JP3750411B2 - 液晶装置、液晶装置の製造方法及び投射型表示装置 - Google Patents

液晶装置、液晶装置の製造方法及び投射型表示装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶装置、液晶装置の製造方法及び投射型表示装置の技術分野に属し、特に、基板上に形成された配向膜が外側に露出しないように構成した液晶装置、液晶装置の製造方法及び投射型表示装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、液晶装置では、例えば薄膜トランジスタ(以下、TFTと称す。)をスイッチン素子として有する液晶装置の場合、TFTアレイ基板上にシール材がその縁に沿って設けられており、その内側には表示領域が設けられている。そして、TFTアレイ基板上にシール材を介して対向基板が対向配置され、TFTアレイ基板と対向基板との間隙に液晶が挟持されている。また、TFTアレイ基板上のシール材より外側の領域には、駆動回路や駆動回路接続端子等が設けられている。更に、TFTアレイ基板の表面及び対向基板の表面には、それぞれ液晶分子を保持するための、ラビング処理等の所定の配向処理が施されたポリイミド薄膜などの有機薄膜からなる配向膜が設けられている。
【0003】
ここで、TFTアレイ基板には、表示領域にTFTや画素電極、各種配線が形成され、その外側の領域に駆動回路や駆動回路接続端子等が形成され、これらを覆うように絶縁膜が形成されたTFTアレイ基板の全面にポリイミド薄膜を形成した後、ポリイミド薄膜の表面を配向処理することにより配向膜を形成する。その後、TFTアレイ基板と同じく配向膜が形成された対向基板とをシール材を介して対向配置し、液晶封入孔(予めシール材を形成していない部分)よりTFTアレイ基板と対向基板との間隙に液晶を封入し、液晶封入口をシール材により塞いでいる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような構成の液晶装置では、TFTアレイ基板の表示領域ばかりでなくその外側の領域にも配向膜が形成されているため、この外側の領域の配向膜である例えば、ポリイミド薄膜が外気の水分を吸収し、この水分がポリイミド薄膜を浸透して表示領域まで達して性能を劣化させる、という問題点があった。即ち、従来の液晶装置は、耐湿性が悪い、という問題点があった。
【0005】
そこで、例えばTFTアレイ基板の表示領域より外側の領域の配向膜上に湿度を吸収しない部材を形成し、配向膜の表面をこのような部材で覆ってしまうことが考えられる。しかしながら、かかる構成の場合、TFTアレイ基板の表示領域より外側の領域は駆動回路や駆動回路接続端子等が形成され相当面積が広いものであるため、このような部材の形成に手間を要することになり、加えてこのような液晶装置を収容するための従来のフレームケースに該装置が収まらなくなり、従って装置の大型化を招くことにもなる。
【0006】
本発明は上述した問題点に鑑みなされたものであり、手間を要することなくかつ装置の大型化を招くこともなく、耐湿性を良好にすることができる液晶装置、液晶装置の製造方法及び投射型表示装置を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の液晶装置は、一方面上に配向膜を有する第1基板と、前記第1基板の一方面と対向するように配置された第2基板と、前記配向膜に重なる位置に配置され、前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせるシール材と、前記第1基板と前記第2基板との間隙に挟持された液晶と、前記シール材と重なる配向膜において、前記シール材により覆われていない配向膜の端面を覆うように形成された非吸湿性部材とを具備し、前記非吸湿性部材は、前記配向膜の端面と接していることを特徴とする。
【0008】
本発明のこのような構成によれば、表示領域及びこの表示領域の周辺領域の配向膜が除去され、更にシール領域より外方へ露出する配向膜を覆うようにシール領域の外周に沿って非吸湿性部材が形成されているので、配向膜が外側に露出していない。従って、外側の湿気が配向膜を介して表示領域内に浸透するようなことはなくなり、耐湿性が良好になる、という効果を有する。また、非吸湿性部材については、シール領域の外周に沿って形成すればよいだけなので、手間を要することもない。更に、TFTアレイ基板の表示領域より外側の領域にある駆動回路や駆動回路接続端子等が形成された領域まで非吸湿部材を形成する必要もないので、装置の大型化を招くようなこともない。
【0009】
