JP3750040B2 - シールド掘削機およびそれを用いたトンネル覆工方法 - Google Patents

シールド掘削機およびそれを用いたトンネル覆工方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンクリートやモルタル等の自硬性充填材を採用するシールドトンネルを、構築するために用いられるシールド掘削機およびそれを用いたトンネル覆工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、例えば軟弱で地下水位が高いような地盤に対してシールド工法によりトンネルを施工する場合、一次覆工にはセグメントを使用することが一般的であるが、セグメントを用いることに代えて、シールド機の後方において型枠を組み立ててその型枠と地山との間に直接的に自硬性硬化材としてコンクリートを打設充填して覆工壁を形成するというような、いわゆるECL工法(Extruded Concrete Lining Method)の開発も進められている。
【0003】
ECL工法では、打設されたコンクリートが硬化して覆工壁が形成された後は地山圧力(土圧および地下水圧)に対して十分に耐え得ることは当然であるが、コンクリートを打設した直後の未硬化コンクリートによっても地山圧力に対して抗し得るものでなければならず、特に地下水圧が高い地山に対してECL工法を適用する場合には未硬化コンクリートによる十分な止水性を確保するための方策が不可欠である。このため、本出願人は先に、コンクリートの打設圧力を地山圧力より常に高く維持することによって未硬化のコンクリートによっても止水性を確保するようにしたECL工法におけるシールドトンネルの覆工方法を提供した(特開平4ー161599号)。
【0004】
図33および図34はその覆工方法を実施する際に用いるシールド掘削機Sを示すものである。これは、スキンプレート1の先端部に設けたカッター装置2により地山Jを掘削するとともに、スキンプレート1の後方側に鉄筋3を配筋してはそれを覆うように型枠4を組み立て、その型枠4から反力をとって推進ジャッキ5により掘進しながら型枠4と地山Jとの間にコンクリートを打設充填することによりトンネル覆工壁Wを形成するようにしたものである。型枠4の最前部には妻型枠6が取り付けられるが、その妻型枠6はコンクリート中に埋設されていく主妻枠6aと型枠4に対して出没する補助妻枠6bとが組み合わされることによりシールド掘削機Sの蛇行に追随できるものとされている。符号7はコンクリートポンプ、8は型枠4に接続されるコンクリート打設管、9はそれらの接続部に設けられているシャッタである。
【0005】
また、このシールド掘削機Sにおいては、図33、図34に示すようにスキンプレート1のテール部の内側に内筒10を配するとともにそれらの間を径方向に分割して複数の弓形のコンクリートピストン室11を設け、それらコンクリートピストン室11内に押出しピストン12をシールド掘削機Sの軸線方向にスライド可能に配置するとともに、その押出しピストン12を駆動するための圧力保持ジャッキ13を備え、かつ、各押出しピストン12に打設孔14を設けてそこにコンクリート打設管15を接続することによりコンクリートピストン室11内にも打設孔14を通してコンクリートを打設するように構成している。そして、押出しピストン12を通してコンクリートを打設しながら、圧力保持ジャッキ13により押出しピストン12を押出すことによって打設したコンクリートを押圧することにより、打設されたコンクリート圧力Poを地山圧力Pjより高く保持するようにしている。
【0006】
上記のシールド掘削機Sによるコンクリート打設手順を図35〜図37を参照してさらに詳細に説明する。図35はコンクリート打設が完了した部分の前方に新たに鉄筋3および型枠4を組み立てた状態を示すものである。この状態では上記のように押出しピストン12が打設コンクリートを押圧していることによりコンクリート圧力Poが地山圧力Pjより高く保持されており、したがって地下水が浸入してくることが防止されている。
【0007】
次に、図35の状態から図36に示すように打設管8を通じて最前部の型枠4内にコンクリートを打設し、その内部でのコンクリート圧力Prが先行打設されているコンクリート圧力Poと同等あるいはやや高くなった時点で打設管8のシャッタ9を閉じ、先行の補助妻枠6bを引き下げて後行打設部分を先行打設部分とを連通させる。これにより両者の打設コンクリートが一体化するとともにそれら全体のコンクリート圧力Poが地山圧力Pjより高いままに保持される。
【0008】
続いて、図37に示すように、押出しピストン12に設けた打設孔14を通してコンクリートピストン室11にコンクリートを打設する。この際、押出しピストン12は圧力保持ジャッキ13(図33、図34参照)により常に後方(図示右方)へ押圧されながらもコンクリートの打設圧力に打ち負けて漸次前進(図示左方へ移動)していき、これによりコンクリート圧力Poが保持される。その後、推進ジャッキ5を作動させてシールド掘削機Sを掘進させた後、推進ジャッキ5を引戻して新たな鉄筋3の配筋と型枠4の組み立てを行ない、以上の手順を繰り返して掘進を行なう。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記工法においては、圧力保持ジャッキ13および押出しピストン12によって打設コンクリートを押圧することによってコンクリート圧力Poを地山圧力Pjより常に高く保持することにより、軟弱で地下水位の高い地山Jであってもコンクリート打設途中における地下水の浸入を防止でき、したがってそのような地山Jに対してもECL工法の採用が可能となったのであるが、上記の工法および上記工法に用いられるシールド掘削機Sは、以下の点で改良の余地を残している。
【0010】
まず、上記工法およびシールド掘削機Sにおいては、圧力保持ジャッキ13を用いてコンクリートを加圧する場合や、シールド掘削機Sを掘進させる場合には、押し出しピストン12が前後に変位することとなるが、このとき、押し出しピストン12に設けられた打設孔14に対して取り付けられたコンクリート打設管15も同時に変位することから、あらかじめ、シールド掘削機Sの内部において、コンクリート打設管15が移動する部分の空間を開けておく必要があった。
【0011】
また、コンクリート打設管15は、押し出しピストン12の変位に追随できるように、柔軟性をもったホースなどによって構成する必要があり、このようにした場合には、コンクリート打設管15が固定できず、ホースが振れたりするなどの不安定な状態が生じ易くなっていた。
【0012】
さらには、このようにコンクリート打設管15がホースによって構成されるため、場合によっては、コンクリート打設管15の配管が複雑になり、その内部にコンクリートのつまりなどの不具合が生じ易くなっていた。
【0013】
それだけでなく、上記のシールド掘削機Sにおいては、打設孔14が押し出しピストン12における断面欠損となり、構造的な弱点となっていた。また、この弱点を補うために、押し出しピストン12の幅を大きくして、加圧にも耐える構造とした場合には、シールドトンネルのコンクリート覆工の厚さ寸法が大きくなり、これにより、シールド掘削機Sが大型化し、施工に際してのコストが嵩むものとなってしまう。
【0014】
本発明は、上記事情に鑑み行われたものであり、その目的は、押し出しピストンを構造的に強度なものとすることにより、ECL工法によりシールドトンネルを構築するにあたって、コンクリート覆工の厚さ寸法を縮小することができ、これにより、トンネルの建設コストの低減を図るようなシールド掘削機を提供することにある。また、別の目的は、自硬性充填材打設管をシールド掘削機側に固定することにより、従来に比べてより信頼性に優れたシールド掘削機およびそれを用いたトンネル覆工方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
