JP3753484B2 - 高密度接続用コネクタ及びこのコネクタに使用される接触子 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の電線を圧接する圧接部をそれぞれに有した複数の接触子を備えるコネクタに関し、特に、それら接触子を収容する貫通穴を絶縁性本体に方形格子状配置で備えた高密度接続用のコネクタに関する。さらに本発明は、そのようなコネクタに使用される接触子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば交換機や伝送機器等で使用されるコネクタとして、信号線路の高密度化の要求に対応するために、複数の接触子の配置間隔(ピッチ)を縮小して高密度接続を可能にしたコネクタが種々提案されている。例えば「コンピュータデザイン」誌(電波新聞社、1991年7月号、第55頁第8図)には、IEEE規格のP1301.1標準及びEIA規格のIS−64標準に基づく2mmピッチの方形格子状配置で複数の接触子を備えた雌コネクタが開示されている。この雌コネクタは、例えば基板上に同一ピッチで配列された多数の雄形接触子に対し、所望位置に複数の雌コネクタを隣接して配置し、雄形接触子に無駄を生じることなく雌形接触子を接続できるものである。
【0003】
上記の雌コネクタでは、図12に示すように、電気絶縁性本体200の対向端面間に方形格子状配置で相互に略平行に延設された複数の貫通穴202のそれぞれに、接触子204が固定的に収容されている。各接触子204は、一端にケーブルCの被覆導線Wを圧接する圧接部206を備え、他端に対応の雄形接触子に導通接触する接触部208を備える。圧接部206は、それぞれに開放スリット210を備えて接触子204の横断方向に延設された2枚の圧接片212を備え、それらスリット210に被覆導線Wを圧入することにより、圧接片212が絶縁被覆を刺し貫いて導線に接触する。なおこのような圧入接続方式を一般に「圧接」と称する。
【0004】
実開昭63−9771号公報は、ケーブルC内の複数の被覆導線Wを相互離隔状態に保持してコネクタ本体220に取付けられる導線保持部材222を備えた高密度接続用のコネクタを開示する。図13に示すように、導線保持部材222は、接触子224の圧接部226を挿入する複数の貫通切込228を有した第1カバー230と、第1カバー230の貫通切込228に対応して配設された複数の凹部232及びそれら凹部232に交差して延びる複数の保持溝234を有した第2カバー236とを、相互に組合せて構成される。このコネクタでは、複数の接触子224は圧接部226の板面をコネクタの長手方向に向けて千鳥格子状に配列され、それに対応して第1カバー230の貫通切込228及び第2カバー236の凹部232は、いずれもカバー長手方向に直線状に延びて千鳥格子状に配置される。第2カバー236の各保持溝234は、カバー横断方向に延びて各凹部232に直交する。
【0005】
ケーブルCの複数の被覆導線Wは、第2カバー236に設けた開口部238に通され、相互に離隔して各保持溝234内に配置される。その状態で、第1カバー230を第2カバー236に組付けることにより、複数の被覆導線Wが複数の保持溝234に固定的に保持される。この導線保持部材222をコネクタ本体220に取付けると、各接触子224の圧接部226が第1カバー230の貫通切込228及び第2カバー236の凹部232に挿入されて、各保持溝234に保持された被覆導線Wに圧接される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
「コンピュータデザイン」誌に記載された上記の雌コネクタは、本体の貫通穴に収容された各接触子の、横断方向へ延長された2枚の圧接片に被覆導線を圧接できるようにするために、長尺の接触子と短尺の接触子とが異なる列に配置され、それら長さの異なる接触子の圧接部が長手方向へ互いにずれた位置で露出されている。したがってこのコネクタでは、接触子の寸法(長さ)の差に起因して、コネクタ内の信号線路間で信号の伝搬所要時間が異なり、他の通信回路部品との間での伝搬時間の整合を図ることが困難になる課題が生じる。また、複数の接触子の圧接部のスリットが、長手方向へずれた位置で同一横断方向に延びるので、全ての接触子にケーブルの複数の被覆導線を一括して同時に圧接することが困難であり、圧接作業に手間が掛かる問題を有する。さらに、接触子の圧接部は導線を圧接した状態でも露出されるので、圧接部や導線に外力が加わることにより圧接状態が変動する危惧が生じ、導通接触の信頼性に劣る課題がある。
【0007】
これに対し、実開昭63−9771号公報に開示されたコネクタは、導線保持部材を使用したことにより、ケーブルの複数の被覆導線を一括して同時に圧接することができる。しかしながらこのコネクタでは、信号線路間の短絡を防止するために接触子を千鳥格子状に配置しているので、同数の接触子を方形格子状に配列した場合に比べて、コネクタの寸法が接触子配列方向に拡大されてしまう。交換機や伝送機器において、信号線路の一層の高密度化を推進するためには、信号線路を方形格子状に配置することが不可欠であるが、このコネクタはそのような高密度の接続に対応することができない。
【0008】
したがって本発明の目的は、複数の接触子を方形格子状に配置した高密度接続用のコネクタにおいて、同一寸法(特に同一長さ)の接触子を使用でき、全ての接触子にケーブルの複数の被覆導線を一括して同時に圧接でき、しかも圧接部や導線への外力の影響を回避できる接続信頼性に優れたコネクタを提供することにある。本発明の他の目的は、そのようなコネクタに使用される接触子を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、一対の対向端面間に延びる複数の貫通穴を相互に略平行に方形格子状配置で備えた電気絶縁性の本体と、電線を圧接する圧接部を各々の一端に備え、圧接部を本体の一端面から突出させて本体の貫通穴にそれぞれ固定的に収容される導電性の複数の接触子とを具備した高密度接続用コネクタにおいて、複数の電線を相互絶縁状態に保持して本体の一端面に取付けられ、それら電線を複数の接触子の圧接部に一括して圧接する電気絶縁性の保持部材を具備した高密度接続用コネクタを提供する。この保持部材は、第1保持板と第2保持板とを相互に組合せて構成される。第1保持板は、第1支持面と、第1支持面とその裏面との間に貫通形成される開口部と、第1支持面上で開口部の周縁と第1保持板の外縁との間に互いに独立して様々な方向へ延設され、少なくとも一部が開口部の周縁から略放射状に配置される複数の第1挟持条部と、第1挟持条部の各々に1つずつ第1挟持条部に交差して刻設され、第1支持面上で互いに独立して方形格子状に配列される複数の第1受容部とを備える。第2保持板は、第1保持板の第1支持面に対向する第2支持面と、第2支持面上で第1保持板の複数の第1挟持条部に整合すべく延設され、第1挟持条部と協働して両挟持条部間に電線を挟持する複数の第2挟持条部と、第2挟持条部の各々に1つずつ第2挟持条部に交差して、第2支持面とその裏面との間に貫通形成され、第1保持板の複数の第1受容部に整合すべく方形格子状に配列される複数の第2受容部とを備える。複数の接触子は、各々の圧接部を接触子の軸線の周りで、第2保持板の対応の複数の第2挟持条部に直交可能な様々な角度に回転した状態で、本体の複数の貫通穴に収容される。そして保持部材は、第2保持板を本体の一端面に当接して本体に取付けられ、このとき第2保持板の複数の第2受容部が、本体に方形格子状に配置された複数の貫通穴にそれぞれ重畳して配置されるとともに、複数の接触子の圧接部が、第2保持板の複数の第2受容部にそれぞれ受容されて、第1挟持条部と第2挟持条部との間に挟持された電線に直交状態で圧接されるようになっている。
【0010】
さらに本発明は、上記高密度接続用コネクタにおいて、第1保持板の第1受容部が、第1挟持条部の延長方向に略直交して直線状に延びる第1切込からなり、第2保持板の第2受容部が、第2挟持条部の延長方向に略直交して直線状に延びる第2切込からなる高密度接続用コネクタを提供する。
さらに本発明は、上記高密度接続用コネクタにおいて、複数の接触子が、一端に形成された圧接部と、他端に形成された接触部と、圧接部と接触部との間に形成され、本体の貫通穴の壁に当接されて貫通穴内に接触子自体を支持する支持部とを備え、圧接部が支持部に対し傾斜して配置される高密度接続用コネクタを提供する。
【0011】
さらに本発明は、上記高密度接続用コネクタにおいて、複数の接触子が、支持部に対して圧接部を反対方向へ同一角度だけ折曲げて形成される2種類の接触子の群を含む高密度接続用コネクタを提供する。
【0012】
さらに本発明によれば、上記高密度接続用コネクタに使用される接触子であって、一端に形成された圧接部と、他端に他の導電性接触子に接触すべく形成された接触部と、圧接部と接触部との間に形成され、本体の貫通穴の壁に当接されて貫通穴内に接触子自体を支持する支持部とを備え、圧接部が、接触子の軸線の周りで所望角度に回転して、少なくとも一部分を支持部の外表面よりも外側に突出させる位置に、支持部に対し傾斜して配置されること、を特徴とする接触子が提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明をその実施形態に基づき詳細に説明する。
