JP3753828B2 - 吸水剤組成物およびその製造方法並びに吸水剤 - Google Patents

吸水剤組成物およびその製造方法並びに吸水剤 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸水剤組成物およびその製造方法並びに吸水剤に関するものである。さらに詳しくは、本発明は、例えば、紙オムツ(使い捨てオムツ)や生理用ナプキン、いわゆる失禁パット等の衛生材料等に好適に用いられる吸水剤組成物、およびその製造方法、並びに吸水剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、紙オムツや生理用ナプキン、いわゆる失禁パット等の衛生材料には、その構成材として、体液を吸収させることを目的とする吸水性樹脂が幅広く利用されている。また、吸水性樹脂は、例えば、保水を目的とする土壌保水材や、食品等から生じるドリップを吸収させることを目的とするドリップ吸収材等の構成材として、衛生材料のみならず、広範囲の用途に利用されている。
【0003】
上記の吸水性樹脂としては、例えば、ポリアクリル酸部分中和物架橋体、澱粉−アクリロニトリルグラフト重合体の加水分解物、澱粉−アクリル酸グラフト重合体の中和物、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体のケン化物、アクリロニトリル共重合体若しくはアクリルアミド共重合体の加水分解物またはこれらの架橋体、カチオン性モノマーの架橋体等が知られている。
【0004】
上記の吸水性樹脂が備えるべき特性としては、体液等の水性液体に接した際の高い吸収倍率や、優れた吸収速度、通液性、膨潤ゲルのゲル強度、水性液体を含んだ基材から水を吸い上げる吸引力等が挙げられる。しかしながら、これら特性同士は、必ずしも正の相関関係を示さない。例えば、吸収倍率が高くなると、吸収速度や通液性、ゲル強度等は低くなる。そこで、従来より、上記諸特性のバランスを良好な状態にする(改良する)方法として、吸水性樹脂の表面近傍を架橋する方法が行われている。
【0005】
そして、架橋剤を用いて架橋する方法としては、例えば、多価アルコールを用いる方法(特開昭58−180233号公報、特開昭61−16903号公報)、多価グリシジル化合物や多価アジリジン化合物、多価アミン、多価イソシアネートを用いる方法(特開昭59−189103号公報)、グリオキサールを用いる方法(特開昭52−117393号公報)、多価金属化合物を用いる方法(特開昭51−136588号公報、特開昭61−257235号公報、特開昭62−7745号公報)、シランカップリング剤を用いる方法(特開昭61−211305号公報、特開昭61−252212号公報、特開昭61−264006号公報)、エポキシ化合物とヒドロキシ化合物とを用いる方法(特開平2−132103号公報)、アルキレンカーボネートを用いる方法(ドイツ特許第4,020,780号)等の種々の方法が提案されている。
【0006】
また、吸水性樹脂の表面近傍を均一に架橋するために、架橋剤を吸水性樹脂表面により一層均一に分布させる方法も種々提案されている。例えば、架橋剤を吸水性樹脂に添加する際に、不活性な無機粉末を共存させる方法(特開昭60−163956号公報、特開昭60−255814号公報)、二価アルコールを共存させる方法(特開平1−292004号公報)、エーテル化合物を共存させる方法(特開平2−153903号公報)、一価アルコールのアルキレンオキシド付加物や、有機酸塩、ラクタム等を共存させる方法(欧州特許第555,692号)等が挙げられる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の方法は、吸水性樹脂が備えるべき諸特性のバランスを、或る程度良好な状態にする(改良する)ことはできるものの、実用的に充分なバランスにまで改良することができるとは言い難い。例えば、近年、衛生材料においては、吸水性樹脂の使用量が多くなる一方、薄型化が図られる傾向にある。ところが、該衛生材料の構成材、つまり吸収体に使用される吸水性樹脂に所望される諸特性を考慮した場合には、上記従来の方法では、実用的なバランスを得ることができないという問題点を有している。従って、諸特性のバランスを実用的に充分な状態にまで改良することができる方法、即ち、吸水性樹脂の更なる高品質化を達成することができる方法が求められている。
【0008】
例えば、吸水性樹脂を多量に、つまり高濃度に含有する吸収体において、該吸水性樹脂に一般的に所望される特性としては、加圧下での吸収倍率や保水能等の、加圧下での吸収特性、或いは、特開平5−96159号公報にて提案されている、吸水性樹脂粒子間の吸水時における結合性や保形性、吸水性樹脂およびセルロース繊維等で構成される吸収体の吸水時における結合性や保形性、等が挙げられる。ところが、加圧下での吸収特性を更に向上させるには、上記従来の方法では不充分である。また、上記特開平5−96159号公報に記載されている方法を採用すると、吸水時において吸収体から吸水性樹脂が脱落することや、該吸収体内を吸水性樹脂が移動すること等の不都合を抑制することができるものの、該吸水性樹脂の種類によっては、加圧下での吸収倍率が向上し難い。さらに、吸水性樹脂を製造した後、該吸水性樹脂を使用するまでの期間中に、吸水性樹脂が備えていた結合性が経時変化によって低下するという問題点も有している。
【0009】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、加圧下での吸収倍率や保水能等の、加圧下での吸収特性に優れ、かつ、例えば、衛生材料等に用いる場合において、親水性重合体(吸水性樹脂)の重量%(樹脂濃度)を高くしても優れた性能(吸収特性)を示すことができる親水性樹脂(吸水剤組成物)、およびその製造方法並びに吸水剤を提供することにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、加圧下での吸収特性に優れ、吸水時において吸収体からの親水性重合体(吸水性樹脂)の脱落が起こり難く、かつ、製造後、使用するまでの期間中に、その結合性が経時的に変化しない親水性樹脂(吸水剤組成物)、およびその製造方法並びに吸水剤を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本願発明者等は、上記目的を達成すべく、親水性樹脂(吸水剤組成物)およびその製造方法並びに吸水剤について鋭意検討した。その結果、親水性重合体吸水性樹脂)と、液状変性剤を粉体化した粉体化変性剤とを含む親水性樹脂(吸水剤組成物)並びに該親水性樹脂(吸水剤組成物)を粉体化変性剤で変性してなる、変性後の親水性樹脂(吸水剤)が、諸特性のバランスに優れており、上記目的を達成することができることを見出した。また、上記の親水性重合体(吸水性樹脂)および粉体化変性剤を混合する混合工程と、必要に応じて該混合物(吸水剤組成物)を加熱する加熱工程とを含む製造方法によって、上記の親水性樹脂(吸水剤)が容易に得られることを見出した
【0012】
即ち、請求項1記載の発明の吸水剤組成物は、上記の課題を解決するために、吸水性樹脂と、液状変性剤を粉体化した粉体化変性剤とを含むことを特徴としている。請求項2記載の発明の吸水剤組成物は、上記の課題を解決するために、請求項1記載の吸水剤組成物において、上記吸水性樹脂が、酸基を有する吸水性樹脂であることを特徴としている。請求項3記載の発明の吸水剤組成物は、上記の課題を解決するために、請求項1または2記載の吸水剤組成物において、上記液状変性剤が架橋剤を含むことを特徴としている。請求項4記載の発明の吸水剤組成物は、上記の課題を解決するために、請求項3記載の吸水剤組成物において、上記架橋剤が、重量平均分子量が2,000以上の多価アミンを含むことを特徴としている。請求項5記載の発明の吸水剤組成物は、上記の課題を解決するために、請求項1〜4の何れか1項に記載の吸水剤組成物において、上記液状変性剤は、液状の変性剤、変性剤を溶媒に溶解してなる変性剤溶液、および、変性剤を溶媒に分散してなる分散液からなる群より選ばれる何れか一種であり、上記吸水性樹脂に対する上記液状変性剤中の変性剤の使用量が、上記吸水性樹脂の固形分100重量部に対して、0.001重量部〜10重量部の範囲内であることを特徴としている。請求項6記載の発明の吸水剤組成物は、上記の課題を解決するために、請求項1〜5の何れか1項に記載の吸水剤組成物において、上記粉体化変性剤は、上記液状変性剤を粒子状の水不溶性化合物と混合してなることを特徴としている。請求項7記載の発明の吸水剤組成物は、上記の課題を解決するために、請求項6記載の吸水剤組成物において、上記粉体化変性剤における上記液状変性剤と水不溶性化合物との混合割合は、上記水不溶性化合物100重量部に対して液状変性剤1重量部〜1000重量部の範囲内であることを特徴としている。請求項8記載の発明の吸水剤組成物は、上記の課題を解決するために、請求項1〜7の何れか1項に記載の吸水剤組成物において、上記吸水性樹脂の平均粒子径は200μm〜600μmの範囲内であり、かつ、上記吸水性樹脂中の粒子径が150μmm未満の粒子の割合は10重量%以下であることを特徴としている。また、請求項9記載の発明の吸水剤は、上記の課題を解決するために、請求項1〜8の何れか1項に記載の吸水剤組成物からなる吸水剤であって、上記吸水剤組成物中の吸水性樹脂を粉体化変性剤で変性してなることを特徴としている。さらに、請求項10記載の発明の粉体化変性剤は、上記の課題を解決するために、請求項1記載の吸水剤組成物の製造に用いられる粉体化変性剤であって、酸基と反応し得る液状変性剤と、粒子状の水不溶性化合物とを含むことを特徴としている。請求項11記載の発明の粉体化変性剤は、上記の課題を解決するために、請求項10記載の粉体化変性剤において、上記液状変性剤が架橋剤を含むことを特徴としている。
【0013】
