JP3749792B2 - 速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置 - Google Patents

速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、1台の可変電圧可変周波数インバータ(以下、VVVFインバータと称する)により、電気車駆動用の少なくとも1台の誘導電動機を駆動するベクトル制御方式の制御装置に係り、特に速度検出器を用いずに各誘導電動機の空転を抑制できるようにした速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図13は、この種の従来のベクトル制御方式の電気車駆動用誘導電動機の制御装置の概略構成例を示すブロック図である。
図13において、直流を任意の周波数の交流に変換するVVVFインバータ1の交流側に、電気車駆動用の複数n台(n>1:図では4台)の誘導電動機3,4,5,6が接続され、トルク指令に追従したトルクを各誘導電動機3,4,5,6が出力するように、トルク制御部2がVVVFインバータ1を制御するようになっている。
【0003】
電気車では、各誘導電動機3,4,5,6が、車輪25,26,27,28を介してそれぞれレール12に接している。
そして、車輪25,26,27,28と電気車の車体速度とが微少な速度差を持つことにより、誘導電動機3,4,5,6の出力するトルクを車輪25,26,27,28とレール12間の粘着力としてレール12に伝え、電気車の推進力とする。
【0004】
図14は、電気車の車体速度と車輪速度との速度差と、粘着力すなわち車体推進力との関係を模式的に示す図である。
図14から、電気車の車体速度と車輪速度との速度差により、粘着力が発生することが分かる。
【0005】
しかしながら、車輪25,26,27,28と車体速度との速度差が大きくなると、車輪25,26,27,28とレール12間の粘着力が低下し、電気車として十分な推進力を得られなくなる。
【0006】
この状態では、各誘導電動機3,4,5,6のロータおよび車輪25,26,27,28は、レール12への粘着力が低下した分、余剰なトルクにより急激な加速トルクを得て回転周波数が上昇する。この現象を「空転」と称する。この空転は、車輪25,26,27,28からレール12への粘着力、すなわち電気車の推進力の低下を表わす現象である。
【0007】
以上のような観点から、電気車の制御としては、各誘導電動機3,4,5,6の空転を抑制して、粘着力を最大に保つことが重要である。
そこで、従来のベクトル制御方式を用いた制御装置では、各誘導電動機3,4,5,6の空転を抑制するために、各誘導電動機3,4,5,6のロータの回転周波数を速度検出器により検出して、トルク指令を補正するようにしている。
【0008】
すなわち、図13に示すように、各誘導電動機3,4,5,6には、ロータの回転周波数を検出する速度検出器13,14,15,16が備えられている。
この各速度検出器13,14,15,16により検出された各誘導電動機3,4,5,6のロータの回転周波数WR1,WR2,WR3,WR4は、トルク指令補正部17へと入力される。
【0009】
トルク指令補正部17では、各誘導電動機3,4,5,6のロータの回転周波数WR1,WR2,WR3,WR4に基づいて、トルク指令Tm* を補正する。そして、この補正後のトルク指令Tm* cmpは、トルク制御部2へと入力される。
【0010】
トルク制御部2では、補正後のトルク指令Tm* cmpに各誘導電動機3,4,5,6が出力するトルクが一致するように、VVVFインバータ1を制御する。
【0011】
すなわち、トルク制御部2では、補正後のトルク指令Tm* cmpから求められる電流指令と、電流検出器11により検出された各誘導電動機3,4,5,6に流れる全体の電流値(全電流値)Iu ,Iw とが一致するように電流制御を行なうことにより、補正後のトルク指令Tm* cmpに追従したトルクをVVVFインバータ1に出力する。
【0012】
また、各速度検出器13,14,15,16により検出された各誘導電動機3,4,5,6のロータの回転周波数WR1,WR2,WR3,WR4の平均値を全体のロータ回転周波数とみなし、補正後のトルク指令Tm* cmpから求められるすべり周波数とを加算して、VVVFインバータ1に対する周波数指令として出力する。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したようなベクトル制御方式を用いた制御装置では、各誘導電動機3,4,5,6の回転周波数を検出する速度検出器13,14,15,16として、パルスジェネレータが用いられる場合が多いが、振動やノイズによって誤パルスが重畳する。
【0014】
その結果、この速度検出機構の誤動作によって検出速度に誤差が生じ、トルク擾乱の原因となる。
また、電気車駆動用の誘導電動機3,4,5,6は、一般に台車に収められるため、2本のレール12間の長さによって、誘導電動機3,4,5,6の回転軸方向の長さに制約を受ける。
【0015】
一方、速度検出器13,14,15,16は、誘導電動機3,4,5,6の回転軸方向に厚みを持った構造であることから、誘導電動機3,4,5,6の回転軸方向の長さに更なる制約を加えるものである。
【0016】
その結果、大容量の誘導電動機を設置する場合には、誘導電動機体格が大きくなる。
よって、速度検出器13,14,15,16の存在は、誘導電動機3,4,5,6の容量増加を図る上で、好ましくない。
【0017】
本発明の目的は、1台のVVVFインバータにより電気車駆動用の少なくとも1台の誘導電動機を駆動するベクトル制御方式の制御装置において、速度検出器を用いずに各誘導電動機の空転を抑制することが可能な速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、請求項1に対応する発明は、直流を任意の周波数の交流に変換する1台の可変電圧可変周波数インバータ(VVVFインバータ)により、電気車駆動用の複数台の誘導電動機を駆動するベクトル制御方式の制御装置において、前記各誘導電動機に流れる全体の電流を検出する電流検出手段と、前記電流検出手段により検出された電流値に基づいて、前記各誘導電動機が同時に空転することを抑制するように、個々の誘導電動機の情報に基づくことなく、トルク指令を補正するものであって、少なくとも前記電流検出手段により検出された電流値に基づいて、前記各誘導電動機を1台の誘導電動機とみなした場合の当該誘導電動機のロータの回転周波数を推定演算するロータ周波数演算手段と、前記ロータ周波数演算手段により推定演算された誘導電動機のロータ周波数に基づいて、前記トルク指令への補正量を演算するトルク補正量演算手段と、前記トルク補正量演算手段により演算されたトルク指令補正量と前記トルク指令とを加算する加算手段とから成るトルク指令補正手段と、前記トルク指令補正手段により補正されたトルク指令に追従したトルクを前記各誘導電動機が出力するように、前記VVVFインバータを制御するトルク制御手段とを備える。
【0019】
従って、請求項1の発明の速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置においては、各誘導電動機に流れる全電流値に基づいて、トルク指令を補正する。各誘導電動機の情報を得る手段は存在せず、各誘導電動機の空転を検知することは不可能あるいは困難であると考えられるが、各誘導電動機が同時に空転状態になったことを全電流により検知することは可能である。
【0020】
すなわち、各誘導電動機に流れる全電流値によって各誘導電動機の同時空転を検知し、トルクを補正することにより、各誘導電動機の同時空転を抑制して、トルクのレールへの伝達率を向上することが可能となる。
【0021】
これにより、速度検出器が不要となるため、速度検出機構の誤パルスに起因するトルク擾乱を除去すると共に、速度検出器の撤去に伴なう誘導電動機の容量増加を期待することができる。
さらに、電流検出手段の数を低減することが可能となるため、低コスト化を図ることができる。
【0024】
また、請求項1の発明の速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置においては、ロータ回転周波数推定値によって各誘導電動機の同時空転を検知し、トルクを補正することにより、各誘導電動機の同時空転を抑制して、トルクを最大限にレールへ伝達することが可能となる。
【0025】
これにより、従来の空転抑制制御にある、同時空転抑制のためのトルク指令補正のアルゴリズムを継承することが可能となり、蓄積された技術を生かした高信頼性システムを構築することができる。
また、速度検出器が不要となるため、速度検出機構の誤動作に起因するトルク擾乱を除去すると共に、速度検出器の撤去に伴なう誘導電動機の容量増加を期待することができる。
さらに、各誘導電動機の個別の空転を抑制できない分、空転抑制の性能は若干劣るものの、粘着力に余裕のあるような動作点を有する電気車、すなわち電気車の推進力に対して誘導電動機の数が多く、1台の誘導電動機に分担される推進力が小さい電気車において十分な性能を有する。
【0026】
上記の目的を達成するため、請求項2の発明は、直流を任意の周波数の交流に変換する1台の可変電圧可変周波数インバータ(VVVFインバータ)により、電気車駆動用の複数台の誘導電動機を駆動するベクトル制御方式の制御装置において、前記各誘導電動機に流れる全体の電流を検出する電流検出手段と、前記電流検出手段により検出された電流値に基づいて、前記各誘導電動機が同時に空転することを抑制するように、個々の誘導電動機の情報に基づくことなく、トルク指令を補正するものであって、少なくとも前記電流検出手段により検出された電流値に基づいて、前記各誘導電動機を1台の誘導電動機とみなした場合の当該誘導電動機に発生する誘起電圧を推定演算する誘起電圧演算手段と、前記誘起電圧演算手段により推定演算された誘導電動機の誘起電圧に基づいて、前記トルク指令への補正量を演算するトルク補正量演算手段と、前記トルク補正量演算手段により演算されたトルク指令補正量と前記トルク指令とを加算する加算手段とから成るトルク指令補正手段と、前記トルク指令補正手段により補正されたトルク指令に追従したトルクを前記各誘導電動機が出力するように、前記VVVFインバータを制御するトルク制御手段と を備える。
