JP3753626B2 - 洗浄装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は通常の洗濯機に組み合わせる部分洗い装置として用いることのできる洗浄装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
洗濯機(電気洗濯機)は、通常、洗濯槽の中に洗濯物を投入し、洗剤を溶かした水と一緒にして洗濯槽の中で流動させる(渦巻きを形成する、攪拌する)か、洗濯槽そのものを回転させるかして洗濯を行う。これにより、洗濯槽に投入された洗濯物を一斉に洗い、洗濯物の各部に均一な洗い効果を及ぼす。ところが、洗濯物の中でも汚れのひどい箇所、例えばカッターシャツの襟や袖口、あるいはしみができた箇所、さらには木綿の靴下などは上記のような一斉洗いでは汚れが十分には落ちないことがあり、そのような場合には部分的に手洗いする必要があった。しかしながらこのように手洗いするのは手間がかかるうえ、こすり洗いとなるので布地が傷む。
【0003】
そこで、通常の洗濯槽に加え、洗濯物を部分洗いすることのできる部分洗い装置を洗濯機に付加する試みがなされた。例えば、特開平4−224793号公報に記載された洗濯機では、超音波により洗浄液を噴射する噴射ノズルを洗濯槽の上に配置し、この噴射ノズルの下に被洗浄物の汚れた部分を持っていくことにより、部分洗いを行えるようになっている。また特開2000−24362号公報には部分洗い装置として用いることのできる洗浄装置が記載されている。この洗浄装置の構造を図10により説明する。
【0004】
図10において、101は超音波振動子、102は超音波振動子101に連結して振動を伝達するコーン、103はコーン102の振動振幅を増幅するホーンである。104はガード部で、被洗浄物105を挿入するスリット部106を有する。ホーン103の先端はスリット部106の天井部に露出する。107は給水管、108は給水管107から供給される洗浄液をホーン103に沿って均一に流下させるための洗浄液供給ガイドである。スリット部106の底面部には洗浄液を排水するための貫通口109が設けられている。
【0005】
上記構成において、駆動信号により超音波振動子101が振動するとその振動はホーン103で増幅される。給水管107から洗浄液を供給しつつスリット部106に被洗浄物105を通すと被洗浄物105は高エネルギー密度の超音波を受け、給液されて保水した被洗浄物の外表面あるいは繊維内で強力なキャビテーションが発生し、汚れは極めて効果的に除去されるものである。
【0006】
上記洗浄装置において、ホーン103の先端部は高エネルギー密度(数十W/cm2)で超音波振動しており、このような高エネルギー密度の超音波が人体組織に照射された場合、火傷や組織破壊を招く危険がある。人体への危険を防ぐため、スリット部106は指の入りにくい寸法に設計されているが、それでも、女性や子供の細い指だとホーン103まで届いてしまうことがあった。またスリット部106に挟まれた指が万一抜けなくなったりすると、超音波が局所に集中して長時間照射されることになり、非常に危険であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、超音波振動するホーンを備えた洗浄装置において、ホーンに人体が接触して火傷を負ったり人体組織が破壊されたりする事故を回避できる構造とすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明では、超音波発生手段と、発生した超音波を増幅するホーンとを備え、このホーンの先端部に洗濯物を接近又は接触させて洗浄を行う洗浄装置において、前記ホーンを囲むガード部を不動部に変位可能に取り付け、このガード部と不動部との間に、洗濯物の存在する方向より加わる圧力を感知する感圧手段を設け、この感圧手段の感知した圧力が設定値を超えたときは前記超音波発生手段の超音波発生を停止又は出力低下させるものとした。
【0009】
このように構成したことにより、人体(特に指)がホーン又はこれを囲むガード部に接近し、ホーン又はガード部に通常レベルを超える圧力が加わった場合、この圧力変化を感知し、超音波発生手段の超音波発生を停止させるか、あるいは人体に影響のない程度にまで出力を低下させることができる。
【0010】
また、厚手の洗濯物を受け入れることを可能としつつも、なお安全性を確保することができる
【0011】
