JP2005105254A - 吸水性樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents

吸水性樹脂組成物およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 ゲルブロッキングを起こし難く、通液性、液拡散性に優れるとともに、吸収性能も高く、物理的ダメージにも強く、金属化合物の偏析が起こり難く、ダスト抑制効果もある、吸水性樹脂組成物とその製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明の吸水性樹脂組成物は、アクリル酸および/またはその塩を含む単量体を重合して得られる吸水性樹脂粒子と金属化合物を含む吸水性樹脂組成物であって、該金属化合物が、アルカリ金属塩、多価金属塩(炭素数が分子内に7個以上ある有機酸の多価金属塩を除く)から選ばれる1種または2種以上であり、該金属化合物の少なくとも一部が吸水性樹脂粒子の表面に融着している。
【選択図】 なし



Description

本発明は、紙おむつや生理ナプキン、いわゆる失禁パッド等の衛生材料に用いられる吸水性樹脂組成物及びその製造方法に関するものである。
紙おむつ、生理用ナプキン、失禁パッド等の衛生材料には、体液を吸収させることを目的として、パルプ等の親水性繊維と吸水性樹脂とをその構成材料とする吸収体が幅広く利用されている。
近年、これら衛生材料は、高機能かつ薄型化が進み、衛生材料一枚あたりの吸水性樹脂の使用量や、吸水性樹脂と親水性繊維とからなる吸水体全体に対する吸水性樹脂の比率が増加する傾向にある。つまり、かさ比重の小さい親水性繊維を少なくし、吸水性に優れ且つかさ比重の大きい吸水性樹脂を多く使用することにより、吸水体中における吸水性樹脂の比率を高め、吸水量を低下させることなく衛生材料の薄型化を図っている。
しかしながら、このように親水性繊維の比率を低くし、吸水性樹脂の比率を高めた衛生材料は、単純に液体を貯蔵するという観点からは好ましいが、実際のおむつ等としての使用状況における液体の分配、拡散を考えた場合には、むしろ問題が生じてくる。例えば、多量の吸水性樹脂は吸水により柔らかいゲル状となり、ゲルブロッキングという現象を引き起こし、衛生材料中の液の拡散性を劇的に低下させる。このような問題を避け、吸収体の吸収特性を維持するためには、親水性繊維と吸水性樹脂との比率はおのずと制限され、衛生材料の薄型化にも限界が生じていた。
ゲルブロッキングを抑制し、通液・拡散性に優れる吸水性樹脂を得るための手段として、吸水性樹脂に金属化合物(金属塩や金属カチオンなど)を添加する以下に示すような技術が知られている。
吸水性樹脂に多価金属の塩および/または水酸化物を含む水を付与させてなる水不溶性吸水性樹脂組成物が知られている(特許文献1)。
多価アルコールと水の存在下に、吸水性樹脂をそれと反応しうるアルミニウム化合物により処理する吸水性樹脂の製法が知られている(特許文献2)。
多価アルコールおよび水の存在下に、吸水性樹脂をそれと反応しうるアルミニウム化合物および該吸水性樹脂と反応しうる2以上の官能基を有する架橋剤を用いて処理する吸水性樹脂の製法が知られている(特許文献3)。
吸水性樹脂の粒子表面近傍が加熱架橋された吸水性樹脂粒子に、加熱架橋後に水に対する濃度が5〜50質量%である無機の塩を溶解している水および/または無機の水酸化物を溶解している水を添加して含水率を3〜9%に調整する粒子脆さの改質された吸水性樹脂粒子の製法が知られている(特許文献4)。
吸水性樹脂をポリオールと水溶液状態のカチオンで処理し、150〜300℃で表面架橋されているポリマー生成物が知られている(特許文献5)。
吸水性樹脂を有機表面2次架橋剤(ポリオールを除く)と水溶液状態のカチオンで処理し、表面架橋されているポリマー生成物が知られている(特許文献6)。
170℃を超える温度で10分を上回る間熱処理された水性流体吸収性ポリマー粒子を含む組成物であって、該組成物は熱処理後に有機溶剤または、水に不溶かつ膨潤不能の粉体の不存在下において添加剤水溶液により再加湿されており、かつ該組成物の総質量を基準にして1ないし10質量パーセントの水を含み、60分0.3psiでの吸収倍率が20g/gを上回る組成物が知られている(特許文献7)。
これら(特許文献1〜7)は、水溶液状態で金属化合物(金属塩や金属カチオンなど)を添加する技術である。これらの技術は水溶液状態で金属化合物(金属塩や金属カチオンなど)を添加するため、金属成分が吸水性樹脂内部に浸透してしまう。そのため、その添加量に見合うだけの通液・拡散性を向上させる効果が十分でなかった。また、金属成分が吸水性樹脂内部に浸透するために、無加圧下吸収倍率や加圧下吸収倍率などの低下が起こってしまっていた。
吸水性樹脂と多価金属の塩および/または水酸化物との混合物に水を付与させてなる改質された水不溶性吸水性樹脂組成物が知られている(特許文献8)。
吸水性樹脂と多価金属塩を混合し、ついで該混合物を揮発性アルコールの不存在下に結合剤と密に接触させる方法が知られている(特許文献9)。
これらの技術(特許文献8〜9)では、溶解した金属塩により粒子間結合が生じるため、強固な凝集物が生成しやすく、実生産時や実使用時などにおける物理的ダメージによってその凝集物が砕かれた場合に加圧下吸収倍率が低下してしまうという問題があった。また、溶解した金属塩が吸水性樹脂の粒子内部にまで浸透してしまう問題もあり、粒径の小さい多価金属塩の粒子を用いる場合の前記浸透は顕著であった。この浸透により、前述と同様の問題、すなわち、その添加量に見合うだけの通液・拡散性を向上させる効果が十分でなかったり、金属成分が吸水性樹脂内部に浸透するために、無加圧下吸収倍率や加圧下吸収倍率などの低下が起こってしまったりしていた。また、粒径の比較的大きい多価金属塩の粒子については、結合剤では十分な粒子間の結合力が得られないため、剥離または脱離などが起こってしまい、金属化合物(金属塩など)の偏析などの問題も引き起こしていた。
これらの方法の他に、例えば吸水性樹脂と金属化合物(金属塩など)をドライブレンドする方法では、粒子と粒子の混合であるために、偏析がおこり、吸水性樹脂の性能が安定しないなどの問題が起こる恐れがある。
ゲルブロッキングを抑制し、通液・拡散性に優れる吸水性樹脂を得るための手段としては、これらの他にも、以下に示すような、いくつかの技術が知られている。
例えば、吸水性能の異なる2種類の吸水性樹脂を使用する方法(特許文献10)、カチオン性イオン交換ヒドロゲル形成ポリマーとアニオン性イオン交換ヒドロゲル形成ポリマーとを含む組成物を用いる方法(特許文献11)、表面の架橋密度を高い吸水性樹脂を用いる方法(特許文献12)などが提案されているが、吸水性樹脂濃度の高い吸収体としての吸収特性に不満があったり、価格が高かったりするなどの問題を抱えていた。
また、吸水性樹脂製造工程での磨耗などが原因で微細な粉体を多く含む吸水性樹脂はゲルブロッキングを起こしやすいので、吸水性樹脂に3%以上の水分を含ませて脆さを改善する方法(特許文献13)が提案されているが、吸収倍率が低下したり、水を添加した時に膨潤して粒子径の大きすぎる粒子が生じたりするなどの問題がある。また、吸水性樹脂製造工程での微紛の発生を低減するために特殊な撹拌装置を使用することも提案されている(特許文献14)。
また、有機、無機の水溶性塩(チオウレア、サッカライド、カルボン酸塩などの特定の塩)の粉体を吸水性樹脂に混合して血液の吸収をよくする方法(特許文献15)、吸水性樹脂と透過性保持剤(シリカ、アルミナ、チタニア、クレー、乳化重合物、沈殿重合物など)をVortex Mixerで混合後、Osterizer blenderなどで機械的ストレスをかける方法(特許文献16)、水不溶性水膨潤性のハイドロゲルを立体的或いは静電的スペーサーでコートする方法(特許文献17)、特定の金属イオンで架橋した吸水性樹脂を用いる方法(特許文献18、特許文献19)、高吸水性樹脂と少なくとも一部に‐M1‐O‐M2‐結合を有する2種類の金属M1、M2を含む含水酸化物の集合体からなる微粉末を含む高吸水性樹脂組成物(特許文献20)などが知られている。
これら公知の方法(特許文献15〜20)においては、ゲルブロッキングは防止できるが、おむつ中での液拡散性能、特に、食塩水流れ誘導性(Saline Flow Conductivity :以下SFCと略)の持続性が低いという問題が起こったり、液拡散性能が十分であったとしても吸水性樹脂を製造する際や吸水性樹脂を用いて吸収性物品を製造する際に受ける機械的衝撃や摩擦等による各種性能低下が考慮されておらず実際の製造においては十分な性能が維持できないものであった。例えば、実験室では改善効果が認められても、撹拌や空気輸送などの粉体に物理的エネルギーの掛かる工程を含む生産機で生産すると効果が認められない或いは低下することがあった。
吸水性樹脂粒子100質量部と融点が50〜160℃の熱融着性樹脂粉末1〜30質量部からなる吸水剤が知られている(特許文献21)。
この技術(特許文献21)を見ると、吸水性樹脂粒子と融点が50〜160℃の熱融着性樹脂粉末を混合後、または混合時に加熱処理し、熱融着性樹脂粉末を吸水性樹脂粒子に固着させる方法が開示されている。このような、熱融着性樹脂粉末はパルプ等の繊維への固着性を上げるために使用されている。つまり、繊維と吸水性樹脂粒子とのバインダーとして用いられている。しかし、このような熱融着性樹脂粉末は吸水性樹脂粒子の繊維への固着性を上げるものの、カルボキシル基との相互作用がないため、吸水性樹脂の通液・拡散性を向上させる効果は得られ無かった。また、熱融着性樹脂粉末の疎水性が強い場合には吸水性樹脂組成物の毛管吸引力の低下などを引き起こす場合もあり、必ずしも十分な性能を有している吸水性樹脂組成物ではなかった。
特開昭62−7745号公報 特開昭63−270741号公報 特開平1−56707号公報 特開平9−124879号公報 特表2002−539281号公報 特表2002−538275号公報 特表2001−523287号公報 特開昭61−257235号公報 特表2001−523289号公報 特開2001−252307号公報 国際公開第98/037149号パンフレット 特開平06−057010号公報 国際公開第01/25290号パンフレット 国際公開第97/24394号パンフレット 米国特許第4693713号明細書 国際公開第01/66056号パンフレット 米国公開2002/0128618号明細書 特表2002−513043号公報 特表2002−513059号公報 特開平10−147724号公報 特開平6−248187号公報
本発明が解決しようとする課題は、ゲルブロッキングを起こし難く、通液性、液拡散性に優れるとともに、無加圧下吸収倍率、加圧下吸収倍率、毛管吸収倍率等の吸収性能も高く、しかも、実生産時や実使用時などにおける物理的ダメージにも強く、さらに、金属化合物(金属塩など)の偏析が起こり難く、吸湿時の取り扱い性にも優れ、ダスト抑制効果もある、吸水性樹脂組成物およびその製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った。その結果、アクリル酸および/またはその塩を含む単量体を重合して得られる吸水性樹脂粒子と金属化合物を含む吸水性樹脂組成物において、金属化合物の少なくとも一部が吸水性樹脂粒子の表面に融着することで、驚くべきことに、ゲルブロッキングが十分に抑制され、優れた通液性、液拡散性が発現できるとともに、優れた吸収性能も発揮でき、さらに実生産時や実使用時などにおける物理的ダメージにも強い状態となり、しかも、金属化合物(金属塩など)の偏析が起こり難く、吸湿時の取り扱い性にも優れ、ダスト抑制効果もあることを見出した。