すなわち、請求項1記載のシールド掘削機は、先端のカッターにより地盤を掘削しつつ掘削された地盤の周壁を所定の間隔を空けて型枠により覆い、該型枠と前記周壁との間に自硬性充填材を打設し、前記周壁の内面を覆工するためのシールド掘削機であって、該シールド掘削機のスキンプレートの内周面側には、自硬性充填材充填空間部が、前記周壁と前記型枠との間の空間に対向するよう形成され、該自硬性充填材充填空間部は、自硬性充填材注入部とピストン室とを前記スキンプレートの周方向に互いに隔てられて備えた構成とされ、該ピストン室の内部には、前後両方向にスライド自在とされるとともに、前記スキンプレート側に固定された圧力保持ジャッキによって駆動される押し出しピストンが配置され、該自硬性充填材注入部の内部には、自硬性充填材注入管が配置されることを特徴とする。
【0016】
また、請求項2記載のシールド掘削機は、前記自硬性充填材充填空間部が、前記スキンプレートと該スキンプレートのテール部の内側に配置された内筒との間に形成されるとともに、前記自硬性充填材注入部と前記ピストン室とが、前記スキンプレートおよび前記内筒を連結する複数の隔壁によって前記スキンプレートの周方向に隔てられてなることを特徴としている。
【0017】
また、請求項3記載のシールド掘削機は、前記ピストン室の内壁面を形成するシリンダ部材が前記スキンプレートの内周面に一体に固定されることによって前記ピストン室が形成され、互いに隣り合う前記ピストン室の間の空間が、前記自硬性充填材注入部とされていることを特徴としている。
【0018】
このようなシールド掘削機においては、自硬性充填材充填空間部が、自硬性充填材注入部とピストン室とに分割されており、周壁と型枠との間に自硬性充填材を注入する作業は、自硬性充填材注入部において行われ、注入した自硬性充填材の圧力を地山圧力よりも高く保持する作業は、ピストン室において行われることとなる。したがって、ピストン室内部に設けた押し出しピストンに自硬性充填材打設用の孔を形成する必要がなくなる。
【0019】
請求項4記載のシールド掘削機は、前記自硬性充填材注入管は、前記スキンプレートに対して固定されていることを特徴とする。
【0020】
このシールド掘削機は、上記のような構成とされているため、自硬性充填材注入管が、押し出しピストンの前後変位に従って動くことがない。
【0021】
請求項5記載のシールド掘削機を用いたトンネル覆工方法は、シールド掘削機の先端のカッターにより地盤を掘削しつつ掘削された地盤の周壁を所定の間隔を空けて型枠により覆い、該型枠と前記周壁との間に自硬性充填材を打設し、前記周壁の内面を覆工するシールド掘削機を用いたトンネル覆工方法であって、該シールド掘削機として、スキンプレートの内周面側に、前記周壁と前記型枠との間の空間に対向するよう自硬性充填材充填空間部を形成し、該自硬性充填材充填空間部に、自硬性充填材注入部とピストン室とを形成するとともに、該ピストン室の内部に、前後両方向にスライド自在とされる押し出しピストンを配置したものを用い、前記自硬性充填材注入部の内部に、自硬性充填材注入管を配置するとともに、該自硬性充填材注入管を前記スキンプレート側に固定しておき、トンネルを掘進するに際し、前記押し出しピストンを後方に移動させて、前記周壁と前記型枠との間の空間に対して前記自硬性充填材注入管から注入充填された自硬性充填材を加圧しつつ、前記自硬性充填材注入管と前記スキンプレートとを一体的に前進させることを特徴とする。
【0022】
このシールド掘削機を用いたトンネル覆工方法によれば、シールド掘削機が前方に掘進する際において、自硬性充填材注入管がシールド掘削機の中を動くことがない。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るシールド掘削機およびそれを用いたトンネル覆工方法の第一および第二の実施の形態について、図1ないし図30を参照して説明する。
【0024】
[第一の実施の形態]
図1は、本発明におけるシールド掘削機Spの主要部分を示す図である。このシールド掘削機Spは、基本的に、上述した従来のシールド掘削機Sと同様の構成とされており、これら両者に共通する構成については同一符号を付すこととする。
【0025】
すなわち、図1において、符号1は、地山JにおいてトンネルTを掘削するためのシールド掘削機Spのスキンプレートを示しており、2は、スキンプレート1の先端部に設けられて地山Jを掘削するためのカッター装置を、3は、スキンプレート1の後方側に配置された鉄筋を示している。また4は、鉄筋3をトンネルTの内部側から覆うように組み立てられた型枠であり、型枠4とトンネルTの周壁Twとの間に、コンクリートやモルタル等の自硬性充填材を打設充填することにより、トンネル覆工壁Wが形成される。
【0026】
また、符号5は、推進ジャッキであり、型枠4から反力を取って、シールド掘削機Spを前進させる役割を果たすものである。また、符号6は、型枠4の最前部に取り付けられた妻型枠であり、妻型枠6は、主妻枠6aと補助妻枠6bとから構成されたものである。さらに、符号7は自硬性充填材ポンプを、8は型枠4にトンネルTの内部側から接続される自硬性充填材打設管を、9は型枠4と自硬性充填材打設管8との接続部に設けられているシャッタを示している。
【0027】
このシールド掘削機Spが先に示した従来のシールド掘削機Sと最も異なる点は、スキンプレート1と、そのテール部の内側に配置された内筒10との間の空間が、型枠4と周壁Twとの間の空間に対して連通状態に形成された自硬性充填材充填空間部21とされるととともに、自硬性充填材充填空間部21が、自硬性充填材注入部23と、ピストン室24とに分割されている点である。さらに、シールド掘削機Spにおいては、上述の従来のシールド掘削機Sとは異なり、自硬性充填材注入部23に、自硬性充填材注入管26が、ピストン室24に、押し出しピストン27が、それぞれ別個に配置された構成とされている。
また、押し出しピストン27は、ピストン室24内部において前後両方向にスライド自在とされるとともに、スキンプレート1側に固定された圧力保持ジャッキ28によって駆動される構成とされている。
【0028】
図1に示したシールド掘削機SpのI−I断面を示したのが図2である。図中に示すように、自硬性充填材充填空間部21は、スキンプレート1と内筒10とを連結する隔壁30によって、その周方向に分割されており、このうちの一部が自硬性充填材注入部23とされ、また別の一部がピストン室24とされている。
【0029】
自硬性充填材注入部23内部には、周壁Twと型枠4との間に充填された自硬性充填材がシールド内に浸入することを防ぐための仕切板32が配置されるとともに、仕切板32には打設孔33が設けられ、打設孔33には自硬性充填材注入管26の先端が挿通される。
【0030】
また、ピストン室24の内部には、押し出しピストン27が配置されるとともに、押し出しピストン27は、シールド掘削機Spの軸線に平行な方向から圧力保持ジャッキ28によって押圧されることとなる。
【0031】
また、図1に示したシールド掘削機SpのII−II断面を示したのが図3である。図中に示すように、自硬性充填材注入管26は、自硬性充填材注入部23にむけてのみ配置され、ピストン室24には配置されない。
【0032】
図4は、図3におけるA−A断面を示した図であり、圧力保持ジャッキ28および押し出しピストン27を、シールド掘削機Spの軸線方向と直交する方向から側面視した図である。図中に示すように、押し出しピストン27には、そのスキンプレート1側と内筒10側の周囲にシール部材35が配置されている。また、押し出しピストンの27の先端面すなわち打設自硬性充填材を直接的に押圧する面には、圧力センサ36が取り付けられている。さらに、この圧力センサ36は、圧力保持ジャッキ28の駆動を制御する制御手段と接続されている。
【0033】
次に、この圧力保持ジャッキ28の制御機構の概要を、図5を参照して説明する。図5に示すように、圧力保持ジャッキ28はピストン28aの前後両側に作動油が供給されることでピストン28aが前後両方向に駆動されるものとされており、したがってこの圧力保持ジャッキ28はいずれかの側に作動油が選択的に供給されることで伸縮して押出しピストン27を前後両方向に駆動させることができるものとなっている。
