JP3756057B2 - 自動販売機の断熱仕切板 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動販売機に使用される断熱仕切板に関する。本発明は特に、飲料等を加熱・冷却して販売する自動販売機の断熱仕切板に適するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動販売機においては、本体内が複数の商品収納室に区分され、各商品収納室に、販売商品を冷却又は加熱状態で収容し、販売する形式のものが近年普及している。その一例を図6,7によって説明する。
【0003】
自動販売機100は、前面が開放された直方形の本体箱2が外殻となっている。本体箱2の下部は、棚板3で仕切られて、冷凍機等を収容する機械室4となっている。本体箱2にはさらに、扉5が開閉可能に取り付けられており、本体箱2の天面、側面および背面の各壁板、棚板3、扉5はいずれも、二枚の薄鋼板の間に断熱材が充填された構成となっている。
【0004】
本体箱2の大部分を占める、棚板3よりも上部の部位には、直立する2枚の断熱仕切板101により、3つの商品収納室7,8,9に区画されている。断熱仕切板101も上記の各板と同様に、二枚の薄鋼板の間に断熱材が充填されたものである。即ち、従来技術の自動販売機100の断熱仕切板101は、二枚の薄鋼板の間に、ウレタン発泡体等の断熱材が充填されてなるものである。
断熱仕切板101は、本体箱2の天面、背面および下部の棚板3と適宜の金具等により固定されており、これらの接合部分にはパッキンが挿入されている。
【0005】
商品収納室7,8,9には販売商品がサーペンタイン式の商品収納ラック7a,8a,9aに収納されて貯蔵されるが、これらの商品は各室の下部にあるシュート10の下部の空間に設置された冷却器12又はヒーター11により冷却又は加熱されて販売される。
【0006】
いま、商品収納室7,8,9に図の左側からコールド商品、ホット商品、コールド商品の順に収容されるとすると、中央のホット商品収納室8とその両側のコールド商品収納室7,9との間には大きな温度差があり、熱移動が発生するが、この内で、断熱仕切板101を貫通する熱移動は、断熱仕切板101の鋼板の間に充填されているポリウレタン発泡体等の断熱板材により減少される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記した様な従来の自動販売機100の断熱仕切板101は、鋼製で中空の二重板の間に断熱材として、ウレタン発泡体等が充填されたもので、自動販売機100を廃棄処分する場合に問題が多い。即ち、断熱仕切板101の鉄の部分とウレタン発泡体を分離させる必要がある。さらに鋼板は破砕が容易ではなく、回収には費用が嵩むが、焼却処分も困難である。
【0008】
また従来技術の自動販売機100の断熱仕切板101は、裏表の全面に薄鋼板が配されていたので、断熱性能が劣るものであった。
即ち自動販売機100の内部は、ファン13によって攪拌されるものの、その温度は必ずしも一様ではない。例えばコールド商品を収納するコールド商品収納室7,9において、上部と下部の温度分布を見ると、低温空気と高温空気の重量差から下部の方に低温空気が偏り、下部の方が温度が低い。また冷却器12の近傍は、冷却器12からの冷熱の放射により、他の部位に比べて極めて温度が低い。
これに対して従来技術の断熱仕切板101では、その全面に鋼板が設けられていたので、下部の冷熱が断熱仕切板101の全域に拡散する。そのため断熱仕切板101は、広い面積に渡って低温となり、広い面積を通じて隣のホット商品収納室8に冷熱が逃げる。
そのため従来技術の自動販売機100の断熱仕切板101は、断熱性能に不満があった。
【0009】
そこで本発明は、従来技術の上記した問題点に注目し、鉄などの破砕や焼却が困難な材料を極力少なくした断熱仕切板を提供することにより、環境保護に配慮し、かつ断熱性能に優れた構成の自動販売機の断熱仕切板を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
