JP3750338B2 - 電力変換器およびその製造方法 - Google Patents

電力変換器およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体スイッチング素子を用いてなる電力変換器に関するものであり、特に電力変換器回路内の配線インダクタンスを低減する配線の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の電力変換器では、例えば特開平3−289346 号公報に示されるように、コンデンサ端子部などの入出力電流、つまり絶対値が同一で逆向きに流れる電流に対して配線導体を近接することで、配線インダクタンスを低減していた。図26はこの様子を示したものである。コンデンサのプラス側端子とマイナス側端子における各々の配線導体を近接して配置することにより、各々の配線導体間に逆向きの電流を流し、互いの磁束を打ち消す作用を利用したものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような電力変換器においては、配線導体の近傍に絶対値が同一で逆向きに流れる電流が必要不可欠であり、さらにこれらを確保できた場合でも、インダクタンスの低減効果を高めるために互いの配線導体間距離を短くしなければならない。しかしながら、以下に述べるような理由により電流向きが単一方向となる場合が大多数を占めている。例えば、市場に出始めた6インチGTO(Gate Turn−Off)サイリスタ(以下GTOと略す)は電気定格が6kV,6kA以上となる。このため、従来の4インチGTOなどよりも大きな絶縁距離を必要とする。また、変換器の大容量化に伴いコンデンサにも高耐圧化が要求されており、コンデンサの容積については定格電圧のほぼ2乗に比例するため大型化している。したがって、部品間の距離は必然的に長くなってしまう。さらに、回路構成部品の大型化により配線実装領域への制約も大きくなっている。以上より、大容量変換器においては、部分的には絶対値が同一で逆向きの電流が得られるものの、絶縁距離が増大するため、配線インダクタンスの低減効果が減少する。また、各部品間を接続する配線導体の近傍には絶対値が同一で逆向きの電流が存在しない場合がほとんどである。このため、実際の電力変換器では次のような配線インダクタンスに伴う問題点がある。
【0004】
図22は電力変換器の一構成例であり、交流電源101の交流電圧を直流電圧に変換するコンバータ102と、コンバータ102の出力電圧を平滑化する平滑コンデンサ103と、直流電圧を交流電圧に変換するインバータ104と、インバータ104の出力する交流電圧により駆動される交流電動機105により構成されている。平滑コンデンサ103には前述の図26の配線導体を適用できるが、インバータ部やコンバータ部には適用しにくく、配線インダクタンスに伴う過電圧等の問題が起きる。ここでは、中性点クランプ方式を代表例として示したが、半導体スイッチング素子により構成するコンバータあるいはインバータであれば、いかなる電力変換器でも同様に配線インダクタンスに伴う問題は生じる。また、コンバータ102およびインバータ104に使用する半導体スイッチング素子は、どのような素子でも同様である。
【0005】
図23(1)は、自己消弧型半導体素子を用いた従来のコンバータ回路あるいはインバータ回路の一部分を示した図である。便宜上GTOを用いた回路を示すが、GTOをIGBTに置き換えた回路が図22におけるIGBTを含むその IGBT周辺の回路に対応する。図23(2)は、自己消弧型半導体素子の電流遮断時におけるアノードカソード間電圧VAKアノードカソード間電流IAKの波形である。ここでは自己消弧型半導体素子として、便宜上GTO31を用いている。図23(1)に示す回路において、GTO31がターンオフする際の動作について説明する。GTO31がON状態で通電していた電流は、GTO31がターンオフ動作に入りOFF状態に遷移する過程でスナバダイオード32,スナバコンデンサ33などで構成されるスナバ回路にバイパスされる。このとき、バイパスされた電流によりスナバコンデンサ33に充電電圧VCSが発生する。ターンオフ直後のスナバ回路に流れ込む電流変化率di/dtはGTO31の電流下降率dIAK/dtと同じである。さらにスナバ回路とGTO31を接続する配線中の配線インダクタンスやスナバコンデンサ33の内部インダクタンスなどの総和である寄生インダクタンス34において、そのインダクタンスとIAKの電流変化率di/dtとの積で決まる電圧VLSが発生する。さらに、スナバダイオード32において電流変化率di/dtによる電圧VDSを発生する。したがって、GTO31 には、スナバコンデンサ33の充電電圧VCSとスナバ回路中の寄生インダクタンス34の誘起電圧VLSとスナバダイオード32の過渡電圧VDSとの和として、スパイク状の電圧VDSPが印加される。このVDSPが大きくなるとGTO31が破壊に至ることもあり、GTO31は安全動作領域内で使用する必要がある。このため、寄生インダクタンス34が大きい場合には、遮断電流を低減しなければならないなど、素子利用率が低下するという問題もある。したがって、スナバ回路内の寄生インダクタンス34は小さく抑制しなければならない。
【0006】
さらに、GTO31がターンオフ動作を完了すれば、上記のdi/dtに伴う電圧は発生しなくなり、GTO31の両端に印加される電圧VAKはスナバコンデンサ33の充電電圧VCSだけとなる。しかし、スナバ回路の寄生インダクタンス34に蓄積されたエネルギーは、スナバコンデンサ33の過剰な充電電圧を発生させ、クランプダイオード38やクランプコンデンサ36などで構成されるクランプ回路内の寄生インダクタンスと相まってGTO31に最大電圧VDMを印加することになる。つまり、各部の寄生インダクタンスの増加はスパイク状電圧 VDSP や最大印加電圧VDMの増大を招く。GTOの最大印加電圧VDMについても素子定格が決まっており、これを超えて電流を遮断した場合には素子破壊に至る。このため、寄生インダクタンス37が大きい場合にも、遮断電流を低減しなければならないなど、素子利用率が低下するという問題があった。
【0007】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、自己消弧型半導体素子の定格が大きく、その保護回路として機能するスナバ回路やクランプ回路が大型化した場合でも、スナバ回路やクランプ回路など回路内の寄生インダクタンスを低減できる電力変換器を得ることが目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的は次の各手段によって達成される。第1の手段は、配線用である第1の導体の近傍に、第1の導体とは独立で、なお且つ第1の導体の電流変化に応じて誘導電流を生じる第2の導体を配置するものである。
【0009】
第2の手段は、配線用の第1の導体の近傍に、第1の導体とは独立で、なお且つ第1の導体の電流変化に応じて誘導電流を生じる第2の導体を配置し、第1の導体と第2の導体を少なくとも一点で電気的に接続するものである。
【0010】
第3の手段は、配線用の第1の導体の近傍に、第1の導体とは独立な第2の導体を配置し、第1の導体と第2の導体を少なくとも一点で電気的に接続するものである。
【0011】
