JP3752880B2 - コモンレール式燃料噴射装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、高圧燃料ポンプから吐出された燃料をコモンレールに蓄圧状態に貯留し、コモンレールから供給される燃料をインジェクタから燃焼室に噴射するコモンレール式燃料噴射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、エンジンの燃料噴射に関して、噴射圧力の高圧化を図り、燃料の噴射タイミング及び噴射量等の噴射条件をエンジンの運転状態に応じて最適に制御する方式として、コモンレール燃料噴射システムが知られている。コモンレール燃料噴射システムは、燃料ポンプによって所定圧力に加圧された燃料をコモンレール内に蓄圧状態に貯留し、貯留された加圧燃料を燃料噴射量及び燃料噴射時期等のエンジンの運転状態に応じてコントローラが求めた最適な燃料噴射条件で複数の気筒にそれぞれ配置された各インジェクタから燃焼室内に噴射するシステムである。コモンレールから燃料供給管を通じて各インジェクタの先端に形成された噴孔に至る燃料流路内には、常時、噴射圧力相当の燃料圧が作用しており、各インジェクタは燃料供給管を通じて供給される燃料を通過又は遮断する制御を行うため電磁弁を備えている。コントローラは、加圧燃料が各インジェクタにおいてエンジンの運転状態に対して最適な噴射条件で噴射されるように、コモンレールの圧力と各インジェクタの電磁弁の作動とを制御している。コモンレール燃料噴射システムには、電磁弁の作動によって高圧燃料の一部を作動流体として利用してインジェクタを作動させる形式のものがある。
【0003】
図6は、コモンレール燃料噴射システムの概要を示す図である。コモンレール燃料噴射システムにおいて、燃料タンク4内の燃料は、フィルタ5及びフィードポンプ6を経た後、燃料管7を通じて、例えばプランジャ式の可変容量式高圧ポンプである燃料ポンプ8に供給される。燃料ポンプ8は、エンジン出力によって駆動されるものであり、燃料を要求される所定圧力に昇圧し、燃料管9を通じてコモンレール2に供給する。燃料ポンプ8には、コモンレール2における燃料圧を所定圧力に維持するため流量制御弁14が配設されている。燃料ポンプ8からリリーフされた燃料は、戻し管10を通じて燃料タンク4に戻る。コモンレール2内の燃料は、燃料供給管3を通じて複数のインジェクタ1に供給される。燃料供給管3からインジェクタ1に供給された燃料のうち、燃焼室への噴射に費やされなかった燃料は、戻し管11を通じて燃料タンク4に戻る。
【0004】
電子制御ユニットであるコントローラ12には、エンジンの気筒判別センサ、エンジン回転数Neや上死点(TDC)を検出するためのクランク角センサ、アクセルペダル踏込み量Acを検出するためのアクセル開度センサ、冷却水温度を検出するための水温センサ、吸気管内圧力を検出するための吸気管内圧力センサ等の、エンジンの運転状態を検出するための各種センサからの信号が入力される。コモンレール2には圧力センサ13が設けられており、圧力センサ13によって検出されたコモンレール2内の燃料圧力(以下、コモンレール圧力という)の検出信号もコントローラ12に入力される。コントローラ12は、これらの信号に基づいて、エンジン出力が運転状態に即した最適出力になるように、インジェクタ1による燃料の噴射条件、即ち、燃料の噴射時期(噴射開始時期と期間)及び噴射量等を制御する。インジェクタ1が燃料を噴射することでコモンレール2内の燃料が消費され、コモンレール内の燃料圧は低下するが、コントローラ12は、コモンレール2内の燃料圧が一定となるように或いはエンジンの運転状態に応じて必要とされる燃料噴射圧力を得るため、燃料ポンプ8の流量制御弁14を制御して吐出圧を制御する。図示の例では、エンジンは、4気筒エンジンであるが、6気筒等の他の気筒数であってもよい。
【0005】
図7は、コモンレール式燃料噴射システムに用いられるインジェクタの一例を示す縦断面図である。インジェクタ1は、図示が省略されたシリンダヘッド等のベースに設けられた穴部にシール部材によって密封状態に取付けられる。インジェクタ1の上側側部には燃料入口継手20を介して燃料供給管3が接続されている。インジェクタ1の本体内部には、燃料通路21,22が形成されており、燃料供給管3及び燃料通路21,22から燃料流路が構成されている。燃料流路を通じて供給された燃料は、燃料溜まり23及び針弁24の周囲の通路を通じて、針弁24のリフト時に開く噴孔25から燃焼室内に噴射される。
【0006】