【0034】
また、押し出しピストン27を駆動するための圧力保持ジャッキ28の油圧回路は、油圧ポンプユニット38、圧力保持ジャッキ28に供給する作動油の圧力を設定するための圧力制御弁39、作動油の供給経路を切換えて圧力保持ジャッキ28の駆動方向を切換えるための方向制御弁40、作動油の流量を調節することで圧力保持ジャッキ28の伸縮速度を調節するための流量方向制御弁41および圧力計42から構成されている。
【0035】
一方、圧力センサ36は、制御手段43と接続されており、押出しピストン27によって押圧されて加圧される自硬性充填材の圧力が刻々と検出されて制御手段43に入力されるようになっている。なお、圧力センサ36としては歪み計型の土圧計を用いることが好適であるが、自硬性充填材圧力を検出できるものであれば他の形式センサも適宜採用可能である。また、本実施の形態においては各押出しピストン27に2つの圧力センサ36を設けてその1つを予備としているが、予備は必ずしも設けることはないし、あるいはそれら2つの圧力センサ36の双方(もしくはさらに多数の圧力センサ)により同時に圧力を検出して検出精度向上を図るようにしても良い。
【0036】
さらに、制御手段43は、計装用コンディショナ44およびプログラマブルコントローラ45から構成されている。計装用コンディショナ44は圧力センサ36からの検出信号を取込んでそれを表示するとともに、自硬性充填材圧力Peの上限値Pe1、下限値Pe2、およびヒステリシス(不感帯)の設定を行なうためのものである。また、プログラマブルコントローラ45は、計装用コンディショナ44からの指示信号に基づき、上記の方向制御弁40に制御信号を出力して圧力保持ジャッキ28の作動を制御するものである。
【0037】
次に、自硬性充填材注入管26の構造の詳細についてを、図6ないし図11を参照して説明する。図6は、図3におけるB−B断面を示した図であり、自硬性充填材注入管26の構造を、シールド掘削機Spの軸線方向と直交する側断面から見たものである。図中に示すように、自硬性充填材注入管26は、その先端26aが、内筒10のテール部10aにまでに至るような状態で、スキンプレート1と内筒10との間に配置されている。
【0038】
図中に示すように、自硬性充填材注入管26は、その先端26aが、仕切板32に設けられた打設孔33の内部に挿通されており、その胴部26bが、配管固定用プレート46および配管固定用基礎プレート47を介してスキンプレート1に対して固定された構成とされている。
【0039】
図6におけるc−c断面およびd−d断面を示したのが、図7および8である。これらの図に示すように、自硬性充填材注入管26は、円筒を軸線に沿った平面で2つに分割した形状とされた半割体48,48から構成されており、これら半割体48,48が、自硬性充填材の流路49を挟んで相対するように配置されることによって、自硬性充填材注入管26が構成されている。
【0040】
半割体48,48においては、図6に示したように、その先端48a、48a側が拡径されることによりフランジ51,51が形成されており、フランジ51,51は、図6、7、8に示すように、半割体48,48の先端部48a,48aに向かって、その外周面51a,51aが直線的に縮径する構成とされている。
【0041】
さらに、図6、7、8に示すように、仕切板32に形成された打設孔33の形状は、フランジ51,51の外周面51a,51aと相補形状となるように、ロート状とされている。
【0042】
図9は、図6におけるe−e断面を示した図である。図中に示すように、自硬性充填材注入管26の胴部26bにおいては、半割体48は、接続用プレート48bが設けられた構成とされており、相対するように配置された接続用プレート48b,48bの間には、パッキン53が配置される構成とされている。接続用プレート48b,48b同士は、ボルト54およびナット55によって連結されており、これによりパッキン53は、接続用プレート48b,48bによって両側から押圧される。このため、流路49の水密性が保たれることとなる。
【0043】
図10は、図6におけるf−f断面を示した図である。図中に示すように、自硬性充填材注入管26を構成する半割体48,48には、それぞれ、配管固定用プレート46,46が取り付けられており、これら配管固定用プレート46,46は、スキンプレート1に固定された配管固定用基礎プレート47に対して、ボルト56によって固定されている。これにより、自硬性充填材注入管26が、スキンプレート1側に固定されることとなる。
【0044】
図11は、図6におけるg−g断面を示した図である。図中に示すように、配管固定用基礎プレート47には、自硬性充填材注入管26を挿通するための開口部57が設けられているとともに、開口部57の周囲には、ボルト56(図10参照)を固定するための孔58が設けられている。孔58には、ボルト56が螺着できるように雌ネジが切られている。
【0045】
以上において、シールド掘削機Spの主要な構成を説明したが、次に図12ないし図15を参照して、シールド掘削機Spを用いたトンネルTの覆工方法について説明する。
なお、図12ないし図15においては、(a)において、ピストン室24およびその近傍を拡大して示した図を、(b)において、自硬性充填材注入部23およびその近傍を拡大して示した図を示すこととする。
【0046】
まず、図12に示すように、内筒10の内側において、鉄筋3を組み立てるとともに、この鉄筋3の内側に型枠4を組立てる。さらに、内筒10と型枠4との間を閉塞する主妻枠6aを、その一端が内筒10の内面に接するように配置し、主妻枠6aの他端側に生じる型枠4の外面の間の隙間を、型枠4の内側から補助型枠6bを突出させることにより塞ぐ。また、推進ジャッキ5は、型枠4に当接させておき、型枠4から推進ジャッキ5が反力をとることができるようにしておく。このとき、自硬性充填材圧力P0が地山圧力PJよりも常に高くなるように、圧力保持ジャッキ28を駆動して押し出しピストン27により打設自硬性充填材を加圧しておく。これにより地下水が浸入してくることが防止されている。
【0047】
次に、図13に示すように、型枠4、内筒10および妻型枠6,6によって囲まれた部分の空間60に、打設管8から自硬性充填材Cを打設する。このとき、トンネルTの周壁Twと型枠4との間に充填された自硬性充填材Cが、地山圧力PJを上回る所定の圧力Poを保つように、制御手段43(図5参照)により圧力保持ジャッキ28を操作しておく。
【0048】
空間60に自硬性充填材Cが充填され、空間60内の自硬性充填材Cの圧力Prが、先行打設されている自硬性充填材圧力Poと同等あるいはやや高くなった時点で、図14に示すように、打設管8のシャッタ9を閉じるとともに、先行の補助妻枠6bを引き下げて後行打設部分を先行打設部分とを連通させる。これにより両者の打設自硬性充填材が一体化されることとなり、さらに、それら全体の自硬性充填材圧力Poが地山圧力Pjより高いままに保持されることとなる。
【0049】
図14に示すように、空間60内への自硬性充填材Cの打設が完了したら、次に、自硬性充填材注入部23内に配置された自硬性充填材注入管26から、トンネルTの周壁Twと型枠4との間の空間に、自硬性充填材Cを打設する。このとき、押出しピストン27は、圧力保持ジャッキ28により常に後方(図示右方)へ押圧されるが、自硬性充填材の打設圧力により自硬性充填材圧力Poが上昇した場合には、制御手段43(図5参照)によって、圧力保持ジャッキ28の作動を漸次前進(図示左方へ移動)するように制御し、自硬性充填材圧力Poを所定の値に保つこととする。
【0050】
制御手段43による圧力保持ジャッキ28の制御の手順は以下の通りである。まず、あらかじめ計装用コンディショナ44により自硬性充填材圧力Poの上限値Po1、下限値Po2、ヒステリシスの設定を行なっておく。それらの値は地山Jの状況等を考慮して適宜設定すれば良いが、一例をあげれば、上限値Po1を地山圧力Pj+1.0kgf/cm2、下限値Po2を地山圧力Pj+0.5kgf/cm2、上限および下限でのヒステリシスをそれぞれ0.2kgf/cm2と設定する。