すなわち、本発明にかかる吸水性樹脂組成物は、アクリル酸および/またはその塩を含む単量体を重合して得られる吸水性樹脂粒子と金属化合物を含む吸水性樹脂組成物であって、該金属化合物が、アルカリ金属塩、多価金属塩(炭素数が分子内に7個以上ある有機酸の多価金属塩を除く)から選ばれる1種または2種以上であり、該金属化合物の少なくとも一部が吸水性樹脂粒子の表面に融着している。
本発明にかかる吸水性樹脂組成物は、吸水性樹脂粒子が、カルボキシル基と脱水反応またはエステル交換反応する官能基を少なくとも2個有する化合物で表面架橋されていることが好ましい。
本発明にかかる吸水性樹脂組成物は、金属化合物の少なくとも一部が前記吸水性樹脂粒子の表面の少なくとも一部を層状に被覆する形態で融着していることが好ましい。
本発明にかかる吸水性樹脂組成物は、金属化合物の融点が250℃以下であることが好ましい。
本発明にかかる吸水性樹脂組成物は、金属化合物が水溶性多価金属塩であることが好ましい。
本発明にかかる吸水性樹脂組成物は、金属化合物が、水和水を有し、かつアルミニウムを含む水溶性多価金属塩であることが好ましい。
本発明にかかる吸水性樹脂組成物は、組成物の加圧下吸収倍率が20g/g以上であることが好ましい。
本発明にかかる吸水性樹脂組成物は、組成物の0.69質量%食塩水流れ誘導性が30(×10−7・cm・s・g−1)以上であることが好ましい。
本発明にかかる吸水性樹脂組成物の製造方法は、アクリル酸および/またはその塩を含む単量体を重合して得られる吸水性樹脂粒子と金属化合物を含む吸水性樹脂組成物の製法であって、該金属化合物が、アルカリ金属塩、多価金属塩(炭素数が分子内に7個以上ある有機酸の多価金属塩を除く)から選ばれる1種または2種以上であり、該吸水性樹脂粒子および/または該金属化合物を該金属化合物の融点以上の温度に加熱することによって、該金属化合物の少なくとも一部を該吸水性樹脂粒子の表面に融着させる。
本発明にかかる吸水性樹脂組成物の製造方法は、融着が吸水性樹脂粒子および/または金属化合物の攪拌下に行われることが好ましい。
本発明にかかる吸水性樹脂組成物の製造方法は、融着が前記吸水性樹脂粒子の表面架橋処理の後に行われることが好ましい。
本発明にかかる吸水性樹脂組成物の製造方法は、金属化合物の融点が250℃以下であることが好ましい。
本発明にかかる吸水性樹脂組成物の製造方法は、金属化合物が、水和水を有し、かつアルミニウムを含む水溶性多価金属塩であることが好ましい。
本発明によれば、ゲルブロッキングを起こし難く、通液性、液拡散性に優れるとともに、無加圧下吸収倍率、加圧下吸収倍率、毛管吸収倍率等の吸収性能も高く、しかも、実生産時や実使用時などにおける物理的ダメージにも強く、さらに、金属化合物(金属塩など)の偏析が起こり難く、吸湿時の取り扱い性にも優れ、ダスト抑制効果もある、吸水性樹脂組成物およびその製造方法を提供できる。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本発明の吸水性樹脂組成物とは吸水性樹脂(吸水性樹脂粒子)を主成分とする組成物であり、吸水性樹脂を好ましくは80〜100質量%、さらに好ましくは90〜100質量%含む粒子状の組成物で、紙おむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、医療用パッド等の衛生材料に好適に用いられる。なお、本発明において「質量」とは、「重量」と同様の意味である。

〔吸水性樹脂粒子〕
本発明で用いる吸水性樹脂粒子は、親水性単量体を重合して得ることができる水不溶性水膨潤性ヒドロゲル形成性重合体(以下、吸水性樹脂とも言う)の粒子であって、少なくとも生理食塩水の吸収倍率が10倍以上である、球形或いは不定形の粒子形状のものである。なお、本発明においては、吸水性樹脂粒子を単に吸水性樹脂と称することもある。
水不溶性水膨潤性ヒドロゲル形成性重合体の具体例としては、部分中和架橋ポリアクリル酸重合体(米国特許第4625001号、米国特許第4654039号、米国特許第5250640号、米国特許第5275773号、欧州特許第456136号等)、架橋され部分的に中和された澱粉−アクリル酸グラフトポリマー(米国特許第4076663号)、イソブチレン−マレイン酸共重合体(米国特許第4389513号)、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体のケン化物(米国特許第4124748号)、アクリルアミド(共)重合体の加水分解物(米国特許第3959569号)、アクリロニトリル重合体の加水分解物(米国特許第3935099号)等が挙げられるが、本発明で用いる吸水性樹脂はアクリル酸および/またはその塩を含む単量体を重合して得られるポリアクリル酸(塩)系架橋重合体からなる吸水性樹脂であることが好ましい。本発明においてポリアクリル酸(塩)系架橋重合体とは、アクリル酸および/またはその塩を50モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上含む単量体を重合して得られる架橋重合体である。また、重合体中の酸基は、その50〜90モル%が中和されていることが好ましく、60〜80モル%が中和されていることがより好ましく、塩としてはナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩などを例示する事ができる。塩を形成させるための吸水性樹脂の中和は重合前に単量体の状態で行っても良いし、あるいは重合途中や重合後に重合体の状態で行っても良いし、それらを併用してもよい。
本発明に好ましく用いられる吸水性樹脂であるポリアクリル酸(塩)系架橋重合体としては、主成分として用いられる単量体(アクリル酸および/またはその塩)に併用して、必要により他の単量体を共重合させたものであってもよい。他の単量体の具体例としては、メタアクリル酸、マレイン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸などのアニオン性不飽和単量体およびその塩;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルピロリジン、N−ビニルアセトアミドなどのノニオン性の親水基含有不飽和単量体;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドおよびそれらの四級塩などのカチオン性不飽和単量体などを挙げることができる。これらアクリル酸および/またはその塩以外の単量体の使用量は、全単量体中0〜30モル%が好ましく、より好ましくは0〜10モル%である。
本発明で用いる吸水性樹脂は、内部架橋構造を有する架橋重合体である。
本発明に用いられる吸水性樹脂に内部架橋構造を導入する方法として、架橋剤を使用しない自己架橋によって導入する方法や、1分子中に2個以上の重合性不飽和基および/または2個以上の反応性基を有する内部架橋剤を共重合または反応させて導入する方法等を例示できる。好ましくは、内部架橋剤を共重合または反応させて導入する方法である。
これらの内部架橋剤の具体例としては、例えば、N,N′−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンアクリレートメタクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリト−ルテトラ(メタ)アクリレ−ト、ジペンタエリスリト−ルヘキサ(メタ)アクリレ−ト、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート、トリアリルアミン、ポリ(メタ)アリロキシアルカン、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、エチレンジアミン、ポリエチレンイミン、グリシジル(メタ)アクリレートなどを挙げることが出来る。これらの内部架橋剤は1種のみ用いてもよいし2種以上使用してもよい。中でも、得られる吸水性樹脂の吸水特性などから、2個以上の重合性不飽和基を有する化合物を内部架橋剤として必須に用いることが好ましく、その使用量としては全単量体に対して0.005〜3モル%が好ましく、より好ましくは0.01〜1.5モル%である。
重合に際しては、澱粉−セルロ−ス、澱粉−セルロ−スの誘導体、ポリビニルアルコ−ル、ポリアクリル酸(塩)、ポリアクリル酸(塩)架橋体等の親水性高分子や、次亜リン酸(塩)等の連鎖移動剤を添加してもよい。
本発明に用いられる吸水性樹脂を得るために上記したアクリル酸および/またはその塩を主成分とする単量体を重合するに際しては、バルク重合、逆相懸濁重合、沈澱重合を行うことも可能であるが、性能面や重合の制御の容易さから、単量体を水溶液として、水溶液重合を行うことが好ましい。かかる重合方法は、例えば、米国特許第4625001号明細書、米国特許第4769427号明細書、米国特許第4873299号明細書、米国特許第4093776号明細書、米国特許第4367323号明細書、米国特許第4446261号明細書、米国特許第4683274号明細書、米国特許第4690996号明細書、米国特許第4721647号明細書、米国特許第4738867号明細書、米国特許第4748076号明細書、欧州特許第1178059号明細書などに記載されている。
重合を行うにあたり、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩等のラジカル重合開始剤、紫外線や電子線などの活性エネルギー線等を用いることができる。また、ラジカル重合開始剤を用いる場合、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸第一鉄、L−アスコルビン酸等の還元剤を併用してレドックス重合としても良い。これらの重合開始剤の使用量は、全単量体に対して、0.001〜2モル%が好ましく、より好ましくは0.01〜0.5モル%である。
上記の重合により得られた吸水性樹脂の形状は、一般には、不定形破砕状、球状、繊維状、棒状、略球状、偏平状等であるが、本発明に用いられる吸水性樹脂は粒子状が望ましく、乾燥後に粉砕して得られるような不定形破砕状のものを用いると、より本発明の効果が大きくなるので好ましい。
本発明で用いる吸水性樹脂は、その表面近傍が表面架橋剤でさらに架橋処理されたものが好ましい。