また本発明では、超音波発生手段が停止又は出力低下した後に圧力が設定値以下に復帰した場合において、超音波発生手段の出力が原状回復するまでにタイムラグを持たせることとした。これにより、超音波発生手段の停止又は出力低下の原因となっていた人体接触が解除されたとき、通常レベルの超音波照射が即座には再開されないので、人体をゆっくりと安全に引っ込めることができる
【0012】
また本発明では、ホーンの先端部と向かい合う位置に、洗濯物を支持するサドルを配置した。これにより、重い洗濯物であっても楽に部分洗いをこなすことができる。
【0013】
また本発明では、ガード部をサドルの方向にバネで付勢した。これにより、ガード部とサドルとの間隔を必要なとき以外は狭く保ち、指の入り込みを防止できる。
【0014】
また本発明では、超音波発生手段と、発生した超音波を増幅するホーンとを備え、このホーンの先端部に洗濯物を接近又は接触させて洗浄を行う洗浄装置において、前記ホーンを収容するガード部を複数に分割するとともに、各分割ガード部はそれぞれ洗濯物の存在する方向より加わる圧力を感知する感圧手段を備え、且つ洗濯物の存在する方向にバネで付勢されているものとし、洗濯物により複数の分割ガード部が変位せしめられ、それぞれの感圧手段がこの変位による圧力変化を感知したときのみ、超音波が発生するようにした。
【0015】
このような構成により、洗濯物を両手で持ち上げてホーンに引きつける動作を行ってはじめて超音波が発生することになり、指をホーンに近づけないという基本的な注意が自ずと守られることになる。
【0016】
また本発明では、感圧手段として歪センサを用いた。これにより、構成簡素で信頼性の高い感圧手段を実現できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各種実施形態を図に基づき説明する。
【0018】
図1〜図3に第1実施形態を示す。1は洗濯機本体、10は洗濯機本体1に部分洗い装置として付加される洗浄装置である。洗浄装置10は逆L字形のベース11を有する。ベース11の垂直コラム部12は洗濯機本体1の上面に固定され、垂直コラム部12の上端からは水平なオーバーハング部13が洗濯機本体1の中の洗濯槽(図示せず)の上に突き出す形で張り出している。オーバーハング部13は図2に見られるように下面が開いたコ字形状となっていて、その中に密閉ケーシング状のガード部14が下から挿入される。
【0019】
ガード部14はオーバーハング部13の中を垂直方向に変位可能である。ガード部14の前面と後面(オーバーハング部13の先端方向に向いた面を前面とし、それと反対側の面を後面とする)には垂直方向の長穴15、16を設け、オーバーハング部13及び垂直コラム部12から突出するガイドピン17、18をこの長穴15、16に通して、変位の上限と下限を定める。ガイドピン17、18はそれぞれ垂直方向に2本ずつ並んでおり、ガード部14が水平軸線まわりに回動するのを防いでいる。オーバーハング部13の天井面との間に挿入した圧縮コイルバネ19により、ガード部14は常時下方に付勢される。
【0020】
ガード部14は内部に超音波発生手段20を収容する。超音波発生手段20は振動素子22を含む加振部21と、この加振部21に取り付けられたL字形のホーン23からなる。ホーン23の左右側面からは突起24が対称的に突出する。突起24は振動伝達の無振動域にあたる箇所に設けられている。
【0021】
超音波発生手段20はL字形のホーン23を横倒しにした形でガード部14の中に支持される。支持は、突起24と、加振部21に形設したフランジ25とにより行う。ガード部14の内面には突起24の係合するリブ26とフランジ25の係合するリブ27を形設する。ホーン23の先端部28はガード部14の下端に形設した開口部29から僅かに外部に突き出す。
【0022】
30はガード部14の下にこれと平行して配置されるサドルである。サドル30は垂直コラム部12に固定され、上下動はしない。サドル30は図2に示すように山形断面を有しており、頂部をガード部14の下端に向かい合わせている。なおガード部14の下端は、サドル30とは対称的に、下向きの山形断面となっている。サドル30の頂部とガード部14の下端(及びホーン先端部28)との間には、ガード部14が最も下降した時点でも一定の間隔が維持される。
【0023】
ガード部14の一方の側面には給水管31を設け、これに連続して洗浄液供給ガイド32を設ける。洗浄液供給ガイド32はホーン先端部28とほぼ同じ幅を有し、給水管30から供給される洗浄液をホーン先端部28全体に均一に行き渡らせる働きをする。
