JP4188491B2 - 転写による多色模様の形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スプレー塗装とロールコータ塗装とを併用してなる高速塗装においても均一な多色模様を形成することができる多色模様形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術及びその課題】
従来、移動する被塗物にスプレー塗装によって多色模様塗膜を形成する際には、移動する被塗物の幅方向にほぼ幅の長さをガンを大きくレシプロさせて塗装しているため、塗装軌跡が大きなジグザグ状となる。したがって、移動速度を速くして、通常4m/分以上とすると被塗物に未塗装部分が生じたり、塗装膜厚のバラツキが大きくなって模様の不連続による濡れかすれが生じるといった問題があった。被塗物に多色模様を形成する場合においては、塗装膜厚のバラツキによる模様のバラツキが顕著に現れるため塗装膜厚のバラツキを小さくすることが特に必要である。
【0003】
以上のようなことから、従来、コイルコーティングやシートコーティングなどの高速塗装においてスプレー塗装によって均一で美粧性に優れた多色模様を形成することはできていなかった。
【0004】
また、コイルコーティングやシートコーティングにおけるロールコータ塗装によって、スプレー塗装により形成される多色模様塗膜と同様の細かな多色模様塗膜を形成することはできなかった。
【0005】
本発明の目的は、被塗物の移動速度を速くしても被塗物に未塗装部分やかすれがなく、均一で美粧性に優れた多色模様を形成できる方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究の結果、塗料吐出ノズルを2個以上有するスプレー塗装装置を使用し、塗料吐出ノズルから互いに異なる塗色の塗料を吐出させて該異なる塗色の塗料が混在する複色スプレーパターンを形成し、この複色スプレーパターンを塗装ロールに当てて塗装ロール上に模様塗料層を形成し、その模様塗料層を移動する被塗物上にロール塗装することによって上記目的を達成できることを見出し本発明を完成するに至った。
【0007】
しかして、本発明は、(1)塗料吐出ノズルを2個以上有するスプレー塗装装置の少なくとも2個の塗料吐出ノズルから互いに異なる塗色の塗料を吐出させて該異なる塗色の塗料が混在する複色スプレーパターンを形成し、該スプレーパターンを回転する塗装ロール上に当てて、塗装ロール上に模様塗料層を形成する工程、
(2)該塗装ロール上に形成された模様塗料層を、移動する帯状被塗物の表面に圧着させることにより該模様塗料を被塗物表面に転写する工程及び
(3)転写後の塗装ロール表面に付着する残存塗料を掻き取って、塗装ロール表面を清浄な状態に再生する工程、
を有し、工程(3)によって再生された塗装ロール上には、上記工程(1)の方法により再び模様塗料層が形成され、上記工程(1)〜(3)の各工程を連続して行うことによって被塗物上に多色模様を形成することを特徴とする多色模様形成方法を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の多色模様形成方法について詳細に説明する。
【0009】
工程(1)
本発明方法の工程(1)において、塗料吐出ノズルを2個以上有するスプレー塗装装置としては、多ノズルスプレーガン、多頭スプレーガンなどを挙げることができる。
【0010】
上記多ノズルスプレーガンは、塗装機に塗装ガンヘッドを1個有し、該塗装ガンヘッドは近接する塗料吐出ノズルを2個以上有する塗装機である。多ノズルスプレーガンの各塗料吐出ノズルから互いに異なる塗色の塗料を吐出させて該異なる塗色の塗料が混在する複色スプレーパターンを形成することができる。
【0011】