図面を参照すると、図1は本発明の一実施形態によるコネクタ10の主要部を分解斜視図で示す。コネクタ10は、本体12と、本体12の所定位置に絶縁支持される複数の接触子14と、接触子14に接続されるケーブルCの複数の被覆導線Wを分離保持して本体12に取付けられる導線保持部材16とを備える。
【0014】
本体12は、プラスチック等の電気絶縁体からなる略直方体形状のハウジングであり、略矩形平面形状の対向する前端面18と後端面20との間に、相互に略平行に延びる複数の貫通穴22を4行6列の方形格子状配置で備える。複数の貫通穴22は、いずれも同一の矩形断面形状を有し、各貫通穴22の壁面が本体12の外周面に平行となるように、かつ隣合う貫通穴22の対応壁面が相互に平行となるように配置される。本体12の前端面18において、各貫通穴22の開口部にはテーパ状の周面24が形成され、周面24の内奥に接触子14の接触部(後述する)が配置される。このような構成を有する本体12は、交換機や伝送機器等で高密度の接続に対応可能なコネクタに適用でき、例えばIEEE規格のP1301.1標準及びEIA規格のIS−64標準に基づく2mmピッチの方形格子状配置で複数の接触子を備える雌コネクタに適用できる。
【0015】
接触子14は、図2に示すように、平坦な導電性金属板から打抜いて形成される。打抜き形状の接触子14は、略中央の矩形基部26と、矩形基部26の一長辺の両端近傍から相互に平行に延長される一対の脚部28と、矩形基部26の他長辺の中央から脚部28の反対方向に延長される腕部30と、腕部30の先端に側方延長部分を有して連結される矩形支持部32と、矩形支持部32から腕部30の反対側に延設される連結部34と、矩形支持部32から僅かに離間して連結部34に連結される圧接部36とを備える。一対の脚部28の先端には接触部38が形成され、矩形支持部32の側方延長部分の反対側には爪40が突設される。圧接部36は、接触子14の長手方向に延設される一対の刃42を備え、それら刃42の間に腕部30の延長方向に平行に延びる開放スリット44が画成される。
【0016】
コネクタ10では、図2に示す打抜き形状の接触子14を、異なる方向に折曲げて形成できる2種類の接触子14a及び14bが使用される。図3(a)に示すように、接触子14aは、接触子14の基部26を図2に示す折線46、48に関して谷折式に略直角に折曲げるとともに支持部32を折線50に関して谷折式に略直角に折曲げ、さらに圧接部36を折線52に関して谷折式に、かつ支持部32の折曲げられなかった部分の表面に対し好ましくは115°〜120°の角度αに折曲げて形成される。また図3(b)に示すように、接触子14bは、接触子14の基部26を図2に示す折線46、48に関して山折式に略直角に折曲げるとともに支持部32を折線50に関して山折式に略直角に折曲げ、さらに圧接部36を折線52に関して山折式に、かつ支持部32の折曲げられなかった部分の表面に対し好ましくは115°〜120°の角度αに折曲げて形成される。
【0017】
このようにして曲成された接触子14a、14bはいずれも、圧接部36が矩形支持部32の側方延長部分に対し傾斜して側方延長部分の外側に少なくとも部分的に突出した形状となっている。さらに、接触子14a、14bの一対の脚部28は先端へ向かって徐々に相互接近するように、かつ一対の接触部38は先端へ向かって徐々に相互離反するように曲成される。それにより、他の雄形接触子に導通接触可能な雌形の接触部38が構成される。
【0018】
図4及び図5に示すように、複数の接触子14a、14bは、コネクタ10の本体12の複数の貫通穴22を、それらに設置する接触子14a、14bの種類及び設置方向に応じて2行3列ずつの4つの群に等分して、以下のように各群の貫通穴22に設置される。すなわち、本体12の後端面20にて図で左上に示される群の6個の貫通穴22には、それぞれ接触子14aを、それらの矩形支持部32及び圧接部36が本体12の上面54側に配置されるようにして挿入する。また、本体12の後端面20にて図で右下に示される群の6個の貫通穴22には、それぞれ接触子14aを、それらの矩形支持部32及び圧接部36が本体12の下面56側に配置されるようにして挿入する。
【0019】
さらに、本体12の後端面20にて図で右上に示される群の6個の貫通穴22には、それぞれ接触子14bを、それらの矩形支持部32及び圧接部36が本体12の上面54側に配置されるようにして挿入する。また、本体12の後端面20にて図で左下に示される群の6個の貫通穴22には、それぞれ接触子14bを、それらの矩形支持部32及び圧接部36が本体12の下面56側に配置されるようにして挿入する。
【0020】
このようにして全ての接触子14a、14bは、貫通穴22内でそれらの一対の接触部38を本体12の上面54側及び下面56側に向けて配置される一方で、それらの圧接部36を本体12の後端面20から外方へ突出させ、かつ等分された4つの貫通穴群の間では圧接部36を互いに異なる位置で傾斜させて配置される。各貫通穴22に挿入された各接触子14a、14bは、その矩形基部26、腕部30及び矩形支持部32が貫通穴22の壁に当接され、さらに爪40が貫通穴22の壁に係合することにより、貫通穴22内の所定位置に固定的に支持される。
【0021】
また、接触子14a、14bが貫通穴22内の所定位置に配置されると、傾斜した圧接部36の底面58は、本体12の後端面20近傍で貫通穴22の壁に設けられた肩部60に当接される。その結果、接触子の圧接部36にケーブル導線を圧接する際の押圧力が本体12の肩部60によって受止められ、押圧力による接触子の連結部34の変形や破損が防止される。
【0022】
図6〜図8に示すように、導線保持部材16は、いずれもプラスチック等の電気絶縁体からなる第1保持板62と第2保持板64とを相互に組合せて構成される。第1保持板62は、本体12の後端面20に対応する略矩形平面形状の第1支持面66を備える。第1支持面66とその反対側の裏面68との間には、矩形の対向短辺を構成する第1保持板62の一方の外縁から他方の外縁近傍まで、第1支持面66の略中心を通って第1保持板62の長手方向に延びる開口部70が貫通形成される。
【0023】
第1支持面66には、開口部70の周縁72と第1保持板62の外縁74との間に延長される複数(24個)の第1挟持条部76が、互いに交差しないように独立して形成される。それら第1挟持条部76は、開口部70の周縁72から異なる方向へ傾斜して延びる4つの群に等分される。4群に分配された複数の第1挟持条部76は、開口部70に関して対称に延び、各群内では、6個の第1挟持条部76が互いに平行に延びる。また、開口部70に対し同一側に配置される2つの群は、開口部70の周縁72から第1保持板62の外縁74に向かって、相互間隔を徐々に拡げるように互いに線対称に延びる第1挟持条部76を備える。このようにして全ての第1挟持条部76は、第1支持面66上で開口部70を中心に略放射状に配置される。
【0024】
各第1挟持条部76は、隣接する第1挟持条部76の間に壁78を画成する溝の形状を有し、各溝内に、比較的底の浅い部分80と、比較的底の深い部分82と、両部分80、82を互いに連結する斜面部分84とが設けられる。隣接する第1挟持条部76の間では、比較的底の浅い部分80と比較的底の深い部分82とが交互位置に配置される。なお、各群の外端及び内端に配置される第1挟持条部76(特に符号76′で示す)には、比較的底の浅い部分80のみが設けられる。また、内端の第1挟持条部76に対しては、被覆導線Wの配置を容易にするために、開口部70が第1支持面66の横断方向に延長されている。
【0025】
そして、第1挟持条部76の各々に1つずつ、第1挟持条部76の延長方向に略直交して直線状に延びる第1切込86が、比較的底の浅い部分80に所望深さに刻設される。これら第1切込86は、互いに交差することなく独立して、第1支持面66上で方形格子状に配列される。後述するように、複数の第1切込86は、本体12に収容された複数の接触子14の圧接部36をそれぞれに受容するものであり、したがってその方形格子状配置は、本体12における複数の接触子14の方形格子状配置に対応する。また複数の第1切込86は、第1保持板62の外縁74に対し、圧接部36の傾斜に対応した角度で傾斜して延びる。すなわち、接触子14の腕部30と圧接部36との成す角度αは、第1保持板62の短辺側の外縁74(特に符号74′で示す)と第1切込86との成す鈍角に対応する。
【0026】
第2保持板64は、本体12の後端面20に対応する略矩形平面形状の第2支持面88を備える。第2支持面88は、第1保持板62と第2保持板64とを組合せたときに、第1保持板62の第1支持面66に対向して相互係合するものであり、第1保持板62の開口部70に重畳する平坦面部分90を中央に有する。
