JP3755630B2 - 缶詰の加熱装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、充填・密封済みの缶詰を短時間で加熱するための加熱装置に関し、特に、低温で充填・密封された缶詰と外気温度との温度差に起因して缶詰の缶体表面に結露が生じるのを防ぐために缶詰を加熱するような場合や、充填・密封直後の缶詰に対して低温殺菌処理を施すために缶詰を加熱するような場合において使用するのに好適な缶詰の加熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
炭酸ガスを含有する発泡性の飲料を缶詰にする場合、通常、飲料を缶容器内に充填して缶蓋で密封する段階で、飲料中に溶け込んでいる炭酸ガスが抜け難いように、飲料自体の温度を低温(1〜15℃)に維持しているが、そのため飲料を充填・密封した直後の缶詰の温度が外気温よりも大幅に低くなることがあり、そのような場合、そのままでは缶体表面に結露を生じることとなって、その後で段ボールケースに箱詰めしたときに段ボールケースを湿らして、搬送時に段ボールケースが変形したり破断したりする原因となったり、保管中に段ボールケースに黴が発生したり、缶に錆が発生したりする原因となっている。
【0003】
そこで、そのような外気温との温度差を予め解消して缶詰の缶体表面に結露が生じることのないように、炭酸ガス含有飲料を充填・密封した直後、缶詰製造のラインを縦置きの状態(正立状態)で連続的に搬送されている缶詰に対して、該缶詰の温度が外気温と略等しくなるように、その上方から熱湯や蒸気のシャワーを浴びせて加熱するということが従来から行われている。
【0004】
一方、果汁飲料や乳酸飲料のようなPH4.6以下の高酸性飲料では、飲料自体が高酸性であることにより高温菌の発育が抑えられるため、そのような高酸性飲料の缶詰を製造する場合には、低温菌(黴,酵母等)の殺菌を行うことで充分であり、また、内容物を高温に曝すことによる味や香りや色の劣化をできるだけ避けるためにも、充填・密封直後の缶詰に対して、通常、130℃程度の温度によるレトルト処理のような高温殺菌処理を施さずに、65〜95℃程度の温度による低温殺菌処理(パストリゼーション)を施している。
【0005】
そのような低温殺菌処理の具体的な方法としては、高酸性飲料を充填・密封して缶詰とした直後に、該缶詰の温度を65〜95℃の殺菌温度にまで上げるために、上記のような炭酸ガス含有飲料における加熱の場合と同様に、缶詰製造のラインを縦置きの状態(正立状態)で連続的に搬送されている缶詰に対して、その上方から熱湯や蒸気のシャワーを浴びせて加熱するということが従来から行われている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記のような従来の缶詰の加熱処理法では、熱湯や蒸気等の散布により、加熱処理装置の周囲に蒸気が立ちこめて見通しが悪くなったり、高温・高湿度となって、作業環境が不快なものになると共に、作業者が火傷をしたりする危険性をも伴い、更に、飲料の充填・密封作業をクリーンルーム内で行うような場合には、その近くにある加熱処置装置の周囲が高温・高湿度となることで微生物の繁殖を促し、該微生物がクリーンルーム内に入り込む危険が増すこととなって、好ましくない。
【0007】
一方、加熱処理される缶詰自体についても、缶詰の上側から加熱されることになるため、上部側ほどその温度が高くなるような温度差を生じ、内容物の自己対流が働き難く、全体が所定の温度となるまでに長時間を要することとなって、低温殺菌処理を施すような場合には、内容物の上部が高温下に長時間曝されることによる味や香りや色の劣化を招く可能性もある。
【0008】
