JP3754632B2 - ツートーン塗装方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車のボディ等の被塗物を2色に塗り分けるツートーン塗装方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、被塗物に塗装を施す塗装装置は、塗装ブースに設けられた塗装用ロボット等の塗装作業機と、該塗装作業機に取付けられ、塗料を霧化して被塗物に向け噴霧する塗装機とによって大略構成されている。そして、自動車のボディ等の被塗物を塗装する場合に、塗装装置は、搬送装置によってボディが塗装ブースに搬送されてくると、塗装用ロボットのアーム先端に取付けられた塗装機を、ボディの塗装面形状に対応し該塗装面と一定の間隔を保ちながら、該ボディに向け塗料を噴霧して塗装を行なう。
【0003】
ここで、自動車のボディには、単一色の塗装を施す場合以外に、例えばボディの上側半分と下側半分とに異なる色の塗料を塗装する、所謂ツートーン塗装を施したものが知られている。
【0004】
即ち、従来技術によるツートーン塗装の塗装方法は、図35に示すように、ボディの上側半分に第1色塗料となるA色塗料を用いて塗装を施し(ステップ1)、このA色塗膜面の上にクリア塗料を用いて塗装を施し(ステップ2)、ボディを焼付け炉に入れて塗料をボディに焼付ける(ステップ3)。次に、塗色の境界線の位置にマスキングテープを貼り付け、A色塗膜面をマスキング紙によって覆うことにより(ステップ4)、A色塗膜面に第2色塗料となるB色塗料が付着するのを防止する。そして、マスキング貼り付け作業が終了したら、上側の一部がA色塗膜面に重なるようにボディの下側半分にB色塗料を用いて塗装を施し(ステップ5)、クリア塗料を用いて塗装を施す(ステップ6)。次に、これらの塗料を再度焼付け炉で焼付け(ステップ7)、マスキングテープ等を剥すことにより(ステップ8)、ボディを境界線の位置で2色(ツートーン)に塗り分けることができる。
【0005】
しかし、このツートーン塗装では、B色塗膜面をマスキングテープと一緒に境界線に沿って強制的に剥すようにしている。このため、境界線の位置には、A色塗膜面とB色塗膜面との間に段差が形成されてしまう。また、マスキングテープによって引き離されたB色塗膜面の境界線には、鋸の刃のような微細な凹凸が長さ方向に連続して形成されてしまう。これらは仕上げ塗装の品質を損ねる要因となる。
【0006】
また、マスキング作業は、マスキングテープ、マスキング紙の貼り付け作業、剥し作業からなり、これらのマスキング作業は自動化するのが難しく、現状では作業者が手作業によってマスキング作業を行なっており、生産性を低下させる要因となっている。
【0007】
さらに、マスキングテープ等を用いたツートーン塗装方法では、A色塗膜面、、クリア塗膜面にマスキングテープを貼り付けるために、このA色塗膜面等を焼付けて乾燥硬化させておく必要がある。このため、塗料の塗装、クリア塗料の塗装、塗料の焼付け等の作業を、A色、B色毎にそれぞれ別々に行なわなくてはならず、生産性の低下、塗装コストの上昇を招くという問題がある。
【0008】
そこで、上述したマスキングテープ等によるマスキング作業を省略し、生産性を向上するようにしたツートーン塗装方法があり、この種の従来技術による塗装方法は、例えば特開昭58−58168号公報、特開平11−57606号公報等によって知られている。
【0009】
まず、特開昭58−58168号に記載された塗装方法(以下、第1の従来技術という)は、重防錆塗装を行なうもので、ロボットアーム先端に塗装機とマスキング板からなるマスキング装置とを設けている。そして、この塗装方法は、重防錆塗装を行なうときに、マスキング板の先端を境界線の位置で自動車のボディに当接させることにより、該マスキング板よりも上側を覆う。この状態で塗装機は、重防錆塗料を噴霧することにより、ボディの下側部分だけに塗装を施している。
【0010】
また、特開平11−57606号に記載されたツートーン塗装方法(以下、第2の従来技術という)は、図36に示すように、被塗物101に境界線を形成するための塗装を施す塗装機として、塗料の直進性の良い、即ちスプレーパターン開き角度θが30度以内となる二流体ノズル塗装ガン102(所謂エアブラシガン)を用いている。また、塗装ガン102の上方には、エアガン(図示せず)を配設し、該エアガンから境界線に向けエアを噴出する構成としている。そして、第1の従来技術による塗装方法は、被塗物101に対し塗装ガン102をスプレーパターン開き角度θの半分以上(θ/2以上)傾けて用い、この状態で塗装ガン102から被塗物101に向けて塗料を噴霧することにより、境界線を形成している。この塗装時には、エアガンから境界線に向けエアを噴出することにより、例えば先に塗装したA色塗膜面に塗装ガン102から噴霧されたB色塗料が付着するのを防止している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した特開昭58−58168号公報に示される第1の従来技術による塗装方法では、マスキング板を用いて塗装対象となる部位以外を覆うようにしているから、塗装を行なったときにはマスキング板に多量の塗料が付着してしまう。このため、マスキング板に付着した塗料を掻き落すための塗料掻き落とし装置が別途必要になり、設備が複雑かつ大型化してしまう。しかも、マスキング板は、その先端をボディに当接させているから、他の塗装面に傷をつける虞れがある。このため、第1の従来技術による塗装方法は、重防錆塗装のように必ずしも高品質な仕上りを必要としない下塗り塗装には用いることができるが、仕上げ塗装には用いることができない。
【0012】
また、特開平11−57606号公報に示される第2の従来技術による塗装方法は、境界線を形成する塗装機として二流体ノズル塗装ガン102(エアブラシガン)を用いており、この塗装ガン102は、噴霧エアの圧力によって塗料を吐出するものである。従って、塗装ガン102は、塗料と一緒に噴霧エアを勢いよく噴出している。このため、噴霧エアと塗料粒子が被塗物101の表面に跳ね返って飛散するから、B色塗料によって境界線を形成しているときに、このB色塗料がA色塗膜面に付着してしまうという問題がある。
【0013】
また、第2の従来技術による塗装方法では、エアガンを用いて境界線の位置にエアを供給している。しかし、エアガンはエアの噴出方向にばらつきがあるために所望の位置にエアを供給することができず、塗装ガン102から境界線の位置に向けて噴霧された塗料を分散し、境界線を乱してしまうという問題がある。
【0014】
さらに、二流体ノズル塗装ガン102は、一般的に絵画、ポスター、その他美術工芸品等に塗料を吹き付けるのに使用されるもので、絵筆のように用いるものである。また、二流体ノズル塗装ガン102は、小吐出量で、粘性の低い染料やラッカー系の塗料を噴霧するものであり、自動車のボディに用いられる塗料を微粒化する能力は低いものである。従って、二流体ノズル塗装ガン102は、小さい噴霧パターンで細い線を描くのに適しているが、自動車のボディを広範囲に亘って塗装するのには適しておらず、よって多大な塗装時間を要する上に、高品質な塗装仕上りを望むことはできない。
【0015】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、境界線の仕上りを明確にすると共に塗装工程数を削減して、信頼性の向上、塗装コストの低減を図ることができるようにしたツートーン塗装方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、請求項1の発明が採用するツートーン塗装方法は、[A].被塗物の表面に第1色塗料を用いて塗装を施す第1色エリア塗装工程と、[B].(1).回転霧化頭型塗装機の回転霧化頭を、その端縁から噴出された塗料粒子が一旦収束する位置で被塗物に塗着するように、該被塗物に接近した位置で境界エリアに向けて傾けて配置し、(2).第2色塗料からなる塗料ミストが第1色塗膜面に飛散するのを抑えるミスト抑制エアを前記回転霧化頭の前方に供給し、(3).噴霧パターンを整形するシェーピングエアは供給せず、(4).第2色塗料に高電圧を印加せず、(5).第2色塗料を用いて第1色塗膜面との境界線を形成する、境界エリア塗装工程と、[C].(1).回転霧化頭を、その端縁から噴出された塗料粒子が一旦収束する位置で被塗物に塗着するように、該被塗物に接近した位置で帯状エリアに向けて傾けて配置し、(2).第2色塗料からなる塗料ミストが第1色塗膜面に飛散するのを抑えるミスト抑制エアを前記回転霧化頭の前方に供給し、(3).第2色塗料に高電圧を印加せず、(4).前記回転霧化頭を往復動させながら境界塗膜面に続く被塗物の表面に第2色塗料を用いて帯状の塗装を施す、帯状エリア塗装工程とからなる。
【0017】
このように構成したことにより、第1色エリア塗装工程では、被塗物の表面に第1色塗料を用いて塗装を施すことにより、被塗物の表面に第1色塗膜面を形成することができる。
【0018】
次に、境界エリア塗装工程では、回転霧化頭を、その端縁から噴出された塗料粒子が一旦収束する位置で被塗物に塗着するように、該被塗物に接近した位置で境界エリアに向けて傾けて配置し、第2色塗料からなる塗料ミストが第1色塗膜面に飛散するのを抑えるミスト抑制エアを前記回転霧化頭の前方に供給し、一方噴霧パターンを整形するシェーピングエアは供給せず、かつ高電圧を印加しない状態で、回転霧化頭を高速回転して第2色塗料を噴霧する。
【0019】
これにより、第2色塗料は、回転霧化頭を高速回転させたときに該回転霧化頭の前方に形成される負圧領域に引っ張られつつ、遠心力によって径方向外側に飛行する。この場合、回転霧化頭が被塗物に接近して配置されることにより、第2色塗料は、空気抵抗によって霧化する前の飛散が少ない状態で被塗物に塗着するから、明瞭な境界線を形成することができる。また、回転霧化頭が被塗物に対して傾いているから、第2色塗料は、噴霧エア等を用いず遠心力だけによって噴霧され、この噴霧粒子は被塗物の表面に跳ね返って飛散することなく塗着する。さらに、回転霧化頭の前方に供給されるミスト抑制エアは、第1色塗膜面に第2色塗料からなる塗料ミストが飛散するのを抑えて塗装仕上りを良好にする。
【0020】
次に、帯状エリア塗装工程では、回転霧化頭を、その端縁から噴出された塗料粒子が一旦収束する位置で被塗物に塗着するように、該被塗物に接近した位置で帯状エリアに向けて傾けて配置し、第2色塗料からなる塗料ミストが第1色塗膜面に飛散するのを抑えるミスト抑制エアを前記回転霧化頭の前方に供給し、かつ高電圧を印加しない状態で、前記回転霧化頭を往復動させながら境界線に続く被塗物の表面に第2色塗料を用いて広幅な帯状(ベルト状)の塗装を施している。
【0021】
これにより、第2色塗料は、前述した境界エリア塗装工程による塗装動作とほぼ同様に、第1色塗膜面への飛散が抑えられた状態で、境界塗膜面に続けて塗装される。このときに、回転霧化頭型塗装機は、往復動されているから、境界塗膜面に続く被塗物の広い面に第2色塗料を用いて塗装を施すことができる。
【0022】
また、請求項2の発明が採用するツートーン塗装方法は、[A].被塗物の表面に第1色塗料を用いて塗装を施す第1色エリア塗装工程と、[B].(1).回転霧化頭型塗装機の回転霧化頭を、その端縁から噴出された塗料粒子が一旦収束する位置で被塗物に塗着するように、該被塗物に接近した位置で境界エリアに向けて傾けて配置し、(2).第2色塗料からなる塗料ミストが第1色塗膜面に飛散するのを抑えるミスト抑制エアを前記回転霧化頭の前方に供給し、(3).噴霧パターンを整形するシェーピングエアは供給せず、(4).第2色塗料に高電圧を印加せず、(5).第2色塗料を用いて第1色塗膜面との境界線を形成する、境界エリア塗装工程と、[C].(1).回転霧化頭を、その端縁から噴出された塗料粒子が一旦収束する位置で被塗物に塗着するように、該被塗物に接近した位置で帯状エリアに向けて傾けて配置し、(2).第2色塗料からなる塗料ミストが第1色塗膜面に飛散するのを抑えるミスト抑制エアを前記回転霧化頭の前方に供給し、(3).第2色塗料に高電圧を印加せず、(4).前記回転霧化頭を往復動させながら境界塗膜面に続く被塗物の表面に第2色塗料を用いて帯状の塗装を施す、帯状エリア塗装工程と、[D].前記帯状エリア塗装工程によって塗装されなかった残りの被塗物の表面に、第2色塗料を用いて塗装を施す残部エリア塗装工程とからなる。