上記の構成によれば、液状変性剤は、粉体化されることにより、粉体化変性剤を形成している。このため、粉体化変性剤中の液状変性剤は、実質的に固体状態で吸水性樹脂に含まれていることになる。また、液状変性剤が粉体化変性剤を形成しているので、吸水剤組成物中において、使用するまでは吸水性樹脂と、液状変性剤中に含まれる変性剤とが別々に存在し、反応することはない。一方、該吸水剤組成物が例えば水性液体を吸収した時点、或いは吸水剤組成物が例えば加熱された時点で、吸水性樹脂と、液状変性剤中に含まれる変性剤とが接して反応し、吸水性樹脂が変性(例えば、変性剤が架橋剤である場合には、表面架橋処理)される。従って、吸水性樹脂を均一に変性することができると共に、該変性の時期をコントロールすることができるので、変性によって発現する諸特性の経時変化による低下を防止することができる。特に、上記液状変性剤が多価アミン等を含む架橋剤である場合には、該多価アミン等による吸水性樹脂のイオン架橋の時期をコントロールすることができるので、上記諸特性の経時変化による低下をより一層効果的に防止することができる。
【0014】
従って、上記の構成によれば、加圧下での吸収倍率や保水能等の、加圧下での吸収特性に優れ、かつ、例えば、衛生材料等に用いる場合において、吸水性樹脂の重量%(樹脂濃度)を高くしても優れた性能(吸収特性)を示すことができる吸水剤組成物および吸水剤を提供することができる。また、上記の構成によれば、加圧下での吸収特性に優れ、吸水 時において吸収体からの吸水性樹脂の脱落が起こり難く、かつ、製造後、使用するまでの期間中に、その結合性が経時的に変化しない吸水剤組成物および吸水剤を提供することができる。
【0015】
本発明にかかる吸水剤組成物および吸水剤は、優れた吸収特性を備えているので、例えば、体液を吸収させることを目的とする例えば、紙オムツや生理用ナプキン、いわゆる失禁パット等の失禁者用の治具、創傷保護材、創傷治癒材等の衛生材料;食品等から生じるドリップを吸収させることを目的とするドリップ吸収材や鮮度保持材;保水を目的とする土壌保水材;止水材;等の広範囲の用途に好適に使用することができる。
【0016】
また、請求項12記載の発明の吸水剤組成物の製造方法は、上記の課題を解決するために、吸水性樹脂と、液状変性剤を粉体化した粉体化変性剤とを混合することを特徴としている。請求項13記載の発明の吸水剤組成物の製造方法は、上記の課題を解決するために、請求項12記載の吸水剤組成物の製造方法において、粉体化が、液状変性剤を粒子状の水不溶性化合物と混合することによって行われることを特徴としている。請求項14記載の発明の吸水剤組成物の製造方法は、上記の課題を解決するために、請求項12記載の吸水剤組成物の製造方法において、粉体化が、液状変性剤を、その融点以下に冷却して固化することにより行われることを特徴としている。請求項15記載の発明の吸水剤組成物の製造方法は、上記の課題を解決するために、請求項12〜14の何れか1項に記載の吸水剤組成物の製造方法において、上記吸水性樹脂が酸基を有する吸水性樹脂であることを特徴としている。請求項16記載の発明の吸水剤組成物の製造方法は、上記の課題を解決するために、請求項12〜15の何れか1項に記載の吸水剤組成物の製造方法において、上記液状変性剤が架橋剤を含むことを特徴としている。請求項17記載の発明の吸水剤組成物の製造方法は、上記の課題を解決するために、請求項16記載の吸水剤組成物の製造方法において、上記架橋剤が、重量平均分子量が2,000以上の多価アミンを含むことを特徴としている。
【0017】
従来の方法においては、例えば吸水性樹脂を架橋剤を用いて表面架橋処理する場合には、架橋剤単体若しくはその水性液を吸水性樹脂に混合する。通常、該架橋剤およびその水性液は常温で液体状であり、架橋剤と吸水性樹脂との親和性が高い。このため、両者を混合すると直ちに、架橋剤が吸水性樹脂に吸収されたり、或いは、架橋剤と吸水性樹脂との反応が開始されたりする。従って、架橋剤を吸水性樹脂表面に均一に分布させることが困難であるので、表面架橋処理を均一に行うことが困難である。
【0018】
これに対し、本発明にかかる方法によれば、吸水性樹脂と、液状変性剤を粉体化した粉体化変性剤とを混合することによって、吸水剤組成物を製造する。従って、例えば、上記粉体化変性剤が、液状変性剤と粒子状の水不溶性化合物とを混合してなる場合、粉体化変性剤中における液状変性剤は、例えば、水不溶性化合物の表面および/または内部に存在する。つまり、本発明にかかる方法によれば、実質的に固体状態で該液状変性剤を親水性重合体と混合することができる。従って、上記の方法によれば、液状変性剤と吸水性樹脂とを混合する場合と比較して、吸水性樹脂と、液状変性剤、即ち粉体化変性剤とを均一に混合することができる。また、上記吸水性樹脂と粉体化変性剤との混合物(吸水剤組成物)において、吸水性樹脂と液状変性剤とは各々別々に存在している。つまり、液状変性剤を粉体化して粉体化変性剤として用いた場合、吸水性樹脂と粉体化変性剤とを混合しても、直ぐに液状変性剤が吸水性樹脂に吸収されたり、或いは、液状変性剤中に含まれる変性剤と吸水性樹脂との反応が開始されたりすることはない。そして、該吸水剤組成物に例えば水性液体を吸収させた時点、或いは吸水剤組成物を例えば加熱した時点で、吸水性樹脂と、液状変性剤中に含まれる変性剤とが接触し、吸水性樹脂を均一に変性することができる。
【0019】
また、上記粉体化変性剤として、液状変性剤をその融点以下に冷却して固化してなる粉体化変性剤を用いた場合にも、上記液状変性剤を、実質的に固体状態で吸水性樹脂と均一に混合することができる。この場合にも、液状変性剤が粉体化変性剤を形成しているので、吸水剤組成物中において、使用するまでは吸水性樹脂と液状変性中の変性剤とが別々に存在し、反応することはない。そして、上記粉体化変性剤を融解させたときに、吸水性樹脂と上記変性剤とが接して反応し、吸水性樹脂が変性(例えば、液状変性剤が架橋剤である場合には、表面架橋処理)される。
【0020】
以上のように、上記の製造方法によれば、吸水性樹脂を均一に変性することができると共に、該変性の時期をコントロールすることができる。このため、上記の製造方法によれば、例えば加圧下の吸収倍率等、変性によって発現する諸特性を向上することができる。従って、上記の方法によれば、諸特性のバランスに優れた吸水剤組成物を容易に得ることができる。また、特に、液状変性剤が多価アミンを含む架橋剤である場合には、使用時に、吸水性樹脂が水性液体を吸収した時点で吸水性樹脂粒子間の結合力や前述した吸収体の保形力が発現する。さらに、上記液状変性剤として多価アミン等を含む架橋剤を用いれば、該多価アミンによる吸水性樹脂粒子間の反応の時期をコントロールすることができるので、ゲル破断力をはじめとする諸特性の経時変化による低下をより一層効果的に防止することができる
【0021】
以下に本発明を詳しく説明する。
本発明にかかる親水性樹脂(吸水剤組成物)に含まれる親水性重合体は、官能基を有していればよく、特に限定されるものではないが、官能基が酸基である親水性重合体、とりわけ吸水性樹脂がより好ましい。
【0022】
酸基を有する親水性重合体としては、例えば、カルボキシル基を含有する吸水性架橋重合体が好適である。該吸水性架橋重合体は、例えば、アクリル酸またはその塩を主成分とする親水性不飽和単量体を(共)重合(以下、単に重合と記す)させることにより得られる。該吸水性架橋重合体としては、例えば、ポリアクリル酸の部分中和物架橋体(米国特許第4,625,001号、米国特許第4,654,039号、米国特許第5,250,640号、米国特許第5,275,773号、欧州特許第456,136号等)、澱粉−アクリル酸グラフト重合体の部分中和物架橋体(米国特許第4, 076, 663号)、イソブチレン−マレイン酸共重合体(米国特許第4, 389, 513号)、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体のケン化物(米国特許第4, 124, 748号)、アクリルアミド(共)重合体の加水分解物(米国特許第3, 959, 569号)、アクリロニトリル重合体の加水分解物(米国特許第3, 935, 099号)等の、公知の吸水性樹脂が挙げられる。そして、該吸水性架橋重合体のうち、ポリアクリル酸塩の架橋重合体がさらに好ましい。また、ポリアクリル酸塩の架橋重合体は、該架橋重合体中の酸基のうち、50モル%〜90モル%が、例えば、アルカリ金属塩やアンモニウム塩、アミン塩等によって中和されていることがより好ましい。
【0023】
上記の親水性不飽和単量体は、必要に応じて、アクリル酸またはその塩以外の不飽和単量体(以下、他の単量体と記す)を含有していてもよい。他の単量体としては、具体的には、例えば、メタクリル酸、マレイン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸等の、アニオン性不飽和単量体およびその塩;
アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルピロリジン等の、ノニオン性の親水基含有不飽和単量体;
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、および、これらの四級塩等の、カチオン性不飽和単量体;
等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら他の単量体を併用する場合の使用量は、親水性不飽和単量体全体の50モル%未満が好ましく、30モル%未満がより好ましい。
【0024】
親水性不飽和単量体を重合させて得られる親水性重合体は、カルボキシル基を有している。該親水性重合体を得る際には、内部架橋剤を用いて架橋構造を内部に導入することが望ましい。上記の内部架橋剤は、重合性不飽和基および/または反応性基を一分子中に複数有する化合物であればよく、特に限定されるものではない。つまり、内部架橋剤は、親水性不飽和単量体と共重合および/または反応する置換基を一分子中に複数有する化合物であればよい。尚、親水性不飽和単量体は、内部架橋剤を用いなくとも架橋構造が形成される自己架橋型の化合物からなっていてもよい。
