JP3755363B2 - 人工窓装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、人工窓装置に関し、特に工場や発電所の監視ルームあるいは休息室のように窓のない屋内空間の造営面(壁面や天井面など)に配設される人工窓装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
工場や発電所の監視ルームあるいは休息室は、一般に警備上あるいは防災上の理由等から、建家の閉鎖的な窓のない場所となることが多い。そして、このような環境で作業を行う作業者にとっては、窓から入射する太陽光の変化によって外界とのコミュニケーションをとることができず、快適な環境とは言い難いものであるから、このように窓のない場所の壁面等に設置して擬似的な窓を作り出す人工窓装置が従来より提供されている(特開平3−226903号公報参照)。
【0003】
上記公報に記載されている従来の人工窓装置は、色温度の異なる複数の調光可能な光源を有し、屋外の朝・昼・夕の変化に合わせて光源の色温度と総光束を調節することにより、光源の光を実際の窓から入射する太陽光に模して快適な環境を得ようとするものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、実際の窓から入射する太陽光の1日の変化はその窓が設けられている方角(南向き、西向き等)によって異なっている。しかしながら、上記従来装置では、天候に応じて光源の調光パターンを変えてはいるものの、当該装置が設置される方角が違っても全て同じ調光パターンで光源の調光が行われるため、実際の窓から入射する太陽光の変化を忠実に再現することができないという問題があった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、実際の窓から入射する太陽光の変化を忠実に再現して快適な環境が得られる人工窓装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、屋内の造営面に配設される窓枠と、拡散透過性を有し前記窓枠の内側を覆うように設けられる透過部と、該透過部を通して屋内に光を照射する光源と、太陽光の一日の変化に略倣った調光パターンで前記光源を調光する調光手段とを備えた人工窓装置において、前記光源を異なる方角に対応させて複数設けるとともに、方角の異なる前記光源を各々対応する方角から入射する太陽光の変化に倣った調光パターンで独立的に調光する調光手段をそれぞれ設けたことを特徴とし、透過部を通して屋内に照射される光が恰も実際の太陽光のように感じられ、屋内に居る人が擬似的に外界とのコミュニケーションをとることができて快適な環境が得られるとともに、方角の異なる光源を各々対応する方角から入射する太陽光の変化に倣った調光パターンで独立的に調光することにより、実際の窓から入射する太陽光の変化をより忠実に再現することが可能となって快適性を向上させることができる。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記調光手段は、時刻に応じて最大光量となる位置を方角に対応して変化させるように前記光源を調光することを特徴とし、恰も実際の太陽の動きに合わせるかの如く最大光量となる位置が変化するため、屋内に居る人が時刻の変化や屋内における方角を知覚することができる。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記光源を少なくとも真南を含む方角に対応させて設けたことを特徴とし、請求項1又は2の発明と同様の作用を奏する。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1又は2の発明において、前記光源を少なくとも南から西を含む方角に対応させて設けたことを特徴とし、請求項1又は2の発明と同様の作用を奏する。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1又は2の発明において、前記光源を少なくとも東から南を含む方角に対応させて設けたことを特徴とし、請求項1又は2の発明と同様の作用を奏する。
【0011】
請求項6の発明は、請求項1〜5の何れかの発明において、前記透過部の少なくとも略水平方向における幅寸法を、所定距離だけ離れた位置から見込む角度が略90°以上となる寸法に設定したことを特徴とし、請求項1〜5の何れかの発明と同様の作用を奏する。
【0012】
請求項7の発明は、請求項1〜6の何れかの発明において、前記窓枠、透過部並びに光源を屋内の複数の造営面にそれぞれ独立して配設したことを特徴とし、請求項1〜6の何れかの発明と同様の作用を奏する。