【0027】
従って、請求項の発明の速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置においては、各誘導電動機に流れる全電流値に基づいて、各誘導電動機を1台の誘導電動機とみなした場合の誘起電圧を推定演算し、この推定演算された誘起電圧に基づいてトルク指令を補正する。
【0028】
すなわち、誘起電圧によって各誘導電動機の同時空転を検知し、トルクを補正することにより、各誘導電動機の同時空転を抑制して、トルクを最大限にレールへ伝達することが可能となる。
【0029】
これにより、速度検出器が不要となるため、速度検出機構の誤動作に起因するトルク擾乱を除去すると共に、速度検出器の撤去に伴なう誘導電動機の容量増加を期待することができる。
【0030】
さらに、各誘導電動機の個別の空転を抑制できない分、空転抑制の性能は若干劣るものの、粘着力に余裕のあるような動作点を有する電気車、すなわち電気車の推進力に対して誘導電動機の数が多く、1台の誘導電動機に分担される推進力が小さい電気車において十分な性能を有する。
【0057】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本実施の形態による速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置の概略構成例を示すブロック図であり、図13と同一要素には同一符号を付して示している。
【0058】
図1において、直流を任意の周波数の交流に変換するVVVFインバータ1の交流側に、電気車駆動用の複数n台(n>1:図では4台)の誘導電動機3,4,5,6が接続され、トルク指令に追従したトルクを各誘導電動機3,4,5,6が出力するように、トルク制御部2がVVVFインバータ1を制御するようになっている。
【0059】
また、各誘導電動機3,4,5,6は、車輪25,26,27,28を介してそれぞれレール12に接している。
一方、制御装置は、電流検出器7,8,9,10と、トルク指令補正部17と、トルク制御部2とから構成している。
【0060】
電流検出器7,8,9,10は、n台(4台)のそれぞれ各誘導電動機3,4,5,6に対応して備えられ、各誘導電動機3,4,5,6に流れる電流をそれぞれ個別に検出する。
【0061】
トルク指令補正部17は、電流検出器7,8,9,10により検出された各電流値に基づいて、トルク指令を補正する。
トルク制御部2は、トルク指令補正部17により補正されたトルク指令に追従したトルクを各誘導電動機3,4,5,6が出力するように、VVVFインバータ1を制御する。
【0062】
次に、以上のように構成した本実施の形態の速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置の作用について説明する。
図1において、電流検出器7,8,9,10では、各誘導電動機3,4,5,6に流れる電流I1u,I1w,I2u,I2w,I3u,I3w,I4u,I4wが検出される。この電流検出器7,8,9,10により検出された各誘導電動機3,4,5,6に流れる電流I1u,I1w,I2u,I2w,I3u,I3w,I4u,I4wは、トルク指令補正部17へ入力される。
【0063】
トルク指令補正部17では、入力であるトルク指令Tm* が、各誘導電動機3,4,5,6に流れる電流I1u,I1w,I2u,I2w,I3u,I3w,I4u,I4wに基づいて補正される。この補正後のトルク指令Tm* cmpは、トルク制御部2へ入力される。
【0064】
トルク制御部2では、補正後のトルク指令Tm* cmpに各誘導電動機3,4,5,6が出力するトルクが一致するように、VVVFインバータ1が制御される。
【0065】
すなわち、トルク制御部2では、補正後のトルク指令Tm* cmpから求められる電流指令と、電流検出器7,8,9,10により検出された各誘導電動機3,4,5,6に流れる電流値I1u,I1w,I2u,I2w,I3u,I3w,I4u,I4wとが一致するように電流制御を行なうことにより、補正後のトルク指令 Tm* cmpに追従したトルクがVVVFインバータ1に出力される。
【0066】
電気車では、各誘導電動機3,4,5,6が、車輪25,26,27,28を介してレール12に接している。そして、電気車の車体速度と車輪速度とが微少な速度差を持つことにより、各誘導電動機3,4,5,6の出力するトルクをレール12に伝えることができる。車体速度と車輪速度が一致することは、レール12上を車輪25,26,27,28が全く滑りを持たず、転がる状態を意味する。各誘導電動機3,4,5,6の出力するトルクの中で、レール12へ伝わるトルクあるいは力は、粘着力とも呼ばれ、電気車の推進力となる。
【0067】
前述したように、車輪25,26,27,28と車体速度との速度差が大きくなると、車輪25,26,27,28とレール12との間の粘着力が低下し、電気車として十分な推進力を得られなくなる。そして、この状態では、各誘導電動機3,4,5,6のロータおよび車輪25,26,27,28は、レール12への粘着力が低下した分、余剰なトルクにより急激な加速トルクを得て、回転周波数が上昇して、空転が発生する。この空転は、車輪25,26,27,28からレール12への粘着力、すなわち電気車の推進力の低下を表わす現象であることから、電気車としては、各誘導電動機3,4,5,6の空転を抑制して、レール12へ大きなトルクを伝達することが重要である。
【0068】
本実施の形態では、1台の同一のVVVFインバータ1により4台の誘導電動機3,4,5,6を駆動する場合、各誘導電動機3,4,5,6にかかる電圧の大きさと周波数と位相とは全く同一となる。しかしながら、各誘導電動機3,4,5,6が空転等の原因によって別な回転速度を有する場合には、それぞれ別個の滑り周波数を有することになる。
【0069】
図2は、例えば誘導電動機3,4,5,6の順にロータの回転周波数が遅い場合のVVVFインバータ1の出力周波数ωiと滑り周波数ωsとの関係の一例を示す図である。
【0070】
図2に示すように、VVVFインバータ1の出力周波数ωiは、各誘導電動機3,4,5,6に対して一定となる。各誘導電動機3,4,5,6のロータの回転周波数ωrの個体差により、滑り周波数ωsにばらつきが生じる。この滑り周波数ωsは、誘導電動機3,4,5,6のインピーダンスに影響を与える。
【0071】
図3は、誘導電動機の定常等価回路を示す図である。
図3から、滑りS(=ωs/ωi)に応じて、誘導電動機のインピーダンスが変化することが分かる。このため、同一のVVVFインバータ1から同一の電圧V1を各誘導電動機3,4,5,6に与えるにも関わらず、滑り周波数ωsの差異により、各誘導電動機3,4,5,6を流れる電流は同一でない。
【0072】
上述したように、本実施の形態の速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置では、電気車駆動用の各誘導電動機3,4,5,6に流れる電流値I1u,I1w,I2u,I2w,I3u,I3w,I4u,I4wに基づいて、トルク指令Tm* を補正する、すなわち電流値によって個々の誘導電動機3,4,5,6の空転を検知し、トルクを補正するようにしているので、各誘導電動機3,4,5,6の空転を抑制して、トルクを最大限にレール12へ伝達することが可能となる。
【0073】
以上により、速度検出器が不要となるため、速度検出機構の誤パルスに起因するトルク擾乱を除去すると共に、速度検出器の撤去に伴なう誘導電動機3,4,5,6の容量増加を期待することができる。
【0074】
(第2の実施の形態)
図4は、本実施の形態による速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置の概略構成例を示すブロック図であり、図1と同一要素には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0075】
本実施の形態では、前記第1の実施の形態において、各誘導電動機3,4,5,6に流れる電流の検出方法が異なっている。
すなわち、図1において、制御装置は、電流検出器7,8,9と、電流検出器11と、電流演算器24と、トルク指令補正部17と、トルク制御部2とから構成している。
【0076】
電流検出器7,8,9は、n−1台(4−1=3台)のそれぞれ各誘導電動機3,4,5に対応して備えられ、各誘導電動機3,4,5に流れる電流をそれぞれ個別に検出する。
【0077】
電流検出器11は、前記VVVFインバータ1の出力端子T0と各誘導電動機3,4,5,6の入力端子T1との間における共有した接続線に備えられ、n台(4台)の各誘導電動機3,4,5,6に流れる全体の電流(全電流)を検出する。
【0078】
電流演算器24は、電流検出器7,8,9により検出された各電流値と、電流検出器11により検出された全電流値とに基づいて、n−1台の誘導電動機3,4,5以外のn台目の誘導電動機6に流れる電流値を演算する。
【0079】
トルク指令補正部17は、電流検出器7,8,9により検出された各電流値と、電流演算器24により演算された電流値とに基づいて、トルク指令を補正する。
【0080】
トルク制御部2は、トルク指令補正部17により補正されたトルク指令に追従したトルクを各誘導電動機3,4,5,6が出力するように、VVVFインバータ1を制御する。