【0023】
このように構成したことにより、第1色エリア塗装工程では、被塗物の表面に第1色塗料を用いて塗装を施すことにより、被塗物の表面に第1色塗膜面を形成することができる。
【0024】
次に、境界エリア塗装工程では、回転霧化頭を、その端縁から噴出された塗料粒子が一旦収束する位置で被塗物に塗着するように、該被塗物に接近した位置で境界エリアに向けて傾けて配置し、第2色塗料からなる塗料ミストが第1色塗膜面に飛散するのを抑えるミスト抑制エアを前記回転霧化頭の前方に供給し、一方噴霧パターンを整形するシェーピングエアは供給せず、かつ高電圧を印加しない状態で、回転霧化頭を高速回転して第2色塗料を噴霧する。
【0025】
これにより、第2色塗料は、回転霧化頭を高速回転させたときに該回転霧化頭の前方に形成される負圧領域に引っ張られつつ、遠心力によって径方向外側に飛行する。この場合、回転霧化頭が被塗物に接近して配置されることにより、第2色塗料は、空気抵抗によって霧化する前の飛散が少ない状態で被塗物に塗着するから、明瞭な境界線を形成することができる。また、回転霧化頭が被塗物に対して傾いているから、第2色塗料は、噴霧エア等を用いず遠心力だけによって噴霧され、この噴霧粒子は被塗物の表面に跳ね返って飛散することなく塗着する。さらに、回転霧化頭の前方に供給されるミスト抑制エアは、第1色塗膜面に第2色塗料からなる塗料ミストが飛散するのを抑えて塗装仕上りを良好にする。
【0026】
次に、帯状エリア塗装工程では、回転霧化頭を、その端縁から噴出された塗料粒子が一旦収束する位置で被塗物に塗着するように、該被塗物に接近した位置で帯状エリアに向けて傾けて配置し、第2色塗料からなる塗料ミストが第1色塗膜面に飛散するのを抑えるミスト抑制エアを前記回転霧化頭の前方に供給し、かつ高電圧を印加しない状態で、前記回転霧化頭を往復動させながら境界線に続く被塗物の表面に第2色塗料を用いて塗装を施している。
【0027】
これにより、第2色塗料は、前述した境界エリア塗装工程による塗装動作とほぼ同様に、第1色塗膜面への飛散が抑えられた状態で、境界塗膜面に続けて塗装される。また、帯状エリア塗装工程では、回転霧化頭の往復動作によって広幅な帯状(ベルト状)の塗装が施されるから、残部エリア塗装工程で第2色塗料を塗装するときに、第1色塗膜面までの距離を大きくし、第2色塗料の粒子が第1色塗膜面に付着するのを防止することができる。
【0028】
次に、残部エリア塗装工程では、帯状塗膜面に続く被塗物の表面に第2色塗料を用いて塗装を施す。このときには、残部エリア塗装工程の塗装部位と第1色塗膜面との間に第2色塗料からなる境界塗膜面と帯状塗膜面が介在しているから、塗装機によって通常の塗装作業を行なった場合でも、第2色塗料の粒子が第1色塗膜面に飛散するのを防止することができる。
【0029】
請求項3の発明によると、境界エリア塗装工程では、(1).第1色塗膜面との境界線を塗装する位置で回転霧化頭の端縁と被塗物との間の塗装距離を最も小さくし、(2).第1色塗膜面との境界線から離間するに従って回転霧化頭の端縁と被塗物との間の塗装距離を大きくする往復動軌跡をもって、(3).回転霧化頭を境界線と交叉する方向に移動しながら塗装を施したことにある。
【0030】
これにより、回転霧化頭を往復動作させて塗装を行なうときに、第1色塗膜面との境界線の位置では回転霧化頭の端縁が被塗物に接近しているから、この境界線の位置には、厚くはっきりした塗膜面からなる境界線を形成することができる。一方、第1色塗膜面との境界線から離れた位置では回転霧化頭の端縁が被塗物から離間しているから、境界線の位置よりも噴霧粒子が広い範囲に塗着する。これにより、境界線から離れた位置では、平坦な塗膜面を形成することができる。
【0031】
請求項4の発明によると、境界エリア塗装工程では、回転霧化頭を境界線とほぼ平行に移動しながら塗装を施したことにある。
【0032】
これにより、被塗物の表面には境界線とほぼ平行に移動する回転霧化頭によって滑らか(直線的)な境界線を形成することができる。
【0033】
請求項5の発明によると、帯状エリア塗装工程では、(1).境界塗膜面側で回転霧化頭の端縁と被塗物との間の塗装距離を最も小さくし、(2).境界塗膜面から離間するに従って回転霧化頭の端縁と被塗物との間の塗装距離を大きくする往復動軌跡をもって、(3).回転霧化頭を境界線と交叉する方向に移動しながら塗装を施したことにある。
【0034】
これにより、境界塗膜面側の位置では、回転霧化頭の端縁と被塗物との間の塗装距離を最も小さくして塗料の飛散を抑えることにより、第2色塗料の粒子が境界塗膜面を越えて第1色塗膜面に付着するのを防止することができる。また、帯状塗膜面に続く第2色塗装を施す場合には、この第2色塗料が重なる部分、即ち境界線から離れた位置を平坦な塗膜面として形成することができる。
【0035】
請求項6の発明によると、帯状エリア塗装工程では、回転霧化頭を境界線とほぼ平行に往復動しながら塗装を施したことにある。
【0036】
これにより、回転霧化頭から噴霧された第2色塗料は、境界線とほぼ平行に塗装されるから、第2色塗料の粒子が境界塗膜面、帯状塗膜面を越えて第1色塗膜面に飛散するのを防止することができる。
【0037】
請求項7の発明によると、帯状エリア塗装工程では、シェーピングエアは使用しないか、またはミスト抑制エアに抗しない程度の少量のシェーピングエアを使用したことにある。
【0038】
これにより、回転霧化頭から遠心力によって噴霧された第2色塗料は、シェーピングエアに邪魔されることなく被塗物に塗着するから、第2色塗料の粒子が飛散して第1色塗膜面に付着するのを防止することができる。
【0039】
請求項8の発明によると、前記回転霧化頭型塗装機には、回転霧化頭の前方に向けミスト抑制エアを吐出するエアノズルを設け、境界エリア塗装工程、帯状エリア塗装工程では前記エアノズルから回転霧化頭の前方にミスト抑制エアを供給したことにある。
【0040】
これにより、エアノズルから回転霧化頭の前方にミスト抑制エアを供給したときには、このミスト抑制エアは、第2色塗料による塗料ミストが境界線を越えて第1色塗膜面側に飛散するのを防止することができる。
【0041】
請求項9の発明によると、前記回転霧化頭型塗装機には、回転霧化頭に向けミスト抑制エアを吐出するエアノズルと、該エアノズルから吐出されたミスト抑制エアを回転霧化頭の前方に導く整流板とを設け、境界エリア塗装工程、帯状エリア塗装工程では前記エアノズルからミスト抑制エアを吐出し、このミスト抑制エアを整流板によって回転霧化頭の前方に供給したことにある。
【0042】
これにより、エアノズルから回転霧化頭に向けミスト抑制エアを供給したときには、このミスト抑制エアは、整流板に当たることにより回転霧化頭側に向きを変えることができ、整流板によって制御されたミスト抑制エアは、第2色塗料による塗料ミストが境界線を越えて第1色塗膜面側に飛散するのを防止することができる。
【0043】
請求項10の発明によると、前記境界エリア塗装工程、帯状エリア塗装工程では、回転霧化頭を被塗物の表面に直交する線に対して50度〜80度傾けたことにある。
【0044】
これにより、回転霧化頭の遠心力によって吐出される塗料粒子を、第1色塗膜面側に飛散させることなく、被塗物の表面に塗装することができる。
【0045】
また、請求項11の発明が採用するツートーン塗装方法は、[A].被塗物の表面に第1色塗料を用いて塗装を施す第1色エリア塗装工程と、[B].(1).回転霧化頭型塗装機の回転霧化頭を、その端縁から噴出された塗料粒子が一旦収束する位置で被塗物に塗着するように、該被塗物に接近した位置で帯状境界エリアに向けて傾けて配置し、(2).第2色塗料からなる塗料ミストが第1色塗膜面に飛散するのを抑えるミスト抑制エアを前記回転霧化頭の前方に供給し、(3).噴霧パターンを整形するシェーピングエアは供給せず、(4).第2色塗料に高電圧を印加せず、(5).前記回転霧化頭を往復動させながら第2色塗料を用いて帯状の塗装を施し第1色塗膜面との境界線を形成する、帯状境界エリア塗装工程と、[C].前記帯状境界エリア塗装工程によって塗装されなかった残りの被塗物の表面に、第2色塗料を用いて塗装を施す残部エリア塗装工程とからなる。
【0046】
このように構成したことにより、第1色エリア塗装工程では、被塗物の表面に第1色塗料を用いて塗装を施すことにより、被塗物の表面に第1色塗膜面を形成することができる。
【0047】
次に、帯状境界エリア塗装工程では、回転霧化頭を、その端縁から噴出された塗料粒子が一旦収束する位置で被塗物に塗着するように、該被塗物に接近した位置で帯状境界エリアに向けて傾けて配置し、第2色塗料からなる塗料ミストが第1色塗膜面に飛散するのを抑えるミスト抑制エアを回転霧化頭の前方に供給し、一方噴霧パターンを整形するシェーピングエアは供給せず、かつ高電圧を印加しない状態で、前記回転霧化頭を往復動させながら回転霧化頭を高速回転して第2色塗料を噴霧する。
【0048】
これにより、第2色塗料は、回転霧化頭を高速回転させたときに該回転霧化頭の前方に形成される負圧領域に引っ張られつつ、遠心力によって径方向外側に飛行する。この場合、回転霧化頭が被塗物に接近して配置されることにより、第2色塗料は、空気抵抗によって霧化する前の飛散が少ない状態で被塗物に塗着するから、明瞭な境界線を形成することができる。また、回転霧化頭が被塗物に対して傾いているから、第2色塗料は、噴霧エア等を用いず遠心力だけによって噴霧され、この噴霧粒子は被塗物の表面に跳ね返って飛散することなく塗着する。さらに、回転霧化頭の前方に供給されるミスト抑制エアは、第1色塗膜面に第2色塗料からなる塗料ミストが飛散するのを抑えて塗装仕上りを良好にする。
【0049】
次に、残部エリア塗装工程では、帯状境界塗膜面に続く被塗物の表面に第2色塗料を用いて塗装を施す。このときには、残部エリア塗装工程の塗装部位と第1色塗膜面との間に第2色塗料からなる広幅な帯状境界塗膜面が介在しているから、塗装機によって通常の塗装作業を行なった場合でも、第2色塗料の粒子が第1色塗膜面に飛散するのを防止することができる。
【0050】
請求項12の発明によると、帯状境界エリア塗装工程では、(1).第1色塗膜面との境界線を塗装する位置で回転霧化頭の端縁と被塗物との間の塗装距離を最も小さくし、(2).第1色塗膜面との境界線から離間するに従って回転霧化頭の端縁と被塗物との間の塗装距離を大きくする往復動軌跡をもって、(3).回転霧化頭を境界線と交叉する方向に移動しながら塗装を施したことにある。
【0051】
これにより、回転霧化頭を往復動作させて塗装を行なうときに、第1色塗膜面との境界線の位置では回転霧化頭が被塗物に接近しているから、この境界線の位置には厚くはっきりした塗膜面からなる境界線を形成することができる。一方、第1色塗膜面との境界線から離れた位置では回転霧化頭が被塗物から離間しているから、境界線の位置よりも噴霧粒子が広い範囲に塗着する。これにより、境界線から離れた位置では、平坦な塗膜面を形成することができる。
【0052】
請求項13の発明によると、帯状境界エリア塗装工程では、回転霧化頭を境界線とほぼ平行に移動しながら塗装を施したことにある。
【0053】
これにより、被塗物の表面には境界線とほぼ平行に移動する回転霧化頭によって滑らか(直線的)な境界線を形成することができる。
【0054】
請求項14の発明によると、前記回転霧化頭型塗装機には、回転霧化頭の前方に向けミスト抑制エアを吐出するエアノズルを設け、帯状境界エリア塗装工程では前記エアノズルから回転霧化頭の前方にミスト抑制エアを供給したことにある。
【0055】
