JP3752376B2 - 端子構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミック基体に埋設された内部電極に外部からの電圧や電力を供給するための端子電極部材を接続する端子構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
セラミック基体の内部に内部電極を埋設し、その内部電極に端子電極部材を接続して外部から給電する端子構造を採用するものとして、従来より、例えば内部電極として発熱抵抗体を用いたセラミックヒータや、あるいはLSI等の半導体集積回路素子の製造工程においてシリコンウエハ等にCVD法や真空蒸着法・フォトリソグラフィ法等の種々の加工を施こす際にウエハを保持固定するために用いられる、内部電極として静電吸着用電極を備える静電チャック等がある。
【0003】
この静電チャックは、図4に断面図で示すように、例えば窒化アルミニウム質焼結体から成る円板状のセラミック基体11の内部にタングステンやモリブデン等の高融点金属材料のメタライズ層から成る静電気発生用の略平板形状のメタライズパターン等から成る第1の内部電極12aを埋設して成り、この静電気発生用の内部電極12aに外部から電圧を印加することによりセラミック基体11の表面に静電気を発生させ、この静電気によりシリコンウエハ等(図示せず)をセラミック基体11表面に吸着保持するようになしたものである。
【0004】
さらに、この静電チャックには、セラミック基体11の内部に例えばタングステンやモリブデン等の高融点金属材料のメタライズ層から成る発熱抵抗体用のメタライズパターン等から成る第2の内部電極12bが例えば蛇行形状に埋設されており、この発熱抵抗体用の内部電極12bに外部から電力を供給してジュール発熱させることによって、セラミック基体11表面に吸着されたウエハ等をセラミック基体11を介して加熱し得るようになっている。
【0005】
なお、セラミック基体11の内部に埋設された静電気発生用の内部電極12aに外部から電圧を印加したり、あるいは発熱抵抗体用の内部電極12bに外部から電力を供給するには、その端子構造として、絶縁基体11に、静電気発生用の内部電極12aに到達して内部電極12aの一部をその底面に露出させる凹部11aおよび発熱抵抗体用の内部電極12bに到達して内部電極12bの一部をその底面に露出させる凹部11bを形成しておくとともに、これらの凹部11a・11bの内壁にタングステンやモリブデン・モリブデン−マンガン等の高融点金属メタライズ層や銀−銅−チタン等の活性金属メタライズ層から成るメタライズ金属層13a・13bを被着させておき、これらの凹部11a・11b内に鉄−ニッケル−コバルト合金等の金属から成る棒状の端子電極部材14a・14bを嵌入させるとともに、凹部11a・11bの内壁のメタライズ金属層13a・13bおよび静電気発生用の内部電極12a・発熱抵抗体用の内部電極12bにろう付けすることにより、凹部11a・11b内に端子電極部材14a・14bを取付け、これら端子電極部材14a・14bを介して内部電極12aに外部から電圧を印加したり、内部電極12bに外部から電力を供給するようになしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来の端子構造によれば、セラミック基体11を構成する窒化アルミニウム質焼結体の熱膨張係数および端子電極部材14a・14bを構成する鉄−ニッケル−コバルト合金の熱膨張係数がそれぞれ室温〜800 ℃において5.4 ×10-6/℃および10×10-6/℃と大きく相違することから、端子電極部材14a・14bをセラミック基体11に設けた凹部11a・11b内にろう付けする際に両者の熱膨張係数の相違に起因する熱応力がセラミック基体11と端子電極部材14a・14bとの間に発生し、この応力がセラミック基体11の凹部11a・11b近傍に大きく内在してしまい、これにウエハを加熱する際などの熱による熱応力が繰り返し印加されると、その熱応力とセラミック基体11に内在する熱応力とがあいまってセラミック基体11にクラックを発生させてしまうこととなり、その結果、端子電極部材14a・14bと内部電極12a・12bとの電気的接続が損なわれたり、端子電極部材14a・14bがセラミック基体11から外れてしまうことがあるという問題点を有していた。