JP2627087B2 - 乳房用エネルギーサブトラクション装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は乳房のエネルギーサブトラクション画像を記
録再生する装置、さらに詳しくは、蓄積性蛍光体に線質
の異なる放射線による乳房の２つの放射線画像情報を蓄
積記録し、次いでこれに励起光を照射し、蓄積記録され
た画像情報に応じて輝尽発光する光を検出して画像情報
を読取り電気信号に変換した後に、この読み取った２つ
の画像情報の電気信号を減算してサブトラクション画像
を得る放射線画像情報記録読取装置に関するものであ
る。

（従来の技術） 同一被写体に対して相異なる線質を有する放射線を照
射せしめ、被写体の特定の構造物（例えば、臓器、骨、
血管等）が特有の放射線吸収特性を有することを利用し
て特定の構造物が異なって抽出された２つの放射線画像
を得、その後この２つの放射線画像に適当な重みづけを
した上で両画像間で減算（サブトラクト）を行ない特定
の構造物の画像を抽出する、所謂エネルギー・サブトラ
クション方法が知られている。

このサブトラクション処理には、基本的に次の２つの
方法がある。即ち、 （１）造影剤注入により特定の構造物が強調された放射
線画像の画像信号から、造影剤が注入されていない放射
線画像の画像信号を減算（サブトラクト）することによ
って特定の構造物を抽出するいわゆる時間サブトラクシ
ョン処理と、 （２）同一の被写体に対して相異なるエネルギー分布を
有する放射線を照射し、あるいは被写体透過後の放射線
をエネルギー分布状態を変えて２つの放射線検出手段に
照射して、それにより特定の構造物が異なる画像を２つ
の放射線画像間に存在せしめ、その後この２つの放射線
画像の画像信号間で適当な重みづけをした上で減算（サ
ブトラクト）を行なって、特定の構造物の画像を抽出す
るいわゆるエネルギーサブトラクション処理である。

このサブトラクション処理は特に医療診断上きわめて
有効な方法であるため、近年大いに注目され、電子工学
技術を駆使してその研究、開発が盛んに進められてい
る。

一方、蓄積性蛍光体シートを利用して、人体等の被写
体の放射線画像情報を一旦蓄積性蛍光体シートに記録
し、これを励起光で走査して輝尽発光させ、この輝尽発
光光を光電的に読み取って画像信号を得、この画像信号
を処理して診断適性の良い被写体の放射線画像を得る放
射線画像情報記録再生方法が提案されている（例えば特
開昭55−12429号、同56−11395号、同55−163472号、同
56−104645号、同55−116340号など）。この方法におい
て、最終的な画像はハードコピーとして再生したもので
もよいし、CRT等のディスプレイ装置上に再生したもの
でもよい。このような放射線画像情報記録再生方法にお
いては、蓄積性蛍光体シートは最終的に画像情報を記録
せず、上記のような最終的な記録媒体に画像を与えるた
めに一時的に画像情報を担持するものであるから、この
蓄積性蛍光体シートは繰り返し使用するようにしてもよ
く、またそのように繰返し使用すれば極めて経済的であ
る。

また、例えばＸ線撮影車のような移動ステーションに
このような放射線画像情報の記録読取装置を装備し、集
団検診のために各所へ出張してＸ線撮影をするような場
合には、蓄積性蛍光体シートを多数車に積載して行くの
は不便であり、また移動車に積載できるシートの数には
限りがある。従って、蓄積性蛍光体シートを繰返し使用
可能なようにして移動車に積載し、これに被写体の放射
線画像情報を記録し、それを読み出して得た画像信号を
磁気テープ等の記憶容量の大きい記録媒体に写し、蓄積
性蛍光体シート等は循環再度使用するようにすれば移動
車によって多数の被写体の放射線画像を撮影することが
できるので実用上極めて有用である。さらに、この循環
再使用により、連続撮影を行なえば、集団検診において
撮影のスピードを上げることもでき、実用上の効果は極
めて大きい。

