JP3753203B2 - 放射線画像読取装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は放射線画像読取装置に関し、特に詳細には、画像読取部において高周波ノイズ対策を施した放射線画像読取装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
放射線を照射することによりこの放射線のエネルギーの一部が蓄積され、その後、可視光やレーザ光等の励起光を照射することにより、蓄積された放射線エネルギーに応じて輝尽発光を示す蓄積性蛍光体(輝尽性蛍光体)を利用して、支持体上に蓄積性蛍光体を積層してなるシート状の蓄積性蛍光体シートに人体等の被写体の放射線画像情報が蓄積記録されたものに、励起光を走査して輝尽発光光を発光させ、この輝尽発光光を集光ミラーや光ガイドにより集光し、集光された輝尽発光光を光電変換して画像信号を得、一方この画像信号読取り後の蓄積性蛍光体シートに消去光を照射して、このシートに残留する放射線のエネルギーを放出せしめる放射線画像読取装置がすでによく知られている。
【0003】
この装置により得られた画像信号には、後に観察読影に適した階調処理や周波数処理等の画像処理が施され、この処理が施された後の画像信号は診断用可視像としてフイルム上やCRT上に再生され診断等に供される。
【0004】
放射線画像読取装置を医療用に用いる場合、再生された可視画像の精度はそのまま診断性能に影響を与えるため、精度の高い可視画像を得る必要がある。そのためには、上述のように蓄積性蛍光体シートに蓄積記録された画像を再生する過程中の蓄積性蛍光体シートに蓄積記録された画像読取時の精度を高く維持する必要がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、OA機器や携帯電話等の電気・通信機器が多数存在する今日においては、あらゆる環境のいたるところに高周波ノイズ(数百MHz以上)が存在しうるため、従来の装置構造ではこの高周波ノイズによって読取部が影響を受け、読取画像信号がノイズを含むものとなり、結果として再生画像における画像ムラを生じていた。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、高周波ノイズの存在する環境にあっても画像信号読取時に高周波ノイズの影響を受けない放射線画像読取装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の放射線画像読取装置は、放射線画像が蓄積記録された蓄積性蛍光体シートに励起光を照射し、この照射により発光される輝尽発光光を光電的に読み取る読取部と、該読取部を内包し遮光空間を形成し、シート供給口とシート排出口とを有する筐体と、前記シートを前記シート供給口から前記読取部を通過せしめて前記シート排出口へ移送する搬送系とを少なくとも含む放射線画像読取装置であって、
前記筐体の前記シート供給口およびシート排出口以外の部分が、高周波ノイズの該筐体の内部への侵入を防ぐシールド構造とされ、
前記読取部による読取動作中、前記シート供給口およびシート排出口からの高周波ノイズの侵入を防止するシールド手段を備えていることを特徴とするものである。
【0008】
上記放射線画像読取装置において、前記シールド手段は、前記シート供給口、排出口を開閉する導電性の開閉可能な部材としてもよい。
【0009】
あるいは、このシールド手段は、前記シート供給口およびシート排出口を閉じた状態に弾性的に付勢され、弾性変形することによりシートの通過を許す柔軟な導電性部材等であってもよい。この場合、この導電性部材は、除電ブラシで構成してもよい。
【0010】
また、本発明の放射線画像読取装置は、前記シールド手段の代わりに前記シート供給口およびシート排出口を前記シートの移送方向に延びる煙突形状の導電性部材からなるものとしてもよい。
【0011】
ここで、前記「煙突形状」とは、供給口、排出口を煙突またはトンネルの形状に形成し、シートがその中を通過してシールド構造の前記筐体に出入りするようにしたものである。その断面は一定の大きさでなく徐々に小さく、あるいは大きくなるように形成されていてもよい。
【0012】
さらに、本発明の放射線画像読取装置は、前記シールド手段の代わりに、前記筐体内部の少なくとも一部にフェライトが配されたものとしてもよい。
【0013】
このフェライトは、前記シート供給口およびシート排出口近傍に配されるのが好ましい。
【0014】
本発明の放射線画像読取装置において、前記「シールド構造」とは、シート供給口およびシート排出口以外の部分からは高周波ノイズが筐体内へ侵入しないように処理された構造をいう。具体的には筐体全面に隙間無くシールド材を配した上で、筐体内(シールド内)に出入りするハーネスにノイズフィルタを入れるあるいは筐体外においてもシールドし筐体への出入り口で筐体にシールドを落とす等の処理が施された構造等である。
【0015】
【発明の効果】
本発明の放射線画像読取装置は、その読取部を含む筐体をシールド構造とした上で、筐体のシート供給口および排出口にさらにシールド手段を設け、読取部による読取動作中にシート供給口および排出口をシールド手段により閉状態とするようにしたため、読取動作中に高周波ノイズが筐体内に侵入するのを防ぐことができる。これにより読取部は高周波ノイズの影響を受けることなく高精度な画像信号の読取を行うことが可能となる。