【0081】
次に、以上のように構成した本実施の形態の速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置の作用について説明する。
図4において、電流検出器7,8,9では、各誘導電動機3,4,5に流れる電流I1u,I1w,I2u,I2w,I3u,I3wが検出される。この電流検出器7,8,9により検出された各誘導電動機3,4,5に流れる電流I1u,I1w,I2u,I2w,I3u,I3wは、電流演算器24へ入力される。
【0082】
また、電流検出器11では、各誘導電動機3,4,5,6に流れる全体の電流(全電流)が検出される。この電流検出器11により検出された各誘導電動機3,4,5,6に流れる全電流Iu ,Iw は、電流演算器24へ入力される。
【0083】
ここで、全電流Iu ,Iw と各誘導電動機3,4,5,6に流れる電流I1u,I1w,I2u,I2w,I3u,I3w,I4u,I4wとの間には、以下に示すような関係がある。
【0084】
【数1】
Figure 0003749792
【0085】
電流演算器24では、電流検出器7,8,9により検出された各誘導電動機3,4,5の電流値I1u,I1w,I2u,I2w,I3u,I3wと、電流検出器11により検出された各誘導電動機3,4,5,6の全電流I1u,I1wとに基づいて、例えば次式により、誘導電動機6に流れる電流値I4u,I4wが演算される。
【0086】
【数2】
Figure 0003749792
【0087】
トルク指令補正部17では、入力であるトルク指令Tm* が、各誘導電動機3,4,5,6に流れる電流I1u,I1w,I2u,I2w,I3u,I3w,I4u,I4wに基づいて補正される。この補正後のトルク指令Tm* cmpは、トルク制御部2へ入力される。
【0088】
トルク制御部2では、補正後のトルク指令Tm* cmpに各誘導電動機3,4,5,6が出力するトルクが一致するように、VVVFインバータ1が制御される。
【0089】
すなわち、トルク制御部2では、補正後のトルク指令Tm* cmpから求められる電流指令と、電流検出器7,8,9,10により検出された各誘導電動機3,4,5,6に流れる電流値I1u,I1w,I2u,I2w,I3u,I3w,I4u,I4wとが一致するように電流制御を行なうことにより、補正後のトルク指令 Tm* cmpに追従したトルクがVVVFインバータ1に出力される。
【0090】
上述したように、本実施の形態の速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置では、電気車駆動用の各誘導電動機3,4,5,6に流れる電流値I1u,I1w,I2u,I2w,I3u,I3w,I4u,I4wに基づいて、トルク指令Tm* を補正する、すなわち電流値によって個々の誘導電動機3,4,5,6の空転を検知し、トルクを補正するようにしているので、各誘導電動機3,4,5,6の空転を抑制して、トルクを最大限にレール12へ伝達することが可能となる。
【0091】
以上により、速度検出器が不要となるため、速度検出機構の誤パルスに起因するトルク擾乱を除去すると共に、速度検出器の撤去に伴なう誘導電動機3,4,5,6の容量増加を期待することができる。
【0092】
(第3の実施の形態)
図5は、本実施の形態による速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置におけるトルク指令補正部17の概略構成例を示すブロック図であり、前記図1および図4と同一要素には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0093】
すなわち、図5に示すように、本実施の形態のトルク指令補正部17は、4つのロータ周波数演算部20,21,22,23と、トルク補正量演算部18と、加算器19とから構成している。なお、トルク補正量演算部18、および加算器19により、第2のトルク指令補正部29を構成している。
【0094】
ロータ周波数演算部20,21,22,23は、それぞれ各誘導電動機3,4,5,6に対応して備えられ、前記各電流検出器7,8,9,10により検出された各電流値、または前記各電流検出器7,8,9により検出された各電流値および前記電流演算器24により演算された電流値に基づいて(本例では、各電流検出器7,8,9,10により検出された各電流値の場合を例とする)、各誘導電動機3,4,5,6のロータの回転周波数をそれぞれ個別に推定演算する。
【0095】
トルク補正量演算部18は、各ロータ周波数演算手段20,21,22,23により推定演算された各誘導電動機3,4,5,6のロータ回転周波数に基づいて、前記トルク指令への補正量を演算する。
【0096】
加算器19は、トルク補正量演算部18により演算されたトルク指令補正量と前記トルク指令とを加算する。
次に、以上のように構成した本実施の形態の速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置の作用について説明する。
【0097】
なお、ここでは、前記図1および図4と異なる部分の作用についてのみ述べる。
図5において、ロータ周波数演算部20,21,22,23には、電流検出器7,8,9,10により検出された各誘導電動機3,4,5,6に流れる電流 I1u,I1w,I2u,I2w,I3u,I3w,I4u,I4wが入力される。
【0098】
ロータ周波数演算部20,21,22,23では、それぞれの各誘導電動機3,4,5,6に流れる電流値I1u,I1w,I2u,I2w,I3u,I3w,I4u,I4wに基づいて、各誘導電動機3,4,5,6のロータの回転周波数を推定演算し、ロータ回転周波数WR1h,WR2h,WR3h,WR4hが出力される。
【0099】
この各ロータ周波数演算部20,21,22,23では、例えば次のような具体的な演算により、ロータ回転周波数WR1h,WR2h,WR3h,WR4hが演算される。
【0100】
ここでは、2次磁束軸をd軸に一致させ、d軸と直交する軸をq軸とするdq軸回転座標系を導入する。近年の電気車制御では、トルク制御部2の中が、このdq軸回転座標系を導入したベクトル制御系であることが多い。
【0101】
例えば、ロータ周波数演算部20に入力される各誘導電動機3,4,5,6の相電流I1u,I1wは、a軸とa軸に直交するb軸とからなる静止座標系からdq軸回転座標系までの位相角θabにより、以下のようにdq軸座標系上の電流値 Id ,Iq に変換される。
【0102】
【数3】
Figure 0003749792
【0103】
そして、このq軸電流Iq に基づいて、例えば次式により、滑り周波数WSh を推定することができる。同式は近似式であり、厳密実機の滑り周波数と一致はしないが、演算が容易である利点を有する。
【0104】
【数4】
Figure 0003749792
【0105】
ただし、R2:2次抵抗、L2:2次インダクタンス、M:相互インダクタンス、φ2* :2次磁束指令値である。
次に、この滑り周波数WSh に基づいて、例えば次式により、回転周波数 WRh を求めることができる。
【0106】
WRh =W1−WSh
ただし、W1は1次周波数である。
一方、第2のトルク指令補正部29には、このようにして求められたロータ回転周波数WR1h,WR2h,WR3h,WR4hが入力される。
【0107】
第2のトルク指令補正部29では、ロータ回転周波数WR1h,WR2h,WR3h,WR4hに基づいてトルク指令指令Tm* を補正し、補正後のトルク指令 Tm* cmpが出力される。
【0108】
すなわち、この第2のトルク指令補正部29では、トルク指令補正量演算部18において、入力されたロータ回転周波数推定値WR1h,WR2h,WR3h,WR4hに基づいて、各誘導電動機3,4,5,6の空転を抑制するように、トルク指令補正量ΔTmが演算される。
【0109】
このトルク指令補正量演算部18では、例えば次のような具体的な演算により、トルク指令補正量ΔTmが演算される。
すなわち、入力されたロータ回転周波数WR1h,WR2h,WR3h,WR4hの中から、最大の値WRmax および最小の値WRmin が抽出される。
【0110】
次に、この最大値WRmax ,最小値WRmin を用いて、例えば次式により、トルク指令補正量ΔTmが演算される。
ΔTm=−G・(WRmax −WRmin )
ただし、Gはゲインを表わすものである。また、これらの関係は、回転が正転であると仮定している。
【0111】
ロータ回転周波数の最大値WRmax と最小値WRmin との差は、空転を表わす一つの指標であり、最大値WRmax と最小値WRmin との間に差がある場合、トルクを絞るようにトルク指令補正量ΔTmを設定することにより、各誘導電動機3,4,5,6の空転を抑制することができる。
【0112】
一方、加算器19では、このようにして求められたトルク指令補正量ΔTmとトルク指令Tm* とを加算して、トルク指令Tm* が補正される。
次に、トルク制御部2では、加算器19からの出力である補正後のトルク指令Tm* cmpに追従したトルクを出力するように、VVVFインバータ1が制御される。
【0113】
なお、上記において、第2のトルク指令補正部29への入力は、推定演算されたロータ回転周波数WR1h,WR2h,WR3h,WR4hであり、前述した従来におけるロータ回転周波数に基づくトルク指令補正のアルゴリズムをそのまま継承することができる。
【0114】