このように蓄積性蛍光体シートを再使用するには、輝
尽発光光が読み取られた後の蓄積性蛍光体シートに残存
する放射線エネルギーを、例えば特開昭56−11392号、5
6−12599号に示されるような方法によって放出させて残
存放射線画像を消去し、この蓄積性蛍光体シートを再度
放射線画像記録用に使用するようにすればよい。

したがって、蓄積性蛍光体からなる循環再使用可能な
シートに被写体を通して放射線を照射する画像記録部、
この蓄積性蛍光体シートに蓄積記録された画像を読む取
る画像読取部、および読取後に蓄積性蛍光体シートに残
存する放射線エネルギーを放出して次の記録に備えるた
めの消去部を１つの装置にまとめ、これを移動車に搭載
すれば検診に巡回することも容易になるし、病院等に据
え付けることも容易になり、実用上便利である。

この蓄積性蛍光体シートを利用する放射線画像情報記
録再生システムにおいては、該シートに記録されている
放射線画像情報が直接電気的画像信号の形で読み取られ
るから、このシステムによれば、上述のようなサブトラ
クション処理を容易に行なうことが可能となる。この蓄
積性蛍光体シートを用いてエネルギーサブトラクション
処理を行なうためには、２枚の蓄積性蛍光体シートに特
定の構造物に対応する部分の画像情報が異なるように画
像記録（撮影）を行なえばよく、具体的には、エネルギ
ー分布の異なる２種類の放射線を用いて撮影を２回行な
う2S hot法と、例えば被写体を透過した放射線を重ねら
れた２枚の蓄積性蛍光体シートに同時に曝射することに
よって、両シートに互いにエネルギー分布が異なる放射
線を照射するようにした1S hot法が知られている。

1S hot法のエネルギーサブトラクションには、 （１）２つの蓄積性蛍光体シートの間に放射線の低エネ
ルギー成分を吸収する金属等のフィルタを介在させて、
異なるエネルギー分布の放射線を得る方法と、 （２）フィルタを用いることなく１回の撮影で必要な画
像記録を行なうことができるように、互いに種類の異な
る蛍光体層を有する２枚の蓄積性蛍光体シートを用い、
これらの蓄積性蛍光体シートのうち放射線の低エネルギ
ー成分吸収特性のより高い蓄積性蛍光体層に有するシー
トを被写体側（放射線源側）に配して画像記録を行なう
ようにした方法（特開昭59−83486号等参照）とが提案
されている。

（発明が解決しようとする課題） ところで、乳房の撮影の場合には、乳房の下にカセッ
テを置いているため、2S hot法ではカセッテの交換時に
乳房が動いてしまい、サブトラクションの演算をすると
凝画像（アーチファクト）が発生してしまうため、2S h
ot法は使えず、１回の放射線曝射で２枚の画像を記録す
る1S hot法によらなければならないという背景がある。

しかし、1S hot法は２枚の画像を同時に記録すること
ができるため、被写体（モンマ）の動きによる凝画像が
発生しないという利点はあるが、１枚目の蓄積性蛍光体
シートに記録される画像に対して２枚目の蓄積性蛍光体
シートに記録される画像は画質が劣るという欠点があ
る。

そこで、乳房のエネルギーサイズトラクションを、画
質の良い2S hot法で、しかも動きによる凝画像のない状
態で行なうことが望まれる。

また、蓄積性蛍光体シートを使用したエネルギーサブ
トラクションの方法に使用される装置には、２枚以上の
蓄積性蛍光体シートを用意し、これらの蓄積性蛍光体シ
ートを多数読取部，消去部を通して循環するものが多く
知られているが（例えば特開昭61−95338号）、このタ
イプの装置では乳房の撮影には全体に大規模なものとな
り過ぎ、スペース的にまたコスト的に不向きである。し
たがって、小型で画質の良好な乳房のエネルギーサブト
ラクション画像を得る装置が望まれる。

本発明は、上記各種の要望に応え、乳房の放射線画像
のエネルギーサブトラクション画像を得ることができ、
小型に設計することができる上、設置や移動が容易で、
集団検診用の検診車への搭載も容易な放射線画像情報記
録読取装置を提供することを目的とするものである。