そして上記した課題を解決するため、本発明の自動販売機の断熱仕切板は、本体部を、樹脂製の断熱板体と、その表面に紙と樹脂シートが積層された構成としている。
これらの樹脂製の断熱板体、紙、および樹脂シートはいずれも、容易に焼却可能であって、この様な構成の断熱仕切板は、自動販売機を廃棄する際の処理が容易な産業廃棄物として、環境保護に資することが出来る。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、樹脂製の断熱板体の表面に紙が積層され、さらに紙の表面に樹脂シートが積層された本体部を有し、自動販売機の内部に挿入されて自動販売機の内部を幅方向に仕切る自動販売機の断熱仕切板において、前記断熱仕切板の下部に薄鋼板を薄箱状に加工した金属遮蔽板を形成し、前記金属遮蔽板の内部には断熱材を備えたことを特徴とする自動販売機の断熱仕切板である。
【0012】
本発明の断熱仕切板は、自動販売機の本体箱内に区画された各商品収容室の境界面に配され、本体部を構成する樹脂製の断熱板体が前記の室間の伝熱を遮断する。断熱板体の表面に積層された紙と樹脂シートは、断熱板体が直接外気に曝され結露などによって劣化するのを防止する。これらの樹脂製の断熱板体、紙、および樹脂シートはいずれも、破砕が容易であり、且つ安全に焼却可能であって、自動販売機を廃棄する際の産業廃棄物処理が容易である。
また収納室の下部空間を断熱仕切板と金属遮蔽板の2層で他室と区画するので、熱源となる下部空間の断熱性能を向上させ、断熱仕切板への熱影響を抑制することができる。
【0013】
また請求項2に記載の発明は、本体部よりも面積が小さい金属板を有し、前記金属板は、前記本体部の表面の下部に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の自動販売機の断熱仕切板である。
【0014】
即ち本発明の自動販売機の断熱仕切板では、金属板は、本体部よりも面積が小さく、本体部の全面を覆うものではない。そのため従来技術で問題となった、冷熱の拡散等は少ない。
また本発明では、断熱仕切板の本体部の表面の下部に取り付けられた金属板が、前記の各商品収容室の下部に設置される冷却器又はヒーターの冷気または熱から断熱仕切板を保護する。この金属板は面積が小さいので、自動販売機を廃棄する際の産業廃棄物処理が容易である。即ち本発明では、金属部を冷却器又はヒーターを囲い得る限りにおいて極力小面積のものとしている。そのため本発明の自動販売機の断熱仕切板は、従来のものに比べて軽い。
【0015】
また請求項3に記載の発明は、冷却器が設けられる自動販売機に内蔵されるものであり、本体部よりも面積が小さい金属板を有し、前記金属板は、前記本体部の表面であって冷却器が設けられる高さの位置に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の自動販売機の断熱仕切板である。
【0016】
本発明の自動販売機の断熱仕切板についても本体部よりも面積が小さい金属板を有し、金属板は本体部の全面を覆うものではない。そのため冷熱の拡散等が少なく、断熱効率が高い。
【0017】
また請求項4に記載の発明は、外形形状が略四角形の板状であり、自動販売機の内部に挿入された時に仕切り面となる表裏面と、内部の天井面と接する天面と、天面に対向する底面と、内部の奥壁と接する奥側側面と、奥側側面に対向する正面側側面を有し、奥側側面と正面側側面に、溝状部を有する補強部材が装着されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の自動販売機の断熱仕切板である。
【0018】
本構成により、補強部材の溝状部に前記の樹脂製断熱板体の縁を嵌め込んで補強部材と断熱板体を一体化することにより、断熱板体の(奥側と正面側を結ぶ)長さ方向の形状が確実に維持される。
【0019】