【0025】
内部架橋剤としては、具体的には、例えば、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンアクリレートメタクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート、トリアリルアミン、ポリ(メタ)アリロキシアルカン、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、エチレンジアミン、ポリエチレンイミン、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら内部架橋剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。そして、上記例示の内部架橋剤のうち、重合性不飽和基を一分子中に複数有する内部架橋剤を用いることにより、得られる親水性重合体(吸水性樹脂)の吸収特性等をより一層向上させることができる。
【0026】
内部架橋剤の使用量は、親水性不飽和単量体に対して、0.005モル%〜3モル%の範囲内がより好ましく、0.01モル%〜1.5モル%の範囲内がさらに好ましい。内部架橋剤の使用量が0.005モル%よりも少ない場合、並びに、3モル%よりも多い場合には、親水性重合体として、所望の吸収特性を備えた吸水性樹脂が得られないおそれがある。
【0027】
尚、親水性不飽和単量体を重合させて親水性重合体を得る際には、反応系に、澱粉、澱粉の誘導体、セルロース、セルロースの誘導体、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(塩)、ポリアクリル酸(塩)架橋体等の親水性高分子;次亜リン酸(塩)等の連鎖移動剤;等を添加してもよい。
【0028】
親水性不飽和単量体の重合方法は、特に限定されるものではなく、例えば、水溶液重合、逆相懸濁重合、バルク重合、沈澱重合等の公知の方法を採用することができる。このうち、重合反応の制御の容易さ、および、得られる親水性重合体の性能面から、親水性不飽和単量体を水溶液にして重合させる方法、即ち、水溶液重合および逆相懸濁重合がより好ましい。反応温度や反応時間等の反応条件は、親水性不飽和単量体の種類等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。水溶液重合または逆相懸濁重合の重合方法としては、公知の重合方法(例えば、米国特許第4,625,001号、米国特許第4,769,427号、米国特許第4,873,299号、米国特許第4,093,776号、米国特許第4, 367,323号、米国特許第4, 446, 261号、米国特許第4, 683, 274号、米国特許第4, 690, 996号、米国特許第4, 721, 647号、米国特許第4, 738, 867号、米国特許第4, 748, 076号等)が挙げられる。
【0029】
親水性不飽和単量体を重合させる際には、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩等のラジカル重合開始剤;紫外線や電子線等の活性エネルギー線;等を用いることができる。また、酸化性ラジカル重合開始剤を用いる場合には、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸第一鉄、L−アスコルビン酸等の還元剤を併用してレドックス重合を行ってもよい。これら重合開始剤の使用量は、親水性不飽和単量体に対して、0.001モル%〜2モル%の範囲内が好ましく、0.01モル%〜0.5モル%の範囲内がより好ましい。
【0030】
上記の重合方法によって得られる親水性重合体は、不定形破砕状、球状、鱗片状、繊維状、顆粒状、棒状、略球状、扁平状等の種々の形状であってもよい。また、親水性重合体は、必要に応じて、分級等の操作によって、その粒子径が調整されていてもよい。親水性重合体の平均粒子径は、200μm〜600μmの範囲内が好ましい。そして、平均粒子径が上記範囲内であり、しかも、粒子径が150μm未満の粒子の割合が10重量%以下である親水性重合体がより好ましく、該粒子の割合が5重量%以下である親水性重合体がさらに好ましい。尚、吸水性樹脂の平均粒子径が上記範囲外である場合には、親水性重合体として、吸収特性に優れた吸水性樹脂を得ることが困難となるおそれがある。
【0031】
本発明において、液状変性剤とは、変性剤を親水性重合体に添加する状態において液状であるものを示す。上記液状変性剤としては、変性剤自体が液状であってもよいし、変性剤を適当な溶媒に溶解あるいは分散してなる変性剤溶液あるいは分散液であってもよい。つまり、上記液状変性剤としては、変性剤を含み、かつ、親水性重合体への添加時に液状であれば、特に限定されるものではない。
【0032】
上記の変性剤は、親水性重合体が有する官能基と反応し得る化合物であればよく、特に限定されるものではない。尚、本発明において変性とは、親水性重合体と変性剤とを接触、反応させることにより、親水性重合体の構造や物性を変化させることを示す。具体的には、変性とは、例えば、架橋処理(二次架橋処理)等を示す。また、親水性重合体と変性剤との反応としては、具体的には、例えば、架橋反応、付加反応、置換反応、エステル化反応等を示す。
【0033】
上記の変性剤としては、親水性重合体が有する官能基と反応する官能基を一分子中に複数(つまり、多官能)有する化合物、並びに、親水性重合体が有する官能基と反応する官能基を一分子中に一つ(つまり、一官能)有する化合物が挙げられる。これら変性剤のなかでも、親水性重合体が有する官能基と反応する官能基を一分子中に複数有する化合物が好ましい。
【0034】
上記の変性剤において、親水性重合体が有する官能基と反応する官能基を一分子中に複数有する化合物としては、架橋剤(表面架橋剤)が挙げられる。親水性重合体が有する官能基がカルボキシル基である場合において、好適な架橋剤としては、具体的には、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、テトラプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、グリセリン、ポリグリセリン、2−ブテン−1,4−ジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサノール、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシプロピレン、オキシエチレン−オキシプロピレン・ブロック共重合体、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール;
エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリシドール等の多価エポキシド;エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン等の多価アミン;
1,3−ジオキソラン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,3−ジオキサン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキサン−2−オン、4,6−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−オン等のアルキレンカーボネート;
2,4−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の多価イソシアネート;
1,2−エチレンビスオキサゾリン等の多価オキサゾリン化合物;
エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、α−メチルエピクロロヒドリン等のハロエポキシド;
亜鉛やカルシウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄、ジルコニウム等の多価金属の水酸化物並びに塩化物等の、多価金属化合物;
等の、公知の表面架橋剤が挙げられるが、これら化合物に限定されるものではない。これら架橋剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
【0035】
上記例示の架橋剤のうち、多価アルコール、多価エポキシド、多価アミン、およびアルキレンカーボネートからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を含む架橋剤がより好ましい。
【0036】
また、多価アミンのうち、重量平均分子量(Mw)が2,000以上の多価アミン(以下、高分子量多価アミンと記す)がさらに好ましく、重量平均分子量が10,000〜10,000,000の範囲内の高分子量多価アミンが特に好ましい。高分子量多価アミンの重量平均分子量が2,000未満である場合には、得られる親水性樹脂における親水性重合体粒子間の吸水時における結合性や保形性、親水性樹脂およびセルロース繊維(例えば、紙、粉砕パルプ等)等で構成される吸収体の吸水時における結合性や保形性が不充分となるおそれがある。
【0037】
架橋剤が高分子量多価アミンを含んでいる場合には、例えば、親水性樹脂、即ち、親水性樹脂中の親水性重合体が水性液体を吸収する時点で、親水性重合体と高分子量多価アミンとが接して反応し、親水性重合体粒子間の結合力や上記吸収体の保形力が発生する。このように、本発明によれば、親水性重合体と高分子量多価アミンとの反応の時期をコントロールすることができるので、上記結合性の経時変化による低下をより一層効果的に防止することができる。尚、高分子量多価アミンを架橋剤として用いる場合には、親水性重合体は、その表面部分が公知の表面架橋方法または本発明に記載された方法で表面架橋処理が予め行われていてもよい。