そこで、そのような従来の缶詰の加熱処理法における問題を解消するために、炭酸ガス含有飲料缶詰の製造工程において、炭酸ガス含有飲料を1〜15℃の温度で充填し、密封した直後の缶詰に対して、外気温と缶詰の温度差が略±5℃以内となるように、連続的に搬送しながら高周波誘導加熱法により缶詰に加熱処理を施すことを特徴とする炭酸ガス含有飲料缶詰の製造方法(特願平9−31299号)や、高酸性飲料缶詰の製造工程において、PH4.6以下の高酸性飲料を充填・密封した直後の缶詰に対して、高周波誘導加熱法により缶詰の温度を80〜95℃とするような低温殺菌処理を施すことを特徴とする高酸性飲料缶詰の製造方法(特願平9−56854号)が、それぞれこの出願に先立って本出願人により既に出願されている。
【0009】
本発明は、そのような本出願人による各方法をより効果的に実施することができるような缶詰の加熱装置の提供を課題とするもので、具体的には、高周波誘導加熱法による缶詰の加熱装置において、高周波誘導加熱を行なうために使用する誘導加熱コイルやその電気系統に故障が生じても、加熱される各缶詰の最終的な加熱温度に大幅なバラツキがでないようにすると共に、そのような故障の発見を容易に行うことができ、また、製造ラインの稼働に影響を与えることなく、その補修を容易に行うことができるようにすることを課題とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記のような課題を解決するために請求項1に記載したように、直立状態で連続的に搬送されている各缶詰を、搬送路に沿って配置された高周波誘導加熱手段によって加熱するようにした缶詰の加熱装置において、一定の間隔で各缶詰を搬送路に供給するための缶詰供給手段と、搬送路に沿って各缶詰を一定速度で搬送するための搬送手段と、搬送路に沿って搬送される各缶詰と接触して各缶詰をそれぞれ回転させるための回転力付与手段とを備えており、また、搬送路の少なくとも片側に配置される高周波誘導加熱手段として、複数の誘導加熱コイルが搬送路に沿って直列的に配設され、且つ、直列的に配設された各誘導加熱コイルのそれぞれに対して、電源スイッチから誘導加熱コイルに至るまでの電気系統が個別に分配されていると共に、上記の回転力付与手段が、搬送されている各缶詰に対して、缶体底部に形成されたテーパー部の外側面で接触していることを特徴とするものである。
【0011】
また、上記の請求項1に記載した缶詰の加熱装置において請求項2に記載したように、直列的に配設されている複数の誘導加熱コイルのそれぞれが、一定間隔で搬送される缶詰の所定個数の進行方向長さを有することで、所定個数の缶詰を同時に加熱できるのであることを特徴とするものである。
【0013】
また、上記の請求項1又は2に記載した缶詰の加熱装置において、請求項3に記載したように、搬送路に沿って各缶詰を搬送するための搬送手段が、搬送路の中央部に配置され、且つ、各缶詰の底部と接触して缶詰を搬送方向に押すような突起部が等間隔で形成された搬送ベルトであり、各缶詰をそれぞれ回転させるための回転力付与手段が、該搬送ベルトの移動速度と異なる速度で移動する回転力付与ベルトであって、この回転力付与ベルトにより回転させられる各缶詰に対して、その搬送路の両側に、各缶詰が横方向にずれないように案内するために、非磁性体からなるサイドガイドが設けられていることを特徴とするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の缶詰の加熱装置の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
図1および図2は、本発明の一実施形態に係る缶詰の加熱装置の全体について一部を省略して概略的に示すもので、図1は、装置を側方から見た状態を示し、図2は、装置を上方から見た状態を示すものであって、この缶詰加熱装置1は、例えば、炭酸ガス含有飲料の缶詰製造ラインにおいて、低温(1〜15℃)で充填・密封された缶詰と外気温度との温度差に起因して缶詰の缶体表面に結露が生じるのを防ぐために缶詰を(外気温±5℃程度まで)加熱したり、あるいは、果汁飲料や乳酸飲料のようなPH4.6以下の高酸性飲料の缶詰製造ラインにおいて、充填・密封直後の缶詰に対して低温殺菌処理を施すために缶詰を(80〜95℃程度まで)加熱したりするために、缶詰製造ラインの工程中に組み込まれるものである。
【0016】