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑み案出されたものであり、その目的は、加熱による熱応力が繰り返し印加されてもセラミック基体にクラックを発生させることがなく、端子電極部材とセラミック基体内部に埋設された内部電極とを長期間にわたり確実に電気的に接続できる、信頼性が高い端子構造を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の端子構造は、内部電極が埋設されたセラミック基体に前記内部電極の一部を露出させる凹部を形成し、この凹部内に棒状の端子電極部材を前記凹部の内壁との間に隙間を有するようにして挿入するとともにこの端子電極部材の端面を前記凹部底面に、前記端子電極部材と前記内部電極とが電気的に接続されるようにして取着し、さらに前記端子電極部材に前記凹部の開口を塞ぐ平板状のフランジ部材をろう材を介して接合させるとともにこのフランジ部材の上面外周部を前記セラミック基体の開口部周囲に取着したことを特徴とするものである。
【0009】
本発明の端子構造によれば、端子電極部材は、セラミック基体に形成した凹部の内壁との間に隙間を有するようにして凹部内に挿入されるとともにその端面が凹部内に露出させた内部電極に電気的に接続されるように取着されており、さらに、セラミック基体に形成した凹部の開口を塞ぐように上面外周部がセラミック基体の開口部周囲に取着された平板状のフランジ部材にろう材を介して接合させているので、凹部内において端子電極部材がセラミック基体の凹部内壁からの束縛を受けずに変形可能であるとともに端子電極部材に接合された板状のフランジ部材も変形可能であり、端子電極部材をセラミック基体の凹部内に挿入してろう付けにより取着する際に両者間に熱応力が発生しても、この熱応力は端子電極部材およびフランジ部材が変形することによって良好に吸収緩和されることとなるので、凹部近傍のセラミック基体の内部に熱応力が大きく内在してしまうことはない。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の端子構造を添付の図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の端子構造を静電チャックに適用した場合の実施の形態の一例を示す断面図であり、図2は図1に示す端子構造の要部拡大断面図である。
【0011】
これらの図において、1はセラミック基体、2a・2bはセラミック基体1に埋設された内部電極、3a・3bは端子電極部材であり、主にこれらで静電チャックを構成している。
【0012】
セラミック基体1は、例えば窒化アルミニウム質焼結体等の良熱伝導性のセラミック材料から成る略円板状体であり、その上面にシリコンウエハ(図示せず)を支持するための支持体として機能する。
【0013】
セラミック基体1は、例えば窒化アルミニウム質焼結体から成る場合であれば、窒化アルミニウム・酸化イットリウム・酸化カルシウム等の原料粉末に適当な有機バインダや溶剤を添加混合して泥漿状となすとともにこれを従来周知のドクターブレード法を採用してシート状となすことにより複数枚のセラミックグリーンシートを得て、これらに適当な打ち抜き加工を施すとともに上下に積層してセラミックグリーンシート積層体となし、最後にこのセラミックグリーンシート積層体を還元雰囲気中約1600℃の温度で焼成することによって製作される。
【0014】
セラミック基体1は、その内部にシリコンウエハ等を吸着するための静電気発生用の内部電極2aおよびシリコンウエハ等を加熱するための発熱抵抗体用の内部電極2bが埋設されている。
【0015】
セラミック基体1に埋設された静電気発生用の内部電極2aは、セラミック基体1の上面近傍に配置された略平板状のメタライズパターンや金属板・金属メッシュ等から成り、これに外部から所定の電圧を印加することによりセラミック基体1の上面に静電気を発生させる作用をなし、これによりセラミック基体1の上面にシリコンウエハ等が静電気により吸着保持される。
【0016】
また、セラミック基体1に埋設された発熱抵抗体用の内部電極2bは、セラミック基体1の厚み方向の略中央部に例えば蛇行するパターンの抵抗体電極として配置され、これに外部から所定の電力を供給することによりジュール発熱してセラミック基体1を加熱する作用をなし、これによりセラミック基体1の上面に吸着保持されるシリコンウエハ等をセラミック基体1を介して加熱する。
【0017】
セラミック基体1に埋設された静電気発生用の内部電極2aおよび発熱抵抗体用の内部電極2bは、例えばメタライズパターンから成る場合であれば、タングステン粉末やモリブデン粉末等の高融点金属粉末に適当な有機バインダや溶剤を添加混合して得た金属ペーストをセラミック基体1となるセラミックグリーンシートに所定のパターンに印刷塗布しておくことによって、セラミック基体1の所定位置に所定形状に形成される。