請求項15の発明によると、前記回転霧化頭型塗装機には、回転霧化頭に向けミスト抑制エアを吐出するエアノズルと、該エアノズルから吐出されたミスト抑制エアを回転霧化頭の前方に導く整流板とを設け、帯状境界エリア塗装工程では前記エアノズルからミスト抑制エアを吐出し、このミスト抑制エアを整流板によって回転霧化頭の前方に供給したことにある。
【0056】
請求項16の発明によると、前記帯状境界エリア塗装工程では、回転霧化頭を被塗物の表面に直交する線に対して50度〜80度傾けたことにある。
【0057】
これにより、回転霧化頭の遠心力によって吐出される塗料粒子を、第1色塗膜面側に飛散させることなく、被塗物の表面に塗装することができる。
【0058】
請求項17の発明によると、前記各塗装工程が終了した後に、各塗装工程で塗装された第1色塗料と第2色塗料を同時に焼付ける塗料焼付け工程を施したことにある。
【0059】
これにより、第1色塗料を塗装した後に、この第1色塗料による塗膜面を焼付けて乾燥硬化する前のウエット状態で第2色塗料を用いて塗装を施す、所謂ウエットオンウエット(wet on wet)により塗装作業を行なうことができる。このため、従来技術ではマスキング作業を行なうときに必要であった第1色エリア塗装工程後の塗料焼付け工程を省略でき、作業工程を簡略化することができる。
【0060】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態によるツートーン塗装方法を用いて自動車のボディを塗装する場合を例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
【0061】
まず、図1ないし図23は本発明の第1の実施の形態を示す。最初に、ツートーン塗装に用いるツートーン塗装装置等の構成について説明する。
【0062】
1は塗装工場で、該塗装工場1では、後述する自動車のボディ12に第1色塗料としてのA色塗料と第2色塗料としてのB色塗料の2色(ツートーン)塗装を施している。そして、塗装工場1内には、後述する搬送コンベア11の上流側から順にA色エリア塗装ステージ2、境界エリア塗装ステージ3、帯状エリア塗装ステージ4、残部エリア塗装ステージ5、クリア塗装ステージ6、塗料焼付けステージ7が配設されている。
【0063】
最初のA色エリア塗装ステージ2では、ボディ12の上側半分、即ちボンネット12A、ルーフ12Bの全面、左横前ドア12C、左横後ドア12D、右横前ドア、右横後ドア(いずれも図示せず)、バックドア12Eの上側半分等にA色塗料を用いて塗装を施す。
【0064】
ここで、図17に示す左横後ドア12Dに限って説明すると、A色エリア塗装ステージ2は、A色塗料を用いてA色エリアaに塗装を施す。次の境界エリア塗装ステージ3では、図18に示す如く、A色エリア塗装ステージ2で塗装されたA色塗膜面PAの下側部分に重なるように、A色塗料とは異なるB色塗料を用いて境界エリアbに前,後方向に伸びる塗装を施して境界線BLを形成する。次の帯状エリア塗装ステージ4では、図22に示す如く、境界エリア塗装ステージ3で塗装された境界塗膜面PB1 に続くボディ12の下側位置にB色塗料を用いて帯状エリアcに広幅な帯状(ベルト状)の塗装を施す。次の残部エリア塗装ステージ5では、図23に示すように、ボディ12の表面のうち、A色エリア塗装ステージ2、境界エリア塗装ステージ3、帯状エリア塗装ステージ4によって塗装されなかった残りの表面、即ち、帯状塗膜面PB2 の下側に位置する下側エリアdにB色塗料を用いて塗装を施し、下側塗膜面PB3 を形成する。
【0065】
次のクリア塗装ステージ6は、A色エリア塗装ステージ2、境界エリア塗装ステージ3、帯状エリア塗装ステージ4、残部エリア塗装ステージ5で塗装された塗膜面上にクリア塗料を用いて塗装を施す。そして、最後の塗料焼付けステージ7は、各塗装ステージ2〜6を通過してボディ12に塗装されたA色塗料、B色塗料およびクリア塗料を、焼付け炉(図示せず)内でボディ12に同時に焼付ける。
【0066】
ここで、A色エリア塗装ステージ2、境界エリア塗装ステージ3、帯状エリア塗装ステージ4、残部エリア塗装ステージ5、クリア塗装ステージ6には、図2に示す後述のトラッキング装置13,14、塗装用ロボット15,16、回転霧化頭型塗装機21,31,41,51が配設されている。
【0067】
そして、後述のボディ12が各ステージ2〜5を通過することにより、該ボディ12には、図3に示す左横後ドア12Dのように、境界線BLを境にして上側半分がA色塗膜面PAとなり、下側半分がB色塗膜面PBとなったツートーン塗装が施される。
【0068】
一方、11,11は塗装工場1に設けられた一対の搬送コンベア(図2参照)で、該各搬送コンベア11は、A色エリア塗装ステージ2、境界エリア塗装ステージ3、帯状エリア塗装ステージ4、残部エリア塗装ステージ5、クリア塗装ステージ6に亘って配設されている。また、搬送コンベア11は、後述のボディ12を支持する支持台11Aを有し、該支持台11Aに支持したボディ12を塗装工場1内で連続的または間欠的に搬送するものである。
【0069】
12は搬送コンベア11の支持台11A上に搭載された被塗物としての自動車のボディで、該ボディ12は、ボンネット12A、ルーフ12B、左横前ドア12C、左横後ドア12D、右横前ドア、右横後ドア(いずれも図示せず)、バックドア12E等によって大略構成されている。
【0070】
13は搬送コンベア11による搬送方向の左側に位置してA色エリア塗装ステージ2に配設されたトラッキング装置、14は搬送コンベア11による搬送方向の右側に位置してA色エリア塗装ステージ2に配設されたトラッキング装置を示す。ここで、トラッキング装置13,14は、搬送コンベア11と平行に伸びるトラッキングレール13A,14Aと、該トラッキングレール13A,14Aに沿って移動可能に設けられた移動台13B,14Bとによって大略構成され、該移動台13B,14Bには、後述の塗装用ロボット15,16が搭載されている。そして、トラッキング装置13,14は、搬送コンベア11によって搬送されるボディ12に対し、塗装用ロボット15,16を順方向または逆方向に移動するものである。
【0071】
15はトラッキング装置13の移動台13Bに搭載された左側の塗装用ロボットで、該塗装用ロボット15は、前記移動台13Bに回転可能に設けられた旋回台15Aと、該旋回台15A上に揺動可能に設けられた垂直アーム15Bと、該垂直アーム15Bの上端側に回動可能に取付けられた水平アーム15Cとによって大略構成され、前記水平アーム15Cの先端には手首15Dが取付けられている。
【0072】
また、16はトラッキング装置14の移動台14Bに搭載された右側の塗装用ロボットで、該塗装用ロボット16は、前述した塗装用ロボット15と同様に、旋回台(図示せず)、垂直アーム16B、水平アーム16C、手首(図示せず)によって大略構成されている。
【0073】
なお、境界エリア塗装ステージ3、帯状エリア塗装ステージ4、残部エリア塗装ステージ5、クリア塗装ステージ6にも、前述と同様のトラッキング装置、塗装用ロボット(いずれも図示せず)が配設されている。
【0074】
さらに、前記各塗装ステージ2〜6では、塗装方法が異なるために後述する複数種類の回転霧化頭型塗装機21,31,41,51が選択的に用いられている。これらの塗装機21,31,41,51は、塗装条件に応じて異なるもので、具体的には例えば、ボディ12に対する傾き角度、ボディ12と回転霧化頭23,33,43,53の端縁23A,33A,43A,53Aとの間の塗装距離、シェーピングエアの有,無、ミスト抑制エアの有,無、高電圧の印加状態(印加の有,無、高電圧の大きさ)等において異なっている。
【0075】
そこで、A色エリア塗装ステージ2で使用される回転霧化頭型塗装機21について説明する。この塗装機21は、図4に示す如く、基端側が手首15Dに取付けられ、中間位置がく字状に屈曲した円筒状のケーシング22と、該ケーシング22の先端部に回転可能に配設された回転霧化頭23とを含んで構成されている。また、回転霧化頭23は、ケーシング22に内蔵されたエアモータ(図示せず)の回転軸に取付けられ、該エアモータによって高速回転される。また、ケーシング22内には、基端側が塗料供給源に接続され、先端側がエアモータの回転軸内を伸びて回転霧化頭23に向け開口したフィードチューブ(いずれも図示せず)が設けられ、該フィードチューブは回転霧化頭23に塗料を供給するものである。
【0076】
さらに、ケーシング22の先端側には、回転霧化頭23から噴霧された塗料の噴霧パターンを整形するためのシェーピングエアを噴出する多数個のシェーピングエア噴出孔(図示せず)が回転霧化頭23を囲むように形成されている。また、塗装機21は、フィードチューブを介して回転霧化頭23に供給される塗料に高電圧を印加することができ、例えば塗料に−30〜−120kVの高電圧を印加することにより、アースに接続されたボディ12に向けて塗料を効率よく塗着することができる。
【0077】
ここで、A色エリア塗装ステージ2で使用する回転霧化頭型塗装機21は、回転霧化頭23の回転中心線O−Oがボディ12の表面に対してほぼ直角(傾き角度α1 =0度)に配置され、この状態でボディ12の表面形状に対応し移動しながらA色塗料を噴霧し、ボディ12にA色塗膜面PAを塗装する。このときには、図4、図15に示すように、ボディ12の表面と回転霧化頭23の端縁23Aとの間の塗装距離L1 は、200mm〜350mmの範囲に設定され、塗料には−30〜−120kVの高電圧が印加されている。また、シェーピングエア噴出孔は、回転霧化頭23から噴霧された塗料に向けシェーピングエアを供給し、塗料の噴霧パターンの整形を行なっている。なお、A色エリア塗装ステージ2で使用する回転霧化頭型塗装機21には、回転霧化頭23の前方にミスト抑制エアを噴霧するエアノズルおよび整流板は設けられていない。
【0078】
次に、A色エリア塗装ステージ2の下流側に配設された境界エリア塗装ステージ3で使用される回転霧化頭型塗装機31について図5を参照して説明する。この塗装機31は、A色エリア塗装ステージ2の回転霧化頭型塗装機21とほぼ同様に、く字状に屈曲した円筒状のケーシング32と、該ケーシング32の先端部に配設された回転霧化頭33とを含んで構成されている。また、塗装機31は、図示しないエアモータ、フィードチューブ等を備え、塗料に高電圧を印加することもできる。
【0079】
しかし、境界エリア塗装ステージ3で使用する塗装機31は、ケーシング32から伸びるステー34の先端側にエアノズル35が設けられ、ケーシング32の先端側に整流板36が設けられている点で、A色エリア塗装ステージ2の塗装機21と相違している。そして、エアノズル35には、図6に示すように、塗装機31の先端側に向けて開口する複数個の噴出孔35A,35A,…が一列状に設けられている。なお、図7に示すエアノズル35′のように、スリット状の噴出口35A′を設ける構成としてもよい。そして、エアノズル35は、各噴出孔35Aから回転霧化頭33の前方に向けミスト抑制エアを供給することにより、回転霧化頭33から噴霧されたB色塗料の塗料粒子がA色エリア塗装ステージ2で塗装されたA色塗膜面PA側に飛散して付着するのを防止するものである。
【0080】
さらに、36はケーシング22の先端側に設けられた整流板で、該整流板36は、エアノズル35から供給されるミスト抑制エアを表面に沿って流すことにより、このミスト抑制エアの向きを塗装機31の中心側、即ち回転霧化頭33の前方に変えることができ、B色塗料のミスト(塗料粒子)がA色塗膜面PA側に飛散するのを効果的に抑えることができる。
【0081】
そして、境界エリア塗装ステージ3の回転霧化頭型塗装機31は、回転霧化頭33の回転中心線O−Oがボディ12の表面に直交する線に対し回転霧化頭33が下側(境界エリアb側)に向くように傾けられ、このときの傾き角度α2 は50度〜80度の範囲、例えば70度程度に設定されている。また、このときには、図5、図15に示すように、ボディ12の表面と回転霧化頭33の端縁33Aとの間の塗装距離L2 は、境界線BLを塗装する位置では5mm〜20mmの範囲、例えば10mm程度に設定され、境界線BLから下側に離間した二点鎖線で示す位置では、塗装距離L2 よりも大きい塗装距離L2 ′としている。また、エアノズル35は、回転霧化頭33の前方に向けてミスト抑制エアを供給している。なお、境界エリア塗装ステージ3では、シェーピングエアは使用せず、高電圧は印加しないか、仮に高電圧を印加しても−10kV程度の低い値に抑えられている。