【0027】
第2支持面88には、第1保持板62の複数の第1挟持条部76に対応して、平坦面部分90の周縁92と第2保持板64の外縁94との間に延長される複数(24個)の第2挟持条部96が、互いに交差しないように独立して形成される。それら第2挟持条部96は、第1挟持条部76と同様に、平坦面部分90の周縁92から異なる方向へ傾斜して延びる4つの群に等分される。4群に分配された複数の第2挟持条部96は、平坦面部分90に関して対称に延び、各群内では、6個の第2挟持条部96が互いに平行に延びる。また、平坦面部分90に対し同一側に配置される2つの群は、平坦面部分90の周縁92から第2保持板64の外縁94に向かって、相互間隔を徐々に拡げるように互いに線対称に延びる第2挟持条部96を備える。このようにして全ての第2挟持条部96は、第2支持面88上で平坦面部分90を中心に略放射状に配置される。
【0028】
各第2挟持条部96には、各第1挟持条部76の比較的底の深い部分82に嵌入される突起部分98と、比較的底の浅い部分80に対向する溝部分100と、両部分98、100を互いに連結する斜面部分102とが設けられる。隣接する第2挟持条部96の間では、突起部分98と溝部分100とが交互位置に配置される。なお、各群の外端及び内端に配置される第2挟持条部96(特に符号96′で示す)には、溝部分100のみが設けられる。
【0029】
第2保持板64と第1保持板62とを組合せたときに、第2挟持条部96と第1挟持条部76との間には隙間Gが形成され、この隙間GにケーブルCの被覆導線Wが挟持される。このとき、両挟持条部76、96が段差を有して延びるので、被覆導線Wが摩擦により隙間Gに固定的に保持される。また、第2挟持条部96の突起部分98が第1挟持条部76の比較的底の深い部分82に嵌入されることにより、両保持板62、64が横方向への移動に関し互いに拘束される。さらに、突起部分98が比較的底の深い部分82に密に嵌入されるように設計することにより、両保持板62、64を互いに固定することもできる。
【0030】
第2挟持条部96の各々に1つずつ、第2挟持条部96の延長方向に略直交して直線状に延びる第2切込104が、第2支持面88とその反対側の裏面106との間を貫通して溝部分100に刻設される。これら第2切込104は、第1保持板62の複数の第1切込86に整合すべく、互いに交差することなく独立して、第2支持面88上で方形格子状に配列される。後述するように、複数の第2切込104は複数の第1切込86と協働して、本体12に収容された複数の接触子14の圧接部36をそれぞれに受容するものであり、したがってその方形格子状配置は、本体12における複数の接触子14の方形格子状配置に対応する。また複数の第2切込104は、第2保持板64の外縁94に対し、圧接部36の傾斜に対応した角度で傾斜して延びる。すなわち、接触子14の腕部30と圧接部36との成す角度αは、第2保持板64の短辺側の外縁94(特に符号94′で示す)と第2切込104との成す鈍角に対応する。
【0031】
導線保持部材16にケーブルCの被覆導線Wを保持させる際には、まず図6に示すように、第1保持板62の裏面68側から開口部70に複数の被覆導線Wを挿入し、それら被覆導線Wを互いに分離してそれぞれ第1挟持条部76に沿って配置する。このとき各導線Wの先端は、好ましくは第1保持板62の外縁74から突出する。その状態で、第2保持板64を第1保持板62に組合せ、第1挟持条部76と第2挟持条部96とを係合させて、両挟持条部76、96の間に被覆導線Wを挟持させる。このようにして複数の被覆導線Wは、導線保持部材16内で相互絶縁状態に保持される。なお、第1保持板62の外縁74から突出した被覆導線Wの余剰部分は、好ましくはこの状態で切除される。
【0032】
被覆導線Wを保持した導線保持部材16は、図1に示すように第2保持板64の裏面106を本体12の後端面20に対向させ、本体12に支持された複数の接触子14の圧接部36を第2保持板64の複数の第2切込104に挿入しつつ、本体12の後端面20に取付けられる。このとき、複数の接触子14の圧接部36を所定圧力下で第2保持板64の複数の第2切込104に挿入することにより、各圧接部36の両刃42が第1挟持条部76と第2挟持条部96との間に挟持された被覆導線Wの絶縁被覆を刺し貫いてスリット44に導線が直交状態で嵌入され、導電接触状態が得られる。この状態で、各圧接部36の両刃42の先端部分は、第1保持板62の第一切込86に受容される。このようにして複数の接触子14に複数の被覆導線Wが圧接されると、導線保持部材16は本体に固定的に取着される。
【0033】
コネクタ10はさらに、図9及び図10に示すように、本体12に取付けられた導線保持部材16とケーブルCの端末で露出される被覆導線Wとを被覆保護する外郭部材108を備えることができる。外郭部材108は、ケーブルCを挿通する中心開口110を備えるとともに、本体12の上面54及び下面56の各突子112に係合する上壁114及び下壁116を備え、中心開口110にケーブルCを挿通した状態で本体12に固定的に装着される。このとき、外郭部材108の内面に設けられた肩部118が、導線保持部材16の第1保持板62の裏面68に当接され、それにより導線保持部材16が本体12にさらに強固に固定される。
【0034】
このようにコネクタ10では、導線保持部材16を使用したことにより、本体12に方形格子状に高密度配置された同一寸法の複数の接触子14に、ケーブルCの複数の被覆導線Wを一括して同時に圧接することができる。また、接触子14の圧接部36と被覆導線Wとの接触箇所は、圧接と同時に導線保持部材16の内部に遮蔽され、しかも被覆導線Wは第一保持板62と第二保持板64との間に固定的に保持されるので、外力の影響により圧接状態が変動する危惧が回避され、コネクタ10の接続信頼性が向上する。
【0035】
なお、接触子14の圧接部36と、導線保持部材16の第1及び第2挟持条部76、96並びに第1及び第2切込86、104とを、接触子14の整列方向に対して上記したように傾斜させる構成は、方形格子状に高密度配置された複数の接触子14に、被覆導線Wを相互絶縁状態で無理なく一括して圧接できるようにするために不可欠のものである。前述した傾斜角度αの好適な範囲115°〜120°は、接触子14に圧接可能な被覆導線Wの径寸法を最も拡大できる範囲である。また、第1及び第2挟持条部76、96と第1及び第2切込86、104とが互いに直交して延びるので、接触子14の圧接部36の刃42の表面と被覆導線Wとは直交状態で圧接される。その結果、導線をスリット44に嵌入する際に導線に加わる不都合な曲げ応力や剪断応力が低減され、一層優れた接続信頼性が得られる。
【0036】
本発明に係るコネクタは、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば圧接部の傾斜方向が異なる複数種類の接触子を上記以外の組合せで使用することができる。ただし、例えばコネクタ10において、全ての接触子14の圧接部36の傾斜方向を同一とした場合は、導線保持部材16の第1及び第2挟持条部76、96も全て同一方向に傾斜させることになり、この場合、全ての被覆導線Wを確実に挟持するために導線保持部材16を長手方向に延長して、両挟持条部76、96の形成空間を確保しなければならない。その結果、接触子14を配置できない無駄な空間がコネクタ10に生じ、接触子のピッチを均等に維持しつつ本体12の側面方向に同様の構成を有するコネクタを連続して隣接配置できることが要求される高密度接続用のコネクタには適用できなくなる。したがってそのような不都合を排除できる条件で、複数種類の接触子の組合せを設定することが肝要である。
【0037】
図11は、高密度接続用のコネクタに適用可能な複数種類の接触子の様々な組合せ、及びそれに対応する導線保持部材の様々な構成の例を概略で示す。図11(a)は、3行3列の方形格子状に配置された9個の貫通穴22′に、それぞれ前述の接触子14a、14bを設置した本体12′を、その後端面20′から示す。この場合、9個の貫通穴22′は、それらに設置する接触子14a、14bの種類及び設置方向に応じて、4つの群に分割される。図において、左上の2個の貫通穴22′には、それぞれ接触子14aがそれらの圧接部36を本体12′の上面54′側に向けて設置される。また、右下の2個の貫通穴22′には、それぞれ接触子14aがそれらの圧接部36を本体12′の下面56′側に向けて設置される。さらに、右上の1個の貫通穴22′には、接触子14bがその圧接部36を本体12′の上面54′側に向けて設置される。また、左下の4個の貫通穴22′には、それぞれ接触子14bがそれらの圧接部36を本体12′の下面56′側に向けて設置される。
【0038】