（課題を解決するための手段） 本発明の乳房用エネルギーサブトラション装置は、乳
房を固定支持する撮影台を備え、１枚の蓄積性蛍光体シ
ートをこの撮影台（画像記録部）の下方から画像読取部
を経て消去部まで移動可能とし、前記撮影台が１回目の
放射線照射をした後、この蓄積性蛍光体シートから画像
の読取りを行ない、次いで画像の消去した後再び撮影台
へ移動して２回目の放射線照射を行なって再び読取りを
行ない、この２回の読取りによって得た画像信号間でエ
ネルギーサブトラクション処理のための減算を行なうよ
うにしたものである。

すなわち、本発明の装置は、放射線画像を蓄積記録し
うる１枚の蓄積性蛍光体シートを、所定の通路に沿って
搬送する搬送手段、 前記通路の近傍にあって、放射線源を備え、この放射
線源と前記通路の一部との間に乳房を固定支持する撮影
台を備え、前記シートに乳房を通して放射線を照射する
ことにより、このシート上に乳房の放射線透過画像を蓄
積記録する画像記録部、 前記通路にあって、前記画像記録部において放射線画
像を蓄積記録されたシートを走査する励起光を発する励
起光源と、この励起光により走査されたシートから発せ
られた輝尽発光光を読み取って画像信号を得る光電読取
手段とを有する画像読取部、 前記通路にあって、前記画像読取部において画像読取
が行なわれた後のシートに再び画像記録がなされる前に
このシート上の残存放射線エネルギーを放出させる消去
部、 前記通路に沿って前記シートを前記画像記録部から前
記画像読取部を経て前記消去部に移送し、その後再び該
シートを前記画像記録部に移送するシート移送手段、 該画像記録部における放射線の線質を少なくとも２種
に切り換える放射線切換手段、 該放射線切換手段の切換動作に同期して前記シート移
送手段を作動させ、前記シートに放射線線質の異なる放
射線画像情報を２回に分けて記録せしめ、この２回に分
けて記録された放射線線質の異なる前記放射線画像情報
を、前記画像読取部により２回に分けて読み取らしめる
制御手段、および 前記画像読取部により２回に分けて読み取られた放射
線線質の異なる２つの放射線画像情報の画像信号間で重
みづけした後減算を行なう演算部とからなることを特徴
とするものである。

ここで１枚の蓄積性蛍光体シートを所定の通路に沿っ
て搬送するとは、直線状の通路を往復動させるものに限
らず、ループ状の通路を循環移動させるものも含むもの
とする。

また、上記放射線切換手段とは、放射線源の電圧を切
り換えものに限らず、放射線源と蓄積性蛍光体シートの
間にヨウ素フィルタのような放射線吸収フィルタを出し
入れするものも含むものとする。

なお、上記放射線吸収フィルタとは、これを挾んで配
された蓄積性蛍光体ベルトの部分にエネルギーの異なる
放射線を照射させるための放射線エネルギー変換用フィ
ルタで、放射線を完全にカットするものではない。

（作用および効果） 本発明の装置によれば、カセッテを使用せず、乳房を
撮影台上に固定するので、乳房は長時間動くことがない
ため、これを固定保持した状態で、１枚の蓄積性蛍光体
シートに記録，読取，消去をした後再度記録し、これを
読み取って１回目に読み取った画素信号との間で減算処
理をしてサブトラクション画像を得ることができる。し
たがって小型の装置で、画質の良い2S hot法による乳房
のサブトラクション画像を得ることができる。

また、使用する蓄積性蛍光体シートが１枚なので、記
録時，読取時の位置決めが簡単にできる上、蓄積性蛍光
体シートのストラクチャノイズ（厚さ，材料等のバラツ
キに基づくノイズ）が一定であるため、これを差し引く
ことによりS/Nを向上させ、高画質化が容易にできると
いう利点がある。さらに、蓄積性蛍光体シートが１枚で
あるため、放射線照射時に発生する輝尽発光光が同時に
読取中の他の蓄積性蛍光体シートの読取りのノイズにな
るという問題がない。