インジェクタ1には、針弁24のリフトを制御するため、バランスチャンバ式の針弁リフト機構が設けられている。インジェクタ1の最上部には電磁弁を構成する電磁アクチュエータ26が設けられており、コントローラ12のコマンドパルスに応じた制御電流が信号線27を通じて電磁アクチュエータ26のソレノイド28に送られる。ソレノイド28が励磁されると、アーマチュア29が上昇して燃料路31の端部に設けられた開閉弁32を開くので、燃料流路からバランスチャンバ30に供給された燃料の燃料圧が燃料路31を通じて解放される。インジェクタ1の本体内部に形成された中空穴33内には、コントロールピストン34が昇降可能に設けられている。低下したバランスチャンバ30内の圧力に基づく力とリターンスプリング35のばね力とによってコントロールピストン34に働く押下げ力よりも、燃料溜まり23に臨むテーパ面36に作用する燃料圧に基づいてコントロールピストン34を押し上げる力が勝るため、コントロールピストン34は上昇する。その結果、針弁24がリフトし、噴孔25から燃料が噴射される。燃料噴射時期は針弁24のリフト時期によって定められ、燃料噴射量は燃料流路内の燃料圧と針弁24のリフト(リフト量、リフト期間)とによって定められる。
【0007】
インジェクタの一つの形式として、圧力制御弁のピストンを大径部、小径部及び連結部で構成し、大径部と小径部とのそれぞれの一側に形成され且つ蓄圧室から高圧の燃料が供給される高圧部と、大径部と小径部との間に形成され且つ減圧された燃料圧力が作用する低圧部とを備え、大径部と小径部とに対する高圧燃料の圧力作用に基づいて圧力制御弁のピストンに増圧作用を持たせるものがある(一例として、特開平9−177586号公報参照)。この形式のインジェクタでは、燃料噴射時に圧力制御弁のピストンを作動させるために高圧燃料がリークすると共に、燃料噴射後の無噴射時にも低圧部を通って燃料がリークしている。前者の燃料のリークは、所謂、動的リークと称されており、後者の燃料のリークは、燃料噴射の動作に関わらず、即ち、燃料噴射が行われない燃料噴射後においても燃料がインジェクタからリークするという、所謂、静的リークと称されている。動的リークは燃料噴射時に存在するのみであるが、静的リークは、存在するとすれば、常に生じているので、燃料ポンプによって高圧燃料が供給されるまで、コモンレールにおける燃料圧力を継続的に低下させる。
【0008】
インジェクタの別の形式として、低圧部を形成せず、静的リークを生じさせない或いは殆ど静的リークを生じさせない形式のインジェクタがある。静的リークが生じないインジェクタでは、コモンレールから供給され且つ消費される燃料量は、噴孔から燃焼室内に噴射される燃料噴射量と動的リーク量とからなる。コモンレールにおける燃料圧力は、燃料噴射時にのみ次第に低下し、燃料噴射後には次の燃料ポンプによる高圧燃料の供給まで事実上低下することがない。
【0009】
一般に、インジェクタ1の燃料噴射量とコントローラ12が出力するコマンドパルスのパルス幅との関係が、コモンレール圧力Pr(燃料噴射直前のコモンレール2内の燃料圧力)をパラメータとしたマップによって定められており、コントローラ12内にメモリとして記憶されている。コモンレール圧力Prを一定とすると、パルス幅が大きいほど燃料噴射量は多くなり、同じパルス幅であっても、コモンレール圧力Prが大であるほど燃料噴射量は大きくなる。噴射すべき燃料噴射量と燃料噴射直前のコモンレール圧力Prとに応じて、コントローラ12が出力するコマンドパルスのパルス幅が算出される。一方、燃料噴射は、コマンドパルスの立ち下がり時刻と立ち上がり時刻に対して一定時間遅れて開始又は停止されるので、コマンドパルスがオン又はオフとなる時期を制御することによって、噴射タイミングを制御することが可能である。基本噴射量とエンジン回転数との間には、アクセルペダル踏込み量をパラメータとして一定の関係が基本噴射量特性マップとして予め与えられており、燃焼サイクル毎の燃料噴射量は、エンジンの運転状態に応じて基本噴射量特性マップから計算によって求められる。
【0010】
インジェクタの噴射特性(特に、噴射時期,噴射量)には、インジェクタ毎に特性が異なる個体バラツキと、同じインジェクタであっても各部に生じる劣化等に起因して時間の経過と共に変化する径年変化とがある。コモンレール圧力とインジェクタを駆動させるためにコントローラがオンとして出力するコマンドパルスのパルス幅とが同じであっても、個々のインジェクタの燃料噴射量は異なり、また、同じインジェクタであっても、インジェクタの燃料噴射特性が変化し、時間の経過と共に燃料噴射量が変化することがある。燃料噴射量それ自体が大きな値であるときには各インジェクタの噴射量に多少の差はあっても大きな問題となることはないが、アイドル運転状態又はパイロット噴射時のような目標噴射量が少ない場合には、燃料噴射量のバラツキによる燃焼への影響は顕著になり、多量の燃料が噴射されたり全く燃料噴射が行われないという事態に至ることがあり得る。また、排気ガス中でのスモークの発生やエンジンの振動・騒音等のエンジン性能に対しても悪影響を及ぼす。
【0011】
ところで、コモンレール式の燃料噴射システムにおいては、上記のように、インジェクタの針弁の昇降はコモンレールの燃料圧力に基づいて制御されており、インジェクタの電磁アクチュエータへの通電とその遮断とにより、コモンレールからインジェクタ内の圧力制御室(バランスチャンバ)に供給されている燃料の外部へのリークのオン・オフ制御を行い、針弁を昇降させている。
【0012】
