JP3755631B2 - 磁気テープカートリッジ及びそのドライブ装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気テープカートリッジ及びそのドライブ装置に関し、特にカートリッジケース内に磁気テープが巻装された単一のリールを回転可能に収容してなる磁気テープカートリッジにおいて、上記リールを不使用時に回転制止状態とするリール回転制止手段の構造に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来、コンピュータ等の外部記憶装置に用いられる記録媒体として使用されている磁気テープカートリッジには、単一のリールに磁気テープを巻装し、このリールをカートリッジケース内に回転可能に収容したタイプのものが知られている。この磁気テープはコンピュータ等のデータ保存用として用いられ、重要な情報が記憶されているため、テープジャミング等のトラブルが発生しないように、また保管時等の不使用時には不用意に磁気テープが引き出されないように、上記リールの回転を拘束するリール回転制止手段が設置されている。
【０００３】
上記リール回転制止手段は、リールの一部に係合してその回転を拘束する制止部材を備え、カートリッジを外部記憶装置等のドライブに装填した際には、上記制止部材をドライブ側回転駆動手段によるリールのチャッキング動作に応じて制止状態を解除するように設けている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかして、前述のリール回転制止手段の制止部材をリールの中心部に設けた開口部に臨ませて配置し、この制止部材をドライブ側回転駆動手段の先端部によって押し上げて解除作動させる構造に設けると、回転しない制止部材の中心部を回転シャフトにより押し上げ外周部のリールとの係合を解除させるについての動作信頼性の点で、及び、リール中央の大きな開口に伴うカートリッジケース内への塵埃の侵入防止等の点で不利となる。
【０００５】
また、上記点につき、制止部材の解除動作を、ドライブ側回転駆動手段のチャッキング動作に応じて移動する解除部材を介して行うように設ける構造が好適であるが、部品点数が増加して機構が複雑となり、組み立てが煩雑となる恐れがある。特に、リール回転制止手段の設置スペースは狭く、制止状態を保持する付勢部材の配設も必要とされ、この点からも機構の簡素化、組み立ての容易化が要望される。
【０００６】
本発明は上記点に鑑みなされたもので、リール回転制止手段の部品点数の低減によって組み付け性を改善するようにした磁気テープカートリッジ及びそのドライブ装置を提供せんとするものである。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決した本発明の磁気テープカートリッジは、磁気テープを巻装した単一のリールをカートリッジケース内に回転可能に収容し、使用時に前記リールの回転を許容し、不使用時に前記リールの回転を拘束するリール回転制止手段を備えたものにおいて、前記リール回転制止手段は、前記リールに対して接離可能に移動してリールの回転を拘束する制止部材と、該制止部材を制止方向に付勢する付勢部材とを有し、前記リールにドライブ側回転駆動手段の駆動ギヤと噛合するリールギヤを設け、前記駆動ギヤに立設した押上突起を前記リールギヤに設けた挿通孔を通して先端が前記制止部材の一部に当接し、該制止部材を解除方向に移動可能に設けてなることを特徴とするものである。
【０００８】
また、前記リールギヤには、挿通孔の開口位置に回転中心と同心に円環状のガイド溝を設けるのが好適である。
【０００９】
一方、本発明のドライブ装置は、前記磁気テープカートリッジを装填し駆動するものであって、磁気テープカートリッジのリールに設けたリールギヤと噛合し該リールを回転駆動する駆動ギヤを備え、この駆動ギヤに前記リールギヤに設けられた挿通孔に挿通可能な押上突起を立設してなることを特徴とするものである。
【００１０】
【発明の効果】
上記のような本発明によれば、ドライブ側回転駆動手段の駆動ギヤと噛合するリールギヤに挿通孔を設け、駆動ギヤに立設した押上突起により上記挿通孔を通して制止部材を解除方向に移動させるように設けたことにより、カートリッジケース内におけるリール回転制止手段の部品点数が少なく、機構が簡素化できて全体としての磁気テープカートリッジの組み立てを簡易に行うことができるものである。
【００１１】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示す実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明する。図１はこの実施の形態における磁気テープカートリッジの不使用状態における断面図、図２は要部の分解斜視図、図３は使用状態における要部断面図である。