【0082】
ここで、回転霧化頭33を境界エリアbに向けて下側に傾け、ボディ12と回転霧化頭33とを近づけて配置したことによる利点について、図8ないし図11に示す比較例を用いて説明する。
【0083】
まず、回転霧化頭33が高速回転すると、該回転霧化頭33の周辺域では、回転霧化頭33の径方向外側に向け強い空気流が発生する。これにより、回転霧化頭33の前方には負圧領域37が形成される。このため、図8に示すように、回転霧化頭33の端縁33Aから噴出された塗料粒子は、回転霧化頭33の高速回転によって生じる遠心力のために、回転霧化頭33の径方向外側に飛行しようとする。しかし、噴出された塗料粒子は、負圧領域37側に引き込まれ、回転霧化頭33の端縁33Aから10mm程度離間した位置で一旦収束した後に、再び遠心力、空気抵抗等によって径方向外側に広がって飛散する。
【0084】
従って、図9に示すように、回転霧化頭33をボディ12の表面に対してほぼ直角に配置し、回転霧化頭33の端縁33Aをボディ12に10mm程度に近づけた状態で該回転霧化頭33からB色塗料を噴霧したとする。この場合、B色塗料は、図9、図10に示すように、外周側が厚膜となる極端な中空パターンのB色塗膜面PB′となってボディ12に塗着する。このため、塗装機31をボディ12に対して移動させた場合には、図11に示すように、B色塗料によって境界線BL′を形成することができるものの、この境界塗膜面PB1 ′は、塗膜の厚さが上,下の端部だけ厚くなってしまう。従って、この境界塗膜面PB1 ′に続けて塗装を施した場合には均一な膜厚分布とならず、良好な塗装仕上りを得ることができない。
【0085】
これに対し、本実施の形態では、図12に示すように、塗装機31を下向きに70度程度傾け(傾き角度α2 =70度)、回転霧化頭33の端縁33Aをボディ12に10mm程度まで接近させている(塗装距離L2 =10mm)。これにより、回転霧化頭33の端縁33Aのうち、ボディ12に近い部位から噴霧された塗料粒子は、その多くがボディ12に塗着するから、境界塗膜面PB1 の境界線BLの位置を厚膜に形成し、明瞭な境界線BLを形成することができる。一方、境界塗膜面PB1 の境界線BLから離れた位置では、前記塗装距離L2 よりも大きい塗装距離L2 ′としているから、境界線BLから離れた位置では、塗料粒子を広範囲に噴霧し、薄い塗膜(ぼかし状態)を形成することができる。これにより、境界線BLから離れた境界塗膜面PB1 の下側に後述の帯状塗膜面PB2 を続けて形成した場合には、この境界塗膜面PB1 と帯状塗膜面PB2 との重なり部分の塗膜が厚くなるのを防止でき、膜厚を均一にして良好な塗装を施すことができる。
【0086】
また、回転霧化頭33の端縁33Aとボディ12との間の塗装距離L2 を、塗料粒子が収束して飛散が最も小さい10mmに設定することにより、回転霧化頭33による遠心力だけで吐出されたB色塗料をボディ12の表面に噴霧することができる。これにより、回転霧化頭型塗装機31によって形成されたB色塗料の塗料粒子は、高圧なエアによって吐出された塗料粒子のように噴霧エアに影響されることがないから、ボディ12の表面に跳ね返ることなく、ボディ12に塗着し明確な境界線BLを形成することができる。
【0087】
なお、回転霧化頭型塗装機31の傾き角度α2 は、50度〜80度の範囲に設定し、ボディ12の表面と回転霧化頭33の端縁33Aとの間の塗装距離L2 は、5mm〜20mmの範囲に設定するものとして述べたが、これらの値は、回転霧化頭33の外径寸法、回転数および塗料の種類、吐出量等、塗料の霧化形成に影響を与える様々な条件によって変化するものである。
【0088】
さらに、ボディ12の表面と回転霧化頭33の端縁33Aとの間の塗装距離L2 を10mmに近づけることにより、整流板36もボディ12に接近して配設されるから、整流板36は、エアノズル35から供給されるミスト抑制エアを回転霧化頭33の前方に導き、境界線BLの位置を狙って効果的なミスト抑制エアを形成することができる。
【0089】
次に、境界エリア塗装ステージ3の下流側に配設された帯状エリア塗装ステージ4で使用される回転霧化頭型塗装機41について図13を参照して説明する。この塗装機41は、境界エリア塗装ステージ3の塗装機31とほぼ同様に、ケーシング42、回転霧化頭43を含んで構成され、図示しないエアモータ、フィードチューブ、シェーピングエア噴出孔等を備え、塗料に高電圧を印加することもできる。また、ステー44の先端側にエアノズル45を備え、ケーシング42の先端側には整流板46が設けられている。
【0090】
そして、帯状エリア塗装ステージ4の回転霧化頭型塗装機41は、境界エリア塗装ステージ3の塗装機31と同様に、回転霧化頭43が下側(帯状エリアc側)を向くように傾けられ、このときの傾き角度α3 が、50度〜80度の範囲、例えば70度程度に設定されている。また、このときには、図13、図15に示すように、ボディ12の表面と回転霧化頭43の端縁43Aとの間の塗装距離L3 は、境界塗膜面PB1 側では5mm〜40mmの範囲、例えば10mm程度に設定され、境界塗膜面PB1 から下側に離間した二点鎖線の位置では、塗装距離L3 よりも大きい塗装距離L3 ′となっている。また、エアノズル45からは、回転霧化頭43の前方に向けてミスト抑制エアが供給されている。また、帯状エリア塗装ステージ4では、シェーピングエアは使用しないか、もしくは使用するとしてもミスト抑制エアに抗しない程度の少量のエアを噴出する。さらに、高電圧は、印加しない。仮に高電圧は印加しても、−30kV程度の値に抑えられている。
【0091】
ここで、塗装機41を帯状エリアcに向けて下側に70度程度傾け、回転霧化頭43による遠心力だけでB色塗料を噴霧して塗装を行なうことにより、このB色塗料の粒子は、塗膜面に跳ね返って境界塗膜面PB1 を越えることなく、該境界塗膜面PB1 に続く帯状(バンド状)塗膜面PB2 を形成することができる。
【0092】
また、帯状エリア塗装ステージ4で塗装される帯状塗膜面PB2 は、境界線BLを形成するものではないから、塗装距離L3 が5mm〜40mmと境界エリア塗装ステージ3での塗装距離L2 (5mm〜20mm)に比較して設定幅が広くなっている。これにより、帯状塗膜面PB2 は境界塗膜面PB1 よりも広幅に形成することができる。そして、後述の残部エリア塗装ステージ5での塗装作業では、下側塗膜面PB3 と境界線BL間の距離を長く確保することができるから、B色塗料の粒子が帯状塗膜面PB2 、境界塗膜面PB1 を越えてA色塗膜面PAに付着するような事態をより確実に防止することができる。
【0093】
さらに、帯状エリア塗装ステージ4では、シェーピングエアは使用しないか、もしくは使用するとしてもミスト抑制エアに抗しない程度の少量に抑えているから、回転霧化頭43から遠心力によって噴霧されたB色塗料は、シェーピングエアによって邪魔されることなく被塗物に塗着する。これにより、B色塗料の粒子が飛散してA色塗膜面PAに付着するのを防止することができる。
【0094】
次に、帯状エリア塗装ステージ4の下流側に配設された残部エリア塗装ステージ5で使用される回転霧化頭型塗装機51について図14を参照して説明する。この塗装機51は、A色エリア塗装ステージ2の塗装機21とほぼ同様に、ケーシング52、回転霧化頭53を含んで構成され、図示しないエアモータ、フィードチューブ、シェーピングエア噴出孔等を備え、塗料に高電圧を印加することもできる。また、ステー54の先端側にエアノズル55を備え、ケーシング52の先端側には整流板56が設けられている。
【0095】
そして、残部エリア塗装ステージ5の回転霧化頭型塗装機51は、回転霧化頭53の傾き角度α4 がほぼ0度に設定され、仮に回転霧化頭53が僅かに下向き(下側エリアd側)に傾けられたとしても、1度〜10度の範囲、例えば2度程度に設定されている。また、図14、図15に示すように、ボディ12の表面と回転霧化頭53の端縁53Aとの間の塗装距離L4 は、100mm〜350mmの範囲、例えば150mm程度に設定され、エアノズル55からのミスト抑制エアは、帯状塗膜面PB2 の幅寸法、塗料の種類、ボディ12の表面形状等によって適宜供給される。また、残部エリア塗装ステージ5では、A色エリア塗装ステージ2と同様に、シェーピングエアを使用し、塗料には−30〜−120kVの高電圧が印加されている。
【0096】
ここで、残部エリア塗装ステージ5では、第1に塗装機51を下側エリアdに向けて下側に2度程度傾けて塗料の噴霧方向をA色塗膜面PAと反対方向とし、第2に塗装距離L4 を100mm〜350mmの範囲に設定してA色エリア塗装ステージ2での塗装距離L1 (200mm〜350mm)に比較して接近するように設定し、第3にエアノズル55、整流板56を設け、該エアノズル55から回転霧化頭53の前方にミスト抑制エアを供給することにより、回転霧化頭53から噴霧されたB色塗料の粒子が帯状塗膜面PB2 、境界塗膜面PB1 を越えてA色塗膜面PAに付着するのを防止している。
【0097】
本実施の形態によるツートーン塗装装置は、上述の如き構成を有するもので、次に、ツートーン塗装装置を用いたツートーン塗装方法について図16に示すタイムチャートと図17ないし図23に示す塗装動作説明図を参照して説明する。
【0098】
まず、ボディ12が搬送コンベア11の支持台11Aに搭載されて塗装工場1に搬送されてくると、最初にA色エリア塗装ステージ2で第1色エリア塗装工程となるA色塗料を用いたA色エリア塗装工程が行なわれる。
【0099】
このA色エリア塗装工程は、ボディ12の上側半分にA色塗料を用いて塗装を施している。即ち、A色エリア塗装工程では、塗装用ロボット15のアーム15B,15C等を動作し、図4に示す如く、回転霧化頭型塗装機21の回転霧化頭23をボディ12の表面に対してほぼ直角に配置する。また、回転霧化頭23の端縁23Aとボディ12の表面との塗装距離L1 を200mm〜350mmの範囲内の任意の距離で一定に保持し、シェーピングエアを供給し、またA色塗料に−30〜−120kVの高電圧を印加する。
【0100】
この状態で、フィードチューブから回転霧化頭23に向けて塗料を供給し、該回転霧化頭23からボディ12に向けて塗料を噴霧することにより、高電圧に帯電したA色塗料は、図4に示すように塗料粒子となってボディ12の表面に塗着し、A色塗膜面PAを形成する。このときに、トラッキング装置13、塗装用ロボット15は、ボディ12の上側半分の位置で塗装機21を往復動することにより、図17に左横後ドア12Dを用いて例示したように、二点鎖線で示す境界線BLよりも下側までのA色エリアaに塗装を施す。なお、このA色エリア塗装工程では、ボディ12の上から下まで全体をA色塗料を用いて塗装を施すようにしてもよい。
【0101】
次に、A色エリア塗装工程によってボディ12の上側部分にA色塗膜面PAを形成したら、境界エリア塗装工程に移る。この境界エリア塗装工程では、回転霧化頭33が下側(境界エリアb側)に向くように傾き角度α2 を70度程度に設定し、塗装距離L2 を10mm程度に設定し、ミスト抑制エアをエアノズル35から整流板36に向け噴出し、回転霧化頭33の前側に供給する。また、シェーピングエアは使用せず、高電圧は印加しない。
【0102】
さらに、B色塗料を用いた境界エリア塗装工程では、前述したA色エリア塗装工程によって塗装されたA色塗膜面PAを焼付け炉で焼付ける前のウエット状態のまま、境界エリアbに塗装を施す、所謂ウエットオンウエットで塗装作業が行なわれる。
【0103】