表面架橋処理に用いることの出来る表面架橋剤としては、吸水性樹脂の有する官能基、特に、カルボキシル基と反応し得る官能基を2個以上有する有機表面架橋剤や多価金属化合物が挙げられる。例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、2−ブテン−1,4−ジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサノール、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシプロピレン、オキシエチレン−オキシプロピレンブロック共重合体、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール化合物;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリシドール等のエポキシ化合物;エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリエチレンイミン等の多価アミン化合物や、それらの無機塩ないし有機塩(例えば、アゼチジニウム塩等);2,4−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の多価イソシアネート化合物;1,2−エチレンビスオキサゾリン等の多価オキサゾリン化合物;尿素、チオ尿素、グアニジン、ジシアンジアミド、2−オキサゾリジノン等の炭酸誘導体;1,3−ジオキソラン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,3−ジオキサン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキサン−2−オン、4,6−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−オン、1,3−ジオキソパン−2−オン等のアルキレンカーボネート化合物;エピクロロヒドリン、エピブロムヒドリン、α−メチルエピクロロヒドリン等のハロエポキシ化合物、および、その多価アミン付加物(例えばハーキュレス製カイメン:登録商標);γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γーアミノプロピルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤;3−メチル−3−オキセタンメタノール、3−エチル−3−オキセタンメタノール、3−ブチル−3−オキセタンメタノール、3−メチル−3−オキセタンエタノール、3−エチル−3−オキセタンエタノール、3−ブチル−3−オキセタンエタノール、3−クロロメチル−3−メチルオキセタン、3−クロロメチル−3−エチルオキセタン、多価オキセタン化合物などのオキセタン化合物;亜鉛、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄、ジルコニウム等の水酸化物又は塩化物等の多価金属化合物等が挙げられる。これら表面架橋剤は、1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも多価アルコールは、安全性が高く、吸水性樹脂粒子表面の親水性を向上させることができる点で好ましい。また、多価アルコールを使用することで、吸水性樹脂粒子表面の多価金属粒子との馴染みが良くなり、多価アルコール残基と多価金属表面との相互作用により吸水性樹脂粒子表面に多価金属粒子をより均一に存在させることが可能となる。
表面架橋剤の使用量は、吸水性樹脂の固形分100質量部に対して0.001〜5質量部が好ましい。
表面架橋剤と吸水性樹脂との混合の際には水を用いてもよい。水の使用量は、吸水性樹脂の固形分100質量部に対して、0.5を越え、10質量部以下が好ましく、1質量部〜5質量部の範囲内がより好ましい。
表面架橋剤やその水溶液を混合する際には、親水性有機溶媒や、第三物質を混合助剤として用いてもよい。
親水性有機溶媒を用いる場合には、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール等の低級アルコール類;アセトン等のケトン類;ジオキサン、テトラヒドロフラン、メトキシ(ポリ)エチレングリコール等のエーテル類;ε−カプロラクタム、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、2−ブテン−1,4−ジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサノール、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシプロピレン、オキシエチレン−オキシプロピレンブロック共重合体、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール類等が挙げられる。親水性有機溶媒の使用量は、吸水性樹脂の種類や粒径、含水率等にもよるが、吸水性樹脂の固形分100質量部に対して、10質量部以下が好ましく、0.1質量部〜5質量部の範囲内がより好ましい。また、第三物質として欧州特許第0668080号公報に示された無機酸、有機酸、ポリアミノ酸等を存在させてもよい。これらの混合助剤は表面架橋剤として作用しても良いが、表面架橋後に吸水性樹脂の吸水性能を低下させないものが好ましい。特に沸点が150℃未満の揮発性アルコール類は表面架橋処理時に揮発してしまうので、残存物が残らず望ましい。
吸水性樹脂と表面架橋剤とをより均一に混合するため、非架橋性の水溶性無機塩基類(好ましくは、アルカリ金属塩,アンモニウム塩,アルカリ金属水酸化物、および、アンモニアあるいはその水酸化物)や、非還元性アルカリ金属塩pH緩衝剤(好ましくは炭酸水素塩、リン酸二水素塩、リン酸水素塩等)を、吸水性樹脂と表面架橋剤とを混合する際に共存させても良い。これらの使用量は、吸水性樹脂の種類や粒径等にもよるが、吸水性樹脂の固形分100質量部に対して0.005〜10質量部の範囲内が好ましく、0.05〜5質量部の範囲内がより好ましい。
吸水性樹脂と表面架橋剤とを混合する混合方法は特に限定されないが、たとえば吸水性樹脂を親水性有機溶剤に浸漬し、必要に応じて水および/または親水性有機溶媒に溶解させた表面架橋剤を混合する方法、吸水性樹脂に直接、水および/または親水性有機溶媒に溶解させた表面架橋剤を噴霧若しくは滴下して混合する方法等が例示できる。
吸水性樹脂と表面架橋剤とを混合した後、通常、加熱処理を行い、架橋反応を遂行させる。上記加熱処理温度は、用いる表面架橋剤にもよるが、40℃以上250℃以下が好ましく、150℃以上250℃以下がより好ましい。処理温度が40℃未満の場合には、加圧下の吸収倍率等の吸収特性が十分に改善されない場合がある。処理温度が250℃を越える場合には、吸水性樹脂の劣化を引き起こし、性能が低下する場合があり注意を要する。加熱処理時間は、好ましくは1分〜2時間、より好ましくは5分〜1時間である。
本発明で用いる吸水性樹脂の粒径や粒径分布に特に制限は無いが、粒径が比較的小さく、小粒径成分の多い粒径分布のものを用いると、吸水速度、毛管吸収倍率などの吸水性能の向上が顕著であるので好ましい。
本発明で用いる吸水性樹脂は、質量平均粒子径が500μm以下であることが好ましく、400μm以下であることが吸水速度や毛管吸収倍率などの性能を向上させるためにより好ましい。また、該吸水性樹脂中、粒径が300μm未満の粒子の比率が、該吸水性樹脂に対して、10質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましい。このような粒子径を有する吸水性樹脂は、水溶液重合で得られた吸水性樹脂を粉砕したもの、あるいはこれらを篩いに掛けて粒度を調整することによって好ましく得ることができる。また、300μm以下の粒子径の吸水性樹脂微紛を造粒し粒度調整したものを用いても良く、粉砕して得られる一次粒子の不定形破砕状の粒子に微紛の造粒物を一部混合した吸水性樹脂を用いても良い。吸水性樹脂の造粒物を一部混合した場合には吸水速度、毛管吸収倍率などの吸収特性が一層優れた本発明の吸水性樹脂組成物を得ることが出来る。微紛の造粒物の混合量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上である。
微粉造粒物の作成方法としては、微粉を再生する公知の技術が使用可能である。例えば、温水と吸水性樹脂の微粉を混合し乾燥する方法(米国特許第6228930号)や、吸水性樹脂の微粉を単量体水溶液と混合し重合する方法(米国特許第5264495号)、吸水性樹脂の微粉に水を加え特定の面圧以上で造粒する方法(欧州特許第844270号)、吸水性樹脂の微粉を十分に湿潤させ非晶質のゲルを形成し乾燥・粉砕する方法(米国特許第4950692号)、吸水性樹脂の微粉と重合ゲルを混合する方法(米国特許第5478879号)などを用いることが可能であるが、好ましくは前記の温水と吸水性樹脂の微粉を混合し乾燥する方法が用いられる。なお、粒子径は分級される篩目径で示される。

〔吸水性樹脂組成物〕
本発明にかかる吸水性樹脂組成物は、アクリル酸および/またはその塩を含む単量体を重合して得られる吸水性樹脂粒子と金属化合物を含む吸水性樹脂組成物であって、該金属化合物が、アルカリ金属塩、多価金属塩(炭素数が分子内に7個以上ある有機酸の多価金属塩を除く)から選ばれる1種または2種以上であり、該金属化合物の少なくとも一部が吸水性樹脂粒子の表面に融着している。
本発明で使用する金属化合物は、本発明の吸水性樹脂組成物が紙おむつなどの衛生材料用の吸水剤として利用されることを考えれば、吸水性樹脂組成物を着色せず、人体に対する毒性の低いものを選ぶことが好ましい。
本発明で使用する金属化合物とは、アルカリ金属塩、多価金属塩(炭素数が分子内に7個以上ある有機酸の多価金属塩を除く)から選ばれる1種または2種以上であることが好ましい。炭素数が分子内に7個以上ある有機酸の多価金属塩は疎水性が高く吸水性樹脂組成物の毛管吸引力を低下させるため、本発明における多価金属塩としては用いられない。
アルカリ金属塩としては、Li、Na、Kの塩が好ましい。
炭素数が分子内に7個以上ある有機酸の多価金属塩を除く多価金属塩としては、Be、Mg、Ca、Sc、Y、Ti、Zr、V、Nb、Cr、Mo、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Cu、Zn、Ga、Ge、Alから選ばれる1種または2種以上の多価金属を含むものが好ましく、Ca、Mg、Fe、Ti、Zr、Zn、Alから選ばれる1種または2種以上の多価金属を含むものがさらに好ましく、Alを含むものがもっとも好ましい。また、前述の水溶性多価金属塩粒子を用いてもよい。
本発明で使用する金属化合物は、好ましくは250℃以下の融点を有する金属化合物である。また、金属化合物の融点は、好ましくは30〜250℃、より好ましくは40〜200℃、さらに好ましくは50〜150℃、最も好ましくは60〜100℃の範囲である。融点が250℃を超える場合には、吸水性樹脂粒子に融着させる際にダメージを与えてしまい、目的とする物性が得られない恐れがある。また、融点が30℃よりも低い場合には、吸水性樹脂粒子の内部に浸透してしまい、目的とする物性が得られない恐れがある。
本発明で使用する金属化合物は、親水性および/または水溶性のものが好ましい。よって、炭素数が分子内に7個以上の有機酸の多価金属塩は好ましくない。また、分子内の炭素数が7個以上の有機酸の多価金属塩になると、疎水性が高くなりすぎ、吸水性樹脂粒子の表面張力の低下等を引き起こし、目的とする物性が得られない恐れがある。本発明において、水溶性とは、25℃において水100gに1g以上、好ましくは10g以上溶解する化合物をさす。