コントローラからのコマンドパルスに応じた制御信号を受けて作動する電磁アクチュエータはソレノイドやリターンスプリングを備えており、圧力制御室内の圧力を解放する通路の開閉を行う開閉弁は電磁アクチュエータによって燃料路を開閉する弁ステムと弁フェースを備えた構造である。このような構造であると、リターンスプリングの作動不良や開閉弁の弁ステムの引っ掛かり等に起因して、目標噴射量の燃料を噴射するための期間が経過したにもかかわらず、開閉弁が完全に戻らなかたり、開閉弁が閉弁位置にありながら開閉弁の弁フェースと弁シートとが片当たりして燃料のリークを生じるという、電磁弁の作動不良が生じることがある。このような状態になると、燃料噴射量が異常に増加し、エンジンに致命的な損傷を与えかねないと共に、電磁弁からインジェクタ作動中にリークする動的リーク量が増加することによりコモンレール圧力が急激に低下するなどの問題が生じ、高圧ポンプからコモンレールへの供給が困難になるなど、他の気筒の燃焼にも大きな影響を与えてしまう。
【0013】
検出されたコモンレール圧力が所定の範囲内にあるか否かを判断し、コモンレール圧力が所定の範囲から外れたときには、警報を発するか、或いは対応するインジェクタに具備される電磁弁を閉じて、当該インジェクタが設けられる気筒を休筒した減筒運転を行う燃料噴射装置が提案されている(特開平2−95770号公報)。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、低圧部による静的リークがある形式のインジェクタでは、燃料噴射終了後にも燃料のリークがあるので、インジェクタの不良に起因して燃料噴射終了時期に経過後において生じるコモンレール圧力の低下との区別が付きにくいが、低圧部による静的リークのないインジェクタでは、燃料噴射終了時期の経過後であって燃料ポンプが高圧燃料を吐出してコモンレールに燃料を供給してコモンレールの燃料圧力が回復するまでの間では、基本的にはコモンレール圧力に変化は無いことに着目して、コモンレール圧力を監視することでインジェクタの作動不良の判断をする点で解決すべき課題がある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
この発明の目的は、高圧燃料ポンプから吐出された燃料を蓄圧状態にコモンレールに貯留し、コモンレールから供給された燃料をインジェクタが燃焼室に噴射し、コントローラがエンジンの運転状態を検出する検出手段からの検出信号に応じて求められる燃料の目標噴射量に基づいてインジェクタからの燃料噴射を制御しているコモンレール式燃料噴射装置において、燃料噴射終了時期の経過後におけるコモンレールの燃料圧力の変化を監視することにより、開閉弁や針弁の戻り異常等のインジェクタの作動不良を速やかに検出し、エンジンへの重大な損傷を未然に防止するとともに、乗員の安全を確保し、インジェクタの作動不良の程度に応じて最低限のエンジンの作動を可能にするバクアップ制御を行うことを可能にするコモンレール式燃料噴射装置を提供することである。
【0016】
前記目的を達成するため、この発明によるコモンレール式燃料噴射装置は、高圧燃料ポンプから吐出された燃料を蓄圧状態に貯留するコモンレール、前記コモンレールから供給される燃料を燃焼室に噴射するインジェクタ、エンジンの運転状態を検出する検出手段、前記コモンレールの燃料圧力を検出する圧力センサ、及び前記検出手段からの検出信号に応じて前記インジェクタから噴射すべき燃料の目標噴射量及び目標噴射時期を求め、前記目標噴射量及び前記目標噴射時期に基づいて前記インジェクタからの燃料噴射を制御するコントローラを具備し、前記コントローラは、前記目標噴射時期に応じた燃料噴射終了時期の経過後で且つ前記燃料ポンプによる前記コモンレールへの燃料の供給前の圧力判定期間における前記コモンレールの燃料圧力の降下速度が過大であることに応答して、前記インジェクタが作動不良であると判定するものであるコモンレール式燃料噴射装置において、前記コントローラは、前記圧力判定期間において前記圧力センサの検出信号に基づいて複数のサンプリング時期における前記コモンレールの燃料圧力を求め、隣り合うサンプリング時期における前記コモンレールの燃料圧力の差である圧力降下量を前記降下速度として求め、連続する二つの前記圧力降下量が予め決められた閾値を超えていることに応答して前記コモンレールの燃料圧力の降下速度が過大であると判定するものであることを特徴とする。
【0017】
この発明によるコモンレール式燃料噴射装置によれば、コントローラは、燃料噴射時期に応じた燃料噴射終了時期の経過後で且つ燃料ポンプによるコモンレールへの燃料の供給前の圧力判定期間において、コモンレールの燃料圧力を検出する。燃料噴射終了時期までの燃料噴射を行っている期間では、インジェクタから燃焼室への燃料噴射とその燃料噴射を行うための動的リークとがあるため、コモンレールの燃料圧力は低下する。インジェクタの開閉弁が閉弁した後においては、燃料噴射と動的リークがなくなり、次の燃料ポンプからの燃料の供給があるまで基本的には圧力上昇がないので、コモンレール式の燃料圧力の降下があるとすると、非作動状態にあるにもかかわらずインジェクタからの燃料リーク(静的リーク)が存在することに起因した圧力降下である。圧力判定期間におけるコモンレールの燃料圧力の降下状態が過大であるときには、インジェクタにおける静的リーク量が過大であることが想定されるので、コントローラは、当該インジェクタが作動不良であると判定する。