そして、フィードチューブから回転霧化頭33にB色塗料を供給すると、回転霧化頭33は、高速回転による遠心力だけでB色塗料を噴霧する。これにより、B色塗料の粒子は、図5に示すように、A色塗膜面PAに重なる境界エリアbに、拡散する前の収束した状態で跳ね返ることなく塗着する。また、トラッキング装置13,14、塗装用ロボット15,16は、ボディ12と塗装機31とを搬送方向に相対的に移動することにより、図18に示す如く、この境界エリアbに塗装を施して境界塗膜面PB1 を形成する。この境界塗膜面PB1 は、明確な境界線BLを形成することができる。
【0104】
ここで、境界エリア塗装工程では、図19に示す矢示のように、ボディ12と塗装機31とを搬送方向に相対的に移動すると共に、塗装機31を境界線BLと交叉する上,下方向(幅方向)に往復動させている。これにより、境界エリア塗装工程では、境界塗膜面PB1 の幅寸法を広くし、後工程となる帯状エリア塗装工程において、B色塗料の粒子がA色塗膜面PA側に飛散しないように安全なエリアを大きくすることができる。
【0105】
ここで、塗装機31が、図21に示す比較例のように、ボディ12の表面と回転霧化頭33の端縁33Aとの間の塗装距離L2 を一定にして往復動した場合には、境界塗膜面PB1 ″の上端部と下端部の折返し部分R″で、動作速度が遅くなるから、この折返し部分R″で塗膜の厚さが大きくなってしまう。
【0106】
しかし、本実施の形態では、塗装機31を往復動させるときに、図5に示すように、回転霧化頭33の端縁33Aを境界線BLを塗装する位置でボディ12の表面に対し最も小さな塗装距離L2 とし、境界線BLから下側に離間した二点鎖線で示す位置で塗装距離L2 よりも大きい塗装距離L2 ′としている。このように塗装機31を動作することにより、境界塗膜面PB1 の境界線BL側では回転霧化頭33をボディ12に接近させ、厚くはっきりした塗膜によって境界線BLを明確に形成することができる。一方、境界塗膜面PB1 の境界線BLから離れた位置では回転霧化頭33がボディ12から離間するため、1回の往復動作に限ってみれば、塗料粒子を広範囲に噴霧し、薄い塗膜を形成することができる。これにより、境界線BLから離れた位置、即ち帯状塗膜面PB2 が重なる位置では、平坦な塗膜面を形成することができるから、帯状塗膜面PB2 を形成したときには、塗料の重なり部分の塗装仕上りを良好にすることができる。
【0107】
なお、境界エリア塗装工程では、図20に示すように、回転霧化頭33を境界線BLに沿って平行に移動した後、再び回転霧化頭33を上,下方向にずらして平行に移動する動作を繰り返すように往復動させて塗装を行なうことにより、境界塗膜面PB1 を塗装するようにしてもよい。
【0108】
また、境界エリア塗装工程では、エアノズル35からミスト抑制エアを供給し、このミスト抑制エアをケーシング32先端に設けられた整流板36によって回転霧化頭33の前方に導いている。これにより、ミスト抑制エアは、境界塗膜面PB1 を形成するときに吐出されるB色塗料の噴霧粒子がA色塗膜面PA側に飛散するのを防止することができる。
【0109】
さらに、シェーピングエアを停止した状態で塗装を行なうことにより、回転霧化頭33から吐出されたB色塗料の噴霧粒子の方向性を乱す要因を削除し、境界塗膜面PB1 の境界線BLをより明瞭なものとしている。
【0110】
次に、境界エリア塗装工程によってA色塗膜面PAの下側寄りに境界エリアbの塗装を施したら、帯状エリア塗装工程に移る。この帯状エリア塗装工程では、前述した境界エリア塗装工程とほぼ同様に、回転霧化頭43が下側(帯状エリアc側)に向くように傾き角度α3 を70度程度に設定し、塗装距離L3 を10mm程度に設定し、エアノズル45からミスト抑制エアを噴出する。また、シェーピングエアは使用しないか、もしくは使用するとしてもミスト抑制エアに抗しない程度の少量のエアを噴出する。さらに、高電圧は、印加しない。仮に高電圧は印加しても、−30kV程度の値に抑えられている。
【0111】
この状態で、フィードチューブから回転霧化頭43にB色塗料を供給すると、回転霧化頭43は、高速回転による遠心力だけでA色塗料を吐出する。そして、塗装機41を境界塗膜面PB1 に沿って相対的に移動することにより、図22に示す如く、境界塗膜面PB1 に続く帯状エリアcに、帯状の塗装を施し帯状塗膜面PB2 を形成する。
【0112】
また、帯状エリア塗装工程では、境界エリア塗装工程と同様に、図22に示す矢示のように塗装機41を境界線BLと交叉する上,下方向に往復動している。さらに、この往復動作時には、図13に示すように、境界塗膜面PB1 側となる上側では最も小さな塗装距離L3 とし、境界塗膜面PB1 から離間した下側では二点鎖線で示す位置で塗装距離L3 よりも大きい塗装距離L3 ′としている。これにより、帯状塗膜面PB2 に続く下側塗膜面PB3 を塗装したときには、境界塗膜面PB1 と同様に、塗料の重なり部分の塗装仕上りを良好にすることができる。
【0113】
次に、帯状エリア塗装工程によって境界塗膜面PB1 に続く帯状エリアcに塗装を施したら、残部エリア塗装工程に移る。この残部エリア塗装工程では、図14に示す如く、回転霧化頭53の傾き角度α4 を、ほぼ0度に設定し、仮に回転霧化頭53を僅かに下向き(下側エリアd側)に傾けたとしても、1度〜10度の範囲、例えば2度程度に設定し、塗装距離L4 を150mm程度に設定している。また、エアノズル55からミスト抑制エアを噴出し、シェーピングエアを供給し、またB色塗料に−30〜−120kVの高電圧を印加している。
【0114】
この状態で、フィードチューブから回転霧化頭53に向けて塗料を供給し、該回転霧化頭53からボディ12に向けて塗料を噴霧することにより、高電圧に帯電したB色塗料は、塗料粒子となってボディ12の表面に塗着し、図14に示すように下側塗膜面PB3 を形成する。このときに、トラッキング装置、塗装用ロボットは、図23中の矢示のように、ボディ12の下側部分で塗装機51を上,下方向に往復動することにより、帯状塗膜面PB2 に続く下側エリアdに塗装を施し、下側塗膜面PB3 を形成する。
【0115】
このようにして、ボディ12にA色塗膜面PAと境界塗膜面PB1 、帯状塗膜面PB2 、下側塗膜面PB3 からなるB色塗膜面PBとを形成することにより、ボディ12は、図3に示す如く、境界線BLを境にして上側半分(A色)と下側半分(B色)との2色(ツートーン)に塗装することができる。
【0116】
次に、ボディ12にツートーン塗装を施したら、図1に示す如く、クリア塗装工程に移って、表面にクリア塗料を用いて塗装を施す。
【0117】
次に、各塗装工程による塗装作業が終了したら、塗料焼付け工程に移る。この塗料焼付け工程では、各塗装工程を通過したボディ12を焼付け炉に搬送し、A色エリア塗装工程で塗装されたA色塗膜面PAと境界エリア塗装工程、帯状エリア塗装工程、B色エリア塗装工程で形成されたB色塗膜面PBとクリア塗装工程で形成されたクリア塗膜面とを一緒にボディ12に焼付ける。
【0118】
以上のように、本実施の形態によれば、A色塗膜面PAに境界線BLを形成する境界塗膜面PB1 を塗装するときに、回転霧化頭33を備えた回転霧化頭型塗装機31をボディ12の表面に対し傾けた状態で用い、回転霧化頭33の遠心力によってB色塗料を吐出するようにしているから、B色塗料によって明確な境界線BLを形成することができる。
【0119】
この結果、本実施の形態によるツートーン塗装方法では、マスキング作業を省略することができ、生産性の向上、塗装コストの低減を図ることができる。しかも、特開昭58−58168号公報による従来技術のように、塗膜面にマスキング板等を接触させる必要がないから、構成を簡略化でき、また塗装品質を向上して仕上げ塗装として適用することができる。さらに、従来技術で述べた特開平11−57606号公報によるものでは、二流体ノズル塗装ガン(エアブラシガン)を用いているから、噴霧エアによって吹き付けられた塗料は、被塗物の表面に跳ね返って飛散する。しかし、本実施の形態では、ボディ12の表面での塗料の跳ね返りをなくして、塗料を確実に塗着することができ、マスキング作業を省略したツートーン塗装としての信頼性を向上することができる。
【0120】
また、塗装機として回転霧化頭型塗装機21,31,41,51を用いているから、大吐出量の塗装に対応することができ、また粘性の高い塗料でも効率よく微粒化することができる。これにより、自動車のボディ12のように広範囲に亘る塗装を短時間で行なうことができ、また高品質な塗装仕上りを得ることができる。
【0121】
また、境界エリアbを塗装するときには、塗装機31を上,下方向に往復動させているから、境界塗膜面PB1 を広幅に形成することができる。しかも、塗装機31を往復動するときには、該回転霧化頭33が境界線BLを塗装する位置で塗装距離L2 とし、境界線BLから下側に離間した位置で塗装距離L2 よりも大きい塗装距離L2 ′としている。これにより、境界塗膜面PB1 は、境界線BL側で厚くはっきりした塗膜となるから、境界線BLは明確に形成することができ、品質を向上することができる。一方、境界塗膜面PB1 は、境界塗膜面PB1 と帯状塗膜面PB2 との間の段差をなくして塗装仕上りを良好にすることができる。
【0122】
また、帯状エリアcを塗装するときにも、境界エリアbを塗装するときと同様に、塗装機41を上,下方向に往復動させ、かつ境界塗膜面PB1 側では最も小さな塗装距離L3 とし、境界塗膜面PB1 から離間した下側では塗装距離L3 よりも大きい塗装距離L3 ′としている。これにより、帯状塗膜面PB2 に続く下側塗膜面PB3 を塗装したときには、塗料の重なり部分の塗装仕上りを良好にすることができる。
【0123】
さらに、境界エリア塗装ステージ3の塗装機31にはエアノズル35を設け、該エアノズル35から吐出されるミスト抑制エアをケーシング32の先端に設けられた整流板36に沿って流すことにより、回転霧化頭33の前方に導くことができる。これにより、ミスト抑制エアは、A色塗膜面PAへのB色塗料の噴霧粒子の飛散を抑えることができ、塗装品質をさらに向上することができる。この作用効果は、帯状エリア塗装ステージ4の塗装機41、残部エリア塗装ステージ5の塗装機51でも同様に得ることができる。
【0124】
次に、図24ないし図27は本発明の第2の実施の形態を示す。なお、本実施の形態の特徴は、境界線がボディの上下方向の一方に片寄って形成される場合のツートーン塗装方法にある。この場合には、A色エリア塗装工程と境界エリア塗装工程と帯状エリア塗装工程とによってツートーン塗装を施し、第1の実施の形態で用いていた残部エリア塗装工程を省略したことにある。また、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0125】
さらに、本実施の形態は、A色エリア塗装工程では、第1の実施の形態においてA色エリア塗装工程で用いた回転霧化頭型塗装機21を使用し、境界エリア塗装工程では、第1の実施の形態において境界エリア塗装工程で用いた回転霧化頭型塗装機31を使用し、帯状エリア塗装工程では、第1の実施の形態において帯状エリア塗装工程で用いた回転霧化頭型塗装機41を使用する。
【0126】
次に、本実施の形態によるツートーン塗装方法について図24に示すタイムチャートと図25ないし図27に示す塗装動作説明図を参照して説明する。
【0127】
まず、A色エリア塗装工程では、第1の実施の形態によるA色エリア塗装工程と同様の塗装条件で、図25に左横後ドア12Dを用いて例示したように、二点鎖線で示す境界線BLよりも下側までのA色エリアeに塗装を施す。
【0128】
ここで、本実施の形態では、境界線BLの位置が、第1の実施の形態による境界線BLよりも低い位置に設定されている。これにより、後述するB色塗膜面PBの塗装範囲は狭いものとなっている。
【0129】
次に、A色エリア塗装工程によってボディ12にA色塗膜面PAを形成したら、境界エリア塗装工程に移る。この境界エリア塗装工程では、第1の実施の形態による境界エリア塗装工程と同様の塗装条件で、図26に示すように、境界エリアfに塗装を施す。これにより、境界塗膜面PB4 によって、A色塗膜面PAとの間に境界線BLを形成する。