【0051】
上記のように、自硬性充填材注入管26を通じて、トンネルTの周壁Twと型枠4との間の空間に自硬性充填材Cを打設すれば、打設が進むにつれて自硬性充填材圧力Poは高まっていくこととなる。この自硬性充填材圧力Poは圧力センサ36により刻々と検出されるとともに、自硬性充填材圧力Poが上限値Po1に達した時点(各設定値を上記で例示した値に設定した場合にはPo=Pj+1.0kgf/cm2となった時点)で計装用コンディショナ44からコントローラ45に指示信号が出力され、コントローラ45は方向制御弁40に制御信号を出力してそれを圧力保持ジャッキ28を縮退させる方向に切換える。これにより圧力保持ジャッキ28は徐々に縮退していき、自硬性充填材圧力Poは上限値Po1から低下していく。
【0052】
この圧力保持ジャッキ28の縮退は、自硬性充填材圧力Poがヒステリシス分だけ低下するまで(上記の場合はPj+0.8kgf/cm2となるまで)継続し、自硬性充填材圧力Poがその値に達したことが圧力センサ36により検出されたら、計装用コンディショナ44からコントローラ45に指示信号が出力され、コントローラ45は方向制御弁40に制御信号を出力してそれをニュートラルの位置に切換え、圧力保持ジャッキ28への作動油の供給を停止してそれをロックする。これにより自硬性充填材圧力Poの低下が停止することとなる。
【0053】
さらに自硬性充填材打設が継続されれば自硬性充填材圧力Poは再び上昇するが、それに伴い以上の動作が自動的に繰り返されて自硬性充填材圧力Poは上限値Po1を越えて上昇することがない。
【0054】
以上のようにして圧力保持ジャッキ28によって、自硬性充填材圧力Poを所定の値に保ちながら、トンネルTの周壁Twと型枠4との間の空間に、自硬性充填材Cを打設していくわけであるが、自硬性充填材Cの打設量が一定の値に達したら、今度は、推進ジャッキ5を作動させてシールド掘削機Spを前方に掘進させる。
【0055】
シールド掘削機Spを掘進させる際には、圧力保持ジャッキ28および押出しピストン27もともに前進していくので、自硬性充填材圧力Poは低下することになるが、自硬性充填材圧力Poは、地山圧力PJよりも大きい値に保っておく必要があり、このためには、押出しピストン27により打設自硬性充填材を押圧して自硬性充填材圧力Poを保持しておかなければならない。したがって、この場合には、制御手段43および圧力保持ジャッキ28を以下のように作動させて後方(図中右方)へ移動させることとする。
【0056】
すなわち、掘進につれて低下していく自硬性充填材圧力Poは圧力センサ36により刻々と検出され、自硬性充填材圧力Poが下限値Po2に達した時点(各設定値を上記で例示した値に設定した場合にはPo=Pj+0.5kgf/cm2となった時点)で計装用コンディショナ44からコントローラ45に指示信号が出力され、コントローラ45は方向制御弁40に制御信号を出力して、それを圧力保持ジャッキ28を伸長させる方向に切換える。これにより圧力保持ジャッキ28は徐々に伸長して自硬性充填材を加圧していき、自硬性充填材圧力Poは下限値Po2から上昇していく。自硬性充填材圧力Poがヒステリシス分だけ上昇するまで(上記例の場合にはPj+0.7kgf/cm2となるまで)それが継続し、自硬性充填材圧力Poがその値に達したことが圧力センサ36により検出されたら、計装用コンディショナ44からコントローラ45に指示信号が出力され、コントローラ45は方向制御弁40に制御信号を出力してそれをニュートラルの位置に切換え、圧力保持ジャッキ28への作動油の供給を停止してそれをロックする。これにより自硬性充填材圧力Poの上昇はその時点で停止する。さらに掘進が継続されれば自硬性充填材圧力Poは再び低下するが、それに伴い以上の動作が自動的に繰り返されて自硬性充填材圧力Poは下限値Po2を越えて低下することがない。
【0057】
このようにシールド掘削機Spを掘進させる際には、以上のようにして、押し出しピストン27を後方へ移動させて打設自硬性充填材を加圧しつつ、その一方で、スキンプレート1側に固定された自硬性充填材注入管26をスキンプレート1とともに一体的に移動させることとする。これにより、トンネル掘進時に自硬性充填材注入管26がシールド掘削機Sp内を動くことがなくなる。
【0058】
また、このように、トンネルTの掘進を行ったら、その後に、図15に示すように、推進ジャッキ5を引戻し、図12に示したように、推進ジャッキ5と型枠4および鉄筋3との間の空間に、新たな鉄筋3の配筋と型枠4の組み立てを行なう。また、この場合にも、常に打設自硬性充填材圧力Poが、地山圧力PJを上回るように、圧力保持ジャッキ28を制御して押し出しピストン52により打設自硬性充填材を押圧する。
【0059】
本実施の形態においては、以上の手順を繰り返してトンネルTの掘進が行なわれることとなる。なお、上記の制御手段43による圧力保持ジャッキ28制御動作は電気的に行なわれるから、リリーフ弁等を作動させることによりり圧力保持ジャッキ28を縮退させるようにする場合と比較して、応答性の点で格段に優れたものとなっている。したがって、自硬性充填材圧力Poが急激に変化したような場合であっても圧力保持ジャッキ28が速やかに追随して自硬性充填材圧力Poが上限値Po1あるいは下限値Po2を越えてしまうようなことはない。また、上記の手順において、自硬性充填材注入部23への自硬性充填材打設とシールド機Spの掘進を同時に行なうようにしてもよいが、この場合に、自硬性充填材注入部23内における自硬性充填材圧力Poはより複雑に変化したとしても、圧力センサ36により検出される実際の自硬性充填材圧力Poに応じて圧力保持ジャッキ28が自ずと最適に作動し、自硬性充填材圧力Poが上限値Po1を越えて上昇したり下限値Po2を越えて低下することが確実に防止されることとなる。
【0060】
上述のシールド掘削機Spにおいては、スキンプレート1と内筒10との間に、周壁Twと型枠4との間の空間と連通した自硬性充填材注入部23とピストン室24とが別個に形成されており、これらのうち、自硬性充填材注入部23には、自硬性充填材注入管26が、ピストン室24には、押し出しピストン27が配置される構成とされている。
【0061】
このように、自硬性充填材注入部23とピストン室24とを分離したことにより、押し出しピストン27に自硬性充填材打設のための孔を設ける必要がなくなり、したがって、押し出しピストン27において断面欠損が生じることがなく、従来と比較して、押し出しピストン27の構造的な強度が高められる。これにより、自硬性充填材圧力Poを高い値に設定した場合にも、押し出しピストン27の幅を大きくして、その構造的な強度を高める必要がなくなり、トンネルTの覆工厚さ寸法を、従来技術と比較して小さくすることができる。したがって、トンネルTにおいて、同一の内部空間を確保しようとする場合、従来技術を用いた場合に比べてトンネルTの掘削断面積を小さくして、その建設コストの低減化を図ることができる。
【0062】
さらに、上述のシールド掘削機Spにおいては、自硬性充填材注入管26が、配管固定用プレート46および配管固定用基礎プレート47を介してスキンプレート1に固定される構成とされる。これにより、自硬性充填材注入管26によってトンネルTの周壁Twと型枠4との間の空間に自硬性充填材Cを打設していく場合や、シールド掘削機Spを前方に掘進させる場合にも、自硬性充填材注入管26がシールド掘削機Spの中を動くことがなく、従来のシールド掘削機Sのように自硬性充填材打設管15の移動スペースを、その内部に開けておく必要がなくなる。
【0063】
また、シールド掘削機Spにおいては、自硬性充填材注入管26がシールド掘削機Spの中を移動しないために、自硬性充填材注入管26をフレキシブルホースのような柔軟性をもった素材により形成する必要がなく、自硬性充填材打設時に、ホースが振れたりするような不具合が生じない。このように、本実施の形態のシールド掘削機Spは、従来のものにくらべて、使用性に優れたものとなる。