【0018】
インジェクタの作動不良の判定は、この予め判定時期における圧力降下が適正な圧力降下の範囲内に有るか否かを判断することによってなされる。このコモンレール式燃料噴射装置において、前記コモンレールの燃料圧力の降下状態は、前記コモンレールの燃料圧力の降下速度とされる。また、前記コモンレールの燃料圧力の降下状態は、前記燃料噴射終了時期における前記コモンレールの燃料圧力からの圧力降下量であるとすることも可能である。圧力降下が適正な圧力降下の範囲内でなければ、インジェクタからの静的リークが過多であると判定される。
【0019】
前記コモンレールの燃料圧力の降下状態を、前記コモンレールの燃料圧力の降下速度とした場合、前記コントローラは、前記圧力判定期間において前記圧力センサの検出信号に基づいて複数のサンプリング時期における前記コモンレールの燃料圧力を求め、隣り合うサンプリング時期における前記コモンレールの燃料圧力の差である圧力降下量を前記降下速度として求め、連続する二つの前記圧力降下量が予め決められた閾値を超えていることに応答して前記コモンレールの燃料圧力の降下状態が過大であると判定する。即ち、隣り合うサンプリング時期における前記コモンレールの燃料圧力の差である圧力降下量が、二度続けて予め決められた閾値を超えているときは、インジェクタの作動不良とするに充分な根拠となる。前記閾値は、前記サンプリング時期における前記コモンレールの燃料圧力の大きさ等のエンジンの運転状態に応じて予め決めることも可能である。
【0020】
前記コントローラは、作動不良であると判定した前記インジェクタからの燃料噴射を禁止する。燃料噴射終了時期の経過後にも燃料噴射を継続するようなインジェクタが作動し続けるとエンジン自体の損傷にもつながるため、作動不良であると判定されたインジェクタからの燃料噴射を行わない。前記インジェクタの型式の一つとして、前記コモンレールから供給される燃料の一部が導入される圧力制御室、前記圧力制御室内の燃料の圧力作用に基づいて昇降して前記インジェクタの先端部に形成された燃料を噴射する噴孔を開閉する針弁、前記圧力制御室内の燃料を排出することにより前記圧力制御室内の燃料圧力を解放する開閉弁、及び前記開閉弁を作動するため前記コントローラが出力するコマンドパルスに応じた駆動信号により駆動されるアクチュエータを具備する型式のものがある。この型式のインジェクタでは、コントローラがアクチュエータを作動させると、開閉弁が開いて、コモンレールから供給された圧力制御室内の燃料を排出して圧力制御室内の燃料圧力を解放する。圧力制御室内の燃料の圧力が低下することにより、燃料圧力に基づいて針弁が上昇し、インジェクタの先端部に形成された噴孔が開いて燃料を燃焼室に噴射する。
【0021】
前記コントローラは、作動不良であると判定した前記インジェクタからの燃料噴射を禁止するため、次回以降の燃焼サイクルにおいて当該インジェクタに対応して出力する前記コマンドパルスのパルス幅を零とする。コマンドパルスのパルス幅を零とするときは、コマンドパルスに応じたインジェクタへの駆動信号が発せられないことと同義であるので、次回の燃焼サイクル以降の当該インジェクタから燃料噴射は行われない。エンジンは、所謂、減筒運転とされ、残りの気筒における燃料の噴射と燃焼のみが実行されて、少なくとも最少限のエンジンの運転が確保される。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明によるコモンレール式燃料噴射装置の実施例を説明する。図1はこの発明のよるコモンレール式燃料噴射装置において、インジェクタのコマンドパルス(駆動信号)とコモンレール圧力との時間変化を示すグラフであり、図2は燃料ポンプの1回転の範囲に渡って、ポンプ吐出量、インジェクタの駆動パルス、及びコモンレール圧力の検出タイミングを示すグラフである。
【0023】
コモンレール式燃料噴射システム及びこのシステムに用いられるインジェクタは、それぞれ図6及び図7に示したシステム及びインジェクタをそのまま適用することができる。即ち、インジェクタ1について言えば、コモンレール2から供給される燃料の一部が導入される圧力制御室としてのバランスチャンバ30、バランスチャンバ30内の燃料の圧力作用に基づいて昇降してインジェクタ1の先端部に形成された燃料を噴射する噴孔25を開閉する針弁24、バランスチャンバ30内の燃料を排出することによりバランスチャンバ30内の燃料圧力を解放する開閉弁32、及び開閉弁32を作動させる電磁アクチュエータ26を有しており、このインジェクタ1の構造については、図7に示すインジェクタ1と同様であって良く、その他の細部についての再度の詳細な説明を省略する。エンジンは、図6に示すように多気筒エンジンであるので、コントローラ12は、インジェクタ1からの燃料噴射の制御を各気筒別に行っている。