第4の手段は、幅広な配線用の第1の導体の板厚方向に対する投影面と少なくとも一部で重なり且つ一部で重ならない部分ができるように、第1の導体とは独立な第2の導体を第1の導体に近接して配置し、なお且つ第2の導体上の少なくとも一点を近接している第1の導体と電気的に接続したものである。
【0012】
第5の手段は、幅広な配線用の第1の導体と同一幅の第2の導体を、第1の導体の板厚方向に対する投影面と重なる部分が全幅の10〜60%の範囲となるように第1の導体と近接して平行に配置し、なお且つ第2の導体上の少なくとも一点を近接している第1の導体と電気的に接続したものである。
【0013】
第6の手段は、往復電流による磁束を互いに打ち消すように幅広面を向き合わせた2枚の幅広な配線用の第1の導体に対し、第1の導体の板厚方向に対する投影面と少なくとも一部で重なり且つ一部で重ならない部分ができるように第2の導体を第1の導体に近接して配置し、なお且つ第2の導体上の少なくとも一点を近接している第1の導体と電気的に接続したものである。
【0014】
第7の手段は、半導体スイッチング素子がターンオンあるいはターンオフする際に、電流が増減する幅広な配線用の第1の導体の板厚方向に対する投影面と少なくとも一部で重なり且つ一部で重ならない部分ができるように第1の導体とは独立な第2の導体を第1の導体に近接して配置し、なお且つ第2の導体上の少なくとも一点を近接している第1の導体と電気的に接続したものである。
【0015】
上記各手段によれば、第1の導体の主電流の変化によって第2の導体に主電流とは逆向きの誘導電流が生じる。このため、第1の導体のインダクタンスが低減される。
【0016】
他の具体的手段については、以下の記述より明らかになるであろう。
【0017】
【発明の実施の形態】
実施例1
図1は本発明による第1の実施例である電力変換器における幅広配線導体を示したものである。回路構成部品を接続し回路電流が流れる第1の導体1と、第1の導体1とは独立で回路電流は流れない第2の導体2とで構成されている。第1の導体1より幅広の第2の導体2を、第1の導体1の板厚方向からの投影面が第2の導体2に含まれるように、第1の導体1から一定距離をおいて平行に配置している。また、第2の導体2は回路中の構成部品接続導体とは別に設けた導体であり、この場合、電位を固定するために導電性ネジ5により一点で第1の導体1と接続している。これにより導体間のコロナ放電を防止できる。なお、リング状のスペーサ7は、第1の導体1と第2の導体2を一定距離だけ離すために設けている。このスペーサ7は導体,絶縁体のいずれでもよい。ここで、幅広な導体とは厚さの寸法よりも幅の寸法が大きな導体と定義する。なお、導体1においては、自己インダクタンス低減のために、幅を厚さの2倍以上にすることが好ましい。
【0018】
第1の導体1の自己インダクタンスをLs1とし、第1の導体1と第2の導体2の間の相互インダクタンスをMとすると、第2の導体2を配置したときの第1の導体1のインダクタンスLは、次式のようになる。
【0019】
【数5】
L=Ls1+M …(数3)
この式より相互インダクタンスMの符号がマイナス且つMの絶対値が大きいほど第1の導体1のインダクタンスLは低減できることがわかる。
【0020】
次に、第1の導体1に回路電流を通電したときの動作を説明する。第1の導体1の電流向きを図中に示す矢印の向き(I1)とすると、第2の導体2には、第1の導体1の直下で第1の導体1の電流と逆向きに、また、第1の導体1と遠く離れた部分では第1の導体1と同一方向の電流が流れる。これは、電磁誘導と呼ばれる現象で説明できる。つまり、第1の導体1の電流により生じた磁束を打ち消そうとして、第1の導体1の直下では第2の導体2に第1の導体1とは逆向きの電流が生じている。電気的に導電性ネジ5の接続部以外の部分と接続を持たない第2の導体2においては、誘導された電流が一巡ループを描いて出発点に戻る必要があるが、第1の導体1の磁束を避けるように第1の導体1から遠く離れた部分を流れてから戻っている(I2)。この第2の導体2に生じる第1の導体1と同一方向の電流は第1の導体1の磁束を増す効果がある。このことから、第1の導体1の磁束を低減するためには、第1の導体1と第2の導体2の電磁気的結合度を大きくし、さらに第2の導体2の幅を広げることで第1の導体1の磁束を増す効果を弱めることが必要となる。言い換えれば、第2の導体2に誘導される逆向きの電流による効果が大きく、同一方向の電流による効果が小さいことが、数3におけるMの符号をマイナスとし、絶対値を大きくすることである。
【0021】
これら導体間の距離と配線インダクタンスの関係について、図2に示すモデルにより三次元解析した検証結果を図3に示す。図2のモデルでは第1の導体1と第2の導体2を一定距離d、且つ幅方向の中心線を揃えて配置している。図3は第1の導体1と第2の導体2の間隔dと第2の導体2の幅による第1の導体1のインダクタンスLの関係を示したものである。この結果は、第2の導体2の幅が第1の導体1と同一では第2の導体なしの場合とインダクタンスの値が同じであれ、インダクタンスの低減効果がないこと、第2の導体2の幅を第1の導体1の幅以上に広げれば広げるほどインダクタンスの低減効果が大きくなること、さらに、第1の導体1と第2の導体2の距離を短くするほどインダクタンスの低減効果が大きいことを示している。これは、前述した第1の導体1と第2の導体2の距離を短くすることで両導体間の結合度を大きくし、第2の導体2の幅を広げることで第1の導体1の磁束を増す効果を弱めることに他ならない。図2のモデルでは一例として配線導体1の幅を75mm,厚さを6mmとしたが、幅広導体であれば図3とほぼ同等のインダクタンス低減効果がある。第1の導体と第2の導体間の距離は3mm以下の領域でほぼ飽和していることから、第1の導体1と第2の導体2の距離は3mm以下とすればよい。但し、このとき距離を0mmとした場合には、第1の導体1と第2の導体2が接触してしまい第2の導体2の効果がなくなるため、薄い絶縁性シートを挾むなどにより、距離を確保することが必要である。なお、図2では第2の導体2と第1の導体1とを接続していないが、両者を一点で接続した場合の特性は図3の結果と同一である。接続方法としては導電性ネジで固定したり、溶接,半田付けなども考えられる。いずれにしても電気的に接続されていればよい。また、第1の導体1の長さ方向の両端を第2の導体2と接続する場合のように両導体が複数個所で接続されると、第2の導体2は第1の導体1の電流バイパスとなるため、接続個所間では本発明による効果は十分発揮されない。しかし、接続個所間では、第1の導体及び第2の導体のそれぞれの配線インダクタンスが並行接続されるので、自己インダクタンスをある程度は低減できる。従って、第1の導体と第2の導体において、部分的に複数個所で電気的に接続されていてもよい。すなわち第2の導体において、部分的に回路電流が流れていてもよい。
【0022】
なお本実施例の電力変換器の全体構成としては、図22の構成が有る。この点、以下の各実施例についても同様である。
【0023】
実施例2
図4は本発明による第2の実施例である電力変換器における幅広配線導体を示す。第1の導体1と同一幅の第2の導体2を第1の導体1の板厚方向に対する投影面で重なる部分ができるように幅方向に平行移動し、さらに一定距離において配置したものである。また、導電性ネジ5により第1の導体1と第2の導体2を一点で接続し、両者の間隔を保持するためにスペーサ7を設けている。図4において図1と異なる点は、第2の導体2の幅であり、具体的には、図1では第1の導体1より幅広の第2の導体2を配置しており、第1の導体1の板厚方向に対する投影面が全て第2の導体2に重なるのに対し、図4では第1の導体1と第2の導体2は同一幅で、第1の導体1の投影面が第2の導体2の一部で重なるとともに、重ならない部分をも有している。