多ノズルスプレーガンとしては、例えば、特開平9−299833号公報に記載のスプレーガンを挙げることができる。多ノズルスプレーガンのノズルの位置は、各ノズルから吐出される異なった色の塗料が混合し、塗装ロール上に均一な模様塗料層を形成できる位置であればよく、例えば、2個以上のノズルが独立して配置されたものでもよく、また、各ノズルが同心円状に一体に配置され、内側のノズル及び外側のドーナツ状のノズルが形成されたものであってもよい。
【0012】
2個以上のノズルが独立して配置される場合のスプレー塗装装置の例を後記図1及び図2を参照して説明する。
【0013】
図1はスプレー塗装装置の正面断面図であり、図2はスプレー塗装装置の左側面図である。図1は左側面図である図2のA−Aで切断した断面図である。
【0014】
図1において、スプレー塗装装置は、ガン本体1、塗料吐出ノズルベース5、エアキャプ15及びこれらを結合して固定するリテーニングナット14を具備している。
【0015】
ガン本体1には、塗料供給口2(a、b、c、d(但し、c、dは図示せず))、霧化エア供給口3(a、b(但し、bは図示せず))、パターンエア供給口4(a、b(但し、bは図示せず))及びパイロットエア供給口19が形成されている。さらに、塗料供給口2から図1において左方向に塗料経路6(a、b、c、d(但し、c、dは図示せず))、霧化エア供給口3から左方向に霧化エア経路9(a、b(但し、bは図示せず))、パターンエア供給口4から左方向にパターンエア経路10(a、b(但し、bは図示せず))及びパイロットエア供給口19から右上方にパイロットエア経路20が形成されている。
【0016】
塗料吐出ノズルベース5には、塗料経路7(a、b、c、d(但し、c、dは図示せず))、霧化エア経路11(a、b、c、d(但し、c、dは図示せず))及び塗料吐出ノズル8(a、b、c、d(但し、c、dは図示せず))が形成されている。エアキャプ15には、中央部に霧化エア噴出口16及びホーン部にパターンエア噴出口17(a、b)が形成されている。塗料吐出ノズルベース5、エアキャプ15、塗料吐出ノズル位置調整座金18をリテーニングナット14で固定することによって、霧化エア供給室12及びパターンエア供給室13が形成される。
【0017】
塗装時において、ガン本体1の塗料経路6は、塗料吐出ノズルベースの塗料経路7と連通し、塗料はガン本体1の塗料経路6の左端部から塗料吐出ノズルベースの塗料経路7に供給され、さらに塗料吐出ノズル8から吐出できるようになっている。霧化エアは、ガン本体1の霧化エア経路9から塗料吐出ノズルベースの霧化エア経路11に通ずる室に供給され、この室から霧化エア経路11を経て霧化エア供給室12に入り霧化エア噴出口16から噴出される。この霧化エアの噴出によって塗料吐出ノズル8から吐出された塗料が微粒化される。パターンエアは、ガン本体1のパターンエア経路10からパターンエア供給室13に供給され、パターンエア噴出口17から噴出される。このパターンエアの噴出によって塗料粒子の微粒化の促進及び塗料のスプレーパターン幅の拡大を行うことができる。
【0018】
ガン本体1のパイロットエア供給口19から供給されるパイロットエアは、パイロットエア経路20を経由してガン本体1の内壁とピストン24とで形成される密閉されたパイロットエア供給室21に供給される。パイロットエア供給室21にパイロットエアを供給することによりピストン24が右方向に押されて移動してパイロットエア供給室21が広がる。これによって、ピストン24に連結されたニードル連結部材22及びこの部材22に連結されたニードル23(a、b、c、d(但し、c、dは図示せず))は右方向に移動する。ニードル23が右方向に移動することによって、ガン本体1の塗料経路6と塗料吐出ノズルベースの塗料経路7とが連通し、塗料を吐出できるようになる。
【0019】
また、パイロットエアを供給しないときには、スプリング25がピストン24とこれに連動する各部材を左端方向に押し、これによってニードル23の左端が塗料吐出ノズルベースの塗料経路7の右端の開口部を塞ぎ、ガン本体1の塗料経路6と塗料吐出ノズルベースの塗料経路7とが連通せず塗料が吐出されない。また、ニードル引きしろ位置決め部材27の位置をニードル引きしろ調整ネジ26で調整することにより塗料吐出量を調整することも可能である。