【0024】
図1に示すグラフを参照すると,あるインジェクタ1の燃料噴射に対応して、燃料ポンプ8のプランジャは時刻t0 に下死点(BDC)に到達する。噴射すべき燃料噴射量とコモンレール圧力Prとに基づいてコントローラ12が算出したパルス幅に対応して、時刻t0 から時間T0 後の時刻t1 に,インジェクタ1にコマンドパルス(駆動信号)が立ち下がり,インジェクタ1が燃料噴射のための作動を開始する。インジェクタ1から燃料が噴射され,コマンドパルスの立ち下がり時刻t1 からの時間Td(駆動信号の立ち上がり時刻t2 よりも時間遅れがある)の後の時刻t3 に燃料噴射が終了する。コモンレール圧力Prは,インジェクタ1からの燃料噴射が開始されてから若干の時間遅れを伴って降下し始め,噴射終了後には,燃焼順序に従って次に燃焼が行われる気筒での燃料噴射のために高圧燃料ポンプ8からの燃料の吐出に応じて回復するというサイクルを繰り返している。燃料噴射終了時期t3 は、コモンレール圧力Prの変化を監視し、燃料噴射に伴うコモンレール圧力Prの脈動が落ち着いた時期とすることによって知ることができるが、コマンドパルスの立ち下がり(ON)時期から、コモンレール圧力Prと目標噴射量から定められる所定期間の経過後としてもよい。燃料噴射の終了時期の決定方法は、これらの方法以外にも考えられ、特に限定されるものではない。
【0025】
燃料噴射を行っている間は、開閉弁32を開いてバランスチャンバ30の燃料圧を解放するために、インジェクタ1から燃焼室への燃料噴射とバランスチャンバ30内の燃料が燃料路31を通じてリークされるという動的リークがある。燃料噴射の直前と燃料噴射終了後との間で生じるコモンレールの燃料圧力の圧力降下量,即ち,コモンレール圧力差ΔPrは,燃料噴射の直前(例えば、コマンドパルスの立ち下がり時刻t1 )に圧力センサ13が検出する圧力降下前の圧力Prhと,圧力降下後の圧力Prlとの差ΔP1 (=Prh−Prl)である。コモンレール圧力Prにおける圧力降下量ΔP1 は、噴孔25から燃焼室に実際に噴射された実燃料噴射量とバランスチャンバ30からリークする動的リーク量との和に対応して低下した圧力降下量である。
【0026】
低圧部を有しない形式のインジェクタでは意図的な燃料のリークは本来存在しないので、インジェクタ1の開閉弁32の閉弁時期が経過した後は、燃料噴射と動的リークとがなくなる。インジェクタ1には動的リーク以外に静的リークによる燃料リークがあると、インジェクタ1が非作動状態にあっても、コモンレール圧力Prが低下する。開閉弁32が、例えば、燃料路31の出口端をばね力によって外側から塞ぐ構造を有している場合には、正常に機能しているインジェクタ1であっても、開閉弁32が閉弁時であるにもかかわらず、燃料路31の開口端を完全に閉鎖できずに、バランスチャンバ30から開閉弁32を通じた静的リークが発生することがある。このような場合には、コモンレール圧力Prには、燃料噴射終了時期t3 の経過後であっても、開閉弁32を通じた静的リークに対応して、圧力降下量ΔP2 が生じる。しかしながら、この種の静的リークによる圧力降下量ΔP2 は、燃料噴射による圧力降下量ΔP1 と比較して少なく、無視できる場合が多い。
【0027】
燃料噴射等に起因して低下したコモンレール圧力Prは、燃料ポンプ8からの高圧燃料の吐出によって、燃焼順序に従って次に噴射すべき気筒での燃料噴射において要求される所定のレベルにまで回復される。燃料ポンプ8のサイクルには、プランジャの下死点に対応した時刻t0 からのポンプの無駄押しのけ容積ストローク期間Taと、その後の全吐出時吐出期間Tpoとが含まれる。全吐出時吐出期間Tpoは、エンジンの最高負荷に対応しており、吐出可能なすべての範囲に渡って燃料を吐出する期間である。エンジンが部分負荷の状態にある場合には、全吐出時吐出期間Tpoに渡って燃料を吐出する必要がないので、燃料は、全吐出時吐出期間Tpoのうち当初の所定の期間においては、燃料ポンプ8の吐出側に配設された流量制御弁14によって戻し管10を通じて燃料タンク4にリークされ、全吐出時吐出期間Tpoの終了までの一部の期間である吐出期間Tpにおいて、燃料管9を通じてコモンレール2に供給される。吐出期間Tpは、次に燃焼が行われる気筒での燃料噴射で要求される要求吐出量とコモンレール圧力とによって算出される。吐出期間Tp中においては燃料が燃料管9を通じてコモンレール2に供給されるので、コモンレール圧力Prは、静的リークによる圧力降下量ΔP2 を含めて、図1に示すように次第に回復する。
【0028】
インジェクタ1の非作動状態において生じる静的リークとして、開閉弁32の片当たり等に起因して出口端を完全に閉鎖できない状態となってバランスチャンバ30に供給されていた燃料が燃料路31を通じて大きく流出することや、或いは針弁24が閉鎖状態へ戻る時にインジェクタ本体に引っ掛かる状態となるか、或いは針弁24を閉弁位置に復帰させるリターンスプリング35の作動不良になること等に起因した静的リークがある。このような静的リーク過多が生じると、針弁24の戻り作動が緩慢になり、コントローラ12が算出した燃料噴射終了時期t3 が経過しているにもかかわらず、燃料がインジェクタ1の噴孔25から噴射され続けることになり、インジェクタ1の作動は正常に機能していないとは言えない状態になる。