また、本発明の液晶装置は、前記非吸湿性部材がエポキシ系またはアクリル系の部材からなることが好ましい。
【0010】
このような構成によれば、非吸湿性部材としてウレタン系の部材を用いた場合、ウレタン系の部材がシリコン系の接着剤の硬化阻害を起こすのに対して、非吸湿性部材としてエポキシ系またはアクリル系の部材を用いればそのようなことはなくなる。
【0011】
本発明の液晶装置は、少なくとも前記第2基板の前記第1基板と対向する面の反対面にシリコン系の接着剤を介して透明基板が貼付されていることを特徴とする。このような場合、非吸湿性部材がシリコン系の接着剤の硬化阻害を起こすことを抑えることができる。例えば、非吸湿性部材としえウレタン系の部材を用いた場合、ウレタン系の部材がシリコン系の接着剤の硬化阻害を起こすのに対して、非吸湿性部材としてエポキシ系またはアクリル系の部材を用いればそのような問題を抑えることができる。
【0012】
本発明の液晶装置は、前記第1基板には画素がマトリクス状に配置されてなり、前記第2基板には前記画素毎に対応するようにマイクロレンズが配置されてなることを特徴とする。
【0013】
このような構成によれば、入射光は、マイクロレンズを介して集光された光が液晶層に入るため、配線や遮光膜等画素周辺への光の侵入を抑え、画素に光を集光できるため、光の利用効率と高めることができる。
【0014】
本発明の液晶装置は、前記マイクロレンズが配置された第2基板は接着剤により透明基板に貼り合わされてなり、前記非吸湿性部材は前記接着剤の露出する面を覆うように配置されてなることを特徴とする。
【0015】
このような構成によれば、マイクロレンズを有する基板と透明基板との間の接着剤の流出を防ぐとともに、接着剤の信頼性を向上させることができる。
【0016】
本発明の液晶装置の製造方法は、表示領域を囲むシール領域を有する第1基板の一方面上に配向膜を形成する工程と、前記第1基板の一方面上の前記シール領域であり且つ前記配向膜と重なる位置に配置されたシール材を介在して、前記第1基板の一方面と第2基板とを貼り合わせる工程と、前記シール材と重なる配向膜において、前記シール材により覆われていない配向膜の端面を覆うように非吸湿性部材を形成する工程とを具備し、前記非吸湿性部材は、前記配向膜の端面と接していることを特徴とする。
【0017】
本発明のこのような構成によれば、表示領域及びこの表示領域を囲むシール領域よりも外方に露出する配向膜を除去し、更にシール領域より外方へ露出する配向膜を少なくとも覆うようにシール領域の外周に沿って非吸湿性部材を形成することができるので、手間を要することもなく、更に装置の大型化を招来することもなく耐湿性の良好な液晶装置を製造できる、という効果を有する。このように第1基板と第2基板とを貼り合わせた後に、シール材よりも外方向に露出する配向膜207を除去するため、配向膜を除去するために使用する例えば、処理ガス等が第1基板と第2基板の間に侵入するのを防ぐことができる。
【0018】
また、本発明の液晶装置の製造方法は、 前記第2基板の前記第1基板と対向する面の反対面にシリコン系の接着剤を介して透明基板を貼付する工程を更に有し、前記非吸湿性部材がエポキシ系またはアクリル系の部材からなることが好ましい。このよう構成によれば、シリコン系の接着剤が効果阻害を起こすといった不良をなくすことができる。
【0019】
本発明の液晶装置の製造方法は、前記非吸湿性部材を形成する工程にあって、前記非吸湿性部材が硬化型の部材からなり、前記シール領域の外周に非吸湿性部材を形成した後、一部の前記非吸湿性部材を硬化し、その後残りの部分の非吸湿性部材を硬化することを特徴とする。このような構成によれば、非吸湿性部材の硬化時における収縮作用の集中を抑えることができる。すなわち、非吸湿性部材を一度に硬化させようとすると、その内側にある第1及び第2基板(表示領域の部分)を収縮させる力が大きくなり、この結果、第1基板と第2基板との 間隙が狭くなったり広くなったりする恐れがある。かかる問題に対して、本発明の構成によれば、シール領域の外周に非吸湿性部材を配置した後、このうち一部の非吸湿性部材を硬化し、その後残りの部分の非吸湿性部材を硬化するように分割して硬化しているので、第1及び第2基板(表示領域の部分)の収縮作用が表示領域中央に集中することがなくなり、第1基板と第2基板との間隙が狭くなったり広くなったりするのを防ぐことができる。
【0020】
本発明の投射型表示装置は、上記液晶装置と、当該液晶装置により変調された光を投射する投射手段とを具備することを特徴とする。
【0021】