【0016】
また、シールド手段の代わりにシート供給口および排出口を煙突形状の導電性部材とした放射線画像読取装置においては、この煙突形状の導電性部材によりシート供給口および排出口から侵入する高周波ノイズを減衰させ、筐体内部への高周波ノイズの侵入を著しく低減することができる。これにより読取部が受ける高周波ノイズの影響は従来と比較して格段に小さくなり、該読取部による高精度な画像信号の読取が可能となる。
【0017】
さらに、シールド手段の代わりに筐体内部にフェライトを配した放射線画像読取装置においては、筐体内部に侵入してきた高周波ノイズがこのフェライトにより吸収され高周波ノイズの筐体内部での共振を抑えることができる。これにより読取部が受ける高周波ノイズの影響は従来と比較して格段に小さくなり、該読取部による高精度な画像信号の読取が可能となる。なお、フェライトを特にシート供給口および排出口の近傍に配することにより、より効果的な高周波ノイズの吸収が可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の放射線画像読取装置の具体的な実施の形態である医療用の放射線画像読取装置について図面を用いて説明する。
【0019】
図1は、本発明の第一の実施形態に係る放射線画像読取装置を示す図であり、記録部1、読取部2および消去部3とこれら各部間を連結して蓄積性蛍光体シートを移送させる搬送系とを内蔵した縦型の放射線画像読取装置5の模式図である。
【0020】
図1に示されるように、本装置5は、循環通路4を有し、蓄積性蛍光体シートはこの循環経路4上を搬送ローラやベルト等(図示しない)の循環搬送系により循環搬送される。上記循環通路4上には、記録部1と、読取部2と、消去部3とがシートの搬送方向に沿って順次配設されている。読取部2は、遮蔽空間を形成しシート供給口11とシート排出口12を有する筐体10に内包されており、この筐体10は、筐体10内部の壁面に隙間無くシールド材20が配され、筐体10内部へ出入りするハーネスにノイズフィルタが備えられ、外部からの高周波ノイズがシート供給口11および排出口12以外の部分からは侵入しないシールド構造とされている。なお、筐体10内部に出入りするハーネスは、筐体10の一部にノイズフィルター内蔵コネクタを実現したコネクタ変換基板を備えてケーブルの接続をすることとしてもよい。
【0021】
また、筐体10のシート供給口11および排出口12には、読取部2における画像読取動作中にシート供給口11および排出口12から高周波ノイズが侵入するのを防ぐシールド手段13が備えられている。なお、このシールド手段13としては、図2(a)に示すような導電性の開閉部材(シャッター)14、あるいは、図2(b)に示すような除電ブラシ15が用いられる。シールド手段としてシャッター14が用いられる場合、このシャッター14は、筐体10へのシート供給時あるいは筐体10からのシート排出時にはシート供給口11あるいは排出口12を開状態とし、読取部2による読取動作中はシート供給口11および排出口12を閉状態とするように制御される。また、シールド手段として除電ブラシが用いられるとき、このブラシによりシート供給口および排出口は通常は閉じた状態とされ、シートの供給・排出時にはブラシが変形してシートの通過が可能な状態とされる。以下においてはシャッター14をシールド手段として用いた場合を例に挙げて説明する。
【0022】
被写体の放射線撮影がなされ、記録部1において被写体の放射線画像が蓄積記録された蓄積性蛍光体シートは、循環通路4上を搬送系により搬送せしめられ、開状態とされているシート供給口11から筐体10内へ供給される。シートの終端部が供給口11を通過した後、シート供給口11はシャッター14により閉状態とされ、シートは読取部2において画像の読取が行われる。
【0023】
読取部2においては、シートにレーザ光を照射することにより発生する輝尽発光光を検出し、光電変換することによってシートに蓄積記録されていた放射線画像の読取りが行われる。なお、放射線画像は画像信号として取り込まれ、この画像信号に基づいて可視画像が再生され、診断等に使用される。この読取部2による読取動作中はシート供給口11および排出口12はシャッター14により閉状態とされており、筐体10の内部は密閉空間となり高周波ノイズをシールドした状態となっている。
【0024】
読取部2において画像読取がなされた後、シート排出口12はシャッター14により開状態とされ、シートはシート排出口12から消去部3へと搬入せしめられる。
【0025】
消去部3においては、シートに消去光が照射され、画像読み取り後に残留する蓄積放射線エネルギーが励起せしめられて完全に画像が消去される。このシートは再び放射線画像記録のために使用可能である。
【0026】
図3は、本発明の第二の実施形態に係る放射線画像読取装置の読取部を含む筐体10部を示す図である。上述の第一の実施形態に係る放射線画像読取装置と共通の要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0027】