【0013】
請求項8の発明は、請求項1〜6の何れかの発明において、前記窓枠、透過部並びに光源を屋内の複数の造営面に連続一体的に配設したことを特徴とし、請求項1〜6の何れかの発明と同様の作用を奏する。
【0014】
請求項9の発明は、請求項1〜6の何れかの発明において、前記窓枠、透過部並びに光源を屋内の単一の造営面に一体的に配設したことを特徴とし、請求項1〜6の何れかの発明と同様の作用を奏する。
【0015】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
本実施形態の人工窓装置は、図2に示すように屋内の造営面(壁面や天井面など)に配設される窓枠1、拡散透過性を有し窓枠1の内側を覆うように設けられる透過部2、透過部2を通して屋内に光を照射する光源から成る人工窓ユニットBと、太陽光の一日の変化に略倣った調光パターンで光源を調光する調光手段とを備えている。窓枠1の内側には複数本の桟1aが設けてあり、窓枠1と桟1aとに和紙のような拡散透過性を有する部材を取着して透過部2としている。そして、図2(b)に示すように窓枠1内側における透過部2の裏側には、光源となる複数本の直管型の蛍光ランプ3並びにランプソケット(図示せず)が配設されており、各ランプソケットが電線によって安定器4に接続されている。ここで、人工窓ユニットBにおける蛍光ランプ3の配置は、図2(b)に示すように軸方向を略水平として鉛直方向に並べるような配置の他に、図3(a)に示すように軸方向を鉛直方向に略一致させ且つ高さを揃えて水平方向に並べるような配置や、同図(b)に示すように軸方向を鉛直方向に略一致させ且つ高さを互い違いにして水平方向に並べるような配置であっても良い。あるいは、窓枠1の内側ではなく、同図(c)に示すように窓枠1の各辺と略平行になるように窓枠1の周囲に配置するようにしても良い。但し、このように配置した場合には、各蛍光ランプ3の光を窓枠1の内側の透過部2へ導くために導光板や反射鏡等を用いる。
【0016】
また、調光手段は安定器4と調光制御部5とで構成される。安定器4は、例えばインバータ回路により構成される電子安定器であって、商用電源を高周波電源に変換して蛍光ランプ3に供給するものである。また、調光制御部5はマイクロコンピュータを主構成要素とし、安定器4の発振周波数やオンデューティ比を可変することで蛍光ランプ3を調光するものである。なお、このような安定器4並びに調光制御部5は従来周知の技術を用いて実現可能であるから、詳しい構成については図示並びに説明を省略する。
【0017】
ところで調光制御部5は、EEPROM等の半導体メモリからなり予め調光パターンが記憶される記憶部(図示せず)を具備しており、この記憶部に記憶されている調光パターンに従って安定器4を制御し、蛍光ランプ3を調光している。ここで記憶部には、例えば大略図4に示すように屋外における太陽光の一日の変化のパターンに倣った調光パターン、つまり日の出から日の入りまでの間で南中時刻に調光レベルが100%(蛍光ランプ3の定格点灯レベル)となる山形の調光パターンP1と、図5に示すように太陽が雲間に見え隠れしている状況での輝度変化に倣って短時間のうちで調光レベルが細かく変動するような調光パターンP2とが記憶される。
【0018】
本実施形態の人工窓装置は、図1に示すように室内における方角(方位)が異なった2つの壁面(例えば、南向きと西向き)にそれぞれ人工窓ユニットB1,B2を配設し、各人工窓ユニットB1,B2の蛍光ランプ3を個別の調光手段(安定器4及び調光制御部5)で独立して調光制御するものである。
【0019】
ここで、上記調光パターンP1,P2は上記人工窓ユニットB1,B2が設置される壁面の方位に応じて設定される。例えば、図6は実際の窓から入射する光の輝度をその窓が設置された方位(南向き、西向き及び東向き)毎に測定した結果を示しており、この測定結果に基づいて図7に示すような調光パターンP1s(南向き),P1w(西向き)を設定する。
【0020】
また、調光制御部5は現在時刻をカウントするタイマ(図示せず)を具備しており、タイマでカウントする時刻に基づいて記憶部に記憶されている上記調光パターンP1s(又はP1w),P2を読み出し、調光パターンP1s(又はP1w)に従って一日単位の長いスパンで調光するとともに調光パターンP2に従って短時間の短いスパンで調光して屋外での実際の太陽光の変化に近づけるようにしている。すなわち、南向きに設置されている人工窓ユニットB1については調光パターンP1s,P2で調光制御され、西向きに設置されている人工窓ユニットB2については調光パターンP1w,P2で調光制御される。
