JP3754718B2 - 染料、インク、インクジェット記録方法、記録ユニット、インクカートリッジ及びインクジェット記録装置 - Google Patents

染料、インク、インクジェット記録方法、記録ユニット、インクカートリッジ及びインクジェット記録装置 Download PDF

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JP3754718B2
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、染料及びこれを含むインク、とりわけインクジェット用途に適した染料とインクに関し、更には、このインクを利用するインクジェット記録方法、及びかかるインクを収納しているインク収容部を有する記録ユニット、インクカートリッジ及びインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から筆記具(万年筆、サインペン、水性ボールペン等)用インク及びインクジェット用インクについては、実に様々な組成のものが報告されている。中でも近年オフィスで一般に使用されているコピー紙、レポート紙、ノート、便箋等での印字記録物の耐水性の要望が高まっており、インクの組成及び物性等の多様な面から詳細な研究がなされている。
【0003】
例えば、特開昭59−27973号公報及び特開平2−41369号公報には、イミン化合物を反応させた反応性染料を用いて印字記録物の耐水性を向上させる方法が提案されている。
又、特開昭61−2771号公報、特開昭61−2772号公報、特開昭61−2773号公報及び特開昭61−2774号公報には、ある特定の染料構造に炭素数6〜18のアルキルアミノ基又はアルコキシアルキルアミノ基を反応させ、染料の耐水性を向上させる方法が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとしている課題】
しかしながら、この方法では、印字記録物の耐水性を向上させることが出来るが、インクの溶解性が悪く、例えば、インクの固着やノズルの目詰まりが起きる様になる。その為に、溶剤、例えば、多価アルコール(グリコール等)を多量に添加したり、溶解性の強い溶剤を用いなくてはならなくなる。そうすると今度は、印字品位、例えば、文字のシャープさ等が低下してしまう。
又、特開昭62−16232号公報には、多価アルコール、ホルムアミド類、ヒドロキシピロリドン類等を反応させた反応性染料を用いて印字記録物の耐水性を向上させる方法が提案されている。しかしながら、この場合も溶剤を多く使用する為、印字記録物の画像品位が低下してしまう。
【0005】
又、特開平2ー41369号公報には、ポリアミンと反応させた染料を用いて、印字記録物の耐水性を向上させる方法が提案されている。しかしながらこの場合には、染料の水溶液中での安定性が悪く、固着や目詰まりが起こり易くなる。又、水溶液中での染料の安定性を良好にしようとすると、印字物の耐水性が低下し易くなる。
一方、特開昭57−59969号公報には、酸性染料の酸性基にアミノカルボン酸を反応させた染料により、染料の耐水性を向上させる方法が提案されているが、画像品位に悪影響を与えるという問題がある。
【0006】
従って、本発明の目的は、一般のオフィス等で使用されている酸性紙、中性紙等の普通紙に対して印字記録を行った場合、印字記録の画像品位に悪影響を与えず、十分な耐水性を有する染料、又、かかる染料の溶解安定性もあり、耐目詰まり性も良好なインク、これを用いたインクジェット記録方法、記録ユニット、インクカートリッジ及びインクジェット記録装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決する為の手段】
上記目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明にかかる染料は、下記一般式(I−1〜5)のいずれかで表されることを特徴とするものである:
【化5】
Figure 0003754718
(上記一般式I−1〜5中、Dは発色団を、Rは2又は3価の結合基を、IMは、アルキル基、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、スルホン基、スルホン基の塩、燐酸基及び燐酸基の塩からなる群から選ばれた少なくとも1種の原子団で置換された第2級アミン或は第3級アミンの残基を表わし、且つIMは少なくとも、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、スルホン基及びスルホン基の塩からなる群から選ばれた少なくともひとつの基及び窒素原子を介して炭素数1〜48のアルキル基を有する。尚、D、R及びIMは合計で1〜12個の酸性基を有し、Rは、IM中の窒素原子に結合し、IMは、単独化合物の形態で、下記一般式(II)で表わされる化合物である:
Figure 0003754718
(上記式(II)中、R1は炭素数1〜48のアルキル基又は水素原子を、R2は、−(CH2)a−X1又は水素原子を、R 3は、−(CH2)b−X2、R4[ ( (CH 2 ) h −X 4 )C m 2m ] e (NHC p 2p ) f 又は水素原子を、R 4は炭素数1〜48のアルキル基又は水素原子を表す。1、X2、X3及びX4は、夫々カルボキシル基、カルボキシル基の塩、スルホン基、スルホン基の塩及び水素原子から選ばれる。a及びbは1〜7の整数を、c+d及びe+fは0〜50の整数を、g及びhは1〜4の整数を、l(エル)、n、m及びpは2〜4の整数を表わす。但し、一般式(II)の化合物は少なくとも1個のカルボキシル基、カルボキシル基の塩、スルホン基又はスルホン基の塩を有し、且つ少なくとも2個の窒素原子を有する)。
また本発明の一実施態様にかかるインクは、下記一般式(I−1〜5)のいずれかで表される染料を液媒体中に含むことを特徴とするものである:
Figure 0003754718
(上記一般式I−1〜5中、Dは発色団を、Rは2又は3価の結合基を、IMは、アルキル基、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、スルホン基、スルホン基の塩、燐酸基及び燐酸基の塩からなる群から選ばれた少なくとも1種の原子団で置換された第2級アミン或は第3級アミンの残基を表わし、且つIMは少なくとも、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、スルホン基及びスルホン基の塩からなる群から選ばれた少なくともひとつの基及び窒素原子を介して炭素数1〜48のアルキル基を有する。尚、D、R及びIMは合計で1〜12個の酸性基を有し、Rは、IM中の窒素原子に結合し、IMは、単独化合物の形態で、下記一般式(II)で表わされる化合物である:
Figure 0003754718
(上記式(II)中、R1は炭素数1〜48のアルキル基又は水素原子を、R2は、−(CH2)a−X1又は水素原子を、R 3は、−(CH2)b−X2、R4[ ( (CH 2 ) h −X 4 )C m 2m ] e (NHC p 2p ) f 又は水素原子を、R 4は炭素数1〜48のアルキル基又は水素原子を表す。1、X2、X3及びX4は、夫々カルボキシル基、カルボキシル基の塩、スルホン基、スルホン基の塩及び水素原子から選ばれる。a及びbは1〜7の整数を、c+d及びe+fは0〜50の整数を、g及びhは1〜4の整数を、l(エル)、n、m及びpは2〜4の整数を表わす。但し、一般式(II)の化合物は少なくとも1個のカルボキシル基、カルボキシル基の塩、スルホン基又はスルホン基の塩を有し、且つ少なくとも2個の窒素原子を有する)。
そして本発明の特に好ましい態様としては、上記のインクをインクジェット用インクとして用いる態様が挙げられる。
また本発明の一実施態様にかかるインクジェット記録方法は、上記のインクをインクジェット方式により吐出する工程を有することを特徴とするものである。
また本発明の一実施態様にかかる記録ユニットは、上記のインクジェット用インクを収容しているインク収容部と該インクを滴として吐出するヘッド部とを有していることを特徴とするものである。
また本発明の一実施態様にかかるインクカートリッジは、前記したインクを収容しているインク収容部を備えていることを特徴とするものである。