すなわち、図示していないが、上記のような飲料缶詰の製造ラインでは、送給されてくる飲料を分配して充填する飲料充填機(フィラー)によって、連続的に送り込まれてくる洗浄済みの各空缶に飲料を分配して充填してから、この飲料充填済みの缶体を、搬送コンベアーにより連続的に缶蓋巻締機(シーマー)に送り込み、缶蓋供給装置から連続的に缶蓋が供給されている缶蓋巻締機によって、飲料充填済みの各缶体に缶蓋を巻き締めることで、密封状態の飲料缶詰として連続的に缶蓋巻締機から送り出している。
【0017】
そのような飲料缶詰の製造ラインにおいて、密封状態の飲料缶詰として連続的に缶蓋巻締機から送り出された各缶詰が、缶体外面を水洗いされてから、エアーブロー等で水分を概略除去された後、缶詰加熱装置1に連続的に送り込まれることとなる。
【0018】
缶詰加熱装置1は、各缶詰2を直立状態で連続的に搬送しながら、搬送路3に沿って配置された複数の誘導加熱コイル4による高周波誘導加熱手段により加熱する装置であって、スクリュー5のような各缶詰2を一定の間隔として搬送路3に供給する缶詰供給手段と、搬送ベルト6により搬送路3に沿って各缶詰2を一定速度で搬送する搬送手段と、搬送路3に沿って搬送される各缶詰2と接触して各缶詰2をそれぞれ回転させる回転力付与手段7とを備えたものである。
【0019】
なお、本実施形態では、缶蓋巻締機から連続的に送り出されてくる大量の缶詰を効率良く加熱処理するために、缶詰加熱装置1には、図2に示すように、複数の搬送路3が並列的に設けられており(搬送路3は1列でも良いが、加熱処理速度を上げるためには多列にするのが好ましく、図示したものは3列だけに省略しているが、実際には10列程度設けられている)、例えば、2000cpm(処理缶詰数/分)の能力を有する装置の場合、10列の搬送路3により、各列のそれぞれにおいて200cpmの能力(搬送速度が約14m/分)で、各缶詰2が同時的に高周波誘導加熱処理がなされることとなる。
【0020】
図3および図4は、図1および図2に示した缶詰加熱装置1において、連続的に送られてくる各缶詰2を一定の間隔で搬送路3に供給するための部分を示すもので、両側に配置されたサイドガイド8により案内されて、搬入コンベアー9により直立状態で連続的に送られてくる各缶詰2は、スクリュー5によって一定の間隔とされながら、各缶詰2を加熱処理するための搬送路3に送り込まれる。
【0021】
図5は、缶詰加熱装置1の搬送路3の横断面を示すもので、各缶詰2(図では2ピース缶胴の開口端を缶蓋で密封した缶詰の例を示す)を加熱処理するための搬送路3には、MCナイロンのような耐熱性の合成樹脂材料からなる非磁性体の支持プレート10が、搬送方向に沿って延びるように設置されており、この支持プレート10の幅方向中央部の上面側に凹設された溝内に、無端ベルトである搬送ベルト6の搬送上部が、搬送方向に移動可能なように導入されている。
【0022】
各缶詰2を搬送路3に沿って搬送するための搬送ベルト6は、耐熱性のある材料からなる無端ベルトであって、図6に示すように、搬送ベルト6のベルト内面側には、搬送ベルト6を巻回させる駆動スプロケットや従動スプロケットの歯部と噛合する歯部6bが、該ベルト6の長手方向に沿って所定間隔で形成されていると共に、搬送ベルト6のベルト外面側には、スクリュー5によって一定の間隔とされた正立状態の各缶詰2をその間隔を保ったままで移動させるために、該ベルト6の幅方向中央部に長手方向に沿って所定間隔で、各缶詰2の下部をそれぞれ搬送方向に押すための突起部6aが形成されている。
【0023】
また、搬送路3には、支持プレート10よりも上方に、各缶詰2が横方向へずれないように案内するために、非磁性体からなるサイドガイド8が、缶詰2の列の両側でそれぞれ搬送方向に沿って延ばされていると共に、搬送路3の片側には、支持プレート10の幅方向端部の上面側に凹設された溝内に、搬送ベルト6により搬送されている各缶詰2をそれぞれ回転させるような回転力付与手段として、弾性に富んだゴム製で棒状の無端ベルトである回転力付与ベルト7の上部が、搬送方向とは反対側に移動可能なように導入されている。
【0024】
