。しかしハニカム通路の伸びる方向がファン 201からの風向きと直交するため、通気抵抗が大きくなって風量が低下するという不具合がある。
【0007】
つまり従来の空気清浄機では、脱臭材の形状が制約されているためその配置の自由度が低く、全体の厚さを薄くするにも制限があった。また従来の空気清浄機では、集塵フィルタ 202の交換は本体部 200を基部 100から取り外して行うため、交換作業に手間がかかるという不具合もある。
さらに、光触媒を利用することで脱臭材の交換を不要とする構造の空気清浄機では、光源としてブラックライトや冷陰極管などを用いているために光源に必要とするスペースが大きくなり、これによっても厚さを薄くすることが困難となっている。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、脱臭材の形状の自由度を高くすることでその配置の自由度を高くして全体の厚さを薄くし、かつ集塵フィルタの交換を容易とすることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決する請求項1に記載の空気清浄機の特徴は、吸気口と出口開口をもち両者の間に空気流路を構成する第1筒体と、吸気口より下流側で第1筒体内に配置されたファンと、吸気口より下流側で第1筒体内に着脱自在に配置され出口開口から着脱可能な集塵フィルタと、よりなる集塵部と、
入口開口と吹出口をもち両者の間に空気流路を構成する第2筒体と、第2筒体内に配置された粒子状の光触媒と、光触媒に短波長の光を照射する光源とよりなり、入口開口が出口開口に対向して接続されて吸気口と吹出口との間に空気流路が構成され、少なくとも第2筒体が第1筒体に取り外し可能に係合保持された脱臭部と、からなることにある。
【0010】
請求項1に記載の空気清浄機をさらに改良する請求項2に記載の空気清浄機の特徴は、請求項1に記載の空気清浄機において、光触媒は網状のホルダ内に収納された空気流通可能な触媒層として吹出口近傍に配置されていることにある。
請求項2に記載の空気清浄機をさらに改良する請求項3に記載の空気清浄機の特徴は、請求項2に記載の空気清浄機において、光源は基板上に固定された発光ダイオードからなり基板は脱臭部に流入する空気の流れ方向と略平行に配置されるとともに基板と触媒層とは鋭角で交差するように配置されていることにある。
【0011】
請求項1に記載の空気清浄機をさらに改良する請求項4に記載の空気清浄機の特徴は、請求項1に記載の空気清浄機において、光触媒の粒子は吸着材粉末と光触媒粉末とから構成されていることにある。
請求項1に記載の空気清浄機をさらに改良する請求項5に記載の空気清浄機の特徴は、請求項1に記載の空気清浄機において、集塵部及び脱臭部の少なくとも一方には、集塵部から脱臭部を取り外すことにより光源及びファンの少なくとも一方の運転が停止されるスイッチ部をもつことにある。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の空気清浄機は、自動車の室内に設けて最適であるが、居室、実験室などの室内に設けることもできる。
本発明の空気清浄機では、ファンの回転により空気が吸気口から集塵部に導入され、集塵フィルタで濾過された後、出口開口及び入口開口を通過して脱臭部に導入される。脱臭部では、空気は粒子状の光触媒どうしの間隙を通過して吹出口から吹き出す。そして光触媒には光源から短波長の光が照射されているため、空気は光触媒粒子どうしの間隙を通過する際に空気中の煙草の煙などの臭い物質が光触媒によって分解され、清浄な空気となって吹出口から吹き出す。
【0013】
そして集塵フィルタを交換するには、集塵部の第1筒体から脱臭部の第2筒体を取り外す。これにより集塵部の出口開口が表出し、その出口開口から集塵フィルタを着脱することができる。