【0024】
第1の導体1に電流を通電したときの動作は図1で示したものと同様であり、第2の導体2において第1の導体1の板厚方向に対する投影面が重なる部分では第1の導体1とは逆向きの電流が、また重ならない部分では同一方向の電流が誘導される。
【0025】
図6は、図5のモデルにおいて、第2の導体2における第1の導体1の板厚方向に対する投影面と重なる部分の割合を変化させたときの、第1の導体1におけるインダクタンスを示したものである。この結果は、a=0、すなわち第1の導体1の板厚方向に対する投影面が第2の導体2と完全に重なる場合は第1の導体1のインダクタンス低減効果は全くない(図3において、導体2ないしかつW=75mmの場合を参照)。aの値を増加させていくと、つまり幅方向に第2の導体2を平行移動していくと、第1の導体1のインダクタンス低減効果が徐々に強まり、ある点で最大となる。さらにaを増加させ第1の導体1と同一幅、すなわち第1の導体1の板厚方向に対する投影面が第2の導体2と全く重ならない状態になるまでの間、第1の導体1のインダクタンス低減効果が弱まっていく。言い換えると、第1の導体1と同一幅の第2の導体2を、第1の導体1の板厚方向に対する投影面で第2の導体2と10%〜60%の範囲で重なるように近接して平行配置したときに、第1の導体1のインダクタンス低減効果は大きくなる。図5のモデルでは一例として第1の導体の幅を75mm,厚さを6mmとしたが、幅広導体であれば図6とほぼ同等のインダクタンス低減効果がある。
【0026】
なお、図5のモデルにおいても第1の導体1と第2の導体2の電気的な接続関係を省略しているが、電気的な接続部がある場合ではインダクタンス低減効果があることは前述したとおりである。
【0027】
実施例3
図7は本発明による第3の実施例である電力変換器における幅広配線導体の構造を示したものである。第1の導体1と第2の導体2を一定距離をおいて、さらに第2の導体2は第1の導体1の板厚方向に対する投影面で重なる部分と重ならない部分ができるように配置している。図7において図5と異なる点は第2の導体2の幅であり、具体的には、図5では第1の導体1と同一幅の第2の導体2を配置しているのに対し、図7では第2の導体2の幅は任意の幅としている。第2の導体2は第1の導体1の板厚方向に対する投影面で重なる部分と重ならない部分ができるように配置している点については図5と共通であり、重なる部分の幅をb、また重ならない部分の幅をaとしている。
【0028】
図7のモデルを用いて三次元解析した結果を図8に示す。図8は図7におけるaとbを変化させたときの第1の導体1におけるインダクタンスを示したものである。この結果より、aは大きくした場合、すなわち第1の導体1の板厚方向に対する投影面で第2の導体2と重ならない部分を大きくすることでインダクタンス低減効果が大きくなること、また、bについては全幅の約半分、すなわち第1の導体1の板厚方向に対する投影面で第2の導体2と重なる部分を第1の導体1の半分程度まで広げればインダクタンス低減効果が十分得られることがわかる。また、図より低減効果が現れるのは、第1の導体1の幅に対して10%以上重なるように第2の導体2を配置した時点と考えられる。さらに、第1の導体1と第2の導体2とで重ならない部分の幅が、第1の導体1における幅の1/2以上となるように配置しても低減効果が現れると考えられる。したがって、インダクタンスを低減するためには、第1の導体1の幅に対して10%以上重なるように第2の導体2を配置するか、または、第1の導体1と第2の導体2とで重ならない部分の幅が、第1の導体1における幅の1/2以上となるように配置するか、あるいはこれらを組み合わせてもよい。
【0029】
なお、重なる部分を第1の導体1の半分として、第2の導体2を第1の導体1においてその幅を2分する中心線を軸として対称に第2の導体2をもう1枚追加した構成が図1と同一となる。したがって、図1の構成では図7の構成の約2倍のインダクタンス低減効果を持つことになる。しかし、実装空間の制約などにより第1の導体1の片側にしか、第2の導体2を広げられない場合には、図7に示すような構成が有効である。なお、図7のモデルにおいても第1の導体1と第2の導体2の電気的な接続関係を省略しているが、電気的な接続部がある場合でもインダクタンス低減効果があることは前述したとおりである。
【0030】
次に第2の導体2の厚さについて説明する。図11は第2の導体2の厚さを変化させたときの第1の導体1のインダクタンスを示している。いずれの場合も第1の導体1を幅75mm,厚さ6mm,長さ1000mm、第2の導体2の長さを1000mmとし、(1)のケースは、図2に示す配置関係で第2の導体2の幅wを150mm、第1の導体1と第2の導体2の距離dを1mm、(2)のケースは、図2に示す配置関係で第2の導体2の幅wを150mm、第1の導体1と第2の導体2の距離dを0.1mm、(3)のケースでは図5に示す配置関係で第1の導体1と第2の導体2の距離dを1mm,a=37.5mm つまり第1の導体1の板厚方向に対する投影面と第2の導体2の重なり部分が50%の場合を各々示している。この結果より、いずれの場合も第2の導体2の厚さが約1mmを境にしてインダクタンス低減効果が変化しているため、第2の導体2の厚さは1mm以上あれば十分であることがわかる。第2の導体2を薄くしたとき、インダクタンス低減効果が弱まるのは、抵抗分が増大するためであると考えられる。この解析では第1の導体1と第2の導体2には銅を使用することを想定しているが、銅よりも抵抗率の低い材料を第2の導体2に使用すれば第2の導体2の厚さはさらに薄くすることが可能である。
【0031】
実施例4
図9は本発明による第4の実施例である電力変換器における幅広配線導体の構造を示した断面図及び平面図である。第2の導体2は第1の導体1の板厚方向に対する投影面において重なる部分と重ならない部分ができるように、第1の導体1と一定距離をおいて平行に近接させ、第1の導体1の中心線S−S′を軸として対称に第2の導体2を2枚配置している。図9における断面図中の記号91と92は電流の方向を示している。第1の導体1の断面図中の記号91は紙面の裏側から表側へ流れることを、また、第2の導体2の断面図中の記号92は紙面の表側から裏側へ流れることを示している。つまり、第2の導体2においては第1の導体1の板厚方向に対する投影面と重なる領域では第1の導体1と逆向きの電流、また、重ならない領域でなお且つ第1の導体1と遠く離れた部分では第1の導体1と同一方向の電流が誘導されていることを示している。
【0032】