【0064】
さらに、シールド掘削機Spは、自硬性充填材注入管26が、スキンプレート1側に固定されるために、フレキシブルホースなどを用いた配管にくらべて、管の配置や形状等が複雑になる懸念が少なく、これにより、管の内部において自硬性充填材Cが詰まる心配も減少する。したがって、このシールド掘削機Spは、従来のものにくらべて、安全性においても優れている。
【0065】
また、上述のシールド掘削機Spを用いたトンネル覆工方法によれば、シールド掘削機Spを前方に掘進させる際に、自硬性充填材注入管26がシールド掘削機Spの中を動くことがないため、自硬性充填材注入管26の移動スペースを、その内部に開けておく必要がなくなる。これにより、シールド掘削機Sp内部の空間を有効に利用することができる。
【0066】
また、このトンネル覆工方法においては、自硬性充填材注入管26がスキンプレート1側にあらかじめ固定されており、トンネルTの掘進時には、ピストン室24において押し出しピストン27により打設自硬性充填材の押圧が行われるとともに、自硬性充填材注入部23において、自硬性充填材注入管26がスキンプレート1と一体となって前進する。このような覆工方法を採用したことにより、自硬性充填材注入管26をフレキシブルホースのような柔軟性をもった素材によって形成しておく必要がなくなる。したがって、自硬性充填材打設管26が振れたり、その配置や形状等が複雑になるなどの心配がなく、さらに、管の内部において自硬性充填材Cが詰まる心配も減少し、シールド掘削機Spの信頼性が向上することとなる。
【0067】
以上において、第一の実施の形態を説明したが、本発明は上記第一の実施の形態に限定されるものではなく、その主旨を逸脱しない範囲で、上記実施の形態の構成の一部を以下のように変更することが可能である。
【0068】
例えば、図16に示すように、本発明のシールド掘削機Spを、トンネル覆工壁Wに鉄筋が配筋されないようなトンネルT’に適用するようにしてもよい。この場合のシールド掘削機Spに係る作用および効果は、鉄筋の配置を行う手順が省略されることを除けば、上記実施の形態と全く同様である。また、図16のようにシールド掘削機Spを、トンネルT’の構築に適用した場合には、内筒10のテール部10aと型枠4との間に、ステンレス板などの材料からなるテールシール62を配置して、シールド掘削機Sp内に自硬性充填材Cが浸入しないようにすることが好適である。図17は、このテールシール62の形状を拡大して示した図である。このように、テールシール62は内筒10に対して、ボルト63によって接合される。また、テールシール62を用いることによって、内筒10と型枠4との間に間隙64を形成して、シールド掘削機Spがスムーズに移動するようにすることが可能である。
【0069】
また、図18は、図2に示した上記実施の形態のシールド掘削機Spのテール部の構成を変形した場合の例である。なお、図中においては、上記実施の形態と相違する内筒10とスキンプレート1との間の自硬性充填材充填空間部21の構成のみが図示されている。
【0070】
図18に示した自硬性充填材充填空間部21は、図2に示したものと同様に、隔壁30によってその周方向に分割されており、なおかつ、自硬性充填材注入管26の配置された自硬性充填材注入部23と、押し出しピストン27が配置されたピストン室24とを備えて構成されているが、その他に、自硬性充填材注入管26と押し出しピストン27のいずれもが配置されない空間65を備えた構成とされている。また、図19は、図18におけるh−h断面を示した図であり、空間65のテール部には、先端閉塞用プレート66が配置されており、打設された自硬性充填材がシールド掘削機Sp内に浸入しないような構成とされている。
【0071】
自硬性充填材が十分流動性を保っていれば、自硬性充填材の圧力は遠くまで伝播するため、上記実施の形態のように、自硬性充填材充填空間部21の全てを自硬性充填材注入部23と押し出しピストン27とのみによって形成する必要はなく、自硬性充填材充填空間部21を、図18に示したような構成とすることも可能である。
【0072】
さらに、図20は、シールド掘削機Spを、矩形トンネルを構築するための矩形シールド機として構成した場合の図である。図18と同様に、ここでも自硬性充填材充填空間部21の構成のみが示されている。図2および図18と同様に、自硬性充填材充填空間部21は、隔壁30によってその周方向に分割されており、なおかつ、自硬性充填材注入管26の配置された自硬性充填材注入部23と、押し出しピストン27が配置されたピストン室24とを備えて構成されている。さらに、この場合にも、図18に示したものと同様に、自硬性充填材充填空間部21を自硬性充填材注入管26および押し出しピストン27のいずれもが配置されない空間65を備えたものとすることも可能である。
【0073】
[第二の実施の形態]
次に、本発明に係る第二の実施の形態について説明する。以下に説明する第二の実施の形態は、鉄筋を配筋せずにトンネルを構築するためのシールド掘削機およびそれを用いたトンネル覆工方法についての例であり、前記第一の実施の形態と共通する構成については同符号を付し、その説明を省略する。
【0074】
図21に示すように、地山JにおいてトンネルT’を掘削するためのシールド掘削機Sp’は、スキンプレート1の先端部に地山Jを掘削するカッター装置2を備え、スキンプレート1内には推進ジャッキ5を備えている。
このシールド掘削機Sp’では、スキンプレート1の後方側で型枠4が組み立てられ、この型枠4とトンネルT’の周壁Twとの間に自硬性充填材を打設充填することにより、無筋(鉄筋の配筋されていない)トンネル覆工壁W’が形成される構成となっている。
【0075】
このシールド掘削機Sp’が前記第一の実施の形態で示したシールド掘削機Spと最も異なる点は、シールド掘削機Sp’は、前記第一の実施の形態におけるシールド掘削機Spの如く、スキンプレート1のテール部の内側に内筒10(図1参照)を備えていない点である。
【0076】
すなわち、シールド掘削機Sp’には、スキンプレート1のテール部の内側に、自硬性充填材充填空間部101が型枠4と周壁Twとの間の空間に対して連通状態に形成されている。図22に示すように、この自硬性充填材充填空間部101は、自硬性充填材注入部103とピストン室104とが互いに分割され、これらがスキンプレート1の周方向において交互に並べられて配設された構成からなっている。
【0077】
ピストン室104は、スキンプレート1の内周面に一体に設けられたシリンダ部材105によって形成されている。シリンダ部材105は、スキンプレート1の内周面に略直交する側壁部105a,105aと、スキンプレート1の内周面よりも所定寸法内側に位置する円弧状の内壁部105bとから形成された断面視略コ字状で、両側端部の側壁部105a,105aがスキンプレート1の内周面に溶接される等して一体に固定されている。つまり、ピストン室104は、シリンダ部材105の側壁部105a,105aおよび内壁部105bと、スキンプレート1の内周面とに囲まれて形成されているのである。
【0078】
このピストン室104内には、押し出しピストン27が、前後両方向にスライド自在に配設され、これがスキンプレート1側に固定された圧力保持ジャッキ28によって進退駆動されて、シールド掘削機Sp’の軸線に平行な方向から押圧できる構成となっている。
【0079】
図23(a)は、図22のシールド掘削機Sp’のA’−A’断面を、つまり圧力保持ジャッキ28および押し出しピストン27をシールド掘削機Sp’の軸線方向と直交する方向から側面視した図である。図中に示すように、押し出しピストン27には、そのスキンプレート1側とシリンダ部材105の内壁部105b側の周囲にシール部材35が配置されている。この圧力保持ジャッキ28による圧力保持機構、およびそのための制御機構は、前記第一の実施の形態で説明した通りであり、ここではその説明を省略する。
【0080】