なお粒子状の光触媒は、多孔質状とすることが望ましい。これにより空気との接触面積が一層増大するので、脱臭効率が一層向上する。この粒子状の光触媒は、例えば金網から形成されたホルダに充填して用いることができる。またホルダ内で光触媒粒子どうしが移動することによる異音が気になる場合には、複数のハニカム通路をもつホルダのそれぞれのハニカム通路内に分けて充填してもよい。
【0014】
本発明の空気清浄機では、粒子状の光触媒を用いているので、光源からの光の照射の方向性の制限がほとんどなく光触媒及び光源配置の自由度が高い。また脱臭すべき空気も粒子どうしの間隙及び粒子自体を通過するので、空気流れの方向性の制約が少ない。したがって光触媒の配置形状を最適に選択することで、通気抵抗を小さく維持しつつ脱臭部の厚さを薄くすることができる。
【0015】
また本発明の空気清浄機では、集塵部と脱臭部とを別体で構成し、集塵部の脱臭部と対向する出口開口から集塵フィルタを着脱可能としている。したがって脱臭部の第2筒体を集塵部の第1筒体から取り外すだけで集塵フィルタを交換することができ、交換が容易である。
請求項2に記載の空気清浄機では、光触媒は網状のホルダ内に収納された空気流通可能な触媒層として吹出口近傍に配置されている。したがってホルダ形状は、空気及び光の透過を可能とししつつ自由に設計することができ、空気清浄機の設計の自由度が高い。
【0016】
光触媒に短波長の光を照射する光源としては、従来と同様にブラックライトや冷陰極管などを用いることもできるが、請求項3に記載のように発光ダイオードを用いることが望ましい。これにより脱臭部の形状がきわめてコンパクトで薄くなり、光源用のプリント基板も脱臭部に配置することができる。この場合、請求項3に記載のように基板を脱臭部に流入する空気の流れ方向と略平行に配置するとともに基板と触媒層とが鋭角で交差するように配置すれば、光触媒と空気との接触面積を充分に確保しつつ通気抵抗を低くすることができる。
【0017】
短波長の光を発する発光ダイオ−ドとしては、pn接合された窒化ガリウム( GaN)系光半導体の結晶体が最適である。また、発光ダイオ−ドは非常に小さな発光素子であると共に、作動電圧が小さいため、乾電池等によっても発光させることができる。そのため、発光ダイオ−ドは設置のための空間を多く必要としないので、脱臭部をきわめてコンパクトな構造に形成することができる。
【0018】
なお発光ダイオ−ドは、人体に有害な紫外線、即ち、 320nm以下の波長の遠紫外線(UV-B、UV-C)を放射しないもので、波長 360〜 400nmのスペクトル範囲の光のみ放射するものであることが、発光効率及び電力消費の点で好ましい。
しかし実際には、発光ダイオ−ドの放射する光は、半導体レーザの場合とは異なり、一般に少なくとも50nmのスペクトル範囲を有する。したがって波長 360〜 400nmのみの光を放射する発光ダイオ−ドを得ることは困難であり、一般には可視光も放射される。しかし、可視光を放射することによって、発光ダイオ−ドが作動していることを容易に確認することができ、更に、その可視光が明彩色である場合には照明や表示としての効果も得ることができる。ただし、 400nmnm以下の波長の光(紫外線)であっても、 380nm程度までの光はぼんやりとした背景(暗い紫色)を呈するため、発光ダイオ−ドが 400nm以下の波長の光のみ放射する場合でも、その光は完全なブラック光ではなく、一般に視認可能なものである。
【0019】
光触媒としては、TiO2 、 WO3 、 CdS、SrTiO3 、MoS2 など公知のものを用いることができるが、安全性や活性の程度を考慮すると、TiO2を用いることが特に望ましい。TiO2の結晶構造としては、ルチル型及びアナターゼ型のいずれも用いることができるが、触媒活性の大きいアナターゼ型の方が好ましい。光触媒の粒子形状には特に制限されず、種々の形状及び大きさとすることができる。
【0020】