かかる構成によれば、上述のように各液晶装置の耐湿性が良好となり、表示品質の劣化を防ぐことができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
(液晶装置の一実施形態の構成及び作用)
本発明による液晶装置の一実施形態の構成及び作用について、図1から図3を参照して説明する。図1は本実施形態に係る液晶装置の平面図であり、図2は図1に示した液晶装置におけるH−H’断面図であり、図3は図2に示したI矢示部を拡大した断面図である。
【0024】
図1において、第1基板である光透過性のTFTアレイ基板10上には、表示領域201及びこの表示領域201を囲むようにシール領域202が設けられている。このTFTアレイ基板10上のシール領域202に沿ってシール材52が設けられている。
【0025】
表示領域201の周辺は、表示領域を囲むようにシール材52が形成されたシール領域202と、があり、シール材52の途切れ部分からなる液晶注入口203が設けられている。この液晶注入口203は例えばシール材52の同一または異なる材料からなる封止部材204により塞がれている。
【0026】
表示領域201には、データ線及び走査線(図示を省略)が縦横に交差するように配置されていると共に、これらの配線により囲まれる各領域にマトリクス状に複数形成された例えばITO(インジウム・ティン・オキサイド)膜などの透明導電性薄膜からなる画素電極(図示を省略)と画素電極を制御するためのTFT30(図2に参照)とが配置され、画像信号が供給されるデータ線が当該TFT30のソースに電気的に接続され、走査信号が供給される走査線のゲート電極が当該TFTのゲートと交差している。そして、TFT30やこれらの電極等の上には絶縁膜(図示せず)を介して配向膜(後述する。)が形成されている。
【0027】
シール領域202の外側の領域には、データ線駆動回路101及び駆動回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられており、走査線駆動回路104が、例えばこの一辺に隣接する2辺に沿って設けられている。また、TFTアレイ基板10の残る一辺には、表示領域204の両側に設けられた走査線駆動回路104間をつなぐための複数の配線105が設けられており、また、対向基板20のコーナ部の少なくとも1箇所においては、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的導通をとるための導通材106が設けられている。
【0028】
図2に示すように、TFTアレイ基板10上には、図1に示したシール材52とほぼ同じ輪郭を持つ透明基板である、光透過性の対向基板20が対向配置され、これらTFTアレイ基板10と対向基板20との間のシール材52により囲まれた空間に液晶が封入され、液晶層50が形成される。液晶層50は、画素電極からの電界が印加されていない状態で配向膜により所定の配向状態を採る。液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなる。シール材52は、TFTアレイ基板10及び対向基板20をそれらの周辺で貼り合わせるための、例えば光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂からなる接着剤であり、両基板間の距離を所定値とするためのグラスファイバー或いはガラスビーズ等のスペーサが混入されている。
【0029】
ここで、上記のTFTアレイ基板10は、例えば石英基板からなり、対向基板20は、例えばガラス基板や石英基板からなる。また、対向基板20には、その全面に渡って図示を省略した対向電極(共通電極)が設けられており、その下側には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜(図示を省略)が設けられている。対向電極は例えば、ITO膜などの透明導電性薄膜からなる。また配向膜は、ポリイミド薄膜などの有機薄膜からなる。対向基板20は、画素に対応したマイクロレンズアレイ、カラーフィルターを形成してもよい。
【0030】
また、対向基板20の表面(TFTアレイ基板10と対向する面と反対面)にはシリコン系の接着剤を介して該対向基板20とほぼ同形状の透明基板205が貼付され、TFTアレイ基板10の表面(対向基板20と対向する面と反対面)にはシリコン系或いは他の部材からなる接着剤を介して該TFTアレイ基板とほぼ同形状の透明基板206が貼付されていてもよい。これら透明基板205及び206は、対向基板20の表面やTFTアレイ基板10の表面を傷等から保護すると共に、例えば当該液晶装置が液晶プロジェクタ等に用いられたときに表面に付着したごみ等を光路上の焦点からできる限りずらし、これらがはっきりと表示映像上に表示されるのを防止し、デフォーカスすることができる。