【0024】
オーバーハング部13とガード部14との間には感圧手段40を配置する。感圧手段40は、オーバーハング部13の垂直内壁から突き出したブラケット41に支持された歪センサ42と、ガード部14の上面に形設された押圧突起43とにより構成される。感圧手段40は洗濯物の存在する方向より加わる圧力、すなわちサドル30の存在する方向から加わる圧力を感知する。
【0025】
50は超音波発生手段20の動作を制御する制御回路である。感圧手段40は制御回路50に接続し、圧力の情報を伝える。制御回路50は遅延回路51を含んでいる。
【0026】
次に洗浄装置10の作用を説明する。洗濯物の部分洗いを行う場合には、まず給水管31から洗浄液を流す。洗浄液はホーン先端部28を伝いつつ開口部29を通ってサドル30に滴下する。ここで制御回路50が働き、加振部21が発振すると、超音波振動がホーン23に伝わる。超音波振動はホーン23で増幅されて洗浄液に伝わる。この状態で図2のようにガード部14とサドル29との隙間に洗濯物60を挿入すると洗濯物60の上に洗浄液が降り注ぐことになる。
【0027】
ここで図2のように洗濯物60を両手で持ち上げ、ホーン先端部28に接近、あるいは接触する状態にして、左右に動かす。洗浄液のしみ込んだ洗濯物60の外表面と繊維内では超音波エネルギーにより強力なキャビテーションが発生し、汚れが浮き上がる。ホーン23によって振幅の増幅された数十KHzの振動が物理的に洗濯物60に伝達されることと相まって、汚れは効果的に除去される。汚れの除去具合は目視で確認できるので、満足できるレベルに達するまで部分洗いを続行すればよい。部分洗い終了後の洗濯物60は洗濯槽に入れ、洗濯やすすぎを行う。
【0028】
図3に示すようにガード部14とサドル30との間に指61が挟まると、ガード部14が自身の重量及び圧縮コイルバネ19の圧力に抗して持ち上がる。ガード部14が持ち上がると、その上面に形設された押圧突起43が不動部に、この場合はベース11のオーバーハング部13に、支持された歪センサ42に接触してこれを押す。歪センサ42の感知する圧力が設定値を超えると、制御回路50は超音波発生手段20の超音波発生を停止、ないしは超音波の出力を人体に影響のないレベルまで低下させる。従って、指61を挟んだ人は傷害を被ることなく指を引き抜くことができる。
【0029】
指61がある程度まで抜けてガード部14が降下し、感圧手段40の感知圧力が設定値以下に復帰したとしても、超音波発生手段20がすぐに通常の出力レベルの超音波発振を再開する訳ではない。遅延回路51が働くため、超音波出力手段20の出力が原状回復するのは一定のタイムラグの後である。そのため、指61をゆっくりと安全に引き抜くことができる。
【0030】
洗濯物60をホーン先端部28に密着させて部分洗いを行う場合、必然的にガード部14が持ち上がる。これを考慮し、洗濯物60を通じガード部14に約100gfまでの上向き力がかかるまでは通常出力の超音波発振が継続するようにする。上向き力が約100gfの設定レベルを超えたら超音波発生を停止、あるいは出力低下の措置をとる。出力を低下させるについては、圧力に反比例して出力が逓減する構成とすることができる。
【0031】
図9には超音波により部分洗いを行った場合の実験データが示されている。この実験においては、JISC9606(電気洗濯機)に準拠して人工汚染布(襟汚れを模擬したもの)を用意し、この人工汚染布を試験布として反射率法による洗浄度を求めた。洗浄度の計算式は次のとおりである。
洗浄度(%)=100×(洗浄後反射率−洗浄前反射率)/(原布反射率−洗浄前反射率)
【0032】
実験条件は、超音波は周波数35KHzで40W入力、洗浄液は20°Cの水道水であった。試験布には事前に市販の部分洗い用洗剤を直接塗布した。洗浄時間は5秒から10秒とした。図9から、超音波による部分洗いではブラシや手もみによる部分洗いに比べて短時間で極めて高い洗浄度が得られることがわかる。
【0033】
なお、この実施形態ではガード部14がホーン23をすっぽりと囲うものとしたが、ガード部14の上部はオーバーハング部13の中に入り込んでいるので上面が開口していても構わない。このようにガード部14の上面を開口とした場合には、ホーン23とオーバーハング部13との間に感圧手段40を設ける。具体的には、ホーン23の上面に背の高い押圧突起43を固定するとともに、この押圧突起43に歪センサ42が届くところまでブラケット41を延長すれば良い。