上述したように、本実施の形態の速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置では、電気車駆動用の各誘導電動機3,4,5,6に流れる電流値I1u,I1w,I2u,I2w,I3u,I3w,I4u,I4wに基づいて、各誘導電動機3,4,5,6のロータの回転周波数WR1h,WR2h,WR3h,WR4hを推定演算し、この推定演算されたロータ回転周波数WR1h,WR2h, WR3h,WR4hに基づいてトルク指令を補正する、すなわち各ロータ回転周波数の推定値によって空転を検知し、トルクを補正するようにしているので、各誘導電動機3,4,5,6の空転を抑制して、トルクを最大限にレール12へ伝達することが可能となる。
【0115】
以上により、従来の空転抑制制御にある、各誘導電動機のロータ回転周波数に基づくトルク指令補正のアルゴリズムを継承することが可能となり、蓄積された技術を生かした高信頼性システムを構築することができる。
【0116】
また、速度検出器が不要となるため、速度検出機構の誤パルスに起因するトルク擾乱を除去すると共に、速度検出器の撤去に伴なう誘導電動機3,4,5,6の容量増加を期待することができる。
【0117】
(第4の実施の形態)
図6は、本実施の形態による速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置におけるトルク指令補正部17の概略構成例を示すブロック図であり、前記図1および図4と同一要素には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0118】
すなわち、図6に示すように、本実施の形態のトルク指令補正部17は、4つの電流位相角演算部30,31,32,33と、トルク補正量演算部18と、加算器19とから構成している。なお、トルク補正量演算部18、および加算器19により、第2のトルク指令補正部29を構成している。
【0119】
電流位相角演算部30,31,32,33は、それぞれ各誘導電動機3,4,5,6に対応して備えられ、前記各電流検出器7,8,9,10により検出された各電流値、または前記各電流検出器7,8,9により検出された各電流値および前記電流演算器24により演算された電流値(本例では、各電流検出器7,8,9,10により検出された各電流値の場合を例とする)のある基準軸に対する位相角をそれぞれ個別に演算する。
【0120】
トルク補正量演算部18は、各電流位相角演算部30,31,32,33により演算された各電流のある基準軸に対する位相角に基づいて、前記トルク指令への補正量を演算する。
【0121】
加算器19は、トルク補正量演算部18により演算されたトルク指令補正量と前記トルク指令とを加算する。
次に、以上のように構成した本実施の形態の速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置の作用について説明する。
【0122】
なお、ここでは、前記図1および図4と異なる部分の作用についてのみ述べる。
図6において、電流位相角演算部30,31,32,33には、電流検出器7,8,9,10により検出された各誘導電動機3,4,5,6に流れる電流I1u,I1w,I2u,I2w,I3u,I3w,I4u,I4wが入力される。
【0123】
電流位相角演算部30,31,32,33では、ある基準軸に対する各電流の位相が演算される。
ここで、前述の「ある基準軸」について述べる。すなわち、通常、図1または図4に示すトルク制御部2の内部では、ある座標系上で諸状態量を制御しており、この座標系は、回転座標系である場合や、静止座標系である場合もある。前述の「ある基準軸」とは、これら制御に用いられる座標系上のある一つの軸を指すものであったり、または電流基準を基準軸とすることもできる。
【0124】
一方、第2のトルク指令補正部29には、このようにして電流位相角演算部30,31,32,33で求められた、ある基準軸に対する電流位相角θi1,θi2,θi3,θi4が入力される。
【0125】
第2のトルク指令補正部29では、電流位相角θi1,θi2,θi3,θi4に基づいて、トルク指令Tm* を補正し、補正後のトルク指令Tm* cmpが出力される。
【0126】
すなわち、この第2のトルク指令補正部29では、トルク指令補正量演算部18において、入力された各電流位相角θi1,θi2,θi3,θi4に基づいて、各誘導電動機3,4,5,6の空転を抑制するように、トルク指令補正量ΔTmが演算される。
【0127】
このトルク指令補正量演算部18では、例えば次のような具体的な演算により、トルク指令補正量ΔTmが演算される。
すなわち、入力された各電流位相差θi1,θi2,θi3,θi4の中から、最大の値θimaxおよび最小の値θiminが抽出される。
【0128】
次に、この最大値θimax,最小値θiminを用いて、例えば次式により、トルク指令補正量ΔTmが演算される。
ΔTm=−G・(θimax−θimin)
ただし、Gはゲインを表わすものである。また、これらの関係は、回転が正転であると仮定している。
【0129】
各誘導電動機3,4,5,6のロータ回転周波数が一致する場合、各誘導電動機3,4,5,6に流れる電流値I1u,I1w,I2u,I2w,I3u,I3w,I4u,I4wも一致する。
【0130】
従って、電流位相の最大値θimaxと最小値θiminとの差は、空転を表わす一つの指標であり、電流位相の最大値θimaxと最小値θiminとの間に差がある場合、トルクを絞るようにトルク指令補正量ΔTmを設定することにより、各誘導電動機3,4,5,6の空転を抑制することができる。
【0131】
一方、加算器19では、このようにして求められたトルク指令補正量ΔTmとトルク指令Tm* とを加算して、トルク指令Tm* が補正される。
図7は、前記図3に示す誘導電動機の等価回路に従って、誘導電動機のインピーダンスのベクトルを示す図である。
【0132】
なお、図7中には、滑り周波数が小さい誘導電動機Aと滑り周波数が大きい誘導電動機Bの2つのインピーダンスのベクトルを示している。
誘導電動機のインピーダンスZは、1次側インピーダンスZsと2次側インピーダンスZrとの直列回路により表現され、以下のように表わされる。
【0133】
【数5】
Figure 0003749792
【0134】
1次側インピーダンスZsは、図3より次式のように表わされる。この1次側インピーダンスZsは、滑り周波数ωsの影響を受けないため、滑り周波数が大きい誘導電動機においても、滑り周波数が小さい誘導電動機においても、同一となる。
【0135】
【数6】
Figure 0003749792
また、2次側インピーダンスZrは、図3より次式のように表わされる。この2次側インピーダンスZrは、滑り周波数ωsの影響を受ける。
【0136】
【数7】
Figure 0003749792
【0137】
ただし、S(=ωs/ωi):滑り。
例えば、滑り周波数ωsが非常に大きい場合には、上記(5)式は下記の(6)式のように近似することができ、抵抗分が支配的である。
また、滑り周波数ωsが非常に小さい場合には、上記(5)式は下記の(7)式のように近似することができ、インダクタンス分が支配的である。
【0138】
【数8】
Figure 0003749792
【0139】
上記(6)式、(7)式は究極の場合であるが、滑りSすなわち滑り周波数 ωsに応じて、2次側インピーダンスZrの偏角が変化するのが分かる。
ここで、偏角とは、複素数Zにおけるatan(Imag(Z)/Real (Z))のことで、インピーダンスZに電圧Vをかけた場合に流れる電流をIとすると、インピーダンスの偏角は力率角に相当する。
【0140】
前述のように、誘導電動機のインピーダンスZは、1次側インピーダンスZsと2次側インピーダンスZrの直列結合で表わされるため、2次側インピーダンスZrの偏角が滑り周波数ωsに応じて変化すると、誘導電動機のインピーダンスZの偏角も同時に変化する。
【0141】
VVVFインバータの出力電圧をV1とし、誘導電動機のインピーダンスをZとし、誘導電動機に流れる電流をIとすれば、次式のようにオームの法則が成り立つ。
【0142】
【数9】
Figure 0003749792
【0143】
前述のように、誘導電動機のインピーダンスZの偏角は、この場合、VVVFインバータ1の出力電圧V1とそれによって流れる誘導電動機の電流Iの力率角に相当する。
【0144】
従って、それぞれ滑り周波数が異なる誘導電動機3,4,5,6が同一のVVVFインバータ1に接続される場合には、誘導電動機のインピーダンスZの偏角に応じて、各誘導電動機3,4,5,6に流れる電流の位相に差が生じる。
【0145】
上述したように、本実施の形態の速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置では、互いにロータ回転周波数の異なる、すなわち滑り周波数の異なる電気車駆動用の各誘導電動機3,4,5,6を1台の同一のVVVFインバータ1により駆動する場合、各誘導電動機3,4,5,6のインピーダンスZの偏角に応じて、各誘導電動機3,4,5,6に流れる電流I1u,I1w,I2u,I2w,I3u,I3w,I4u,I4wの位相に差が生じる。お互いの電流位相の差が大きい場合には、ロータの回転周波数の差が大きい場合であり、空転状態に相当する。
【0146】
従って、電流位相の差に応じてトルク指令を補正するようにしているので、各誘導電動機3,4,5,6の空転を抑制して、トルクを最大限にレール12へ伝達することが可能となる。
【0147】
以上により、速度検出器が不要となるため、速度検出機構の誤動作に起因するトルク擾乱を除去すると共に、速度検出器の撤去に伴なう誘導電動機の容量増加を期待することができる。
【0148】
(第5の実施の形態)
図8は、本実施の形態による速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置におけるトルク指令補正部17の概略構成例を示すブロック図であり、前記図1および図4と同一要素には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0149】