ところで、風量が大きく風速が大きい場合には、光触媒で分解しきれなかった臭い物質が吹出口から排出される場合が想定される。そこで請求項4に記載のように、光触媒の粒子は吸着材粉末と光触媒粉末とから構成することが望ましい。このように構成することにより、空気中の臭い物質は吸着材に吸着され、その状態であるいはそれが脱離する際に光触媒で分解されるため、風量が大きい場合にも臭い物質を確実に分解することができる。
【0021】
請求項5に記載のように、本発明の空気清浄機において集塵部及び脱臭部の少なくとも一方には、集塵部の第1筒体から脱臭部の第2筒体を取り外すことにより光源及びファンの少なくとも一方の運転が停止されるスイッチ部をもつことが望ましい。これにより脱臭部の第2筒体を集塵部の第1筒体から取り外すことで光源及びファンの少なくとも一方の運転が自動的に停止され、集塵フィルタを交換後に脱臭部の第2筒体を集塵部の第1筒体へ組み付けることにより光源及びファンの少なくとも一方の運転が自動的に再開される。したがって集塵フィルタの交換作業が一層簡易となり、交換作業の安全性も向上する。
【0022】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
図1〜図4に本発明の一実施例の空気清浄機を示す。この空気清浄機は、乗用車の天井に取り付けられて用いられる。
【0023】
この空気清浄機は、吸気口10をもつ集塵部1と、吹出口20をもつ脱臭部2とから構成され、集塵部1と脱臭部2との係合により吸気口10と吹出口20の間に空気流路が形成されている。集塵部1と脱臭部2との係合は図示しないロック手段により保持され、このロック手段を手指などで解除することで集塵部1と脱臭部2とを分離可能に構成されている。また集塵部1及び脱臭部2の背面にはブラケット3が設けられ、自動車室内の天井にブラケット3を介して吸気口10が下方に向かうように、かつ吹出口20が斜め下方に向かうように取付けられる。
【0024】
集塵部1の内部には、図2に示すように、吸気口10に対向してファン12が配置され、ファン12の横に集塵フィルタ13が配置されている。そしてファン12の回転により、空気流は吸気口10から集塵ファン13へ向かい集塵ファン13を通過して出口開口11へ向かうように構成されている。この集塵フィルタ13は、紙質材料から断面鋸刃形状に形成された複数枚のフィルタが筒状容器に収納されて一体化され、出口開口11から集塵部1の内部に挿入されている。
【0025】
脱臭部2は三角柱形状をなし、断面直角三角形の短辺部に入口開口21が開口し、斜辺部に吹出口20が開口している。また長辺部にはプリント基板22が配置され、プリント基板22上には短波長の光を発光する発光ダイオード23が配置されている。このプリント基板22には図示しない電気配線が接続され、自動車のバッテリーを電源とする直流電流により発光ダイオード23が発光するように構成されている。そして斜辺部の吹出口20には、光触媒を含む粒子状触媒24が充填されてなる触媒層25が配置されている。
【0026】
プリント基板22と触媒層25とは断面直角三角形の長辺と斜辺の関係にあり鋭角に交差している。そのためプリント基板22と触媒層25との間隔は、入口開口21から遠ざかるにつれて狭くなるので、発光ダイオード23から触媒層25に照射される光の光量は入口開口21から遠ざかるにつれて大きくなり、触媒層25の場所によって光量が異なることとなる。
【0027】
そこで本実施例では、プリント基板22上の発光ダイオード23の数に入口開口21側が多くなるような分布をもたせている。これにより触媒層25に照射される光の光量分布を均一とすることができる。
触媒層25は、粒子状触媒24が10メッシュの金網から薄い箱状に形成されたホルダに充填されて厚さの薄い板状に形成されている。このように金網状のホルダに充填した構造とすれば、ホルダ形状の自由度が高く種々の形状にして用いることができる。そして本実施例のように、厚さの薄い触媒層25とすれば、光源からの光を面として受光することができるので、単位受光面積当たりの光触媒量をきわめて多くすることができ脱臭効率がきわめて高い。また厚さを薄くすることができるので、空気清浄機の薄型化に貢献している。