本発明で使用する金属化合物は、分子内に水和水を有することが好ましい。水和水を有する金属化合物は通常、親水性であり本発明の吸水性樹脂組成物の吸水時にその効果を発現しやすい。
本発明で使用する金属化合物は常温で固体であることが好ましく、粉体であることがさらに好ましい。金属化合物が粉体であった場合、粒子径は細かいほど吸水性樹脂粒子との融着が起こりやすい。よって、好ましくは質量平均粒子径(D50)が1000μm以下、より好ましくは600μm以下、さらに好ましくは300μm以下、最も好ましくは150μm以下である。
本発明で使用する金属化合物の具体例は、例えば、Gmelin Institute Varrentrappstr.が提供するGMELINファイルおよび/またはBeilstein Chemiedaten und Software GmbHが提供するBEILSTEINファイル(それぞれSTN INTERNATIONALの検索ファイルとして使用できる。日本での代理店は科学情報協会。)に2003年9月10日時点で収録されているアルカリ金属塩、炭素数が6以下の多価金属塩から選ばれる1種または2種以上であるものが挙げられる。その中でも好ましくは、融点が250℃以下のものが挙げられる。その中でもより好ましくは、硫酸塩、硝酸塩、燐酸塩、ハロゲン化物、シュウ酸塩、酢酸塩などの、無機酸塩または分子内の炭素数が6以下の有機酸の塩、から選ばれる1種または2種以上であるものが挙げられる。その中でも、さらに好ましくは、水和水を有するものが挙げられる。より具体的に例示すれば、Al(SO・14〜18HO、KAl(SO・12HO、(NH)Al(SO・12HO、NaAl(SO・12HO、AlCl・6HO、Na・5〜10HO、FeSO・7HO、KSO・Fe(SO・24HO、Zn(NO・2〜6HO、Zn(CHCOO)・2HO、Zn(HPO・2HO、ZnSO・7HOから選ばれる1種または2種以上が好ましく用いられ、最も好ましいものはAl(SO・14〜18HO、KAl(SO・12HOから選ばれる1種または2種以上である。
本発明の吸水性樹脂組成物とは、吸水性樹脂粒子と金属化合物を含むもので、通常、粒子状で尿、経血、汗、その他の体液吸収のための衛生材料用吸収材料として好適に使用されるものである。
本発明の吸水性樹脂組成物は、アクリル酸および/またはその塩を含む単量体を重合して得られる吸水性樹脂粒子と金属化合物を含む吸水性樹脂組成物であって、該金属化合物が、アルカリ金属塩、炭素数が6以下の多価金属塩から選ばれる1種または2種以上であり、該金属化合物の少なくとも一部が吸水性樹脂粒子の表面に融着している吸水性樹脂組成物である。
本発明において、融着とは金属化合物の少なくとも一部が溶融した状態で吸水性樹脂粒子の表面に強固に接着された状態をいう。
本発明において、吸水性樹脂粒子は表面架橋されていることが好ましい。また、多価アルコールによって表面架橋されているものがより好ましい。たとえ少量の表面処理剤が表面に残存した場合でも、残存表面処理剤を含む吸水性樹脂粒子と金属化合物を混合しただけでは、吸水性樹脂粒子の表面に金属化合物は結合されないため、残存表面処理剤を結合剤として用いることはできない。
本発明の吸水性樹脂組成物は、吸水性樹脂粒子と金属化合物とを結合させるために用いる結合剤を含まないことが好ましい。結合剤によって、表面張力や毛管吸収倍率(CSF)その他の物性の低下を引き起こす恐れがある。本発明の吸水性樹脂組成物を得るためには、結合剤で吸水性樹脂粒子と金属化合物を結合する必要は無く、金属化合物が吸水性樹脂粒子の表面に融着することで強固に両者を結合することができる。むしろ、結合剤を用いると、金属化合物の吸水性樹脂粒子への融着を阻害することがある。
本発明の吸水性樹脂組成物は、前記金属化合物の少なくとも一部が前記の吸水性樹脂粒子の表面の一部を層状に被覆する形態で融着していることが好ましい。層状とは前記金属化合物が吸水性樹脂粒子の表面を薄く被覆している状態をいう。層状に被覆する形態で融着することで、吸水性樹脂粒子内部に浸透せず、また表面積も大きくなるため、目的とする性能を容易に得ることができる。また、吸水性樹脂粒子の表面がすべて金属化合物によって被覆されてしまうような形態は、物性の低下を招く恐れがあるため、金属化合物は吸水性樹脂粒子の表面において不連続な層を形成することが好ましい。また、融着によって前記吸水性樹脂粒子と前記金属化合物の間に粒子間結合が形成されているような形態も好ましい。これらの状態は電子顕微鏡等の写真で観察する事もできる。
本発明の吸水性樹脂組成物は、質量平均粒子径が好ましくは100〜600μmの粒子状であり、より好ましく質量平均粒子径が200〜500μmの粒子状である。質量平均粒子径が100μm未満の場合は、取り扱い性が悪く、またダストが多く、通液・拡散性が悪くなってしまう恐れがある。質量平均粒子径が600μmよりも大きい場合には、ダメージを受けやすくなり、物性の低下を招く恐れがある。
本発明の吸水性樹脂組成物は、粒度分布の対数標準偏差(σζ)が好ましくは0.25〜0.45、より好ましくは0.27〜0.47、さらに好ましくは0.30〜0.40である。粒度分布の対数標準偏差(σζ)は粒度分布の広がりを示す数値で、小さい値ほど粒度分布が狭いことを表している。すなわち、対数標準偏差(σζ)が0.45よりも大きくなってしまうと、粒度分布の幅が広くなりすぎ、取り扱い性が悪くなったり、目的の物性が得られなかったりする恐れがある。0.25未満の場合には、生産性が著しく低下してしまうため、コストに見合った効果が得られない可能性がある。
本発明の吸水性樹脂組成物は、吸水性樹脂粒子の表面に金属化合物の少なくとも一部が融着しているため、金属化合物の偏析が起こりにくい。この偏析の起こりやすさを知るための指標として、金属化合物偏析指数がある。すなわち、本発明の吸水性樹脂組成物の金属化合物偏析指数は、好ましくは0.0〜2.0、より好ましくは0.0〜1.7、最も好ましくは0.0〜1.5である。金属化合物偏析指数は後述の方法によって求められる。
本発明の吸水性樹脂組成物は、吸水性樹脂粒子の表面に金属化合物の少なくとも一部が融着する際に、微粒子も融着する場合もあるため、ダスト抑制効果が高い。
本発明の吸水性樹脂組成物は、驚くべきことに、吸水性樹脂粒子に金属化合物を添加する他の方法(乾式混合、水溶液添加、乾式混合後に結合剤を添加など)と比べて吸湿時の取り扱い性に優れることが見出された。吸水性樹脂粒子の表面に金属化合物を融着させた場合、吸水性樹脂粒子の表面の一部を金属化合物が被覆することにより、吸湿時の吸水性樹脂粒子間の結合が抑制され、粒子同士が凝集するのを防ぐ効果がある。その効果は、融着により、より有効に働いている。例えば、金属化合物を水溶液添加した場合には、金属化合物が粒子内部に浸透してしまうため、粒子同士の凝集を防ぐ効果は得られにくい。また、乾式混合では吸水性樹脂粒子と金属化合物は点接触となり、やはり融着した場合ほどの効果は得られない。
本発明の吸水性樹脂組成物は、25℃、相対湿度70%、1時間経過時のブロッキング率(BR)が、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下である。
本発明の吸水性樹脂組成物は、無加圧下吸収倍率(CRC)が15〜45g/gであることが好ましく、20〜37g/gであることがより好ましく、24〜32g/gであることがさらに好ましい。無加圧下吸収倍率が低いとおむつ等の衛生材料に使用する場合の効率が悪くなり、高すぎた場合にはゲル強度の低下などによる性能低下が起こる恐れがある。
本発明の吸水性樹脂組成物は、加圧下吸収倍率(AAP)が16g/g以上を示すことが好ましく、20g/g以上を示すことがより好ましく、24g/g以上を示すことがさらに好ましい。また、吸水性樹脂組成物の加圧下吸収倍率(AAP)は金属化合物を添加する前の吸水性樹脂粒子の加圧下吸収倍率(AAP)と比較して低下が少ない事が望ましく、吸水性樹脂粒子の加圧下吸収倍率(AAP)と比較して0.85倍以上を維持していることが好ましく、0.90倍以上を維持していることがより好ましく、0.95倍以上を維持していることが最も好ましい。
本発明の吸水性樹脂組成物は、食塩水流れ誘導性(SFC)が30(×10−7・cm・s・g−1)以上を示す物が好ましく、50(×10−7・cm・s・g−1)以上を示すことがより好ましく、80(×10−7・cm・s・g−1)以上を示すことがさらに好ましく、100(×10−7・cm・s・g−1)以上を示すことが最も好ましい。食塩水流れ誘導性(SFC)は通液・拡散性を示す数値であり、高い吸水性樹脂組成物ほど通液・拡散性に優れる。食塩水流れ誘導性(SFC)は衛生材料中の吸水性樹脂組成物の含有率にもよるが高含有率になる程より高い値が必要となる。
本発明の吸水性樹脂組成物は、20cmの高さにおける毛管吸収倍率(CSF)が15g/g以上を示すことが好ましく、18g/g以上を示すことがより好ましく、20g/g以上を示すことが最も好ましい。毛管吸収倍率(CSF)は毛管吸引力の強さを示す値である。毛管吸収倍率(CSF)が高い方がより吸収液を高さ方向にも拡散できるので望ましい。
本発明の吸水性樹脂組成物は、吸水性樹脂組成物中の水可溶成分が好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、最も好ましくは10質量%以下のものが用いられる。本発明において水可溶成分が20質量%を超えると、発明の効果が得られないおそれがあるばかりか、おむつなどの衛生材料の吸水体として使用した場合の性能を低下させるおそれもある。また、安全性の観点からも好ましくない。性能低下の原因としては、吸水性樹脂組成物が吸水し膨潤した時に、吸水性樹脂内部の高分子成分が溶出し、それによって液の透過が阻害されることが挙げられる。溶出した高分子成分は、吸水性樹脂粒子表面を液が流れる際に抵抗となっていると考えられる。また、同様に高分子成分の溶出は、被吸収溶液の粘度を上げ、毛管吸引力を低下させるおそれもある。吸水性樹脂組成物の水可溶成分は後述の方法で測定される。
本発明の吸水性樹脂組成物の含水率は特に限定されないが、好ましくは0質量%以上100質量%以下、より好ましくは0.01質量%以上40質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以上10質量%以下である。
本発明の吸水性樹脂組成物の嵩比重は特に限定されないが、好ましくは0.40〜0.90g/mlであり、0.50〜0.80g/mlの範囲であることがさらに好ましい(嵩比重の測定法はJIS K−3362で規定されている)。嵩比重が0.40g/ml未満のものや0.90g/mlを超えるものの場合には、プロセスによるダメージを受けやすくなり、物性が低下するおそれがある。