【0018】
セラミック基体1は、またその下面側に、内部電極2a・2bに到達してそれらの一部を露出させる凹部1a・1bが形成されており、この凹部1a・1b内には鉄−ニッケル−コバルト合金等の金属から成る棒状の端子電極部材3a・3bが凹部1a・1bの内壁との間に隙間を有するようにして挿入され、この例であれば凹部1a・1bの底面に露出させた内部電極2a・2bに端子電極部材3a・3bの上端面を当接させて、端子電極部材3a・3bと内部電極2a・2bとがろう付け等により取着されている。
【0019】
セラミック基体1の凹部1a・1bに挿入されて内部電極2a・2bの露出部に電気的に接続されるようにして取着された端子電極部材3a・3bは、内部電極2a・2bに外部から電圧や電力を印加するための端子として機能し、セラミック基体1の凹部1a・1b内にこの凹部1a・1b内壁との間に隙間を有するようにして挿入されるとともに、その上端面がこの例であれば凹部1a・1b底面に露出させた内部電極2a・2bの露出部に銀−銅ろう等のろう材4a・4bを介してろう付けにより取着されている。
【0020】
このような静電チャックによれば、端子電極部材3aを介して内部電極2aに所定の電圧を印加することによってセラミック基体1の上面にシリコンウエハ等を吸着するための静電気が発生し、また端子電極部材3bを介して内部電極2bに電力を供給することによって、内部電極2bがジュール発熱してセラミック基体1が加熱される。
【0021】
端子電極部材3a・3bはさらに、その下端側にセラミック基体1の凹部1a・1bの開口を塞ぐ平板状のフランジ部材5a・5bが銀−銅ろう等のろう材6a・6bを介して接合されており、このフランジ部材5a・5bはセラミック基体1の凹部1a・1bの開口部周囲に銀−銅ろう等のろう材7a・7bによりろう付けする等の方法により取着されている。
【0022】
フランジ部材5a・5bは、例えば鉄−ニッケル−コバルト合金等の金属から成る平板であり、その中央部に端子電極部材3a・3bを挿通可能な貫通孔を有しており、この貫通孔内に端子電極部材3a・3bの下端部等が挿通ろう付けされて接合されているとともに、上面外周部がセラミック基体1下面の凹部1a・1bの開口部周囲に、その部分に被着された金属層8a・8bにろう付けすること等により取着されている。このフランジ部材5a・5bは、セラミック基体1の凹部1a・1b内に挿入された端子電極部材3a・3bを所定位置に支持固定する固定部材として機能する。
【0023】
そして、端子電極部材3a・3bの上端面と内部電極2a・2bの凹部1a・1bの露出部とを、および端子電極部材3a・3bとフランジ部材5a・5bとを、ならびにフランジ部材5a・5bとセラミック基体1とを、それぞれ銀−銅ろう等のろう材4a・4bおよび6a・6bならびに7a・7bを介して取着あるいは接合するには、例えば先ず、端子電極部材3a・3bの下端部をフランジ部材5a・5bの貫通孔に挿通させてこれらを銀−銅ろう材等のろう材6a・6bを介して接合し、次に端子電極部材3a・3bをセラミック基体1の凹部1a・1b内に、この凹部1a・1bの内壁との間に隙間を有するようにして挿入するとともに端子電極部材3a・3bの上端面と内部電極2a・2bの露出部とを、およびフランジ部材5a・5bとセラミック基体1とを、それぞれ銀−銅ろう等のろう材4a・4bおよび6a・6bならびに7a・7bを介して取着あるいは接合する方法が採用される。
【0024】
このとき、端子電極部材3a・3bは、セラミック基体1の凹部1a・1bの内壁との間に隙間を有するようにして挿入されていることから、凹部1a・1b内壁から束縛されることはないので、ろう付け時に発生する熱応力は端子電極部材3a・3bが変形することによって良好に吸収され、さらに、平板状のフランジ部材5a・5bも、その外周部のみがセラミック基体1に接合されているので、その中央部が変形することによってろう付け時に発生する熱応力を良好に吸収緩和する。従って、セラミック基体1の凹部1a・1b近傍にろう付け時に発生する応力が大きく内在することはなく、このため、これにシリコンウエハ等を加熱する際などの熱による熱応力が繰り返し印加されても、この応力がセラミック基体1に内在する応力とあいまってセラミック基体1にクラックを発生させることはなく、端子電極部材3a・3bと内部電極2a・2bとの電気的接続を長期間にわたり確実なものとすることが可能となる。
【0025】