また請求項5に記載の発明は、外形形状が略四角形の板状であり、自動販売機の内部に挿入された時に仕切り面となる表裏面と、内部の天井面と接する天面と、天面に対向する底面と、内部の奥壁と接する奥側側面と、奥側側面に対向する正面側側面を有し、天面に金属部材が取り付けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の自動販売機の断熱仕切板である。
【0020】
本構成の金属部材により、前記断熱仕切板の上方向の形状の維持が確実になる。また特に、請求項3に記載の発明で採用した様な補強部材を使用する場合は、金属部材に補強部材の上端部を固定することができ、補強部材の取付けが容易となる。
また本発明によると、金属部材を介して断熱仕切板が本体箱2の天面に固定することもできる。これらの固定はネジ止め等の適宜な方法によることができる。
【0021】
また請求項6に記載の発明は、樹脂製の断熱板体の表面に紙又は樹脂製のシートが積層されてなる本体部と、本体部よりも面積が小さい金属板と、前記金属板の表面に薄鋼板を薄箱状に加工した金属遮蔽板からなり、外形形状が略四角形の板状であって自動販売機の内部に挿入された時に仕切り面となる表裏面と、内部の天井面と接する天面と、天面に対向する底面と、内部の奥壁と接する奥側側面と、奥側側面に対向する正面側側面を有し、前記金属板は本体部の表面又は裏面の少なくともいずれかの下部に取り付けられていることを特徴とする自動販売機の断熱仕切板である。
【0022】
本発明の自動販売機の断熱仕切板では、断熱板体が、前記の商品収納室間の伝熱を遮断し、断熱板体の表面に積層された紙又は樹脂製のシートが、断熱板体を外気と遮断して、断熱板体が結露などによって劣化するのを防止する。断熱仕切板の本体部を構成する断熱板体、および紙又は樹脂製のシートはいずれも焼却可能であり、自動販売機の廃棄時の産業廃棄物処理が容易である。また金属板は、本体部よりも面積が小さく、本体部の全面を覆うものではないので冷熱の拡散等が少なく、断熱効果が高い。金属板は各商品収容室の下部に設置される。また金属板の範囲内に金属遮蔽板が形成されるので収納室の下部空間を断熱仕切板と金属遮蔽板の2層で他室と区画するので、冷却器又はヒーターの冷気または熱から断熱仕切板を保護するので断熱仕切板への熱影響を抑制することができる。自動販売機を廃棄する際の産業廃棄物処理を容易とするため、冷却器又はヒーターを囲い得る限りにおいて極力小面積のものとしている。
【0023】
また請求項7に記載の発明は、樹脂製の断熱板体の表面に紙が積層されさらに紙の表面に樹脂シートが積層されてなる本体部と、本体部の天面の全長と奥側側面および正面側側面の上端部を覆う金属部材と、溝状部とシール部が一体に設けられた補強部材と、金属板からなり、外形形状が略四角形の板状であって自動販売機の内部に挿入された時に仕切り面となる表裏面と、内部の天井面と接する天面と、天面に対向する底面と、内部の奥壁と接する奥側側面と、奥側側面に対向する正面側側面を有し、前記金属部材は本体部の天面に装着され、前記補強部材は本体部の奥側側面と正面側側面にあって前記金属部材に対して固定され、前記金属板は本体部の表面又は裏面の少なくともいずれかの下部に取り付けられ、前記金属板の表面に薄鋼板を薄箱状に加工した金属遮蔽板を備えたことを特徴とする自動販売機の断熱仕切板である。
【0024】
本発明の自動販売機の断熱仕切板では、断熱板体が、前記の商品収納室間の伝熱を遮断し、断熱板体の表面に積層された紙および樹脂製のシートが、断熱板体を外気と遮断して、断熱板体が結露などによって劣化するのを防止する。補強部材は、溝状部に前記の樹脂製断熱板体の縁を嵌め込んで補強部材と断熱板体を一体化することにより、断熱板体の(奥側と正面側を結ぶ)長さ方向の形状の維持が確実になる。さらに、シール部は溝状部と一体である構成により、自動販売機に断熱仕切板を取り付ける時に、シール材の取り付け作業が省略出来る。
【0025】