【0029】
かかる異常な静的リークが生じた場合には、コモンレール圧力Prは、図1において圧力降下量ΔP3 に示すように、燃料噴射終了時期t3 後にも比較的大きく次第に低下し続ける。したがって、燃料噴射開始前と比較して、コモンレール圧力Prの圧力降下量ΔPrはΔP1 +ΔP2 +ΔP3 となる。このような場合、燃料ポンプ8からの高圧燃料がコモンレール2に供給されても、コモンレール圧力Prは吐出期間Tpを経過後に所定の圧力まで充分回復しないことがある。
【0030】
燃料噴射開始後においては、コモンレール圧力Prは、次の燃料ポンプ8からの供給があるまで基本的には昇しないため、燃料噴射終了時期が経過してからの所定の期間において、コモンレール圧力Prを検出し、この期間中に圧力降下があっても適正な圧力降下の範囲内に有るか否かを判定することによって、インジェクタ1の作動は正常に機能していないと言える程度の静的リークが生じているか否かが判断される。静的リークの発生を判断するためのコモンレール圧力Prの検出期間は、コモンレール圧力Prの回復のために、燃料ポンプ8による燃料のコモンレール2への供給が開始されてコモンレール圧力Prが上昇を開始するまでの期間とするのが適当である。即ち、インジェクタ1の作動不良を判定するため、コモンレール圧力Prを検出すべき圧力判定期間は、燃料噴射の終了時刻t3 (t0 +T0 +Td)から吐出期間Tpの開始時期t4 (t0 +Ta+Tpf−Tp)までの期間、即ち、図2のAで示す期間内とされる。コモンレール圧力Prの検出は複数回のサンプリングによって行われる。
【0031】
この発明によるコモンレール式燃料噴射装置における燃料噴射制御について、図3及び図4に示すフローチャートに基づいて、以下に説明する。図3はこの発明によるコモンレール式燃料噴射装置における燃料噴射制御のメインルーチンを示すフローチャートであり、図4は燃料噴射における静的リーク発生判定ルーチンを示すフローチャートである。ここでは、エンジンの運転状態を検出する検出手段として、エンジン回転数Neを検出するエンジン回転数センサと、エンジンへの負荷を表すものとしてアクセルペダル踏込み量のようなアクセル操作量Acを検出するアクセル操作量センサがある。
【0032】
図3に示すように、エンジンの運転状態として、エンジン回転数Neがエンジン回転数センサによって検出され(ステップ1)、アクセル操作量Acがアクセル操作量センサによって検出される(ステップ2)。ステップ1及びステップ2で検出されたエンジン回転数Neとアクセル操作量Acとに基づいて、予め決められたマップデータ(図示せず)を参照することにより、目標噴射量Qt及び目標噴射時期ti が求められる(ステップ3、ステップ4)。目標噴射時期ti は、コマンドパルスの立ち下がり時期t1 の後で且つコモンレール圧力Prの降下開始時期より前の時期となる。コモンレール圧力Prが圧力センサ13のサンプリング検出信号から算出される(ステップ5)。ステップ3で求められた目標噴射量Qtを得るために必要な目標コモンレール圧力Pr0 が決定される(ステップ6)。高圧燃料ポンプ8の流量制御弁14の開閉を定める割合(例えば、電磁弁のデューティ比)を制御することにより、コモンレール圧力Prが目標コモンレール圧力Pr0 となるように制御される(ステップ7)。
【0033】
圧力センサ13によって検出されたコモンレール圧力Prそれ自体はノイズを含んでおりそのまま使用できないので、移動平均等の適宜の平滑化処理を施して平滑化されたコモンレール圧力を求める。以後、コモンレール圧力Prというときは、この平滑化されたコモンレール圧力を指す。図4に示すルーチンは、燃料噴射を行なう各気筒について逐次実行される。コモンレール圧力Prは、各気筒の燃料噴射の終了から燃料ポンプ8による燃料の吐出の開始までの圧力判定期間Aにおいて、例えば、一定のサンプリング周期ΔT(例えば、1ms)毎のサンプリング時期tn ,tn + 1 ,tn + 2 にコモンレール圧力Prが求められる(ステップ10)。
【0034】
サンプリングされたコモンレール圧力Prのうち、nをサンプリング番号としたとき、連続する3つのコモンレール圧力Pr(n),Pr(n+1),Pr(n+2)が取り込まれる(ステップ11)。隣り合う2つのサンプリング時期tn とtn + 1 とにおけるコモンレール圧力Prの差ΔPr(n),及び隣り合う2つのサンプリング時期tn + 1 とtn + 2 とにおけるコモンレール圧力Prの差ΔPr(n+1)を求める(ステップ12)。即ち、
ΔPr(n) =Pr(n)−Pr(n+1)
ΔPr(n+1)=Pr(n+1)−Pr(n+2)