図9において図1と異なる点は、第2の導体2の配置方法である。具体的には、図1では、1枚の幅広の導体を配置しているのに対し、図9では第2の導体2を2分割して各々を幅に対して外側方向に平行移動しており、第1の導体1の板厚方向に対する投影面の中央部が第2の導体2と重ならないようになっている。この投影面の中央部分が第2の導体2と重ならなくても第1の導体1における配線インダクタンスの低減効果があることは図6,図8の結果より明らかである。なお、図9においても第1の導体1と第2の導体2の電気的な接続関係を省略している。また、図9に示す第2の導体2は、図10に示すように図1に示した第2の導体2の中央部にスリットを入れたものと等価であると言える。したがって、図1に示す第2の導体2にスリットを入れた場合でも第1の導体1のインダクタンス低減効果がある。さらに、第1の導体1の板厚方向に対する投影面と重なる部分において、第1の導体1の磁束漏れを上述のスリットを入れた第2の導体2と同程度にできるならば、第2の導体2をメッシュ状にした場合でも、図9の場合と同様に第1の導体1に対するインダクタンス低減効果がある。
【0033】
次に、周波数とインダクタンス低減の関係について解析した結果を図12に示す。いずれの場合も第1の導体1を幅75mm,厚さ6mm,長さ1000mm、第2の導体2の長さを1000mmとし、(0)のケースは第2の導体2がない第1の導体1単独、(1)のケースは図2に示す配置関係で第2の導体2の幅wを150mm、第1の導体1と第2の導体2の距離dを1mm、(2)のケースは図2に示す配置関係で第2の導体2の幅wを150mm、第1の導体1と第2の導体2の距離dを0.1mm、(3)のケースは図5に示す配置関係で第1の導体1と第2の導体2の距離dを1mm、a=37.5mm つまり第1の導体1の板厚方向に対する投影面と第2の導体2の重なり部分が50%の場合を各々示している。
【0034】
図12の結果より、いずれの場合も500Hz付近でインダクタンス低減効果が大きく変化しており、表皮効果が現れる周波数領域から第2の導体2による第1の導体1のインダクタンス低減効果が現れていることがわかる。表皮効果とは電流の周波数が高くなったときに、電流が表面に集まろうとして内部の電流は小さくなる現象である。このとき、内部の導体は電流の伝導にはほとんど関与しなくなり、見かけ上断面積が減少し、抵抗が大きくなる。磁束についても同様のことが言える。磁束の浸透していく深さ(表皮深さ)δは次式で表わせる。
【0035】
【数6】
Figure 0003750338
【0036】
ここで、ωは第1の導体1に通電される電流の角周波数、σは第1の導体1の導電率、μは第1の導体1の透磁率である。半導体スイッチング素子を使用する電力変換器においては、半導体スイッチング素子のスイッチング時に配線インダクタンスなどにより半導体素子へのサージ電圧が印加される問題があることは前述したとおりである。半導体素子のスイッチング周波数は数10kHz以上と非常に高速であり、通常は表皮効果が生じる周波数を上回る。したがって、上記の配線構造は半導体スイッチング時にインダクタンス低減効果を発揮することがわかる。
【0037】
なお、図9に示す導体配置においては、2枚の第2の導体2は対称に配置しているが、第1の導体1の板厚方向に対する投影面と重なる部分と重ならない部分が必ずできるように第2の導体2を配置すればインダクタンス低減効果が得られるため、第2の導体2は対称に配置する必要はなく、2枚の第2の導体2の幅についても同一である必要はない。
【0038】
実施例5
図13は本発明による第5の実施例である電力変換器における幅広配線導体の構造を示した断面図である。第1の導体1と第2の導体2を一定距離をおいて、第2の導体2は第1の導体1の投影面において重なる部分と重ならない部分があり、第1の導体1の中心線を軸として対称に第2の導体2を2枚配置している。図13(1)は図9と同一である。なお、図13においても第1の導体1と第2の導体2の電気的な接続関係を省略している。
【0039】
図3において第1の導体1と第2の導体2の間の距離との解析結果を示し、この距離を近づけるほどインダクタンス低減効果は大きいことを示した。さらに、図11において第2の導体2の厚さと第1の導体1のインダクタンスとの関係を示し、第2の導体2に銅を使用する場合、第2の導体2の厚さは1mm以上あればインダクタンス低減効果が大きいことを示した。第1の導体1に薄い第2の導体2を近づけるとき、各々の導体を空中で支持するのはたいへん難しく、とりわけ、第2の導体2の支持方法は問題となる。そこで、図13の(2)から(5)に、第1の導体1と第2の導体2を絶縁物3を介して接着あるいはネジ止めなどにより固定する方法を示す。
【0040】
(1)から(5)において第1の導体1と第2の導体2の配置関係は同一であり、異なるのは第1の導体1と第2の導体2の間に挾み込む絶縁物3の形状である。絶縁物3に使用する材料としては、雲母,ガラスエポキシ,繊維強化樹脂などを絶縁特性、コストあるいは加工容易性などの観点から選択すればよい。いずれの方法でも第1の導体1と第2の導体2との距離を一定に保つことができるため、第1の導体1のインダクタンス低減効果を発揮できる。
【0041】
図13では第2の導体2として2枚の導体を左右対称的な配置関係として示したが、第2の導体2を第1の導体1の板厚方向に対する投影面で重なる部分と重ならない部分ができるように配置できれば、第2の導体2は左右対称でなくてもよく、同一幅である必要もない。また、図1や図5に示すように1枚の導体を固定する場合にも、同様に絶縁物を挾み込むことで、第1の導体1のインダクタンス低減効果を発揮できることは明らかである。
【0042】
実施例6
図14は本発明による第6の実施例である電力変換器における幅広配線導体の構造を示した断面図である。幅広な第1の導体1と第2の導体2を一定距離をおいて、第2の導体2は第1の導体1の板厚方向に対する投影面に重なる部分と重ならない部分がある。
【0043】
図14(1)は第1の導体1と第2の導体2を絶縁材4を介して接続している。絶縁材の端面には複数のひだを形成し、沿面距離を増大させている。第1の導体1と第2の導体2との間の距離が広い場合には絶縁の沿面距離をかせぐ方法として有効である。また、第1の導体1,第2の導体2及び絶縁材4を固定するため絶縁性ネジ6によりネジ止めしている。絶縁性ネジには、繊維強化樹脂などを使用してもよい。
【0044】
図14(2)は図13と同様に絶縁物3を介して第1の導体1と第2の導体2を固定しており、図14(1)と同様に絶縁性ネジ6によりネジ止めしている。また、第2の導体2と絶縁物3の幅を同一幅として図示しているが、絶縁の沿面距離を確保するために絶縁物3を第2の導体2より幅広としてもよい。いずれの方法も第2の導体2が複数のときでも適用でき、第1の導体1のインダクタンス低減効果を発揮できることは明らかである。なお、この場合、第1の導体1と第2の導体2を固定することが重要であり、絶縁性スペーサなどのような絶縁材や絶縁性ネジに限らず、電気的に絶縁できればどのような接続手段でもよい。
【0045】
実施例7
図15は本発明による第7の実施例である電力変換器における幅広配線導体の構造を示した図である。第2の導体2は幅広な第1の導体1より幅広の導体としている。第1の導体1と第2の導体2との配置関係は図1と同一であり、第1の導体1と第2の導体2を一定距離をおいて配置している。図15において図1と異なるのは、第1の導体1と第2の導体2の距離を保持する方法である。図1では、スペーサ7を用いているのに対し、図15では絶縁性スペーサ8を用いている。図では、絶縁性スペーサ8の幅を第1の導体1と同じ幅としているが、第1の導体1と第2の導体2の距離が一定に保てれば、絶縁性スペーサ8はどのような幅でもよい。
【0046】
また、図15では図1と同様に導電性ネジ5により第1の導体1の一部と第2の導体2を電気的に接続している。