また本発明の一実施態様にかかるインクジェット記録装置は、前記したインクジェット用インクを収容しているインク収容部及び該インクを滴として吐出するヘッドとを備えていることを特徴とするものである。
【0010】
【作用】
本発明者は、水溶性染料による印字記録物の耐水性を向上させる為に、様々な染料について鋭意検討を行った結果、アルキル基、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、スルホン基及びスルホン基の塩からなる群から選ばれた少なくとも1種の原子団で置換された第2級アミン或は第3級アミンと反応した発色団からなる特定の染料は、水に対する溶解性が良好であり、且つ被記録材上に乗った時は、該染料が水に対して難溶性になることを知見し、又、この染料を色材として含有することを特徴としたインクは、形成された画像品位を損なうことなく、例えば、通常のインクでフェザリングが発生する普通紙においても、フェザリングを防止することが出来、且つ得られた印字記録物の耐水性の向上が達成され、又、インクの溶解安定性、耐目詰まり性及び耐凝集性も良好なインクであることを知見して本発明を完成した。更に、かかるインクをインクジェット記録に使用してもインクジェット記録システムの信頼性を損なうことがないことを知見して本発明を完成した。
【0011】
【好ましい実施態様】
次に好ましい実施態様を挙げて本発明を更に詳しく説明する。
本発明の染料における発色団としては、構造的には、アゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料及びトリフェンジオキサジン染料等の残基を使用することが出来、これらの染料残基は酸性基を1分子中に1〜5個有することが好ましい。これらの酸性基としては、カルボキシル基、燐酸基及び/又はスルホン基が好ましく、特にスルホン基が好ましい。酸性基が2個以上存在する場合は同一であっても異なってもよい。又、pH8以上で染料の水に対する溶解度が1%以上であることが好ましく、pH9以上で溶解性が2%以上であれば更に好ましい。
【0012】
発色団として好ましいアゾ染料は、ベンゼン又はナフタリンジアゾ成分及びベンゼン、ナフタリン又は単環式カップラーから誘導されたモノ−又はビス−アゾ染料であり、好ましい単環式ヘテロ芳香族カップラーはピリドン及びピラゾロンである。好ましいジアゾ成分及びカップラーは、水溶性染料、特に直接染料、酸性染料及びセルロース反応性染料(一般にヒドロキシ、アミノ、C1〜C4−アルキルアミノ、ジ−(C1〜C4−アルキル)アミノ、フェニルアミノ、ナフチルアミノ、アセチルアミノ、ニトロ、シアノ、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、トリフルオロメチル、ハロゲン、特に塩素及び臭素及び特に水溶性を生じる酸性基、例えば、カルボキシル基、燐酸基及びスルホン酸基から選択された置換分を有する)の製造に典型的に使用されるものである。
【0013】
これらのアゾ染料の1例としては、遊離酸の形態で下記の一般式(A)を有する染料等が挙げられる。
【化6】
Figure 0003754718
(ここでWはカルボキシル基、Xは水素原子又はカルボキシル基、Yは水素原子、OH又はスルホン基、Zは水素原子、カルボキシル基又はスルホン基であり、又、カルボキシル基の数はスルホン基の数に等しいか、それより大きいことを条件とする。Rは2〜3価の結合基を示し、又、染料1分子中に2〜4個のカルボキシル基が存在することが好ましい。又、R中にカルボキシル基を有してもよい。)
【0014】
そして少なくとも2個、より好ましくは少なくとも3個のカルボキシル基が芳香族炭素原子に直接結合していることが好ましい。Xが水素原子であるとき、Wはアゾ基に対してオルト、メタ又はパラのいずれの位置にあってもよいが、パラの位置にあることが好ましい。しかしながら、Xがカルボキシル基である場合、2個のカルボキシル基はアゾ基に対して、3,4−又は3,5−の位置にあることが好ましい。
スルホン基の数は2個以下の数値であることが好ましく、即ちX及びYの両方がスルホン基ではない。又、スルホン基よりもカルボキシル基の方が多いことが好ましい。
【0015】
発色団としてのアントラキノン染料は、ヒドロキシ、C1〜C4−アルコキシ、フェノキシ、アミノ、モノ−又はジ−C1〜C4−アルキルアミノ、フェニルアミノ(特にトリルアミノ又はアセチルアミノフェニルアミノ)、ニトロ及びスルホネートから選択された置換分5個まで、特に4個までを有するのが好ましい。スルホン基は、アントラキノン核上に又は前記の置換分の上に存在していてもよい。
発色団としてのフタロシアニン染料は、ハロゲン、特に塩素及び臭素、C1〜C4−アルキル−又はフェニル−スルホンアミド及び特にスルホン基1〜4個から選択された末端置換分10個までを有する銅フタロシアニンが好ましい。
【0016】
発色団としてのトリフェンジオキサジン染料は、前記一般式(I)中の対称性染料を製造する為に、好ましくは結合基を介してアルキル基、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、スルホン基及びスルホン基の塩からなる群より選ばれた化合物の少なくとも1種の原子団で置換された第2級アミン或いは第3級アミンの残基に付着する為の2,6−及び/又は3,7−位置にアミノ基又はヒドロキシ基を有する9,10−ジハロ−1,5−ジスルホトリフェンジオキサジンが好ましい。
【0017】
好ましい結合基は、アミノ基又はヒドロキシ基と反応する活性水素又はハロゲン原子を有する化合物から誘導される。従って、発色団は好ましくは1個のヒドロキシ基、より好ましくは1個のアミノ基を有する染料から、水素原子又は完全にヒドロキシ基又はアミノ基を除去することにより誘導される。引き続き発色団を誘導する染料は、好ましくは充分なアミノ基及び/又はヒドロキシ基、特にアミノ基を有し、これらを介して適当数の結合基に結合し、この際、他の発色団及び/又はアルキル基、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、スルホン基及びスルホン基の塩からなる群より選ばれた化合物の少なくとも1種の原子団で置換された第2級アミン或いは第3級アミンの残基に結合することが出来る。
【0018】
本発明の染料における好ましい発色団の例は、次の通りである。
1−ヒドロキシ−2−(1−〔4−スルホフェニルアゾ〕−6−スルホナフチ−4−イルアゾ)−3−スルホナフチ−7−イルアミノ、
1−ヒドロキシ−2−(1−〔4−スルホフェニルアゾ〕−6−スルホナフチ−4−イルアゾ)−3,6−ジスルホナフチ−7−イルアミノ、
1−ヒドロキシ−2−(1−〔4−スルホフェニルアゾ〕−ナフチ−4−イルアゾ)−3−スルホナフチ−7−イルアミノ、
3−(4−〔1−ヒドロキシ−3−スルホ−7−アミノナフチ−2−イルアゾ〕−6−スルホナフチ−1−イルアゾ)−4−スルホフェニルアミノ、
1−ヒドロキシ−2−(2−スルホフェニルアゾ)−3,6−ジスルホナフチ−8−イルアミノ、
【0019】
3−〔1−アミノ−2−(4−ニトロフェニルアゾ)−3,6−ジスルホ−8−ヒドロキシナフチ−7−イルアゾ〕−4−スルホフェニルアミノ、
1−ヒドロキシ−2−(1−〔4−カルボキシフェニルアゾ〕−6−スルホ−ナフチ−4−イルアゾ)−3−スルホナフチ−7−イルアミノ、
1−ヒドロキシ−2−(1−〔2−スルホ−5−アミノフェニルアゾ〕−6−スルホナフチ−4−イルアゾ)−3−スルホナフチ−7−イルアミノ、
1−ヒドロキシ−2−(4−〔2,5−ジスルホフェニルアゾ〕−2−メトキシ−5−メチルフェニルアゾ)−3,6−ジスルホナフチ−8−イルアミノ、
1−ヒドロキシ−2−(2−スルホフェニルアゾ〕−3−スルホナフチ−6−イルアミノ、
【0020】
1−ヒドロキシ−2−(1,5−ジスルホナフチ−2−イルアゾ)−3,6−ジスルホナフチ−8−イルアミノ、
3−〔1−アミノ−2−(4−〔4−アミノ−2−ヒドロキシフェニルアゾ)フェニルアミノ〕−3−スルホフェニルアゾ)−3,6−ジスルホ−8−ヒドロキシナフチ−7−イルアゾ〕−4−スルホフェニルアミノ、
3−(1−アミノ−2−(4−〔4−(2−アミノ−4−ヒドロキシフェニルアゾ)フェニルアミノ〕−3−スルホフェニルアゾ)−3,6−ジスルホ−8−ヒドロキシナフチ−7−イルアゾ〕−4−スルホフェニルアミノ、