本発明の吸水性樹脂組成物は、吸水性樹脂粒子および金属化合物の他に、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、タルク、ホウ酸、珪酸、粘土、珪藻土、ゼオライト、ベントナイト、カオリン、ハイドロタルサイト、活性白等塩類等の水不溶性微粒子状無機粉体;消臭剤、香料、抗菌剤、ポリアミン等のカチオン性高分子化合物、発泡剤、顔料、染料、肥料、酸化剤、還元剤、等の添加物を含有し、機能を付与或いは高めたものであってもよい。これら添加物の使用割合は、吸水性樹脂組成物の質量に対して、10質量%未満であることが好ましく、より好ましくは5質量%未満、さらに好ましくは1質量%未満である。
本発明の吸水性樹脂組成物が衛生材料に用いられた場合、表面架橋された吸水性樹脂粒子に金属化合物が融着されている事で水性液に対するぬれ性が良い上に、吸液したゲルが所謂ゲルブロッキングを起こし難く、ゲル粒子間の空隙がゲル同士の密着によって塞がることもないので、オムツなどの吸収体中に高濃度で使用した場合においても、2度目以降の尿や体液が吸収体表面で行き場を失うことなく吸収体の内部に拡散することが出来、内部の吸水性樹脂粒子に尿や体液を分配することができる。更に、吸水性樹脂組成物の吸水性樹脂に該吸水性樹脂組成物の造粒品を混合したものは粒子間の隙間の大きさが適度であるために、液体を毛管力で吸引する性質も併せ持つため、毛管吸引力によっても吸収液を吸収体全体に拡散することができる。

〔吸水性樹脂組成物の製造方法〕
本発明の吸水性樹脂組成物を製造する際に使用される吸水性樹脂粒子、金属化合物は、先に説明した通りである。
本発明の吸水性樹脂組成物を製造する方法は、アクリル酸および/またはその塩を含む単量体を重合して得られる吸水性樹脂粒子および/または金属化合物を、該金属化合物の融点以上の温度に加熱することによって、該金属化合物の少なくとも一部を該吸水性樹脂粒子の表面に融着させる方法である。
本発明における融着とは、金属化合物の少なくとも一部が熱によって、溶融または固体状態よりも柔らかくなり、他の物質に接着するような現象をいい、熱融着と同じ意味で用いられる。ただし、熱以外の手段で金属化合物を溶融または固体状態よりも柔らかくすることで融着する場合も含む。
すなわち、上記の方法であれば特に限定されないが、例えば下記の(a)〜(d)ような方法がある。
(a)金属化合物の融点以上に加熱した吸水性樹脂粒子と金属化合物を混合する方法。
(b)金属化合物の融点以上に加熱した金属化合物と吸水性樹脂粒子を混合する方法。
(c)吸水性樹脂粒子と金属化合物を混合した後に、その混合物を金属化合物の融点以上に加熱する方法。
(d)金属化合物の融点以上に加熱した吸水性樹脂粒子と金属化合物の融点以上に加熱した金属化合物を混合する方法。
これらの方法が好ましいが、他の方法を用いることも可能である。
本発明において、吸水性樹脂粒子および/または金属化合物を加熱する手段としては、例えば、ヒーター、マイクロ波、超音波、遠赤外線などが挙げられる。
本発明において、吸水性樹脂粒子は、カルボキシル基と脱水反応またはエステル交換反応する官能基を、少なくとも2個有する化合物で表面架橋処理されていることが好ましい。
本発明において、金属化合物は、水分散体や水溶液などではなく、粉体の形態で使用することが好ましいが、水などを加えずに溶融させた状態で用いることもできる。また、溶融させた状態で用いる場合、溶融を促進するために少量の水を添加することも可能である。しかし、添加する水の量は少ないほど良く、金属化合物が室温(25℃)において固体である範囲で添加される。具体的には、添加する水の量は、金属化合物の質量に対して、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
本発明において、金属化合物は、吸水性樹脂粒子の質量に対して、好ましくは0.001〜10質量%、より好ましくは0.01〜5質量%、最も好ましくは0.1〜3質量%用いられる。金属化合物の添加量が0.001質量%未満の場合は、本発明の効果を得ることが困難となる。また、10質量%を超える添加量の場合には、不経済であるばかりか、吸水性樹脂組成物の性能の低下を招く恐れがある。
本発明において、添加・混合方法に特に制限はなく、公知の粉体添加・混合方法を用いれば良い。吸水性樹脂粒子に所定量の金属化合物を一括または分割または連続的に添加する方法が好ましい。
本発明において、吸水性樹脂粒子と金属化合物の混合は攪拌下に行われることが好ましい。また、攪拌下に金属化合物の少なくとも一部を該吸水性樹脂粒子の表面に融着させることが好ましい。攪拌装置としては、パドルブレンダー、リボンミキサー、ロータリーブレンダー、ジャータンブラー、プラウジャーミキサー、モルタルミキサー、レーディゲミキサーなどを使用する事ができる。これらの攪拌装置は加熱できる装置であっても良いし、加熱した混合物を冷却する装置であっても良い。
本発明において、吸水性樹脂粒子および/または金属化合物を加熱する際には、該金属化合物の融点以上に加熱する必要がある。加熱する際の温度範囲は、好ましくは250℃以下、より好ましくは30〜250℃、最も好ましくは50〜200℃の範囲である。また、金属化合物が完全に溶融しない状態が好ましい。完全に溶融した場合、吸水性樹脂粒子が金属化合物によって完全に被覆されてしまう可能性があり、そのため物性が低下してしまう恐れがある。
本発明において、吸水性樹脂粒子と金属化合物の攪拌時間は特に限定されないが、好ましくは60分以下、より好ましくは30分以下である。
本発明において、金属化合物の少なくとも一部を吸水性樹脂粒子の表面に融着させる時に、吸水性樹脂粒子と金属化合物の混合物を加圧することが好ましい。加圧することによって、融着が促進される。
本発明において、金属化合物の少なくとも一部を吸水性樹脂粒子の表面に融着させた後に、得られた吸水性樹脂組成物の粒度分布を調整することが好ましい。粒度分布を調整する手段としては、公知の手段を用いれば良いが、好ましくは解砕機および/または分級機が使用される。
本発明において、吸水性樹脂粒子と金属化合物を混合する際には水分の添加や水溶液状態での金属化合物の混合は避けなければならない。水分の添加や水溶液状態での金属化合物の混合が行われると、金属化合物成分が吸水性樹脂粒子の内部に浸透してしまい、本発明の効果が十分に発揮されなくなる。例えば、特表2001−523289(WO98/48857)には、高吸水性ポリマーを多価金属塩と混合した後に該混合物を結合剤と密に接触させる事を特徴とする高吸水性ポリマーの調製法が開示されており、前記結合剤として水もしくは水溶性液体が記載されている。一方、本発明では、吸水性樹脂組成物(2)を製造するに当たって、吸水性樹脂粒子と金属化合物を混合後、水や水溶性液体などの水性液体を添加する必要がない点が従来の方法と全く異なるのである。よって、本発明では、結合剤を用いない方法が好ましい。結合剤が使用されることによって、表面張力やCSFその他の物性が低下する恐れがある。また、これら水もしくは水溶性液体を用いない方法として吸水性樹脂粒子と金属化合物を乾式混合する方法が考えられるが、この方法では偏析やダストの増加などが起こる可能性がある。また、吸水性樹脂粒子に金属化合物が付着していてもその結合力が弱いために、少しの力が加わるだけで容易に剥離してしまうなどの問題点がある。本発明では、吸水性樹脂粒子の表面に金属化合物の少なくとも一部を融着させることが重要な手法であり、この手法により、前記従来あった問題点を解決し、添加剤の偏析が起こり難く、通液・拡散性に優れ、また、加圧下吸収倍率の低下が少なく、さらに、驚くべきことに吸湿時の取り扱い性にも優れ、ダスト抑制効果もある吸水性樹脂組成物を提供することが出来るのである。

〔吸水体〕
本発明の吸水性樹脂組成物は、適当な素材と組み合わせることにより、たとえば、衛生材料の吸収層として好適な吸水体とすることができる。以下、本発明における吸水体について説明する。
本発明における吸水体とは、血液や体液、尿などを吸収する、紙おむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、医療用パッド等の衛生材料に用いられる、吸水性樹脂組成物とその他の素材からなる成形された組成物のことであり、用いられる素材の例としては、たとえば、セルロース繊維が挙げられる。セルロース繊維の具体例としては、木材からのメカニカルパルプ、ケミカルパルプ、セミケミカルパルプ、溶解パルプ等の木材パルプ繊維、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維等を例示できる。好ましいセルロース繊維は木材パルプ繊維である。これらセルロース繊維はナイロン、ポリエステル等の合成繊維を一部含有していてもよい。本発明の吸水性樹脂組成物を吸水体の一部として使用する際には、吸水体中に含まれる本発明の吸水性樹脂組成物の質量が、好ましくは20質量%以上の範囲である。吸水体中に含まれる本発明の吸水性樹脂組成物の質量が、20質量%未満になると、十分な効果が得られなくなるおそれがある。
本発明の吸水性樹脂組成物とセルロース繊維から吸水体を得るには、たとえば、セルロース繊維からなる紙やマットに吸水性樹脂組成物を散布し、必要によりこれらで挟持する方法、セルロース繊維と吸水性樹脂組成物を均一にブレンドする方法、など吸水体を得るための公知の手段を適宜選択できる。好ましくは、吸水性樹脂組成物とセルロース繊維を乾式混含した後、圧縮する方法である。この方法により、セルロース繊維からの吸水性樹脂組成物の脱落を著しく抑えることが可能である。圧縮は加熱下に行うことが好ましく、その温度範囲は、たとえば50〜200℃である。また、吸水体を得るために、特表平9−509591号や特開平9−290000号に記載されている方法も好ましく用いられる。
本発明の吸水性樹脂組成物は、吸水体に使用された場合、諸物性に優れるため、液の取り込みが早く、また、吸水体表層の液の残存量が少ない、非常に優れた吸水体が得られる。
本発明の吸水性樹脂組成物は、優れた吸水特性を有しているため、種々の用途の吸水保水剤として使用できる。例えば、紙おむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、医療用パッド等の吸収物品用吸水保水剤;水苔代替、土壌改質改良剤、保水剤、農薬効力持続剤等の農園芸用保水剤;内装壁材用結露防止剤、セメント添加剤等の建築用保水剤;リリースコントロール剤、保冷剤、使い捨てカイロ、汚泥凝固剤、食品用鮮度保持剤、イオン交換カラム材料、スラッジまたはオイルの脱水剤、乾燥剤、湿度調整材料等で使用できる。また、本発明の吸水性樹脂組成物は、紙おむつ、生理用ナプキンなどの、糞、尿または血液の吸収用衛生材料に特に好適に用いられる。
本発明における吸水体は、紙おむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、医療用パッド等の衛生材料に用いられる場合、(a)着用者の体に隣接して配置される液体透過性のトップシート、(b)着用者の身体から遠くに、着用者の衣類に隣接して配置される、液体に対して不透過性のバックシート、および(c)トップシートとバックシートの間に配置された吸水体、を含んでなる構成で使用されることが好ましい。吸水体は二層以上であっても良いし、パルプ層などとともに用いても良い。