【0028】
粒子状触媒24は、粒径 0.1μmのアナターゼ型TiO2粉末4重量部と、粒径 0.5μmの活性炭粉末1重量部、及び少量のバインダからなり、粒径4±1mmの多孔質のものである。そしてこの粒子状触媒24の形状は不定形に形成され、空気は粒子状触媒24どうしの間隙を通って触媒層25内を自由に通過可能となっている。また発光ダイオード23からの光も、粒子状触媒24どうしの間隙を通って触媒層25内をある程度透過可能に構成されている。さらに粒子状触媒25自体も多孔質であるので、空気及び光が粒子状触媒25の内部を通過する量も多い。したがって通過する空気が接触する粒子状触媒24の表面積はきわめて大きく、透過する光によって活性化される粒子状触媒24の面積もきわめて大きいものとなっている。
【0029】
この脱臭部2は、断面直角三角形の斜辺部と短辺部が交差する頂点部が集塵部1の出口開口11の下部に枢支され、脱臭部2はその枢支軸を中心にして揺動自在となっている。そして入口開口21が出口開口11と対向して結合され、脱臭部2は図示しないロック手段によって集塵部1に固定される。
また図4にも示すように、集塵部1の出口開口11近傍と脱臭部2の入口開口21近傍にはそれぞれ互いに結合可能なコネクタ14,26が設けられ、脱臭部2を集塵部1に結合したときにコネクタ14,26が接続されるように構成されている。このコネクタ14,26には発光ダイオード23の点灯回路とファン12の電源回路が接続され、コネクタ14,26の接続・分離により発光ダイオード23とファン12のオン−オフが可能となっている。
【0030】
上記のように構成された本実施例の空気清浄機では、集塵部1と脱臭部2とが結合された状態で、ファン12の回転により車室内の空気は吸気口10から集塵部1内に吸引され、集塵フィルタ13を通過することで花粉や埃などの粒子状の汚れが捕捉される。そして粒子状の汚れが捕捉され集塵フィルタ13を通過した空気は、出口開口11及び入口開口21を通過して脱臭部2に入り、触媒層25の粒子状触媒24どうしの間隙及び粒子状触媒24の内部を通過して吹出口20から再び車室内へ吹き出す。
【0031】
脱臭部2では、発光ダイオード23からの波長 360nm〜 400nmの短波長の光が触媒層25に均一な光量分布で照射され、粒子状触媒24中の光触媒であるTiO2が活性化されている。したがって空気中の煙草の煙などの臭い物質は、触媒層25を通過する間に粒子状触媒24によって分解されて脱臭される。また臭い物質の量が多い場合にも、臭い物質の所定量が粒子状触媒24中の活性炭に吸着され、それがTiO2によって分解されるため、臭い物質がそのまま吹出口20から排出されるのが抑制されている。
【0032】
そして長時間の使用により集塵フィルタ13に目詰まりが生じた場合などには、図示しないロック手段を解除することにより脱臭部2を集塵部1に対して下方へ揺動させる。これにより出口開口11が表出するため、図3に示すように集塵フィルタ13を出口開口11から引出して新品と交換することができる。
また脱臭部2を集塵部1に対して下方へ揺動させることでコネクタ14,26が分離されるため、ファン12が停止するとともに発光ダイオード23が消灯する。そして集塵フィルタ13を新品と交換後、脱臭部2を再び集塵部1と結合すれば、コネクタ14,26が自動的に接続されファン12の回転が再開されるとともに発光ダイオード23が点灯する。したがって安全かつ簡易に集塵フィルタ13を交換することができる。
【0033】