前記の断熱仕切板の本体部を構成する断熱板体、および紙又は樹脂製のシートはいずれも焼却可能である。前記補強部材は、原料樹脂に有害物を含まない物を選ぶことが望ましく、より安全に焼却可能となる。金属部材は、断熱仕切板の垂直方向の形状の維持を確実にすると共に、前記補強部材の上下の端部を固定する。金属遮蔽板は、前記の各商品収容室の下部に設置される冷却器又はヒーターの冷気または熱から断熱仕切板を保護するものであるが、自動販売機を廃棄する際の産業廃棄物処理を容易とするため、冷却器又はヒーターを囲い得る限りにおいて極力小面積のものとしている。
【0026】
また請求項8に記載の自動販売機の断熱仕切板は、金属板は、粘着部材によって取り付けられていることを特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載の自動販売機の断熱仕切板である。
【0027】
本発明では、金属板が粘着部材によって取り付けられた構成としているので、自動販売機を廃棄する際の金属板の取り外しと、産業廃棄物処理が容易になる。
【0028】
また請求項9に記載の自動販売機の断熱仕切板は、補強部材は、溝状部とシール部が一体に設けられた樹脂製長尺物であることを特徴とする請求項4,5,7,8のいずれかに記載の自動販売機の断熱仕切板である。
【0029】
本発明では、補強部材は、溝状部とシール部が一体に設けられた樹脂製長尺物である構成としているので、自動販売機に断熱仕切板を取り付ける時に、シール材の取り付け作業が省略出来る。さらに前記樹脂製長尺物は、原料樹脂は有害物を含まない物を選ぶことにより、安全に焼却可能で、産業廃棄物処理が容易なものとすることも出来る。
【0030】
【実施例】
以下本発明の実施例を図面を用いて具体的に説明する。図1は本発明の断熱仕切板6が取り付けられた自動販売機1の斜視図である。図2は、図1の正面図(a)および側断面図(b)である。図3は、本発明の断熱仕切板6の構成を示す斜視図である。図4は断熱仕切板6の側面図である。図5は図4のA−A断面拡大図(a)およびB−B断面拡大図(b)である。
【0031】
自動販売機1の主構成は従来の技術に述べたものと同様であり、図1の様に、前面が開放された直方形の本体箱2が外殻となっている。本体箱2の下部は、棚板3で仕切られて、冷凍機等を収容する機械室4となっている。本体箱2にはさらに、扉5が開閉可能に取り付けられており、本体箱2の天面、側面および背面の各壁板、棚板3、扉5はいずれも防錆塗装された鋼製で中空の二重板であって、内部に断熱材が充填されている。
本体箱2の大部分を占める棚板3よりも上の部位は、直立する2枚の断熱仕切板6により、3つの商品収納室7,8および9に区画されている。商品収納室7,8,9には販売商品がサーペンタイン式の商品収納ラック7a〜9aに収納されて貯蔵されるが、これらの商品は図2の様に各室の下部にあるシュート10の下部の空間に設置された冷却器又はヒーターにより冷却又は加熱されて販売される。商品収納室7,8,9に収納される商品の構成は任意であるが、例えば、図2(a)の様に、左側からコールド商品、ホット商品、コールド商品が収容されていると仮定する。
【0032】
本実施例においては、断熱仕切板6は、略長方形の積層板であり、その周面は、4面によって囲まれている。即ち、断熱仕切板6は、図1の様に自動販売機の内部に挿入された時に仕切り面となる表裏面と、正面側側面30,天面31,奥側側面32および底面33を有する。ここで天面31は内部の天井面と接する部位であり、底面33は天面31に対向する部位であり、奥側側面32は内部の奥壁と接する部位であり、正面側側面30は奥側側面に対向する部位である。
【0033】
そしてその本体部20の構成は図3の様に中心にポリウレタン発泡体である断熱板体21があり、その上下の表面(自動販売機の内部に挿入された時に仕切り面となる表裏面)に一層目のクラフト紙22と、外層のポリエチレンシート23が積層されている。