9,10−ジクロロ−1,5−ジスルホトリフェンジオキサジン−2,6−イル−ビス(アミノエチル)−アミノ、
銅アミノエチルアミノスルホニルフタロシアニントリスルホン酸、
銅アミノスルホニルフタロシアニンジスルホン酸、
5−(1−アミノ−2−スルホアントラキノン−4−イルアミノ)−2−スルホフェニルアミノ。
【0021】
本発明の染料における2〜3価の結合基としては、例えば、後記表1に示す反応性基を有する反応性原子団を使用することが出来るが、これらに限定されるものでなく、各種の置換基及び付加型のものを使用することが出来る。
更に、発色団と反応性原子団は、全体としてアニオン性染料又は反応性染料でもよい。具体的な反応性染料を以下に挙げるが、これらに限定されるものではなく、又、複数使用してもよい。
【0022】
Pc(SO3H)t(SO2−NR1−L−NR2−X−NR3−G)q (B)
(式中、Pcは含金フタロシアニン核、R1、R2及びR3は各々独立に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アラルキル基又は置換アラルキル基を表す。Lは2価の有機連結基を表す。Xは、夫々独立に、カルボニル基又は下記(2)〜(4)式で示される基を表す。
【0023】
【化7】
Figure 0003754718
【0024】
各Zは夫々独立に、Cl、SR6又はOR6を表し、各Yは夫々独立に水素原子、Cl、Z、SR7又はOR7を表し、各Eは夫々独立に、Cl又はCNを表す。R4、R5、R6及びR7は各々独立に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基又は置換アラルキル基を表し、Gは1又は2個のカルボキシル基で置換された無色有機残基を表し、t+qは3〜4の整数とする。)
【0025】
一般式(B)で表される染料としては、例えば、以下の様なものが挙げられる。
【化8】
Figure 0003754718
【0026】
Ar1N=NJX(NR1LNR2X)nJN=NAr2 (C)
(式中、Jは下記式を表す。
【化9】
Figure 0003754718
Ar1及びAr2は、各々独立に、アリール基又は置換アリール基であって、Ar1とAr2の少なくとも1つが独立に、スルホン基及びカルボキシル基から選ばれる置換基を1個以上有する。R1及びR2は独立に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基又は置換アルケニル基を表し、Lは2価の有機連結基を表し、nは0又は1を表す。Xは夫々独立に、カルボニル基又は下記(2)〜(4)式で示される基を表す。
【0027】
【化10】
Figure 0003754718
Zは夫々独立に、Cl、SR5又はOR5を表し、Yは夫々独立に、水素原子、Cl、Z、SR6又はOR6を表し、Eは夫々独立に、Cl又はCNを表す。R3、R4、R5及びR6は夫々独立に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、置換アラルキル基を表す。)
【0028】
又、一般式(C)で示される染料として、具体的には、例えば、以下の様なものが挙げられる。
【0029】
【化11】
Figure 0003754718
【0030】
【化12】
Figure 0003754718
【0031】
遊離酸の形で一般式(D)を有する染料
【化13】
Figure 0003754718
式中、Ar及びAr1は夫々独立にアリール基又は置換アリール基を示し、Ar及びAr1の少なくとも1つはスルホン基及びカルボキシル基から選ばれる置換基を有する。J及びJ1は夫々独立に下記一般式(2)、(3)又は(4)で示される。
【0032】
【化14】
Figure 0003754718
【0033】
5は独立に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、CN、ウレイド基及びNHCOR6から選択される。R6は水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基及び置換アラルキル基から選択される。Tはアルキル基を示し、Wは水素原子、CN、CONR1011、ピリジウム基又はカルボキシル基から選択される。mは炭素数2〜8のアルキレン鎖を示し、BはH、アルキル基及びカルボキシル基から選択される。R1、R2、R3、R4、R10及びR11は夫々独立に水素原子、アルキル又は置換アルキル基から選択され、Lは2価の有機結合基を示し、nは0又は1を示し、Xは独立にカルボニル基又は下記一般式(5)、(6)及び(7)で示される。
【0034】
【化15】
Figure 0003754718
Zは、OR7、SR7及びClから選択され、Yは水素原子、Cl、CN及びZから選択され、EはCl及びCNから選択される。R7、R8及びR9は夫々独立にH、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基又は置換アラルキル基を示し、(i)式(I)の化合物がスルホン基をもたない場合は、少なくとも2個のカルボキシル基及びチオカルボキシル基から選ばれる基を有し、(ii)式(I)の化合物はスルホン基が少なくともスルホン基と同数のカルボキシル基及びチオカルボキシル基から選ばれる基を有する。
【0035】
【化16】
Figure 0003754718
【0036】
【化17】
Figure 0003754718
【0037】
【化18】
Figure 0003754718
【0038】
【化19】
Figure 0003754718
X及びYは夫々塩素原子、NR 1 2 、NR 3 4 を表し、R1及びR2は夫々水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基又は置換アラルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基を、R3は水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アラルキル基又は置換アラルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基を表わし、R4はチオカルボキシル基又はカルボキシル基で置換された無色有機残基を表わし、又、X及びYのうち少なくとも一方は塩素原子である。Zは
【0039】
【化20】
Figure 0003754718
でR5 6は夫々スルホン基、カルボキシル基、アルキル基、置換アルキル基を表わし、R7はスルホン基又はカルボキシル基を表わす。
【0040】
本発明に使用するイエロー染料としては、例えば、C.I.リアクティブイエロー2、3、15、18、23、24、24:1、25、27、37、42、57、76、81、84、85、87、88、91、92、93、95、102、111、116、135、136、137、138、142、143、145、151、160、161、162、163、164、165、166、167、168、175、178及び179が挙げられる。
【0041】
本発明に使用するレッド染料としては、例えば、C.I.リアクティブレッド1、3、3:1、4、7、8、9、12、13、17、21、22、23、24、29、31、33、35、41、43、45、49、55、56、63、88、96、106、111、112、113、114、120、126、128、130、131、141、171、174、180、183、184、187、190、193、194、195、204、218、219、220、221、222、223、224、226、228、229、235、236、237、240、241、253及び256が挙げられる。
【0042】
本発明に使用するシアン染料としては、例えば、C.I.リアクティブブルー15、21、25、41、63、72、77、190、207、227及び231が挙げられる。
本発明に使用するブラック染料としては、例えば、C.I.リアクティブブラック1、5、8、13、14、31、34及び39が挙げられる。
【0043】
本発明に使用するオレンジ染料としては、例えば、C.I.リアクティブオレンジ5、7、12、13、14、15、16、33、35、56、72、72:1、74、82、84、92、93、95、99及び164が挙げられる。