すなわち本実施例の空気清浄機によれば、光源に発光ダイオード23を用いているので、光源自体の体積をきわめて小さくすることができ、発光ダイオード23をプリント基板22に搭載すること及び光触媒を触媒層25とすることで脱臭部2を集塵部1に取り外し可能に係合保持することができる。したがって、脱臭部2を集塵部1から取り外すことで、集塵フィルタ13を天井に沿う横方向へ取り出すことができる。また粒子状触媒24が充填された触媒層25としたことで、触媒層25を通過する空気の方向性が不要となり、空気の流れ方向に対して触媒層25を傾斜した構成とすることができる。したがって粒子状触媒24の空気との接触面積を大きく確保することができるため脱臭効率が高く、通風抵抗が増大することもないので大きな風量を確保することができる。
【0034】
したがって上記の構成とすることにより、本実施例の空気清浄機はきわめて薄型となり、自動車の天井に取り付けた場合にも天井からの突出高さが小さいので車室を広く確保することができる。また全体の厚さが薄いため、吸気口10及び吹出口20のみが表出するように天井内に大部分を埋設することもでき、自動車天井の外観品質が向上する。
【0035】
なお、本実施例ではプリント基板22も脱臭部2とともに下方へ揺動する構成としたが、図5に示すようにプリント基板22は集塵部1とともに天井に固定された構成とすることもできる。このようにすれば、精密部品が搭載されているプリント基板22を不動とできるため、断線や破損などの不具合を回避することができる。
【0036】
また脱臭部2の取り外し方向も特に制限されず、図6に示すように枢支軸を天井に沿うように設けて上記実施例とは逆方向へ揺動するように構成してもよいし、図7に示すように脱臭部2全体を集塵部1から取り外すように構成することもできる。後者の場合に脱臭部2の取り外し方向は、図6に示す水平方向でもよいし、上下方向に取り外すこともできる。
【0037】
(実施例2)
上記実施例の空気清浄機では、集塵部1で花粉や埃などが除去された空気が脱臭部2に流入する。そして脱臭部2において、発光ダイオード23からの短波長の光によって活性化された光触媒と接触することで、煙草の煙などの臭い物質が分解除去される。
【0038】
ところが臭い物質を含む空気が発光ダイオード23近傍を通過するため、発光ダイオード23表面にその臭い物質が徐々に付着し、それとともに集塵フィルタ13を通過した微細な塵なども付着する。そのため発光ダイオード23の表面が次第に汚れ、光量が徐々に低下するという問題がある。
そこで本実施例の空気清浄機は、図8に示すように、プリント基板22の表面に透明なTiO2層40が形成されたガラス板4を配置している。その他の構成は実施例1と同様である。
【0039】
ガラス板4は箱状をなし、プリント基板22全体を覆っている。そしてガラス板4の触媒層25に対向する表面に、透明なTiO2層40が形成されている。このように透明なTiO2層40を形成するには、光触媒のスラリーを担体に付着させて焼成する方法、スパッタリングなどのPVD法、あるいは化学的蒸着法(CVD法)などを利用できる。ただ、光触媒粒子の粒径が微細であるほど触媒活性が向上する。したがってスラリーを付着・焼成する方法を利用する場合には、光触媒のゾルを用いることが望ましい。本実施例の空気清浄機では、このうちスパッタリングを利用している。
【0040】
したがって本実施例の空気清浄機では、発光ダイオード23からの短波長の光はガラス板4及びTiO2層40を透過して触媒層25に照射される。ガラス板4及びTiO2層40は透明であるため、発光ダイオード23からの短波長の光は損失なく触媒層25に照射される。これにより実施例1の空気清浄機と同様の作用効果が奏される。そして本実施例の空気清浄機では、プリント基板22がガラス板4で覆われているため、脱臭部2に流入した空気中に含まれる臭い物質や微細な塵などが発光ダイオード23の表面に付着することがなく、発光ダイオード23から出る光の光量の低下が確実に防止されている。
【0041】