図22に示したように、自硬性充填材充填空間部101には、シリンダ部材105によって周方向に間隔を隔てて複数のピストン室104が設けられ、これらピストン室104以外の部分、言い換えると、隣り合うピストン室104,104間に前記自硬性充填材注入部103が形成されたこととなる。
【0081】
図23(b)は、図22のシールド掘削機Sp’のB’−B’断面を示している。自硬性充填材注入部103の内部には、スキンプレート1の後端部位置に、周壁Twと型枠4との間に充填された自硬性充填材がシールド内に浸入することを防ぐためのエンドプレート106が設けられている。
そして、図23(b)に示したように、このエンドプレート106には打設孔33が設けられ、この打設孔33に自硬性充填材注入管26の先端が挿通されている。図22に示したように、各自硬性充填材注入管26は、自硬性充填材注入部103にむけてのみ配置され、ピストン室104には配置されていない。
【0082】
また、図23(a)および(b)に示したように、ピストン室104を構成するシリンダ部材105の内壁部105b、および自硬性充填材注入部103に設けられたエンドプレート106には、それぞれその内周側の端縁部に、内方で組立てる型枠4との隙間をシールするテールシール107が取り付けられている。
【0083】
このような構成のシールド掘削機Sp’では、前記第一の実施の形態で示したシールド掘削機Spと同様に、地山Jをカッター装置2で掘削し、その後方のスキンプレート1内で組み上げた型枠4と周壁Twとの間に自硬性充填材を打設充填することによりトンネル覆工壁W’(ただし、無筋である)を形成しつつ、推進ジャッキ5で型枠4に反力をとって掘進方向に推進していくことによってトンネルT’を構築していくようになっている。
【0084】
そして、型枠4と周壁Twとの間に自硬性充填材を打設充填するときには、自硬性充填材注入部103の自硬性充填材注入管26から、エンドプレート106の後方の型枠4と周壁Twとの間の空間に自硬性充填材を打設しつつ、ピストン室104内の押し出しピストン27を圧力保持ジャッキ28で進退駆動させることによって、打設した自硬性充填材を押圧して所定以上の圧力に保持するようになっている。
【0085】
上述したシールド掘削機Sp’では、スキンプレート1の内周面側に、周壁Twと型枠4との間の空間と連通した自硬性充填材充填空間部101が配設され、この自硬性充填材充填空間部101には自硬性充填材注入部103とピストン室104とが別個に形成された構成となっている。これにより、前記第一の実施の形態と同様に、ピストン室104の押し出しピストン27に自硬性充填材打設のための孔を設ける必要がなくなり、断面欠損が生じることがないので押し出しピストン27の構造的な強度が高められる。したがってトンネルT’の覆工厚さ寸法を、従来技術と比較して小さくすることができ、トンネルT’において同一の内部空間を確保しようとする場合、従来技術を用いた場合に比べてトンネルTの掘削断面積を小さくして、その建設コストの低減化を図ることができる。
【0086】
さらに、上述のシールド掘削機Sp’においては、自硬性充填材注入管26がエンドプレート106等を介してスキンプレート1に固定される構成となっており、これにより、前記第一の実施の形態と同様、自硬性充填材注入管26がシールド掘削機Sp’の中を動くことがない。したがって、スキンプレート1内の空間の有効利用が図られるとともに、、使用性および安全性に優れたものとなる。
【0087】
加えて、上述した第二の実施の形態におけるシールド掘削機Sp’は、前記第一の実施の形態におけるシールド掘削機Spとは異なり、スキンプレート1の内周面にその両側端部が固定されたシリンダ部材105によってピストン室104が形成された構成となっている。前記第一の実施の形態におけるシールド掘削機Spにおいては、図2に示したように、スキンプレート1のテール部に内筒10が設けられ、二重構造となっている。このようにテール部を二重にして内筒10を製作する場合にはその溶接に手間がかかり、特にピストン室23の精度を確保するためには、内筒10が大型で、しかも内筒10とスキンプレート1との間に隔壁30を設置しなければならないために多大な手間が必要となり、製作費が嵩む原因となる。これに対して、本第二の実施の形態におけるシールド掘削機Sp’では、スキンプレート1の内周面にシリンダ部材105を溶接するのみでよいので、前記のような問題が発生せず、製作を容易に行って製作費を低減することが可能となる。さらに、シリンダ部材105に押し出し材や鋳造品等を用い、予め所定形状に成形しておけば、この効果はより一層顕著なものとなる。
【0088】
なお、上記第二の実施の形態においても、前記第一の実施の形態と同様、他の変形例にも適用可能である。
【0089】
例えば、図24に示すものは、上記実施の形態のシールド掘削機Sp’のテール部の構成を変形した場合の例である。なお、図中においては、上記実施の形態と相違する自硬性充填材充填空間部101の構成のみが図示されている。
自硬性充填材充填空間部101は、図22に示したものと同様に、シリンダ部材105によってピストン室104が形成され、互いに隣接するピストン室104,104間の空間が自硬性充填材注入部103とされた構成となっているが、その他に、自硬性充填材注入管26と押し出しピストン27のいずれもが配置されない空間109を備えている。図25は、図24におけるh’−h’断面を示した図であり、空間109のテール部には、エンドプレート110が配置されており、打設された自硬性充填材がシールド掘削機Sp’内に浸入しないような構成とされている。
自硬性充填材が十分流動性を保っていれば、自硬性充填材の圧力は遠くまで伝播するため、上記実施の形態のように、自硬性充填材充填空間部101の全てを自硬性充填材注入部103とピストン室104とのみによって形成する必要はなく、自硬性充填材充填空間部101を、図24に示したような構成とすることも可能である。
【0090】
さらに、図26に示すものは、シールド掘削機Sp’を、矩形トンネルを構築するための矩形シールド機として構成した場合の図である。図24と同様に、ここでも自硬性充填材充填空間部101の構成のみが示されている。図22および図24と同様に、自硬性充填材充填空間部101は、シリンダ部材105によってピストン室104が形成され、互いに隣接するピストン室104,104間の空間が自硬性充填材注入部103とされて構成されている。さらに、この場合にも、図24に示したものと同様に、自硬性充填材充填空間部101を自硬性充填材注入管26および押し出しピストン27のいずれもが配置されない空間109を備えたものとすることも可能である。
【0091】
また、図27に示すものは、円形シールドで、かつ自硬性充填材を打設する部分の覆工厚が厚い場合に用いるシールド掘削機Sp’として構成した場合の図である。このシールド掘削機Sp’では、スキンプレート1のテール部の内側に、自硬性充填材充填空間部101が型枠4と周壁Twとの間の空間に対して連通状態に形成されている。この自硬性充填材充填空間部101は、自硬性充填材注入部103と、断面視円形のシリンダ部材112によって形成されたピストン室104とが、スキンプレート1の周方向において交互に配設された構成からなっている。自硬性充填材注入部103は、互いに隣接するピストン室104,104間に配設され、この自硬性充填材注入部103には自硬性充填材注入管26が配されている。図28(a)および(b)に示すように、このシールド掘削機Sp’には、スキンプレート1のテール部の内側にエンドプレート113が設けられており、シリンダ部材112および自硬性充填材注入管26は、このエンドプレート113の所定位置に形成された孔114に固定されている。
このように、自硬性充填材の覆工厚が厚い場合等には、シリンダ部材112を筒状とし、これをエンドプレート113等を介してスキンプレート1に一体に固定する構成としても良い。
【0092】