【0038】
上記の高分子量多価アミンとしては、例えば、(1) モノアリルアミン誘導体の単独重合体,ジアリルアミン誘導体の単独重合体;(2) 二種類以上のモノアリルアミン誘導体の共重合体,二種類以上のジアリルアミン誘導体の共重合体,モノアリルアミン誘導体とジアリルアミン誘導体との共重合体;(3) モノアリルアミン誘導体および/またはジアリルアミン誘導体と、ジアルキルジアリルアンモニウム塩との共重合体;(4) 三級アミノ基を有する不飽和カルボン酸誘導体(以下、不飽和カルボン酸誘導体aと記す)の単独重合体;(5) 二種類以上の不飽和カルボン酸誘導体aの共重合体;(6) 不飽和カルボン酸誘導体aと、該不飽和カルボン酸誘導体aが有する三級アミノ基をプロトン化および/またはアルキル化してなる四級アンモニウム塩(以下、四級アンモニウム塩と記す)、および/または、ジアルキルジアリルアンモニウム塩との共重合体;(7) 不飽和カルボン酸誘導体aと、四級アンモニウム塩および/またはジアルキルジアリルアンモニウム塩と、これら単量体と共重合可能なビニル単量体の三元共重合体;(8) 不飽和カルボン酸、および、該不飽和カルボン酸と共重合可能な不飽和単量体を共重合させて共重合体を得た後、該共重合体が有するカルボキシル基をアルキレンイミンと反応させてなる重合体;(9) ポリアルキレンイミン;(10)ポリアルキレンイミン・エピハロヒドリン樹脂;(11)ポリアルキレンポリアミン;(12)(2−メタクリロイルオキシエチル)エチレンイミンの重合体,(2−メタクリロイルオキシエチル)エチレンイミン、および、該(2−メタクリロイルオキシエチル)エチレンイミンと共重合可能な不飽和単量体の共重合体;(13)ポリアミドポリアミン;(14)ポリアミドアミン・エピハロヒドリン樹脂;(15)ポリアクリルアミドのマンニッヒ反応変性物,ポリメタクリルアミドのマンニッヒ反応変性物;(16)ポリビニルアミン,ビニルアミン、および、該ビニルアミンと共重合可能な不飽和単量体の共重合体;(17)ジシアンジアミド・ジエチレントリアミン重縮合物;等が挙げられる。
【0039】
このような高分子量多価アミンとしては、より具体的には、例えば、ポリアリルアミン、ポリジアリルアミン、ポリ(N−アルキルアリルアミン)、ポリ(アルキルジアリルアミン)、モノアリルアミン−ジアリルアミン共重合体、N−アルキルアリルアミン−モノアリルアミン共重合体、モノアリルアミン−ジアルキルジアリルアンモニウム塩・共重合体、ジアリルアミン−ジアルキルジアリルアンモニウム塩・共重合体、ポリジメチルアミノエチルアクリレート、ポリジエチルアミノエチルアクリレート、ポリジメチルアミノエチルアクリルアミド、直鎖状ポリエチレンイミン、分岐鎖状ポリエチレンイミン、ポリエチレンポリアミン、ポリプロピレンポリアミン、ポリアミドポリアミン、ポリエーテルポリアミン、ポリビニルアミン、ポリアミドポリアミン・エピクロロヒドリン樹脂、ポリアミジン等が挙げられる。また、ポリアクリルアミドまたはポリメタクリルアミドに、ホルムアルデヒドとジエチルアミンとを反応させてなる、アミノ化された変性体等も挙げられる。また、高分子量多価アミンは、酸性化合物によって完全中和または部分中和されていてもよい。
【0040】
また、上記の変性剤において、親水性重合体が有する官能基と反応する官能基を一分子中に一つ有する化合物としては、具体的には、例えば、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノール、アルコキシポリエチレングリコール、乳酸、乳酸エチル等の、ヒドロキシル基を有する化合物;
2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−メチルオクチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート等の、エポキシ基を有する化合物;
メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン、3−(ジブチルアミノ)プロピルアミン、n−ブチルアミン、t−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ジ−2−エチルヘキシルアミン、トリ−n−オクチルアミン等の、アミノ基を有する化合物、および、これらの塩類;
アミノ基を有する陽イオン界面活性剤、および、この塩類;
等が挙げられるが、これら化合物に限定されるものではない。これら化合物は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。さらに、本発明にかかる変性剤においては、官能基を一分子中に複数有する化合物と、官能基を一分子中に一つ有する化合物とを併用してもよい。
【0041】
親水性重合体に対する変性剤の使用量は、親水性重合体の組成、親水性重合体の種類、親水性重合体と変性剤との組み合わせ、或いは親水性樹脂の用途等にもよるが、親水性重合体の固形分100重量部に対して、0.001重量部〜10重量部の範囲内がより好ましく、0.01重量部〜5重量部の範囲内がさらに好ましい。変性剤の使用量を上記範囲内に設定することにより、親水性樹脂として、加圧下での吸収特性、並びに、結合性や保形性に優れた吸水剤を得ることができる。変性剤の使用量が10重量部を越える場合には、該変性剤の一部が無駄となり、不経済となると共に、変性剤が過剰に存在しているので、所望する変性(改質)効果を得ることができなくなるおそれがある。例えば、変性剤が架橋剤である場合には、架橋剤が過剰に存在すると、架橋密度が高くなり過ぎるので、吸収倍率が低下する。一方、変性剤の使用量が0.001重量部よりも少ない場合には、所望する変性効果を得ることが困難となるおそれがある。
【0042】
また、本発明にかかる液状変性剤が溶媒を含む場合に用いられる溶媒としては、例えば、水、親水性有機溶媒、およびそれらの混合溶媒等が挙げられる。つまり、上記液状変性剤が、変性剤の溶液または分散液である場合、上記液状変性剤は、変性剤を、例えば水および/または親水性有機溶媒に溶解または分散させることにより、容易に得ることができる。尚、変性剤を溶液または分散液とする場合における該変性剤の濃度は、特に限定されるものではない。
【0043】
上記の親水性有機溶媒としては、具体的には、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール等の低級アルコール類;アセトン等のケトン類;ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0044】
本発明において液状変性剤を粉体化することにより粉体化変性剤を得る方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、液状変性剤を粒子状の水不溶性化合物と混合する方法;液状変性剤をその融点以下に冷却する方法;等が挙げられる。
【0045】
上記粒子状の水不溶性化合物としては、親水性重合体と変性剤との反応に対して不活性であると共に、得られる親水性樹脂の諸特性に悪影響を及ぼさない化合物であればよく、特に限定されるものではない。
【0046】
上記の水不溶性化合物としては、具体的には、例えば、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、タルク、リン酸カルシウム、リン酸バリウム、珪酸、珪酸塩、粘土、珪藻土、ゼオライト、ベントナイト、カオリン、ハイドロタルサイト、パーライト、イソライト、活性白土、珪砂、珪石、ストロンチウム鉱石、螢石、ボーキサイト等の無機粉体;
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド、メラミン樹脂、ポリメチルメタクリレート、変性澱粉、粉末状セルロース、エチルセルロース、おが屑、活性炭、茶葉等の有機粉体;
微粒子状の吸水性樹脂;
等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら水不溶性化合物は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。上記例示の水不溶性化合物のうち、微粒子状の無機粉体がより好ましく、微粒子状の粘土がさらに好ましい。また、水不溶性化合物の粒子径は、1,000μm以下が好ましく、500μm以下がより好ましく、100μm以下がさらに好ましい。
【0047】
粉体化変性剤における液状変性剤と水不溶性化合物との割合は、液状変性剤の種類、水不溶性化合物の種類、液状変性剤と水不溶性化合物との組み合わせ、或いは親水性樹脂の用途等にもよるが、水不溶性化合物100重量部に対して、液状変性剤(即ち、変性剤或いはその溶液または分散液)の割合を、1重量部〜1,000重量部の範囲内に設定することがより好ましく、10重量部〜500重量部の範囲内に設定することがさらに好ましい。液状変性剤の割合が1,000重量部を越える場合には、親水性樹脂がスラリー状となり易い。親水性樹脂がスラリー状である場合には、親水性重合体と粉体化変性剤とを混合すると直ちに、液状変性剤が親水性重合体に吸収されたり、或いは、液状変性剤と親水性重合体との反応が開始されたりする。従って、液状変性剤を親水性重合体表面に均一に分布させることが困難となるので、所望する変性効果を得ることができなくなるおそれがある。例えば、変性剤が架橋剤である場合には、親水性重合体として、加圧下での吸収特性、並びに、結合性や保形性に優れた吸水剤を得ることが困難となるおそれがある。一方、液状変性剤の割合が1重量部よりも少ない場合には、所望する変性効果を得ることが困難となるおそれがある。