図11(b)は、このような接触子配置を有した本体12′に組付けられる導線保持部材の第1保持板62′を、その第1支持面66′から示す。第1保持板62′の第1支持面66′と裏面との間には、対向する一方の外縁から他方の外縁近傍まで延びる開口部70′が貫通形成される。第1支持面66′には、本体12′の複数の接触子14の圧接部36に対応して、各々傾斜して方形格子状に配置される複数の第1切込86′が設けられる。さらに、各第1切込86′に直交して、開口部70′の周縁72′と第1保持板62′の外縁74′との間に延長される複数の第1挟持条部76′が、互いに交差しないように独立して形成される。それら第1挟持条部76′は、第1支持面66′上で開口部70′を中心に略放射状に配置される。このような構成によっても、前述の実施形態と同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0039】
図11(c)に示す例は、図11(a)と同様の3行3列の方形格子状に配置された9個の貫通穴22″を有する本体12″に対し、前述の接触子14a、14bと、さらに異なる形状の接触子14cとを設置したものである。この場合、9個の貫通穴22″は、それらに設置する接触子14a、14b、14cの種類及び設置方向に応じて、3つの群に分割される。なお、接触子14cは、接触子14a、14bの圧接部36が傾斜しないものであって、同様に図2の打抜き形状の接触子14から形成できる。図において、上方の3個の貫通穴22″には、それぞれ接触子14cがそれらの圧接部36を本体12″の上面54″側に向けて設置される。また、右下の2個の貫通穴22″には、それぞれ接触子14aがそれらの圧接部36を本体12″の下面56″側に向けて設置される。さらに、左下の4個の貫通穴22″には、それぞれ接触子14bがそれらの圧接部36を本体12″の下面56″側に向けて設置される。
【0040】
図11(d)は、このような接触子配置を有した本体12″に組付けられる導線保持部材の第1保持板62″を、その第1支持面66″から示す。第1保持板62″には、図11(b)の第1保持板62′と同様の開口部70″が貫通形成される。第1支持面66″には、本体12″の複数の接触子14の圧接部36に対応して、各々傾斜して又は傾斜せずに方形格子状に配置される複数の第1切込86″が設けられる。さらに、各第1切込86″に直交して、開口部70″の周縁72″と第1保持板62″の外縁74″との間に延長される複数の第1挟持条部76″が、互いに交差しないように独立して形成される。
【0041】
それら第1挟持条部76″のうち、第1支持面66″の開口部70″の下方部分に配置される第1挟持条部76″は、第1支持面66″上で開口部70″を中心に略放射状に配置される。また、第1支持面66″の開口部70″の上方部分に配置される第1挟持条部76″は、第1支持面66″上で開口部70″の周縁72″に略直交して配置される。このように、本体の複数の貫通穴をそれらに設置する接触子の種類及び設置方向に応じて複数の群に分割したときに、1つの群を1列のみに整列する群から構成できる場合は、その群の接触子は圧接部を傾斜させずとも、ケーブルの被覆導線を圧接部に直交状態で良好に圧接できるのである。
【0042】
このように本発明は、複数の接触子を3行3列以上の方形格子状に配置したコネクタに適用でき、それら接触子をその圧接部の傾斜形態に応じて少なくとも3群に分割して、複数の被覆導線を各群の接触子の圧接部に直交状態で圧接できるように、接触子群に対応する導線保持部材の少なくとも1群の挟持条部を開口部周縁から外縁へ略放射状に配置することにより、複数の導線の一括接続を可能にするものである。そのような観点では、導線保持部材の各切込は、図示実施形態の形状に限らず、接触子の圧接部を受容可能なあらゆる形状を採用することができる。しかも本発明に係るコネクタは、圧接部の傾斜角度が全て異なる接触子と、それに対応して挟持条部の傾斜角度が全て異なる導線保持部材とを使用することもできる。また本発明は、圧接部を接触子の軸線の周りで所望の角度に回転ないし傾斜させた接触子であれば、前述の実施形態に示す2枚の接触部28を有した接触子14に限らず、1枚の接触部を有した雌形接触子や、ピン状接触部を有した雄形接触子を使用することができ、したがって、そのような接触子の形状に対応した本体を有する雌コネクタ又は雄コネクタに適用できる。
【0043】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明は、複数の接触子を方形格子状に配置した高密度接続用のコネクタにおいて、特に長さ方向へ同一寸法の接触子を使用し、またコネクタ本体に収容された全ての接触子にケーブルの複数の被覆導線を一括して同時に圧接し、しかも接触子の圧接部や、圧接部に圧接された導線への外力の影響を可及的に回避することを可能にする。さらに本発明は、そのような高密度接続用コネクタに使用される接触子を提供する。したがって本発明によれば、コネクタ内部での接触子と電線との接続信頼性を向上させた高性能の高密度接続用コネクタが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による高密度接続用コネクタの主要部を分解して示す斜視図である。
【図2】図1のコネクタに使用される接触子を打抜き形状で示す展開平面図である。
【図3】図2の打抜き形状の接触子から折曲げ形成された図1のコネクタに使用される2種類の接触子の斜視図であって、(a)に示す接触子と(b)に示す接触子とは、対応部分を互いに反対方向に折曲げて形成される。
【図4】図3の接触子を収容した図1のコネクタの本体を後方から示す斜視図である。
【図5】図4のコネクタ本体の断面図である。
【図6】図1のコネクタに使用される保持部材の第1保持板をケーブル導線とともに示す斜視図である。
【図7】図1のコネクタに使用される保持部材の第2保持板の斜視図である。
【図8】図1のコネクタに使用される保持部材を、図6の線VIII−VIIIに沿って示す断面図である。
【図9】図1のコネクタの組立時の断面図である。
【図10】図1のコネクタの組立時の斜視図である。
【図11】本発明の他の実施形態によるコネクタの接触子の圧接部と保持部材の挟持条部及び切込とを概略で示す図で、(a)接触子を収容した本体を後方から示す平面図、(b)aの本体に組付けられる保持部材の第1保持板の第1支持面を示す平面図、(c)aとは異なる組合せの接触子を収容した本体を後方から示す平面図、及び(d)cの本体に組付けられる保持部材の第1保持板の第1支持面を示す平面図、である。
【図12】従来の高密度接続用コネクタの図で、(a)ケーブル導線を接触子に接続した本体の斜視図、(b)aの本体に外郭部材を取付けた状態の断面図、及び(c)使用される接触子の斜視図、である。
【図13】他の従来の高密度接続用コネクタの図で、(a)接触子を支持した本体とケーブル導線を保持した保持部材とを分解して示す斜視図、(b)aの保持部材の第1カバーの斜視図、及び(c)aの保持部材の第2カバーをケーブル導線とともに示す斜視図、である。
【符号の説明】
12…本体
14、14a、14b…接触子
16…導線保持部材
20…後端面
22…貫通穴
26…基部
32…支持部
36…圧接部
38…接触部
40…爪
62…第1保持板
64…第2保持板
66…第1支持面
70…開口部
76…第1挟持条部
86…第1切込
88…第2支持面
96…第2挟持条部
104…第2切込
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の電線を圧接する圧接部をそれぞれに有した複数の接触子を備えるコネクタに関し、特に、それら接触子を収容する貫通穴を絶縁性本体に方形格子状配置で備えた高密度接続用のコネクタに関する。さらに本発明は、そのようなコネクタに使用される接触子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば交換機や伝送機器等で使用されるコネクタとして、信号線路の高密度化の要求に対応するために、複数の接触子の配置間隔(ピッチ)を縮小して高密度接続を可能にしたコネクタが種々提案されている。例えば「コンピュータデザイン」誌(電波新聞社、1991年7月号、第55頁第8図)には、IEEE規格のP1301.1標準及びEIA規格のIS−64標準に基づく2mmピッチの方形格子状配置で複数の接触子を備えた雌コネクタが開示されている。この雌コネクタは、例えば基板上に同一ピッチで配列された多数の雄形接触子に対し、所望位置に複数の雌コネクタを隣接して配置し、雄形接触子に無駄を生じることなく雌形接触子を接続できるものである。
【0003】
上記の雌コネクタでは、図12に示すように、電気絶縁性本体200の対向端面間に方形格子状配置で相互に略平行に延設された複数の貫通穴202のそれぞれに、接触子204が固定的に収容されている。各接触子204は、一端にケーブルCの被覆導線Wを圧接する圧接部206を備え、他端に対応の雄形接触子に導通接触する接触部208を備える。圧接部206は、それぞれに開放スリット210を備えて接触子204の横断方向に延設された2枚の圧接片212を備え、それらスリット210に被覆導線Wを圧入することにより、圧接片212が絶縁被覆を刺し貫いて導線に接触する。なおこのような圧入接続方式を一般に「圧接」と称する。