ところで、本出願人は、大断面トンネルを構築するための技術として、例えば特願平9−274872号に示す技術を既に提案している。これは、図29に示すように、例えば断面視略日字状のトンネル構造体121を構築し、その内方に空間を形成するもので、このトンネル構造体121は、断面視円形の円形シールドトンネル122と、互いに平行な平面を有した平面シールドトンネル123とが周方向交互に配置され、これらがその一部を互いに重合させて一体化された構成からなっている。各平面シールドトンネル123は、その内部に組み上げる型枠(セグメント)124が、相対向する2面が平板部124a,124aとされ、これら平板部124aの両側の2面が、略円弧状の凹部124b,124bとなるよう構成された特殊なものである。
【0093】
本発明に係る技術は、このような大断面トンネルを構成する平面シールドトンネル123の構築に際して用いるシールド掘削機Sp”にも適用が可能であり、図30に示すように、シールド掘削機Sp”は、断面視矩形のスキンプレート1内で組み上げる特殊形状の型枠124の凹部124bと周壁Twの間の空間に自硬性充填材充填空間部125が形成されている。この自硬性充填材充填空間部125は、自硬性充填材注入部103と、断面視円形のシリンダ部材112によって形成されたピストン室104とが、スキンプレート1の周方向に互いに隔てられて配設された構成からなっている。自硬性充填材注入部103には自硬性充填材注入管26が配されている。図28(a)および(b)に示したように、このシールド掘削機Sp”には、スキンプレート1のテール部の内側に自硬性充填材充填空間部125に対応したエンドプレート126が設けられており、シリンダ部材112および自硬性充填材注入管26は、このエンドプレート126の所定位置に形成された孔127に固定されている。
このように、自硬性充填材の覆工部分の形状が特殊である場合にも、シリンダ部材112を、エンドプレート126等を介してスキンプレート1に一体に固定する構成としても良い。
【0094】
また、上記第一および第二の実施の形態において、図9に示したような上記実施の形態の自硬性充填材注入管26の断面形状を図31や図32のようにしても差し支えない。このように、自硬性充填材注入管26の断面を楕円形や長方形のような偏平な形状とすることにより、図9に示した円形の場合の流路49と同一あるいはそれ以上の断面積を確保しながら、スキンプレート1と内筒10との間の幅寸法を縮小することができ、これによりトンネルTの覆工厚さを低減して、トンネルTの掘削断面積を縮小化することができる。また、自硬性充填材注入管26を、長方形の形状とした場合には、硬化後の自硬性充填材を取り出すときに便利なように、図32に示すように、その内部にテーパー部68を設けておくのが好適である。また、図32において示した自硬性充填材注入管26を構成する半割体48,48としては、溝型鋼を使用することが好適である。
【0095】
なお、図31や図32に示すように自硬性充填材注入管26を形成する場合、自硬性充填材注入管26を全てに渡って偏平な形状とする必要はなく、自硬性充填材注入部に挿通される部分だけを図31、図32に示すような形状とすればよい。この場合、自硬性充填材注入部に挿通される部分以外を、通常の円形断面によって構成し、徐々に断面を楕円形あるいは長方形に変化させるようにすれば、断面が変化する部分での圧力損失を防ぐことができる。また、このように自硬性充填材注入管26を偏平断面とした場合には、円形断面に比較して自硬性充填材の圧力損失が大きくなるため、偏平断面部においては、円形断面部よりも断面積を大きくすることが好適である。
【0096】
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない範囲内であれば、いかなる構成を採用しても良く、また上記したような構成を適宜選択的に組み合わせたものとしても良いのは言うまでもない。
【0097】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係るシールド掘削機によれば、スキンプレートの内周面側に形成された自硬性充填材充填空間部が、その周方向に互いに隔てられた自硬性充填材注入部とピストン室とを備えて構成されている。さらに、これらのうち、自硬性充填材注入部には自硬性充填材注入管が、ピストン室には押し出しピストンが配置された構成となっている。また、請求項2に係るシールド掘削機によれば、自硬性充填材充填空間部が、スキンプレートとスキンプレートのテール部の内側に配置された内筒との間に形成されるとともに、自硬性充填材注入部とピストン室とが、スキンプレートおよび内筒を連結する複数の隔壁によって隔てられた構成となっている。
本発明のシールド掘削機においては、このように、自硬性充填材注入部とピストン室とが分離されており、押し出しピストンに自硬性充填材打設のための孔を設ける必要がなく、押し出しピストンにおいて断面欠損が生じない。このため、従来と比較して、押し出しピストンの構造的な強度が高められ、その結果、押し出しピストンの幅を小さくして、トンネル覆工の厚さ寸法を従来技術と比較して縮小化することができる。これにより、トンネルの掘削断面積を小さくして、建設コストの低減化を図ることができる。
【0098】
請求項3に係るシールド掘削機によれば、ピストン室が、その内壁面を形成するシリンダ部材をスキンプレートの内周面に固定することによって形成され、互いに隣り合うシリンダ部材間の空間を自硬性充填材注入部とした構成となっている。これにより、スキンプレートのテール部に内筒を設けて二重構造とする必要もなく、シールド掘削機の製作費を低減することが可能となる。
【0099】
請求項4に係るシールド掘削機においては、自硬性充填材注入管が、スキンプレートに対して固定される構成となっている。これにより、自硬性充填材打設時や、シールド掘削機の掘進時においても、自硬性充填材注入管がシールド掘削機の中を動くことがなく、従来のシールド掘削機のように自硬性充填材打設管の移動スペースを、その内部に開けておく必要がなくなる。さらに、このシールド掘削機は、自硬性充填材注入管がシールド掘削機の中を移動しないために、自硬性充填材注入管をフレキシブルホースのような柔軟性をもった素材により形成する必要がなく、従来のシールド掘削機のように、自硬性充填材打設時に、ホースが振れたりするような不具合が生じない。これらのことから、本発明によれば、使用性に優れたシールド掘削機が実現されることとなる。
さらに、このシールド掘削機によれば、フレキシブルホースなどを用いた配管を用いた従来の装置に比べて、管の配置や形状等が複雑になる懸念が少なくなり、これにより、管の内部において自硬性充填材が詰まる心配も減少し、その信頼性も向上することとなる。
【0100】
請求項5に係るシールド掘削機を用いたトンネル覆工方法においては、シールド掘削機として、スキンプレートの内側の自硬性充填材充填空間部に、周壁と型枠との間の空間に対して連通状態とされた自硬性充填材注入部とピストン室とが形成され、さらに、ピストン室の内部に、前後両方向にスライド自在とされる押し出しピストンが配置されたものが用いられる。そして、トンネルを掘進させる際には、ピストン室において押し出しピストンにより打設自硬性充填材の押圧が行われるとともに、自硬性充填材注入部において、自硬性充填材注入管はスキンプレートと一体となって前進する。このように、本発明によれば、自硬性充填材注入管がシールド掘削機の中を動くことがないため、自硬性充填材注入管の移動スペースを、シールド掘削機の内部に開けておく必要がなく、その内部空間を有効に利用することが可能となる。さらに、本発明によれば、自硬性充填材注入管をフレキシブルホースのような柔軟性をもった素材によって形成しておく必要がなくなり、自硬性充填材注入管が振れたり、その配置や形状等が複雑になるなどの心配がなく、さらに、管の内部において自硬性充填材が詰まる心配も減少し、シールド掘削機の信頼性が向上することとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第一の実施の形態を模式的に示すシールド掘削機の側断面図である。
【図2】 図1におけるI−I矢視断面図である。
【図3】 図1におけるII−II矢視断面図である。
【図4】 図3におけるA−A矢視断面図である。