【0034】
洗浄装置10は洗濯機本体1に組み合わせて用いるものとしたが、これをスタンドアローンで用いるよう構成することも可能である。
【0035】
図4に本発明の第2実施形態を示す。なお、この第2実施形態を含む以下の実施形態の説明において、説明が重複し繁雑になるのを避けるため、第1実施形態と共通する構成要素については第1実施形態で使用したのと同じ符号を付し、説明は省略するものとする。
【0036】
図4の洗浄装置10aは、洗濯機本体1の上面に固定した台座70にガード部14aを軸71により垂直面内で回動できるよう取り付けている。ガード部14aの後端からはブラケット72が張り出し、このブラケット72と洗濯機本体1との間に挿入した圧縮コイルバネ73により、ガード部14aには図において反時計まわりの回動付勢力が与えられている。台座70に形設されたストッパ部74がガード部14aの回動限界となる。サドル30は洗濯機本体1に固定されている。
【0037】
洗濯機本体1の上面、ブラケット72に向かい合う位置にポスト75が立ち上がる。不動部であるポスト75の上面には押圧突起43aを形設し、押圧突起43aに向かい合うブラケット72下面には歪センサ42aを固定し、この歪センサ42aと押圧突起43aにより感圧手段40aを構成する。
【0038】
上記洗浄装置10aにおいては、洗濯物の存在する方向、すなわちサドル30の方向よりガード部14aに圧力が加わると、ガード部14aは圧縮コイルバネ73の付勢力に抗し軸71を中心として時計まわり方向に回動する。その結果、歪センサ42aが押圧突起43aに当たり、信号を発する。この信号に基づき、超音波発生手段20は超音波発生を停止、ないしは超音波の出力を人体に影響のないレベルまで低下させる。
【0039】
図5に本発明の第3実施形態を示す。この実施形態では洗濯機本体1の上面に回転台座80を配置する。回転台座80は洗濯機本体1に固定した垂直軸81を中心として水平面内で回転する。この回転台座80に、第2実施形態の洗浄装置10aがそっくり載置されるものである。サドル30も回転台座80の側面に取り付ける。
【0040】
洗濯物の存在する方向、すなわちサドル30の方向よりガード部14aに圧力が加わると、ガード部14aは圧縮コイルバネ73の付勢力に抗し軸71を中心として時計まわり方向に回動し、歪センサ42aが押圧突起43aに当たって信号を発し、これにより超音波発生手段20が超音波発生を停止、ないしは超音波の出力を人体に影響のないレベルまで低下させるのは第2実施形態と同様である。この第3実施形態では洗浄装置10aとサドル30が回転台座80に支持されているため、部分洗い終了後は回転台座80を回動させて洗浄装置10aを洗濯槽の上から退避させ、洗浄装置10aが洗濯物の出し入れに邪魔にならないようにすることができる。なお、洗浄装置10aの位置が勝手に変わるのを防ぐため、回転台座80にストッパを付設し、洗濯槽の上に張り出す角度位置と洗濯槽の上から退避する角度位置とに洗浄装置10aを確実に保持できるようにする。
【0041】
図6〜図8に本発明の第4実施形態を示す。これまでの実施形態では、ガード部が変位すると超音波の発生が停止あるいは出力低下するようになっていたが、この第4実施形態は逆にガード部が変位しないと超音波を発生しないようにした点に特徴を有する。ただし、ガード部が単に変位すれば良いという訳ではなく、特定の変位態様が実現されなければならない。以下これにつき説明する。
【0042】
第4実施形態の洗浄装置10bは、第1実施形態の場合と同じく、洗濯機本体1に固定したベース11bのオーバーハング部13bにガード部14bを変位可能に取り付けている。ただし今度のガード部14bは、図7に見られるとおり、超音波発生手段20の中心線を含む垂直面により左右対称に2分割されている。左分割ガード部14bLと右分割ガード部14bRは各々が長穴15、16とガイドピン17、18の組み合わせによりベース11bに支持され、互いに独立して上下変位可能である。圧縮コイルバネ19と感圧手段40の押圧突起43は左右分割ガード部14bL、14bRにそれぞれ設けられている。
【0043】
ガード部14bは超音波発生手段20を支持しない。ベース11bがフランジ25を介して超音波発生手段20を支持する。超音波発生手段20の高さが変わらないので、左右分割ガード部14bL、14bRが上下するとホーン先端部28が開口部29から出入りする。
【0044】