【００１２】
磁気テープカートリッジ１は、単一のリール２に磁気テープ（図示省略）を巻装し、上ケース３１と中心部に開口３２ａが設けられた下ケース３２とがビス等により締結されてなるカートリッジケース３内に、上記リール２を回動可能に収容して構成されている。また、上記磁気テープカートリッジ１は、使用時に前記リール２の回転を許容し、不使用時に前記リール２の回転を拘束するリール回転制止手段１０を備えている。
【００１３】
前記リール２は、磁気テープが外周に巻回される有底円筒状のリールハブ２１と、このリールハブ２１の上下端外周からそれぞれ径方向に円盤状に張り出した下フランジ部２２及び上フランジ部２３とからなり、リールハブ２１と下フランジ部２２とが合成樹脂により一体成形され、上フランジ部２３と例えば超音波溶着により結合されている。上記リールハブ２１は中心側下部が底壁２１ａにより閉じられ、該底壁２１ａの下面外周部にはリール２を回転駆動するリールギヤ２４が環状に刻設され、このリールギヤ２４より内周側にはマグネット式吸引用の環状金属板によるリールプレート２５が取り付けられる。そして、上記リール２のリールギヤ２４及びリールプレート２５がカートリッジケース３の底面の開口３２ａに臨むように配置されている。なお、リール２は後述の付勢部材５により下方に付勢される。
【００１４】
また、磁気テープカートリッジ１を装填し駆動するドライブ装置におけるドライブ側回転駆動手段１１は、回転シャフト１２の上端面に円環状の駆動ギヤ１３とマグネット（図示せず）を備え、そのチャッキング動作は装填された磁気テープカートリッジ１に対して回転シャフト１２が上昇移動し、駆動ギヤ１３が前記リールギヤ２４に噛合すると共に、マグネットにより上記リールプレート２５を吸引して噛合状態を保持する。
【００１５】
さらに、上記駆動ギヤ１３には、円周上の３個所に押上突起１４が等間隔に立設されている。この押上突起１４は弾性コイル材等によって可撓性を有する構造に設けられている。
【００１６】
次に、前記リール回転制止手段１０の機構を説明する。このリール回転制止手段１０は、前記リール２に対して接離可能に上下方向に移動する制止部材４と、該制止部材４を制止方向に付勢する付勢部材５とを有し、前記ドライブ側回転駆動手段１１の押上突起１４との連係によって作動する。
【００１７】
前記リール２の底壁２１ａには、前記リールギヤ２４の部分を上下方向に貫通する３個の挿通孔２６が円周上で等間隔に配設され、この挿通孔２６には前記押上突起１４が挿通可能である。さらに、底壁２１ａの上面には上記挿通孔２６と異なる位相位置に３個の係止突起２７が円周上で等間隔に立設され、この係止突起２７の先端部はギヤ歯形状に形成されている。なお、上記挿通孔２６（押上突起１４）及び係止突起２７は３個以上配置してもよく、係止突起２７の先端部は複数のギヤ歯形状としてもよい。図２に示すリール２は、底壁２１ａの部分のみ切除した状態で示している。
【００１８】
前記制止部材４は、円盤部４１が前記リール２のリールハブ２１内にその底壁２１ａと対向して配置され、この円盤部４１の外周部には下方に突出する環状リブ４２が設けられ、該環状リブ４２の下端面は凸面状に形成されて、前記リール２の底壁２１ａの挿通孔２６の上端開口に臨んで配置されている。また、この環状リブ４２の内側における円盤部４１の下面には、円環状に制止用ギヤ４３が刻設され、この制止用ギヤ４３には前記係止突起２７の先端部が噛合可能である。
【００１９】
さらに、前記制止部材４の円盤部４１の上面には突起部４４が上方に延びて形成され、この突起部４４には上下方向に延びる十字形状の係止溝４５が設けられている。一方、カートリッジケース３の上ケース３１内面には上記係止溝４５に挿入される回り止め突起３３が立設されている。そして、係止溝４５と回り止め突起３３の係合で、制止部材４が前記リール２の底壁２１ａに対して回転しない状態で接離移動可能に設置されている。
【００２０】
前記制止部材４の突起部４４より外周側の上面と上ケース３１の回り止め突起３３の外周側内面との間にはコイルスプリングによる付勢部材５が縮装されて、制止部材４を下方に制止用ギヤ４３と係止突起２７とが係合する制止方向に付勢している。
【００２１】
そして、前記制止部材４の最下降位置（図１）では、環状リブ４２の下端面はリール底壁２１ａの上面に当接し、上記リールギヤ２４にドライブ側回転駆動手段１１のチャッキング動作により駆動ギヤ１３が噛合し、挿通孔２６に押上突起１４が挿通するのに応じて、この押上突起１４先端によって環状リブ４２が押圧され所定のストローク量で押し上げられるようになっている（図３）。