【0031】
図3に示すように、表示領域201及びシール材52が形成されたシール領域202には、ポリイミド薄膜などの有機薄膜からなり配向処理が施された配向膜207が設けられ、これら領域以外の領域、具体的はシール領域202より外側の領域209では、配向膜207が除去されている。
【0032】
更に、図1乃至図3に示すように、シール領域202より外方へ露出する配向膜207の端面210を覆うようにシール領域202の外周に沿ってエポキシ系またはアクリル系の部材からなる非吸湿性部材208(図中右上がりの斜線で示している。)が形成されている。
【0033】
このように本実施形態の液晶装置によれば、表示領域201及びシール領域202の外方の領域209の配向膜207が除去され、更にシール領域202より外方へ露出する配向膜207の端面210を覆うようにシール領域202の外周に沿って非吸湿性部材208が形成されているので、配向膜207が外側に露出していない。従って、図4に示すように、外側の湿気211が配向膜207’を介して表示領域内に浸透するようなことはなくなる。よって、本実施形態の液晶装置は、耐湿性が非常に良好である。また、上述の実施形態では、対向基板側の配向膜の図示を省略して説明したが、対向基板側に配向膜が形成されている場合も同様にシール領域202より外方へ露出する配向膜の端面を覆うようにシール領域202の外周に沿って非吸湿性部材208を形成することにより、外側の湿気211が配向膜を介して表示領域内に浸透することを防ぐことができる。
【0034】
耐湿性の向上という観点から、図4に示すように、シール領域202より外側の駆動回路や駆動回路接続端子等が形成された領域の配向膜207’を覆うように、それらの領域の配向膜207’上に非吸湿性部材208’(図4の点線で示す)を形成しても良い。しかし、この場合は、非吸湿性部材208’を設ける領域が増え、しかも厚さが増すため、フレーム等が組み込めなくなり、装置の大型化を招くことになる。また、これらの領域の全てに非吸湿性部材208’を形成するのも非常に手間を要することになる。即ち、本実施形態の液晶装置では、非吸湿性部材の形成にそれほど手間を要することもなく、更に装置の大型化を招くようなこともない。
【0035】
なお、上記実施の形態における液晶装置のTFTアレイ基板10上には更に、製造途中や出荷時の当該液晶装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路等を形成してもよい。また、データ線駆動回路101及び走査線駆動回路104をTFTアレイ基板10の上に設ける代わりに、例えばTAB(テープオートメイテッドボンディング基板)上に実装された駆動用LSIに、TFTアレイ基板10の周辺部に設けられた異方性導電フィルムを介して電気的及び機械的に接続するようにしてもよい。また、対向基板20の投射光が入射する側及びTFTアレイ基板10の出射光が出射する側には各々、例えば、TN(ツイステッドネマティック)モード、STN(スーパーTN)モード、D−STN(ダブル−STN)モード等の動作モードや、ノーマリーホワイトモード/ノーマリーブラックモードの別に応じて、偏光フィルム、位相差フィルム、偏光手段などが所定の方向で配置される。
【0036】
また、上記実施の形態における液晶装置は、例えばカラー液晶プロジェクタ(投射型表示装置)に適用されるため、3枚の液晶装置がRGB用のライトバルブとして各々用いられ、各パネルには各々RGB色分解用のダイクロイックミラーを介して分解された各色の光が投射光として各々入射されることになる。従って、この実施の形態では、対向基板20に、カラーフィルタは設けられていない。しかしながら、所定領域にRGBのカラーフィルタをその保護膜と共に、対向基板20上に形成してもよい。このようにすれば、液晶プロジェクタ以外の直視型や反射型のカラー液晶テレビなどのカラー液晶装置に各実施の形態における液晶装置を適用できる。
【0037】
また、対向基板20上に、何層もの屈折率の相違する干渉層を堆積することで、光の干渉を利用して、RGB色を作り出すダイクロイックフィルタを形成してもよい。このダイクロイックフィルタ付き対向基板によれば、より明るいカラー液晶装置が実現できる。
【0038】
(液晶装置の製造プロセス)
次に、以上のような構成を持つ液晶装置の製造プロセスの一例について、図5及び図6を参照して説明する。
【0039】