回転力付与手段であるゴム製の回転力付与ベルト7は、本実施形態では、搬送されている各缶詰2に対して、缶体底部に形成されたテーパー部の外側面2aの下端(接地部分)に略一点Aで摩擦接触するように配置されており、それによって、図7に示すように、搬送ベルト6の突起部6aにより押されて移動する缶詰2は、回転力付与ベルト7に対してA点以外の部分で接触することなく、回転力付与ベルト7に沿って転がるように、搬送方向に移動することとなる。
【0025】
なお、そのような各缶詰2の回転をできるだけ阻害しないように、支持プレート10の溝内に位置する搬送ベルト6の上面は、缶詰2の缶底には接触しないように、支持プレート10の上面よりも数mm低い位置を通過して、突起部6aだけが缶詰2と接触しており、また、缶詰2の缶底と接触する支持プレート10の上面は、摩擦抵抗の少ない滑り性の良いものとなっている。
【0026】
すなわち、上記のような缶詰加熱装置1の搬送路3では、スクリュー5によって一定の間隔で搬送路に送られてきた各缶詰2は、搬送方向に移動する搬送ベルト6の搬送上部に形成された各突起部6aにより搬送方向に押されることで、それぞれ一定の間隔を保ったままで支持プレート10の上面を滑り、両側のサイドガイド8に案内された状態で、搬送方向に沿って移動すると同時に、搬送路3の片側に回転力付与手段として設けられ、搬送方向と反対方向に移動するゴム製の回転力付与ベルト7と摩擦接触することで、缶体の円筒軸心を中心として回転することとなる。
【0027】
そのように各缶詰2がそれぞれ回転しながら一定の間隔で搬送されている搬送路3の両側には、各缶詰2を高周波誘導加熱により加熱するための手段として、一定の間隔で搬送される缶詰2の複数個(図示したものでは3個)を同時に加熱できるような大きさの誘導加熱コイル4が、本実施形態では搬送路3の両側にそれぞれ対になって配置されており、それが搬送路3に沿って複数個(図面では搬送路3の途中を省略しているが、実際には搬送路3に沿って30個程度)直列的に配設されている
【0028】
各誘導加熱コイル4のそれぞれについては、誘導加熱コイル本体4aをエポキシ樹脂のような非磁性体のケース4b内に収容したものであって、誘導加熱コイル4のケース4bの缶詰2に対向する側は、比較的薄い蓋板4cにより覆われており、この蓋板4cの厚さは、誘導加熱コイル本体4aと缶詰2との距離を短くするために、2mm内外の厚さとなっている。
【0029】
誘導加熱コイルの本体4aは、フェライトコア41に導電線42をコイル巻きしたようなものであって、導電線42に電流を流すことで、ケースの蓋板4cを通して、誘導加熱コイル4の近傍を通過する缶詰2を、金属素材の缶容器に生じる誘導電流(渦電流)に基づくジュール熱によって該缶容器を加熱して、それにより、該缶容器を介して中身の飲料を加熱し、缶詰2の全体を加熱するものである。
【0030】
搬送路に沿って直列的に配置された複数の誘導加熱コイル4のそれぞれに対して、図1に示すように、誘導加熱コイル4に電流を送るための電気回路(発振器)11が、搬送路の両側に配置された左右一対の誘導加熱コイル4に対して一個ずつ、搬送路3を支持する架台に吊り下げられた状態で、搬送路3の下方に複数個設置されている。
【0031】
それぞれの誘導加熱コイル4に電流を送るための各電気回路11は、図示していないが、何れも一つのモニター付き制御装置に接続されており、このモニター付き制御装置では、左右一対の各誘導加熱コイル4とその電気回路11について、左右一対の各誘導加熱コイル4毎に、個別に故障等の状態をモニターできると共に、個別のスイッチにより各電気回路11を通して各誘導加熱コイル4に送る電流を個別にオン・オフできるようになっている。
【0032】
上記の構成の缶詰加熱装置1では、各電気回路11の一次側に周波数50Hzで三相200V,14〜15Aの電流を供給して(二次側の周波数10KHz)、350ml用アルミニウム缶に充填・密封した炭酸ガス含有飲料缶詰を加熱処理したところ、30秒間で飲料の温度を25℃上昇させることができた。
【0033】