（実 施 例） 以下、図面に示す実施例に基づいて本発明を詳細に説
明する。

第１図は本発明の一実施例による乳房用エネルギーサ
ブトラクション装置を示すもので、これは本体20と、放
射線収納部30とから構成されている。図示されるように
本体20の筺体29内には、蓄積性蛍光体シート25を移送す
るエンドレスベルト26を張架した１対のプーリ22、23が
平行に配置されている。これらのプーリ22、23はそれぞ
れ、該プーリ22、23およびローラ27、28とともにベルト
送り手段を構成するモータ24により矢印Ａ、Ｂ両方向に
回転されるようになっている。

プーリ22とローラ27の間に張架されたエンドレスベル
ト26の上方に対面する位置には、乳房撮影台32が設けら
れている。前述の放射線源収納部30は内部に例えばＸ線
管球等の放射線源33を収納しており、この放射線源33は
上記撮影台32に対向する。乳房（被写体）34の放射線撮
影時、該マンモ34は撮影台32上に、上から保持板31で押
さえられ、固定保持されており、この状態で放射線源33
が作動される。それにより乳房34を透過した放射線35
が、エンドレスベルト26上の蓄積性蛍光体シート25に照
射され、該蓄積性蛍光体シート25に（詳しくは、この蓄
積性蛍光体シート25の表面に形成された蓄積性蛍光体層
に）乳房34の放射線画像情報が蓄積記録される。

以上の説明から明らかなように本実施例装置において
は、撮影台32および放射線源33から画像記録部40が構成
されている。なお本実施令においては、撮影台32と蓄積
性蛍光体シート25との間に散乱放射線除去用のグリッド
91が配されている。

この蓄積性蛍光体シート25に蓄積記録された放射線画
像情報は画像読取部50によって、電気的画像信号として
読み取られる。画像読取部50は、レーザ光源51、このレ
ーザ光源51から射出された励起光としてのレーザ光52を
反対偏向するポリゴンミラー等の光偏向器53、偏向され
たレーザ光52を蓄積性蛍光体シート25上のあらゆる走査
位置において所定径の小さなスポットに集束させる走査
レンズ54、蓄積性蛍光体シート25を少なくとも読取り時
は定速で搬送するようにエンドレスベルト26を駆動する
副走査手段とを兼ねたモータ24、レーザ光52による蓄積
性蛍光体シート25上の走査線（主走査線）に沿って受光
面が延びるように配された、光電読取手段としての長尺
光電子増倍管（フォトマルチプライヤー）55、およびこ
の長尺光電子増倍管54の受光面に光学的に結合された長
尺の光ガイド56およびレーザ光52がフォトマルチプライ
ヤー55に入るのを防ぐフィルタ57から構成されている。
なお長尺光電子増倍管については、例えば特開昭62−16
666号に詳しい記載がなされている。

前述のようにして蓄積性蛍光体シート25に乳房34の放
射線画像情報が蓄積記録された後、モータ24が回転され
ることによりエンドレスベルト26は図中矢印Ａ方向に定
速で搬送される。蓄積性蛍光体シート25が搬送されると
ともに、前記レーザ光源51と光偏向器53が作動され、レ
ーザ光52が該蓄積性蛍光体シート25上を走査する。この
蓄積性蛍光体シート25の、レーザ光52の照射を受けた箇
所からは、該蓄積性蛍光体シート25に蓄積記録された放
射線画像情報を担う輝尽発光光58が発せられる。この輝
尽発光光58は光ガイド56に導かれて効率良く長尺光電子
増倍管55によって検出される。上記のようにしてレーザ
光52の主走査がなされるとともに、蓄積性蛍光体シート
25が前述のように搬送されて副走査がなされ、したがっ
て該蓄積性蛍光体シート25からは２次元的に前記輝尽発
光光58（すなわち放射線画像情報）が読み取られる。長
尺光電子増倍管55の出力S₁は読取回路59に送られる。