【0048】
液状変性剤と水不溶性化合物とを混合する混合方法は、特に限定されるものではなく、例えば、変性剤と水不溶性化合物とを単に混合する方法;変性剤の溶液または分散液と、水不溶性化合物とを混合する方法;等が挙げられる。また、変性剤の溶液または分散液と、水不溶性化合物とを混合する場合には、例えば、水不溶性化合物に上記溶液または分散液を噴霧するか、または滴下した後、両者を混合する方法が一般的である。
【0049】
上記液状変性剤と水不溶性化合物とを混合する際に用いられる混合装置としては、例えば、円筒型混合機、スクリュー型混合機、スクリュー型押出機、タービュライザー、ナウター型混合機、V字型混合機、リボン型混合機、双腕型ニーダー、流動式混合機、気流型混合機、回転円盤型混合機、ロールミキサー、転動式混合機等を挙げることができる。混合速度は、高速であってもよく、また、低速であってもよい。尚、液状変性剤を変性剤溶液または分散液とした場合には、水不溶性化合物と混合した後、必要に応じて、水および/または親水性有機溶媒を除去すればよい。
【0050】
液状変性剤と水不溶性化合物とを混合することにより、本発明にかかる粉体化変性剤が得られる。粉体化変性剤は、粒子状であることが好ましい。通常、粉体化変性剤の粒子径は、親水性重合体の平均粒子径の1/2以下、好ましくは1/5以下である。粉体化変性剤を製造する際には、例えば、親水性樹脂の用途等に応じて、水不溶性化合物の種類や粒子径、並びに、水不溶性化合物と液状変性剤との混合条件等を適宜選択すればよい。これにより、親水性重合体をより一層均一に変性することができると共に、該変性の時期をより一層容易にコントロールすることができる粉体化変性剤を得ることができる。
【0051】
また、液状変性剤をその融点以下に冷却して固化することにより、粉体化変性剤を得ることもできる。
【0052】
本発明において、上記親水性重合体と粉体化変性剤とを混合する混合方法は、特に限定されるものではない。両者を混合する際に用いられる混合装置としては、例えば、前記例示の混合装置が挙げられる。混合速度は、高速であってもよく、また、低速であってもよい。
【0053】
本発明によれば、上記親水性重合体と粉体化変性剤とを混合する混合工程を行うことにより、親水性重合体に変性剤を均一に混合することが可能であり、これにより、諸特性のバランスに優れた親水性樹脂を容易に得ることができる。また、必要に応じて、上記混合工程を行った後、得られた混合物を加熱する加熱処理(加熱工程)を行うことにより、上記親水性重合体と変性剤との反応を効率良く行うことができる。さらに、必要に応じて、上記混合工程を行った後、得られた混合物に、液体状またはガス状の水性液体を添加し、次いで、必要により上記加熱処理を行うことによっても、上記親水性重合体と変性剤との反応を効率良く行うことができる。つまり、上記親水性重合体を粉体化変性剤を用いて変性する場合、具体的には、親水性重合体と粉体化変性剤とを混合し、必要に応じて水性液体の添加および/または加熱等の適当な手段を用いて、上記親水性重合体と粉体化変性剤を構成する変性剤とを接触させればよい。
【0054】
上記液体状またはガス状の水性液体としては、具体的には、例えば、水、水蒸気、水と親水性有機溶媒との混合溶液等が挙げられる。親水性有機溶媒としては、例えば、前記例示の化合物が挙げられるが、特に限定されるものではない。上記の変性剤と親水性重合体との反応で共有結合が形成される場合、例えば、変性剤が、多価アルコール、多価エポキシド、アルキレンカーボネート等である場合には、親水性重合体と粉体化変性剤との混合物に、上記水性液体を添加することにより、親水性樹脂として、加圧下での吸収特性により一層優れた吸水剤を得ることができる。この場合、使用される水性液体中の水の量は、親水性重合体の組成や平均粒子径、用いる粉体化変性剤の組成、或いは親水性樹脂の用途等にもよるが、親水性重合体の固形分100重量部に対して、10重量部以下が好ましく、1重量部〜5重量部の範囲内がより好ましい。また、使用される水性液体中の親水性有機溶媒の量は、同様に、通常、親水性重合体の固形分100重量部に対して、10重量部以下が好ましく、0.1重量部〜5重量部の範囲内がより好ましい。尚、水性液体を添加する添加方法は、特に限定されるものではない。
【0055】
加熱処理を行う場合における処理温度は、用いる粉体化変性剤の種類等にもよるが、80℃以上がより好ましく、100℃〜230℃の範囲内がさらに好ましく、160℃〜220℃の範囲内が特に好ましい。加熱処理を行うことにより、親水性重合体表面が変性される。処理温度が80℃未満である場合には、親水性重合体を均一に変性することが困難となるおそれがあるため、親水性樹脂として吸水剤を得る場合、加圧下での吸収特性により一層優れた吸水剤を得ることが困難となるおそれがある。また、加熱処理に時間がかかるので、親水性樹脂の生産性の低下を引き起こすおそれがある。加熱処理は、一般的な乾燥機または加熱炉を用いて行うことができる。上記の乾燥機としては、例えば、溝型混合乾燥機、ロータリー乾燥機、デスク乾燥機、流動層乾燥機、気流型乾燥機、赤外線乾燥機等が挙げられる。尚、親水性重合体と粉体化変性剤とを混合しながら、加熱処理を行うこともできる。つまり、混合工程と加熱処理とを並行して行うこともできる。
【0056】
本発明にかかる親水性樹脂(吸水剤組成物)は、以上のように、親水性重合体と、液状変性剤を粉体化した粉体化変性剤とを含む構成である。上記の構成によれば、液状変性剤は、粉体化されることにより、粉体化変性剤を形成している。このため、液状変性剤は、実質的に固体状態で親水性樹脂に含まれていることになる。また、液状変性剤が粉体化変性剤を形成しているので、親水性樹脂中において、使用するまでは吸水性樹脂と、液状変性剤中に含まれる変性剤とは別々に存在し、反応することはない。一方、該親水性樹脂が例えば水性液体を吸収した時点、或いは親水性樹脂が例えば加熱された時点で、吸水性樹脂と、液状変性剤中に含まれる変性剤とが接して反応し、親水性重合体が変性(例えば、変性剤が架橋剤である場合には、表面架橋処理)される。従って、親水性重合体を均一に変性することができると共に、該変性の時期をコントロールすることができる。このため、上記の親水性樹脂は、例えば加圧下の吸収倍率等、変性によって発現する諸特性の向上や、ゲル破断力をはじめとする上記諸特性の経時変化による低下の防止を図ることができる。
【0057】
従って、上記の構成によれば、加圧下での吸収倍率や保水能等の、加圧下での吸収特性に優れ、かつ、例えば、衛生材料等に用いる場合において、親水性重合体の重量%(樹脂濃度)を高くしても優れた性能(吸収特性)を示すことができる親水性樹脂を提供することができる。尚、該親水性樹脂、つまり、吸水性樹脂においては、水性液体が吸水性樹脂粒子間を移動するための導液空間が、加圧下においても確保される。従って、親水性重合体の使用量を50重量%以上にした場合であっても、上記の導液空間は、加圧下においても確保される。
【0058】
また、上記の構成によれば、加圧下での吸収特性に優れ、吸水時において吸収体からの親水性重合体の脱落が起こり難く、かつ、製造後、使用するまでの期間中に、その結合性が経時的に変化しない親水性樹脂を提供することができる。特に、液状変性剤が多価アミン等を含む架橋剤である場合には、上記効果をより一層顕著に奏することができる。
【0059】
本発明にかかる親水性樹脂は、例えば、紙や粉砕パルプ等のセルロース繊維等と複合されて使用される。本発明にかかる親水性樹脂は、加圧条件下においても、水性液体の拡散性に優れると共に漏れが少なく、しかも、優れた吸収特性を備えているので、例えば、体液を吸収させることを目的とする例えば、紙オムツや生理用ナプキン、いわゆる失禁パット等の失禁者用の治具、創傷保護材、創傷治癒材等の衛生材料;食品等から生じるドリップを吸収させることを目的とするドリップ吸収材や鮮度保持材;保水を目的とする土壌保水材;止水材;等の広範囲の用途に好適に使用することができる。
【0060】
本発明にかかる親水性樹脂(吸水剤組成物)の製造方法は、以上のように、親水性重合体と、液状変性剤を粉体化した粉体化変性剤とを混合する方法である。上記の粉体化は、例えば、液状変性剤を粒子状の水不溶性化合物と混合する方法や、液状変性剤を、その融点以下に冷却して固化する方法により行われる。また、本発明にかかる親水性樹脂の製造方法は、以上のように、親水性重合体および粉体化変性剤からなる混合物を加熱する方法である。さらに、本発明にかかる親水性樹脂(変性した親水性重合体(吸水性樹脂);吸水剤)の製造方法は、以上のように、親水性重合体および粉体化変性剤からなる混合物に、液体状またはガス状の水性液体を添加した後、加熱する方法である。上記親水性重合体としては、例えば、酸基を有する吸水性樹脂が挙げられる。また、上記液状変性剤としては、架橋剤等が挙げられる。
【0061】
上記の方法によれば、親水性重合体と、液状変性剤を粉体化した粉体化変性剤とを混合することによって、親水性樹脂(吸水剤組成物、さらには吸水剤)を製造する。従って、例えば、上記粉体化変性剤が、液状変性剤と粒子状の水不溶性化合物とを混合してなる場合、粉体化変性剤中における液状変性剤は、例えば、水不溶性化合物の表面および/または内部に存在する。このため、上記の方法によれば、実質的に固体状態で該液状変性剤を親水性重合体と均一に混合することができる。従って、上記の方法によれば、液状変性剤を直接、親水性重合体と混合する場合と比較して、親水性重合体と、液状変性剤、即ち粉体化変性剤とを均一に混合することができる。また、上記親水性重合体と粉体化変性剤との混合物(吸水剤組成物)において、親水性重合体と液状変性剤とは各々別々に存在している。つまり、液状変性剤を粉体化して粉体化変性剤として用いた場合、親水性重合体と粉体化変性剤とを混合しても、直ぐに液状変性剤が親水性重合体に吸収されたり、或いは、液状変性剤中に含まれる変性剤と親水性重合体との反応が開始されたりすることはない。そして、該親水性樹脂に例えば水性液体を吸収させた時点、或いは親水性樹脂を例えば加熱した時点で、親水性重合体と、液状変性剤中に含まれる変性剤とが接触し、親水性重合体を均一に変性することができる。