【0004】
実開昭63−9771号公報は、ケーブルC内の複数の被覆導線Wを相互離隔状態に保持してコネクタ本体220に取付けられる導線保持部材222を備えた高密度接続用のコネクタを開示する。図13に示すように、導線保持部材222は、接触子224の圧接部226を挿入する複数の貫通切込228を有した第1カバー230と、第1カバー230の貫通切込228に対応して配設された複数の凹部232及びそれら凹部232に交差して延びる複数の保持溝234を有した第2カバー236とを、相互に組合せて構成される。このコネクタでは、複数の接触子224は圧接部226の板面をコネクタの長手方向に向けて千鳥格子状に配列され、それに対応して第1カバー230の貫通切込228及び第2カバー236の凹部232は、いずれもカバー長手方向に直線状に延びて千鳥格子状に配置される。第2カバー236の各保持溝234は、カバー横断方向に延びて各凹部232に直交する。
【0005】
ケーブルCの複数の被覆導線Wは、第2カバー236に設けた開口部238に通され、相互に離隔して各保持溝234内に配置される。その状態で、第1カバー230を第2カバー236に組付けることにより、複数の被覆導線Wが複数の保持溝234に固定的に保持される。この導線保持部材222をコネクタ本体220に取付けると、各接触子224の圧接部226が第1カバー230の貫通切込228及び第2カバー236の凹部232に挿入されて、各保持溝234に保持された被覆導線Wに圧接される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
「コンピュータデザイン」誌に記載された上記の雌コネクタは、本体の貫通穴に収容された各接触子の、横断方向へ延長された2枚の圧接片に被覆導線を圧接できるようにするために、長尺の接触子と短尺の接触子とが異なる列に配置され、それら長さの異なる接触子の圧接部が長手方向へ互いにずれた位置で露出されている。したがってこのコネクタでは、接触子の寸法(長さ)の差に起因して、コネクタ内の信号線路間で信号の伝搬所要時間が異なり、他の通信回路部品との間での伝搬時間の整合を図ることが困難になる課題が生じる。また、複数の接触子の圧接部のスリットが、長手方向へずれた位置で同一横断方向に延びるので、全ての接触子にケーブルの複数の被覆導線を一括して同時に圧接することが困難であり、圧接作業に手間が掛かる問題を有する。さらに、接触子の圧接部は導線を圧接した状態でも露出されるので、圧接部や導線に外力が加わることにより圧接状態が変動する危惧が生じ、導通接触の信頼性に劣る課題がある。
【0007】
これに対し、実開昭63−9771号公報に開示されたコネクタは、導線保持部材を使用したことにより、ケーブルの複数の被覆導線を一括して同時に圧接することができる。しかしながらこのコネクタでは、信号線路間の短絡を防止するために接触子を千鳥格子状に配置しているので、同数の接触子を方形格子状に配列した場合に比べて、コネクタの寸法が接触子配列方向に拡大されてしまう。交換機や伝送機器において、信号線路の一層の高密度化を推進するためには、信号線路を方形格子状に配置することが不可欠であるが、このコネクタはそのような高密度の接続に対応することができない。
【0008】
したがって本発明の目的は、複数の接触子を方形格子状に配置した高密度接続用のコネクタにおいて、同一寸法(特に同一長さ)の接触子を使用でき、全ての接触子にケーブルの複数の被覆導線を一括して同時に圧接でき、しかも圧接部や導線への外力の影響を回避できる接続信頼性に優れたコネクタを提供することにある。本発明の他の目的は、そのようなコネクタに使用される接触子を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、一対の対向端面間に延びる複数の貫通穴を相互に略平行に方形格子状配置で備えた電気絶縁性の本体と、電線を圧接する圧接部を各々の一端に備え、圧接部を本体の一端面から突出させて本体の貫通穴にそれぞれ固定的に収容される導電性の複数の接触子とを具備した高密度接続用コネクタにおいて、複数の電線を相互絶縁状態に保持して本体の一端面に取付けられ、それら電線を複数の接触子の圧接部に一括して圧接する電気絶縁性の保持部材を具備した高密度接続用コネクタを提供する。この保持部材は、第1保持板と第2保持板とを相互に組合せて構成される。第1保持板は、第1支持面と、第1支持面とその裏面との間に貫通形成される開口部と、第1支持面上で開口部の周縁と第1保持板の外縁との間に互いに独立して様々な方向へ延設され、少なくとも一部が開口部の周縁から略放射状に配置される複数の第1挟持条部と、第1挟持条部の各々に1つずつ第1挟持条部に交差して刻設され、第1支持面上で互いに独立して方形格子状に配列される複数の第1受容部とを備える。第2保持板は、第1保持板の第1支持面に対向する第2支持面と、第2支持面上で第1保持板の複数の第1挟持条部に整合すべく延設され、第1挟持条部と協働して両挟持条部間に電線を挟持する複数の第2挟持条部と、第2挟持条部の各々に1つずつ第2挟持条部に交差して、第2支持面とその裏面との間に貫通形成され、第1保持板の複数の第1受容部に整合すべく方形格子状に配列される複数の第2受容部とを備える。複数の接触子は、各々の圧接部を接触子の軸線の周りで、第2保持板の対応の複数の第2挟持条部に直交可能な様々な角度に回転した状態で、本体の複数の貫通穴に収容される。そして保持部材は、第2保持板を本体の一端面に当接して本体に取付けられ、このとき第2保持板の複数の第2受容部が、本体に方形格子状に配置された複数の貫通穴にそれぞれ重畳して配置されるとともに、複数の接触子の圧接部が、第2保持板の複数の第2受容部にそれぞれ受容されて、第1挟持条部と第2挟持条部との間に挟持された電線に直交状態で圧接されるようになっている。
【0010】
さらに本発明は、上記高密度接続用コネクタにおいて、第1保持板の第1受容部が、第1挟持条部の延長方向に略直交して直線状に延びる第1切込からなり、第2保持板の第2受容部が、第2挟持条部の延長方向に略直交して直線状に延びる第2切込からなる高密度接続用コネクタを提供する。
さらに本発明は、上記高密度接続用コネクタにおいて、複数の接触子が、一端に形成された圧接部と、他端に形成された接触部と、圧接部と接触部との間に形成され、本体の貫通穴の壁に当接されて貫通穴内に接触子自体を支持する支持部とを備え、圧接部が支持部に対し傾斜して配置される高密度接続用コネクタを提供する。
【0011】
さらに本発明は、上記高密度接続用コネクタにおいて、複数の接触子が、支持部に対して圧接部を反対方向へ同一角度だけ折曲げて形成される2種類の接触子の群を含む高密度接続用コネクタを提供する。
【0012】
さらに本発明によれば、上記高密度接続用コネクタに使用される接触子であって、一端に形成された圧接部と、他端に他の導電性接触子に接触すべく形成された接触部と、圧接部と接触部との間に形成され、本体の貫通穴の壁に当接されて貫通穴内に接触子自体を支持する支持部とを備え、圧接部が、接触子の軸線の周りで所望角度に回転して、少なくとも一部分を支持部の外表面よりも外側に突出させる位置に、支持部に対し傾斜して配置されること、を特徴とする接触子が提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明をその実施形態に基づき詳細に説明する。
図面を参照すると、図1は本発明の一実施形態によるコネクタ10の主要部を分解斜視図で示す。コネクタ10は、本体12と、本体12の所定位置に絶縁支持される複数の接触子14と、接触子14に接続されるケーブルCの複数の被覆導線Wを分離保持して本体12に取付けられる導線保持部材16とを備える。
【0014】
本体12は、プラスチック等の電気絶縁体からなる略直方体形状のハウジングであり、略矩形平面形状の対向する前端面18と後端面20との間に、相互に略平行に延びる複数の貫通穴22を4行6列の方形格子状配置で備える。複数の貫通穴22は、いずれも同一の矩形断面形状を有し、各貫通穴22の壁面が本体12の外周面に平行となるように、かつ隣合う貫通穴22の対応壁面が相互に平行となるように配置される。本体12の前端面18において、各貫通穴22の開口部にはテーパ状の周面24が形成され、周面24の内奥に接触子14の接触部(後述する)が配置される。このような構成を有する本体12は、交換機や伝送機器等で高密度の接続に対応可能なコネクタに適用でき、例えばIEEE規格のP1301.1標準及びEIA規格のIS−64標準に基づく2mmピッチの方形格子状配置で複数の接触子を備える雌コネクタに適用できる。
【0015】