【0020】
次に図2においては、中央部に4本の塗料吐出ノズル8(a、b、c、d)が配置されており、その周辺の霧化エア噴出口16から霧化エアが噴出され、さらにパターンエア噴出口17(a、b)からパターンエアが噴出される。4本の塗料吐出ノズルのうちの2本以上を使用し、各ノズルから異なる色の塗料を吐出させ、霧化エア及びパターンエアを噴出させることによって多色模様パターンを形成することができる。
【0021】
各塗料吐出ノズル(a、b、c、d)の配置を換えることにより塗料の粒子を混合程度を調節することができる。すなわち図2に示すように、各塗料吐出ノズル部材同志が接触できる程度にまで近付けることによって、各塗料吐出ノズルから吐出される塗料粒子同志の混合程度を大きなものとすることができる。各塗料吐出ノズル部材同志を離すと塗料粒子同志の混合程度が小さくなる。各塗料吐出ノズル間の距離は特に限定されるものではないが、通常、各塗料吐出ノズル間ができるだけ接近していることが好ましく、塗料吐出ノズル間の距離が15mm以下、好ましくは10mm以下、さらに好ましくは5mm以下の範囲内にあることが適当である。
【0022】
多ノズルスプレーガンの塗料吐出ノズルが3個以上(図2では4個)ある場合には、それぞれの塗料吐出ノズルから異なった色の塗料を吐出してもよいし、必要数のノズルのみ(例えば4個のノズルのうちの2個のノズル)を使用して異なる色の塗料を噴霧してもよい。
【0023】
前記多頭スプレーガンは、塗装機に塗装ガンヘッドを2個以上有し、各塗装ヘッドには塗料吐出ノズルを各1個有するものであり、塗料吐出ノズルは近接していないものである。多頭スプレーガンの各塗装ガンヘッドの各塗料吐出ノズル(合計2個以上)を被塗物に向かって対向させ、2個以上の塗料吐出ノズルから吐出される異なった色の塗料粒子のスプレーパターンを被塗面に当たる前に交差せしめて2色以上の異なる色の塗料が混合された複色スプレーパターンを形成することによって模様塗膜を形成できるものである。また、2個のエアスプレーガンの各ノズルの方向を各スプレーパターンが被塗面に当たる前に交差し複色スプレーパターンを形成し被塗物上に模様塗膜を形成できるように、位置決めし固定することによって多頭スプレーガンと同様の働きをさせることができる。
【0024】
上記スプレー塗装装置を使用して、塗料吐出ノズルを2個以上有するスプレーガンの少なくとも2個の塗料吐出ノズルから少なくとも2色の異なる塗色の塗料を吐出させる。これによって各ノズルから吐出した塗料が混在するスプレーパターンを形成させる。スプレーパターンにおける塗料の混在程度は、模様塗膜が形成できる範囲内において、目的とする模様に応じて決定すればよく、塗料粘度、塗料の吐出量などの塗装条件などを適宜調整することによって調節できる。塗装時の塗料の粘度は、通常、フォードカップ#4(20℃)での測定で通常、10〜40秒の範囲内にあることが適当である。塗料の霧化空気圧は、通常、0.5〜10kgf/cm2 の範囲内にあり、パターン空気圧は、通常、0.1〜4kgf/cm2 の範囲内にあることが適当である。
【0025】
上記のように形成されたスプレーパターンは、帯状被塗物の移動方向に対して正回転又は逆回転する塗装ロール上に当てられ、塗装ロール上に模様塗料層が形成される。スプレーパターンの形状は、真円状であっても楕円状であってもよく、特に限定されるものではなく、また塗装ロール上に当てるスプレーパターンの数は1個であってもよく、複数個のスプレーパターンを組合せたものであってもよい。複数個のスプレーパターンを組合せる場合には、各単位複色スプレーパターンの重なり合う程度が、各単位複色スプレーパターンの間で、最も重なり度合いの大きい線上で、通常、各単位複色スプレーパターン直径の1/6〜1/2、好ましくは1/4〜1/2の範囲内にあることが好適である。
【0026】