断熱仕切板6の下部(図4の様に立てた状態を基準とする)は、上記の積層構造の本体部20のさらに外層の両面に金属板24a,24bが取り付けられている。金属板24a,24bの取付け位置は、前記本体部20の表面であって冷却器12が設けられる高さの位置である。
【0034】
さらに、断熱仕切板6を取り付けた状態において、コールド商品収納室7側に位置する部位に、金属遮蔽板24cが取り付けられている。金属遮蔽板24cは、図4の様に略5角形であり、本体部20と略同一の厚さを持ち、内部に断熱材(図示せず)が設けられている。
断熱仕切板6の正面側の縁面(正面側側面30)には樹脂長尺物25が、奥側の縁面(奥側側面32)には樹脂長尺物26が、底面33には樹脂長尺物27がそれぞれ取り付けられており、天面の縁面(天面31)には金属部材28が取り付けられている。また金属部材28の更に上部には、長尺状のスポンジ35が貼着されている。
【0035】
金属板24a,24bは防錆処理された長方形の薄鋼板で、幅は本体部20の幅に等しく、長さは機械室4との境界の棚板3からシュート10の最高部までの長さより僅かに長い。
金属板24a,24bの長さは、断熱仕切板6の全長の20〜30%程度であり、金属板24a,24bの断面積は、断熱仕切板6の面積よりも小さい。
【0036】
金属遮蔽板24cは、防錆処理された薄鋼板を中空の薄箱状に加工して厚みを持たせ、中空部に断熱材を充填したもので、シュート10と共に冷却器12を囲むことにより、断熱仕切板6を熱影響から遮蔽している。
金属遮蔽板24cの上部側の縁部は平板状であって、この縁部には複数のネジ孔24eが設けられ、金属板24a,24bの側辺部の付近および、下辺部の付近には複数のネジ孔24dが設けられている。
【0037】
樹脂長尺物25,26,27は図4(b),(c)の様に断面が「コ」型の硬質ポリ塩化ビニル製のそれぞれの溝状部25a,26a,27aと、軟質ポリ塩化ビニル製のそれぞれのシール部25b,26b,27bからなる直状の長尺物である。これらの各樹脂長尺物は、シール部25b,26b,27bが溝状部25a,26a,27aの溝底の裏側と繋がった一体物であって、二軸成型によって製造される。
また、樹脂長尺物25,26,27の内、奥側側面32に取り付けられたシール部25bは、断面が矩形の中空であり、正面側側面30および底面33に取り付けられたシール部26b,27bは断面が「コ」型をしている。
さらに、正面側側面30と奥側側面32の樹脂長尺物25,26は、溝状部25a,26aの上端の溝底にネジ挿通孔25c,26cが設けられており、下部の側壁の一面には複数のネジ挿通孔25d,26dが設けられている。
底面33の樹脂長尺物27は、溝状部27aに溝底に複数のネジ挿通孔27cが設けられ、双方の側壁に複数のネジ挿通孔27dが設けられている。
【0038】
金属部材28は、図3の様な両端部28aが内側に直角に折り曲がった形状で、防錆処理された鋼製の帯板であって、平板部の長さは断熱仕切板6の幅に等しく、幅は断熱仕切板6の厚さに等しい。さらに金属部材28には、両端部28aの裏表を貫くネジ孔28bが設けられている。
【0039】
断熱仕切板6の組立は、先ず、前記の様にクラフト紙22とポリエチレンシート23が積層された本体部20の直立した状態における下部に、金属板24a,24bが配置され、それらの上辺に沿って粘着部材(粘着テープ29)が貼り付けられて、金属板24a,24bが仮付けされる。次に金属板24aの上に金属遮蔽板24cが取り付けられ、ネジ孔24eを通して金属板24a上に固定される。
次に、図3および図5(a),(b)の様に本体部20の正面側の縁部に樹脂長尺物25の溝状部25aを嵌め込み、奥側の縁面に樹脂長尺物26の溝状部26aを嵌め込み、底面に樹脂長尺物27の溝状部27a嵌め込む。
そして前記した金属板24a,24bの本体部20への固定は、樹脂長尺物25,26の下部の複数のネジ挿通孔25d,26dと樹脂長尺物27の溝状部27aの側面のネジ挿通孔27dを通して図3の様にネジ止めによってなされる。
【0040】