次に洗浄装置10bの作用を説明する。左右分割ガード部14bL、14bRは通常は図7の位置に下がっており、ホーン先端部28は開口部29の中に隠れている。洗濯物の部分洗いを行うとき、給水管31から洗浄液を流すのは第1実施形態の場合と同様であるが、この時はまだ、超音波発生手段20は超音波を発生しない。ここでサドル30の上に洗濯物60を置き、洗濯物60を両手で持って引き上げると、左右の分割ガード部14bL、14bRが上方への変位を始める。図8のように洗濯物60の両側を斜め上方向にぴんと張り、洗濯物60をホーン先端部28に引きつけると、左右分割ガード部14bL、14bRにおいて押圧突起43が歪センサ42を押し、歪センサ42が信号を発する。
【0045】
左右の歪センサ42が信号を発すると、制御回路50は左右分割ガード部14bL、14bRが洗濯物60により持ち上げられたものと判断し、超音波発生手段20による超音波発生が開始される。左右分割ガード部14bL、14bRを持ち上げたまま洗濯物60をゆっくりと送れば、洗濯物60の異なる部位が順次洗浄される。
【0046】
洗濯物60を下げる、あるいは張力を緩めることにより、左右分割ガード部14bL、14bRのどちらかでも下がって押圧突起43が歪センサ42から離れれば、超音波発生は停止する。この場合、超音波発生が直ちに停止して構わないから、制御回路50には第1実施形態のときのような遅延回路は設けていない。
【0047】
この第4実施形態の場合、左右分割ガード部14bL、14bRとサドル30との間に指が挟まったとしても、指が持ち上げたのが左右分割ガード部14bL、14bRの一方だけであるならば、それによって超音波が発生することはないので指に危険はない。
【0048】
なお上記各実施形態において、サドル30は部分洗い作業のために必要というものではないが、洗濯物60を持つ手を休めたり、洗濯物60の汚れ箇所あるいは洗浄度を確認したりするときにこれがあると便利なので、設けることとしたものである。
【0049】
以上、本発明の各種実施形態につき説明したが、これまでに示してきたものは発明の構成の例示であり、これに変更を加えて実施することを妨げるものではない。例えば、感圧手段として歪センサに代え、マイクロスイッチ、近接スイッチ、光センサ等を使用することができる。要は、圧力そのものを測定しなくても、圧力変化が形を変えて現れた変位を監視できれば良い。その他、発明の主旨を逸脱しない範囲で更に種々の変更を加えて実施することができる。
【0050】
【発明の効果】
本発明は以下に掲げるような効果を奏するものである。
【0051】
本発明では、超音波発生手段と、発生した超音波を増幅するホーンとを備え、このホーンの先端部に洗濯物を接近又は接触させて洗浄を行う洗浄装置において、前記ホーンを囲むガード部を不動部に変位可能に取り付け、このガード部と不動部との間に、洗濯物の存在する方向より加わる圧力を感知する感圧手段を設け、この感圧手段の感知した圧力が設定値を超えたたときは前記超音波発生手段の超音波発生を停止又は出力低下させるものとしたから、人体(特に指)がホーン又はこれを囲むガード部に接近し、ホーン又はガード部に通常レベルを超える圧力が加わった場合、この圧力変化を感知し、超音波発生手段の超音波発生を停止させるか、あるいは人体に影響のない程度にまで出力を低下させることができ、人体が火傷や組織損傷を被る懸念がない。従って、高出力の超音波発生手段を使用し、洗浄を強力に推進することができる。
【0052】
また、厚手の洗濯物を受け入れることを可能としつつも、なお安全性を確保することができる
【0053】
また本発明では、超音波発生手段が停止又は出力低下した後に圧力が設定値以下に復帰した場合において、超音波発生手段の出力が原状回復するまでにタイムラグを持たせることとしたから、超音波発生手段の停止又は出力低下の原因となっていた人体接触が解除されたとき、通常レベルの超音波照射が即座には再開されないので、人体をゆっくりと安全に引っ込めることができる。あわてて手を引っ込めたことにより手をどこかにぶつけ、負傷したりすることもない
【0054】
また本発明では、ホーンの先端部と向かい合う位置に、洗濯物を支持するサドルを配置したから、重い洗濯物であればこれに支持を任せて楽に部分洗いをこなすことができる。汚れ箇所を確認したり洗浄度をチェックしたりするのもサドルを利用して容易に行うことができる。
【0055】
また本発明では、ガード部をサドルの方向にバネで付勢したから、ガード部とサドルとの間隔を必要なとき以外は狭く保ち、指の入り込みを防止できる。
