JP2000060198A - 速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置 - Google Patents

速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置

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JP2000060198A
JP2000060198A JP10220276A JP22027698A JP2000060198A JP 2000060198 A JP2000060198 A JP 2000060198A JP 10220276 A JP10220276 A JP 10220276A JP 22027698 A JP22027698 A JP 22027698A JP 2000060198 A JP2000060198 A JP 2000060198A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】速度センサレスベクトル制御により、速度検出
器を用いずに各誘導電動機の空転を抑制すること。 【解決手段】直流を任意の周波数の交流に変換する1台
のVVVFインバータ1により、電気車駆動用の複数n
台(n>1)の誘導電動機3,4,5,6 を駆動するベクトル
制御方式の制御装置において、n台の誘導電動機3,4,5,
6 に流れる電流をそれぞれ個別に検出する電流検出手段
7,8,9,10と、各電流検出手段7,8,9,10により検出された
各電流値に基づいて、トルク指令を補正するトルク指令
補正手段17と、トルク指令補正手段17により補正された
トルク指令に追従したトルクを各誘導電動機3,4,5,6 が
出力するように、VVVFインバータ1を制御するトル
ク制御手段2とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、1台の可変電圧可
変周波数インバータ(以下、VVVFインバータと称す
る)により、電気車駆動用の少なくとも1台の誘導電動
機を駆動するベクトル制御方式の制御装置に係り、特に
速度検出器を用いずに各誘導電動機の空転を抑制できる
ようにした速度センサレスベクトル制御を用いた電気車
駆動用誘導電動機の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図13は、この種の従来のベクトル制御
方式の電気車駆動用誘導電動機の制御装置の概略構成例
を示すブロック図である。図13において、直流を任意
の周波数の交流に変換するVVVFインバータ1の交流
側に、電気車駆動用の複数n台(n>1:図では4台)
の誘導電動機3,4,5,6が接続され、トルク指令に
追従したトルクを各誘導電動機3,4,5,6が出力す
るように、トルク制御部2がVVVFインバータ1を制
御するようになっている。
【0003】電気車では、各誘導電動機3,4,5,6
が、車輪25,26,27,28を介してそれぞれレー
ル12に接している。そして、車輪25,26,27,
28と電気車の車体速度とが微少な速度差を持つことに
より、誘導電動機3,4,5,6の出力するトルクを車
輪25,26,27,28とレール12間の粘着力とし
てレール12に伝え、電気車の推進力とする。
【0004】図14は、電気車の車体速度と車輪速度と
の速度差と、粘着力すなわち車体推進力との関係を模式
的に示す図である。図14から、電気車の車体速度と車
輪速度との速度差により、粘着力が発生することが分か
る。
【0005】しかしながら、車輪25,26,27,2
8と車体速度との速度差が大きくなると、車輪25,2
6,27,28とレール12間の粘着力が低下し、電気
車として十分な推進力を得られなくなる。
【0006】この状態では、各誘導電動機3,4,5,
6のロータおよび車輪25,26,27,28は、レー
ル12への粘着力が低下した分、余剰なトルクにより急
激な加速トルクを得て回転周波数が上昇する。この現象
を「空転」と称する。この空転は、車輪25,26,2
7,28からレール12への粘着力、すなわち電気車の
推進力の低下を表わす現象である。
【0007】以上のような観点から、電気車の制御とし
ては、各誘導電動機3,4,5,6の空転を抑制して、
粘着力を最大に保つことが重要である。そこで、従来の
ベクトル制御方式を用いた制御装置では、各誘導電動機
3,4,5,6の空転を抑制するために、各誘導電動機
3,4,5,6のロータの回転周波数を速度検出器によ
り検出して、トルク指令を補正するようにしている。
【0008】すなわち、図13に示すように、各誘導電
動機3,4,5,6には、ロータの回転周波数を検出す
る速度検出器13,14,15,16が備えられてい
る。この各速度検出器13,14,15,16により検
出された各誘導電動機3,4,5,6のロータの回転周
波数WR1,WR2,WR3,WR4は、トルク指令補
正部17へと入力される。
【0009】トルク指令補正部17では、各誘導電動機
3,4,5,6のロータの回転周波数WR1,WR2,
WR3,WR4に基づいて、トルク指令Tm* を補正す
る。そして、この補正後のトルク指令Tm* cmpは、
トルク制御部2へと入力される。
【0010】トルク制御部2では、補正後のトルク指令
Tm* cmpに各誘導電動機3,4,5,6が出力する
トルクが一致するように、VVVFインバータ1を制御
する。
【0011】すなわち、トルク制御部2では、補正後の
トルク指令Tm* cmpから求められる電流指令と、電
流検出器11により検出された各誘導電動機3,4,
5,6に流れる全体の電流値(全電流値)Iu ,Iw と
が一致するように電流制御を行なうことにより、補正後
のトルク指令Tm* cmpに追従したトルクをVVVF
インバータ1に出力する。
【0012】また、各速度検出器13,14,15,1
6により検出された各誘導電動機3,4,5,6のロー
タの回転周波数WR1,WR2,WR3,WR4の平均
値を全体のロータ回転周波数とみなし、補正後のトルク
指令Tm* cmpから求められるすべり周波数とを加算
して、VVVFインバータ1に対する周波数指令として
出力する。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述したよ
うなベクトル制御方式を用いた制御装置では、各誘導電
動機3,4,5,6の回転周波数を検出する速度検出器
13,14,15,16として、パルスジェネレータが