【0130】
次に、境界エリア塗装工程によってA色塗膜面PAの下側寄りに境界塗膜面PB4 を塗装したら、帯状エリア塗装工程に移る。この帯状エリア塗装工程では、第1の実施の形態による帯状エリア塗装工程と同様の塗装条件で、図27に示すように、境界塗膜面PB4 に続く残りの表面、即ち帯状エリアgに塗装を施し、ボディ12の下側に帯状塗膜面PB5 を形成する。
【0131】
このようにして、ボディ12にA色塗膜面PAと境界塗膜面PB4 、帯状塗膜面PB5 からなるB色塗膜面PBとを形成したら、クリア塗装工程でクリア塗装を塗装し、塗料焼付け工程でA色塗料、B色塗料、クリア塗料を焼付ける。
【0132】
以上のように、本実施の形態によれば、ツートーン塗装の条件として、境界線BLの位置が例えば下側に片寄っている場合には、B色塗料の塗装範囲が狭くなるから、第1の実施の形態で述べた残部エリア塗装工程を省略し、境界エリア塗装工程と帯状エリア塗装工程との2工程だけでB色塗料の塗装を行なうことができ、ツートーン塗装の工程数を削減することができる。
【0133】
次に、図28ないし図33は本発明の第3の実施の形態を示す。なお、本実施の形態の特徴は、第1の実施の形態で述べた境界エリア塗装工程の塗装幅を広くすることにより、境界エリア塗装工程と帯状エリア塗装工程を兼ねた帯状境界エリア塗装工程とし、この帯状境界エリア塗装工程と残部エリア塗装工程とによってB色塗料の塗装を行なうことにある。
【0134】
61は本実施の形態による塗装工場で、該塗装工場61内には、A色エリア塗装工程を行なうA色エリア塗装ステージ62、帯状境界エリア塗装工程を行なう帯状境界エリア塗装ステージ63、残部エリア塗装工程を行なう残部エリア塗装ステージ64、クリア塗装工程を行なうクリア塗装ステージ65、塗料焼付け工程を行なう塗料焼付けステージ66が配設されている。
【0135】
ここで、A色エリア塗装工程では、第1の実施の形態においてA色エリア塗装工程で用いた回転霧化頭型塗装機21を使用し、帯状境界エリア塗装工程では、第1の実施の形態において境界エリア塗装工程で用いた回転霧化頭型塗装機31を使用し、残部エリア塗装工程では、第1の実施の形態において残部エリア塗装工程で用いた回転霧化頭型塗装機51を使用する。
【0136】
次に、本実施の形態によるツートーン塗装方法について図29に示すタイムチャートと図30ないし図33に示す塗装動作説明図を参照して説明する。
【0137】
まず、A色エリア塗装工程では、第1の実施の形態によるA色エリア塗装工程と同様の塗装条件で、図30に左横後ドア12Dを用いて例示したように、二点鎖線で示す境界線BLよりも下側までのA色エリアhに塗装を施す。
【0138】
次に、A色エリア塗装工程によってボディ12の上側部分にA色塗膜面PAを形成したら、帯状境界エリア塗装工程に移る。この帯状境界エリア塗装工程では、第1の実施の形態による境界エリア塗装工程とほぼ同様の塗装条件で、図31に示すように、帯状境界エリアjに塗装を施し、帯状境界塗膜面PB6 を形成する。
【0139】
ここで、本実施の形態による帯状境界エリア塗装工程では、図32に示す矢示のように、回転霧化頭33を境界線BLに沿って平行に移動した後、再び回転霧化頭33を上,下方向にずらして平行に移動する動作を複数回繰り返すように塗装を行なう。これにより、帯状境界エリア塗装工程では、帯状境界塗膜面PB6 の幅寸法を広くし、後工程となる残部エリア塗装工程において、B色塗料が帯状境界塗膜面PB6 を越えてA色塗膜面PA側に飛散しないように安全エリアを広くしている。
【0140】
次に、帯状境界エリア塗装工程によってA色塗膜面PAの下側寄りに帯状境界塗膜面PB6 を塗装したら、残部エリア塗装工程に移る。この残部エリア塗装工程では、第1の実施の形態による残部エリア塗装工程と同様の塗装条件で、図33に示すように、回転霧化頭53を帯状境界塗膜面PB6 に沿って平行に移動し、この平行移動を上,下方向にずらして繰り返す(往復動する)ことにより、帯状境界塗膜面PB6 に続く下側エリアkに塗装を施し、下側全面に下側塗膜面PB7 を形成する。
【0141】
このようにして、ボディ12にA色塗膜面PAと帯状境界塗膜面PB6 、下側塗膜面PB7 からなるB色塗膜面PBとを形成したら、クリア塗装工程でクリア塗料を塗装し、塗料焼付け工程でA色塗料、B色塗料およびクリア塗料を焼付ける。
【0142】
以上のように、本実施の形態によれば、帯状境界エリア塗装工程では、帯状境界塗膜面PB6 によって境界線BLを形成すると共に、この帯状境界塗膜面PB6 を、例えば第1の実施の形態による境界塗膜面PB1 と帯状塗膜面PB2 とを足した程度の広幅な帯状に形成している。従って、帯状境界エリア塗装工程は、第1の実施の形態による境界エリア塗装工程と帯状エリア塗装工程の2工程を兼ねることができるから、ツートーン塗装工程を1工程削減することができ、塗装用ロボット、塗装機等に要するコストを低減することができる。
【0143】
また、帯状境界エリア塗装工程では、回転霧化頭33を境界線BLに沿って移動している。これにより、帯状境界塗膜面PB6 による境界線BLを円滑(直線的)に形成することができ、境界線BLをより明瞭に形成することができる。
【0144】
なお、第1の実施の形態では、境界エリア塗装ステージ3の塗装機31にはステー34を介してケーシング32から離間した位置にエアノズル35を設けた場合を例示したが、本発明はこれに限らず、例えば図34に示す変形例による回転霧化頭型塗装機71のように、噴出孔74Aを有するエアノズル74をケーシング72に直接取付け、該エアノズル74に整流板75を一体的に設ける構成としてもよい。この構成は、帯状エリア塗装ステージ4の塗装機41、残部エリア塗装ステージ5の塗装機51および第2、第3の実施の形態にも同様に適用することができる。
【0145】
また、第1の実施の形態では、A色エリア塗装工程で回転霧化頭型塗装機21を用い、残部エリア塗装工程で回転霧化頭型塗装機51を用いて塗装作業を行なった場合を例示した。しかし、本実施の形態の場合、このA色エリア塗装工程、残部エリア塗装工程では、回転霧化頭型塗装機21,51に替えて、エア霧化ノズル型塗装機、液圧霧化ノズル型塗装機等の他の塗装機を用いて塗装を行なってもよい。同様に、第2の実施の形態によるA色エリア塗装工程に、第3の実施の形態によるA色エリア塗装工程、残部エリア塗装工程に、エア霧化ノズル型塗装機、液圧霧化ノズル型塗装機等の他の塗装機を用いてもよい。
【0146】
一方、第1の実施の形態では、境界エリア塗装工程において回転霧化頭33は、上,下方向に往復動させて塗装を行なう場合と、境界線BLに沿って平行に移動する動作を上,下方向にずらして繰り返しながら往復動させて塗装を行なう場合とを例示した。また第3の実施の形態では、帯状境界エリア塗装工程において回転霧化頭33は境界線BLに沿って平行に移動する動作を繰り返しながら往復動させて塗装を行なう場合を例示した。しかし、本実施の形態の場合、例えば各実施の形態による境界エリア塗装工程では、回転霧化頭33を境界線BLとほぼ平行に1回だけ移動させることにより塗装を施し、境界塗膜面を形成するようにしてもよい。
【0147】
さらに、各実施の形態では、塗装用ロボット15,16に回転霧化頭型塗装機21,31,41,51を取付けて塗装作業を行なった場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば塗装機を左,右方向または上,下方向にのみ往復動させるレシプロケータ等に塗装機を取付ける構成としてもよい。
【0148】
【発明の効果】
以上詳述した如く、請求項1の発明によるツートーン塗装方法によれば、第1色エリア塗装工程では、被塗物の表面に第1色塗料を用いて塗装を施すことにより、被塗物の表面に第1色塗膜面を形成することができる。
【0149】
次に、境界エリア塗装工程では、回転霧化頭を、その端縁から噴出された塗料粒子が一旦収束する位置で被塗物に塗着するように、該被塗物に接近した位置で境界エリアに向けて傾けて配置し、第2色塗料からなる塗料ミストが第1色塗膜面に飛散するのを抑えるミスト抑制エアを前記回転霧化頭の前方に供給し、一方噴霧パターンを整形するシェーピングエアは供給せず、かつ高電圧を印加しない状態で、回転霧化頭を高速回転して第2色塗料を噴霧する。
【0150】
これにより、第2色塗料は、回転霧化頭を高速回転させたときに該回転霧化頭の前方に形成される負圧領域に引っ張られつつ、遠心力によって径方向外側に飛行する。この場合、回転霧化頭が被塗物に接近して配置されることにより、第2色塗料は、空気抵抗によって霧化する前の飛散が少ない状態で被塗物に塗着するから、明瞭な境界線を形成することができる。また、回転霧化頭が被塗物に対して傾いているから、第2色塗料は、噴霧エア等を用いず遠心力だけによって噴霧され、この噴霧粒子は被塗物の表面に跳ね返って飛散することなく確実に塗着することができる。さらに、回転霧化頭の前方に供給されるミスト抑制エアは、第1色塗膜面に第2色塗料からなる塗料ミストが飛散するのを抑えて塗装仕上りを良好にすることができる。
【0151】
次に、帯状エリア塗装工程では、回転霧化頭を、その端縁から噴出された塗料粒子が一旦収束する位置で被塗物に塗着するように、該被塗物に接近した位置で帯状エリアに向けて傾けて配置し、第2色塗料からなる塗料ミストが第1色塗膜面に飛散するのを抑えるミスト抑制エアを前記回転霧化頭の前方に供給し、かつ高電圧を印加しない状態で、前記回転霧化頭を往復動させながら境界線に続く被塗物の表面に第2色塗料を用いて広幅な帯状(ベルト状)の塗装を施すことができる。
【0152】
これにより、第2色塗料は、前述した境界エリア塗装工程による塗装動作とほぼ同様に、第1色塗膜面への飛散が抑えられた状態で、境界塗膜面に続けて帯状塗膜面を形成することができる。このときに、回転霧化頭型塗装機は、往復動されているから、境界塗膜面に続く被塗物の広い面に第2色塗料を用いて塗装を施すことができる。
【0153】
この結果、マスキングテープ等を使用することなく、ツートーン塗装を施すことができるから、マスキング作業、中間焼付け作業等を省略して、作業性を向上することができ、塗装品質の向上、塗装コストの低減を図ることができる。
【0154】
また、請求項2の発明によるツートーン塗装方法によれば、第1色エリア塗装工程では、被塗物の表面に第1色塗料を用いて塗装を施すことにより、被塗物の表面に第1色塗膜面を形成することができる。
【0155】
次に、境界エリア塗装工程では、回転霧化頭を、その端縁から噴出された塗料粒子が一旦収束する位置で被塗物に塗着するように、該被塗物に接近した位置で境界エリアに向けて傾けて配置し、第2色塗料からなる塗料ミストが第1色塗膜面に飛散するのを抑えるミスト抑制エアを前記回転霧化頭の前方に供給し、一方噴霧パターンを整形するシェーピングエアは供給せず、かつ高電圧を印加しない状態で、回転霧化頭を高速回転して第2色塗料を噴霧する。
【0156】
これにより、第2色塗料は、回転霧化頭を高速回転させたときに該回転霧化頭の前方に形成される負圧領域に引っ張られつつ、遠心力によって径方向外側に飛行する。この場合、回転霧化頭が被塗物に接近して配置されることにより、第2色塗料は、空気抵抗によって霧化する前の飛散が少ない状態で被塗物に塗着することができるから、明瞭な境界線を形成することができる。また、回転霧化頭が被塗物に対して傾いているから、第2色塗料は、噴霧エア等を用いず遠心力だけによって噴霧され、この噴霧粒子は被塗物の表面に跳ね返って飛散することなく塗着することができる。さらに、回転霧化頭の前方に供給されるミスト抑制エアは、第1色塗膜面に第2色塗料からなる塗料ミストが飛散するのを抑えて塗装仕上りを良好にすることができる。
【0157】