ΔPr(n)とΔPr(n+1)とが、予め定められた閾値ΔPs(>0)と比較される(ステップ13)。圧力降下が正常か否かを判定する基準値としての閾値ΔPsは、圧力降下量ΔP2 程度の降下速度では、超えることがない値に設定されている。この閾値ΔPsは、一定値であってもよいが、コモンレール圧力Prそれ自体の高さによって当然に静的リーク量も変化するので、コモンレール圧力Pr等のエンジンの運転状態に応じて閾値ΔPsを変化させてもよい。なお、適当なサンプリング時期を設定すれば、サンプリングを3回のみ(n=1)とすることも可能である。
【0035】
ステップ13においてΔPr(n)とΔPr(n+1)とが予め定められた閾値ΔPsより大であると判断されると、インジェクタ1には過大な静的リークが発生しているという異常判定がされる(ステップ14)。即ち、燃料噴射終了時期t3 以降の連続するサンプリング時間におけるコモンレール圧力Prの差分が予め定められた閾値ΔPsより大であるときは、コモンレール圧力Prが二度連続して閾値ΔPs以上に減少しているため、インジェクタ1には過大な静的リークが発生していると判定される。このような異常判定がされると、次回の燃焼サイクルにおいて、コントローラ12は電磁アクチュエータ26を駆動するためのコマンドパルスのパルス幅を零に設定することにより、当該インジェクタ1からの燃料噴射が停止される(ステップ15)。この場合、エンジンは、当該インジェクタ1が設けられている気筒で燃焼が行われない、所謂、減筒運転となる。このようなエンジンの減筒運転状態はエンジンの損傷にも至り得る本来好ましくない運転状態であるので、異常モニタ信号を発信して運転者等に減筒運転状態に至ったことを知らせる(ステップ15)。
【0036】
ステップ13においてΔPr(n)及びΔPr(n+1)が予め定められた閾値ΔPsより大であるとは判断されない、即ち、ΔPr(n)とΔPr(n+1)との少なくとも一方が予め定められた閾値ΔPs以下であると判断されたときには、当該インジェクタ1には静的リークが発生していないという正常判定がされる(ステップ17)。したがって、この場合には、当該インジェクタ1が設けられている気筒は減筒されることはない。
【0037】
図5は、この発明によるコモンレール式燃料噴射装置におけるコモンレール圧力Pr、各インジェクタへのコマンドパルス、及び燃料ポンプの流量制御弁への指令信号の時間経過を示すグラフである。気筒番号#1に設けられているインジェクタのみが、燃料噴射終了時期の経過後もコモンレール圧力Prを降下させているように静的リークを発生させており、異常であるとして、グラフ上では実線で示されている。気筒番号#2〜気筒番号#4に設けられているインジェクタは正常であるとする。大きく降下したコモンレール圧力Prを回復させるため、燃料ポンプ8に付設されている流量制御弁14に対する指令値は、燃料ポンプ8の全吐出量をコモンレール2に供給するために、略100%となっている。以後、気筒番号#3,#4,#2の順に燃料の噴射と燃焼とが行われ、コモンレール圧力Prの降下量及び次に噴射すべき燃料の燃料圧力に応じて、コントローラ12は流量制御弁14への指令値を設定している。
【0038】
図4に示すフローチャートによるインジェクタの異常判定ルーチンの処理の結果、コモンレール圧力Prの所定値を超える降下量が連続して発生したことから、気筒番号#1に設けられているインジェクタ1が異常であると判定されると、次回以降の燃焼サイクルにおいては、気筒番号#1に設けられているインジェクタ1への燃料噴射指令であるコマンドパルスのパルス幅は、零に設定される。したがって、インジェクタ1燃料噴射が行われず、流量制御弁14への指令も行われない。なお、気筒番号#1に設けられているインジェクタ1が正常に機能していると判定された場合には、点線のグラフにで示すように、コマンドパルスのパルス幅は有限の幅に設定され、且つ100%以下の指令値で流量制御弁14への指令が発せられる。
【0039】
圧力判定期間におけるコモンレール圧力Prの降下状態としては、燃料噴射が終了した直後におけるコモンレール圧力Prlからの、圧力判定期間におけるコモンレール圧力Pr(サンプル値)の予め降下量とすることができる。コモンレール圧力Prlからの圧力降下量が、予め決められた閾値を超えた場合には、コモンレール圧力Prの降下状態が過大であり、静的リーク量が多く、インジェクタ1は作動不良と判定することができる。
【0040】
【発明の効果】