本発明に使用するブラウン染料としては、例えば、C.I.リアクティブブラウン1、2、7、8、9、11、17、18、21、31、32、33、46及び47が挙げられる。
本発明に使用するグリーン染料としては、例えば、C.I.リアクティブグリーン8、12、15及び19が挙げられる。
【0044】
本発明に使用するバイオレット染料としては、例えば、C.I.リアクティブバイオレット1、2、4、5、6、22、36及び38が挙げられる。
本発明に使用するブルー染料としては、例えば、C.I.リアクティブブルー2、4、5、7、13、14、19、27、28、38、39、49、52、79、81、104、119、122、147、160、162、166、176、182、184、187、191、194、195、198、203、204、209、211、214、216、217、220、221、222、228、230及び235が挙げられる。
【0045】
この様な染料は1個以上のアミノ基又はヒドロキシ基を有する染料と塩化シアヌル、ポリクロロピリミジン又はキノキサリン等の活性塩素原子を有する化合物との反応により得ることが出来る。カルボニル基、スルホニル基又はメチレン結合基を有する染料はホスゲン、ホルムアルデヒド又はクロロスルホン酸とアルキル基、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、スルホン基及びスルホン基の塩からなる群から選ばれる化合物の少なくとも1種の原子団で置換された第2級アミン又は第3級アミンの少なくとも一方を含む化合物の基との反応により得ることが出来る。
【0046】
【表1】
Figure 0003754718
【0047】
本発明で使用される反応性原子団と反応する、一般式I−1〜に記載のIMは単独化合物の状態で、下記一般式(II)で表わされる化合物であるのが好ましい。
【0048】
【化21】
Figure 0003754718
(上記式(II)中、R1は炭素数1〜48のアルキル基又は水素原子を、R2は、−(CH2)a−X1又は水素原子を、R 3は、−(CH2)b−X2、R4[ ( (CH 2 ) h −X 4 )C m 2m ] e (NHC p 2p ) f 又は水素原子を、R 4は炭素数1〜48のアルキル基又は水素原子を表す。1、X2、X3及びX4は、夫々カルボキシル基、カルボキシル基の塩、スルホン基、スルホン基の塩及び水素原子から選ばれる。a及びbは1〜7の整数を、c+d及びe+fは0〜50の整数を、g及びhは1〜4の整数を、l(エル)、n、m及びpは2〜4の整数を表わす。但し、一般式(II)の化合物は少なくとも1個のカルボキシル基、カルボキシル基の塩、スルホン基又はスルホン基の塩を有し、且つ少なくとも2個の窒素原子を有する。)
【0049】
又、一般式(II)のなかで、特に好ましくは、少なくとも1個のカルボキシル基又はカルボキシル基の塩を持つものである。
更に、具体的に考えられるものを塩の状態で以下に挙げるが、これらに限定されるものではなく、又、複数使用してもよい。
【0050】
(化合物1)
【化22】
Figure 0003754718
(化合物2)
【化23】
Figure 0003754718
(化合物3)
【化24】
Figure 0003754718
【0051】
(化合物4)
【化25】
Figure 0003754718
(化合物5)
【化26】
Figure 0003754718
【0052】
(化合物6) C1531(NHC24)2NHCH2COONa
(化合物7) C1531NHC24COOLi
(化合物8) C37(NHC24)2NHCH2COONa
(化合物9) C1225NHC24COONa
(化合物10) C1225(NHC24)NHCH2COOLi
【0053】
(化合物11) C1225(NHC24)NH・C24SO3Li
(化合物12) C1531(NHC24)NHCH2SO3Na
(化合物13) C2041(NHC24)NHCH2SO3NH4
(化合物14) C1531(NHC24)2NHC24COONH4
(化合物15) C2551(NHC24)3NHCH2SO3Li
(化合物16)C1531(NHC24)NHCH2SO3HN(CH2CH3)3
【0054】
(化合物17)
1021(NHC24)3NHC24COOH・NH(CH2CH3)2
(化合物18) C1225(NHC24)2NHCH2COONH4
(化合物19) C511(NHC24)2NHCH2COONa
(化合物20) C715(NHC24)2NHC24COONa
(化合物21) C1225(NHC24)4NHCH2COONa
【0055】
(化合物22)
【化27】
Figure 0003754718
(化合物23)
【化28】
Figure 0003754718
(化合物24) C1225NHC36NHCH2COONH4
(化合物25) C1225NHC36NHC24COONa
(化合物26) C817N(CH3)C24NHC36NHC24COONa
(化合物27) C1225NHC36NHC24COOLi
【0056】
【化29】
(化合物28)
Figure 0003754718
【0057】
本発明のインクは前記一般式(I)で示される染料を液媒体に添加してなる。一般式(I)で示される染料は色調合せ等の為に2種以上混合してもよい。インク中での染料の含有量としては、用途、目的、色材種、インク組成及び被記録材等によって変化するが、好ましくはインク全量に対して0.1〜15.0重量%、更に好ましくは0.5〜10.0重量%の範囲である。
【0058】
インクの物理的な粘度変化で耐水性を向上させる為、インクのpHは8以上が好ましい。しかしながら、例えば、インクジェット記録方法に用いることを考えた場合、吐出性、目詰り性等の信頼性を考えるとpHは8.5以上、更に好ましくは9.0以上である。又、本発明のインクは、酢酸リチウムや水酸化リチウムでpH調整を行ってもよい。
尚、本発明のインクは上記成分の他に必要に応じて水溶性有機溶剤、界面活性剤、防錆剤、防腐剤、防カビ剤、酸化防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、水溶性ポリマー等の種々の添加剤を添加してもよい。
【0059】
本発明で使用される液媒体は、水と水溶性有機溶剤との混合物であることが好ましい。具体的な水溶性有機溶剤の例としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1、2、6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;グリセリン;エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;N−メチル−2−ピロリドン、1、3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、トリエタノールアミン、スルホラン、ジメチルサルフォオキサイド、2−ピロリドン、ε−カプロラクタム等の環状アミド化合物及びスクシンイミド等のイミド化合物等が挙げられる。
【0060】
上記水溶性有機溶剤の含有量は、一般にはインクの全重量に対して重量%で1%〜40%が好ましく、より好ましくは3%〜30%の範囲である。
又、インク中の水の含有量は、30〜95重量%の範囲で使用される。30重量%より少ないと染料の溶解性等が悪くなり、インクの粘度も高くなる為好ましくない。一方、95重量%より多いと蒸発成分が多すぎて、十分な固着特性を満足することが出来ない。
【0061】
本発明の目的である耐水性とインクの信頼性を考えるならば、アンモニア等の揮発性アミンとトリエタノールアミン等のアルコールアミンを併用することが好ましい。インク中への含有量としては、インク全重量に対して0.01重量%〜20重量%、好ましくは0.05〜10重量%、更に好ましくは0.1〜5重量%であり、又、これらは一般式(I)の染料の対イオンとして含有されてもよい。又、揮発性アミンとアルコールアミンの比は20:1〜1.2、好ましくは10:1〜1.1である。
【0062】
又、コゲ性防止や目詰り防止等のインクジェット適性を考えるならば、ナトリウム、リチウム、カリウム等の金属イオンが含まれているのが好ましい。含有量としてはインク全重量に対して0.01重量%〜20重量%、好ましくは0.05〜10重量%、更に好ましくは0.1〜5重量%である。又、これらは一般式(I)の染料の対イオンとして含有していても差し支えない。