上記のような構成を有する本実施形態の缶詰加熱装置1によれば、熱湯や蒸気等のシャワーにより缶詰を加熱するような従来の装置と比べて、熱湯や蒸気等を作業環境内に散布する必要がないため、作業環境を安全で快適なものにすることができると共に、加熱処理装置近傍の飲料充填・密封作業雰囲気を、微生物が発生しやすい条件である高温・高湿度にさせないで済む。
【0034】
また、従来の装置では、缶詰が上側から一方的に加熱されるため、缶詰の内部で内容物の飲料に上部側ほど温度が高くなるような温度差を生じ、内容物の自己対流が働き難く、缶詰全体が所定の温度となるまでに時間を要していたのに対して、本実施形態の装置では、缶体を通して缶詰全体を効率的に加熱することができるため、短時間で缶詰全体を設定温度に到達させることができる。
【0035】
そのため、飲料缶詰を低温殺菌処理するような場合には、内容物の上部のみを長時間に亙って高温(熱湯や蒸気の温度)に曝すことで味や香りや色の劣化を招くようなことなく、内容物を全体的に加熱して短時間で所定の温度に到達させることで、内容物の味や香りや色の劣化を回避することができる。
【0036】
また、缶詰を上側から一方的に加熱すると、先ずヘッドスペース(缶詰内上部の内容物のない空間部分)が加熱されるため、缶内圧を決定するヘッドスペースの圧力が加熱によって高くなるのに対して、本実施形態の装置では、ヘッドスペースの側から加熱しないため、加熱時にヘッドスペースの圧力を低く抑えることができ、その結果、缶内圧の変化による缶体の変形を抑えるのに最小限必要な厚さにまで缶壁厚を薄くすることができる。
【0037】
また、缶詰をどの程度加熱するかということは、使用条件(例えば、結露の防止に使用するか、低温殺菌処理に使用するか)や、缶詰の大きさや缶詰の温度や外気温や湿度によって変わるものであり、加熱の程度を状況に応じて適宜変更することが必要であるが、本実施形態の装置によれば、各誘導加熱コイルに流す電流の大きさを変えたり、あるいは、電流を流す誘導加熱コイルの個数を変えたりするだけで、そのような加熱程度の変更をきわめて容易に行うことができる。
【0038】
さらに、本実施形態の缶詰加熱装置1では、複数の誘導加熱コイル4が搬送路3に沿って直列的に配設されていると共に、直列的に配設された誘導加熱コイル4のそれぞれに対して、モニター付き制御装置に配置された電源スイッチから電気回路11を経て誘導加熱コイル4に至るまでの電気系統が、左右一対の各誘導加熱コイル4毎にそれぞれ個別に分配されている。
【0039】
そのため、仮に一つの誘導加熱コイル4やその電気系統で故障が発生しても、搬送されている各缶詰2が全く加熱されないというような事態とはならず、各搬送路に沿って多数の誘導加熱コイル4が配置されていることで、最終的な缶詰2の加熱温度に大幅な影響を与えることはない。
【0040】
また、誘導加熱コイル4とその電気系統が、各誘導加熱コイル4毎にそれぞれ個別に分かれているため、誘導加熱コイル4やその電気回路11が正常に働いているかどうかを、各誘導加熱コイル4毎にそれぞれ制御装置のモニターに表示しておくだけで、故障が発生してもその箇所が発見が早くでき、故障箇所の取り替えも速やかに、しかも、缶詰製造ラインの稼働に影響を与えることなく、簡単に行なうことができる。
【0041】
なお、加熱装置1の搬送路3の出口付近に、赤外線センサーのような缶表面温度測定装置を配置しておき、搬送路3から出た缶詰2の温度が設定温度よりも低いことが判明した場合に、その搬送路3の各誘導加熱コイル4毎に手を近づけると、故障している誘導加熱コイル4は熱くなっていないので、モニターに表示しなくても故障の発見は容易に且つ速やかに行なうことができる。従って、モニターは省略することができる。
【0042】
また、本実施形態では、各缶詰2が一定の間隔を保って一定の速度で搬送されているので、缶詰2同士の接触による傷付きや胴部の変形を防止することができる。その場合、各缶詰2同士の間隔が広すぎると加熱処理の速度(時間当たりの処理缶数)が低下し、また、加熱装置1の設置スペースが広くなるので、各缶詰2同士が接触しない程度に近接させて(例えば3〜4mm)搬送するのが望ましい。