また塗装ロール上へ模様塗料層を形成するに際しては、塗装ロールの幅方向に塗装機をショートレシプロ(短距離の往復運動)させて複色スプレーパターンを移動させてもよい。ショートレシプロすることによって模様の均一性を向上させることが可能である。
【0027】
塗装ロール上に形成される模様塗料層の厚さは特に限定されるものではないが、通常、1〜30μmの範囲内であることが、得られる模様塗膜の外観、塗装ロールの回転による塗料の飛び散りの防止、焼付け時の塗膜のワキ(発泡)防止などの点から好適である。
【0028】
工程(2)
本発明方法の工程(2)において、上記塗装ロール上に形成された模様塗料層を、移動する帯状被塗物の表面に圧着させる。これによって上記模様塗料を被塗物表面に転写することができる。
【0029】
塗装ロール上に形成された塗料層を移動する帯状被塗物の表面に圧着させて、塗料を被塗物表面に転写する方法は、従来、コイルコーティングやシートコーティングの分野で一般に用いられるナチュラルロール塗装法(正回転ロール塗装法)に準じて行うことができる。
【0030】
上記帯状被塗物としては、例えば、金属板、該金属板にプライマー塗膜及び/又は中塗塗膜(さらに必要に応じて上塗ベース塗膜)を形成した塗装金属板、プラスチックシートなどを挙げることができ、なかでも金属板、塗装金属板を好適に使用することができる。
【0031】
上記金属板としては、冷延鋼板、亜鉛系メッキ鋼板、アルミニウムメッキ鋼板、アルミニウム板などを挙げることができ、なかでも亜鉛系メッキ鋼板を好適に使用することができる。亜鉛系メッキ鋼板としては、溶融亜鉛メッキ鋼板、電気亜鉛メッキ鋼板、鉄−亜鉛合金メッキ鋼板、ニッケル−亜鉛合金メッキ鋼板、アルミニウム−亜鉛合金メッキ鋼板(例えば「ガルバリウム」、「ガルファン」という商品名のメッキ鋼板)などを挙げることができる。また、上記金属板は、付着性や耐食性の向上のために、表面にリン酸亜鉛処理、クロメート処理などの化成処理が施されていてもよい。
【0032】
被塗物が塗装金属板である場合、上記金属板上に形成されていてもよいプライマー塗膜としては、ポリエステル系プライマー又はエポキシ樹脂系プライマーから得られる塗膜が好適であり、その膜厚は特に限定されるものではないが、通常、2〜10μm程度であることが好ましい。中塗塗膜、上塗ベース塗膜としては、従来塗料分野で公知の中塗塗料、上塗ベース塗料から形成される塗膜であることができる。中塗塗料、上塗ベース塗料としては、いずれも、ポリエステル樹脂系、アルキド樹脂系、アクリル樹脂系、シリコンポリエステル樹脂系などの塗料を挙げることができる。
【0033】
塗装時における帯状被塗物の移動速度は、特に限定されるものではないが、生産性、塗面状態などの観点から、通常、10〜150m/分、好ましくは20〜100m/分の範囲にあることが適当である。
【0034】
工程(3)
本発明方法の工程(3)において、工程(2)で被塗物上に模様塗料を転写した後に、塗装ロール表面に残存する塗料を除去して塗装ロール表面を清浄な状態に再生する。塗装ロール表面を清浄な状態に再生する方法としては、例えば、コイルコーティングなどのロール塗装法においてそれ自体既知のドクターブレード又はドクターロールなどの塗料掻取り器によって残存塗料を掻き取る方法などを挙げることができる。
【0035】
上記工程(3)によって表面が清浄な状態に再生された塗装ロール上には、上記工程(1)の方法により模様塗料層が形成され、上記工程(1)〜(3)の各工程を連続して行うことによって被塗物上に多彩模様を形成することができる。被塗物上に形成される多色模様塗料層の塗着量は特に限定されるものではないが、通常、塗料塗着量が、塗料固形分で0.5〜120g/m2 、好ましくは1〜80g/m2 の範囲内となるであることが、得られる模様塗膜の外観、焼付け時の塗膜のワキ(発泡)防止などの点から好適である。
【0036】
後記図3に基づいて、本発明方法の一例について説明する。
【0037】