【0062】
また、上記粉体化変性剤として、液状変性剤をその融点以下に冷却して固化してなる粉体化変性剤を用いた場合にも、上記液状変性剤を、実質的に固体状態で親水性重合体と混合することができる。この場合にも、液状変性剤が粉体化変性剤を形成しているので、親水性樹脂中において、使用するまでは親水性重合体と液状変性剤中に含まれる変性剤とが別々に存在し、反応することはない。そして、上記粉体化変性剤を融解させたときに、親水性重合体と液状変性剤中に含まれる変性剤とが接して反応し、親水性重合体が変性(例えば、液状変性剤が架橋剤である場合には、表面架橋処理)される。尚、上記粉体化変性剤の融解方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、加熱処理等、種々の方法を採用することができる。
【0063】
以上のように、上記の製造方法によれば、親水性重合体を均一に変性することができると共に、該変性の時期をコントロールすることができる。従って、上記の製造方法によれば、例えば、液状変性剤が多価アルコール、多価エポキシド、アルキレンカーボネート等である場合には、例えば加圧下の吸収倍率等、変性によって発現する諸特性を向上させることができる。また、特に、上記液状変性剤が多価アミン等を含む架橋剤である場合には、使用時に、親水性樹脂が水性液体を吸収した時点で親水性重合体粒子間の結合力や前述した吸収体の保形力が発現する。さらに、上記液状変性剤として多価アミン等を含む架橋剤を用いれば、該多価アミン等による親水性重合体粒子間の反応の時期をコントロールすることができるので、ゲル破断力をはじめとする上記諸特性の経時変化による低下をより一層効果的に防止することができる。従って、上記の方法によれば、諸特性のバランスに優れた上記の親水性樹脂を容易に得ることができる。
【0064】
【実施例】
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。尚、以下の説明においては、特に断りの無い限り、「部」は「重量部」を示し、「%」は「重量%」を示す。また、これらの親水性重合体または処理後の親水性樹脂(これらを総称して吸水剤と記す場合がある)の諸性能(物性)は、以下の方法で測定した。
【0065】
(a)吸収倍率
吸水剤0.2gを不織布製の袋(60mm×60mm)に均一に入れ、0.9%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)中に室温で浸漬した。60分後に袋を引き上げ、遠心分離機を用いて250Gで3分間水切りを行った後、袋の重量W1 (g)を測定した。また、同様の操作を吸水剤を用いないで行い、そのときの重量W0 (g)を測定した。そして、これら重量W1 ・W0 から、次式、
吸収倍率(g/g)=(重量W1 (g)−重量W0 (g))/吸水剤の重量(g)
に従って吸収倍率(g/g)を算出した。
【0066】
(b)加圧下吸収倍率
先ず、加圧下吸収倍率の測定に用いる測定装置について、図1を参照しながら、以下に簡単に説明する。
【0067】
図1に示すように、測定装置は、天秤1と、この天秤1上に載置された所定容量の容器2と、外気吸入パイプ3と、導管4と、ガラスフィルタ6と、このガラスフィルタ6上に載置された測定部5とからなっている。上記の容器2は、その頂部に開口部2aを、その側面部に開口部2bをそれぞれ有しており、開口部2aに外気吸入パイプ3が嵌入される一方、開口部2bに導管4が取り付けられている。また、容器2には、所定量の人工尿11が入っている。上記の人工尿11は、硫酸ナトリウム0.2%、塩化カリウム0.2%、塩化マグネシウム六水和物0.05%、塩化カルシウム二水和物0.025%、リン酸二水素アンモニウム0.085%、リン酸水素二アンモニウム0.015%の組成を有する水溶液である。また、外気吸入パイプ3の下端部は、人工尿11中に没している。上記のガラスフィルタ6は、直径70mmに形成されている。そして、容器2およびガラスフィルタ6は、導管4によって互いに連通している。さらに、ガラスフィルタ6は、その上面が、外気吸入パイプ3の下端と等しい高さとなる位置に固定されている。
【0068】
上記の測定部5は、濾紙7と、支持円筒8と、この支持円筒8の底部に貼着された金網9と、重り10とを有している。そして、測定部5は、ガラスフィルタ6上に、濾紙7、支持円筒8(つまり、金網9)がこの順に載置されると共に、支持円筒8内部、即ち、金網9上に重り10が載置されてなっている。支持円筒8は、内径60mmに形成されている。金網9は、ステンレスからなり、JIS規格で400メッシュ(目の大きさ38μm)に形成されている。そして、金網9上に所定量の吸水剤(親水性樹脂)が均一に撒布されるようになっている。重り10は、金網9、即ち、吸水剤に対して、50g/cm2 の荷重を均一に加えることができるように、その重量が調整されている。
【0069】
上記構成の測定装置を用いて加圧下吸収倍率を測定した。測定方法について以下に説明する。
【0070】
先ず、容器2に所定量の人工尿11を入れる、容器2に外気吸入パイプ3を嵌入する、等の所定の準備動作を行った。次に、ガラスフィルタ6上に濾紙7を載置した。一方、これら載置動作に並行して、支持円筒8内部、即ち、金網9上に吸水剤0.9gを均一に撒布し、この吸水剤上に重り10を載置した。
【0071】
次いで、濾紙7上に、金網9、つまり、吸水剤および重り10を載置した上記支持円筒8を載置した。
【0072】
そして、濾紙7上に支持円筒8を載置した時点から、60分間にわたって吸水剤が吸収した人工尿11の重量W2 (g)を、天秤1を用いて測定した。
【0073】
そして、上記の重量W2 から、次式、
加圧下吸収倍率(g/g)=重量W2 (g)/吸水剤の重量(g)
に従って、吸収開始から60分後の加圧下の吸収倍率(g/g)を算出した。
【0074】
(c)ゲル破断力
内径50mm、高さ13mmの支持円筒内部に25.3gの人工尿と吸水剤0.84gとを入れ、該吸水剤に人工尿を吸収させることによりゲルを得た。上記人工尿の組成は、(b)加圧下吸収倍率にて記載した通りである。次いで、上記支持円筒を、中央部に直径20mmの開口部を有する測定台に、上記支持円筒の中心部が上記測定台の中心部に一致するように載置し、上記支持円筒内部のゲルの破断力を測定した。上記破断力の測定は、ネオカードメーター(株式会社アイテクノ製;型式 M−302)を用いて、感圧軸の直径8mm、感圧軸の下降速度0.36cm/秒の条件下で行った。破断力とは、弾性力の限界に対し、弾性体、つまり、支持円筒内部のゲルの破壊に最小限必要とされる力を指す。
【0075】
(d)ゲル破断力低下促進試験後のゲル破断力および保持率
吸水剤0.84gを、40℃、相対湿度90%で (i)24時間あるいは(ii)48時間放置した(ゲル破断力低下促進試験;以下、単に低下促進試験と記す)。その後、この低下促進試験後の吸水剤を用いてゲル破断力を測定した。つまり、上記吸水剤0.84gと、25.3gの人工尿とを内径50mm、高さ13mmの支持円筒内部に入れ、該吸水剤に人工尿を吸収させることによりゲルを得た。該ゲルの破断力を、上記(c)の方法に従って測定した。
【0076】
保持率(%)は、吸水剤を、40℃、相対湿度90%で48時間放置することにより低下促進試験を行った場合のゲル破断力をA、低下促進試験を行っていない場合の吸水剤のゲル破断力をBとすると、Bに対するAの割合を百分率で表したものである。
【0077】
次に、本実施例で用いる吸水性樹脂の製造方法を参考例にて示す。
【0078】
〔参考例1〕
中和率75モル%のアクリル酸ナトリウム(親水性不飽和単量体)39重量%水溶液5,500gに、内部架橋剤としてのトリメチロールプロパントリアクリレート3.59gを溶解させて反応液とした。次に、この反応液を、窒素ガス雰囲気下で30分間脱気した。次いで、シグマ型羽根を2本有する内容積10Lのジャケット付きステンレス製双腕型ニーダーに蓋を取り付けて形成した反応器に、上記の反応液を供給し、反応液を30℃に保ちながら系を窒素ガス置換した。続いて、反応液を攪拌しながら、重合開始剤としての過硫酸アンモニウム2.4gおよびL−アスコルビン酸0.12gを添加したところ、およそ1分後に重合が開始した。そして、30℃〜80℃で重合を行い、重合を開始してから60分後に反応を終了して含水ゲル状重合体を取り出した。
【0079】
得られた含水ゲル状重合体は、その径が約5mmに細分化されていた。この細分化された含水ゲル状重合体を50メッシュの金網上に広げ、150℃で90分間熱風乾燥した。次いで、乾燥物を振動ミルを用いて粉砕し、さらに20メッシュの金網を通過させて分級することにより、平均粒子径が400μmで、しかも、粒子径が106μm未満の粒子の割合が5重量%の吸水性樹脂前駆体を得た。
【0080】
得られた吸水性樹脂前駆体100部に、架橋剤としてのグリセリン0.5部と、水3部と、親水性有機溶媒としてのイソプロピルアルコール0.75部とからなる表面架橋剤溶液を混合した。上記の混合物を200℃で35分間加熱処理することにより、親水性重合体としての吸水性樹脂(a)を得た。得られた吸水性樹脂(a)の平均粒子径は400μmであり、粒子径が106μm未満の粒子の割合は3%であった。
【0081】
〔参考例2〕