次に、帯状エリア塗装工程では、回転霧化頭を、その端縁から噴出された塗料粒子が一旦収束する位置で被塗物に塗着するように、該被塗物に接近した位置で帯状エリアに向けて傾けて配置し、第2色塗料からなる塗料ミストが第1色塗膜面に飛散するのを抑えるミスト抑制エアを前記回転霧化頭の前方に供給し、かつ高電圧を印加しない状態で、前記回転霧化頭を往復動させながら境界線に続く被塗物の表面に第2色塗料を用いて広幅な帯状の塗装を施している。
【0158】
これにより、第2色塗料は、前述した境界エリア塗装工程による塗装動作とほぼ同様に、第1色塗膜面への飛散が抑えられた状態で、境界塗膜面に続く帯状塗膜面を形成することができる。また、帯状エリア塗装工程では、回転霧化頭の往復動作によって広幅な帯状の塗装が施されるから、残部エリア塗装工程で第2色塗料を塗装するときに、第1色塗膜面までの距離を大きくし、第2色塗料の粒子が第1色塗膜面に付着するのを防止することができる。
【0159】
次に、残部エリア塗装工程では、帯状塗膜面に続く被塗物の表面に第2色塗料を用いて塗装を施す。このときには、残部エリア塗装工程の塗装部位と第1色塗膜面との間に第2色塗料からなる境界塗膜面と帯状塗膜面が介在しているから、塗装機によって通常の塗装作業を行なった場合でも、第2色塗料の粒子が第1色塗膜面に飛散するのを防止することができる。
【0160】
この結果、マスキングテープ等を使用することなく、ツートーン塗装を施すことができるから、マスキング作業、中間焼付け作業等を省略して、作業性を向上することができ、塗装品質の向上、塗装コストの低減を図ることができる。
【0161】
請求項3の発明によれば、境界エリア塗装工程では、第1色塗膜面との境界線を塗装する位置で回転霧化頭の端縁と被塗物との間の塗装距離を最も小さくし、第1色塗膜面との境界線から離間するに従って回転霧化頭の端縁と被塗物との間の塗装距離を大きくする往復動軌跡をもって、回転霧化頭を境界線と交叉する方向に移動しながら塗装を施している。
【0162】
従って、回転霧化頭を往復動作させて塗装を行なうときに、第1色塗膜面との境界線の位置では回転霧化頭の端縁が被塗物に接近しているから、この境界線の位置には、厚くはっきりした塗膜面からなる境界線を形成することができる。一方、第1色塗膜面との境界線から離れた位置では回転霧化頭の端縁が被塗物から離間しているから、境界線の位置よりも噴霧粒子を広い範囲に塗装することができる。これにより、境界線から離れた位置では、平坦な塗膜面を形成することができる。この結果、境界塗膜面に続く帯状塗膜面を施したときには、境界塗膜面と帯状塗膜面との重なり部分の膜厚を均一にすることができ、良好な塗装仕上りを得ることができる。
【0163】
請求項4の発明によれば、境界エリア塗装工程では、回転霧化頭を境界線とほぼ平行に移動しながら塗装を施しているので、被塗物の表面には境界線とほぼ平行に移動する回転霧化頭によって滑らか(直線的)な境界線を形成することができ、境界線をより明瞭に形成することができる。
【0164】
請求項5の発明によれば、帯状エリア塗装工程では、境界塗膜面側で回転霧化頭の端縁と被塗物との間の塗装距離を最も小さくし、境界塗膜面から離間するに従って回転霧化頭の端縁と被塗物との間の塗装距離を大きくする往復動軌跡をもって、回転霧化頭を境界線と交叉する方向に移動しながら塗装を施している。
【0165】
従って、境界塗膜面側の位置では、回転霧化頭の端縁と被塗物との間の塗装距離を最も小さくして塗料の飛散を抑えることにより、第2色塗料の粒子が境界塗膜面を越えて第1色塗膜面に付着するのを防止することができる。また、帯状塗膜面に続く第2色塗装を施した場合には、境界塗膜面側の位置よりも噴霧粒子を広い範囲に塗装することができる。これにより、境界塗膜面から離れた位置では、平坦な塗膜面を形成することができる。この結果、帯状塗膜面に続く塗装を施したときには、塗膜の重なり部分の膜厚を均一にすることができ、塗装品質を高めることができる。
【0166】
請求項6の発明によれば、帯状エリア塗装工程では、回転霧化頭を境界線とほぼ平行に往復動しながら塗装を施しているので、回転霧化頭から噴霧された第2色塗料は、境界線とほぼ平行に塗装されるから、第2色塗料の粒子が境界塗膜面、帯状塗膜面を越えて第1色塗膜面に飛散するのを防止することができる。
【0167】
請求項7の発明によれば、帯状エリア塗装工程では、シェーピングエアは使用しないか、またはミスト抑制エアに抗しない程度の少量のシェーピングエアを使用しているので、回転霧化頭から遠心力によって噴霧された第2色塗料は、シェーピングエアによって邪魔されることなく被塗物に塗着するから、第2色塗料の粒子が飛散して第1色塗膜面に付着するのを防止でき、高品質な塗装を行なうことができる。
【0168】
請求項8の発明によれば、回転霧化頭型塗装機には、回転霧化頭の前方に向けミスト抑制エアを吐出するエアノズルを設け、境界エリア塗装工程、帯状エリア塗装工程では前記エアノズルから回転霧化頭の前方にミスト抑制エアを供給している。従って、エアノズルから回転霧化頭の前方にミスト抑制エアを供給したときには、このミスト抑制エアは、第2色塗料による塗料ミストが境界線を越えて第1色塗膜面側に飛散するのを防止することができ、ツートーン塗装に対する信頼性を向上することができる。
【0169】
請求項9の発明によれば、回転霧化頭型塗装機には、回転霧化頭に向けミスト抑制エアを吐出するエアノズルと、該エアノズルから吐出されたミスト抑制エアを回転霧化頭の前方に導く整流板とを設け、境界エリア塗装工程、帯状エリア塗装工程では前記エアノズルからミスト抑制エアを吐出し、このミスト抑制エアを整流板によって回転霧化頭の前方に供給している。従って、エアノズルから回転霧化頭に向けミスト抑制エアを供給したときには、このミスト抑制エアは、整流板に当たることにより回転霧化頭側に向きを変えることができ、整流板によって制御されたミスト抑制エアは、第2色塗料による塗料ミストが境界線を越えて第1色塗膜面側に飛散するのを防止することができる。
【0170】
請求項10の発明によれば、境界エリア塗装工程、帯状エリア塗装工程では、回転霧化頭を被塗物の表面に直交する線に対して50度〜80度傾けているので、回転霧化頭の遠心力によって吐出される塗料粒子を、第1色塗膜面側に飛散させることなく、被塗物の表面に塗装することができる。
【0171】
また、請求項11の発明によるツートーン塗装方法によれば、第1色エリア塗装工程では、被塗物の表面に第1色塗料を用いて塗装を施すことにより、被塗物の表面に第1色塗膜面を形成することができる。
【0172】
次に、帯状境界エリア塗装工程では、回転霧化頭を、その端縁から噴出された塗料粒子が一旦収束する位置で被塗物に塗着するように、該被塗物に接近した位置で帯状境界エリアに向けて傾けて配置し、第2色塗料からなる塗料ミストが第1色塗膜面に飛散するのを抑えるミスト抑制エアを前記回転霧化頭の前方に供給し、一方噴霧パターンを整形するシェーピングエアは供給せず、かつ高電圧を印加しない状態で、前記回転霧化頭を往復動させながら回転霧化頭を高速回転して第2色塗料を噴霧する。
【0173】
これにより、第2色塗料は、回転霧化頭を高速回転させたときに該回転霧化頭の前方に形成される負圧領域に引っ張られつつ、遠心力によって径方向外側に飛行する。この場合、回転霧化頭が被塗物に接近して配置されることにより、第2色塗料は、空気抵抗によって霧化する前の飛散が少ない状態で被塗物に塗着するから、明瞭な境界線を形成することができる。また、回転霧化頭が被塗物に対して傾いているから、第2色塗料は、噴霧エア等を用いず遠心力だけによって噴霧され、噴霧粒子は被塗物の表面に跳ね返って飛散することなく塗着することができる。さらに、回転霧化頭の前方に供給されるミスト抑制エアは、第1色塗膜面に第2色塗料からなる塗料ミストが飛散するのを抑えて塗装仕上りを良好にすることができる。
【0174】
次に、残部エリア塗装工程では、帯状境界塗膜面に続く被塗物の表面に第2色塗料を用いて塗装を施すことができる。このときには、残部エリア塗装工程の塗装部位と第1色塗膜面との間に第2色塗料からなる広幅な帯状境界塗膜面が介在しているから、塗装機によって通常の塗装作業を行なった場合でも、第2色塗料の粒子が第1色塗膜面に飛散するのを防止することができる。
【0175】
この結果、マスキングテープ等を使用することなく、ツートーン塗装を施すことができるから、マスキング作業、中間焼付け作業等を省略して、作業性を向上することができ、塗装品質の向上、塗装コストの低減を図ることができる。
【0176】
請求項12の発明によれば、帯状境界エリア塗装工程では、第1色塗膜面との境界線を塗装する位置で回転霧化頭の端縁と被塗物との間の塗装距離を最も小さくし、第1色塗膜面との境界線から離間するに従って回転霧化頭の端縁と被塗物との間の塗装距離を大きくする往復動軌跡をもって、回転霧化頭を境界線と交叉する方向に移動しながら塗装を施している。
【0177】
従って、回転霧化頭を往復動作させて塗装を行なうときに、第1色塗膜面との境界線の位置では回転霧化頭が被塗物に接近しているから、この境界線の位置には厚くはっきりした塗膜面からなる境界線を形成することができる。一方、第1色塗膜面との境界線から離れた位置では回転霧化頭が被塗物から離間しているから、境界線の位置よりも噴霧粒子を広い範囲に塗装することができる。これにより、境界線から離れた位置では、平坦な塗膜面を形成することができる。この結果、帯状境界塗膜面に続く塗装を施したときには、塗膜の重なり部分の膜厚を均一にすることができ、良好な塗装仕上りを得ることができる。
【0178】
請求項13の発明によれば、帯状境界エリア塗装工程では、回転霧化頭を境界線とほぼ平行に移動しながら塗装を施しているので、被塗物の表面には境界線とほぼ平行に移動する回転霧化頭によって滑らか(直線的)な境界線を形成することができる。
【0179】
請求項14の発明によれば、回転霧化頭型塗装機には、回転霧化頭の前方に向けミスト抑制エアを吐出するエアノズルを設け、帯状境界エリア塗装工程では前記エアノズルから回転霧化頭の前方にミスト抑制エアを供給している。従って、エアノズルから回転霧化頭の前方にミスト抑制エアを供給したときには、このミスト抑制エアは、第2色塗料による塗料ミストが境界線を越えて第1色塗膜面側に飛散するのを防止することができ、ツートーン塗装に対する信頼性を向上することができる。
【0180】
請求項15の発明によれば、回転霧化頭型塗装機には、回転霧化頭に向けミスト抑制エアを吐出するエアノズルと、該エアノズルから吐出されたミスト抑制エアを回転霧化頭の前方に導く整流板とを設け、帯状境界エリア塗装工程では前記エアノズルからミスト抑制エアを吐出し、このミスト抑制エアを整流板によって回転霧化頭の前方に供給している。従って、エアノズルから回転霧化頭に向けミスト抑制エアを供給したときには、このミスト抑制エアは、整流板に当たることにより回転霧化頭側に向きを変えることができ、整流板によって制御されたミスト抑制エアは、第2色塗料による塗料ミストが境界線を越えて第1色塗膜面側に飛散するのを防止することができる。
【0181】
請求項16の発明によれば、帯状境界エリア塗装工程では、回転霧化頭を被塗物の表面に直交する線に対して50度〜80度傾けているので、回転霧化頭の遠心力によって吐出される塗料粒子を、第1色塗膜面側に飛散させることなく、被塗物の表面に塗装することができる。
【0182】
請求項17の発明によれば、各塗装工程が終了した後に、各塗装工程で塗装された第1色塗料と第2色塗料を同時に焼付ける塗料焼付け工程を施している。従って、第1色塗料を塗装した後に、この第1色塗料による塗膜面を焼付けて乾燥硬化する前のウエット状態で第2色塗料を用いて塗装を施す、所謂ウエットオンウエット(wet on wet)により塗装作業を行なうことができる。このため、従来技術ではマスキング作業を行なうときに必要であった第1色エリア塗装工程後の塗料焼付け工程を省略でき、作業工程を簡略化して、塗装コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるツートーン塗装方法を行なうための塗装工場内の塗装工程を示す説明図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態によるツートーン塗装装置を示す斜視図である。