しかしガラス板4で覆うだけでは、ガラス板4の表面に臭い物質や微細な塵などが付着し、ガラス板4の光透過率が徐々に低下して、発光ダイオード23は高い光量で発光するものの触媒層25に照射される光の光量が低下することが考えられる。
しかし本実施例では、ガラス板4の表面に光触媒であるTiO2層40が形成されている。したがってガラス板4の表面に付着した臭い物質や微細な塵などは、発光ダイオード23からの光により活性化されたTiO2層40により分解されるため、ガラス板4の表面にも汚れが付着せずガラス板4は透明な状態を維持できる。これにより発光ダイオード23からの光は、長期間の使用後も初期とほとんど同等の光量が維持された状態で触媒層25に照射される。
【0042】
(実施例3)
上記実施例の空気清浄機では、集塵部1で花粉や埃などが除去された空気が脱臭部2に流入する。そして脱臭部2において、発光ダイオード23からの短波長の光によって活性化された光触媒と接触することで、煙草の煙などの臭い物質が分解除去される。
【0043】
ところが煙草の煙などの臭い物質の一部が集塵フィルタ13など集塵部1の内部に付着し、それが脱臭部2に流入しないまま空気清浄機の主電源がオフとされる場合がある。このような場合には、次に空気清浄機の主電源をオンとした時に、付着していた臭い物質が一度に多量に排出されるため、脱臭部2で分解しきれずに室内へ排出されるという不具合が発生する。
【0044】
そこで本実施例の空気清浄機は、図9に示すように、集塵フィルタ13の下流側端部に光触媒層15を形成するとともに、脱臭部2の入口開口21に集塵フィルタ13に向かって発光する発光ダイオード27を配置している。その他の構成は実施例1と同様であり、実施例1と同様の作用効果が奏される。
光触媒層15はTiO2からなり、集塵フィルタ13の下流側端部のみに含浸担持されて形成されている。また発光ダイオード27は、通気抵抗の増大を僅かとするために、脱臭部2の入口開口21に必要最小限の数だけ設けられている。
【0045】
そして発光ダイオード27は、空気清浄機の主電源がオフとされた後も一定時間点灯するように回路が構成され、その時間内に集塵フィルタ13の光触媒層15を活性化して付着している臭い物質などを分解除去する。したがって次に主電源をオンとした場合に臭い物質が多量に排出されるような不具合がない。
なお、発光ダイオード27は消費電力が小さく、また用いる数を変更したり点灯電流を可変することで消費電力を自由に制御でき、バッテリーへの負担を僅かとすることができるので、イグニションをオフとした場合に発光させることもできる。これはブラックライトや冷陰極管などを用いた従来の光触媒系空気清浄機では困難なことである。
【0046】
さらにて発光ダイオード27は4〜5mA程度の小さな電流でも発光するので、イグニションをオフとした場合に暗電流で発光させることもできる。
【0047】
【発明の効果】
すなわち請求項1に記載の空気清浄機によれば、粒子状の光触媒を用いているので、光源からの光の照射の方向性の制限がほとんどなく配置の自由度が高い。また脱臭すべき空気も粒子どうしの間隙を通過するので、空気流れの方向性の制約が少ない。したがって光触媒の配置形状を最適に選択することで、通気抵抗を小さく維持しつつ脱臭部の厚さを薄くすることができ、空気清浄機を薄くコンパクトな形状とすることができる。
【0048】
また集塵部と脱臭部とを別体で構成し、集塵部の脱臭部と対向する出口開口から集塵フィルタを着脱可能としている。したがって脱臭部を集塵部から取り外すだけで集塵フィルタを交換することができ、交換が容易である。
そして請求項2に記載の空気清浄機によれば、空気及び光の透過を可能とししつつホルダの形状の設計の自由度が大きい。したがって限られたスペースであっても最大限の空気浄化ができるように形状を設計することを容易に行うことができる。
【0049】