中和率75モル%のアクリル酸ナトリウム(親水性不飽和単量体)33重量%水溶液5,500gに、内部架橋剤としてのポリエチレングリコールジアクリレート3.56gを溶解させて反応液とした。次に、この反応液を、窒素ガス雰囲気下で脱気後、攪拌しながら、重合開始剤としての過硫酸ナトリウム2.4gおよびL−アスコルビン酸0.12gを添加して重合を行った。重合が終了した時点で、得られた含水ゲル状架橋重合体をさらに細分化し、150℃の熱風乾燥機中で含水ゲル状架橋重合体の含水量が5%以下になるまで乾燥を行った。次いで、乾燥物をロールグラニュレーターを用いて粉砕し、さらに20メッシュの金網を通過させて分級することにより、平均粒子径が400μmの粒子状の架橋重合体、即ち、親水性重合体としての吸水性樹脂(b)を得た。上記吸水性樹脂(b)における粒子径106μm未満の粒子の割合は3重量%であった。
【0082】
〔実施例1〕
先ず、架橋剤(液状変性剤)としての、重量平均分子量70,000のポリエチレンイミン50%水溶液(商品名 エポミンP−1050;株式会社日本触媒製)3部と、水不溶性化合物としての酸化アルミニウム(平均粒子径80μm)9部とを攪拌、混合することにより、平均粒子径80μmの粉体化変性剤(1)を得た。
【0083】
次に、上記の参考例1で得られた吸水性樹脂(a)100部に対し、上記の粉体化変性剤(1)12部を添加・混合した。その後、該混合物を90℃で20分間熱風乾燥した。得られた乾燥物を、840μmの開孔を有する金網で分級し、通過物を得ることにより、吸水剤(1)として親水性樹脂を得た。この吸水剤(1)の諸性能を上記の方法によって測定した。結果をまとめて表1に示す。
【0084】
〔実施例2〕
先ず、水不溶性化合物としてのパーライト(SiO2 とAl2 3 との合計量が、全成分の80%以上を占める火山系岩石粒子)を500μmの開孔を有する金網で分級し、通過物を得た。そして、この通過物5部と、架橋剤(液状変性剤)としての、重量平均分子量70,000のポリエチレンイミン30%水溶液(商品名 エポミンP−1000;株式会社日本触媒製)5部とを攪拌、混合することにより、平均粒子径200μmの粉体化変性剤(2)を得た。
【0085】
次に、上記の参考例1で得られた吸水性樹脂(a)100部に対し、上記の粉体化変性剤(2)10部を添加・混合した。その後、該混合物を、840μmの開孔を有する金網で分級し、通過物を得ることにより、吸水剤(2)となる親水性樹脂(吸水剤組成物)を得た。この吸水剤(2)の諸性能を上記の方法によって測定した。結果をまとめて表1に示す。尚、上記親水性樹脂は、使用時、即ち、本実施例においては、諸性能の測定時に吸水により架橋される。
【0086】
〔実施例3〕
先ず、架橋剤(液状変性剤)としての、重量平均分子量70,000のポリエチレンイミン30%水溶液(商品名 エポミンP−1000;株式会社日本触媒製)5部と、水不溶性化合物としての粉末状のポリエチレン(商品名 フローセンUF−1.5、75μm以下の粒子径を有する粒子の含有量99.9%以上;住友精化株式会社製)5部とを攪拌、混合することにより粉体化変性剤(3)を得た。
【0087】
次に、上記の参考例1で得られた吸水性樹脂(a)100部に対し、上記の粉体化変性剤(3)10部を添加・混合した。その後、該混合物を、840μmの開孔を有する金網で分級し、通過物を得ることにより、吸水剤(3)となる親水性樹脂(吸水剤組成物)を得た。この吸水剤(3)の諸性能を上記の方法によって測定した。結果をまとめて表1に示す。尚、上記親水性樹脂は、使用時、即ち、本実施例においては、諸性能の測定時に吸水により架橋される。
【0088】
〔比較例1〕
上記の参考例1で得られた吸水性樹脂(a)100部に対し、架橋剤(液状変性剤)としての、重量平均分子量70,000のポリエチレンイミン30%水溶液(商品名 エポミンP−1000;株式会社日本触媒製)5部を添加・混合した。その後、該混合物を90℃で20分間熱風乾燥した。この乾燥物を、840μmの開孔を有する金網で分級し、通過物を得ることにより、比較用吸水剤(1)として、処理が施された親水性重合体を得た。この比較用吸水剤(1)の諸性能を上記の方法によって測定した。結果をまとめて表1に示す。
【0089】
【表1】
Figure 0003753828
【0090】
〔実施例4〕
先ず、架橋剤(変性剤)としてのエチレングリコールジグリシジルエーテル0.1部と、親水性有機溶媒としてのイソプロピルアルコール2部と、水不溶性化合物としての親水性微粒子状二酸化ケイ素(商品名 アエロジル200;日本アエロジル株式会社製)1部とを攪拌、混合することにより、平均粒子径10μmの粉体化変性剤(4)を得た。
【0091】
次に、上記の参考例2で得られた吸水性樹脂(b)100部に対し、上記の粉体化変性剤(4)3.1部を添加・混合した後、さらに水5部を混合した。その後、得られた混合物を、180℃で25分間、加熱処理した後、840μmの開孔を有する金網で分級し、通過物を得ることにより、吸水剤(4)として、架橋後の親水性樹脂を得た。この吸水剤(4)の諸性能を上記の方法によって測定した。結果をまとめて表2に示す。
【0092】
〔実施例5〕
架橋剤(変性剤)としてのグリセリン1部と、親水性有機溶媒としてのイソプロピルアルコール1部と、水不溶性化合物としての親水性微粒子状二酸化ケイ素(商品名 カープレックス22S;シオノギ製薬株式会社製)1部とを攪拌、混合することにより、平均粒子径20μmの粉体化変性剤(5)を得た。
【0093】
次に、上記の参考例2で得られた吸水性樹脂(b)100部に対し、上記の粉体化変性剤(5)3部を添加・混合した後、さらに水3部を混合した。その後、得られた混合物を200℃で40分間加熱した後、840μmの開孔を有する金網で分級し、通過物を得ることにより、吸水剤(5)として、架橋後の親水性樹脂を得た。この吸水剤(5)の諸性能を上記の方法によって測定した。結果をまとめて表2に示す。
【0094】
〔実施例6〕
架橋剤(変性剤)としてのエチレングリコールジグリシジルエーテル0.1部と、水7部とを攪拌、混合することにより液状変性剤を得た。該液状変性剤を−20℃で12時間冷却して上記液状変性剤を固体状にし、その後、粉砕し、2mmの開孔を有す金網で分級、通過物を得ることにより、粉体化変性剤(6)を得た。
【0095】
次に、上記の参考例2で得られた吸水性樹脂(b)100部に対し、上記の粉体化変性剤(6)7.1部を添加・混合した。その後、得られた混合物を140℃で30分間加熱処理した後、840μmの開孔を有する金網で分級し、通過物を得ることにより、吸水剤(6)として、架橋後の親水性樹脂を得た。この吸水剤(6)の諸性能を上記の方法によって測定した。結果をまとめて表2に示す。
【0096】
〔比較例2〕
比較用吸水剤(2)として上記の参考例2で得られた吸水性樹脂(b)の諸性能を上記の方法によって測定した。結果をまとめて表2に示す。
【0097】
〔比較例3〕
上記の参考例2で得られた吸水性樹脂(b)100部に対し、架橋剤(変性剤)としてのエチレングリコールジグリシジルエーテル0.1部と、親水性有機溶媒としてのイソプロピルアルコール2部と、水5部とを混合した。その後、得られた混合物を180℃で25分間、加熱処理した後、840μmの開孔を有する金網で分級し、通過物を得ることにより、比較用吸水剤(3)として、架橋処理が施された親水性重合体を得た。この比較用吸水剤(3)の諸性能を上記の方法によって測定した。結果をまとめて表2に示す。
【0098】
〔比較例4〕
上記の参考例2で得られた吸水性樹脂(b)100部に対し、架橋剤(変性剤)としてのグリセリン1部と、親水性有機溶媒としてのイソプロピルアルコール1部と、水3部とを混合した。その後、得られた混合物を200℃で40分間加熱することにより加熱処理した後、840μmの開孔を有する金網で分級し、通過物を得ることにより、比較用吸水剤(4)として、架橋処理が施された親水性重合体を得た。この比較用吸水剤(4)の諸性能を上記の方法によって測定した。結果をまとめて表2に示す。
【0099】
〔比較例5〕
実施例6において、液状変性剤を粉体化しなかった以外は、実施例6と同様の操作を行って比較用吸水剤を得た。即ち、先ず、架橋剤(変性剤)としてのエチレングリコールジグリシジルエーテル0.1部と、水7部とを攪拌、混合することにより液状変性剤(5)を得た。
【0100】
次に、上記の参考例2で得られた吸水性樹脂(b)100部に対し、上記の液状変性剤7.1部を添加・混合した。その後、得られた混合物を140℃で30分間加熱処理した後、840μmの開孔を有する金網で分級し、通過物を得ることにより、比較用吸水剤(5)として、架橋処理が施された親水性重合体を得た。この比較用吸水剤(5)の諸性能を上記の方法によって測定した。結果をまとめて表2に示す。
【0101】
【表2】
Figure 0003753828
【0102】
表1に記載の結果から明らかなように、本発明の親水性樹脂は、官能基を有する親水性重合体と、液状変性剤を粉体化してなる粉体化変性剤とを含むことで、低下促進試験後でもゲル破断力が高く、保持率も高いものであった。このことから、本発明の親水性樹脂は、製造後、使用するまでの期間中に、その結合性が経時的に変化しないことが判る。これは、以下の理由によるものである。つまり、液状変性剤が粉体化変性剤を形成しているので、親水性樹脂中において、使用するまでは親水性重合体と液状変性剤中の変性剤とが別々に存在し、反応することはない。そして、該親水性樹脂が例えば水性液体を吸収した時点で親水性重合体と液状変性剤中の変性剤とが接して反応し、親水性重合体が変性される。従って、親水性重合体を均一に変性することができると共に、該変性の時期をコントロールすることができるので、変性によって発現する諸特性の経時変化による低下を防止することができる。このように、本発明の親水性樹脂は、上記諸特性の経時変化による低下をより一層効果的に防止することができるものである。また、表1および表2の結果から明らかなように、本発明の親水性樹脂は、粉体化変成剤が親水性重合体に均一混合された後、変性(表面架橋)が行われたため、加圧下での吸収特性に優れるものであった。