本発明において一般式(I)で示される染料を含むインクは、EDTA等のジアミン系の化合物やクエン酸等のトリカルボン酸化合物、マレイン酸、コハク酸、アスパラギン酸等のジカルボン酸化合物、燐酸化合物や、硫酸アンモニウム、塩酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、燐酸系のナトリウム塩等の強酸塩を併用することが好ましい。
【0063】
一般式(I)の染料はインク中の無機イオンである不純物により、例えば、インクジェット記録方法において、コゲという問題を発生させる為、この様なインクの悪影響を防止する為に含有した方がよい。但し、これらのコゲ防止剤も熱エネルギーを伝えるヒーターの表面状態と相関関係がある為、場合によっては未添加でもよい。又、インク中の無機イオンが1ppm、好ましくは0.5ppm以下であれば添加しなくてもよい。それらのインク中への含有量はインク全重量に対して0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜5重量%、更に好ましくは0.1〜3重量%である。
【0064】
又、本発明の一般式(I)で示される染料を含むインク中に尿素、チオ尿素及びそれらの誘導体を併用することが好ましい。これはインク中で一般式(I)の染料の溶解安定性を保つ為に(インク中で一般式(I)の染料自身又は染料同士の相互作用を防止する為に)、含有することが好ましい。インク中への含有量はインク全重量に対して0.1〜20重量%、好ましくは1〜15重量%、更に好ましくは2〜10重量%である。
【0065】
又、インクの定着剤として一価アルコールを添加してもよい。又、非イオン性界面活性剤も定着剤として機能する。これらは異なった色調を印字した場合、その境界で生じる混色滲みを防止する為には必要となる。又、一般式(I)の染料のインク中での溶解性を安定向上させるという意味でもインク中に含有している方が好ましい。その場合、インク中への添加量と効果を考えるならば非イオン界面活性剤の方が好ましい。
【0066】
一価アルコールの具体例としてはエタノール、イソプロピルアルコール及びn−ブタノール等が挙げられる。
非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシオプロピレングリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、アセチレングリコールポリエチレンオキサイド付加物等が挙げられるが、好ましくはノニルフェニルエーテルEO付加体、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体(EO−PO共重合体)、アセチレングリコールポリオキシエチレンオキサイド付加物が好ましく、より好ましくは下記一般式(III)で表されるアセチレングリコールポリオキシエチレンオキサイド付加物(アセチレングリコールEO付加物)である。
【0067】
【化30】
Figure 0003754718
上記一価アルコール又は非イオン界面活性剤のインクの含有量は、インク全重量に対して0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%である。0.1重量%より少ないと定着剤としての効果がなく、又、20重量%より多いと印字品位のバランス、例えば、濃度や定着性やヒゲ状の滲みであるフェザリングと定着性や濃度とのバランスが悪くなる。
【0068】
本発明のインクは、熱エネルギーによるインクの発泡現象によりインクを吐出させるタイプのインクジェット記録方法に適用する場合に特に好適であり、吐出が極めて安定となり、サテライトドットの発生等が生じないという特徴がある。但しこの場合には、熱的な物性値(例えば、比熱、熱膨張係数、熱伝導率等)を調整する場合もある。
【0069】
更に、本発明のインクは普通紙等に記録した場合の印字記録物のインクの耐水性の問題を解決すると同時に、インクジェット用ヘッドに対するマッチングを良好にする面から、インク自体の物性として25℃における表面張力が30〜68dyne/cm、粘度が15cP以下、好ましくは10cP以下、より好ましくは5cP以下に調整されることが望ましい。
従って、上記物性にインクを調整し、普通紙における問題を解決する為には、本発明のインク中に含有される水分量としては50重量%以上98重量%以下、好ましくは60重量%以上95重量%以下とされるのが好適である。
【0070】
本発明のインクは、熱エネルギーの作用により液滴を吐出させて記録を行なうインクジェット記録方法にとりわけ好適に用いられるが、一般の筆記具用としても使用出来る。
本発明のインクを用いて記録を行うのに好適な方法及び装置としては、記録ヘッドの室内のインクに記録信号に対応した熱エネルギーを与え、該熱エネルギーにより液滴を発生させる方法及び装置が挙げられる。
【0071】
その装置の主要部であるヘッド構成例を、図1、図2及び図3に示す。ヘッド13は、インクを通す溝14を有するガラス、セラミック又はプラスチック板等と、感熱記録に用いられる発熱ヘッド15(図では薄膜ヘッドが示されているが、これに限定されるものではない。)とを接着して得られる。発熱ヘッド15は、酸化シリコン等で形成される保護膜16、アルミニウム電極17−1及び17−2、ニクロム等で形成される発熱抵抗体層18、蓄熱層19、及びアルミナ等の放熱性の良い基板20より成っている。
【0072】
インク21は吐出オリフィス(微細孔)22まで来ており、圧力Pによりメニスカス23を形成している。
今、アルミニウム電極17−1及び17−2に電気信号情報が加わると、発熱ヘッド15のnで示される領域が急激に発熱し、ここに接しているインク21に気泡が発生し、その圧力でメニスカス23が突出し、インク21が吐出しインク小滴24となり、吐出オリフィス22より被記録材25に向って飛翔する。
【0073】
図3には図1に示すヘッドを多数並べたマルチヘッドの外観図を示す。該マルチヘッドはマルチ溝26を有するガラス板27と、図1で説明したものと同様の発熱ヘッド28を密着して作製されている。
尚、図1は、インク流路に沿ったヘッド13の断面図であり、図2は図1のA−B線での断面図である。
【0074】
図4に、上記ヘッドを組み込んだインクジェット記録装置の一例を示す。
図4において、61はワイピング部材としてのブレードであり、その一端はブレード保持部材によって保持されて固定端となり、カンチレバーの形態をなす。ブレード61は記録ヘッド65による記録領域に隣接した位置に配置され、又、本例の場合、記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持される。
62は記録ヘッド65の吐出口面のキャップであり、ブレード61に隣接するホームポジションに配設され、記録ヘッド65の移動方向と垂直な方向に移動して、インク吐出口面と当接し、キャッピングを行う構成を備える。更に、63はブレード61に隣接して設けられるインク吸収体であり、ブレード61と同様、記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持される。
【0075】
上記ブレード61、キャップ62及びインク吸収体63によって吐出回復部64が構成され、ブレード61及びインク吸収体63によってインク吐出口面の水分、塵挨等の除去が行われる。
65は吐出エネルギー発生手段を有し、吐出口を配した吐出口面に対向する被記録材にインクを吐出して記録を行う記録ヘッド、66は記録ヘッド65を搭載してその移動を行う為のキャリッジである。
キャリッジ66はガイド軸67と摺動可能に係合し、キャリッジ66の一部はモーター68によって駆動されるベルト69と接続(不図示)している。これによりキャリッジ66はガイド軸67に沿った移動が可能となり、記録ヘッド65による記録領域及びその隣接した領域の移動が可能となる。
【0076】
51は被記録材を挿入する為の給紙部、52は不図示のモーターにより駆動する紙送りローラーである。これらの構成によって記録ヘッド65の吐出口面と対向する位置へ被記録材が給紙され、記録が進行するにつれて排紙ローラー53を配した排紙部へ排紙される。
【0077】