なお、セラミック基体1の凹部1a・1bの開口部周囲には、例えばタングステンやモリブデン等の高融点金属メタライズ層や銀−銅−チタン等の活性金属メタライズ層等から成るメタライズ金属層8a・8bが被着されており、このメタライズ金属層8a・8bとフランジ部材5a・5bとをろう材7a・7bによりろう付けすること等により、フランジ部材5a・5bがセラミック基体1に取着されている。
【0026】
かくして本発明の端子構造によれば、セラミック基体1の凹部1a・1b内に金属製の端子電極部材3a・3bをセラミック基体1に大きな熱応力を内在させることなく取り付けることができ、セラミック基体1内部に埋設された内部電極2a・2bと端子電極部材3a・3bとを長期間にわたり確実に電気的に接続することができる、信頼性の高い端子構造となる。
【0027】
なお、本発明の端子構造は上述の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更を加えることは何ら差し支えない。
【0028】
例えば、上述の実施の形態の例ではセラミック基体1の凹部1a・1bは内部電極2a・2bに到達してその底面に内部電極2a・2bの一部を露出させていたが、凹部1a・1bは、図3に図2と同様の拡大断面図で示すように、内部電極2a・2bを貫通してその内壁に内部電極2a・2bを露出させていてもよい。このような場合には、例えば凹部1a・1bの底面から内部電極2a・2bが露出した内壁にかけて銀−銅−チタン等から成る活性金属メタライズ層9a・9bを被着させておき、これに端子電極部材3a・3bの端面を直接、あるいは銀−銅ろう等のろう材を介して接合するような構成等により、端子電極部材3a・3bの端面と内部電極2a・2bとが電気的に接続されるようにして取着させればよい。
【0029】
【発明の効果】
本発明の端子構造によれば、端子電極部材は、セラミック基体に埋設された内部電極を露出させるよう形成された凹部の内壁との間に隙間を有するようにして凹部内に挿入されるとともにその端面が内部電極と電気的に接続されるようにして取着されており、さらにセラミック基体の凹部の開口部周囲に開口を塞ぐように上面外周部が取着された平板状のフランジ部材にろう材を介して接合されていることから、凹部内において端子電極部材がセラミック基体の凹部内壁からの束縛を受けずに変形可能であるとともに端子電極部材に接合された板状のフランジ部材も変形可能であるので、端子電極部材をセラミック基体の凹部内に挿入してろう付けにより取着する際に両者間に熱応力が発生しても、この熱応力は端子電極部材およびフランジ部材が変形することによって良好に吸収緩和され、凹部近傍のセラミック基体の内部に熱応力が大きく内在してしまうことはなく、従って、これに加熱による熱応力が繰り返し印加されてもこの応力がセラミック基体に内在する熱応力とあいまってセラミック基体にクラックを発生させたりすることがなく、端子電極部材とセラミック基体の内部に埋設された内部電極とを長期間にわたり確実に電気的に接続できる。
【0030】
以上のように、本発明により、加熱による熱応力が繰り返し印加されてもセラミック基体にクラックを発生させることはなく、端子電極部材とセラミック基体内部に埋設された内部電極とを長期間にわたり確実に電気的に接続できる、信頼性の高い端子構造を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の端子構造を静電チャックに適用した場合の実施の形態の一例を示す断面図である。
【図2】図1に示す端子構造の要部拡大断面図である。
【図3】本発明の端子構造の実施の形態の他の例を示す要部拡大断面図である。
【図4】静電チャックの例を示す断面図である。
【符号の説明】
1・・・・・・・・セラミック基体
1a、1b・・・・凹部
2a、2b・・・・内部電極
3a、3b・・・・端子電極部材
5a、5b・・・・フランジ部材
Claims (1)
- 内部電極が埋設されたセラミック基体に前記内部電極の一部を露出させる凹部を形成し、該凹部内に棒状の端子電極部材を前記凹部の内壁との間に隙間を有するようにして挿入するとともに該端子電極部材の端面を前記凹部底面に、前記端子電極部材と前記内部電極とが電気的に接続されるようにして取着し、さらに前記端子電極部材に前記凹部の開口を塞ぐ平板状のフランジ部材をろう材を介して接合させるとともに該フランジ部材の上面外周部を前記セラミック基体の開口部周囲に取着したことを特徴とする端子構造。
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1998
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