第二の実施形態に係る放射線画像読取装置においては、筐体10のシート供給口11および排出口12を煙突形状の導電性部材16で形成している。図4は、第二の実施形態の放射線画像読取装置のシート供給口11(排出口12)の例を示す図である。同図(a)に示すように一定幅の形状のみならず、同図(b)のように幅の広がった形状や(c)のような形状としてもよい。このようにシート供給口11および排出口12を煙突形状の導電性部材16〜18とすることにより、シート供給口11および排出口12から侵入しようとする高周波ノイズは減衰され、高周波ノイズの筐体10への侵入を大幅に低減することができ、読取部2により高精度な画像信号の読取を行うことができる。
【0028】
図5は、本発明の第三の実施形態に係る放射線画像読取装置の読取部を含む筐体10部を示す図である。上述の第一の実施形態に係る放射線画像読取装置と共通の要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0029】
第三の実施形態に係る放射線画像読取装置は、筐体10内部にフェライト19を配したものである。フェライト19は、筐体10内部であれば、一部に配してもよいし、全面に配しても良いが、特に、シート供給口11および12の近傍に配することが好ましい。このフェライト19により、シート供給口11および12から筐体10内部に侵入してきた高周波ノイズが吸収され、高周波ノイズの筐体内部での共振を抑えることができる。これにより読取部2が受ける高周波ノイズの影響は従来と比較して格段に小さくなり、読取部2により高精度な画像信号の読取を行うことができる。
【0030】
以上のように、本発明の放射線画像読取装置は、読取部による画像信号読取時に該読取部内へ侵入する高周波ノイズをシールドする構成であるため、画像信号読取時に読取部が受ける高周波ノイズによる影響を従来と比較して十分に低減することができる。このようにして読み取られ画像信号を用いることにより画像ムラのない高精細な可視画像を再生することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る放射線画像読取装置
【図2】第一の実施形態の放射線画像読取装置で用いられているシールド手段を示す図
【図3】本発明の第二の実施形態に係る放射線画像読取装置
【図4】第二の実施形態の放射線画像読取装置で用いられている煙突形状のシート供給口および排出口を示す図
【図5】本発明の第三の実施形態の放射線画像読取装置
【符号の説明】
1 記録部
2 読取部
3 消去部
4 搬送路
5 放射線画像読取装置
10 筐体
11 シート供給口
12 シート排出口
13 シールド手段
14 シャッター
20 シールド材

Claims (7)

  1. 放射線画像が蓄積記録された蓄積性蛍光体シートに励起光を照射し、この照射により発光される輝尽発光光を光電的に読み取る読取部と、該読取部を内包し遮光空間を形成し、シート供給口とシート排出口とを有する筐体と、前記シートを前記シート供給口から前記読取部を通過せしめて前記シート排出口へ移送する搬送系とを少なくとも含む放射線画像読取装置であって、
    前記筐体の前記シート供給口およびシート排出口以外の部分が、高周波ノイズの該筐体の内部への侵入を防ぐシールド構造とされ、
    前記読取部による読取動作中、前記シート供給口およびシート排出口からの高周波ノイズの侵入を防止するシールド手段を備えていることを特徴とする放射線画像読取装置。
  2. 前記シールド手段が、導電性の開閉部材であることを特徴とする請求項1記載の放射線画像読取装置。
  3. 前記シールド手段が、前記シート供給口およびシート排出口を閉じた状態に弾性的に付勢され、弾性変形することによりシートの通過を許す柔軟な導電性部材であることを特徴とする請求項1記載の放射線画像読取装置。
  4. 前記導電性部材が、除電ブラシであることを特徴とする請求項3記載の放射線画像読取装置。
  5. 放射線画像が蓄積記録された蓄積性蛍光体シートに励起光を照射し、この照射により発光される輝尽発光光を光電的に読み取る読取部と、該読取部を内包し遮光空間を形成し、シート供給口とシート排出口とを有する筐体と、前記シートを前記シート供給口から前記読取部を通過せしめて前記シート排出口へ移送する搬送系とを少なくとも含む放射線画像読取装置であって、
    前記筐体の前記シート供給口およびシート排出口以外の部分が、高周波ノイズの該筐体の内部への侵入を防ぐシールド構造とされ、
    前記シート供給口およびシート排出口が前記シートの移送方向に延びる煙突形状の導電性部材からなることを特徴とする放射線画像読取装置。
  6. 放射線画像が蓄積記録された蓄積性蛍光体シートに励起光を照射し、この照射により発光される輝尽発光光を光電的に読み取る読取部と、該読取部を内包し遮光空間を形成し、シート供給口とシート排出口とを有する筐体と、前記シートを前記シート供給口から前記読取部を通過せしめて前記シート排出口へ移送する搬送系とを少なくとも含む放射線画像読取装置であって、
    前記筐体の前記シート供給口およびシート排出口以外の部分が、高周波ノイズの該筐体の内部への侵入を防ぐシールド構造とされ、
    前記筐体内部の少なくとも一部にフェライトが配されていることを特徴とする放射線画像読取装置。
  7. 前記フェライトが前記シート供給口およびシート排出口近傍に配されていることを特徴とする請求項6記載の放射線画像読取装置。
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