図5の工程(1)に示すように、石英基板、ハードガラス等のTFTアレイ基板10を用意する。ここでは、このTFTアレイ基板10上に、各種の配線や素子等が既に形成されているものとして、後述する対向基板20についても対向電極や配向膜が既に形成されているものとして説明する。
【0040】
工程(2)に示すように、TFTアレイ基板10上の全面にポリイミド系の配向膜の塗布液を塗布した後、所定のプレティルト角を持つように且つ所定方向でラビング処理を施すこと等により、配向膜207を形成する。
【0041】
次に、工程(3)に示すように、TFTアレイ基板10上のシール領域202にシール材52を介在させ、相互の配向膜が対面するようにTFTアレイ基板10と対向基板20とを対向配置し、TFTアレイ基板10と対向基板20とをシール材52により貼り合わせる。
【0042】
次に、工程(4)に示すように、真空吸引等により、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隙に、液晶注入口203(図1参照)を介して例えば複数種類のネマティック液晶を混合してなる液晶を吸引する。そして、液晶注入口203を封止部材204により塞いで(図1参照)、TFTアレイ基板10と対向基板20との間に所定層厚の液晶層50を形成する。その後、液晶注入の際に付着した表面上の液晶を洗浄により除去する。
【0043】
次に、図6の工程(5)に示すように、TFTアレイ基板10上のシール領域202より外側の領域209にある配向膜207を、例えばO2プラズマ処理により除去する。このように工程(4)の後に配向膜207を除去するように構成することで、液晶注入口20を介してTFTアレイ基板10と対向基板20との間隙に例えば処理ガスが進入し、その内の配向膜に悪影響を与えることを防止できる。
【0044】
次に、工程(6)に示すように、シール領域202より外方へ露出する配向膜207の端面210を覆うようにTFTアレイ基板10上のシール領域202の外周に沿ってエポキシ系またはアクリル系の部材からなる非吸湿性部材208を形成する。
【0045】
次に、工程(7)に示すように、対向基板20の表面にシリコン系の接着剤を介して透明基板205を貼付すると共に、TFTアレイ基板10の表面にシリコン系或いは他の部材からなる接着剤を介して透明基板206を貼付する。ここで、上述したように非吸湿性部材208がエポキシ系またはアクリル系の部材からなるので、シリコン系の接着剤が硬化阻害を起こすようなことはなく、透明基板を確実に基板上に貼付することが可能となる。
【0046】
以上のように、本実施形態の製造方法によれば、手間を要することもなく、更に装置の大型化を招来することもなく耐湿性の良好な液晶装置を製造できる。
【0047】
次に、図6の工程(6)に示した非吸湿性部材208を形成するために好適な実施形態を説明する。図7はその工程図である。
【0048】
まず、図7の工程(A)に示すように、TFTアレイ基板10上のシール領域202の外周に沿って硬化前の非吸湿性部材208aを形成する。非吸湿性部材としては、例えばUV硬化型(紫外線硬化型)の部材を用いる。
【0049】
次に、工程(B)に示すように、TFTアレイ基板10及び対向基板20の上方に第1のマスク301を配置する。この第1のマスク301には、TFTアレイ基板10上のシール領域202の外周に沿って形成された硬化前の非吸湿性部材208aのうち、TFTアレイ基板10の対向する2辺に沿って形成された硬化前の非吸湿性部材208aを硬化するために、該位置に透孔301aが形成されている。そして、第1のマスク301の上方より紫外線(UV)を照射し、この透孔301aを介してTFTアレイ基板10の対向する2辺に沿って形成された硬化前の非吸湿性部材208aを硬化する。
【0050】
次に、工程(C)に示すように、TFTアレイ基板10及び対向基板20の上方に第2のマスク302を配置する。この第2のマスク302には、TFTアレイ基板10上のシール領域202の外周に沿って形成された硬化前の非吸湿性部材208aのうち、TFTアレイ基板10の対向する他の2辺に沿って形成された硬化前の非吸湿性部材208aを硬化するために、該位置に透孔302aが形成されている。そして、第2のマスク302の上方よりUVを照射し、この透孔302aを介してTFTアレイ基板10の対向する他の2辺に沿って形成された硬化前の非吸湿性部材208aを硬化する。
【0051】
以上の工程を経て、TFTアレイ基板10上のシール領域202の外周に沿って硬化された非吸湿性部材208が形成される。
【0052】