【図5】 図4に示した押し出しピストンおよび圧力保持ジャッキの制御機構を示す図である。
【図6】 図3におけるB−B矢視断面図である。
【図7】 図6におけるc−c矢視断面図である。
【図8】 図6におけるd−d矢視断面図である。
【図9】 図6におけるe−e矢視断面図である。
【図10】 図6におけるf−f矢視断面図である。
【図11】 図6におけるg−g矢視断面図である。
【図12】 本発明のシールド掘削機を用いたトンネルの施工手順を示す側断面図であって、(a)は、シールド掘削機におけるピストン室の近傍を示す図、(b)は、同、自硬性充填材注入部の近傍を示す図である。
【図13】 本発明のシールド掘削機を用いたトンネルの施工手順を示す側断面図であって、(a)は、シールド掘削機におけるピストン室の近傍を示す図、(b)は、同、自硬性充填材注入部の近傍を示す図である。
【図14】 本発明のシールド掘削機を用いたトンネルの施工手順を示す側断面図であって、(a)は、シールド掘削機におけるピストン室の近傍を示す図、(b)は、同、自硬性充填材注入部の近傍を示す図である。
【図15】 本発明のシールド掘削機を用いたトンネルの施工手順を示す側断面図であって、(a)は、シールド掘削機におけるピストン室の近傍を示す図、(b)は、同、自硬性充填材注入部の近傍を示す図である。
【図16】 本発明の他の実施の形態を示す図であって、本発明のシールド掘削機を、覆工壁に鉄筋が配筋されないトンネルの構築に用いた場合の側断面図である。
【図17】 図16に示したテールシールを拡大して示した側断面図である。
【図18】 本発明の第一の実施の形態の他の一例を示す図であって、上記第一の実施の形態における自硬性充填材充填空間部の構成を変更した場合を示す立断面図である。
【図19】 図18におけるh−h矢視断面図である。
【図20】 本発明の第一の実施の形態の他の一例を示す図であって、本発明のシールド掘削機を、矩形シールド掘削機として構成した場合の自硬性充填材充填空間部の状態を示す立断面図である。
【図21】 本発明の第二の実施の形態を模式的に示すシールド掘削機の側断面図である。
【図22】 前記シールド掘削機の自硬性充填材充填空間部を示す立断面図である。
【図23】 図22における(a)A’−A’矢視断面図、(b)B’−B’矢視断面図である。
【図24】 本発明の他の実施の形態を示す図であって、上記第二の実施の形態における自硬性充填材充填空間部の構成を変更した場合を示す立断面図である。
【図25】 図24におけるh’−h’矢視断面図である。
【図26】 本発明の第二の実施の形態の他の一例を示す図であって、本発明のシールド掘削機を、矩形シールド掘削機として構成した場合の自硬性充填材充填空間部の状態を示す立断面図である。
【図27】 同、本発明のシールド掘削機を、覆工厚の厚い円形シールドトンネルを構築するためのシールド掘削機として構成した場合の自硬性充填材充填空間部の状態を示す立断面図である。
【図28】 図27における(a)A”−A”矢視断面図、(b)B”−B”矢視断面図である。
【図29】 本発明の第二の実施の形態のさらに他の一例を示す図であって、本発明のシールド掘削機を適用して構築する大断面トンネルの一例を示す立断面図である。
【図30】 同、本発明のシールド掘削機を、図29に示したトンネルを構築するためのシールド掘削機として構成した場合の自硬性充填材充填空間部の状態を示す半立断面図である。
【図31】 本発明の他の実施の形態を示す図であって、本発明のシールド掘削機における自硬性充填材注入管の構成を上記実施の形態から変更した場合の例を示す断面図である。
【図32】 本発明の他の実施の形態を示す図であって、本発明のシールド掘削機における自硬性充填材注入管の構成を上記実施の形態から変更した場合の例を示す断面図である。
【図33】 本発明の従来の技術を示すための図であって、ECL工法を用いてトンネルを構築する際に用いられるシールド掘削機を示す側断面図である。
【図34】 同、正面図である。
【図35】 本発明の従来の技術を示すための図であって、上記シールド掘削機を用いてトンネルを構築する際の手順を示すための側断面図である。
【図36】 本発明の従来の技術を示すための図であって、上記シールド掘削機を用いてトンネルを構築する際の手順を示すための側断面図である。
【図37】 本発明の従来の技術を示すための図であって、上記シールド掘削機を用いてトンネルを構築する際の手順を示すための側断面図である。
【符号の説明】
J 地山
W,W’ トンネル覆工壁
Po 自硬性充填材圧力
Pj 地山圧力
Sp,Sp’,Sp” シールド掘削機
Tw 周壁
1 スキンプレート
2 カッター装置
4,124 型枠
10 内筒
21,101,125 自硬性充填材充填空間部
23,103 自硬性充填材注入部
24,104 ピストン室
26 自硬性充填材注入管
27 押し出しピストン
28 圧力保持ジャッキ
105,112 シリンダ部材

Claims (5)

  1. 先端のカッターにより地盤を掘削しつつ掘削された地盤の周壁を所定の間隔を空けて型枠により覆い、該型枠と前記周壁との間に自硬性充填材を充填し、前記周壁の内面を覆工するためのシールド掘削機であって、
    該シールド掘削機のスキンプレートの内周面側には、自硬性充填材充填空間部が、前記周壁と前記型枠との間の空間に対向するよう形成され、
    該自硬性充填材充填空間部は、自硬性充填材注入部とピストン室とを前記スキンプレートの周方向に互いに隔てられて備えた構成とされ、
    該ピストン室の内部には、前後両方向にスライド自在とされるとともに、前記スキンプレート側に固定された圧力保持ジャッキによって駆動される押し出しピストンが配置され、
    該自硬性充填材注入部の内部には、自硬性充填材注入管が配置されることを特徴とするシールド掘削機。
  2. 請求項1記載のシールド掘削機であって、
    前記自硬性充填材充填空間部が、前記スキンプレートと該スキンプレートのテール部の内側に配置された内筒との間に形成されるとともに、
    前記自硬性充填材注入部と前記ピストン室とが、前記スキンプレートおよび前記内筒を連結する複数の隔壁によって前記スキンプレートの周方向に隔てられてなることを特徴とするシールド掘削機。
  3. 請求項1記載のシールド掘削機であって、前記ピストン室の内壁面を形成するシリンダ部材が前記スキンプレートの内周面に一体に固定されることによって前記ピストン室が形成され、互いに隣り合う前記ピストン室の間の空間が、前記自硬性充填材注入部とされていることを特徴とするシールド掘削機。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載のシールド掘削機であって、前記自硬性充填材注入管は、前記スキンプレートに対して固定されていることを特徴とするシールド掘削機。
  5. シールド掘削機の先端のカッターにより地盤を掘削しつつ掘削された地盤の周壁を所定の間隔を空けて型枠により覆い、該型枠と前記周壁との間に自硬性充填材を充填し、前記周壁の内面を覆工するシールド掘削機を用いたトンネル覆工方法であって、
    該シールド掘削機として、スキンプレートの内周面側に、前記周壁と前記型枠との間の空間に対向するよう自硬性充填材充填空間部を形成し、該自硬性充填材充填空間部に、自硬性充填材注入部とピストン室とを形成するとともに、該ピストン室の内部に、前後両方向にスライド自在とされる押し出しピストンを配置したものを用い、
    前記自硬性充填材注入部の内部に、自硬性充填材注入管を配置するとともに、該自硬性充填材注入管を前記スキンプレート側に固定しておき、
    トンネルを掘進するに際し、前記押し出しピストンを後方に移動させて、前記周壁と前記型枠との間の空間に対して前記自硬性充填材注入管から注入充填された自硬性充填材を加圧しつつ、
    前記自硬性充填材注入管と前記スキンプレートとを一体的に前進させることを特徴とするシールド掘削機を用いたトンネル覆工方法。
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