上記構成において記録ヘッド65が記録終了等でホームポジションに戻る際、吐出回復部64のキャップ62は記録ヘッド65の移動経路から退避しているが、ブレード61は移動経路中に突出している。この結果、記録ヘッド65の吐出口面がワイピングされる。尚、キャップ62が記録ヘッド65の吐出面に当接してキャッピングを行う場合、キャップ62は記録ヘッドの移動経路中に突出する様に移動する。
【0078】
記録ヘッド65がホームポジションから記録開始位置へ移動する場合、キャップ62及びブレード61は、上述したワイピング時の位置と同一の位置にある。この結果、この移動においても記録ヘッド65の吐出口面はワイピングされる。上述の記録ヘッド65のホームポジションへの移動は、記録終了時や吐出回復時ばかりでなく、記録ヘッド65が記録の為に記録領域を移動する間に所定の間隔で記録領域に隣接したホームポジションへ移動し、この移動に伴って上記ワイピングが行われる。
【0079】
図5は、ヘッドにインク供給部材、例えば、チューブを介して供給されるインクを収容したインクカートリッジ45の一例を示す図である。
ここで、40は供給用インクを収容したインク収容部、例えば、インク袋であり、その先端にはゴム製の栓42が設けられている。この栓42に針(不図示)を挿入することにより、インク袋40中のインクをヘッドに供給可能ならしめる。44は廃インクを受容するインク吸収体である。
インク収容部としては、インクとの接液面がポリオレフィン、特にポリエチレンで形成されているものが本発明にとって好ましい。
【0080】
本発明で使用されるインクジェット記録装置としては、上記の如きヘッドとインクカートリッジとが別体となったものに限らず、図6に示す如きそれらが一体になったものにも好適に用いられる。
図6において、70は記録ユニットであって、この中にはインクを収容したインク収容部、例えば、インク吸収体が収納されており、かかるインク吸収体中のインクが複数のオリフィスを有するヘッド部71からインク滴として吐出される構成になっている。
【0081】
インク吸収体の材料としては、ポリウレタン、セルロース又はポリビニルアセタールを用いることが本発明にとって好ましい。72は記録ユニット内部を大気に連通させる為の大気連通口である。この記録ユニット70は、図4で示す記録ヘッドに代えて用いられるものであって、キャリッジ66に対し着脱自在になっている。
【0082】
【実施例】
次に合成例、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。尚、文中、「部」及び「%」とあるのは特に断りのない限り重量基準である。
(合成例)
本発明のインク中に含まれる一般式(I)の染料は以下の方法で製造した。
(製造法)下記一般式(a)
【化31】
Figure 0003754718
で表されるアミン類を塩酸、硫酸等の鉱酸中で亜硝酸ソーダを用いてジアゾ化した後、下記一般式(b)
【化32】
Figure 0003754718
で表されるアミン類とカップリングさせて下記一般式(c)
【化33】
Figure 0003754718
で表されるモノアゾ化合物を得る。
【0083】
このモノアゾ化合物を同様に塩酸、硫酸等の鉱酸中で亜硝酸ソーダ等を用いてジアゾ化した後、下記一般式(d)
【化34】
Figure 0003754718
で表されるナフトールとカップリングして下記一般式(e)
【化35】
Figure 0003754718
で表されるジスアゾ化合物を得る。
【0084】
このジスアゾ化合物と、例えば、塩化シアヌル(トリクロロトリアジン)とを反応させて下記一般式(f)
【化36】
Figure 0003754718
で表されるジスアゾ化合物を得る(この時一般式(f)は他の反応性染料でもよい)。
【0085】
その後希アルカリ水中で水温80℃前後の環境に一般式(f)及びアルキル基、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、スルホン基及びスルホン基の塩からなる群より選ばれた化合物の少なくとも1種の原始団で置換された第2級アミン又は第3級アミンの少なくとも一方を含む化合物やその他の置換してもよい化合物と共に24時間撹拌することにより、目的の一般式(I)の染料を得ることが出来る。
次に前記合成方法を用いて以下の12種の染料を合成し、それを用いて実施例1〜13のインクを調製した。又、この場合対イオンはアンモニウム塩とした。又、夫々の染料中のX及びYとして示された化合物名は、合成例の後に記載した。
【0086】
【化37】
Figure 0003754718
【0087】
【化38】
Figure 0003754718
【0088】
【化39】
Figure 0003754718
【0089】
【化40】
Figure 0003754718
【0090】
【化41】
Figure 0003754718
【0091】
【化42】
Figure 0003754718
【0092】
(インクの調製)
実施例1
合成例1の染料 2.2部
グリセリン 5部
チオグリコール 5部
一般式(III)のアセチレングリコールEO付加物 1部
尿素 5部
NaOH 0.1部
純水 81.7部
【0093】
実施例2
合成例2の染料 2.5部
プロピレングリコール 7部
グリセリン 3部
尿素 5部
純水 82.5部
【0094】
実施例3
合成例3の染料 2.7部
チオグリコール 7部
グリセリン 4部
尿素 4部
イソプロピルアルコール 4部
硫酸アンモニウム 0.3部
純水 78部
【0095】
参考
参考合成例4の染料 3部
プロピレングリコール 10部
クエン酸のトリエタノールアミン塩 1部
ピロリドン 5部
純水 81部
【0096】
実施例5
合成例5の染料 3部
グリセリン 5部
チオグリコール 5部
一般式(III)のアセチレングリコールEO付加物 1部
尿素 5部
LiOH 0.1部
純水 80.9部
【0097】
参考
参考合成例6の染料 3部
チオグリコール 10部
コハク酸イミド 2部
尿素 5部
トリエタノールアミン 0.5部
純水 79.5部
【0098】
実施例7
合成例7の染料 3部
チオグリコール 10部
一般式(III)のアセチレングリコールEO付加物 1部
尿素 5部
純水 81部
【0099】
実施例8
合成例8の染料 3部
ジプロピレングリコール 5部
チオグリコール 5部
一般式(III)のアセチレングリコールEO付加物 1部
尿素 5部
酢酸リチウム 0.5部
純水 80.5部
【0100】
実施例9
合成例9の染料 2.5部
プロピレングリコール 5部
グリセリン 5部
プロピレン尿素 5部
一般式(III)のアセチレングリコールEO付加物 1.2部
NaOH 0.2部
純水 81.1部
【0101】
実施例10
合成例10の染料 2.5部
ジエチレングリコール 7部
チオジグリコール 5部
酢酸リチウム 0.2部
1,1−ジエチル尿素 2部
純水 83.3部
【0102】
実施例11
実施例1のインクを塩酸でpH8.5にした。
実施例12
合成例11の染料 2部
プロピレングリコール 5部
チオジグリコール 7部
一般式(III)のアセチレングリコールEO付加物 1.5部
純水 84.5部
【0103】
実施例13
合成例12の染料 2部
2−ピロリドン 5部
グリセリン 5部
尿素 5部
純水 83部
比較例1〜10
実施例1〜3、5、7〜10及び参考例1、2に使用した染料を下記の染料1〜10のアンモニウム塩に代え、他は実施例1〜3、5、7〜10及び参考例1、2と同様にして比較例のインクを作製した。
【0104】
【化43】
Figure 0003754718
【0105】
【化44】
Figure 0003754718
【0106】
次に、上記で得られた実施例1〜3、5、7〜13、参考例1、2及び比較例1〜10のインクを用いて、インクジェット記録装置として、発熱素子をインクの吐出エネルギー源として利用したオンデマンド型インクジェットプリンターを利用して印字試験を行い、(1)耐水性、(2)周波数応答性、(3)印字品位、(4)コゲ性の評価及び(5)カラー画像における異なった色調のインクの付与領域間での境界滲みの発生の評価を、下記基準に従って夫々行った。尚、上記のインクジェット記録装置の印字条件は、駆動電圧26V、発熱抵抗体15Ω、周波数4KHzで行った。得られた結果を表2に示す。
【0107】
[評価方法及び評価基準]
(1)耐水性(A)