接触子14は、図2に示すように、平坦な導電性金属板から打抜いて形成される。打抜き形状の接触子14は、略中央の矩形基部26と、矩形基部26の一長辺の両端近傍から相互に平行に延長される一対の脚部28と、矩形基部26の他長辺の中央から脚部28の反対方向に延長される腕部30と、腕部30の先端に側方延長部分を有して連結される矩形支持部32と、矩形支持部32から腕部30の反対側に延設される連結部34と、矩形支持部32から僅かに離間して連結部34に連結される圧接部36とを備える。一対の脚部28の先端には接触部38が形成され、矩形支持部32の側方延長部分の反対側には爪40が突設される。圧接部36は、接触子14の長手方向に延設される一対の刃42を備え、それら刃42の間に腕部30の延長方向に平行に延びる開放スリット44が画成される。
【0016】
コネクタ10では、図2に示す打抜き形状の接触子14を、異なる方向に折曲げて形成できる2種類の接触子14a及び14bが使用される。図3(a)に示すように、接触子14aは、接触子14の基部26を図2に示す折線46、48に関して谷折式に略直角に折曲げるとともに支持部32を折線50に関して谷折式に略直角に折曲げ、さらに圧接部36を折線52に関して谷折式に、かつ支持部32の折曲げられなかった部分の表面に対し好ましくは115°〜120°の角度αに折曲げて形成される。また図3(b)に示すように、接触子14bは、接触子14の基部26を図2に示す折線46、48に関して山折式に略直角に折曲げるとともに支持部32を折線50に関して山折式に略直角に折曲げ、さらに圧接部36を折線52に関して山折式に、かつ支持部32の折曲げられなかった部分の表面に対し好ましくは115°〜120°の角度αに折曲げて形成される。
【0017】
このようにして曲成された接触子14a、14bはいずれも、圧接部36が矩形支持部32の側方延長部分に対し傾斜して側方延長部分の外側に少なくとも部分的に突出した形状となっている。さらに、接触子14a、14bの一対の脚部28は先端へ向かって徐々に相互接近するように、かつ一対の接触部38は先端へ向かって徐々に相互離反するように曲成される。それにより、他の雄形接触子に導通接触可能な雌形の接触部38が構成される。
【0018】
図4及び図5に示すように、複数の接触子14a、14bは、コネクタ10の本体12の複数の貫通穴22を、それらに設置する接触子14a、14bの種類及び設置方向に応じて2行3列ずつの4つの群に等分して、以下のように各群の貫通穴22に設置される。すなわち、本体12の後端面20にて図で左上に示される群の6個の貫通穴22には、それぞれ接触子14aを、それらの矩形支持部32及び圧接部36が本体12の上面54側に配置されるようにして挿入する。また、本体12の後端面20にて図で右下に示される群の6個の貫通穴22には、それぞれ接触子14aを、それらの矩形支持部32及び圧接部36が本体12の下面56側に配置されるようにして挿入する。
【0019】
さらに、本体12の後端面20にて図で右上に示される群の6個の貫通穴22には、それぞれ接触子14bを、それらの矩形支持部32及び圧接部36が本体12の上面54側に配置されるようにして挿入する。また、本体12の後端面20にて図で左下に示される群の6個の貫通穴22には、それぞれ接触子14bを、それらの矩形支持部32及び圧接部36が本体12の下面56側に配置されるようにして挿入する。
【0020】
このようにして全ての接触子14a、14bは、貫通穴22内でそれらの一対の接触部38を本体12の上面54側及び下面56側に向けて配置される一方で、それらの圧接部36を本体12の後端面20から外方へ突出させ、かつ等分された4つの貫通穴群の間では圧接部36を互いに異なる位置で傾斜させて配置される。各貫通穴22に挿入された各接触子14a、14bは、その矩形基部26、腕部30及び矩形支持部32が貫通穴22の壁に当接され、さらに爪40が貫通穴22の壁に係合することにより、貫通穴22内の所定位置に固定的に支持される。
【0021】
また、接触子14a、14bが貫通穴22内の所定位置に配置されると、傾斜した圧接部36の底面58は、本体12の後端面20近傍で貫通穴22の壁に設けられた肩部60に当接される。その結果、接触子の圧接部36にケーブル導線を圧接する際の押圧力が本体12の肩部60によって受止められ、押圧力による接触子の連結部34の変形や破損が防止される。
【0022】
図6〜図8に示すように、導線保持部材16は、いずれもプラスチック等の電気絶縁体からなる第1保持板62と第2保持板64とを相互に組合せて構成される。第1保持板62は、本体12の後端面20に対応する略矩形平面形状の第1支持面66を備える。第1支持面66とその反対側の裏面68との間には、矩形の対向短辺を構成する第1保持板62の一方の外縁から他方の外縁近傍まで、第1支持面66の略中心を通って第1保持板62の長手方向に延びる開口部70が貫通形成される。
【0023】
第1支持面66には、開口部70の周縁72と第1保持板62の外縁74との間に延長される複数(24個)の第1挟持条部76が、互いに交差しないように独立して形成される。それら第1挟持条部76は、開口部70の周縁72から異なる方向へ傾斜して延びる4つの群に等分される。4群に分配された複数の第1挟持条部76は、開口部70に関して対称に延び、各群内では、6個の第1挟持条部76が互いに平行に延びる。また、開口部70に対し同一側に配置される2つの群は、開口部70の周縁72から第1保持板62の外縁74に向かって、相互間隔を徐々に拡げるように互いに線対称に延びる第1挟持条部76を備える。このようにして全ての第1挟持条部76は、第1支持面66上で開口部70を中心に略放射状に配置される。
【0024】
各第1挟持条部76は、隣接する第1挟持条部76の間に壁78を画成する溝の形状を有し、各溝内に、比較的底の浅い部分80と、比較的底の深い部分82と、両部分80、82を互いに連結する斜面部分84とが設けられる。隣接する第1挟持条部76の間では、比較的底の浅い部分80と比較的底の深い部分82とが交互位置に配置される。なお、各群の外端及び内端に配置される第1挟持条部76(特に符号76′で示す)には、比較的底の浅い部分80のみが設けられる。また、内端の第1挟持条部76に対しては、被覆導線Wの配置を容易にするために、開口部70が第1支持面66の横断方向に延長されている。
【0025】
そして、第1挟持条部76の各々に1つずつ、第1挟持条部76の延長方向に略直交して直線状に延びる第1切込86が、比較的底の浅い部分80に所望深さに刻設される。これら第1切込86は、互いに交差することなく独立して、第1支持面66上で方形格子状に配列される。後述するように、複数の第1切込86は、本体12に収容された複数の接触子14の圧接部36をそれぞれに受容するものであり、したがってその方形格子状配置は、本体12における複数の接触子14の方形格子状配置に対応する。また複数の第1切込86は、第1保持板62の外縁74に対し、圧接部36の傾斜に対応した角度で傾斜して延びる。すなわち、接触子14の腕部30と圧接部36との成す角度αは、第1保持板62の短辺側の外縁74(特に符号74′で示す)と第1切込86との成す鈍角に対応する。
【0026】
第2保持板64は、本体12の後端面20に対応する略矩形平面形状の第2支持面88を備える。第2支持面88は、第1保持板62と第2保持板64とを組合せたときに、第1保持板62の第1支持面66に対向して相互係合するものであり、第1保持板62の開口部70に重畳する平坦面部分90を中央に有する。
【0027】
第2支持面88には、第1保持板62の複数の第1挟持条部76に対応して、平坦面部分90の周縁92と第2保持板64の外縁94との間に延長される複数(24個)の第2挟持条部96が、互いに交差しないように独立して形成される。それら第2挟持条部96は、第1挟持条部76と同様に、平坦面部分90の周縁92から異なる方向へ傾斜して延びる4つの群に等分される。4群に分配された複数の第2挟持条部96は、平坦面部分90に関して対称に延び、各群内では、6個の第2挟持条部96が互いに平行に延びる。また、平坦面部分90に対し同一側に配置される2つの群は、平坦面部分90の周縁92から第2保持板64の外縁94に向かって、相互間隔を徐々に拡げるように互いに線対称に延びる第2挟持条部96を備える。このようにして全ての第2挟持条部96は、第2支持面88上で平坦面部分90を中心に略放射状に配置される。
【0028】
各第2挟持条部96には、各第1挟持条部76の比較的底の深い部分82に嵌入される突起部分98と、比較的底の浅い部分80に対向する溝部分100と、両部分98、100を互いに連結する斜面部分102とが設けられる。隣接する第2挟持条部96の間では、突起部分98と溝部分100とが交互位置に配置される。なお、各群の外端及び内端に配置される第2挟持条部96(特に符号96′で示す)には、溝部分100のみが設けられる。
【0029】
第2保持板64と第1保持板62とを組合せたときに、第2挟持条部96と第1挟持条部76との間には隙間Gが形成され、この隙間GにケーブルCの被覆導線Wが挟持される。このとき、両挟持条部76、96が段差を有して延びるので、被覆導線Wが摩擦により隙間Gに固定的に保持される。また、第2挟持条部96の突起部分98が第1挟持条部76の比較的底の深い部分82に嵌入されることにより、両保持板62、64が横方向への移動に関し互いに拘束される。さらに、突起部分98が比較的底の深い部分82に密に嵌入されるように設計することにより、両保持板62、64を互いに固定することもできる。