すなわち、図8に示すように、本実施の形態のトルク指令補正部17は、4つの誘起電圧演算部34,35,36,37と、トルク補正量演算部18と、加算器19とから構成している。なお、トルク補正量演算部18、および加算器19により、第2のトルク指令補正部29を構成している。
【0150】
誘起電圧演算部34,35,36,37は、それぞれ各誘導電動機3,4,5,6に対応して備えられ、前記各電流検出器7,8,9,10により検出された各電流値、または前記各電流検出器7,8,9により検出された各電流値および前記電流演算器24により演算された電流値に基づいて(本例では、各電流検出器7,8,9,10により検出された各電流値の場合を例とする)、各誘導電動機3,4,5,6に発生する誘起電圧をそれぞれ個別に推定演算する。
【0151】
トルク補正量演算部18は、各誘起電圧演算部34,35,36,37により推定演算された各誘導電動機3,4,5,6の誘起電圧に基づいて、前記トルク指令への補正量を演算する。
【0152】
加算器19は、トルク補正量演算部18により演算されたトルク指令補正量と前記トルク指令とを加算する。
次に、以上のように構成した本実施の形態の速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置の作用について説明する。
【0153】
なお、ここでは、前記図1および図4と異なる部分の作用についてのみ述べる。
図8において、誘起電圧演算部34,35,36,37には、電流検出器7,8,9,10により検出された各誘導電動機3,4,5,6に流れる電流 I1u,I1w,I2u,I2w,I3u,I3w,I4u,I4wが入力される。
【0154】
誘起電圧演算部34,35,36,37では、それぞれの各誘導電動機3,4,5,6に流れる電流値I1u,I1w,I2u,I2w,I3u,I3w,I4u,I4wに基づいて、各誘導電動機3,4,5,6に発生する誘起電圧を推定演算し出力される。
【0155】
この誘起電圧演算部34,35,36,37では、例えば次のような具体的な演算により、それぞれの誘導電動機3,4,5,6に発生する誘起電圧E1h,E2h,E3h,E4hが推定演算される。なお、誘起電圧の演算の方法は、以下の方法に限定されるものではない。
誘導電動機の特性は、次式により表わされる。
【0156】
【数10】
Figure 0003749792
【0157】
ただし、V1:インバータ出力電圧、R1:1次抵抗、σL1:1次等価漏れインダクタンス、I:電流、φ:1次側等価2次磁束、E:誘起電圧、p:微分演算子。
誘起電圧は、例えば次式により、以下のように推定演算することができる。
【0158】
【数11】
Figure 0003749792
【0159】
ただし、Eh:誘起電圧の推定演算値。
前記第4の実施の形態で説明したように、互いにロータの回転周波数の異なる複数台の誘導電動機を同一の電圧を与える1台のVVVFインバータで駆動する場合、誘導電動機のインピーダンスの違いから、電流値がそれぞれ異なる値を示す。
【0160】
上記(10)式に示すように、誘起電圧の推定演算値E1h,E2h,E3h,E4hは、電流の情報を含むため、誘導電動機の回転周波数の違いに応じて、異なる値を示す。
【0161】
一方、第2のトルク指令補正部29には、このようにして求められた誘起電圧
E1h,E2h,E3h,E4hが入力される。
第2のトルク指令補正部29では、誘起電圧E1h,E2h,E3h,E4hに基づいてトルク指令指令Tm* を補正し、補正後のトルク指令Tm* cmpが出力される。
【0162】
すなわち、この第2のトルク指令補正部29では、トルク指令補正量演算部18において、入力された誘起電圧E1h,E2h,E3h,E4hに基づいて、各誘導電動機3,4,5,6の空転を抑制するように、トルク指令補正量ΔTmが演算される。
【0163】
このトルク指令補正量演算部18では、例えば次のような具体的な演算により、トルク指令補正量ΔTmが演算される。
すなわち、入力された各誘起電圧E1h,E2h,E3h,E4hの絶対値|E1h|,|E2h|,|E3h|,|E4h|をそれぞれ演算し、誘起電圧の絶対値が最大の値|E|max および最小の値|E|min が抽出される。
次に、この最大値|E|max ,最小値|E|min を用いて、例えば次式により、トルク指令補正量ΔTmが演算される。
【0164】
【数12】
Figure 0003749792
【0165】
ただし、Gはゲインを表わすものである。また、これらの関係は、回転が正転であると仮定している。
誘起電圧の絶対値は、回転周波数に比例するものであり、各誘導電動機3,4,5,6のロータ回転周波数が一致する場合、各誘導電動機3,4,5,6に発生する誘起電圧の絶対値|E1h|,|E2h|,|E3h|,|E4h|も一致する。
【0166】
従って、誘起電圧の絶対値の最大値|E|max と最小値|E|min との差は、空転を表わす一つの指標であり、誘起電圧の絶対値の最大値|E|max と最小値|E|min の間に差がある場合、トルクを絞るようにトルク指令補正量ΔTmを設定することにより、各誘導電動機3,4,5,6の空転を抑制することができる。
【0167】
一方、加算器19では、このようにして求められたトルク指令補正量ΔTmとトルク指令Tm* とを加算して、トルク指令Tm* が補正される。
なお、上記では、トルク指令補正演算部18の一例として、誘起電圧の絶対値に基づいてトルク指令補正量ΔTmを導出する場合について示したが、これに限らず、例えば誘起電圧の位相に基づいてトルク指令補正量ΔTmを導出することもできる。
【0168】
上述したように、本実施の形態の速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置では、互いにロータ回転周波数の異なる、すなわち滑り周波数の異なる電気車駆動用の各誘導電動機3,4,5,6を1台の同一のVVVFインバータ1により駆動する場合、各誘導電動機3,4,5,6のインピーダンスZの差に応じて、各誘導電動機3,4,5,6に発生する誘起電圧 E1h,E2h,E3h,E4hに差が生じる。例えば、お互いの誘起電圧の差が大きい場合には、ロータの回転周波数の差が大きい場合を示し、空転状態に相当することが分かる。
【0169】
従って、推定演算された誘起電圧に応じてトルクを補正するようにしているので、各誘導電動機3,4,5,6の空転を抑制して、トルクを最大限にレール12へ伝達することが可能となる。
【0170】
以上により、速度検出器が不要となるため、速度検出機構の誤動作に起因するトルク擾乱を除去すると共に、速度検出器の撤去に伴なう誘導電動機の容量増加を期待することができる。
【0171】
(第6の実施の形態)
図9は、本実施の形態による速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置におけるトルク指令補正部17の概略構成例を示すブロック図であり、前記図1および図4と同一要素には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0172】
すなわち、図9に示すように、本実施の形態のトルク指令補正部17は、4つの磁束演算部38,39,40,41と、トルク補正量演算部18と、加算器19とから構成している。なお、トルク補正量演算部18、および加算器19により、第2のトルク指令補正部29を構成している。
【0173】
磁束演算部38,39,40,41は、それぞれ各誘導電動機3,4,5,6に対応して備えられ、前記各電流検出器7,8,9,10により検出された各電流値、または前記各電流検出器7,8,9により検出された各電流値および前記電流演算器24により演算された電流値に基づいて(本例では、各電流検出器7,8,9,10により検出された各電流値の場合を例とする)、各誘導電動機3,4,5,6に発生する磁束をそれぞれ個別に推定演算する。
【0174】
トルク補正量演算部18は、各磁束演算部38,39,40,41により推定演算された各誘導電動機3,4,5,6の磁束に基づいて、前記トルク指令への補正量を演算する。
【0175】
加算器19は、トルク補正量演算部18により演算されたトルク指令補正量と前記トルク指令とを加算する。
次に、以上のように構成した本実施の形態の速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置の作用について説明する。
【0176】
なお、ここでは、前記図1および図4と異なる部分の作用についてのみ述べる。
図9において、磁束演算部38,39,40,41には、電流検出器7,8,9,10により検出された各誘導電動機3,4,5,6に流れる電流 I1u,I1w,I2u,I2w,I3u,I3w,I4u,I4wが入力される。
【0177】
磁束演算部38,39,40,41では、それぞれの各誘導電動機3,4,5,6に発生する磁束を推定演算し出力される。
この磁束演算部38,39,40,41では、例えば次のような具体的な演算により、それぞれの誘導電動機3,4,5,6に発生する磁束φ1h,φ2h,φ3h,φ4hが推定演算される。この場合、誘導電動機の1次側等価2次磁束が推定演算される。なお、磁束の演算の方法は、以下の方法に限定されるものではない。
磁束は、例えば次式より、以下のように推定演算することができる。
【0178】
【数13】
Figure 0003749792
【0179】
ただし、φh:1次側等価2次磁束の推定演算値。
前記第4の実施の形態で説明したように、互いにロータの回転周波数の異なる複数台の誘導電動機を同一の電圧を与える1台のVVVFインバータで駆動する場合、誘導電動機のインピーダンスの違いから、電流値がそれぞれ異なる値を示す。
【0180】