ここで、上述した非吸湿性部材208の硬化時に非吸湿性部材208が収縮し、その内側にあるTFTアレイ基板10及び対向基板20を収縮させようとする。その場合、例えばTFTアレイ基板10上のシール領域202の外周に沿って形成された非吸湿性部材208aを一度にまとめて硬化した場合には、TFTアレイ基板10及び対向基板20のほぼ中心に向けて収縮させようとするので、結果的にTFTアレイ基板10と対向基板20との間隙が狭くなったり広くなったりする。これに対して、図7に示したように、TFTアレイ基板10上のシール領域202の外周に沿って形成された非吸湿性部材208aを一度にまとめて硬化するのではなく、TFTアレイ基板10の対向する2辺に沿って形成された非吸湿性部材208aを硬化し、その後に残りの2辺に沿って形成された非吸湿性部材208aを硬化するように構成すれば、上記のようなTFTアレイ基板10及び対向基板20の収縮作用が表示領域中央に集中することがなくなり、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隙が狭くなったり広くなったりするようなことはなくなる。
【0053】
なお、図7に示した実施形態では、TFTアレイ基板10の対向する2辺に沿って形成された非吸湿性部材208aを硬化し、その後に残りの2辺に沿って形成された非吸湿性部材208aを硬化するようにして非吸湿性部材208を形成したが、例えば図8に示すように非吸湿性部材208を形成しても構わない。
【0054】
即ち、まず図8の工程(A)に示すように、TFTアレイ基板10上のシール領域202の外周に沿って硬化前の非吸湿性部材208aを形成する。非吸湿性部材としては、例えばUV硬化型(紫外線硬化型)の部材を用いる。
【0055】
次に、工程(B)に示すように、TFTアレイ基板10及び対向基板20の上方に第1のマスク303を配置する。この第1のマスク303には、TFTアレイ基板10上のシール領域202の外周に沿って形成された硬化前の非吸湿性部材208aのうち、4つのコーナ部及びその近傍に形成された硬化前の非吸湿性部材208aを硬化するために、該位置に透孔303aが形成されている。そして、第1のマスク303の上方よりUVを照射し、この透孔303aを介して4つのコーナ部及びその近傍に形成された硬化前の非吸湿性部材208aを硬化する。
【0056】
次に、工程(C)に示すように、TFTアレイ基板10及び対向基板20の上方に第2のマスク304を配置する。この第2のマスク304には、TFTアレイ基板10上のシール領域202の外周に沿って形成された硬化前の非吸湿性部材208aのうち、上述した4つのコーナ部及びその近傍以外の位置に形成された硬化前の非吸湿性部材208aを硬化するために、該位置に透孔304aが形成されている。そして、第2のマスク304の上方よりUVを照射し、この透孔304aを介して4つのコーナ部及びその近傍以外の位置に形成された硬化前の非吸湿性部材208aを硬化する。
【0057】
更に、本発明の他の実施形態として、対向基板20上に1画素1個対応するようにマイクロレンズを形成してもよい。このような構成について、図10を用いて説明する。他の実施形態では、上述の一の実施形態と同様な構成を有し、その説明は省略し、異なる点のみ説明する。
【0058】
図10は、TFTアレイ基板と対向基板とがシール材52により貼り合わされてなる液晶装置のシール領域周辺の断面図である。図10に示されるように、TFTアレイ基板10上にはTFT30とTFT30に接続された画素電極9と、その上に配向膜207が配置されている。一方、対向基板側は、画素毎にマイクロレンズ33が形成されたマイクロレンズ基板31が配置されている。マイクロレンズ基板31上は接着剤である透明樹脂剤48によりカバーガラス32等の透明基板と貼り合わされており、カバーガラス32上には、画素毎に設けられた遮光膜6、対向電極33、配向膜207が順次積層して配置されている。このように、マイクロレンズ基板31を用いることにより、入射光の集光効率を向上することで、明るい液晶装置が実現できる。そして、この場合、非吸湿性部材208を配向膜207だけでなく、マイクロレンズ基板31とカバーガラス32との間に配置された接着樹脂層48を覆うようにすることにより、接着樹脂の流出を留めることができるとともに、接着樹脂層48の信頼性を向上させることができる。
【0059】
(電子機器)