【0043】
また、本実施形態では、誘導加熱コイル4のそれぞれが、一定の間隔で搬送される缶詰2の所定個数の進行方向長さを有するので、各誘導加熱コイル4を通過する際の各缶詰2の発熱量は略同じとなり、缶詰2の異常加熱を防止できる。その場合、各誘導加熱コイル4の長さは、製造コストの観点からは長い方が良いが、故障した場合を考慮すると、缶詰2〜4個分が好ましい。
【0044】
また、本実施形態では、各缶詰2は正立状態で搬送され、支持プレート10上を滑る際に支持プレート10と接触するのは、壁厚が比較的厚く、構造的にも強い缶体底部の接地部分及びテーパー部2a外側面であるので、滑る際にこの部分が変形することはない。
【0045】
また、本実施形態では、各缶詰2が缶体底部を下にした正立状態で搬送され、回転力付与手段であるゴム製の回転力付与ベルト7が、搬送ベルト6により一定速度で搬送されている各缶詰2に対して、缶体底部に形成されたテーパー部2aの外側面で接触しているため、缶詰2の進行を妨げない程度の最短の接触長さで回転力付与ベルト7を各缶詰2に摩擦接触させることができ、それによって、各缶詰2を搬送方向にスムーズに移動させながら、回転力付与ベルト7に沿って転がすように各缶詰2をスムーズに回転させることができる。
【0046】
また、本実施形態では、搬送路3に沿って各缶詰2を搬送するための搬送手段が、搬送路3の中央部に配置され、且つ、各缶詰2の底部付近の胴部下端部と接触して缶詰2を搬送方向に押す(即ち、缶詰2の重心よりも低い位置を押す)ような突起部6aが等間隔で形成された搬送ベルト6であることにより、各缶詰2に対して回転力付与手段である回転力付与ベルト7を接触させたとしても、突起部6aにより各缶詰2は確実にしかも安定的に保持される結果、各缶詰2を一定間隔で確実に搬送することができる。
【0047】
なお、本実施形態では、突起部6aおよび回転力付与ベルト7が各缶詰2と接触する部分は胴部下端と底部であり、胴壁厚が非常に薄い絞りしごき缶の場合であっても、比較的肉厚の部分であるので、これらの部材との接触および押圧による変形は発生しない。
【0048】
以上、本発明の缶詰の加熱装置を一実施形態によって説明したが、本発明は、上記のような実施形態にのみ限定されるものではなく、例えば、缶詰供給手段について、上記の実施形態ではスクリュー5を使用しているが、スクリュー5に変えてターレットを使用することも可能であり、また、各誘導加熱コイル4の配置状態について、上記の実施形態では加熱効率の観点から搬送路3の両側にそれぞれ誘導加熱コイル4を配列しているが、場合によっては、搬送路3の片側にのみ誘導加熱コイル4を配列することで実施することも可能である。
【0049】
また、電源スイッチから電気回路11を経て誘導加熱コイル4に至るまでの電気系統についても、上記の実施形態に示したようなものに限らず、例えば、電源スイッチと電気回路11を同じ装置として制御装置から分離することも可能であり、あるいは、電源スイッチだけでなく各電気回路11も纏めて制御装置内に配置する等、適宜変更可能なものである。
【0050】
また、各缶詰2をそれぞれ回転させるための回転力付与手段についても、上記の実施形態に示したような搬送ベルト6と反対方向へ移動するような回転力付与ベルト7に限らず搬送ベルト6と同方向へ移動し、搬送ベルト6よりも高速で移動するような回転力付与ベルト7であっても良く、搬送ベルト6よりも高速で移動するような回転力付与ベルトを使用した場合には、搬送ベルト6の搬送速度を回転力付与ベルト7との摩擦によって減速させるようなことなく、高速で各缶詰2を搬送しながら、各缶詰2を一定の回転量で回転させることができる。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したような本発明の缶詰の加熱装置によれば、誘導加熱コイルによる高周波誘導加熱によって、作業環境を安全で快適なものとすることができると共に、缶詰全体を短時間で所定の温度に到達させることができ、また、加熱時にヘッドスペースの圧力を低く抑えることができることで、缶内圧の変化による缶体の変形を抑えるのに最小限必要な缶壁厚を薄くすることができ、さらには、加熱装置の周囲が高湿度とならないことで、その近傍の飲料充填・密封作業雰囲気における微生物の繁殖を抑制して、缶詰飲料を変質させるような微生物が缶内に入る危険を回避することができる。