【0056】
また本発明では、超音波発生手段と、発生した超音波を増幅するホーンとを備え、このホーンの先端部に洗濯物を接近又は接触させて洗浄を行う洗浄装置において、前記ホーンを収容するガード部を複数に分割するとともに、各分割ガード部はそれぞれ洗濯物の存在する方向より加わる圧力を感知する感圧手段を備え、且つ洗濯物の存在する方向にバネで付勢されているものとし、洗濯物により複数の分割ガード部が変位せしめられ、それぞれの感圧手段がこの変位による圧力変化を感知したときのみ、超音波が発生するようにしたから、洗濯物を両手で持ち上げてホーンに引きつける動作を行ってはじめて超音波が発生することになり、指をホーンに近づけないという基本的な注意が自ずと守られることになる。
【0057】
また本発明では、感圧手段として歪センサを用いたから、構成簡素で信頼性の高い感圧手段を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明洗浄装置の第1実施形態を示す垂直断面図
【図2】 第1実施形態の洗浄装置の垂直断面図にして、図1と直角の方向に切断したもの
【図3】 図2と同様の垂直断面図にして、異なる作動状態を示すもの
【図4】 本発明洗浄装置の第2実施形態を示す垂直断面図
【図5】 本発明洗浄装置の第3実施形態を示す垂直断面図
【図6】 本発明洗浄装置の第4実施形態を示す垂直断面図
【図7】 第4実施形態の洗浄装置の垂直断面図にして、図6と直角の方向に切断したもの
【図8】 図7と同様の垂直断面図にして、異なる作動状態を示すもの
【図9】 超音波方式洗浄装置の効果を示すグラフ
【図10】 従来の洗浄装置の垂直断面図
【符号の説明】
1 洗濯機本体
10、10a、10b 洗浄装置
11、11b ベース
12、12b 垂直コラム部
13、13b オーバーハング部
14、14a、14b ガード部
14bL 左分割ガード部
14bR 右分割ガード部
15、16 長穴
17、18 ガイドピン
19 圧縮コイルバネ
20 超音波発生手段
21 加振部
22 振動素子
23 ホーン
24 突起
25 フランジ
26、27 リブ
28 ホーン先端部
29 開口部
30 サドル
31 給水管
32 洗浄液供給ガイド
40、40a 感圧手段
41 ブラケット
42、42a 歪センサ
43、43a 押圧突起
50 制御回路
51 遅延回路
60 洗濯物
61 指
70 台座
71 軸
72 ブラケット
73 圧縮コイルバネ
74 ストッパ部
80 回転台座
81 垂直軸

Claims (6)

  1. 超音波発生手段と、発生した超音波を増幅するホーンとを備え、このホーンの先端部に洗濯物を接近又は接触させて洗浄を行う洗浄装置において、
    前記ホーンを囲むガード部を不動部に変位可能に取り付け、このガード部と不動部との間に、洗濯物の存在する方向より加わる圧力を感知する感圧手段を設け、この感圧手段の感知した圧力が設定値を超えたときは前記超音波発生手段の超音波発生を停止又は出力低下させることを特徴とする洗浄装置。
  2. 超音波発生手段が停止又は出力低下した後に圧力が設定値以下に復帰した場合において、超音波発生手段の出力が原状回復するまでにタイムラグを持たせたことを特徴とする請求項1に記載の洗浄装置。
  3. ホーンの先端部と向かい合う位置に、洗濯物を支持するサドルを配置したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の洗浄装置。
  4. ガード部をサドルの方向にバネで付勢したことを特徴とする請求項3に記載の洗浄装置。
  5. 超音波発生手段と、発生した超音波を増幅するホーンとを備え、このホーンの先端部に洗濯物を接近又は接触させて洗浄を行う洗浄装置において、
    前記ホーンを囲むガード部を複数に分割するとともに、各分割ガード部はそれぞれ洗濯物の存在する方向より加わる圧力を感知する感圧手段を備え、且つ洗濯物の存在する方向にバネで付勢されているものとし、洗濯物により複数の分割ガード部が変位せしめられ、それぞれの感圧手段がこの変位による圧力変化を感知したときのみ、超音波が発生するようにしたことを特徴とする洗浄装置。
  6. 感圧手段として歪センサを用いたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の洗浄装置。
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