次に、金属部材28が本体部20の天面に取り付けられる。この時両端部28aは、樹脂長尺物25,26の上端部と本体部20の間に挿入され、図4の様に樹脂長尺物25,26が金属部材28にネジ止めされる。
【0041】
以上によって組み立てられた断熱仕切板6は、図1の様に自動販売機1の本体箱2内の商品収容室7,8,9を仕切るように配置され、本体箱2の天面にネジ止め等により固定される。断熱仕切板6の底面は樹脂長尺物27の溝状部27aの溝底のネジ挿通孔27cを通して、機械室4との境界の棚板3の上面に固定される。この時、正面側の樹脂長尺物25のシール部25bは、正面側の外側に位置するが、外に向いた側は閉じられているので、扉4の開閉による損傷が防止される。一方、奥側の樹脂長尺物26のシール部26bは、奥側のさらに奥側に位置し、断面が「コ」型である開放面が本体箱2の背面に当接する。また、底面の樹脂長尺物27のシール部27bは、底面の下側に位置し、断面が「コ」型である開放面が棚板3の上面に当接する。
【0042】
本実施例の自動販売機の断熱仕切板6は、ポリウレタン発泡体である断熱板体21の表面をクラフト紙22とポリエチレンシート23で覆い、さらにその周囲を、補強部材たる樹脂長尺物25,26,27で補強した簡単な構造であり、金属製の部材が少ないが、断熱仕切板6は、自動販売機1に取り付けた後は衝撃を直接受けることは少ないので、形状を保持する性能は充分である。
【0043】
また本実施例の自動販売機の断熱仕切板6では、金属板24a,24bは本体部20の下部にだけ設けられている。そのため例えばコールド商品収納室9に注目すると、冷却器12の冷熱は、断熱仕切板6に金属板24aが設けられた下部にのみ拡散され、大面積への拡散はない。そのため本実施例で採用する断熱仕切板6は、断熱仕切板6の表面温度が過度に低下せず、隣接するホット商品収納室8に冷熱が逃げにくい。
【0044】
また将来、自動販売機1が不要となり、廃棄する場合は、粘着テープ29を捲る等によって金属板24a,24bを容易に取り外すことができる。さらに上部に設けられた金属部材28についても、樹脂等で作られた本体部20を破ることにより、容易に外すことができる。
そのため本実施例で採用する自動販売機の断熱仕切板6は、金属部材を取り外して、破砕したり、焼却することができる。
【0045】
なお、本実施例の断熱仕切板6の本体部20の構成は、断熱板体21に、クラフト紙22とポリエチレンシート23を積層させているが、クラフト紙22に十分な防水性を有する場合は、ポリエチレンシート23等の樹脂の層は省略出来る。
クラフト紙22は、断熱板体21の製造時にポリウレタンと一体化することが推奨されるが、紙が付帯されていない断熱板体を先に成形し、これに樹脂層のみを積層して本体部20を構成することも可能である。
【0046】
【発明の効果】
以上説明した様に、本発明の自動販売機の断熱仕切板は、樹脂、紙等の安全に焼却が可能な材料を主体として、金属材料を極力少なくすることにより、自動販売機を廃棄する場合の産業廃棄物処理を容易に出来るため、環境保護に資する自動販売機を製作出来る。
また本発明の自動販売機の断熱仕切板は、断熱効果が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の断熱仕切板が取り付けられた自動販売機の斜視図
【図2】図1の正面図(a)および側断面図(b)
【図3】本発明の断熱仕切板の構成を示す斜視図
【図4】断熱仕切板の側面図
【図5】図4のA−A断面拡大図(a)およびB−B断面拡大図(b)
【図6】従来技術の断熱仕切板が取り付けられた自動販売機の斜視図
【図7】図6の正面図(a)および側断面図(b)
【符号の説明】
1 自動販売機
2 本体箱
4 機械室
5 扉
6 断熱仕切板
7 商品(コールド商品)収納室
8 商品(ホット商品)収納室
9 商品(コールド商品)収納室
11 ヒーター
12 冷却器
20 本体部
21 断熱板体
22 クラフト紙
23 ポリエチレンシート
24a,24b 金属板
24c 金属遮蔽板