【図3】ツートーン塗装を施した左横後ドアを示す外観図である。
【図4】A色エリア塗装ステージの回転霧化頭型塗装機をボディの一部と一緒に拡大して示す外観図である。
【図5】境界エリア塗装ステージの回転霧化頭型塗装機をボディの一部と一緒に拡大して示す外観図である。
【図6】エアノズルを単体で示す拡大斜視図である。
【図7】他のエアノズルを単体で示す拡大斜視図である。
【図8】回転霧化頭から塗料を噴出している状態を示す動作説明図である。
【図9】ボディの表面にほぼ直角に配置した塗装機によってボディに塗料を塗装した状態を示す外観図である。
【図10】比較例による塗装機によって塗装した塗装パターンを示す外観図である。
【図11】比較例による塗装機によって境界塗膜面を塗装して形成された境界線を示す外観図である。
【図12】境界エリア塗装ステージの回転霧化頭型塗装機を固定して塗装を行なっている状態を示す外観図である。
【図13】帯状エリア塗装ステージの回転霧化頭型塗装機をボディの一部と一緒に拡大して示す外観図である。
【図14】残部エリア塗装ステージの回転霧化頭型塗装機をボディの一部と一緒に拡大して示す外観図である。
【図15】各塗装エリアでの塗装条件を示す条件説明図である。
【図16】ツートーン塗装方法を示すタイムチャートである。
【図17】A色エリア塗装工程でドアにA色塗膜面を形成した状態を示す塗装動作説明図である。
【図18】境界エリア塗装工程でドアに境界塗膜面を形成した状態を示す塗装動作説明図である。
【図19】回転霧化頭を境界線と交叉する方向に往復動させて塗装した境界塗膜面を拡大して示す塗装動作説明図である。
【図20】回転霧化頭を境界線に沿って平行に往復動させて塗装した境界塗膜面を拡大して示す塗装動作説明図である。
【図21】比較例による塗装機によってドアに往復動塗装を施した状態を示す外観図である。
【図22】帯状エリア塗装工程でドアに帯状塗膜面を形成した状態を示す塗装動作説明図である。
【図23】残部エリア塗装工程でドアに下側塗膜面を形成した状態を示す塗装動作説明図である。
【図24】本発明の第2の実施の形態によるツートーン塗装方法を示すタイムチャートである。
【図25】A色エリア塗装工程でドアにA色塗膜面を形成した状態を示す塗装動作説明図である。
【図26】境界エリア塗装工程でドアに境界塗膜面を形成した状態を示す塗装動作説明図である。
【図27】帯状エリア塗装工程でドアに帯状塗膜面を形成した状態を示す塗装動作説明図である。
【図28】本発明の第3の実施の形態によるツートーン塗装方法を行なうための塗装工場内の塗装工程を示す説明図である。
【図29】本発明の第3の実施の形態によるツートーン塗装方法を示すタイムチャートである。
【図30】A色エリア塗装工程でドアにA色塗膜面を形成した状態を示す塗装動作説明図である。
【図31】帯状境界エリア塗装工程でドアに帯状境界塗膜面を形成した状態を示す塗装動作説明図である。
【図32】回転霧化頭を境界線に沿って平行に往復動させて塗装した帯状境界塗膜面を拡大して示す塗装動作説明図である。
【図33】残部エリア塗装工程でドアに下側塗膜面を形成した状態を示す塗装動作説明図である。
【図34】本発明の変形例による回転霧化頭型塗装機を示す外観図である。
【図35】従来技術によるツートーン塗装方法を示す流れ図である。
【図36】第2の従来技術によるツートーン塗装方法に用いる二流体ノズル塗装ガン等を示す外観図である。
【符号の説明】
2,62 A色エリア塗装ステージ
3 境界エリア塗装ステージ
4 帯状エリア塗装ステージ
5,64 残部エリア塗装ステージ
6,65 クリア塗装ステージ
7,66 塗料焼付けステージ
11 搬送コンベア
12 ボディ(被塗物)
15,16 塗装用ロボット
21,31,41,51,71 回転霧化頭型塗装機
23,33,43,53,73 回転霧化頭
23A,33A,43A,53A 端縁
35,35′,45,55,74 エアノズル
36,46,56,75 整流板
37 負圧領域
PA A色塗膜面(第1色塗膜面)
PB,PB′ B色塗膜面
PB1 ,PB1 ′,PB1 ″,PB4 境界塗膜面
BL,BL′ 境界線
PB2 ,PB5 帯状塗膜面
PB3 ,PB7 下側塗膜面(第2色塗膜面)
PB6 帯状境界塗膜面
α1 ,α2 ,α3 ,α4 回転霧化頭型塗装機の傾き角度
L1 ,L2 ,L2′,L3 ,L3′,L4 塗装距離
b,f 境界エリア
c,g 帯状エリア
j 帯状境界エリア

Claims (17)

  1. [A].被塗物の表面に第1色塗料を用いて塗装を施す第1色エリア塗装工程と、
    [B].(1).回転霧化頭型塗装機の回転霧化頭を、その端縁から噴出された塗料粒子が一旦収束する位置で被塗物に塗着するように、該被塗物に接近した位置で境界エリアに向けて傾けて配置し、(2).第2色塗料からなる塗料ミストが第1色塗膜面に飛散するのを抑えるミスト抑制エアを前記回転霧化頭の前方に供給し、(3).噴霧パターンを整形するシェーピングエアは供給せず、(4).第2色塗料に高電圧を印加せず、(5).第2色塗料を用いて第1色塗膜面との境界線を形成する、境界エリア塗装工程と、
    [C].(1).回転霧化頭を、その端縁から噴出された塗料粒子が一旦収束する位置で被塗物に塗着するように、該被塗物に接近した位置で帯状エリアに向けて傾けて配置し、(2).第2色塗料からなる塗料ミストが第1色塗膜面に飛散するのを抑えるミスト抑制エアを前記回転霧化頭の前方に供給し、(3).第2色塗料に高電圧を印加せず、(4).前記回転霧化頭を往復動させながら境界塗膜面に続く被塗物の表面に第2色塗料を用いて帯状の塗装を施す、帯状エリア塗装工程とからなるツートーン塗装方法。
  2. [A].被塗物の表面に第1色塗料を用いて塗装を施す第1色エリア塗装工程と、
    [B].(1).回転霧化頭型塗装機の回転霧化頭を、その端縁から噴出された塗料粒子が一旦収束する位置で被塗物に塗着するように、該被塗物に接近した位置で境界エリアに向けて傾けて配置し、(2).第2色塗料からなる塗料ミストが第1色塗膜面に飛散するのを抑えるミスト抑制エアを前記回転霧化頭の前方に供給し、(3).噴霧パターンを整形するシェーピングエアは供給せず、(4).第2色塗料に高電圧を印加せず、(5).第2色塗料を用いて第1色塗膜面との境界線を形成する、境界エリア塗装工程と、
    [C].(1).回転霧化頭を、その端縁から噴出された塗料粒子が一旦収束する位置で被塗物に塗着するように、該被塗物に接近した位置で帯状エリアに向けて傾けて配置し、(2).第2色塗料からなる塗料ミストが第1色塗膜面に飛散するのを抑えるミスト抑制エアを前記回転霧化頭の前方に供給し、(3).第2色塗料に高電圧を印加せず、(4).前記回転霧化頭を往復動させながら境界塗膜面に続く被塗物の表面に第2色塗料を用いて帯状の塗装を施す、帯状エリア塗装工程と、
    [D].前記帯状エリア塗装工程によって塗装されなかった残りの被塗物の表面に、第2色塗料を用いて塗装を施す残部エリア塗装工程とからなるツートーン塗装方法。
  3. 境界エリア塗装工程では、(1).第1色塗膜面との境界線を塗装する位置で回転霧化頭の端縁と被塗物との間の塗装距離を最も小さくし、(2).第1色塗膜面との境界線から離間するに従って回転霧化頭の端縁と被塗物との間の塗装距離を大きくする往復動軌跡をもって、(3).回転霧化頭を境界線と交叉する方向に移動しながら塗装を施してなる請求項1または2に記載のツートーン塗装方法。
  4. 境界エリア塗装工程では、回転霧化頭を境界線とほぼ平行に移動しながら塗装を施してなる請求項1または2に記載のツートーン塗装方法。
  5. 帯状エリア塗装工程では、(1).境界塗膜面側で回転霧化頭の端縁と被塗物との間の塗装距離を最も小さくし、(2).境界塗膜面から離間するに従って回転霧化頭の端縁と被塗物との間の塗装距離を大きくする往復動軌跡をもって、(3).回転霧化頭を境界線と交叉する方向に移動しながら塗装を施してなる請求項1または2に記載のツートーン塗装方法。
  6. 帯状エリア塗装工程では、回転霧化頭を境界線とほぼ平行に往復動しながら塗装を施してなる請求項1または2に記載のツートーン塗装方法。
  7. 帯状エリア塗装工程では、シェーピングエアは使用しないか、またはミスト抑制エアに抗しない程度の少量のシェーピングエアを使用してなる請求項1または2に記載のツートーン塗装方法。
  8. 前記回転霧化頭型塗装機には、回転霧化頭の前方に向けミスト抑制エアを吐出するエアノズルを設け、境界エリア塗装工程、帯状エリア塗装工程では前記エアノズルから回転霧化頭の前方にミスト抑制エアを供給してなる請求項1または2に記載のツートーン塗装方法。
  9. 前記回転霧化頭型塗装機には、回転霧化頭に向けミスト抑制エアを吐出するエアノズルと、該エアノズルから吐出されたミスト抑制エアを回転霧化頭の前方に導く整流板とを設け、境界エリア塗装工程、帯状エリア塗装工程では前記エアノズルからミスト抑制エアを吐出し、このミスト抑制エアを整流板によって回転霧化頭の前方に供給してなる請求項1または2に記載のツートーン塗装方法。
  10. 前記境界エリア塗装工程、帯状エリア塗装工程では、回転霧化頭を被塗物の表面に直交する線に対して50度〜80度傾けてなる請求項1または2に記載のツートーン塗装方法。
  11. [A].被塗物の表面に第1色塗料を用いて塗装を施す第1色エリア塗装工程と、
    [B].(1).回転霧化頭型塗装機の回転霧化頭を、その端縁から噴出された塗料粒子が一旦収束する位置で被塗物に塗着するように、該被塗物に接近した位置で帯状境界エリアに向けて傾けて配置し、(2).第2色塗料からなる塗料ミストが第1色塗膜面に飛散するのを抑えるミスト抑制エアを前記回転霧化頭の前方に供給し、(3).噴霧パターンを整形するシェーピングエアは供給せず、(4).第2色塗料に高電圧を印加せず、(5).前記回転霧化頭を往復動させながら第2色塗料を用いて帯状の塗装を施し第1色塗膜面との境界線を形成する、帯状境界エリア塗装工程と、
    [C].前記帯状境界エリア塗装工程によって塗装されなかった残りの被塗物の表面に、第2色塗料を用いて塗装を施す残部エリア塗装工程とからなるツートーン塗装方法。
  12. 帯状境界エリア塗装工程では、(1).第1色塗膜面との境界線を塗装する位置で回転霧化頭の端縁と被塗物との間の塗装距離を最も小さくし、(2).第1色塗膜面との境界線から離間するに従って回転霧化頭の端縁と被塗物との間の塗装距離を大きくする往復動軌跡をもって、(3).回転霧化頭を境界線と交叉する方向に移動しながら塗装を施してなる請求項11に記載のツートーン塗装方法。
  13. 帯状境界エリア塗装工程では、回転霧化頭を境界線とほぼ平行に移動しながら塗装を施してなる請求項11に記載のツートーン塗装方法。
  14. 前記回転霧化頭型塗装機には、回転霧化頭の前方に向けミスト抑制エアを吐出するエアノズルを設け、帯状境界エリア塗装工程では前記エアノズルから回転霧化頭の前方にミスト抑制エアを供給してなる請求項11に記載のツートーン塗装方法。
  15. 前記回転霧化頭型塗装機には、回転霧化頭に向けミスト抑制エアを吐出するエアノズルと、該エアノズルから吐出されたミスト抑制エアを回転霧化頭の前方に導く整流板とを設け、帯状境界エリア塗装工程では前記エアノズルからミスト抑制エアを吐出し、このミスト抑制エアを整流板によって回転霧化頭の前方に供給してなる請求項11に記載のツートーン塗装方法。
  16. 前記帯状境界エリア塗装工程では、回転霧化頭を被塗物の表面に直交する線に対して50度〜80度傾けてなる請求項11に記載のツートーン塗装方法。
  17. 前記各塗装工程が終了した後に、各塗装工程で塗装された第1色塗料と第2色塗料を同時に焼付ける塗料焼付け工程を施してなる請求項1,2または11に記載のツートーン塗装方法。
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