【0021】
上述のように本実施形態の人工窓装置においては、屋内の異なる方角(方位)に配設された蛍光ランプ3の調光レベルを、その方角における太陽光の変化に倣った調光パターンP1s,P1wで調光することによって、各人光窓ユニットB1,B2の透過部2を通して屋内に照射される光が恰も実際の窓から入射する太陽光のように感じられる。したがって、発電所の監視ルームのように外界から隔離された閉鎖的な場所で作業する作業者が、人工窓装置から照射される光で再現される太陽光の1日の変化によって擬似的に外界とのコミュニケーションをとることができ、その結果、リフレッシュが図れるとともに快適な環境が得られるものである。また、調光レベルが時刻によって変化するため、人工窓装置から照射される光の変化によって時刻の変化を作業者に知覚させることもできる。
【0022】
さらに、2つの人工窓ユニットB1,B2をそれぞれが設置された方位(南向き及び西向き)に応じた調光パターンP1s,P1wで調光するため、時刻によって各人光窓ユニットB1,B2から照射される光の変化の仕方が異なり、南向きの人工窓ユニットB1から照射される光が1日における変化が少ないのに対して、西向きの人工窓ユニットB2から照射される光が朝方から昼間にかけてはレベルが低く夕方にレベルが高くなってピークを迎えるような変化となる。つまり、人工窓ユニットB1,B2から照射される光の変化によって屋内の方角(方位)を作業者に知覚させることができる。なお、調光パターンP1として晴天時、曇天時並びに雨天時に応じた複数種の調光パターンを記憶部に記憶しておき、実際の天候に応じて上記調光パターンP1を切り換えるようにすれば、作業者が屋外の天候を感じとることが可能となる。
【0023】
ここで、本発明者は上述した本実施形態の人工窓装置を窓のない閉鎖された部屋の壁に設置し、ベース照明に加えて人工窓装置により部屋に光を照射した場合と照射しない場合とで5名の被験者による快適性の心理評価実験を行ったので、その結果を図8に示す。同図(a)は部屋の印象評価結果を示しており、人工窓装置を動作させたときと動作させないときで快適性の評価項目、例えば、その部屋が「開いた」空間と感じるか又は「閉じた」空間と感じるか、「明るいか」又は「暗いか」といった複数の項目について7段階で応答させた。なお、人工窓装置を動作させたときに部屋の床での水平面照度が200ルクスとなるようにした場合の結果を実線で表し、人工窓装置を動作させない場合の結果を点線で表している。而して、同図(a)から明らかなように、人工窓装置を動作させた場合には検討した全ての項目について快適な心理効果を与えることがわかる。また、同図(b)は部屋の中で会話をしていると想定した場合の評価結果を示しており、人工窓装置を動作させたときに部屋の床での水平面照度が200ルクスとなるようにした場合の結果を実線、人工窓装置を動作させない場合の結果を点線でそれぞれ表している。この場合にも人工窓装置を動作させることで快適な空間が提供できることは明らかである。さらに、同図(c)は休息室を想定した場合の評価結果を示しており、人工窓装置を動作させたときに部屋の床での水平面照度が100ルクスとなるようにした場合の結果を実線、人工窓装置を動作させない場合の結果を点線でそれぞれ表している。この場合には、「リラックスした」並びに「疲れがとれやすい」という点で快適性について良好な評価結果が得られており、この場合にも人工窓装置を動作させることで快適な空間が提供可能であることは明白である。
【0024】
また、上記被験者に対して午後の時間帯に人工窓装置が設置された部屋の方位を推測させる実験を行ったところ、この時間帯では西向きの方が南向きよりも明るくなるから、時間帯を午後と被験者に教えれば方位の判定は極めて容易であり、被験者は正確に部屋の向き(方位)を判定することができた。この方位認知は場合によっては極めて重要な心理的効果を与える。地下の大きな空間を例にすれば、そこで初めて働く人は自分の居る場所がどちらを向いているかが判らなければ非常な不安(例えば万一の避難方向などが判らないといった不安)を感じたり、その空間が方向が判らない迷路のようで動き回る作業の効率が低下することが考えられるが、本発明の人工窓装置をそのような空間に設置することにより、作業者に方位を知覚させることができて上述のような作業者の不安を取り除き、作業の能率低下を防ぐことができる。
【0025】