【0030】
第2挟持条部96の各々に1つずつ、第2挟持条部96の延長方向に略直交して直線状に延びる第2切込104が、第2支持面88とその反対側の裏面106との間を貫通して溝部分100に刻設される。これら第2切込104は、第1保持板62の複数の第1切込86に整合すべく、互いに交差することなく独立して、第2支持面88上で方形格子状に配列される。後述するように、複数の第2切込104は複数の第1切込86と協働して、本体12に収容された複数の接触子14の圧接部36をそれぞれに受容するものであり、したがってその方形格子状配置は、本体12における複数の接触子14の方形格子状配置に対応する。また複数の第2切込104は、第2保持板64の外縁94に対し、圧接部36の傾斜に対応した角度で傾斜して延びる。すなわち、接触子14の腕部30と圧接部36との成す角度αは、第2保持板64の短辺側の外縁94(特に符号94′で示す)と第2切込104との成す鈍角に対応する。
【0031】
導線保持部材16にケーブルCの被覆導線Wを保持させる際には、まず図6に示すように、第1保持板62の裏面68側から開口部70に複数の被覆導線Wを挿入し、それら被覆導線Wを互いに分離してそれぞれ第1挟持条部76に沿って配置する。このとき各導線Wの先端は、好ましくは第1保持板62の外縁74から突出する。その状態で、第2保持板64を第1保持板62に組合せ、第1挟持条部76と第2挟持条部96とを係合させて、両挟持条部76、96の間に被覆導線Wを挟持させる。このようにして複数の被覆導線Wは、導線保持部材16内で相互絶縁状態に保持される。なお、第1保持板62の外縁74から突出した被覆導線Wの余剰部分は、好ましくはこの状態で切除される。
【0032】
被覆導線Wを保持した導線保持部材16は、図1に示すように第2保持板64の裏面106を本体12の後端面20に対向させ、本体12に支持された複数の接触子14の圧接部36を第2保持板64の複数の第2切込104に挿入しつつ、本体12の後端面20に取付けられる。このとき、複数の接触子14の圧接部36を所定圧力下で第2保持板64の複数の第2切込104に挿入することにより、各圧接部36の両刃42が第1挟持条部76と第2挟持条部96との間に挟持された被覆導線Wの絶縁被覆を刺し貫いてスリット44に導線が直交状態で嵌入され、導電接触状態が得られる。この状態で、各圧接部36の両刃42の先端部分は、第1保持板62の第一切込86に受容される。このようにして複数の接触子14に複数の被覆導線Wが圧接されると、導線保持部材16は本体に固定的に取着される。
【0033】
コネクタ10はさらに、図9及び図10に示すように、本体12に取付けられた導線保持部材16とケーブルCの端末で露出される被覆導線Wとを被覆保護する外郭部材108を備えることができる。外郭部材108は、ケーブルCを挿通する中心開口110を備えるとともに、本体12の上面54及び下面56の各突子112に係合する上壁114及び下壁116を備え、中心開口110にケーブルCを挿通した状態で本体12に固定的に装着される。このとき、外郭部材108の内面に設けられた肩部118が、導線保持部材16の第1保持板62の裏面68に当接され、それにより導線保持部材16が本体12にさらに強固に固定される。
【0034】
このようにコネクタ10では、導線保持部材16を使用したことにより、本体12に方形格子状に高密度配置された同一寸法の複数の接触子14に、ケーブルCの複数の被覆導線Wを一括して同時に圧接することができる。また、接触子14の圧接部36と被覆導線Wとの接触箇所は、圧接と同時に導線保持部材16の内部に遮蔽され、しかも被覆導線Wは第一保持板62と第二保持板64との間に固定的に保持されるので、外力の影響により圧接状態が変動する危惧が回避され、コネクタ10の接続信頼性が向上する。
【0035】
なお、接触子14の圧接部36と、導線保持部材16の第1及び第2挟持条部76、96並びに第1及び第2切込86、104とを、接触子14の整列方向に対して上記したように傾斜させる構成は、方形格子状に高密度配置された複数の接触子14に、被覆導線Wを相互絶縁状態で無理なく一括して圧接できるようにするために不可欠のものである。前述した傾斜角度αの好適な範囲115°〜120°は、接触子14に圧接可能な被覆導線Wの径寸法を最も拡大できる範囲である。また、第1及び第2挟持条部76、96と第1及び第2切込86、104とが互いに直交して延びるので、接触子14の圧接部36の刃42の表面と被覆導線Wとは直交状態で圧接される。その結果、導線をスリット44に嵌入する際に導線に加わる不都合な曲げ応力や剪断応力が低減され、一層優れた接続信頼性が得られる。
【0036】
本発明に係るコネクタは、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば圧接部の傾斜方向が異なる複数種類の接触子を上記以外の組合せで使用することができる。ただし、例えばコネクタ10において、全ての接触子14の圧接部36の傾斜方向を同一とした場合は、導線保持部材16の第1及び第2挟持条部76、96も全て同一方向に傾斜させることになり、この場合、全ての被覆導線Wを確実に挟持するために導線保持部材16を長手方向に延長して、両挟持条部76、96の形成空間を確保しなければならない。その結果、接触子14を配置できない無駄な空間がコネクタ10に生じ、接触子のピッチを均等に維持しつつ本体12の側面方向に同様の構成を有するコネクタを連続して隣接配置できることが要求される高密度接続用のコネクタには適用できなくなる。したがってそのような不都合を排除できる条件で、複数種類の接触子の組合せを設定することが肝要である。
【0037】
図11は、高密度接続用のコネクタに適用可能な複数種類の接触子の様々な組合せ、及びそれに対応する導線保持部材の様々な構成の例を概略で示す。図11(a)は、3行3列の方形格子状に配置された9個の貫通穴22′に、それぞれ前述の接触子14a、14bを設置した本体12′を、その後端面20′から示す。この場合、9個の貫通穴22′は、それらに設置する接触子14a、14bの種類及び設置方向に応じて、4つの群に分割される。図において、左上の2個の貫通穴22′には、それぞれ接触子14aがそれらの圧接部36を本体12′の上面54′側に向けて設置される。また、右下の2個の貫通穴22′には、それぞれ接触子14aがそれらの圧接部36を本体12′の下面56′側に向けて設置される。さらに、右上の1個の貫通穴22′には、接触子14bがその圧接部36を本体12′の上面54′側に向けて設置される。また、左下の4個の貫通穴22′には、それぞれ接触子14bがそれらの圧接部36を本体12′の下面56′側に向けて設置される。
【0038】
図11(b)は、このような接触子配置を有した本体12′に組付けられる導線保持部材の第1保持板62′を、その第1支持面66′から示す。第1保持板62′の第1支持面66′と裏面との間には、対向する一方の外縁から他方の外縁近傍まで延びる開口部70′が貫通形成される。第1支持面66′には、本体12′の複数の接触子14の圧接部36に対応して、各々傾斜して方形格子状に配置される複数の第1切込86′が設けられる。さらに、各第1切込86′に直交して、開口部70′の周縁72′と第1保持板62′の外縁74′との間に延長される複数の第1挟持条部76′が、互いに交差しないように独立して形成される。それら第1挟持条部76′は、第1支持面66′上で開口部70′を中心に略放射状に配置される。このような構成によっても、前述の実施形態と同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0039】
図11(c)に示す例は、図11(a)と同様の3行3列の方形格子状に配置された9個の貫通穴22″を有する本体12″に対し、前述の接触子14a、14bと、さらに異なる形状の接触子14cとを設置したものである。この場合、9個の貫通穴22″は、それらに設置する接触子14a、14b、14cの種類及び設置方向に応じて、3つの群に分割される。なお、接触子14cは、接触子14a、14bの圧接部36が傾斜しないものであって、同様に図2の打抜き形状の接触子14から形成できる。図において、上方の3個の貫通穴22″には、それぞれ接触子14cがそれらの圧接部36を本体12″の上面54″側に向けて設置される。また、右下の2個の貫通穴22″には、それぞれ接触子14aがそれらの圧接部36を本体12″の下面56″側に向けて設置される。さらに、左下の4個の貫通穴22″には、それぞれ接触子14bがそれらの圧接部36を本体12″の下面56″側に向けて設置される。
【0040】