【0047】
ここでは、両者間の電気的な接続の持つ意味を説明する。第2の導体2の電位を浮動にしておくと、第1の導体1への通電を繰り返すうちに、第2の導体2の電位が上昇する。さらに、第2の導体2に蓄積された電荷が放電するコロナが発生し、半導体スイッチング素子のゲート駆動回路に誤パルスを生じることにより、半導体スイッチング素子が誤動作する恐れがある。また、コロナにより電力変換器を構成する部品の劣化が進み寿命を著しく短縮してしまう問題もある。そこで、このような問題を回避するために、第2の導体2の電位を電気的に固定する必要が生じる。図15のように、第2の導体2の一部を第1の導体1と電気的に接続できればコロナが発生する恐れはない。また、前述したように第1の導体1の長さ方向に複数の接続点を持つ場合には注意を要するが、幅方向に複数の接続点を設けることは全く問題ない。例えば、第1の導体1の幅方向の両端で、導電性ネジなどにより第2の導体2と接続する場合などに相当する。
【0048】
図16は第1の導体1と第2の導体2を固定するための方法を示した図である。第1の導体1と第2の導体2の配置方法については、図1と同一である。また、導電性ネジ5で第1の導体1と第2の導体2をネジ止めする点についても、図1と同一で、コロナを防止するために第2の導体2を電位固定するためのものである。
【0049】
図16において、図1と異なる点は、絶縁性ネジ6で第1の導体1と第2の導体2をネジ止めし、さらに、第1の導体1と第2の導体2との距離を保持するために両導体間にリング状の絶縁性スペーサ8を挾みネジ6を挿入したことである。導電性ネジ5で一部を固定しても第1の導体1と第2の導体2の固定方法としては不安定である。そこで、第2の導体2の導電性ネジ6でネジ止めした部分と別の場所を第1の導体1と固定する必要がある。これを導電性ネジでネジ止めした場合には、第2の導体2には第1の導体1と同一方向の電流が流れることになる。つまり第2の導体2は第1の導体1のバイパスとして機能してしまう。したがって、絶縁性ネジ6によるネジ止めが必要となる。絶縁性ネジ6によりネジ止めするとき、第1の導体1と第2の導体2の間に絶縁性を介してもインダクタンス低減効果が損なわれないことは言うまでもない。このとき、絶縁物と第1の導体1あるいは絶縁物と第2の導体2が接着されていてもよい。
【0050】
実施例8
図17は本発明による第8の実施例である電力変換器における配線導体の構造を示した図である。図17において図1と異なる点は、図1では第2の導体2の形状を折曲げ加工をしない1枚板としているのに対し、図17では第2の導体2において第1の導体1の板厚方向に対する投影面で第2の導体2と重ならない部分を垂直に折曲げている。図17において折曲げている部分は、第2の導体2に生じた誘導電流の戻り路として機能する部分であり、折曲げても第1の導体1との距離に変わりはないので、図1に示す構成と同様のインダクタンス低減効果がある。
【0051】
この場合にも、第1の導体1と第2の導体2の間に絶縁物を挾んだり、あるいは絶縁物を挾み込んだ第1の導体1と第2の導体2を導電性ネジや絶縁性ネジでネジ止めしても、第1の導体1のインダクタンス低減効果は発揮できることは明らかである。また、第2の導体2の折曲げ部については、第1の導体1の板厚方向に対する投影面で第2の導体2と重なる部分が一部でもあれば、どこで折曲げても第1の導体1のインダクタンス低減効果がある。なお、図では垂直に折曲げた場合について説明したが、折曲げ方法は垂直でなくてもよく、また複数回折曲げてもよい。
【0052】
実施例9
図18は本発明による第9の実施例である電力変換器における幅広配線導体の断面を示した図である。往復電流による磁束を打ち消すために電流方向が互いに逆向きの第1の導体11と第1の導体12の広幅面を向かい合わせ、さらに第1の導体11と第1の導体12に対し配線導体より幅広の第2の導体21及び第2の導体22を各々第1の導体から一定距離をおいて配置している。図中の記号 91,92は各導体中の電流の向きを示している。
【0053】
第1の導体11と第1の導体12を広幅面で向かい合わせることで、第1の導体11及び第1の導体12のインダクタンスを低減することは知られている。これらの第1の導体に第2の導体21及び第2の導体22を各々近接配置することでさらにインダクタンスを低減することができる。
【0054】
また、第2の導体については、各々の第1の導体に対して設ける場合を示しているが、どちらか一方に対して設けてもよい。もちろん、このような配置方法を適用する際に第1の導体と第2の導体の間に絶縁物を挿入したり、第1の導体と第2の導体あるいは第1の導体と第2の導体と絶縁物を導電性ネジや絶縁性ネジにより固定してもインダクタンス低減効果を損なわないことは明らかである。なお、図18においても第2の導体21,22の電位を固定するためには、各々近接している第1の導体11,12と電気的に接続することが必要となるが、図では省略している。
【0055】
実施例10
図19は本発明による第10の実施例であり、半導体スイッチング素子のターンオフ時に半導体スイッチング素子をサージから保護するスナバ回路の配線実装を示した図である。半導体スイッチング素子としては電極面が平型のGTOを例として示している。31はGTO、32はスナバダイオード、33はスナバコンデンサ、39は冷却フィンである。GTO31とスナバダイオード32は電極面が平型の素子であり、冷却フィン39を介して一体型のスタックを形成している。第1の導体1によりスタックとスナバコンデンサ33を接続しているが、この第1の導体1のスナバコンデンサ33の入出力端子部においては互いの第1の導体1の広幅面を近接配置することでインダクタンス低減を図っている。さらに、第1の導体1の一部区間で、この第1の導体1よりも幅の広い第2の導体2を、第1の導体1の板厚方向に対する投影面を包含するように近接して配置している。このような実装により、第1の導体1同士で磁束を打ち消し合うことができない区間はもちろんのこと、第1の導体1同士で磁束を打ち消し合うことが可能な区間においてもインダクタンスの低減効果を発揮する。また、第2の導体2と第1の導体1とを導電性ネジ5により接続し、第2の導体2の電位を固定している。
【0056】
なお、この場合の半導体スイッチング素子としては、電極面が平型であれば、逆導通型GTOサイリスタ,IGBT,SIサイリスタ,SICなどでもよい。また、GTO31とスナバダイオード32を同一のスタックに圧接した場合について示したが、GTO31とスナバダイオード32の素子の大きさが異なるなどの理由により別々のスタックに圧接した場合についても、スナバ回路を形成する構成部品間を接続する第1の導体に上述したような第2の導体を配置することでスナバ回路内の寄生インダクタンス低減効果を発揮する。つまり、スナバ回路を構成する部品配置の如何を問わず、スナバ回路構成部品間を接続する第1の導体に上記の第2の導体を配置することでスナバ回路内の寄生インダクタンス低減効果を発揮できる。また、図19に示すような側面図がL字型となる第1の導体や、あるいは特殊な場合として不均一な幅を持つ第1の導体にも上記の第2の導体は適用できる。いずれの場合も、第1の導体の板厚方向に対する投影面と少なくとも一部で重なり、且つ一部で重ならないように第2の導体を配置すればよい。