上記(11)式に示すように、磁束の推定演算値φ1h,φ2h,φ3h,φ4hは、電流の情報を含むため、誘導電動機の回転周波数の違いに応じて、異なる値を示す。
【0181】
一方、第2のトルク指令補正部29には、このようにして求められた磁束φ1h,φ2h,φ3h,φ4hが入力される。
第2のトルク指令補正部29では、磁束φ1h,φ2h,φ3h,φ4hに基づいてトルク指令指令Tm* を補正し、補正後のトルク指令Tm* cmpが出力される。
【0182】
すなわち、この第2のトルク指令補正部29では、トルク指令補正量演算部18において、入力された各磁束φ1h,φ2h,φ3h,φ4hに基づいて、各誘導電動機3,4,5,6の空転を抑制するように、トルク指令補正量ΔTmが演算される。
【0183】
このトルク指令補正量演算部18では、例えば次のような具体的な演算により、トルク指令補正量ΔTmが演算される。
すなわち、入力された各磁束φ1h,φ2h,φ3h,φ4hのある基準軸に対する位相角∠φ1h,∠φ2h,∠φ3h,∠φ4hがそれぞれ演算される。
【0184】
ここで、前述の「ある基準軸」について述べる。すなわち、通常、図1または図4に示すトルク制御部2の内部では、ある座標系上で諸状態量を制御しており、この座標系は、回転座標系である場合や、静止座標系である場合もある。前述の「ある基準軸」とは、これら制御に用いられる座標系上のある一つの軸を指すものであったり、または電流基準を基準軸とすることもできる。
【0185】
すなわち、磁束の位相角∠φ1h,∠φ2h,∠φ3h,∠φ4hの中から、最大の値∠φmax および最小の値∠φmin が抽出される。
次に、この最大値∠φmax ,最小値∠φmin を用いて、例えば次式により、トルク指令補正量ΔTmが演算される。
【0186】
【数14】
Figure 0003749792
【0187】
ただし、Gはゲインを表わすものである。また、これらの関係は、回転が正転であると仮定している。
各誘導電動機3,4,5,6のロータ回転周波数が一致する場合、各誘導電動機3,4,5,6共に、同一な磁束φ1h,φ2h,φ3h,φ4hを発生する。
【0188】
従って、磁束の位相角の最大値∠φmax と最小値∠φmin との差は、空転を表わす一つの指標であり、磁束の位相角の最大値∠φmax と最小値∠φmin との間に差がある場合、トルクを絞るようにトルク指令補正量ΔTmを設定することにより、各誘導電動機3,4,5,6の空転を抑制することができる。
【0189】
一方、加算器19では、このようにして求められたトルク指令補正量ΔTmとトルク指令Tm* とを加算して、トルク指令Tm* が補正される。
なお、上記では、トルク指令補正演算部18の一例として、磁束の位相角に基づいてトルク指令補正量ΔTmを導出する場合について示したが、これに限らず、例えば磁束の絶対値に基づいてトルク指令補正量ΔTmを導出することもできる。
【0190】
上述したように、本実施の形態の速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置では、互いにロータ回転周波数の異なる、すなわち滑り周波数の異なる電気車駆動用の各誘導電動機3,4,5,6を1台の同一のVVVFインバータ1により駆動する場合、各誘導電動機3,4,5,6のインピーダンスZの差に応じて、各誘導電動機3,4,5,6に発生する磁束に差が生じる。例えば、お互いの磁束の差が大きい場合には、ロータの回転周波数の差が大きい場合を示し、空転状態に相当することが分かる。
【0191】
従って、推定演算された磁束に応じてトルクを補正するようにしているので、各誘導電動機3,4,5,6の空転を抑制して、トルクを最大限にレール12へ伝達することが可能となる。
【0192】
以上により、速度検出器が不要となるため、速度検出機構の誤動作に起因するトルク擾乱を除去すると共に、速度検出器の撤去に伴なう誘導電動機の容量増加を期待することができる。
【0193】
(第7の実施の形態)
図10は、本実施の形態による速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置の概略構成例を示すブロック図であり、図1および図4と同一要素には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0194】
本実施の形態では、前記第1および第2の実施の形態において、各誘導電動機3,4,5,6に流れる電流の検出方法が異なっている。
すなわち、図10において、VVVFインバータ1の交流側に、電気車駆動用の少なくとも1台(図では4台)の誘導電動機3,4,5,6が接続され、トルク指令に追従したトルクを各誘導電動機3,4,5,6が出力するように、トルク制御部2がVVVFインバータ1を制御するようになっている。
【0195】
一方、制御装置は、電流検出器11と、トルク指令補正部17と、トルク制御部2とから構成している。
電流検出器11は、前記VVVFインバータ1の出力端子T0と各誘導電動機3,4,5,6の入力端子T1との間における共有した接続線に備えられ、4台の各誘導電動機3,4,5,6に流れる全体の電流(全電流)を検出する。
【0196】
トルク指令補正部17は、電流検出器11により検出された全電流値に基づいて、各誘導電動機が同時に空転することを抑制するように、トルク指令を補正する。
【0197】
トルク制御部2は、トルク指令補正部17により補正されたトルク指令に追従したトルクを各誘導電動機3,4,5,6が出力するように、VVVFインバータ1を制御する。
【0198】
次に、以上のように構成した本実施の形態の速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置の作用について説明する。
図10において、電流検出器11では、各誘導電動機3,4,5,6に流れる全体の電流(全電流)が検出される。この電流検出器11により検出された各誘導電動機3,4,5,6に流れる全電流Iu ,Iw は、トルク指令補正部17へと入力される。
【0199】
トルク指令補正部17では、入力であるトルク指令Tm* が、各誘導電動機3,4,5,6に流れる全電流Iu ,Iw に基づいて補正される。この補正後のトルク指令Tm* cmpは、トルク制御部2へ入力される。
【0200】
トルク制御部2では、補正後のトルク指令Tm* cmpに各誘導電動機3,4,5,6が出力するトルクが一致するように、VVVFインバータ1が制御される。
【0201】
すなわち、トルク制御部2では、補正後のトルク指令Tm* cmpから求められる電流指令と、電流検出器11により検出された各誘導電動機3,4,5,6に流れる全電流値Iu ,Iw とが一致するように電流制御を行なうことにより、補正後のトルク指令Tm* cmpに追従したトルクがVVVFインバータ1に出力される。
【0202】
上述したように、本実施の形態の速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置では、電気車駆動用の各誘導電動機3,4,5,6に流れる全電流値に基づいて、トルク指令Tm* を補正するようにしている。
【0203】
すなわち、各誘導電動機3,4,5,6の情報を得る手段は存在せず、各誘導電動機3,4,5,6の空転を検知することは不可能あるいは困難であると考えられるが、各誘導電動機3,4,5,6が同時に空転状態になったことを全電流により検知することは可能であり、この全電流値によって各誘導電動機3,4,5,6の同時空転を検知し、トルクを補正するようにしているので、各誘導電動機3,4,5,6の同時空転を抑制して、トルクのレール12への伝達率を向上することが可能となる。
【0204】
以上により、速度検出器が不要となるため、速度検出機構の誤パルスに起因するトルク擾乱を除去すると共に、速度検出器の撤去に伴なう誘導電動機3,4,5,6の容量増加を期待することができる。
【0205】
また、前記第1および第2の実施の形態の場合と比較して、電流検出器の数を低減することが可能となるため、低コスト化を図ることができる。
さらに、本実施の形態では、前記第1および第2の実施の形態の場合と比較して、各誘導電動機3,4,5,6の個別の空転を抑制できない分、空転抑制の性能は若干劣るものの、前記図14に示した粘着力に余裕のあるような動作点を有する電気車、すなわち電気車の推進力に対して誘導電動機の数が多く、1台の誘導電動機に分担される推進力が小さい電気車において、十分な性能を発揮することができる。
【0206】
なお、本実施の形態では、同一の1台のVVVFインバータに複数台の誘導電動機が接続された集中制御方式の電気車の場合について示しているが、同一の1台のVVVFインバータが唯一の誘導電動機を駆動制御する個別制御方式の電気車の場合についても、本発明を同様に適用することが可能である。
【0207】
(第8の実施の形態)
図11は、本実施の形態による速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置におけるトルク指令補正部17の概略構成例を示すブロック図であり、前記図1および図4と同一要素には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0208】
すなわち、図11に示すように、本実施の形態のトルク指令補正部17は、ロータ周波数演算部42と、トルク補正量演算部18と、加算器19とから構成している。なお、トルク補正量演算部18、および加算器19により、第2のトルク指令補正部29を構成している。
【0209】
ロータ周波数演算部42は、電流検出器11により検出された全電流値に基づいて、各誘導電動機3,4,5,6を1台の誘導電動機とみなした場合のその誘導電動機のロータの回転周波数を推定演算する。
【0210】