以上説明のようにして画像読取りが終了した蓄積性蛍
光体シート25はエンドレスベルト26によってさらにＡ方
向に移送され、プーリ23の近傍に配された消去部60を通
過して画像（残像）消去を受ける。この消去部60は、張
架されたエンドレスベルト26の上方に配された消去光源
61から構成されている。この消去光源61は例えば蛍光灯
等からなり、蓄積性蛍光体シート25の蓄積性蛍光体の励
起波長領域の光を主に発するものであり、該蓄積性蛍光
体シート25が消去部60の下を移動する際に点灯される。
前記画像読取り後に蓄積性蛍光体シート25に残存してい
た放射線エネルギーは、上記のような光が照射されるこ
とにより放出される。

このようにして、再び放射線画像情報の記録が可能な
程度まで画像（残像）消去がなされた蓄積性蛍光体シー
ト25は前述の画像記録（撮影）および読取りを繰り返す
ことが可能となる。なお消去光源61としては、前述の蛍
光灯の他、例えば特開昭56−11392号に示されるような
タングステンランプ、ハロゲンランプ、赤外線ランプ、
キセノンフラッシュランプ等が任意に選択使用されう
る。また消去部60は、上記のような消去光源から構成す
る他、例えばLED（Light Emitting Diode）を２次元的
に並べたパネルやEL（エレクトロ・ルミネッセンス）板
等の面状光源から構成されてもよい。

蓄積性蛍光体シート25の残像が消去されると、エンド
レスベルト26は逆方向（矢印Ｂ方向）に移送され、この
上の蓄積性蛍光体シート25は再び画像記録部に移動され
る。蓄積性蛍光体シート25が再び画像記録部に移動する
と、これに同期して、例えばヨウ素フィルタからなる放
射線吸収フィルタ71が撮影台32と蓄積性蛍光体シート25
の間に挿入される。その後放射線源33が作動され、蓄積
性蛍光体シート25に乳房34を通した放射線が再び照射さ
れる。この間、乳房34は撮影台32の上に１回目の撮影の
ときのままで押圧板31により押圧され、固定保持されて
いる。

２回目の撮影が終った後、蓄積性蛍光体シート25は再
び画像読取部50に移動され、１回目の記録の読取りと同
様に蓄積性蛍光体シート25に記録されている放射線画像
情報を読み取る。このときの画像読取部50の長尺光電子
増倍管55の出力S₂（すなわち２回目の撮影により蓄積性
蛍光体シート25に記録されている放射線画像情報を示す
もの）も、読取回路59に送られる。読取回路59に送られ
た出力S₁、S₂は、それぞれ順次、メモリ82から信号処理
回路86へ送られ、信号処理された後、画像再生装置88に
出力される。

次に読取回路59以降における処理について、その概略
構成を示す第２図を参照して説明する。長尺光電子増倍
管55の出力S₁は読取回路59に送られ、対数増幅器80によ
って対数増幅された後、A/D変換器81でデジタル化され
る。こうして得られたデジタルの読取画像信号logS
₁は、メモリ82に一時的に記憶され、次いでそこから読
み出されて信号処理回路86のサブトラクション演算回路
83に入力される。同様に長尺光電子倍増管54′の出力S₂
も読取回路59に送られ、対数増幅器84によって対数増幅
された後、A/D変換器85でデジタル化される。こうして
得られたデジタルの読取画像信号logS₂も、メモリ82に
一時的に記憶され、次いでそこから読み出されて信号処
理回路86のサブトラクション演算回路83に入力される。

このサブトラクション演算回路83は、入力される２つ
の画像信号logS₁、logS₂を適当な重み付けをした上で対
応する画素毎に減算して、デジタルの差信号 Ssub＝ａ・logS₁−ｂ・logS₂＋ｃ ［ａ、ｂは重み付け係数、ｃはバイアス成分である］ を求める。この差信号Ssubは画像処理回路87において階
調処理、周波数処理等の画像処理を受けた後、画像再生
装置88に送られて、放射線画像の再生に供せられる。