なお、図19では、フリーホィールダイオード,スナバ抵抗あるいはスナバエネルギー回生回路などに用いられる補助的な構成要素及び絶縁物や圧接用部材などについては省略しているが、ここに示す基本構造に適用できることは明らかである。
【0057】
実施例11
この発明の第11の実施例を図20,図21に基づいて説明する。図21(1)は、半導体スイッチング素子がターンオフした際に発生するサージから半導体スイッチング素子を保護するスナバ回路及びクランプ回路を示した図である。この部分を実装した場合の側面図を図20に示す。半導体スイッチング素子としては、図19と同様に電極面が平型のGTOを例として示している。スナバダイオード32及びスナバコンデンサ33を含むスナバ回路については、図19と同じ構成であり、スナバ回路内の幅広な第1の導体1に近接して第2の導体2を配置している。
【0058】
図20では、図19の回路構成にさらにダイオード35,クランプコンデンサ36,クランプダイオード38を追加してある。このクランプ回路の第1の導体1に対しても第2の導体2を近接配置している。第2の導体2の第1の導体1に対する配置方法は、いずれの場合も第1の導体1の板厚方向からの投影面で互いに重なる部分を少なくとも一部分で有し、なお且つ重ならない部分をも兼ね備えるようにすることが重要である。また、第2の導体2の電位を固定するために第1の導体1との間を導電性ネジ5により接続し、さらに両者間の距離を保持するためにスペーサ7を挿入している。クランプコンデンサ36に接続する第1の導体1に寄生するインダクタンス分が、図21(1)中の寄生インダクタンス37及び42に相当する。寄生インダクタンスには、クランプコンデンサの内部インダクタンスも含まれるが、通常の実装では配線導体のインダクタンス成分の占める割合の方が大きい。
【0059】
なお、図20でも、フリーホィールダイオード,スナバ抵抗あるいはスナバエネルギー回生回路などに用いられる補助的な構成要素は省略しているが、ここに示す基本構造に適用できることは明らかである。また、絶縁物や圧接用部材などについても省略している。
【0060】
通常は、自己消弧型半導体素子のサージ吸収部としてスナバ回路を最優先して実装する。これは、自己消弧型半導体素子がターンオフする際に発生するスパイク状電圧VDSP を抑制できるように、スナバ回路内の寄生インダクタンス34を十分小さくする必要があるためである。したがって、図20ではスナバ回路を構成するGTO31とスナバダイオード32を隣接して同一スタック内に圧接している。
【0061】
DSP の次に注意しなければならないのは、GTO31に印加される最大電圧VDMである。図20に示す回路において、VDMを決定するのはクランプコンデンサ36及びスナバコンデンサ33で構成される直列コンデンサ群とクランプ回路内の寄生インダクタンス37とスナバ回路内の寄生インダクタンス34で構成される直列インダクタンス群によるLC共振である。これらのLC回路において、もしインダクタンス成分が存在しなければ、共振現象は発生しないためコンデンサへの過剰充電は生じない。したがって、GTOの印加電圧もコンデンサの印加電圧と同様にある一定の値に達すると、そのまま定常状態となり、一定の値を保持する。
【0062】
しかし、通常の実装では寄生インダクタンスを皆無にすることは不可能である。寄生インダクタンスがある場合には、GTOに印加される最大電圧から定常値を差し引いた分が寄生インダクタンスによる電圧上昇分となる。したがって、 LC共振回路内の寄生インダクタンスを最小限に抑制する必要がある。ところが前述したとおりスナバ回路の実装を最優先するため、GTOやダイオードを一体型のスタックとして圧接した場合、クランプコンデンサに接続する半導体素子側の端子間の距離が長くなること、図では省略したフリーホィールダイオードなどの半導体素子をスタック内に追加することでさらにクランプコンデンサに接続する半導体素子側の端子間の距離が長くなること、及びクランプコンデンサ容量はスナバコンデンサ容量に比べ大きくなるためクランプコンデンサの容積が大きくなることなどの理由により、クランプ回路を形成する一巡ループは大きくなる。したがって、クランプ回路の寄生インダクタンスはスナバ回路の寄生インダクタンスと比較すると、必然的に大きな値となる。さらに、クランプ回路を形成する一巡ループが大きくなることで、往復電流を利用した磁束打ち消し効果を利用できる部分が少なくなり、寄生インダクタンス増加に拍車をかける。そこで、クランプ回路の第1の導体1に第2の導体2を上述のように近接配置することで、寄生インダクタンスの低減を図ることが可能となる。
【0063】
また、図20では、GTO31とダイオード32,35,38を同一径とし、さらに同一スタックに圧接した場合について示しているが、径が異なり別々のスタックに構成した場合でも上記と同様に第2の導体2を適用することでインダクタンスの低減効果がある。このように、従来インダクタンスの低減効果を持ち合わせていなかった部位へ本発明を適用することにより、半導体スイッチング素子の印加電圧を軽減でき、安全に電力変換器を運転することが可能となる。さらに遮断電流を定格以下に低減していた場合に対しては素子利用率の向上につながる。
【0064】
次に寄生インダクタンスの低減効果が大きい部分を具体的な回路に基づいて説明する。図21は、半導体スイッチング素子を使用したインバータ回路またはコンバータ回路の一部を示したものである。図示したインダクタンスは全て寄生インダクタンスであり、GTO31の電流変化率を軽減するアノードリアクトルや負荷などについては省略している。図21(1)では、クランプコンデンサ36は平滑コンデンサ40のマイナス端子側に接続している。図21(2)では、クランプコンデンサ36は平滑コンデンサ40のプラス端子側に接続している。まず、図21(1)においてGTO31がターンオフする際の動作を説明する。 GTO31がオン状態で通電しているとき、平滑コンデンサ40のプラス端子側からGTO31を介して負荷へ電流供給している。GTO31がターンオフ動作に入ると、GTO31の電流はスナバダイオード32およびスナバコンデンサ 33に流れ込みスナバコンデンサ33を充電する。なお、クランプコンデンサ 36は所定の電圧に充電されており、スナバコンデンサ33の充電電圧がこのクランプコンデンサ36の充電電圧に達するまではクランプコンデンサ36側には電流は流れ込まない。このとき、スナバ回路内の寄生インダクタンス34によりスパイク電圧が発生するため、スナバ回路内の寄生インダクタンス34は素子仕様を満足する程度に抑制しなければならないのは前述したとおりである。さらに、スナバコンデンサ33の充電が進みクランプコンデンサ36の充電電圧を超えた時点で、クランプコンデンサ36の充電が開始される。このとき、図示した各寄生インダクタンスとクランプコンデンサ36およびスナバコンデンサ33で構成する閉路において、LC共振が発生し、クランプコンデンサ36とスナバコンデンサ33との間で充放電を繰り返す。このとき変動するスナバコンデンサ33の電圧がGTO31にも印加されるため、GTO31の最大印加電圧はこのLC共振のモードで決定されることになる。LC共振の振幅は、寄生インダクタンスの値に大きく依存しており、GTO31の最大印加電圧を抑制するためには、この閉ループ内の寄生インダクタンス値を抑制することが必要となる。
【0065】