なお、本実施形態では2つの人工窓ユニットB1,B2を南向きと西向きに設置する場合について説明したが、各人光窓ユニットB1,B2を南向きと東向きに設置したり、あるいは一方の人工窓ユニットB1を壁面に設置するとともに他方の人工窓ユニットB2を天井面に設置しても良い。ここで、東向きに設置された人工窓ユニットB2については図6に示した実測結果に基づいて図7に示すような調光パターンP1eを設定すればよい。また、人工窓ユニットの台数を増やしてさらに多くの方角から光を照射するようにしても良い。さらに、本実施形態では各人光窓ユニットB1,B2を壁面の略中央に配設しているが、2つの人工窓ユニットB1,B2の各端部同士が隣接するように壁面の角部寄りに連続一体的に配設しても良い。
【0026】
また、図9に示すように季節に応じた3種類の調光パターンP1a,P1b,P1cを記憶部に記憶しておき、実際の季節に対応させてこれらの調光パターンP1a,P1b,P1cを切り換えるようにしても良い。ここで、夏の調光パターンP1aでは点灯開始時刻(日の出の時刻)を早く且つ消灯時刻(日の入りの時刻)を遅くするとともに南中時刻での調光レベルを高くし、反対に冬の調光パターンP1cでは点灯開始時刻を遅く且つ消灯時刻を早くするとともに南中時刻での調光レベルを低くし、春及び秋の調光パターンP1bでは点灯開始時刻、消灯時刻並びに南中時刻での調光レベルを何れも夏の調光パターンP1aと冬の調光パターンP1cの中間に設定する。このように季節に応じた調光パターンP1a,P1b,P1cを実際の季節毎に切り換えて調光することにより、実際の太陽光の変化により近い調光を行うことが可能となり、快適性をさらに高めることができる。また、監視ルームのような閉鎖された場所で長期間に渡って作業する作業者に対しては、人工窓装置から照射される光の変化によって季節の移り変わりを感じ取らせることができる。
【0027】
(実施形態2)
本実施形態は、各人光窓ユニットB1,B2が光色の異なる複数種の光源を備え、調光制御部5により各光源を方角に応じた調光パターンにより調光することで透過部2を通して屋内に照射される光を調色する点に特徴があり、その他の基本的な構成は実施形態1と共通するから、共通する構成については同一の符号を付して図示並びに説明を省略する。
【0028】
光源として、例えば色温度が比較的に低い電球色の蛍光灯3aと、色温度が比較的に高い昼光色の蛍光灯3bとを用い、図10(a)に示すように窓枠1内側における透過部2の裏側に各色の蛍光ランプ3a,3bを、軸方向を鉛直方向に略一致させ且つ高さを揃えて水平方向に並べて配置してある。ここで、蛍光ランプ3の配置はこれに限定する趣旨ではなく、例えば同図(b)に示すように軸方向を鉛直方向に略一致させ且つ高さを互い違いにして水平方向に並べるような配置や、あるいは、窓枠1の内側ではなく、同図(c)に示すように窓枠1の各辺と略平行になるように窓枠1の周囲に配置するようにしても良い。但し、このように配置した場合には、各蛍光ランプ3の光を窓枠1の内側の透過部2へ導くために導光板や反射鏡等を用いる。また、図11(a)〜(c)に示すように各色の蛍光ランプ3a,3bを2本1組として図10(a)〜(c)と同様に配置しても良い。
【0029】
本実施形態においても、記憶部に記憶されている方角に応じた調光パターンに従って調光制御部5が各人光窓ユニットB1,B2の各色の蛍光ランプ3a,3bを調光するのは実施形態1と共通である。このとき、全体の光量に対する各色の蛍光ランプ3a,3bの光量の比率を変えることによって、透過部2を通して屋内に照射される各蛍光ランプ3a,3bの光が混色されて所望の光色が得られる。すなわち、調光パターンを各色の蛍光ランプ3a,3b毎に設定し、例えば全体の光量としては実施形態1で説明した調光パターンP1s,P1wと同様に太陽光の1日の変化に倣い、朝方には色温度の高い方の蛍光ランプ3bの調光レベルを高くすることで青っぽい光とし、夕方には色温度の低い方の蛍光ランプ3aの調光レベルを高くすることで赤っぽい光とし、日中は各蛍光ランプ3a,3bの調光レベルを略均等にして白っぽい光とするような調光(調色)パターンとすればよい。
【0030】
而して本実施形態によれば、調光制御部5で光色の異なる複数種の蛍光ランプ3a,3bを調光することにより、透過部2を通して屋内に照射される光を調色しているので、例えば、朝方は青っぽく、日中は白っぽく、夕方は赤っぽくというように一日における太陽光の光色の変化を再現することが可能となり、快適性をさらに向上させることができる。
【0031】
(実施形態3)
本実施形態の基本構成は実施形態1と共通するので、共通する構成については同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態の人工窓装置は、図12に示すように略円筒形の部屋の壁面に南の方角から西の方角にかけて設置される人工窓ユニットBを備えている。ここで、この人工窓ユニットBにおける透過部2の水平方向における幅寸法を上記部屋の略中心から見込む角度が90度以上となる寸法に設定してある。