この再生装置88は、CRT等のディスプレイ手段でもよ
いし、感光フィルムに光走査記録を行なう記録装置であ
ってもよいし、あるいはそのために画像信号を一旦光デ
ィスク、磁気ディスク等の画像ファイルに記憶させる装
置に置き換えられてもよい。

なお、上記実施例では２つの出力S₁、S₂に対して読取
回路59の中にそれぞれ２組の対数増幅器80、84およびA/
D変換器81、85が設けられているが、これは２種の出力S
₁、S₂を１つの対数増幅器とA/D変換器に入力し、メモリ
82に出力するときにタイミング毎に振り分けて出力する
ようにしてもよいことは言うまでもない。

上述のようなサブトラクション演算を行なう際に係数
ａ、ｂを適切に定めると、得られた差信号Ssubにおいて
は、前記特定構造物（例えば悪性腫瘤）以外の部分につ
いての信号成分が消去されるようになる。したがってこ
の差信号Ssubに基づいて画像再生を行なえば、上記特定
構造物のみが抽出された放射線画像を得ることができ
る。

なお、エネルギーサブトラクション処理については、
特開昭59−83486号，同61−98341号等に詳細な記載がな
されている。

また、前記フィルタ71を挿入する代りに、放射線源の
管電圧を切り換えることによっても放射線線質を変える
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例装置を示す概略側面図、 第２図は上記実施例装置の放射線画像情報読取回路、メ
モリ、信号処理回路等の構成を示すブロック図である。 20……本体、22、23……プーリ 24……モータ 25……蓄積性蛍光体シート、26……エンドレスベルト 27、28……ローラ、30……放射線源収納部 32……撮影台、33……放射線源 34……被写体（乳房）、35……放射線 40……画像記録部、51……レーザ光源 52……レーザ光、53……光偏向器 54……集光走査レンズ、55……光電子増倍管 56……光ガイド、58……輝尽発光光 59……読取回路、60……消去部 61……消去光源 71……放射線吸収フィルタ 80、84……対数増幅器、81、85……A/D変換器 82……メモリ 83……サブトラクション演算回路 86……信号処理回路 logS₁、logS₂……読取画像信号 Ssub……差信号

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】放射線画像を蓄積記録しうる１枚の蓄積性
   蛍光体シートを、所定の通路に沿って搬送する搬送手
   段、 前記通路の近傍にあって、放射線源を備え、この放射線
   源と前記通路の一部との間に乳房を固定支持する撮影台
   を備え、前記シートに乳房を通して放射線を照射するこ
   とにより、このシート上に乳房の放射線透過画像を蓄積
   記録する画像記録部、 前記通路にあって、前記画像記録部において放射線画像
   を蓄積記録されたシートを走査する励起光を発する励起
   光源と、この励起光により走査されたシートから発せら
   れた輝尽発光光を読み取って画像信号を得る光電読取手
   段とを有する画像読取部、 前記通路にあって、前記画像読取部において画像読取が
   行なわれた後のシートに再び画像記録がなされる前にこ
   のシート上の残存放射線エネルギーを放出させる消去
   部、 前記通路に沿って前記シートを前記画像記録部から前記
   画像読取部を経て前記消去部に移送し、その後再び該シ
   ートを前記画像記録部に移送するシート移送手段、 該画像記録部における放射線の線質を少なくとも２種に
   切り換える放射線切換手段、 該放射線切換手段の切換動作に同期して前記シート移送
   手段を作動させ、前記シートに放射線質の異なる放射線
   画像情報を２回に分けて記録せしめ、この２回に分けて
   記録された放射線線質の異なる前記放射線画像情報を、
   前記画像読取部により２回に分けて読み取らしめる制御
   手段、および 前記画像読取部により２回に分けて読み取られた放射線
   線質の異なる２つの放射線画像情報の画像信号間で重み
   づけした後減算を行なう演算部とからなることを特徴と
   する乳房のエネルギーサブトラクション用放射線画像情
   報記録読取装置。