以下に、実施例および比較例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下では、便宜上、「質量部」を単に「部」と、「リットル」を単に「L」と記すことがある。また、「質量%」を「wt%」と記すことがある。
実施例および比較例における、測定方法および評価方法を以下に示す。
特に記載が無い限り下記の測定は室温(25℃)、湿度50RH%の条件下で行われたものとする。
なお、衛生材料などの最終製品として使用された吸水性樹脂組成物の場合は、吸水性樹脂組成物は吸湿しているので、適宜、吸水性樹脂組成物を最終製品から分離して減圧低温乾燥後(例えば、1mmHg以下、60℃で12時間)に測定すればよい。また、本発明の実施例および比較例において使用された吸水性樹脂組成物の含水率はすべて6質量%以下であった。
<無加圧下吸収倍率(CRC)>
吸水性樹脂または吸水性樹脂組成物0.20gを0.0001gのレベルまで正確に計り取り、不織布製(南国パルプ工業(株)製、商品名:ヒートロンペーパー、型式:GSP−22)の袋(85mm×60mm)に均一に入れてシールした。
1Lの容器に0.90質量%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)1Lを投入し、1容器あたりに1つの評価サンプルを1時間浸漬した。なお、本発明はイオン移動の効果に着目する発明であるため、複数のサンプルを1つの容器に浸漬してはならない。
30分後、袋を引き上げ、遠心分離機(株式会社コクサン社製、遠心機:型式H−122)を用いて、edana ABSORBENCY II 441.1−99に記載の遠心力(250Gの遠心力)で3分間水切りを行った後、袋の質量W1(g)を測定した。また、同様の操作を吸水性樹脂または吸水性樹脂組成物を用いずに行い、その時の質量W0(g)を測定した。そして、これらW1、W0から、下記の式に従って無加圧下吸収倍率(g/g)を算出した。
CRC(g/g)=[(W1(g)−W0(g))/吸水性樹脂または吸水性樹脂組成物の質量(g)]−1
<加圧下吸収倍率(AAP)>
下記の参考例、実施例、比較例におけるAAPは、以下の方法で測定した。
図1に示す装置を用いて測定した。
内径60mmのプラスチックの支持円筒100の底に、ステンレス製400メッシュの金網(目の大きさ38μm)101を融着させ、室温(20〜25℃)、湿度50RH%の条件下で、金網上に吸水性樹脂または吸水性樹脂組成物(102)0.90gを均一に散布し、その上に、吸水性樹脂または吸水性樹脂組成物に対して、4.83kPa(0.7psi)の荷重を均一に加えることができるよう調整された、外径が60mmよりわずかに小さく支持円筒の内壁面との間に隙間が生じず、かつ上下の動きが妨げられないピストン103と荷重104とをこの順に載置して、この測定装置一式の質量Wa(g)を測定した。
直径150mmのペトリ皿105の内側に直径90mmのガラスフィルター106(株式会社相互理化学硝子製作所社製、細孔直径:100〜120μm)を置き、0.90質量%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)108(20〜25℃)をガラスフィルターの上面と同じレベルになるように加えた。その上に、直径90mmの濾紙(107)1枚(ADVANTEC東洋株式会社、品名:(JIS P 3801、No.2)、厚さ0.26mm、保留粒子径5μm)を載せ、表面が全て濡れるようにし、かつ過剰の液を除いた。
測定装置一式を前記湿った濾紙上に載せ、液を荷重下で所定時間吸収させた。この吸収時間は、測定開始から算出して、1時間後とした。具体的には、1時間後、測定装置一式を持ち上げ、その質量Wb(g)を測定した。この質量測定はできるだけすばやく、かつ振動を与えないように行わなくてはならない。そして、Wa、Wbから、次式によって加圧下吸収倍率(AAP)(g/g)を算出した。
AAP(g/g)=[Wb(g)−Wa(g)]/吸水性樹脂または吸水性樹脂組成物の質量(g)
<食塩水流れ誘導性(SFC)>
特表平9−509591の食塩水流れ誘導性(SFC)試験に準じて行った。
図2に示す装置を用い、容器40に均一に入れた吸水性樹脂または吸水性樹脂組成物(0.900g)を人工尿(1)中で0.3psi(2.07kPa)の加圧下、60分間膨潤させ、ゲル44のゲル層の高さを記録し、次に0.3psi(2.07kPa)の加圧下、0.69質量%塩化ナトリウム水溶液33を、一定の静水圧でタンク31から膨潤したゲル層を通液させた。このSFC試験は室温(20〜25℃)で行った。コンピューターと天秤を用い、時間の関数として20秒間隔でゲル層を通過する液体量を10分間記録した。膨潤したゲル44(の主に粒子間)を通過する流速F(t)は増加質量(g)を増加時間(s)で割ることによりg/sの単位で決定した。一定の静水圧と安定した流速が得られた時間をtとし、tと10分間の間に得たデータだけを流速計算に使用して、tと10分間の間に得た流速を使用してF(t=0)の値、つまりゲル層を通る最初の流速を計算した。F(t=0)はF(t)対時間の最小2乗法の結果をt=0に外挿することにより計算した。
SFC
=(F(t=0)×L)/(ρ×A×△P)
=(F(t=0)×L)/139506
ここで、
(t=0):g/sで表した流速
:cmで表したゲル層の最初の厚さ
ρ:NaC1溶液の密度(1.003g/cm
A:セル41中のゲル層上側の面積(28.27cm
△P:ゲル層にかかる静水圧(4920dyne/cm
SFCの単位は、(×10−7・cm・s・g−1)である。
図2に示す装置としては、タンク31には、ガラス管32が挿入されており、ガラス管32の下端は、0.69質量%塩化ナトリウム水溶液33をセル41中の膨潤ゲル44の底部から、5cm上の高さに維持できるように配置した。タンク31中の0.69質量%塩化ナトリウム水溶液33は、コック付きL字管34を通じてセル41へ供給された。セル41の下には、通過した液を補集する容器48が配置されており、補集容器48は上皿天秤49の上に設置されていた。セル41の内径は6cmであり、下部の底面にはNo.400ステンレス製金網(目開き38μm)42が設置されていた。ピストン46の下部には液が通過するのに十分な穴47があり、底部には吸水性樹脂または吸水性樹脂組成物あるいはそれらの膨潤ゲルが、穴47へ入り込まないように透過性の良いガラスフィルター45が取り付けてあった。セル41は、セルを乗せるための台の上に置かれ、セルと接する台の面は、液の透過を妨げないステンレス製の金網43の上に設置した。
人工尿(1)は、塩化カルシウムの2水和物0.25g、塩化カリウム2.0g、塩化マグネシウムの6水和物0.50g、硫酸ナトリウム2.0g、りん酸2水素アンモニウム0.85g、りん酸水素2アンモニウム0.15g、および、純水994.25gを混合したものを用いた。
<質量平均粒子径(D50)および粒度分布の対数標準偏差(σζ)>
吸水性樹脂または水溶性多価金属塩粒子または吸水性樹脂組成物を、目開き850μm、710μm、600μm、500μm、425μm、300μm、212μm、150μm、45μmなどのJIS標準ふるいで篩い分けし、残留百分率Rを対数確率紙にプロットした。これにより、R=50質量%に相当する粒子径を質量平均粒子径(D50)として読み取った。また、粒度分布の対数標準偏差(σζ)は下記の式で表され、σζの値が小さいほど粒度分布が狭いことを意味する。
σζ=0.5×ln(X2/X1)
(X1はR=84.1質量%、X2はR=15.9質量%の時のそれぞれの粒径である。)
質量平均粒子径(D50)および粒度分布の対数標準偏差(σζ)を測定する際の分級方法は、吸水性樹脂または水溶性多価金属塩粒子または吸水性樹脂組成物10.0gを、室温(20〜25℃)、湿度50RH%の条件下で、目開き850μm、710μm、600μm、500μm、425μm、300μm、212μm、150μm、45μmのJIS標準ふるい(THEIIDATESTINGSIEVE:径8cm)に仕込み、振動分級器(IIDASIEVESHAKER、TYPE:ES−65型、SER.No.0501)により、5分間、分級を行った。
<毛管吸収倍率(CSF)>
CSFは、吸水性樹脂や吸水性樹脂組成物の毛管吸引力を表す指標である。
毛管吸収倍率は、水柱20cmの負の圧力勾配における所定時間内での吸収体の液体の吸収能力を0.06psi荷重下で測定する。
図3を参照して、これらの毛管吸収能力を測定するための装置および方法を記載する。
多孔質ガラス板1(グラスフィルター粒子番号#3; 株式会社相互理化学硝子製作所製のBuchner型フィルター TOP 17G‐3(code no.1175−03))の液吸収面を有する直径60mmのグラスフィルター2の下部に導管3をつなぎ、この導管3を直径10cmの液溜容器4の下部に備え付けられている口に接続した。前記グラスフィルターの多孔質ガラス板は平均孔径が20〜30μmであって、その毛管力によって60cmの液面高さの差を付けた状態でも水柱の負圧に抗して多孔質ガラス板内に水を保持することが出来、空気の導入が無い状態を保てるものである。グラスフィルター2に高さを上下させるための支持リング5をはめ、系に0.90質量%食塩水(0.90質量%NaCl水溶液)(0.90%NaCl溶液)6を満たし、液溜容器を天秤上7に載せた。導管中、およびグラスフィルターの多孔質ガラス板の下部に空気がないことを確認してから液溜容器4中の生理食塩水(0.90質量%NaCl水溶液)6上部の液面レベルと多孔質ガラス板1の上面の高低差が20cmになるように調節してグラスフィルターをスタンド8に固定した。
多孔質ガラス板1上に測定試料9(吸水性樹脂組成物)0.44gをロート中のガラスフィルター上に均一にすばやく散布し、さらにその上に直径59mmの荷重10(0.06psi)を載せ、30分後に測定試料9に吸収された0.90質量%食塩水(0.90質量%NaCl水溶液)の値(W20)を測定した。
毛管吸収倍率は以下の式で求められる。
毛管吸収倍率(CSF)(g/g)=吸収量(W20)(g)/0.44(g)
<可溶分(水可溶成分)量>
250ml容量の蓋付きプラスチック容器に0.90質量%食塩水184.3gを測り取り、その水溶液中に吸水性樹脂粒子または吸水性樹脂組成物1.00gを加え16時間攪拌することにより樹脂中の可溶分を抽出した。この抽出液を濾紙1枚(ADVANTEC東洋株式会社、品名:(JIS P 3801、No.2)、厚さ0.26mm、保留粒子径5μm)を用いて濾過することにより得られた濾液の50.0gを測り取り測定溶液とした。
はじめに0.90質量%食塩水だけを、まず、0.1NのNaOH水溶液でpH10まで滴定を行い、その後、0.1NのHCl水溶液でpH2.7まで滴定して空滴定量([bNaOH]ml、[bHCl]ml)を得た。
同様の滴定操作を測定溶液についても行うことにより滴定量([NaOH]ml、[HCl]ml)を求めた。
例えば既知量のアクリル酸とそのナトリウム塩からなる吸水性樹脂または吸水性樹脂粒子または吸水性樹脂組成物の場合、そのモノマーの平均分子量と上記操作により得られた滴定量をもとに、吸水性樹脂中の可溶分量を以下の計算式により算出することができる。未知量の場合は滴定により求めた中和率を用いてモノマーの平均分子量を算出する。