【0103】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載の吸水剤組成物は、以上のように、吸水性樹脂と、液状変性剤を粉体化した粉体化変性剤とを含む構成である。本発明の請求項2記載の吸水剤組成物は、以上のように、請求項1記載の吸水剤組成物において、上記吸水性樹脂が、酸基を有する吸水性樹脂である構成である。本発明の請求項3記載の吸水剤組成物は、以上のように、請求項1または2記載の吸水剤組成物において、上記液状変性剤が架橋剤を含む構成である。本発明の請求項4記載の吸水剤組成物は、以上のように、請求項3記載の吸水剤組成物において、上記架橋剤が、重量平均分子量が2,000以上の多価アミンを含む構成である。本発明の請求項5記載の吸水剤組成物は、以上のように、請求項1〜4の何れか1項に記載の吸水剤組成物において、上記液状変性剤は、液状の変性剤、変性剤を溶媒に溶解してなる変性剤溶液、および、変性剤を溶媒に分散してなる分散液からなる群より選ばれる何れか一種であり、上記吸水性樹脂に対する上記液状変性剤中の変性剤の使用量が、上記吸水性樹脂の固形分100重量部に対して、0.001重量部〜10重量部の範囲内である構成である。本発明の請求項6記載の吸水剤組成物は、以上のように、請求項1〜5の何れか1項に記載の吸水剤組成物において、上記粉体化変性剤は、上記液状変性剤を粒子状の水不溶性化合物と混合してなる構成である。本発明の請求項7記載の吸水剤組成物は、以上のように、請求項6記載の吸水剤組成物において、上記粉体化変性剤における上記液状変性剤と水不溶性化合物との混合割合は、上記水不溶性化合物100重量部に対して液状変性剤1重量部〜1000重量部の範囲内である構成である。本発明の請求項8記載の吸水剤組成物は、以上のように、請求項1〜7の何れか1項に記載の吸水剤組成物において、上記吸水性樹脂の平均粒子径は200μm〜600μmの範囲内であり、かつ、上記吸水性樹脂中の粒子径が150μmm未満の粒子の割合は10重量%以下である構成である。また、本発明の請求項9記載の吸水剤は、以上のように、請求項1〜8の何れか1項に記載の吸水剤組成物からなる吸水剤であって、上記吸水剤組成物中の吸水性樹脂を粉体化変性剤で変性してなる構成である。さらに、本発明の請求項10記載の粉体化変性剤は、以上のように、請求項1記載の吸水剤組成物の製造に用いられる粉体化変性剤であって、酸基と反応し得る液状変性剤と、粒子状の水不溶性化合物とを含む構成である。本発明の請求項11記載の粉体化変性剤は、以上のように、請求項10記載の粉体化変性剤において、上記液状変性剤が架橋剤を含む構成である。
【0104】
上記の構成によれば、液状変性剤は、粉体化されることにより、粉体化変性剤を形成している。このため、該液状変性剤は、実質的に固体状態で吸水剤組成物に含まれていることになる。また、液状変性剤が粉体化変性剤を形成しているので、吸水剤組成物中において、使用するまでは吸水性樹脂と液状変性剤とが別々に存在し、反応することはない。一方、該吸水剤組成物が例えば水性液体を吸収した時点、或いは吸水剤組成物が例えば加熱された時点で吸水性樹脂と液状変性剤中の変性剤とが接して反応し、吸水性樹脂が変性される。従って、吸水性樹脂を均一に変性することができると共に、該変性の時期をコントロールすることができるので、例えば加圧下の吸収倍率等、変性によって発現する諸特性 の向上や、ゲル破断力等をはじめとする諸特性の経時変化による低下の防止を図ることができる。
【0105】
従って、上記の構成によれば、加圧下での吸収倍率や保水能等の、加圧下での吸収特性に優れ、かつ、例えば、衛生材料等に用いる場合において、吸水性樹脂の重量%(樹脂濃度)を高くしても優れた性能(吸収特性)を示すことができる吸水剤組成物並びに吸水剤を提供することができる。また、上記の構成によれば、加圧下での吸収特性に優れ、吸水時において吸収体からの吸水性樹脂の脱落が起こり難く、かつ、製造後、使用するまでの期間中に、その結合性が経時的に変化しない吸水剤組成物並びに吸水剤を提供することができるという効果を奏する。
【0106】
本発明の請求項12記載の吸水剤組成物の製造方法は、以上のように、吸水性樹脂と、液状変性剤を粉体化した粉体化変性剤とを混合する構成である。本発明の請求項13記載の吸水剤組成物の製造方法は、以上のように、請求項12記載の吸水剤組成物の製造方法において、粉体化が、液状変性剤を粒子状の水不溶性化合物と混合することによって行われる構成である。本発明の請求項14記載の吸水剤組成物の製造方法は、以上のように、請求項12記載の吸水剤組成物の製造方法において、粉体化が、液状変性剤を、その融点以下に冷却して固化することにより行われる構成である本発明の請求項15記載の吸水剤組成物の製造方法は、以上のように、請求項12〜14の何れか1項に記載の吸水剤組成物の製造方法において、上記吸水性樹脂が酸基を有する吸水性樹脂である構成である。本発明の請求項16記載の発明の吸水剤組成物の製造方法は、以上のように、請求項12〜15の何れか1項に記載の吸水剤組成物の製造方法において、上記液状変性剤が架橋剤を含む構成である。本発明の請求項17記載の発明の吸水剤組成物の製造方法は、以上のように、請求項16記載の吸水剤組成物の製造方法において、上記架橋剤が、重量平均分子量が2,000以上の多価アミンを含む構成である
【0107】
上記の構成によれば、吸水性樹脂と、液状変性剤を粉体化した粉体化変性剤とを混合するので、実質的に固体状態で液状変性剤を吸水性樹脂と混合することができる。このため、液状変性剤と吸水性樹脂とを混合する場合と比較して、吸水性樹脂と、液状変性剤、即ち粉体化変性剤とを均一に混合することができる。また、吸水性樹脂と液状変性剤とが別々に存在するので、吸水性樹脂と粉体化変性剤とを混合しても、直ぐに液状変性剤が吸水性樹脂に吸収されたり、或いは、変性剤と吸水性樹脂との反応が開始されたりすることはない。そして、該吸水剤組成物に例えば水性液体を吸収させた時点、或いは吸水剤組成物を例えば加熱した時点で、吸水性樹脂を均一に変性することができる。それゆえ、該変性の時期をコントロールすることができる。従って、上記の構成によれば、諸特性のバランスに優れた上記の吸水剤組成物を容易に得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明における親水性樹脂が示す性能の一つである加圧下吸水倍率の測定に用いる測定装置の概略の断面図である。
【符号の説明】
1 天秤
2 容器
3 外気吸入パイプ
4 導管
5 測定部
6 ガラスフィルタ
7 濾紙
8 支持円筒
9 金網
10 重り
11 人工尿

Claims (17)

  1. 吸水性樹脂と、液状変性剤を粉体化した粉体化変性剤とを含むことを特徴とする吸水剤組成物
  2. 上記吸水性樹脂が、酸基を有する吸水性樹脂であることを特徴とする請求項1記載の吸水剤組成物
  3. 上記液状変性剤が架橋剤を含むことを特徴とする請求項1または2記載の吸水剤組成物。
  4. 上記架橋剤が、重量平均分子量が2,000以上の多価アミンを含むことを特徴とする請求項3記載の吸水剤組成物。
  5. 上記液状変性剤は、液状の変性剤、変性剤を溶媒に溶解してなる変性剤溶液、および、変性剤を溶媒に分散してなる分散液からなる群より選ばれる何れか一種であり、
    上記吸水性樹脂に対する上記液状変性剤中の変性剤の使用量が、上記吸水性樹脂の固形分100重量部に対して、0.001重量部〜10重量部の範囲内であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の吸水剤組成物
  6. 上記粉体化変性剤は、上記液状変性剤を粒子状の水不溶性化合物と混合してなることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の吸水剤組成物
  7. 上記粉体化変性剤における上記液状変性剤と水不溶性化合物との混合割合は、上記水不溶性化合物100重量部に対して液状変性剤1重量部〜1000重量部の範囲内であることを特徴とする請求項6記載の吸水剤組成物。
  8. 上記吸水性樹脂の平均粒子径は200μm〜600μmの範囲内であり、かつ、上記吸水性樹脂中の粒子径が150μmm未満の粒子の割合は10重量%以下であることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の吸水剤組成物
  9. 請求項1〜8の何れか1項に記載の吸水剤組成物からなる吸水剤であって、
    上記吸水剤組成物中の吸水性樹脂を粉体化変性剤で変性してなることを特徴とする吸水剤。
  10. 請求項1記載の吸水剤組成物の製造に用いられる粉体化変性剤であって、
    酸基と反応し得る液状変性剤と、粒子状の水不溶性化合物とを含むことを特徴とする粉体化変性剤。
  11. 上記液状変性剤が架橋剤を含むことを特徴とする請求項10記載の粉体化変性剤。
  12. 吸水性樹脂と、液状変性剤を粉体化した粉体化変性剤とを混合することを特徴とする吸水剤組成物の製造方法。
  13. 粉体化が、液状変性剤を粒子状の水不溶性化合物と混合することによって行われることを特徴とする請求項12記載の吸水剤組成物の製造方法。
  14. 粉体化が、液状変性剤を、その融点以下に冷却して固化することにより行われることを 特徴とする請求項12記載の吸水剤組成物の製造方法。
  15. 上記吸水性樹脂が酸基を有する吸水性樹脂であることを特徴とする請求項12〜14の何れか1項に記載の吸水剤組成物の製造方法。
  16. 上記液状変性剤が架橋剤を含むことを特徴とする請求項12〜15の何れか1項に記載の吸水剤組成物の製造方法。
  17. 上記架橋剤が、重量平均分子量が2,000以上の多価アミンを含むことを特徴とする請求項16記載の吸水剤組成物の製造方法。
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