プリンターに所定のインクを充填して、市販の酸性紙に英数文字及びベタ部を印字した後、プリントを停止し、印字物を印字直後、印字濃度をマクベスRD915(商品名:マクベス社製)にて測定を行う。その後、印字物を水を満たした容器に3分間浸漬した後、放置及び乾燥して再度印字濃度を測定し、印字物濃度の残存率を求め、耐水性の評価とした。
○:印字物濃度の残存率が80%以上。
△:印字物濃度の残存率が65%以上〜80%未満。
×:印字物濃度の残存率が65%未満。
【0108】
耐水性(B)
プリンターに所定のインクを充填して、市販の中性紙に英数文字及びベタ部を印字した後、プリントを停止し、印字物を印字直後、印字濃度をマクベスRD915(商品名:マクベス社製)にて測定を行う。その後、印字物を水を満たした容器に3分間浸漬した後、放置、乾燥して再度印字濃度を測定し、印字物濃度の残存率を求め、耐水性の評価とした。
○:印字物濃度の残存率が80%以上。
△:印字物濃度の残存率が65%以上〜80%未満。
×:印字物濃度の残存率が65%未満。
【0109】
(2)周波数応答性
得られた印字物の印字状態、即ちカスレや白抜け状態及びスブラッシュやヨレ等の着弾点不良状態を肉眼で観察し、評価した。
○:周波数に対するインクの追従状態は、ほぼ良好であり、キャラクタ印字ではカスレや白抜け、着弾点不良がみられないが、ベタ印字において僅かにカスレが見られる。
△:キャラクタ印字ではカスレや白抜けは見られないが、一部に着弾点不良が見られる。又はベタ印字ではカスレ、白抜けがベタ印字全体の1/3程度見られる。
×:ベタ印字ではカスレ、白抜けが多く、又、キャラクタ印字においてもカスレや着弾点不良が多数見られる。
【0110】
(3)印字品位の評価(A)
プリンターで市販の酸性紙に英数文字を印字し、印字物を1時間以上放置した後、顕微鏡及び目視で文字のシャープさや文字より発生するヒゲ状の滲みの度合いを評価した。
◎:文字がシャープでヒゲ状の滲みがない。
○:文字がシャープさに欠ける。ヒゲ状の滲みがない。
△:文字にシャープさがない。又はヒゲ状の滲みが少し多い。
×:文字にシャープさがなく、ヒゲ状の滲みも多い。
【0111】
印字品位の評価(B)
プリンターで市販の中性紙に英数文字を印字し、1時間以上放置した後、顕微鏡及び目視で文字のシャープさや文字より発生するヒゲ状の滲みの度合いを評価した。
◎:文字がシャープでヒゲ状の滲みがない。
○:文字がシャープであるが、ヒゲ状の滲みが少し発生。
△:文字にシャープさがない。又はヒゲ状の滲みが多い。
×:文字にシャープさがなく、ヒゲ状の滲みも多い。
【0112】
(4)コゲの評価
前記条件でインクジェットカラープリンターBJ10(商品名 キヤノン製)で英文字を6万字印字し、その後ヒーター面を観察した。
○:ヒーター面上が使用前後で殆ど変わらない。
△:ヒーター面上に少量の堆積物が認められた。
×:ヒーター面全体に堆積物が認められた。
【0113】
(5)カラー画像における異なった色調のインクの付与領域間での境界滲みの評価
実施例1、実施例5、実施例7及び実施例8のインクを組み合わせて実施例14のインクとし、インクジェットカラープリンターBJC600(商品名;キヤノン(株)製)で異なった色調のインクの付与領域間での境界滲みの評価を行った。又、比較例1、比較例5、比較例7及び比較例8のインクを組み合わせて比較例11のインクとしての同様の評価をし、その結果を表3に示した。評価基準は、以下の通りにした。
○:異なった色調のインクの付与領域間での境界がシャープであり、境界滲みが見られない。
×:異なった色調のインクの付与領域間での境界がぼやけ、境界滲みが見られる。
【0114】
【表2】
Figure 0003754718
【0115】
【表3】
評価結果
Figure 0003754718
【0116】
合成例13〜48
合成例1〜12と同様に、表4〜8に、反応性染料種を(A)欄に、アルキル基、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、スルホン基及びスルホン基の塩からなる群から選ばれた少なくとも1種の原子団で置換された第2級アミン或は第3級アミンを(B)欄に記載し、両者を80℃の反応温度の条件で、24時間撹拌し、目的の染料を合成した。
【0117】
【表4】
Figure 0003754718
【0118】
【表5】
Figure 0003754718
【0119】
【表6】
Figure 0003754718
【0120】
【表7】
Figure 0003754718
【0121】
【表8】
Figure 0003754718
【0122】
(実施例15〜50、比較例12〜47)
チオジグリコール10.0部、純水87.0部に合成例13〜48の夫々の染料3.0部を混合し、十分に撹拌して溶解後、ポアサイズ0.45μmのフロロポアフィルター(商品名;住友電工(株)製)にて加圧ろ過して36種類のインクを調整し、実施例15〜50のインクとした。それらのインクを用いて実施例1と同様に耐水性、周波数応答性、印字品位を評価した。その結果、耐水性(A)、耐水性(B)及び周波数応答性の評価は何れも○、印字品位A及びBの評価は何れも◎であった。
実施例15〜50で使用した染料合成に使用した反応性染料を単独で染料として使用したインクを比較例12〜47とし、実施例15〜50と同様に評価した。その結果、耐水性(A)、耐水性(B)は何れも×、周波数応答性の評価は何れも○、印字品位Aの評価は何れも△、印字品位Bの評価は何れも○であった。
【0123】
(実施例51〜86、比較例48〜83)
ジエチレングリコール10.0部、エタノール3.0部、純水84.5部に合成例13〜48の夫々の染料2.5部を混合し、十分に撹拌して溶解後、ポアサイズ0.45μmのフロロポアフィルター(商品名;住友電工(株)製)にて加圧ろ過して36種類のインクを調整し、実施例51〜86のインクとした。それらのインクを用いて実施例1と同様に耐水性、周波数応答性、印字品位を評価した。その結果、耐水性(A)、耐水性(B)及び周波数応答性の評価は何れも○、印字品位A及びBの評価は何れも◎であった。
実施例51〜86で使用した染料合成に使用した反応性染料を単独で染料として使用したインクを比較例48〜83とし、実施例51〜86と同様に評価した。その結果、耐水性(A)、耐水性(B)は何れも×、周波数応答性の評価は何れも○、印字品位Aの評価は何れも△、印字品位Bの評価は何れも○であった。
【0124】
(実施例87〜122、比較例4〜119)
2−ピロリドン5.0部、チオジグリコール5.0部、純水87.3部に合成例13〜48の夫々の染料2.7部を混合し、十分に撹拌して溶解後、ポアサイズ0.45μmのフロロポアフィルター(商品名 住友電工(株)製)にて加圧ろ過して36種類のインクを調整し、実施例87〜122のインクとした。それらのインクを用いて実施例1と同様に耐水性、周波数応答性、印字品位を評価した。その結果、耐水性(A)、耐水性(B)及び周波数応答性の評価は何れも○、印字品位A及びBの評価は何れも◎であった。
実施例87〜122で使用した染料合成に使用した反応性染料を単独で染料として使用したインクを比較例4〜119とし、実施例87〜122と同様に評価した。その結果、耐水性(A)、耐水性(B)は何れも×、周波数応答性の評価は何れも○、印字品位Aの評価は何れも△、印字品位Bの評価は何れも○であった。
【0125】
(実施例23〜158、比較例〜15
ジプロピレングリコール7.0部、グリセリン3.0部、純水87.0部に合成例13〜48の夫々の染料3.0部を混合し、十分に撹拌して溶解後、ポアサイズ0.45μmのフロロポアフィルター(商品名 住友電工(株)製)にて加圧ろ過して36種類のインクを調整し、実施例23〜158のインクとした。それらのインクを用いて実施例1と同様に耐水性、周波数応答性、印字品位を評価した。その結果、耐水性(A)、耐水性(B)及び周波数応答性の評価は何れも○、印字品位A及びBの評価は何れも◎であった。
実施例23〜158で使用した染料合成に使用した反応性染料を単独で染料として使用したインクを比較例〜15とし、実施例23〜158と同様に評価した。その結果、耐水性(A)、耐水性(B)は何れも×、周波数応答性の評価は何れも○、印字品位Aの評価は何れも△、印字品位Bの評価は何れも○であった。
【0126】
【発明の効果】