【0053】
しかも、高周波誘導加熱を行なうために使用する誘導加熱コイルやその電気系統に故障が生じても、加熱される各缶詰の最終的な加熱温度に大幅なバラツキがでないようにすることができると共に、そのような故障の発見を容易に行うことができ、また、製造ラインの稼働に影響を与えることなく、その補修を容易に行うことができる。
さらに、各缶詰を回転させるための回転力付与手段を、缶体底部に形成されたテーパー部の外側面で缶に接触させていることで、各缶詰を搬送方向にスムーズに移動させながらスムーズに回転させることができると共に、絞りしごき缶のような胴部の缶壁厚が非常に薄い缶であっても、回転力付与手段との接触および押圧により缶が変形するようなことはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る缶詰加熱装置について、装置全体の概略を一部を省略して示す側面図。
【図2】図1に示した装置全体の概略についての一部を省略した上面図。
【図3】図1に示した缶詰加熱装置において、連続的に送られてくる各缶詰を一定の間隔で搬送路に供給するための部分を示す側面図。
【図4】図3に示した部分についての上面図。
【図5】図1に示した缶詰加熱装置の搬送路を示す横断面図。
【図6】図1に示した缶詰加熱装置の搬送ベルトを示す側面図。
【図7】図1に示した缶詰加熱装置の回転力付与手段の作用を示す下面説明図。
【符号の説明】
缶詰加熱装置(缶詰の加熱装置)
2 缶詰
2a (缶詰の)缶体底部に形成されたテーパー部の外側面
3 搬送路
4 誘導加熱コイル(高周波誘導加熱手段)
5 スクリュー(缶詰供給手段)
6 搬送ベルト(搬送手段)
6a (搬送ベルトの)突起部
7 回転力付与ベルト(回転力付与手段)
11 電気回路(電気系統)

Claims (3)

  1. 直立状態で連続的に搬送されている各缶詰を、搬送路に沿って配置された高周波誘導加熱手段によって加熱するようにした缶詰の加熱装置において、一定の間隔で各缶詰を搬送路に供給するための缶詰供給手段と、搬送路に沿って各缶詰を一定速度で搬送するための搬送手段と、搬送路に沿って搬送される各缶詰と接触して各缶詰をそれぞれ回転させるための回転力付与手段とを備えており、また、搬送路の少なくとも片側に配置される高周波誘導加熱手段として、複数の誘導加熱コイルが搬送路に沿って直列的に配設され、且つ、直列的に配設された各誘導加熱コイルのそれぞれに対して、電源スイッチから誘導加熱コイルに至るまでの電気系統が個別に分配されていると共に、上記の回転力付与手段が、搬送されている各缶詰に対して、缶体底部に形成されたテーパー部の外側面で接触していることを特徴とする缶詰加熱装置。
  2. 直列的に配設されている複数の誘導加熱コイルのそれぞれが、一定間隔で搬送される缶詰の所定個数の進行方向長さを有することで、所定個数の缶詰を同時に加熱できるのであることを特徴とする請求項1に記載の缶詰の加熱装置。
  3. 搬送路に沿って各缶詰を搬送するための搬送手段が、搬送路の中央部に配置され、且つ、各缶詰の底部と接触して缶詰を搬送方向に押すような突起部が等間隔で形成された搬送ベルトであり、各缶詰をそれぞれ回転させるための回転力付与手段が、該搬送ベルトの移動速度と異なる速度で移動する回転力付与ベルトであって、この回転力付与ベルトにより回転させられる各缶詰に対して、その搬送路の両側に、各缶詰が横方向にずれないように案内するために、非磁性体からなるサイドガイドが設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の缶詰加熱装置。
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