可溶分(質量%)=0.1×(平均分子量)×184.3×100×([HCl]−[bHCl])/1000/1.0/50.0
中和率(mol%)=(1−([NaOH]−[bNaOH])/([HCl]−[bHCl]))×100
<金属化合物の定量>
金属化合物の定量は、公知の方法が適宜用いられる。例えば、原子吸光光度法、プラズマ発光分光分析法、呈色試薬を用いた吸光光度法などで定量される。水溶性の金属化合物であればプラズマ発光分光分析法が好ましく用いられる。以下に測定法の例を挙げる。
260mlの容量のポリプロピレン製ビーカーに吸水性樹脂組成物1.0gを秤取り、0.90質量%食塩水190.0gおよび2Nの塩酸10.0gを加え、室温下30分間攪拌した。攪拌後、上澄み液をクロマトディスク(GLクロマトディスク25A、ジーエルサイエンス株式会社)でろ過し、ろ液をプラズマ発光分光分析(堀場製作所製、ULTIMA)で分析することにより金属塩濃度を求めた。なお、検量線は既知量の多価金属を含む0.90質量%食塩水により作成した。求められた多価金属濃度より、吸水性樹脂組成物中の多価金属濃度は次の式で表される。
吸水性樹脂組成物中の多価金属濃度(質量%)=(溶液中の多価金属濃度(質量%))×200
<金属化合物偏析指数>
金属化合物の偏析の起こり安さを示した数値であり、以下の方法で測定される。
前記の方法によって吸水性樹脂組成物中に含まれる金属化合物の量を定量し、以下の式によって算出する。
金属化合物偏析指数=W71(ppm)/W72(ppm)
W71は前記の質量平均粒子径の測定と同じ要領で分級操作を行い、例えば目開き300μmのJIS標準ふるいを通過した吸水性樹脂組成物中(300μm以下の粒子径を有する部分)に含まれるの金属成分の濃度(ppm)を表す。また、W72は分級操作前の吸水性樹脂組成物に含まれる金属成分の濃度(ppm)を表す。吸水性樹脂組成物の質量平均粒子径によって、本測定法の篩の目開きの大きさは適宜変化させる。具体的には質量平均粒子径が150μm以下の場合は目開き45μmのJIS標準ふるいを用い、質量平均粒子径が150〜300μmの場合は目開き150μmのJIS標準ふるいを用い、質量平均粒子径が300〜500μmの場合は目開き300μmのJIS標準ふるいを用い、質量平均粒子径が500μm以上の場合は目開き500μmのJIS標準ふるいを用いることとする。
<ブロッキング率(BR)>
25℃、相対湿度70%、1時間経過時のブロッキング率(Blocking Ratio)のことを示す。
吸水性樹脂粒子(または吸水性樹脂組成物)2gを底面の内径50mm、高さ10mmのポリプロピレン製カップの底に均一に散布し、あらかじめ25℃、相対湿度70%に調整した恒温恒湿器(タバイエスペック製PLATIOOUS LUCIFER PL−2G)にすばやく入れ、60分間放置した。その後、吸湿した吸水性樹脂粒子を直径7.5cm、目開き2000μmのJIS標準ふるいに移し、振動分級器(IIDA SIEVE SHAKER、TYPE:ES−65型、SER.No.0501)により5分間ふるい、ふるい上に残存した吸水性樹脂粒子の質量W4(g)およびふるいを通過した吸水性樹脂粒子の質量W5(g)を測定した。
下記式により、吸湿ブロッキング率(%)を算出した。
吸湿ブロッキング率(%)=質量W4(g)/(質量W4(g)+質量W5(g))×100
吸湿ブロッキング率が低いほど、吸湿流動性に優れている。
後述するような、金属化合物の添加効果を明らかにする実験は、同じ前駆体を用いて、その効果を比較することが好ましい。例えば、前駆体の粒度分布が変化してしまうと、SFCのような粒度に依存するパラメータの評価が正しく行えなくなる恐れがある。例えばSFCで表される吸水性樹脂粒子の性能を比較する際には、同程度のCRCおよび粒度分布を有している吸水性樹脂粒子でSFCを比較することが好ましい。
〔参考例1〕
シグマ型羽根を2本有する内容積10リットルのジャケット付きステンレス型双腕型ニーダーに蓋を付けて形成した反応器中で、71.3モル%の中和率を有するアクリル酸ナトリウムの水溶液5438g(単量体濃度39質量%)にポリエチレングリコールジアクリレート7.14g(0.06モル%)を溶解させて反応液とした。次にこの反応液を窒素ガス雰囲気下で、30分間脱気した。続いて、反応液に10質量%過硫酸ナトリウム水溶液29.34gおよび0.1質量%L−アスコルビン酸水溶液24.45gを攪拌しながら添加したところ、およそ1分後に重合が開始した。そして、生成したゲルを粉砕しながら、20〜95℃で重合を行い、重合が開始して30分後に含水ゲル状架橋重合体を取り出した。
得られた含水ゲル状架橋重合体は、その径が約5mm以下に細分化されていた。この細分化された含水ゲル状架橋重合体を50メッシュ(目開き300μm)の金網上に広げ、180℃で50分間熱風乾燥した。得られた吸水性樹脂をロールミルを用いて粉砕し、さらに目開き850μmおよび150μmのJIS標準篩で分級することにより、吸水性樹脂粒子(a)を得た。
〔参考例2〕
参考例1と同様の重合操作を、反応液を75モル%の中和率を有するアクリル酸ナトリウムの水溶液5444g(単量体濃度38質量%)にポリエチレングリコールジアクリレート4.02g(0.035モル%)を溶解させたものに変えて行った。
得られた吸水性樹脂をロールミルを用いて粉砕し、さらに目開き710μmおよび150μmのJIS標準篩で分級することにより、吸水性樹脂粒子(b)を得た。
〔参考例3〕
参考例1と同様の重合操作を、反応液を71モル%の中和率を有するアクリル酸ナトリウムの水溶液5438g(単量体濃度38質量%)にポリエチレングリコールジアクリレート11.7g(0.1モル%)を溶解させたものに変えて行った。
得られた吸水性樹脂をロールミルを用いて粉砕し、さらに目開き600μmおよび150μmのJIS標準篩で分級することにより、吸水性樹脂粒子(c)を得た。
〔参考例4〕
前記参考例1で得られた吸水性樹脂(a)100gに、炭酸エチレン1.0g、純水3.0gの混合液からなる表面処理剤を均一に混合した後、混合物を180℃で30分間加熱処理した。さらに、その粒子を目開き850μmのJIS標準篩を通過するまで解砕し、吸水性樹脂粒子(a1)を得た。
〔参考例5〕
前記参考例2で得られた吸水性樹脂(b)100gに、2−オキサゾリドン1.0g、純水3.0gの混合液からなる表面処理剤を均一に混合した後、混合物を185℃で30分間加熱処理した。さらに、その粒子を目開き710μmのJIS標準篩を通過するまで解砕し、吸水性樹脂粒子(b1)を得た。
〔参考例6〕
前記参考例3で得られた吸水性樹脂粒子(c)100gに、1,4−ブタンジオール1.0g、純水3.0gの混合液からなる表面処理剤を均一に混合した後、混合物を190℃で30分間加熱処理した。さらに、その粒子を目開き600μmのJIS標準篩を通過するまで解砕し、吸水性樹脂粒子(c1)を得た。
〔実施例1〕
前記参考例6で得られた吸水性樹脂粒子(c1)100gを140℃に加温し、カリウムミョウバン(硫酸カリウムアルミニウム12水塩)2gを攪拌下に混合し、10分間攪拌した。このようにして吸水性樹脂組成物(1)を得た。
〔比較例1〕
前記参考例6で得られた吸水性樹脂粒子(c1)100gに、カリウムミョウバン(硫酸カリウムアルミニウム12水塩)2gと水8gからなる水溶液を攪拌下に混合した。このようにして比較吸水性樹脂組成物(1)を得た。
〔比較例2〕
前記参考例6で得られた吸水性樹脂粒子(c1)100gとカリウムミョウバン(硫酸カリウムアルミニウム12水塩)2gを混合し、攪拌下に水3gを添加した。このようにして比較吸水性樹脂組成物(2)を得た。
〔実施例2〕
前記参考例5で得られた吸水性樹脂粒子(b1)100gとアンモニウムミョウバン(硫酸アルミニウムアンモニウム12水塩)1.5gを攪拌下に混合し、混合物を130℃に加温し、15分間攪拌した。このようにして吸水性樹脂組成物(2)を得た。
〔実施例3〕
カリウムミョウバン(硫酸カリウムアルミニウム12水)10gと純水1.5gとを還流冷却器(コンデンサー)を備えたSUS316製の容器に仕込んだ。このときは、カリウムミョウバンは固体粉末であった。これを容器ごと120℃のグリセリン浴に浸し、カリウムミョウバンが溶融するまで加熱した。溶融を確認した後、直ちに、前記参考例6で得られた吸水性樹脂粒子(c1)500gの入ったレディゲミキサーに、ミキサー攪拌下で1分間、そのカリウムミョウバン溶融液を噴霧(噴霧ノズル:いけうち製、K0012ノズル、加圧圧力=0.2MPa)し、カリウムミョウバン溶融液でコーティングされた吸水性樹脂組成物(3)を得た。
〔比較例3〕
前記参考例5で得られた吸水性樹脂粒子(b1)100gに、アンモニウムミョウバン(硫酸アルミニウムアンモニウム12水塩)1.5gと水8.5gからなる水溶液を攪拌下に混合した。このようにして比較吸水性樹脂組成物(3)を得た。
〔比較例4〕
前記参考例5で得られた吸水性樹脂粒子(b1)100gとアンモニウムミョウバン(硫酸アルミニウムアンモニウム12水塩)1.5gとを混合し、攪拌下に水3gを添加した。このようにして比較吸水性樹脂組成物(4)を得た。
〔実施例1〜3および比較例1〜4で得られた吸水性樹脂組成物(1)〜(3)および比較吸水性樹脂組成物(1)〜(4)について〕
実施例1〜3および比較例1〜4で得られた吸水性樹脂組成物(1)〜(3)および比較吸水性樹脂組成物(1)〜(4)のCRC、AAP、SFCを表1に示す。
また、実施例1で得られた吸水性樹脂組成物(1)の電子顕微鏡写真の撮影をして得られた図(図4−(a)、図5−(a))および同じ写真のSEM−EDS(Energy Dispersive Xray Spectrometer)による硫黄元素のX線イメージ写真の撮影をして得られた図(図4−(b)、図5−(b))を図4、図5に示す。硫黄元素はカリウムミョウバンに含まれる硫酸イオンに由来するものである。アルミニウム元素のX線イメージよりも感度が高く見やすいため硫黄元素のX線イメージ写真の撮影をして得られた図を用いた(アルミニウム元素のX線イメージも硫黄元素と同様の分布になる)。
Figure 2005105254
表1では、同じ吸水性樹脂粒子に同じ量の金属化合物を添加した場合であっても、本発明の吸水性樹脂組成物は優れた通液・拡散性を有し、またCRCやAAPの低下が少ない優れた吸水性樹脂組成物であることがわかる。
図4および図5では、吸水性樹脂粒子の表面に金属化合物が融着している様子がよくわかる。図4のように、本発明の吸水性樹脂組成物は、金属化合物の少なくとも一部が吸水性樹脂粒子の表面の少なくとも一部を層状に被覆する形態で融着していることが好ましい。また、図5のように吸水性樹脂粒子と金属化合物の粒子同士が融着によって粒子間結合しているような形態も好ましい形態である。
〔実施例4〕
前記参考例6で得られた吸水性樹脂粒子(c1)100gを170℃に加温し、硫酸アルミニウム14〜18水塩(質量平均粒子径150μm)1gを攪拌下に5分間混合した。このようにして吸水性樹脂組成物(4)を得た。
〔比較例5〕
前記参考例6で得られた吸水性樹脂粒子(c1)100gを70℃に加温し、硫酸アルミニウム14〜18水塩(質量平均粒子径150μm)1gを攪拌下に5分間混合した。このようにして比較吸水性樹脂組成物(5)を得た。