以上の様に本発明によれば、一般オフィス等で使用されている酸性紙及び中性紙等の、いわゆる普通紙に対し印字記録をした場合、印字記録物の印字品位等に悪影響を与えることなく、印字記録物の耐水性を向上させ得る染料、インクを提供することが出来る。
更に、本発明によれば、保存性も良好であり、インクジェット記録システムに用いても何ら問題のない信頼性の高い記録を行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェット記録装置のヘッド部の縦断面図である。
【図2】図1のA−B線での切断図を示す横断面図である。
【図3】図1に示したヘッドをマルチ化したヘッドの外観斜視図である。
【図4】インクジェット記録装置の一例を示す斜視図である。
【図5】インクカートリッジの縦断面図である。
【図6】記録ユニットの斜視図である。
【符号の説明】
13:ヘッド
14:インク溝
15,28:発熱ヘッド
16:保護膜
17:アルミニウム電極
18:発熱抵抗体層
19:畜熱層
20:基板
21:インク
22:吐出オリフィス(微細孔)
23:メニスカス
24:インク小滴
25:被記録材
26:マルチ溝
27:ガラス板
40:インク袋
42:ゴム製の栓
44:インク吸収体
45:インクカートリッジ
51:給紙部
52:紙送りローラー
53:排紙ローラー
61:ワイピング部材
62:キャップ
63:インク吸収体
64:吐出回復部
65:記録ヘッド
66:キャリッジ
67:ガイド軸
68:モーター
69:ベルト
70:インクジェットカートリッジ
71:ヘッド部
72:大気連通口

Claims (16)

  1. 下記一般式(I−1〜5)のいずれかで表されることを特徴とする染料:
    Figure 0003754718
    (上記一般式I−1〜5中、Dは発色団を、Rは2又は3価の結合基を、IMは、アルキル基、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、スルホン基、スルホン基の塩、燐酸基及び燐酸基の塩からなる群から選ばれた少なくとも1種の原子団で置換された第2級アミン或は第3級アミンの残基を表わし、且つIMは少なくとも、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、スルホン基及びスルホン基の塩からなる群から選ばれた少なくともひとつの基及び窒素原子を介して炭素数1〜48のアルキル基を有する。尚、D、R及びIMは合計で1〜12個の酸性基を有し、Rは、IM中の窒素原子に結合し、IMは、単独化合物の形態で、下記一般式(II)で表わされる化合物である:
    Figure 0003754718
    (上記式(II)中、R1は炭素数1〜48のアルキル基又は水素原子を、R2は、−(CH2)a−X1又は水素原子を、R 3は、−(CH2)b−X2、R4[ ( (CH 2 ) h −X 4 )C m 2m ] e (NHC p 2p ) f 又は水素原子を、R 4は炭素数1〜48のアルキル基又は水素原子を表す。1、X2、X3及びX4は、夫々カルボキシル基、カルボキシル基の塩、スルホン基、スルホン基の塩及び水素原子から選ばれる。a及びbは1〜7の整数を、c+d及びe+fは0〜50の整数を、g及びhは1〜4の整数を、l(エル)、n、m及びpは2〜4の整数を表わす。但し、一般式(II)の化合物は少なくとも1個のカルボキシル基、カルボキシル基の塩、スルホン基又はスルホン基の塩を有し、且つ少なくとも2個の窒素原子を有する)。
  2. 発色団が、アゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料又はトリフェンジオキサジン染料の残基である請求項1に記載の染料。
  3. 発色団が、ベンゼン又はナフタレンジアゾ成分及びベンゼン、ナフタレン又は単環式ヘテロ芳香性カプラーから誘導されたアゾ染料の残基である請求項に記載の染料。
  4. 一般式(I−1〜5)の化合物中の結合基Rが、ジクロロトリアジン基、ジクロロキノキサリン基、5−クロロ−4−メチル−2−メチルスルホニルピリミジン基、ビニルスルホン基、2,4−ジフルオロ−5−クロロピリミジン基、モノクロロメトキシトリアジン基、モノクロロトリアジン基、トリクロロピリミジン基、スルホニル基、カルボニル基又はメチレン基である請求項1〜3のいずれか1項に記載の染料。
  5. 下記一般式(I−1〜5)のいずれかで表される染料を液媒体中に含むことを特徴とするインク:
    Figure 0003754718
    (上記一般式I−1〜5中、Dは発色団を、Rは2又は3価の結合基を、IMは、アルキル基、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、スルホン基、スルホン基の塩、燐酸基及び燐酸基の塩からなる群から選ばれた少なくとも1種の原子団で置換された第2級アミン或は第3級アミンの残基を表わし、且つIMは少なくとも、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、スルホン基及びスルホン基の塩からなる群から選ばれた少なくともひとつの基及び窒素原子を介して炭素数1〜48のアルキル基を有する。尚、D、R及びIMは合計で1〜12個の酸性基を有し、RはIM中の窒素原子に結合し、IMは、単独化合物の形態で、下記一般式(II)で表わされる化合物である:
    Figure 0003754718
    (上記式(II)中、R1は炭素数1〜48のアルキル基又は水素原子を、R2は、−(CH2)a−X1又は水素原子を、R 3は、−(CH2)b−X2、R4[ ( (CH 2 ) h −X 4 )C m 2m ] e (NHC p 2p ) f 又は水素原子を、R 4は炭素数1〜48のアルキル基又は水素原子を表す。1、X2、X3及びX4は、夫々カルボキシル基、カルボキシル基の塩、スルホン基、スルホン基の塩及び水素原子から選ばれる。a及びbは1〜7の整数を、c+d及びe+fは0〜50の整数を、g及びhは1〜4の整数を、l(エル)、n、m及びpは2〜4の整数を表わす。但し、一般式(II)の化合物は少なくとも1個のカルボキシル基、カルボキシル基の塩、スルホン基又はスルホン基の塩を有し、且つ少なくとも2個の窒素原子を有する)。
  6. 発色団が、アゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料又はトリフェンジオキサジン染料の残基である請求項に記載のインク。
  7. 発色団が、ベンゼン又はナフタレンジアゾ成分及びベンゼン、ナフタレン又は単環式ヘテロ芳香性カプラーから誘導されたアゾ染料の残基である請求項に記載のインク。
  8. 一般式(I−1〜5)の化合物中の結合基Rが、ジクロロトリアジン基、ジクロロキノキサリン基、5−クロロ−4−メチル−2−メチルスルホニルピリミジン基、ビニルスルホン基、2,4−ジフルオロ−5−クロロピリミジン基、モノクロロメトキシトリアジン基、モノクロロトリアジン基、トリクロロピリミジン基、スルホニル基、カルボニル基又はメチレン基である請求項5〜7のいずれか1項に記載のインク。
  9. 酸性基の対イオンが有機アミンである請求項5〜8のいずれか1項に記載のインク。
  10. 酸性基の対イオンが有機アミンである一般式(I)の染料と、酸性基の対イオンが1価の金属である一般式(I)の染料とを併用する請求項に記載のインク。
  11. インクのpHが8以上である請求項5〜10のいずれか1項に記載のインク。
  12. 該インクがインクジェット用のインクである請求項11のいずれか1項に記載のインク。
  13. 請求項12に記載のインクをインクジェット方式により吐出する工程を有することを特徴とするインクジェット記録方法。
  14. 請求項12に記載のインクを収容しているインク収容部と該インクを滴として吐出するヘッド部とを有していることを特徴とする記録ユニット。
  15. 請求項12のいずれか1項に記載のインクを収容しているインク収容部を備えていることを特徴とするインクカートリッジ。
  16. 請求項12に記載のインクを収容しているインク収容部及び該インクを滴として吐出させるヘッド部とを備えていることを特徴とするインクジェット記録装置。
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