この発明によるコモンレール式燃料噴射装置によれば、高圧燃料ポンプから吐出された燃料は蓄圧状態にコモンレールに貯留され、コモンレールから供給された燃料がインジェクタから燃焼室に噴射され、コモンレールの燃料圧力が圧力センサによって検出され、コントローラは、エンジンの運転状態を検出する検出手段からの検出信号に応じて求められる目標噴射量及び目標噴射時期に基づいてインジェクタからの燃料噴射を制御しており、コントローラは、目標噴射時期に応じた燃料噴射終了時期の経過後で且つ高圧燃料ポンプによるコモンレールへの燃料の供給前の圧力判定期間におけるコモンレールの燃料圧力の降下速度を監視して、燃料圧力の降下速度が過大であることに応答して、インジェクタが作動不良であると判定しているので、開閉弁や針弁の戻り異常等のインジェクタの作動不良が速やかに検出でき、エンジンへの重大な損傷が未然に防止して、乗員の安全を確保することができる。また、インジェクタの作動不良の程度に応じて、該当するインジェクタが設けられている気筒のみを休筒にして減筒運転をし、最低限のエンジンの作動を可能にするバクアップ制御を行うことができる。更に、インジェクタの作動不良に起因したエンジンの回転変動、振動・騒音や排気ガス特性の悪化等を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のよるコモンレール式燃料噴射装置において、インジェクタのコマンドパルス(駆動信号)とコモンレール圧力との時間変化を示すグラフである。
【図2】燃料ポンプの1回転の範囲に渡って、ポンプ吐出量、インジェクタの駆動パルス、及びコモンレール圧力の検出タイミングを示すグラフである。
【図3】この発明によるコモンレール式燃料噴射装置における燃料噴射制御のメインルーチンを示すフローチャートである。
【図4】燃料噴射における静的リーク発生判定ルーチンを示すフローチャートである。
【図5】この発明によるコモンレール式燃料噴射装置におけるコモンレール圧力、各インジェクタへのコマンドパルス、及び燃料ポンプの流量制御弁への指令信号の時間経過を示すグラフである。
【図6】従来のコモンレール式燃料噴射システムを示す概略図である。
【図7】図6に示すコモンレール式燃料噴射システムに用いられるインジェクタの一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 インジェクタ
2 コモンレール
3 燃料供給管
8 高圧燃料ポンプ
12 コントローラ
13 圧力センサ
24 針弁
25 噴孔
26 電磁アクチュエータ
30 バランスチャンバ
32 開閉弁
Pr コモンレール圧力
A 圧力判定期間
n ,tn + 1 ,tn + 2 サンプリング時期
Pr(n),Pr(n+1),Pr(n+2)サンプリング時期におけるコモンレール圧力
ΔPs 閾値

Claims (5)

  1. 高圧燃料ポンプから吐出された燃料を蓄圧状態に貯留するコモンレール、前記コモンレールから供給される燃料を燃焼室に噴射するインジェクタ、エンジンの運転状態を検出する検出手段、前記コモンレールの燃料圧力を検出する圧力センサ、及び前記検出手段からの検出信号に応じて前記インジェクタから噴射すべき燃料の目標噴射量及び目標噴射時期を求め、前記目標噴射量及び前記目標噴射時期に基づいて前記インジェクタからの燃料噴射を制御するコントローラを具備し、前記コントローラは、前記目標噴射時期に応じた燃料噴射終了時期の経過後で且つ前記燃料ポンプによる前記コモンレールへの燃料の供給前の圧力判定期間における前記コモンレールの燃料圧力の降下速度が過大であることに応答して、前記インジェクタが作動不良であると判定するものであるコモンレール式燃料噴射装置において、
    前記コントローラは、前記圧力判定期間において前記圧力センサの検出信号に基づいて複数のサンプリング時期における前記コモンレールの燃料圧力を求め、隣り合うサンプリング時期における前記コモンレールの燃料圧力の差である圧力降下量を前記降下速度として求め、連続する二つの前記圧力降下量が予め決められた閾値を超えていることに応答して前記コモンレールの燃料圧力の降下速度が過大であると判定するものであることを特徴とするコモンレール式燃料噴射装置。
  2. 前記コントローラは、前記閾値を、前記サンプリング時期における前記コモンレールの燃料圧力の大きさ等のエンジンの運転状態に応じて予め決めているものであることを特徴とする請求項1に記載のコモンレール式燃料噴射装置。
  3. 前記コントローラは、作動不良であると判定した前記インジェクタからの燃料噴射を禁止するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のコモンレール式燃料噴射装置。
  4. 前記インジェクタは、前記コモンレールから供給される燃料の一部が導入される圧力制御室、前記圧力制御室内の燃料の圧力作用に基づいて昇降して前記インジェクタの先端部に形成された燃料を噴射する噴孔を開閉する針弁、前記圧力制御室内の燃料を排出することにより前記圧力制御室内の燃料圧力を解放する開閉弁、及び前記開閉弁を作動するため前記コントローラが出力するコマンドパルスに応じた駆動信号により駆動されるアクチュエータを具備するものであることを特徴とする請求項3に記載のコモンレール式燃料噴射装置。
  5. 前記コントローラは、作動不良であると判定した前記インジェクタからの燃料噴射を禁止するため、次回以降の燃焼サイクルにおいて当該インジェクタに対応して出力する前記コマンドパルスのパルス幅を零とするものであることを特徴とする請求項に記載のコモンレール式燃料噴射装置。
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