〔比較例6〕
前記参考例6で得られた吸水性樹脂粒子(c1)100gに、硫酸アルミニウム14〜18水塩(質量平均粒子径150μm)1gを攪拌下に5分間混合した。このようにして比較吸水性樹脂組成物(6)を得た。
〔比較例7〕
前記参考例6で得られた吸水性樹脂粒子(c1)100gと硫酸アルミニウム14〜18水塩(質量平均粒子径150μm)1gを混合し、攪拌下に水3gを添加した。このようにして比較吸水性樹脂組成物(7)を得た。
〔比較例8〕
前記参考例6で得られた吸水性樹脂粒子(c1)100gに、硫酸アルミニウム14〜18水塩(質量平均粒子径150μm)1gと水4gからなる水溶液を攪拌下に混合した。このようにして比較吸水性樹脂組成物(8)を得た。
〔実施例1、4および比較例5〜8で得られた吸水性樹脂組成物(1)、(4)および比較吸水性樹脂組成物(5)〜(8)について〕
実施例1、4および比較例5〜8で得られた吸水性樹脂組成物(1)、(4)、比較吸水性樹脂組成物(5)〜(8)の粒度別硫酸アルミニウム14〜18水塩(以下ASHと略す)含有量を測定した結果を表2に示す。なお結果は、前記のプラズマ発光分光分析法で測定したアルミニウム含有量から算出した。
Figure 2005105254
表2より、実施例4により得られた吸水性樹脂組成物(4)に含まれるASHは吸水性樹脂粒子表面に融着し完全に固定化されているため、300μmの目開きを有するメッシュを通過する粒子に含まれるASHの量が少なく、水溶液で添加した場合(比較吸水性樹脂組成物(8))と同程度である。これに比べて、他の乾式混合などの方法(比較吸水性樹脂組成物(5)〜(7))では、細かい粒径のASHが十分に固定化されていないため、300μmの目開きを有するメッシュを通過する粒子に含まれるASHの量が多くなってしまう。この結果より、本発明の吸水性樹脂組成物は含有される金属化合物の偏析が非常に起こりにくい、優れた吸水性樹脂組成物であることがわかる。また、金属化合物水溶液を添加する方法は、本発明の方法と同様に金属化合物の偏析抑制には効果的であるが、表8に示されるようにSFCの向上効果が低く、AAPの低下が大きい欠点がある。
〔実施例5〕
前記参考例4で得られた吸水性樹脂粒子(a1)100gおよび硝酸アルミニウム9水塩0.8gを攪拌下に混合し、さらに110℃に加温、10分間攪拌した。このようにして吸水性樹脂組成物(5)を得た。
〔比較例9〕
前記参考例4で得られた吸水性樹脂粒子(a1)100gおよび硝酸アルミニウム9水塩0.8gと水7.2gからなる水溶液を攪拌下に混合した。このようにして比較吸水性樹脂組成物(9)を得た。
〔比較例10〕
前記参考例4で得られた吸水性樹脂粒子(a1)100gおよび硝酸アルミニウム9水塩0.8gを混合し、攪拌下に水3gおよびポリエチレングリコール(平均分子量300)1gからなる水溶液を添加した。このようにして比較吸水性樹脂組成物(10)を得た。
〔実施例5および比較例9〜10で得られた吸水性樹脂組成物(5)および比較吸水性樹脂組成物(9)〜(10)について〕
実施例5および比較例9〜10で得られた吸水性樹脂組成物(5)、比較吸水性樹脂組成物(9)〜(10)のCRC、AAP、BRを測定した結果を表3に示す。
Figure 2005105254
表3では、同じ吸水性樹脂粒子に同じ量の金属化合物を添加した場合であっても、本発明の吸水性樹脂組成物はCRCやAAPの低下が少なく、BRに優れた吸水性樹脂組成物であることがわかる。
〔実施例6〕
前記参考例5で得られた吸水性樹脂粒子(b1)100gを120℃に加温し、塩化アルミニウム6水塩1gを攪拌下に5分間混合した。このようにして吸水性樹脂組成物(6)を得た。
〔実施例7〕
前記参考例6で得られた吸水性樹脂粒子(c1)100gを100℃に加温し、硫酸ナトリウムアルミニウム12水塩2gを攪拌下に5分間混合した。このようにして吸水性樹脂組成物(7)を得た。
〔比較例11〕
前記参考例5で得られた吸水性樹脂粒子(b1)100gを120℃に加温し、パラフィンワックス(融点83℃)1gを攪拌下に5分間混合した。このようにして比較吸水性樹脂組成物(11)を得た。
(比較例12)
前記参考例6で得られた吸水性樹脂粒子(c1)100gを160℃に加温し、カプリル酸亜鉛1gを攪拌下に5分間混合した。このようにして比較吸水性樹脂組成物(12)を得た。
(比較例13)
前記参考例6で得られた吸水性樹脂粒子(c1)100gとトリクロサン(TRICLOSAN)5gを均一に混合し、混合物を80℃に加温し、攪拌下に1時間混合した。このようにして比較吸水性樹脂組成物(13)を得た。
〔実施例2、6〜7および比較例11〜13で得られた吸水性樹脂組成物(2)、(6)〜(7)および比較吸水性樹脂組成物(11)〜(13)について〕
実施例2、6〜7および比較例11〜13で得られた吸水性樹脂組成物(2)、(6)〜(7)、比較吸水性樹脂組成物(11)〜(13)のCRC、SFC、CSFを表4に示す。
Figure 2005105254
表4より、本発明の吸水性樹脂組成物は優れたSFC、CSFを有し、通液・拡散性および毛管吸引力に優れていることがわかる。比較吸水性樹脂組成物(11)のような熱融着性の樹脂などでは、本発明の効果は得られず、逆にCSFの低下等を招いてしまう。比較吸水性樹脂組成物(12)のような、炭素数が分子内に7個以上ある有機酸の多価金属塩を用いた場合には、CSFの著しい低下を引き起こしてしまう。比較吸水性樹脂組成物(13)のような有機物の場合も本発明の効果は得られず、逆にCSFの低下等を招いてしまう。
〔比較例14〕
前記参考例6で得られた吸水性樹脂粒子(c1)100gとカリウムミョウバン(硫酸カリウムアルミニウム12水塩)2gを攪拌下に混合し、10分間攪拌した。このようにして比較吸水性樹脂組成物(14)を得た。
〔実施例1および比較例1〜2、14で得られた吸水性樹脂組成物(1)および比較吸水性樹脂組成物(1)〜(2)、(14)について〕
実施例1および比較例1〜2、14で得られた吸水性樹脂組成物(1)、比較吸水性樹脂組成物(1)〜(2)、(14)のBRを表5に示す。
Figure 2005105254
表5より、他の添加方法と比べて、本発明の吸水性樹脂組成物は優れたBRを有し、吸湿時の取り扱い性に優れていることがわかる。
参考例4〜6で得られた吸水性樹脂粒子(a1)、(b1)、(c1)、実施例1〜2、4〜7で得られた吸水性樹脂組成物(1)〜(2)、(4)〜(7)の粒度分布を表6に示す。
Figure 2005105254
本発明の吸水性樹脂組成物は、優れた吸水特性を有しているため、種々の用途の吸水保水剤として使用できる。例えば、紙おむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、医療用パッド等の吸収物品用吸水保水剤;水苔代替、土壌改質改良剤、保水剤、農薬効力持続剤等の農園芸用保水剤;内装壁材用結露防止剤、セメント添加剤等の建築用保水剤;リリースコントロール剤、保冷剤、使い捨てカイロ、汚泥凝固剤、食品用鮮度保持剤、イオン交換カラム材料、スラッジまたはオイルの脱水剤、乾燥剤、湿度調整材料等で使用できる。また、本発明の吸水性樹脂組成物は、紙おむつ、生理用ナプキンなどの、糞、尿または血液の吸収用衛生材料に特に好適に用いられる。
AAPの測定に用いる測定装置の概略の断面図である。 SFCの測定に用いる測定装置の概略の断面図である。 CSFの測定に用いる測定装置の概略の断面図である。 吸水性樹脂組成物(1)の電子顕微鏡写真の撮影をして得られた図(図4−(a))および同じ写真のSEM−EDSによる硫黄元素のX線イメージ写真の撮影をして得られた図(図4−(b))である。 吸水性樹脂組成物(1)の電子顕微鏡写真の撮影をして得られた図(図5−(a))および同じ写真のSEM−EDSによる硫黄元素のX線イメージ写真の撮影をして得られた図(図5−(b))である。
符号の説明
1 多孔質ガラス板
2 グラスフィルター
3 導管
4 液溜容器
5 支持リング
6 0.90質量%食塩水
7 天秤
8 スタンド
9 測定試料(吸水性樹脂粒子や吸水性樹脂組成物など)
10 荷重(0.41kPa(0.06psi))
31 タンク
32 ガラス管
33 0.69質量%塩化ナトリウム水溶液
34 コック付きL字管
35 コック
40 容器
41 セル
42 ステンレス製金網
43 ステンレス製金網
44 膨潤ゲル
45 ガラスフィルター
46 ピストン
47 ピストン中の穴
48 補集容器
49 上皿天秤
100 プラスチックの支持円筒
101 ステンレス製400メッシュの金網
102 膨潤ゲル
103 ピストン
104 荷重(おもり)
105 ペトリ皿
106 ガラスフィルター
107 濾紙
108 0.90質量%食塩水

Claims (11)

  1. アクリル酸および/またはその塩を含む単量体を重合して得られる吸水性樹脂粒子と金属化合物を含む吸水性樹脂組成物であって、
    該金属化合物が、アルカリ金属塩、多価金属塩(炭素数が分子内に7個以上ある有機酸の多価金属塩を除く)から選ばれる1種または2種以上であり、
    該金属化合物の少なくとも一部が吸水性樹脂粒子の表面に融着している、吸水性樹脂組成物。
  2. 前記吸水性樹脂粒子が、カルボキシル基と脱水反応またはエステル交換反応する官能基を少なくとも2個有する化合物で表面架橋されている、請求項1に記載の吸水性樹脂組成物。
  3. 前記金属化合物の少なくとも一部が前記吸水性樹脂粒子の表面の少なくとも一部を層状に被覆する形態で融着している、請求項1または2に記載の吸水性樹脂組成物。
  4. 前記金属化合物の融点が250℃以下である、請求項1から3までのいずれかに記載の吸水性樹脂組成物。
  5. 前記金属化合物が水溶性多価金属塩である、請求項1から4までのいずれかに記載の吸水性樹脂組成物。
  6. 前記金属化合物が、水和水を有し、かつアルミニウムを含む水溶性多価金属塩である、請求項5に記載の吸水性樹脂組成物。
  7. 前記組成物の加圧下吸収倍率が20g/g以上である、請求項1から6までのいずれかに記載の吸水性樹脂組成物。
  8. 前記組成物の0.69質量%食塩水流れ誘導性が30(×10−7・cm・s・g−1)以上である、請求項1から7までのいずれかに記載の吸水性樹脂組成物。
  9. アクリル酸および/またはその塩を含む単量体を重合して得られる吸水性樹脂粒子と金属化合物を含む吸水性樹脂組成物の製法であって、
    該金属化合物が、アルカリ金属塩、多価金属塩(炭素数が分子内に7個以上ある有機酸の多価金属塩を除く)から選ばれる1種または2種以上であり、
    該吸水性樹脂粒子および/または該金属化合物を該金属化合物の融点以上の温度に加熱することによって、該金属化合物の少なくとも一部を該吸水性樹脂粒子の表面に融着させる、吸水性樹脂組成物の製造方法。
  10. 前記融着が吸水性樹脂粒子および/または金属化合物の攪拌下に行われる、請求項9に記載の吸水性樹脂組成物の製造方法。
  11. 前記融着が前記吸水性樹脂粒子の表面架橋処理の後に行われる、請求項9または10に記載の吸水性樹脂組成物の製造方法。
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