【0032】
本実施形態における調光制御部5では、人工窓ユニットBが具備する複数の光源(蛍光ランプ)について個別又は複数本ずつのグループ毎に調光制御を行う。具体的には、各蛍光ランプ(又は上記グループ)が配設されている方角に応じて設定された調光パターンを記憶部に記憶し、調光制御部5が現在時刻に基づいて記憶部から読み出した調光パターンで各蛍光ランプ3を調光する。あるいは、時刻に応じて人工窓ユニットBの透過部2における最大光量となる位置を方角に対応して変化させるように各蛍光ランプの調光レベルを変化させる。例えば、南中時刻頃には真南向きに配設されている蛍光ランプの調光レベルを最大とし、その後の時間経過に伴って調光レベルを最大とする蛍光ランプの位置を徐々に西向きに配設されている蛍光ランプに移行させていけば、恰も実際の太陽が南から西に移動しているかのように部屋の中に光を照射することができ、部屋に居る人に時刻の変化や部屋の方角を知覚させることができる。
【0033】
(実施形態4)
本実施形態の基本構成は実施形態1と共通するので、共通する構成については同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態の人工窓装置は、図13に示すように略立法形の部屋の1つの壁面(例えば南向きの壁面)に設置される人工窓ユニットBを備えている。ここで、人工窓ユニットBの鉛直方向の中心線がほぼ真南の方角に向くようにしてある。
【0034】
本実施形態における調光制御部5では、人工窓ユニットBが具備する複数の光源(蛍光ランプ)について個別又は複数本ずつのグループ毎に調光制御を行う。具体的には、各蛍光ランプ(又は上記グループ)が配設されている方角に応じて設定された調光パターンを記憶部に記憶し、調光制御部5が現在時刻に基づいて記憶部から読み出した調光パターンで各蛍光ランプ3を調光する。あるいは、時刻に応じて人工窓ユニットBの透過部2における最大光量となる位置を方角に対応して変化させるように各蛍光ランプの調光レベルを変化させる。例えば、南中時刻前には東寄りに配設されている蛍光ランプ(図13において左側の蛍光ランプ)の調光レベルを最大とし、その後の時間経過に伴って調光レベルを最大とする蛍光ランプ3の位置を徐々に南向きから西向きに配設されている蛍光ランプ3に移行させていけば、恰も実際の太陽が東→南→西に移動しているかのように部屋の中に光を照射することができ、部屋に居る人に時刻の変化や部屋の方角を知覚させることができる。
【0035】
【発明の効果】
請求項1の発明は、屋内の造営面に配設される窓枠と、拡散透過性を有し前記窓枠の内側を覆うように設けられる透過部と、該透過部を通して屋内に光を照射する光源と、太陽光の一日の変化に略倣った調光パターンで前記光源を調光する調光手段とを備えた人工窓装置において、前記光源を異なる方角に対応させて複数設けるとともに、方角の異なる前記光源を各々対応する方角から入射する太陽光の変化に倣った調光パターンで独立的に調光する調光手段をそれぞれ設けたので、透過部を通して屋内に照射される光が恰も実際の太陽光のように感じられ、屋内に居る人が擬似的に外界とのコミュニケーションをとることができて快適な環境が得られるとともに、方角の異なる光源を各々対応する方角から入射する太陽光の変化に倣った調光パターンで独立的に調光することにより、実際の窓から入射する太陽光の変化をより忠実に再現することが可能となって快適性を向上させることができるという効果がある。
【0036】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記調光手段は、時刻に応じて最大光量となる位置を方角に対応して変化させるように前記光源を調光するので、恰も実際の太陽の動きに合わせるかの如く最大光量となる位置が変化するため、屋内に居る人が時刻の変化や屋内における方角を知覚することができるという効果がある。
【0037】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記光源を少なくとも真南を含む方角に対応させて設けたので、請求項1又は2の発明と同様の効果を奏する。
【0038】
請求項4の発明は、請求項1又は2の発明において、前記光源を少なくとも南から西を含む方角に対応させて設けたので、請求項1又は2の発明と同様の効果を奏する。
【0039】
請求項5の発明は、請求項1又は2の発明において、前記光源を少なくとも東から南を含む方角に対応させて設けたので、請求項1又は2の発明と同様の効果を奏する。