図11(d)は、このような接触子配置を有した本体12″に組付けられる導線保持部材の第1保持板62″を、その第1支持面66″から示す。第1保持板62″には、図11(b)の第1保持板62′と同様の開口部70″が貫通形成される。第1支持面66″には、本体12″の複数の接触子14の圧接部36に対応して、各々傾斜して又は傾斜せずに方形格子状に配置される複数の第1切込86″が設けられる。さらに、各第1切込86″に直交して、開口部70″の周縁72″と第1保持板62″の外縁74″との間に延長される複数の第1挟持条部76″が、互いに交差しないように独立して形成される。
【0041】
それら第1挟持条部76″のうち、第1支持面66″の開口部70″の下方部分に配置される第1挟持条部76″は、第1支持面66″上で開口部70″を中心に略放射状に配置される。また、第1支持面66″の開口部70″の上方部分に配置される第1挟持条部76″は、第1支持面66″上で開口部70″の周縁72″に略直交して配置される。このように、本体の複数の貫通穴をそれらに設置する接触子の種類及び設置方向に応じて複数の群に分割したときに、1つの群を1列のみに整列する群から構成できる場合は、その群の接触子は圧接部を傾斜させずとも、ケーブルの被覆導線を圧接部に直交状態で良好に圧接できるのである。
【0042】
このように本発明は、複数の接触子を3行3列以上の方形格子状に配置したコネクタに適用でき、それら接触子をその圧接部の傾斜形態に応じて少なくとも3群に分割して、複数の被覆導線を各群の接触子の圧接部に直交状態で圧接できるように、接触子群に対応する導線保持部材の少なくとも1群の挟持条部を開口部周縁から外縁へ略放射状に配置することにより、複数の導線の一括接続を可能にするものである。そのような観点では、導線保持部材の各切込は、図示実施形態の形状に限らず、接触子の圧接部を受容可能なあらゆる形状を採用することができる。しかも本発明に係るコネクタは、圧接部の傾斜角度が全て異なる接触子と、それに対応して挟持条部の傾斜角度が全て異なる導線保持部材とを使用することもできる。また本発明は、圧接部を接触子の軸線の周りで所望の角度に回転ないし傾斜させた接触子であれば、前述の実施形態に示す2枚の接触部28を有した接触子14に限らず、1枚の接触部を有した雌形接触子や、ピン状接触部を有した雄形接触子を使用することができ、したがって、そのような接触子の形状に対応した本体を有する雌コネクタ又は雄コネクタに適用できる。
【0043】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明は、複数の接触子を方形格子状に配置した高密度接続用のコネクタにおいて、特に長さ方向へ同一寸法の接触子を使用し、またコネクタ本体に収容された全ての接触子にケーブルの複数の被覆導線を一括して同時に圧接し、しかも接触子の圧接部や、圧接部に圧接された導線への外力の影響を可及的に回避することを可能にする。さらに本発明は、そのような高密度接続用コネクタに使用される接触子を提供する。したがって本発明によれば、コネクタ内部での接触子と電線との接続信頼性を向上させた高性能の高密度接続用コネクタが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による高密度接続用コネクタの主要部を分解して示す斜視図である。
【図2】図1のコネクタに使用される接触子を打抜き形状で示す展開平面図である。
【図3】図2の打抜き形状の接触子から折曲げ形成された図1のコネクタに使用される2種類の接触子の斜視図であって、(a)に示す接触子と(b)に示す接触子とは、対応部分を互いに反対方向に折曲げて形成される。
【図4】図3の接触子を収容した図1のコネクタの本体を後方から示す斜視図である。
【図5】図4のコネクタ本体の断面図である。
【図6】図1のコネクタに使用される保持部材の第1保持板をケーブル導線とともに示す斜視図である。
【図7】図1のコネクタに使用される保持部材の第2保持板の斜視図である。
【図8】図1のコネクタに使用される保持部材を、図6の線VIII−VIIIに沿って示す断面図である。
【図9】図1のコネクタの組立時の断面図である。
【図10】図1のコネクタの組立時の斜視図である。
【図11】本発明の他の実施形態によるコネクタの接触子の圧接部と保持部材の挟持条部及び切込とを概略で示す図で、(a)接触子を収容した本体を後方から示す平面図、(b)aの本体に組付けられる保持部材の第1保持板の第1支持面を示す平面図、(c)aとは異なる組合せの接触子を収容した本体を後方から示す平面図、及び(d)cの本体に組付けられる保持部材の第1保持板の第1支持面を示す平面図、である。
【図12】従来の高密度接続用コネクタの図で、(a)ケーブル導線を接触子に接続した本体の斜視図、(b)aの本体に外郭部材を取付けた状態の断面図、及び(c)使用される接触子の斜視図、である。
【図13】他の従来の高密度接続用コネクタの図で、(a)接触子を支持した本体とケーブル導線を保持した保持部材とを分解して示す斜視図、(b)aの保持部材の第1カバーの斜視図、及び(c)aの保持部材の第2カバーをケーブル導線とともに示す斜視図、である。
【符号の説明】
12…本体
14、14a、14b…接触子
16…導線保持部材
20…後端面
22…貫通穴
26…基部
32…支持部
36…圧接部
38…接触部
40…爪
62…第1保持板
64…第2保持板
66…第1支持面
70…開口部
76…第1挟持条部
86…第1切込
88…第2支持面
96…第2挟持条部
104…第2切込
Claims (5)
- 一対の対向端面間に延びる複数の貫通穴を相互に略平行に方形格子状配置で備えた電気絶縁性の本体と、電線を圧接する圧接部を各々の一端に備え、該圧接部を該本体の一端面から突出させて該本体の該貫通穴にそれぞれ固定的に収容される導電性の複数の接触子とを具備した高密度接続用コネクタにおいて、
複数の電線を相互絶縁状態に保持して前記本体の前記一端面に取付けられ、それら電線を前記複数の接触子の前記圧接部に一括して圧接する電気絶縁性の保持部材を具備し、
前記保持部材は、第1保持板と第2保持板とを相互に組合せて構成され、
前記第1保持板は、第1支持面と、該第1支持面とその裏面との間に貫通形成される開口部と、該第1支持面上で該開口部の周縁と該第1保持板の外縁との間に互いに独立して様々な方向へ延設され、少なくとも一部が該開口部の周縁から略放射状に配置される複数の第1挟持条部と、該第1挟持条部の各々に1つずつ該第1挟持条部に交差して刻設され、該第1支持面上で互いに独立して方形格子状に配列される複数の第1受容部とを備え、
前記第2保持板は、前記第1保持板の前記第1支持面に対向する第2支持面と、該第2支持面上で該第1保持板の前記複数の第1挟持条部に整合すべく延設され、該第1挟持条部と協働して両挟持条部間に電線を挟持する複数の第2挟持条部と、該第2挟持条部の各々に1つずつ該第2挟持条部に交差して、該第2支持面とその裏面との間に貫通形成され、該第1保持板の前記複数の第1受容部に整合すべく方形格子状に配列される複数の第2受容部とを備え、
前記複数の接触子は、各々の前記圧接部を該接触子の軸線の周りで、前記第2保持板の対応の前記複数の第2挟持条部に直交可能な様々な角度に回転した状態で、前記本体の前記複数の貫通穴に収容され、
前記保持部材は、前記第2保持板を前記本体の前記一端面に当接して該本体に取付けられ、このとき該第2保持板の前記複数の第2受容部が、該本体に方形格子状に配置された前記複数の貫通穴にそれぞれ重畳して配置されるとともに、前記複数の接触子の前記圧接部が、該第2保持板の該複数の第2受容部にそれぞれ受容されて、前記第1挟持条部と前記第2挟持条部との間に挟持された電線に直交状態で圧接されること、
を特徴とする高密度接続用コネクタ。 - 前記第1保持板の前記第1受容部が、前記第1挟持条部の延長方向に略直交して直線状に延びる第1切込からなり、前記第2保持板の前記第2受容部が、前記第2挟持条部の延長方向に略直交して直線状に延びる第2切込からなる請求項1に記載の高密度接続用コネクタ。
- 前記複数の接触子が、一端に形成された前記圧接部と、他端に形成された接触部と、該圧接部と該接触部との間に形成され、前記本体の前記貫通穴の壁に当接されて該貫通穴内に該接触子自体を支持する支持部とを備え、該圧接部が該支持部に対し傾斜して配置される請求項1又は2に記載の高密度接続用コネクタ。
- 前記複数の接触子が、前記支持部に対して前記圧接部を反対方向へ同一角度だけ折曲げて形成される2種類の接触子の群を含む請求項3に記載の高密度接続用コネクタ。
- 請求項1に記載の高密度接続用コネクタに使用される接触子であって、
一端に形成された前記圧接部と、他端に他の導電性接触子に接触すべく形成された接触部と、該圧接部と該接触部との間に形成され、前記本体の前記貫通穴の壁に当接されて該貫通穴内に接触子自体を支持する支持部とを備え、
前記圧接部が、接触子の軸線の周りで所望角度に回転して、少なくとも一部分を前記支持部の外表面よりも外側に突出させる位置に、前記支持部に対し傾斜して配置されること、
を特徴とする接触子。
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