25,26,27 樹脂長尺物(補強部材)
25a,26a,27a 溝状部
25b,26b,27b シール部
28 金属部材
29 粘着テープ(粘着部材)

Claims (9)

  1. 樹脂製の断熱板体の表面に紙が積層され、さらに紙の表面に樹脂シートが積層された本体部を有し、自動販売機の内部に挿入されて自動販売機の内部を幅方向に仕切る自動販売機の断熱仕切板において、前記断熱仕切板の下部に薄鋼板を薄箱状に加工した金属遮蔽板を形成し、前記金属遮蔽板の内部には断熱材を備えたことを特徴とする自動販売機の断熱仕切板。
  2. 本体部よりも面積が小さい金属板を有し、前記金属板は、前記本体部の表面の下部に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の自動販売機の断熱仕切板。
  3. 冷却器が設けられる自動販売機に内蔵されるものであり、本体部よりも面積が小さい金属板を有し、前記金属板は、前記本体部の表面であって冷却器が設けられる高さの位置に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の自動販売機の断熱仕切板。
  4. 外形形状が略四角形の板状であり、自動販売機の内部に挿入された時に仕切り面となる表裏面と、内部の天井面と接する天面と、天面に対向する底面と、内部の奥壁と接する奥側側面と、奥側側面に対向する正面側側面を有し、奥側側面と正面側側面に、溝状部を有する補強部材が装着されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の自動販売機の断熱仕切板。
  5. 外形形状が略四角形の板状であり、自動販売機の内部に挿入された時に仕切り面となる表裏面と、内部の天井面と接する天面と、天面に対向する底面と、内部の奥壁と接する奥側側面と、奥側側面に対向する正面側側面を有し、天面に金属部材が取り付けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の自動販売機の断熱仕切板。
  6. 樹脂製の断熱板体の表面に紙又は樹脂製のシートが積層されてなる本体部と、本体部よりも面積が小さい金属板と、前記金属板の表面に薄鋼板を薄箱状に加工した金属遮蔽板からなり、外形形状が略四角形の板状であって自動販売機の内部に挿入された時に仕切り面となる表裏面と、内部の天井面と接する天面と、天面に対向する底面と、内部の奥壁と接する奥側側面と、奥側側面に対向する正面側側面を有し、前記金属板は本体部の表面又は裏面の少なくともいずれかの下部に取り付けられていることを特徴とする自動販売機の断熱仕切板。
  7. 樹脂製の断熱板体の表面に紙が積層されさらに紙の表面に樹脂シートが積層されてなる本体部と、本体部の天面の全長と奥側側面および正面側側面の上端部を覆う金属部材と、溝状部とシール部が一体に設けられた補強部材と、金属板からなり、外形形状が略四角形の板状であって自動販売機の内部に挿入された時に仕切り面となる表裏面と、内部の天井面と接する天面と、天面に対向する底面と、内部の奥壁と接する奥側側面と、奥側側面に対向する正面側側面を有し、前記金属部材は本体部の天面に装着され、前記補強部材は本体部の奥側側面と正面側側面にあって前記金属部材に対して固定され、前記金属板は本体部の表面又は裏面の少なくともいずれかの下部に取り付けられ、前記金属板の表面に薄鋼板を薄箱状に加工した金属遮蔽板を備えたことを特徴とする自動販売機の断熱仕切板。
  8. 金属板は、粘着部材によって取り付けられていることを特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載の自動販売機の断熱仕切板。
  9. 補強部材は、溝状部とシール部が一体に設けられた樹脂製長尺物であることを特徴とする請求項4,5,7,8のいずれかに記載の自動販売機の断熱仕切板。
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