図21(2)においては、閉路が平滑コンデンサ40を含むようになるため、考慮すべき寄生インダクタンスが増大する。図21(1)に示すクランプコンデンサは、平滑コンデンサ40より高い電圧に充電する必要があるのに対し、図 21(2)に示すクランプコンデンサは、平滑コンデンサ40より低い電圧に充電するだけでよく、コストを含めた実装という観点からいうと、図21(2)の方式が有利となる。しかし、寄生インダクタンスについては、図21(1)の方式より、大きくなる傾向があるため、本発明をこのような閉ループを構成する配線導体に適用することは極めて有用となる。
【0066】
このように、半導体スイッチング素子を直接含まない閉路上の配線導体に対しても本発明は適用可能である。特に、クランプコンデンサ部など接続先の両端が離れてしまい、往復電流による磁束打ち消しすなわち寄生インダクタンスの低減を期待できない配線導体に対して、インダクタンス低減効果を発揮する。もちろん、直列多重で使用する半導体スイッチング素子の場合は、他の半導体スイッチング素子がターンオフする際に、電流変化を生じ半導体スイッチング素子の最大印加電圧を決定する閉ループを構成する配線導体に対し、配線導体の板厚方向に対する投影面と重なる部分と重ならない部分をもつ導体を配置することで、配線導体上の寄生インダクタンスを低減することができ、この結果として半導体スイッチング素子の最大印加電圧を抑制することが可能となる。このとき、導体上に残留電荷が生じることを防ぐために、少なくとも一点で近接した配線導体あるいは他の電位と固定してもよく、さらに、配線導体と導体を固定するために絶縁物を挾み込んでもよいことは言うまでもない。
【0067】
実施例12
この発明の第12の実施例を図24に基づいて説明する。図24はアノードリアクトルを設けない3レベルインバータの構成図であり、GTO31a〜31dと、サージ電圧を吸収するためのスナバダイオード32a,32d及びスナバコンデンサ33a,33dからなるスナバ回路と、平滑コンデンサ40a,40bと、クランプダイオード38a,38bとから構成される。図ではフリーホィールダイオードを省略している。また、半導体スイッチング素子としてGTOを図示しているが、アノードリアクトルを設けない回路でdi/dtが定格以内であれば、IGBTなど如何なる素子でもよい。
【0068】
平滑コンデンサと半導体スイッチング素子との間の配線に寄生する配線インダクタンス43a〜43cの値をLとし、半導体スイッチング素子がターンオフした際に許可できるLの値を考える。このとき、スナバ回路に設けたスナバコンデンサ33aの容量をCs,平滑コンデンサ40a,40bの直流入力電圧を各々Vdcとする。また、半導体スイッチング素子を介して負荷に供給する電流をIとし、図24(1)のようにGTO31a,31b がon状態にあるとすると、GTO31aをターンオフした際に、スナバコンデンサ33aに充電される充電電圧Vcsは、
【0069】
【数7】
Figure 0003750338
【0070】
と表わせる。これは、ターンオフ直後の電流経路が(2)のようになり、寄生インダクタンス43aのエネルギーが全てコンデンサの充電電圧となる。さらに、定常状態に近づくと、今度は寄生インダクタンス43bにエネルギーを蓄積することになるため、この分もまたVcsに加算される。また、このVcsがGTO31aに印加されることになるため、GTO31aの最大定格電圧をVmax とすると、
【0071】
【数8】
Figure 0003750338
【0072】
を満足する必要があることになる。具体的には、Vdc=3000V,遮断電流I=6000A,Cs=3μF,Vmax =6000Vとすると、Vcs≦Vmax を満たすためには、L≦0.75μH となる。このようにVdcが高い場合、絶縁距離を確保するため直流電源部の配線同士を近づけることができない。このような場合に、本発明の配線方式を用いれば、インダクタンスの低減が可能である。もちろん、2レベルインバータを初めとする他のマルチレベルインバータにも適用可能であることは言うまでもない。
【0073】
なお本発明によれば、Vdc≧3000VかつI/Csが1000A/1μF以上の場合、すなわち従来、配線インダクタンスの低減により、半導体スイッチング素子に印加される電圧を抑えることができなかった場合において、(数1)を満たすLの値以下に配線インダクタンスを小さくすることができる。
【0074】
実施例13
この発明の第13の実施例を図25に基づいて説明する。図25はスナバ回路を設けない3レベルインバータの構成図であり、GTO31a〜31d と、平滑コンデンサ40a,40bと、クランプダイオード38a,38bとから構成される。図ではフリーホィールダイオードを省略している。また、半導体スイッチング素子としてGTOを図示しているが、IGBTなど如何なる素子でもよい。
【0075】
平滑コンデンサと半導体スイッチング素子との間の配線に寄生する配線インダクタンス43a〜43cの値をLとし、半導体スイッチング素子がターンオフした際に許容できるLの値を考える。このとき、平滑コンデンサ40a,40bの直流入力電圧を各々Vdc、また、半導体スイッチング素子のターンオフ時における電流下降率の最大傾きをdi/dtとし、図25(1)のようにGTO31a, 31bがon状態にあるとすると、GTO31aをターンオフした際に、スナバコンデンサ33aに印加される電圧の最大値をVmax とすると、
【0076】
【数9】
Figure 0003750338
【0077】
を満足する必要がある。この場合も図24と同様にGTO31aのターンオフ後は、寄生インダクタンス43bにエネルギー蓄積されるため、この分の電圧も半導体スイッチング素子に印加される。具体的には、Vdc=3000V,di/dt=3×1010A/s,Vmax =6000Vとすると、半導体スイッチング素子に印加される電圧をVmax以下とするためには、L≦0.5μHとなる。このように大幅なインダクタンス低減が必要な場合には、往復導体を近接させる配線方式に加え本発明の配線方式を用いれば実現可能である。もちろん、2レベルインバータを初めとする他のマルチレベルインバータにも適用可能である。
【0078】
なお本発明によれば、Vdc≧3000VかつI/Csが1000A/1μF以上の場合、すなわち従来、配線インダクタンスの低減により、半導体スイッチング素子に印加される電圧を抑えることができなかった場合において、(数2)を満たすように配線インダクタンスを小さくすることができる。
【0079】
【発明の効果】
本発明によれば、配線インダクタンスを低減でき、自己消弧型半導体素子のターンオフ時におけるサージ電圧を抑制できる。このため、コンデンサ容量を小さくできることになり、損失を低減することができる。また、誘導電流により磁束を打ち消すため、シールド効果があり、周辺への磁束漏れを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例である電力変換器の配線導体を示す。
【図2】第1の導体に近接して第2の導体を配置した構造モデルである。
【図3】第1の導体と第2の導体間距離によるインダクタンス特性を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施例である電力変換器の配線導体を示す。
【図5】第1の導体に近接して第2の導体を配置した構造モデルである。
【図6】第1の導体と第2の導体の配置方法によるインダクタンス特性を示す図である。