上記の液晶装置を用いた電子機器の一例として、投射型表示装置の構成について、図9を参照して説明する。図9において、投射型表示装置1100は、上述した液晶装置を3個用意し、夫々RGB用の液晶装置962R、962G及び962Bとして用いた投射型液晶装置の光学系の概略構成図を示す。本例の投射型表示装置の光学系には、前述した光源装置920と、均一照明光学系923が採用されている。そして、投射型表示装置は、この均一照明光学系923から出射される光束Wを赤(R)、緑(G)、青(B)に分離する色分離手段としての色分離光学系924と、各色光束R、G、Bを変調する変調手段としての3つのライトバルブ925R、925G、925Bと、変調された後の色光束を再合成する色合成手段としての色合成プリズム910と、合成された光束を投射面100の表面に拡大投射する投射手段としての投射レンズユニット906を備えている。また、青色光束Bを対応するライトバルブ925Bに導く導光系927をも備えている。
【0060】
均一照明光学系923は、2つのレンズ板921、922と反射ミラー931を備えており、反射ミラー931を挟んで2つのレンズ板921、922が直交する状態に配置されている。均一照明光学系923の2つのレンズ板921、922は、それぞれマトリクス状に配置された複数の矩形レンズを備えている。光源装置920から出射された光束は、第1のレンズ板921の矩形レンズによって複数の部分光束に分割される。そして、これらの部分光束は、第2のレンズ板922の矩形レンズによって3つのライトバルブ925R、925G、925B付近で重畳される。従って、均一照明光学系923を用いることにより、光源装置920が出射光束の断面内で不均一な照度分布を有している場合でも、3つのライトバルブ925R、925G、925Bを均一な照明光で照明することが可能となる。
【0061】
各色分離光学系924は、青緑反射ダイクロイックミラー941と、緑反射ダイクロイックミラー942と、反射ミラー943から構成される。まず、青緑反射ダイクロイックミラー941において、光束Wに含まれている青色光束Bおよび緑色光束Gが直角に反射され、緑反射ダイクロイックミラー942の側に向かう。赤色光束Rはこのミラー941を通過して、後方の反射ミラー943で直角に反射されて、赤色光束Rの出射部944からプリズムユニット910の側に出射される。
【0062】
次に、緑反射ダイクロイックミラー942において、青緑反射ダイクロイックミラー941において反射された青色、緑色光束B、Gのうち、緑色光束Gのみが直角に反射されて、緑色光束Gの出射部945から色合成光学系の側に出射される。緑反射ダイクロイックミラー942を通過した青色光束Bは、青色光束Bの出射部946から導光系927の側に出射される。本例では、均一照明光学素子の光束Wの出射部から、色分離光学系924における各色光束の出射部944、945、946までの距離がほぼ等しくなるように設定されている。
【0063】
色分離光学系924の赤色、緑色光束R、Gの出射部944、945の出射側には、それぞれ集光レンズ951、952が配置されている。したがって、各出射部から出射した赤色、緑色光束R、Gは、これらの集光レンズ951、952に入射して平行化される。
【0064】
このように平行化された赤色、緑色光束R、Gは、ライトバルブ925R、925Gに入射して変調され、各色光に対応した画像情報が付加される。すなわち、これらの液晶装置は、不図示の駆動手段によって画像情報に応じてスイッチング制御されて、これにより、ここを通過する各色光の変調が行われる。一方、青色光束Bは、導光系927を介して対応するライトバルブ925Bに導かれ、ここにおいて、同様に画像情報に応じて変調が施される。尚、本例のライトバルブ925R、925G、925Bは、それぞれさらに入射側偏光手段960R、960G、960Bと、出射側偏光手段961R、961G、961Bと、これらの間に配置された液晶装置962R、962G、962Bとからなる液晶ライトバルブである。
【0065】
導光系927は、青色光束Bの出射部946の出射側に配置した集光レンズ954と、入射側反射ミラー971と、出射側反射ミラー972と、これらの反射ミラーの間に配置した中間レンズ973と、ライトバルブ925Bの手前側に配置した集光レンズ953とから構成されている。集光レンズ946から出射された青色光束Bは、導光系927を介して液晶装置962Bに導かれて変調される。各色光束の光路長、すなわち、光束Wの出射部から各液晶装置962R、962G、962Bまでの距離は青色光束Bが最も長くなり、したがって、青色光束の光量損失が最も多くなる。しかし、導光系927を介在させることにより、光量損失を抑制することができる。
【0066】
各ライトバルブ925R、925G、925Bを通って変調された各色光束R、G、Bは、色合成プリズム910に入射され、ここで合成される。そして、この色合成プリズム910によって合成された光が投射レンズユニット906を介して所定の位置にある投射面100の表面に拡大投射されるようになっている。