そして粒子状の光触媒としたことにより、その大きさやホルダへの充填量を容易に調整できるため、通気抵抗や脱臭性能の調整が容易となる。またホルダに充填して層状とすれば面として受光することができ、しかも従来の集塵フィルタに付着させたものと比べて単位受光面積当たりの光触媒量をきわめて多くすることができる。したがって脱臭効率が著しく向上する。
【0050】
また請求項3に記載の空気清浄機によれば、光源を発光ダイオードとしているので、空気清浄機の形状が一層コンパクトとなる。また基板と触媒層とが鋭角で交差するように配置されているので、光触媒と空気との接触面積を充分に確保しつつ通気抵抗を低くすることができ、空気清浄機を薄くコンパクトな形状とすることができる。
【0051】
さらに請求項4に記載の空気清浄機によれば、光触媒の粒子が吸着材粉末と光触媒粉末とから構成されているため、空気中の臭い物質を吸着材粉末に吸着させることができ、脱臭効率が一層向上する。
そして請求項5に記載の空気清浄機によれば、安全かつ簡易に集塵フィルタを交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の空気清浄機を車室天井に取り付けた状態で示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施例の空気清浄機の断面図である。
【図3】本発明の一実施例の空気清浄機において、脱臭部を集塵部から取り外す途中の状態を示す説明断面図である。
【図4】図3のA−A矢視側面図である。
【図5】本発明の一実施例の空気清浄機の他の態様を示す断面図である。
【図6】本発明の一実施例の空気清浄機の他の態様を示す断面図である。
【図7】本発明の一実施例の空気清浄機の他の態様を示す断面図である。
【図8】本発明の第2の実施例の空気清浄機の断面図である。
【図9】本発明の第3の実施例の空気清浄機の断面図である。
【図10】従来の空気清浄機を車室天井に取り付けた状態で示す斜視図である。
【図11】従来の空気清浄機の断面図である。
【図12】従来の空気清浄機の断面図である。
【符号の説明】
1:集塵部 2:脱臭部 10:吸気口
11:出口開口 12:ファン 13:集塵フィルタ
20:吹出口 21:入口開口 22:プリント基板
23:発光ダイオード 24:粒子状触媒 25:触媒層
Claims (5)
- 吸気口と出口開口をもち両者の間に空気流路を構成する第1筒体と、該吸気口より下流側で該第1筒体内に配置されたファンと、該吸気口より下流側で該第1筒体内に着脱自在に配置され該出口開口から着脱可能な集塵フィルタと、よりなる集塵部と、
入口開口と吹出口をもち両者の間に空気流路を構成する第2筒体と、該第2筒体内に配置された粒子状の光触媒と、該光触媒に短波長の光を照射する光源とよりなり、該入口開口が該出口開口に対向して接続されて該吸気口と該吹出口との間に空気流路が構成され、少なくとも該第2筒体が該第1筒体に取り外し可能に係合保持された脱臭部と、からなることを特徴とする空気清浄機。 - 前記光触媒は網状のホルダ内に収納された空気流通可能な触媒層として該吹出口近傍に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の空気清浄機。
- 前記光源は基板上に固定された発光ダイオードからなり、該基板は該脱臭部に流入する空気の流れ方向と略平行に配置されるとともに該基板と前記触媒層とは鋭角で交差するように配置されていることを特徴とする請求項2に記載の空気清浄機。
- 前記光触媒の粒子は吸着材粉末と光触媒粉末とから構成されていることを特徴とする請求項1に記載の空気清浄機。
- 前記集塵部及び前記脱臭部の少なくとも一方には、前記集塵部から前記脱臭部を取り外すことにより前記光源及び前記ファンの少なくとも一方の運転が停止されるスイッチ部をもつことを特徴とする請求項1に記載の空気清浄機。
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