【0040】
請求項6の発明は、請求項1〜5の何れかの発明において、前記透過部の少なくとも略水平方向における幅寸法を、所定距離だけ離れた位置から見込む角度が略90°以上となる寸法に設定したので、請求項1〜5の何れかの発明と同様の効果を奏する。
【0041】
請求項7の発明は、請求項1〜6の何れかの発明において、前記窓枠、透過部並びに光源を屋内の複数の造営面にそれぞれ独立して配設したので、請求項1〜6の何れかの発明と同様の効果を奏する。
【0042】
請求項8の発明は、請求項1〜6の何れかの発明において、前記窓枠、透過部並びに光源を屋内の複数の造営面に連続一体的に配設したので、請求項1〜6の何れかの発明と同様の効果を奏する。
【0043】
請求項9の発明は、請求項1〜6の何れかの発明において、前記窓枠、透過部並びに光源を屋内の単一の造営面に一体的に配設したので、請求項1〜6の何れかの発明と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1の設置状態を示す斜視図である。
【図2】同上を示し、(a)は窓枠の正面図、(b)は窓枠を裏面側から見た概略構成図である。
【図3】(a)〜(c)は同上における蛍光ランプの配置例を説明する説明図である。
【図4】同上における調光パターンの一例を示す図である。
【図5】同上における調光パターンの一例を示す図である。
【図6】窓から入射する太陽光の実測結果を示す図である。
【図7】同上における南向き、西向き、東向きの調光パターンの一例を示す図である。
【図8】同上における心理実験の結果を説明する説明図である。
【図9】同上における調光パターンの一例を示す図である。
【図10】(a)〜(c)は実施形態2における蛍光ランプの配置例を説明する説明図である。
【図11】(a)〜(c)は同上における蛍光ランプの他の配置例を説明する説明図である。
【図12】実施形態3の設置状態を示す斜視図である。
【図13】実施形態4の設置状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 窓枠
2 透過部
3 蛍光ランプ
4 安定器
5 調光制御部
B1,B2 人工窓ユニット
Claims (9)
- 屋内の造営面に配設される窓枠と、拡散透過性を有し前記窓枠の内側を覆うように設けられる透過部と、該透過部を通して屋内に光を照射する光源と、太陽光の一日の変化に略倣った調光パターンで前記光源を調光する調光手段とを備えた人工窓装置において、前記光源を異なる方角に対応させて複数設けるとともに、方角の異なる前記光源を各々対応する方角から入射する太陽光の変化に倣った調光パターンで独立的に調光する調光手段をそれぞれ設けたことを特徴とする人工窓装置。
- 前記調光手段は、時刻に応じて最大光量となる位置を方角に対応して変化させるように前記光源を調光することを特徴とする請求項1記載の人工窓装置。
- 前記光源を少なくとも真南を含む方角に対応させて設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の人工窓装置。
- 前記光源を少なくとも南から西を含む方角に対応させて設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の人工窓装置。
- 前記光源を少なくとも東から南を含む方角に対応させて設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の人工窓装置。
- 前記透過部の少なくとも略水平方向における幅寸法を、所定距離だけ離れた位置から見込む角度が略90°以上となる寸法に設定したことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の人工窓装置。
- 前記窓枠、透過部並びに光源を屋内の複数の造営面にそれぞれ独立して配設したことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の人工窓装置。
- 前記窓枠、透過部並びに光源を屋内の複数の造営面に連続一体的に配設したことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の人工窓装置。
- 前記窓枠、透過部並びに光源を屋内の単一の造営面に一体的に配設したことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の人工窓装置。
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