【0067】
このような構成を有する液晶プロジェクタにおいて、各ライトバルブを本発明の構成を有することにより、耐湿性が良好となり、表示品質の劣化を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る液晶装置のTFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図である。
【図2】図1のH−H’断面図である。
【図3】図2に示したI矢示部を拡大した断面図である。
【図4】本発明の効果を説明するための参考図である。
【図5】液晶装置の一実施形態の製造プロセスを、順を追って示す工程図(その1)である。
【図6】液晶装置の一実施形態の製造プロセスを、順を追って示す工程図(その2)である。
【図7】図6に示した工程(6)を更に詳しく説明するための工程図である。
【図8】図6に示した工程(6)の別の例を更に詳しく説明するための工程図である。
【図9】液晶装置を用いた電子機器の一例である投射型表示装置の構成図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係わる液晶装置のTFTアレイ基板とマイクロレンズを有する対向基板とがシール材により貼り合わされたシール領域周辺の断面図である。
【符号の説明】
10…TFTアレイ基板
20…対向基板
50…液層層
52…シール材
201…表示領域
202…シール領域
205…透明基板
207…配向膜
208…非吸湿性部材
209…配向膜が除去された領域
210…配向膜の端面

Claims (9)

  1. 一方面上に配向膜を有する第1基板と、
    前記第1基板の一方面と対向するように配置された第2基板と、
    前記配向膜に重なる位置に配置され、前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせるシール材と、
    前記第1基板と前記第2基板との間隙に挟持された液晶と、
    前記シール材と重なる配向膜において、前記シール材により覆われていない配向膜の端面を覆うように形成された非吸湿性部材とを具備し、
    前記非吸湿性部材は、前記配向膜の端面と接していることを特徴とする液晶装置。
  2. 前記非吸湿性部材がエポキシ系またはアクリル系の部材からなることを特徴とする請求項1に記載の液晶装置。
  3. 少なくとも前記第2基板の前記第1基板と対向する面の反対面にシリコン系の接着剤を介して透明基板が貼付されていることを特徴とする請求項2に記載の液晶装置。
  4. 前記第1基板には画素がマトリクス状に配置されてなり、前記第2基板には前記画素毎に対応するようにマイクロレンズが配置されてなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の液晶装置。
  5. 前記マイクロレンズが配置された第2基板は接着剤により透明基板に貼り合わされてなり、前記非吸湿性部材は前記接着剤の露出する面を覆うように配置されてなることを特徴とする請求項4に記載の液晶装置。
  6. 表示領域を囲むシール領域を有する第1基板の一方面上に配向膜を形成する工程と、
    前記第1基板の一方面上の前記シール領域であり且つ前記配向膜と重なる位置に配置されたシール材を介在して、前記第1基板の一方面と第2基板とを貼り合わせる工程と、
    前記シール材と重なる配向膜において、前記シール材により覆われていない配向膜の端面を覆うように非吸湿性部材を形成する工程とを具備し、
    前記非吸湿性部材は、前記配向膜の端面と接していることを特徴とする液晶装置の製造方法。
  7. 前記第2基板の前記第1基板と対向する面の反対面にシリコン系の接着剤を介して透明基板を貼付する工程を更に有し、
    前記非吸湿性部材がエポキシ系またはアクリル系の部材からなることを特徴とする請求項6に記載の液晶装置の製造方法。
  8. 前記非吸湿性部材を形成する工程にあって、
    前記非吸湿性部材が硬化型の部材からなり、
    前記シール領域の外周に非吸湿性部材を形成した後、一部の前記非吸湿性部材を硬化し、その後残りの部分の非吸湿性部材を硬化することを特徴とする請求項6または請求項7に記載の液晶装置の製造方法。
  9. 請求項1乃至請求項5のうちいずれか一項に記載の液晶装置と、当該液晶装置により変調された光を投射する投射手段とを具備することを特徴とする投射型表示装置。
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