【００２２】
前記リール回転制止手段１０の作用を説明すれば、図１は磁気テープカートリッジ１の保管状態等の不使用時であり、この状態では、付勢部材５の付勢力によって制止部材４並びにリール２はカートリッジケース３の下ケース３２側に移動しており、下ケース３２中心部の開口３２ａはリール２によって閉塞される。制止部材４は最下降状態にあり、その制止用ギヤ４３にリール２の係止突起２７の先端部が係合してリール２の不使用時における回転が拘束され、磁気テープの引き出しを阻止する。
【００２３】
一方、磁気テープカートリッジ１をドライブ装置に装填した図３のカートリッジ使用時は、ドライブ側回転駆動手段１１の回転シャフト１２がリール２の底面に対して接近し、回転に伴い押上突起１４が挿通孔２６に一致して挿入されると共に、チャッキング動作によって駆動ギヤ１３がリールギヤ２４に噛合しリール２を若干上方に移動させて保持すると、上記押上突起１４の先端が前記制止部材４の環状リブ４２に当接してこれを押し上げる。これに伴い、制止部材４が付勢部材５の付勢力に抗して上方の解除方向へ移動することにより、制止用ギヤ４３と係止突起２７の係合が解除され、リール２が回転自在とされる。そして、記録再生装置のドライブによって磁気テープが引き出され又は巻き取りが行われ、リール２が回転すると、これと一体に回転する押上突起１４の先端は静止状態にある制止部材４の環状リブ４２の先端面を摺動する。
【００２４】
図４は他の実施の形態を示し、前記リール２のリールギヤ２４が前例とは異なっている。このリールギヤ２４には、その挿通孔２６の下端開口部の位置にリール２の回転中心と同心に円環状のガイド溝２４ａが設けられている。このガイド溝２４ａはテーパ形状に設けてもよい。
【００２５】
この実施の形態では、挿通孔２６に挿入される前の押上突起１４の先端は上記ガイド溝２４ａを摺動してリールギヤ２４の歯に接触せず、挿通孔２６への挿入が容易に行える。
【００２６】
前記実施の形態における制止部材４は、低摩擦かつ低摩耗材料で構成する。例えば、ＰＯＭ（ポリオキシメチレン）、ＰＣ（ポリカーボネイト）樹脂、グラファイトを添加したＰＣ樹脂、ＡＢＳ樹脂、グラファイトを添加したＡＢＳ樹脂、二硫化モリブデンを添加したナイロン樹脂等によって成形する。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一つの実施の形態による磁気テープカートリッジの不使用状態における断面正面図
【図２】図１の磁気テープカートリッジの要部の分解斜視図
【図３】図１の磁気テープカートリッジの使用状態における要部断面図
【図４】他の実施の形態におけるリールの要部構造を示す斜視図
【符号の説明】
１ 磁気テープカートリッジ
２ リール
３ カートリッジケース
４ 制止部材
５ 付勢部材
10 リール回転制止手段
11 ドライブ側回転駆動手段
12 回転シャフト
13 駆動ギヤ
14 押上突起
21 リールハブ
21a 底壁
24 リールギヤ
24a ガイド溝
25 リールプレート
26 挿通孔
27 係止突起
42 環状リブ
43 制止用ギヤ
44 突起部

Claims (3)

1. 磁気テープを巻装した単一のリールをカートリッジケース内に回転可能に収容し、使用時に前記リールの回転を許容し、不使用時に前記リールの回転を拘束するリール回転制止手段を備えた磁気テープカートリッジにおいて、
   前記リール回転制止手段は、前記リールに対して接離可能に移動してリールの回転を拘束する制止部材と、該制止部材を制止方向に付勢する付勢部材とを有し、
   前記リールにドライブ側回転駆動手段の駆動ギヤと噛合するリールギヤを設け、前記駆動ギヤに立設した押上突起を前記リールギヤに設けた挿通孔を通して先端が前記制止部材の一部に当接し、該制止部材を解除方向に移動可能に設けてなることを特徴とする磁気テープカートリッジ。
2. 前記リールギヤにおける挿通孔の開口位置に、回転中心と同心に円環状のガイド溝を設けたことを特徴とする請求項１に記載の磁気テープカートリッジ。
3. 請求項１に記載の磁気テープカートリッジを装填し駆動するドライブ装置であって、
   前記磁気テープカートリッジのリールに設けたリールギヤと噛合し該リールを回転駆動する駆動ギヤを備え、この駆動ギヤに前記リールギヤに設けられた挿通孔に挿通可能な押上突起を立設してなることを特徴とする磁気テープカートリッジ用ドライブ装置。

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