図3においては、3台の多ノズルガン28を使用して、被塗物であるプライマー塗装鋼板29の移動方向と同じ方向に回転(ナチュラル回転)する塗装ロール30上に3個の多ノズルガンによって形成される3個の複色スプレーパターンを重ね合せて模様塗料層を形成し、塗装ロール上に形成された模様塗料層は、移動する鋼板29と接触し、鋼板上に模様塗料層が転写される。模様塗料層が形成されたプライマー塗装鋼板は、ついで焼付けられる。3台の多ノズルガン28は、塗装ロールの幅方向に同時にショートレシプロ(短距離の往復運動)できるようになっている。
【0038】
模様塗料層を鋼板に転写した後の塗装ロール表面には、転写しきれなっか模様塗料層の一部が残存しているが、ドクターブレードなどの塗料掻取り器31によって残存塗料が掻取られて塗装ロール表面は清浄な状態に再生される。掻取られた残存塗料は、塗料収容器32に集められ外部に移送されるようになっている。また、再生された塗装ロール表面には、再び模様塗料層が形成され、上記工程が繰り返される。
【0039】
図3においては、多ノズルガン28、塗装ロール30を取囲むように塗装ブース33が形成されており、スプレー塗装によって未塗着の塗料粒子や、溶剤蒸気は、排気ダクト34からフィルタを通過後、必要に応じて燃焼後、外部に排気される。
【0040】
【実施例】
以下、実施例により本発明を、さらに具体的に説明する。
【0041】
実施例1
塗料として、KPカラー1700ホワイト(関西ペイント(株)製、ポリエステル樹脂系上塗塗料、白色)及びKPカラー1700ブラック(関西ペイント(株)製、ポリエステル樹脂系上塗塗料、黒色)をそれぞれ粘度を20秒に調整して使用した。
【0042】
塗装方式は、図3に示す方式、すなわち、多ノズルガン3台を使用して行った。被塗物としては、KPカラー8451プライマー(関西ペイント(株)製、エポキシ樹脂系プライマー)を乾燥膜厚で約5μm塗装、焼付けしてなる板幅80cmのプライマー塗装亜鉛メッキ鋼板を用い、被塗物の移動速度(ラインスピード)は40m/分とした。
【0043】
各多ノズルガンとして、ノズルを4個有し塗料吐出ノズルの部材同志が接触したもの(ノズル間距離4mm)を用い、ノズル4個のうちの2個を使用して、上記白色と黒色の2種の塗料を吐出させて塗装するに際して、ノズル先端からロール表面までの距離を40cmとして、有効パターン幅が40cmの各複色スプレーパターンを形成し、隣り合うスプレーパターン同志がスプレーパターンの直径の1/4が重なり合うように塗装した。ロール表面の材質はネオプレンゴムとした。
【0044】
各多ノズルガンにおいて、塗料の霧化空気圧を2.5kgf/cm2 、パターン空気圧を1.5kgf/cm2 とし、各多ノズルガンからの塗料の吐出量を、上記白色塗料、黒色塗料のいずれも250cc/分とした。上記のようにして塗装し、焼付けることによって、プライマー塗装亜鉛メッキ鋼板表面に、未塗装部分やかすれがなく、乾燥塗膜の塗着量約40g/m2 (乾燥膜厚約10μm)の均一で、細かな模様を有する多彩模様塗膜が形成できた。
【0045】
実施例2
塗料及び被塗物の種類は、実施例1と同様のものを使用して、被塗物の移動速度(ラインスピード)40m/分とした。実施例1において、被塗物の板幅を60cmとし、多ノズルガン3台のかわりに多頭ガン4台を使用する以外は実施例1と同様にして模様塗装を行った。
【0046】
各多頭ガンは、白色のスプレーパターンと黒色のスプレーパターンとが交差してロール表面で模様塗膜を形成できるようになっている。各多頭ガンから上記白色と黒色の2種の塗料を吐出させるに際して、ノズル先端からロール表面までの距離を70cmとして、有効パターン幅が40cmの各複色スプレーパターンを形成し、また、隣り合う複色スプレーパターン同志がスプレーパターンの直径の1/2が重なり合うように塗装した。また、塗装中、4台の多頭ガンを同時に塗装ロールの幅方向に15cmの距離をショートレシプロさせた。
【0047】
各多頭ガンにおいて、塗料の霧化空気圧を2.5kgf/cm2 、パターン空気圧を1.5kgf/cm2 とし、各ノズルからの塗料の吐出量を、上記白色塗料、黒色塗料のいずれも150cc/分とした。上記のようにして塗装し、焼付けることによって、プライマー塗装亜鉛メッキ鋼板表面に、未塗装部分やかすれがなく、乾燥塗膜の塗着量約40g/m2 (乾燥膜厚約10μm)の均一で、細かな模様を有する多彩模様塗膜が形成できた。