【図7】本発明の第3の実施例である電力変換器の配線導体を示す。
【図8】第1の導体と第2の導体の配置方法によるインダクタンス特性を示す図である。
【図9】本発明の第4の実施例である電力変換器の配線導体を示す。
【図10】スリットを入れた第2の導体を第1の導体に近接した配線導体配置図である。
【図11】第2の導体厚さとインダクタンスの関係を示す図である。
【図12】第1の導体と第2の導体の配置方法によるインダクタンスの周波数特性を示す図である。
【図13】本発明の第5の実施例である電力変換器の配線導体を示す。
【図14】本発明の第6の実施例である電力変換器の配線導体を示す。
【図15】本発明の第7の実施例である電力変換器の配線導体を示す。
【図16】第1の導体と第2の導体の固定方法を示す配線導体実装図である。
【図17】本発明の第8の実施例である電力変換器の配線導体を示す。
【図18】本発明の第9の実施例である電力変換器の配線導体を示す。
【図19】本発明の第10の実施例であるスナバ回路における実装図である。
【図20】本発明の第11の実施例であるクランプ回路における実装側面図である。
【図21】半導体スイッチング素子をターンオフした際に電流変化が生じる配線部分を示す回路図である。
【図22】従来の電力変換器の構成例を示す図である。
【図23】自己消弧型半導体素子に適用する従来のスナバ回路及びクランプ回路の動作を説明する図である。
【図24】アノードリアクトルを必要としない自己消弧型半導体素子のターンオフ時のスナバ回路を含めた回路動作を説明する図である。
【図25】スナバ回路を必要としない自己消弧型半導体素子のターンオフ時の回路動作を説明する図である。
【図26】インダクタンスを低減するための従来の配線実装を示す図である。
【符号の説明】
1,11,12…第1の導体、2,21,22…第2の導体、3…絶縁物、4…絶縁材、5…導電性ネジ、6…絶縁性ネジ、7…スペーサ、8…絶縁性スペーサ、31,31a〜31d…GTO、32,32a,32d…スナバダイオード、33,33a,33d…スナバコンデンサ、34…スナバ回路内寄生インダクタンス、35…ダイオード、36…クランプコンデンサ、37…クランプ回路内寄生インダクタンス、38,38a,38b…クランプダイオード、39…冷却フィン、40,40a,40b…平滑コンデンサ、41…平滑回路内寄生インダクタンス、42…クランプダイオード部寄生インダクタンス、43a〜43c…直流電源−半導体スイッチング素子間寄生インダクタンス、91…電流方向(紙面裏側から表側方向)、92…電流方向(紙面表側から裏側方向)、101…交流電源、102…コンバータ(1相分)、103…平滑コンデンサ、104…インバータ(1相分)、105…交流電動機。

Claims (12)

  1. コンバータ部あるいはインバータ部を備え、該コンバータ部あるいはインバータ部の半導体スイッチング素子により負荷電流を制御する電力変換器において、
    該半導体スイッチング素子に電気的に接続し、前記半導体スイッチング素子を通電または遮断する制御に伴い電流変化を生じる第1の板状導体の配線と
    前記第1の板状導体の電流変化に応じて相互電磁誘導による誘導電流を生じる第2の板状導体備え、
    前記第1の板状導体と第2の板状導体とが対向して近接配置しており、
    前記第2の板状導体の一部が前記第1の板状導体の投影面からはみ出ていることを特徴とする電力変換器。
  2. 請求項1に記載の電力変換器において、
    前記第1板状導体の配線に、
    前記第2の板状導体を前記投影面の一点で電気的に接続したことを特徴とする電力変換器。
  3. 交流を直流に変換する、第1の半導体スイッチング素子を備えたコンバータ部と、前記直流を平滑する平滑コンデンサと、前記平滑コンデンサにより平滑された直流を交流に逆変換する、第2の半導体スイッチング素子を備えたインバータ部とを有する電力変換器において、
    前記平滑コンデンサと前記コンバータ部または前記インバータ部とを直接または他の部材を介して接続する幅広な第1の板状導体と、該第1の板状導体の一部または全区間で、
    前記第1の板状導体の板厚方向に対する投影面と少なくとも一部で重なり且つ少なくとも一部で重ならない部分を有する幅広な第2の板状導体を前記第1の板状導体に対向して近接して配置し、
    該第2の板状導体が、前記第1の板状導体の電流変化に応じて相互電磁誘導による誘導電流を生じ、
    前記第2の板状導体の投影面中の一点を前記第1の板状導体と電気的に接続したことを特徴とする電力変換器。
  4. 請求項3に記載の電力変換器において、
    前記第1の板状導体と同一幅の第2の板状導体を、前記第1の板状導体の板厚方向に対する投影面と前記第1の板状導体の幅に対して10%から60%の範囲で重なるように、前記第1の板状導体に近接して配置したことを特徴とする電力変換器。
  5. 直流入力電圧Vdcが3kV以上で、且つ定格電圧Vmax の半導体スイッチング素子の遮断電流Isと前記半導体スイッチング素子のサージ電圧を吸収するスナバコンデンサ容量Csとの比Is/Csが1kA/1μF以上である請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載の電力変換器において、
    直流電源と前記半導体スイッチング素子との間の配線インダクタンスL及び前記スナバコンデンサ容量Csの比が
    Figure 0003750338
    を満足する電力変換器。
  6. 定格電圧Vmax 及び遮断時における電流下降率の最大傾きがdi/dtである半導体スイッチング素子を有し、直流入力電圧Vdcが3kV以上である請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載の電力変換器において、
    直流電源と前記半導体スイッチング素子との間の配線インダクタンスLが
    Figure 0003750338
    を満足する電力変換器。
  7. 前記第2の板状導体は、前記第1の板状導体との最短距離が3mm以下であることを特徴とする請求項1から請求項6のうちいずれか1項に記載の電力変換器。
  8. 前記第1の板状導体の板厚方向に対する投影面で前記第2の板状導体と重ならない幅が前記第1の板状導体幅の1/2以上であることを特徴とする請求項1から請求項7のうちいずれか1項に記載の電力変換器。
  9. 前記第2の板状導体は、前記第1の板状導体の板厚方向に対する投影面で、少なくとも一部で重なる部分を有し且つ前記第1の板状導体の板幅方向に対する少なくとも一方の端部を前記第1の板状導体から遠ざかる方向に折曲げたことを特徴とする請求項1から請求項8のうちいずれか1項に記載の電力変換器。
  10. 請求項1から請求項9のうちいずれか1項において、前記第2の板状導体の中央部にスリットを設けたことを特徴とする電力変換器。
  11. 前記第2の導体と前記第1の板状導体は絶縁物を介して固定することを特徴とする請求項1から請求項10のうちいずれか1項に記載の電力変換器。
  12. 前記第2の板状導体と前記第1の板状導体は、導電性の接続手段と絶縁性の接続手段とを併用して固定することを特徴とする請求項11に記載の電力変換器。
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