トルク補正量演算部18は、ロータ周波数演算部42により推定演算された誘導電動機のロータ回転周波数に基づいて、前記トルク指令への補正量を演算する。
【0211】
加算器19は、トルク補正量演算部18により演算されたトルク指令補正量と前記トルク指令とを加算する。
次に、以上のように構成した本実施の形態の速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置の作用について説明する。
【0212】
なお、ここでは、前記図1および図4と異なる部分の作用についてのみ述べる。
図11において、ロータ周波数演算部42には、電流検出器11により検出された各誘導電動機3,4,5,6に流れる全電流Iu ,Iw が入力される。
【0213】
ロータ周波数演算部42では、各誘導電動機3,4,5,6に流れる全電流値Iu ,Iw に基づいて、4台の誘導電動機3,4,5,6を1台の誘導電動機とみなした場合のロータの回転周波数を推定演算し、ロータ回転周波数WRh が出力される。
【0214】
このロータ周波数演算部42では、例えば次のような具体的な演算により、ロータ回転周波数WRh が推定演算される。
ここでは、2次磁束軸をd軸に一致させ、d軸と直交する軸をq軸とするdq軸回転座標系を導入する。近年の電気車制御では、トルク制御部2の中が、このdq軸回転座標系を導入したベクトル制御系であることが多い。
【0215】
例えば、ロータ周波数演算部42に入力される各誘導電動機3,4,5,6の相電流Iu ,Iw は、a軸とa軸に直交するb軸とからなる静止座標系からdq軸回転座標系までの位相角θabにより、以下のようにdq軸座標系上の電流値 Id ,Iq に変換される。
【0216】
【数15】
Figure 0003749792
【0217】
ただし、NはVVVFインバータ1に接続された誘導電動機の数であり、ここでは4となる。
そして、このq軸電流Iq に基づいて、例えば次式により、滑り周波数WSh を推定することができる。同式は近似式であり、厳密実機の滑り周波数と一致はしないが、演算が容易である利点を有する。
【0218】
【数16】
Figure 0003749792
【0219】
ただし、R2:2次抵抗、L2:2次インダクタンス、M:相互インダクタンス、φ2 * :2次磁束指令値である。
次に、この滑り周波数WSh に基づいて、例えば次式により、回転周波数 WRh を求めることができる。
【0220】
WRh =W1 −WSh
ただし、W1 は1次周波数である。
一方、第2のトルク指令補正部29には、このようにして求められたロータ回転周波数WRh が入力される。
【0221】
第2のトルク指令補正部29では、ロータ回転周波数WRh に基づいてトルク指令Tm* を補正し、補正後のトルク指令Tm* cmpが出力される。
すなわち、この第2トルク指令補正部29では、トルク指令補正量演算部18において、入力されたロータ回転周波数推定値WRh に基づいて、各誘導電動機3,4,5,6の同時空転を抑制するように、トルク指令補正量ΔTmが演算される。
【0222】
このトルク指令補正量演算部18では、例えば次のような具体的な演算により、トルク指令補正量ΔTmが演算される。
すなわち、入力されたロータ回転周波数推定WRh に基づいて、その回転加速度ACCh が演算される。
【0223】
そして、この回転加速度があらかじめ設定された所定値ACC* を超える場合には、両者の偏差に応じたトルク指令補正量ΔTmが出力される。また、回転加速度があらかじめ設定された所定値ACC* を超えない場合には、零がトルク指令補正量ΔTmとして出力される。
【0224】
【数17】
Figure 0003749792
【0225】
ただし、Gはゲインを表わすものである。また、これらの関係は、回転が正転であると仮定している。
誘導電動機の回転加速度の最大値ACCmax は、電気車の重量および最大の推進力を与えた場合の直線運動系を、誘導電動機周りの回転運動系へ換算することにより求めることができる。
【0226】
この誘導電動機の回転加速度の最大値ACCmax は、空転していない状態での誘導電動機の回転加速度の最大値を表わすものであり、実際の誘導電動機の回転加速度が、この最大値ACCmax を上回る場合には、誘導電動機が空転している状況が考えられる。
【0227】
従って、空転誤検知を考慮して、例えば以下のように所定値ACC* を設定する。
ACC* =ACCmax +α
ただし、α:空転誤検知を抑制するオフセット(>0)。
【0228】
そして、推定された回転加速度ACCh が所定値ACC* を上回る場合には、各誘導電動機3,4,5,6が同時に空転しているとみなし、トルクを絞るようにトルク指令補正量ΔTmを設定することにより、各誘導電動機3,4,5,6の同時空転を抑制することができる。
【0229】
上述したように、本実施の形態の速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置では、電気車駆動用の各誘導電動機3,4,5,6に流れる全電流値Iu ,Iw に基づいて、4台の誘導電動機3,4,5,6を1台の誘導電動機とみなした場合のロータ回転周波数WRh を推定演算し、この推定演算されたロータ回転周波数WRh に基づいてトルク指令を補正する、すなわちロータ回転周波数の推定値によって各誘導電動機3,4,5,6の同時空転を検知し、トルクを補正するようにしているので、各誘導電動機3,4,5,6の同時空転を抑制して、トルクを最大限にレール12へ伝達することが可能となる。
【0230】
以上により、従来の空転抑制制御にある、同時空転抑制のためのトルク指令補正のアルゴリズムを継承することが可能となり、蓄積された技術を生かした高信頼性システムを構築することができる。
【0231】
また、速度検出器が不要となるため、速度検出機構の誤動作に起因するトルク擾乱を除去すると共に、速度検出器の撤去に伴なう誘導電動機の容量増加を期待することができる。
【0232】
さらに、本実施の形態では、前記第1および第2の実施の形態の場合と比較して、各誘導電動機3,4,5,6の個別の空転を抑制できない分、空転抑制の性能は若干劣るものの、前記図14に示した粘着力に余裕のあるような動作点を有する電気車、すなわち電気車の推進力に対して誘導電動機の数が多く、1台の誘導電動機に分担される推進力が小さい電気車において、十分な性能を発揮することができる。
【0233】
(第9の実施の形態)
図12は、本実施の形態による速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置におけるトルク指令補正部17の概略構成例を示すブロック図であり、前記図1および図4と同一要素には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0234】
すなわち、図12に示すように、本実施の形態のトルク指令補正部17は、誘起電圧演算部43と、トルク補正量演算部18と、加算器19とから構成している。なお、トルク補正量演算部18、および加算器19により、第2のトルク指令補正部29を構成している。
【0235】
誘起電圧演算部43は、電流検出器11により検出された全電流値に基づいて、各誘導電動機3,4,5,6を1台の誘導電動機とみなした場合のその誘導電動機に発生する誘起電圧を推定演算する。
【0236】
トルク補正量演算部18は、誘起電圧演算部43により推定演算された誘導電動機の誘起電圧に基づいて、前記トルク指令への補正量を演算する。
加算器19は、トルク補正量演算部18により演算されたトルク指令補正量と前記トルク指令とを加算する。
【0237】
次に、以上のように構成した本実施の形態の速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置の作用について説明する。
なお、ここでは、前記図1および図4と異なる部分の作用についてのみ述べる。
【0238】
図12において、誘起電圧演算部43には、電流検出器11により検出された各誘導電動機3,4,5,6に流れる全電流Iu ,Iw が入力される。
誘起電圧演算部43では、各誘導電動機3,4,5,6に流れる全電流値Iu ,Iw に基づいて、4台の誘導電動機3,4,5,6を1台の誘導電動機とみなした場合の誘起電圧を推定演算し、誘起電圧Eh が出力される。
【0239】
この誘起電圧演算部43では、例えば次のような具体的な演算により、誘起電圧Eh が推定演算される。
誘起電動機の特性は、次式により表わされる。
【0240】
【数18】
Figure 0003749792
【0241】
ただし、V1:インバータ出力電圧、R1:1次抵抗、σL1:1次等価漏れインダクタンス、I:全電流、φ:1次側等価2次磁束、E:誘起電圧、p:微分演算子、N:VVVFインバータ1に接続された誘導電動機の数で、ここでは4である。
誘起電圧は、例えば次式により、以下のように推定演算することができる。
【0242】
【数19】
Figure 0003749792
【0243】
ここで、演算された誘起電圧は、4台の誘導電動機3,4,5,6を1台の誘導電動機とみなした場合の近似的な値である。
一方、第2のトルク指令補正部29には、このようにして求められた誘起電圧Eh が入力される。
【0244】
第2のトルク指令補正部29では、誘起電圧Eh に基づいてトルク指令Tm* を補正し、補正後のトルク指令Tm* cmpが出力される。
すなわち、この第2のトルク指令補正部29では、トルク指令補正量演算部18において、入力された誘起電圧Eh に基づいて、各誘導電動機3,4,5,6の同時空転を抑制するように、トルク指令補正量ΔTmが演算される。
【0245】
このトルク指令補正量演算部18では、例えば次のような具体的な演算により、トルク指令補正量ΔTmが演算される。
すなわち、入力された誘起電圧Eh に基づいて、その絶対値の時間変化量 d|Eh |が演算される。