【0048】
【発明の効果】
本発明方法によって、被塗物の移動速度が速くしても、被塗物に未塗装部分やかすれがなく、しかも均一で美粧性に優れた多彩模様を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】多ノズルスプレーガンの一例の正面断面図である。
【図2】多ノズルスプレーガンの一例の左側面図である。
【図3】本発明の多色模様形成方法の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 ガン本体
2(a、b、c、d) 塗料供給口
3(a、b) 霧化エア供給口
4(a、b) パターンエア供給口
5 塗料吐出ノズルベース
6(a、b、c、d) ガン本体の塗料経路
7(a、b、c、d) 塗料吐出ノズルベースの塗料経路
8(a、b、c、d) 塗料吐出ノズル
9(a、b) ガン本体の霧化エア経路
10(a、b) ガン本体のパターンエア経路
11(a、b、c、d) 塗料吐出ノズルベースの霧化エア経路
12 霧化エア供給室
13 パターンエア供給室
14 リテーニングナット
15 エアキャップ
16 霧化エア噴出口
17(a、b) パターンエア噴出口
18 塗料吐出ノズル位置調整座金
19 パイロットエア供給口
20 パイロットエア経路
21 パイロットエア供給室
22 ニードル連結部材
23(a、b、c、d) ニードル
24 ピストン
25 スプリング
26 ニードル引きしろ調整ネジ
27 ニードル引きしろ位置決め部材
28 多ノズルスプレーガン
29 プライマー塗装鋼板
30 塗装ロール
31 塗料掻取り器
32 塗料収容器
33 塗装ブース
34 排気ダクト
35 バックアップロール
Claims (6)
- (1)塗料吐出ノズルを2個以上有するスプレー塗装装置の少なくとも2個の塗料吐出ノズルから互いに異なる塗色の塗料を吐出させて該異なる塗色の塗料が混在する複色スプレーパターンを形成し、該スプレーパターンを回転する塗装ロール上に当てて、塗装ロール上に模様塗料層を形成する工程、
(2)該塗装ロール上に形成された模様塗料層を、移動する帯状被塗物の表面に圧着させることにより該模様塗料を被塗物表面に転写する工程及び
(3)転写後の塗装ロール表面に付着する残存塗料を掻き取って、塗装ロール表面を清浄な状態に再生する工程、
を有し、工程(3)によって再生された塗装ロール上には、上記工程(1)の方法により再び模様塗料層が形成され、上記工程(1)〜(3)の各工程を連続して行うことによって被塗物上に多色模様を形成することを特徴とする多色模様形成方法。 - 上記帯状被塗物が金属板であって、その移動速度が10〜150m/分の範囲である請求項1記載の多色模様形成方法。
- 塗料吐出ノズルを2個以上有するスプレー塗装装置を複数個使用して、各スプレーガンからの単位複色スプレーパターンの一部を重ね合せることによって上記工程(1)のスプレーパターンを形成することを特徴とする請求項1又は2記載の多色模様形成方法。
- 塗料吐出ノズルを2個以上有するスプレー塗装装置の複数個を同時に同じ方向に移動させてレシプロ運動させながら単位複色スプレーパターンを組合せた複色スプレーパターン形成を行う請求項3に記載の多色模様形成方法。
- 各単位複色スプレーパターンの重なり合う程度が、各単位複色スプレーパターンの間で、最も重なり度合いの大きい線上で各単位複色スプレーパターン直径の1/6〜1/2の範囲内にあることを特徴とする請求項3又は4に記載の多色模様形成方法。
- スプレー塗装装置が、近接する塗料吐出ノズルを2個以上有する多ノズルスプレーガンである請求項1〜5のいずれか一項に記載の多色模様形成方法。
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