【0246】
そして、この誘起電圧の絶対値の時間変化量d|Eh |があらかじめ設定された所定値d|Eh |* を超える場合には、両者の偏差に応じたトルク指令補正量ΔTmが出力される。また、誘起電圧の絶対値の時間変化量d|Eh |があらかじめ設定された所定値d|Eh |* を超えない場合には、零がトルク指令補正量ΔTmとして出力される。
【0247】
【数20】
Figure 0003749792
【0248】
ただし、Gはゲインを表わすものである。また、これらの関係は、回転が正転であると仮定している。
誘導電動機の誘起電圧の絶対値は、ほぼ回転周波数×磁束量で表わされるため、誘起電圧の絶対値の時間変化量d|Eh |は回転加速度×磁束量で表わされる。この誘起電圧の絶対値の最大の時間変化量d|E|max は、最大の加速度×磁束量として表わされる。
【0249】
ここで、誘導電動機の回転加速度の最大値ACCmax は、電気車の重量および最大の推進力を与えた場合の直線運動系を、誘導電動機周りの回転運動系へ換算することにより求めることができる。
【0250】
この誘導電動機の回転加速度の最大値ACCmax は、空転していない状態での電動機の回転加速度の最大値を表わすものであり、実際の誘起電圧の絶対値の時間変化量d|Eh |が、最大の時間変化量d|E|max を上回る場合には、誘導電動機が空転している状況が考えられる。
従って、空転誤検知を考慮して、例えば以下のように所定値d|E|* を設定する。
【0251】
【数21】
Figure 0003749792
【0252】
ただし、α:空転誤検知を制御するオフセット(>0)。
そして、推定された誘起電圧の絶対値の時間変化量d|E|h が所定値 d|E|* を上回る場合には、各誘導電動機3,4,5,6が同時に空転しているとみなし、トルクを絞るようにトルク指令補正量ΔTmを設定することにより、各誘導電動機3,4,5,6の同時空転を抑制することができる。
【0253】
上述したように、本実施の形態の速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置では、電気車駆動用の各誘導電動機3,4,5,6に流れる全電流値Iu ,Iw に基づいて、4台の誘導電動機3,4,5,6を1台の誘導電動機とみなした場合の誘起電圧Eh を推定演算し、この推定演算された誘起電圧Eh に基づいてトルク指令を補正する、すなわち誘起電圧の推定値によって各誘導電動機3,4,5,6の同時空転を検知し、トルクを補正するようにしているので、各誘導電動機3,4,5,6の同時空転を抑制して、トルクを最大限にレール12へ伝達することが可能となる。
【0254】
以上により、速度検出器が不要となるため、速度検出機構の誤動作に起因するトルク擾乱を除去すると共に、速度検出器の撤去に伴なう誘導電動機の容量増加を期待することができる。
【0255】
さらに、本実施の形態では、前記第1および第2の実施の形態の場合と比較して、各誘導電動機3,4,5,6の個別の空転を抑制できない分、空転抑制の性能は若干劣るものの、前記図14に示した粘着力に余裕のあるような動作点を有する電気車、すなわち電気車の推進力に対して誘導電動機の数が多く、1台の誘導電動機に分担される推進力が小さい電気車において、十分な性能を発揮することができる。
【0256】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置によれば、1台のVVVFインバータにより電気車駆動用の少なくとも1台の誘導電動機を駆動するベクトル制御方式の制御装置において、各誘導電動機に流れる電流の情報に基づいてトルクを補正して、速度検出器を用いずに各誘導電動機の空転を抑制することが可能となり、大きなトルクをレールへ伝達して十分な推進力を得ることができる。
【0257】
これにより、速度検出器が不要となるため、速度検出機構の誤パルスに起因するトルク擾乱を除去すると共に、速度検出器の撤去に伴なう誘導電動機の容量増加を期待することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置の第1の実施の形態を示すブロック図。
【図2】VVVFインバータの出力周波数と誘導電動機のロータ回転周波数と滑り周波数との関係を示す図。
【図3】誘導電動機の定常等価回路を示す図。
【図4】本発明による速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置の第2の実施の形態を示すブロック図。
【図5】本発明による第3の実施の形態の速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置におけるトルク指令補正部の構成例を示すブロック図。
【図6】本発明による第4の実施の形態の速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置におけるトルク指令補正部の構成例を示すブロック図。
【図7】誘導電動機のインピーダンスのベクトルを示す図。
【図8】本発明による第5の実施の形態の速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置におけるトルク指令補正部の構成例を示すブロック図。
【図9】本発明による第6の実施の形態の速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置におけるトルク指令補正部の構成例を示すブロック図。
【図10】本発明による速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置の第7の実施の形態を示すブロック図。
【図11】本発明による第8の実施の形態の速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置におけるトルク指令補正部の構成例を示すブロック図。
【図12】本発明による第9の実施の形態の速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置におけるトルク指令補正部の構成例を示すブロック図。
【図13】従来のベクトル制御方式の電気車駆動用誘導電動機の制御制御装置の概略構成例を示すブロック図。
【図14】電気車の車体速度と車輪速度との差と粘着力との関係を示す模式図。
【符号の説明】
1…VVVFインバータ、
2…トルク制御部、
3,4,5,6…誘導電動機、
7,8,9,10…電流検出器、
11…電流検出器、
12…レール、
13,14,15,16…速度検出器、
17…トルク指令補正部、
18…トルク補正量演算部、
19…減算器、
20,21,22,23,42…ロータ周波数演算部、
24…電流演算器、
25,26,27,28…車輪、
29…第2のトルク指令補正部、
30…電流位相角演算部、
31,32,33…電流位相角演算部、
34,35,36,37,43…誘起電圧演算部、
38,39,40,41…磁束演算部。

Claims (2)

  1. 直流を任意の周波数の交流に変換する1台の可変電圧可変周波数インバータ(VVVFインバータ)により、電気車駆動用の複数台の誘導電動機を駆動するベクトル制御方式の制御装置において、
    前記各誘導電動機に流れる全体の電流を検出する電流検出手段と、
    前記電流検出手段により検出された電流値に基づいて、前記各誘導電動機が同時に空転することを抑制するように、個々の誘導電動機の情報に基づくことなく、トルク指令を補正するものであって、少なくとも前記電流検出手段により検出された電流値に基づいて、前記各誘導電動機を1台の誘導電動機とみなした場合の当該誘導電動機のロータの回転周波数を推定演算するロータ周波数演算手段と、前記ロータ周波数演算手段により推定演算された誘導電動機のロータ周波数に基づいて、前記トルク指令への補正量を演算するトルク補正量演算手段と、前記トルク補正量演算手段により演算されたトルク指令補正量と前記トルク指令とを加算する加算手段とから成るトルク指令補正手段と、
    前記トルク指令補正手段により補正されたトルク指令に追従したトルクを前記各誘導電動機が出力するように、前記VVVFインバータを制御するトルク制御手段と、
    を備えて成ることを特徴とする速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置。
  2. 直流を任意の周波数の交流に変換する1台の可変電圧可変周波数インバータ(VVVFインバータ)により、電気車駆動用の複数台の誘導電動機を駆動するベクトル制御方式の制御装置において、
    前記各誘導電動機に流れる全体の電流を検出する電流検出手段と、
    前記電流検出手段により検出された電流値に基づいて、前記各誘導電動機が同時に空転することを抑制するように、個々の誘導電動機の情報に基づくことなく、トルク指令を補正するものであって、少なくとも前記電流検出手段により検出された電流値に基づいて、前記各誘導電動機を1台の誘導電動機とみなした場合の当該誘導電動機に発生する誘起電圧を推定演算する誘起電圧演算手段と、前記誘起電圧演算手段により推定演算された誘導電動機の誘起電圧に基づいて、前記トルク指令への補正量を演算するトルク補正量演算手段と、前記トルク補正量演算手段により演算されたトルク指令補正量と前記トルク指令とを加算する加算手段とから成るトルク指令補正手段と、
    前記トルク指令補正手段により補正されたトルク指令に追従したトルクを前記各誘導電動機が出力するように、前記VVVFインバータを制御するトルク制御手段と、
    を備えて成ることを特徴とする速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置。
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