用いられる場合が多いが、振動やノイズによって誤パル
スが重畳する。
【0014】その結果、この速度検出機構の誤動作によ
って検出速度に誤差が生じ、トルク擾乱の原因となる。
また、電気車駆動用の誘導電動機3,4,5,6は、一
般に台車に収められるため、2本のレール12間の長さ
によって、誘導電動機3,4,5,6の回転軸方向の長
さに制約を受ける。
【0015】一方、速度検出器13,14,15,16
は、誘導電動機3,4,5,6の回転軸方向に厚みを持
った構造であることから、誘導電動機3,4,5,6の
回転軸方向の長さに更なる制約を加えるものである。
【0016】その結果、大容量の誘導電動機を設置する
場合には、誘導電動機体格が大きくなる。よって、速度
検出器13,14,15,16の存在は、誘導電動機
3,4,5,6の容量増加を図る上で、好ましくない。
【0017】本発明の目的は、1台のVVVFインバー
タにより電気車駆動用の少なくとも1台の誘導電動機を
駆動するベクトル制御方式の制御装置において、速度検
出器を用いずに各誘導電動機の空転を抑制することが可
能な速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用
誘導電動機の制御装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、直流を任意の周波数の交流に変換する1台のVV
VFインバータにより、電気車駆動用の複数n台(n>
1)の誘導電動機を駆動するベクトル制御方式の制御装
置において、請求項1の発明では、n台の誘導電動機に
流れる電流をそれぞれ個別に検出する電流検出手段と、
各電流検出手段により検出された各電流値に基づいて、
トルク指令を補正するトルク指令補正手段と、トルク指
令補正手段により補正されたトルク指令に追従したトル
クを各誘導電動機が出力するように、VVVFインバー
タを制御するトルク制御手段とを備える。
【0019】従って、請求項1の発明の速度センサレス
ベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装
置においては、各誘導電動機に流れる電流値に基づい
て、トルク指令を補正する。
【0020】すなわち、電流値によって個々の誘導電動
機の空転を検知し、トルクを補正することにより、各誘
導電動機の空転を抑制して、トルクを最大限にレールへ
伝達することが可能となる。
【0021】これにより、速度検出器が不要となるた
め、速度検出機構の誤パルスに起因するトルク擾乱を除
去すると共に、速度検出器の撤去に伴なう誘導電動機の
容量増加を期待することができる。
【0022】また、請求項2の発明では、n−1台の誘
導電動機に流れる電流をそれぞれ個別に検出する第1の
電流検出手段と、n台の誘導電動機に流れる全体の電流
を検出する第2の電流検出手段と、各第1の電流検出手
段により検出された各電流値と、第2の電流検出手段に
より検出された全電流値とに基づいて、n−1台の誘導
電動機以外のn台目の誘導電動機に流れる電流値を演算
する電流演算手段と、各第1の電流検出手段により検出
された各電流値と、電流演算手段により演算された電流
値とに基づいて、トルク指令を補正するトルク指令補正
手段と、トルク指令補正手段により補正されたトルク指
令に追従したトルクを各誘導電動機が出力するように、
VVVFインバータを制御するトルク制御手段とを備え
る。
【0023】従って、請求項2の発明の速度センサレス
ベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装
置においては、各誘導電動機に流れる電流値に基づい
て、トルク指令を補正する。
【0024】すなわち、電流値によって個々の誘導電動
機の空転を検知し、トルクを補正することにより、各誘
導電動機の空転を抑制して、トルクを最大限にレールへ
伝達することが可能となる。
【0025】これにより、速度検出器が不要となるた
め、速度検出機構の誤パルスに起因するトルク擾乱を除
去すると共に、速度検出器の撤去に伴なう誘導電動機の
容量増加を期待することができる。
【0026】一方、請求項3の発明では、上記請求項1
または請求項2の発明の速度センサレスベクトル制御を
用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置において、上
記トルク指令補正手段としては、少なくとも各電流検出
手段により検出された各電流値、または各第1の電流検
出手段により検出された各電流値および電流演算手段に
より演算された電流値に基づいて、各誘導電動機のロー
タの回転周波数をそれぞれ個別に推定演算するロータ周
波数演算手段と、各ロータ周波数演算手段により推定演
算された各誘導電動機のロータ回転周波数に基づいて、
トルク指令への補正量を演算するトルク補正量演算手段
と、トルク補正量演算手段により演算されたトルク指令
補正量とトルク指令とを加算する加算手段とから成る。
【0027】従って、請求項3の発明の速度センサレス
ベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装
置においては、各誘導電動機に流れる電流値に基づい
て、各誘導電動機のロータの回転周波数を推定演算し、
この推定演算されたロータ回転周波数に基づいてトルク
指令を補正する。
【0028】すなわち、各誘導電動機のロータ回転周波
数の推定値によって空転を検知し、トルクを補正するこ
とにより、各誘導電動機の空転を抑制して、トルクを最
大限にレールへ伝達することが可能となる。
【0029】これにより、従来の空転抑制制御にある、
各誘導電動機のロータ回転周波数に基づくトルク指令補
正のアルゴリズムを継承することが可能となり、蓄積さ
れた技術を生かした高信頼性システムを構築することが
できる。
【0030】また、速度検出器が不要となるため、速度
検出機構の誤動作に起因するトルク擾乱を除去すると共
に、速度検出器の撤去に伴なう誘導電動機の容量増加を
期待することができる。
【0031】また、請求項4の発明では、上記請求項1
または請求項2の発明の速度センサレスベクトル制御を
用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置において、上
記トルク指令補正手段としては、少なくとも各電流検出
手段により検出された各電流値、または各第1の電流検
出手段により検出された各電流値および電流演算手段に
より演算された電流値のある基準軸に対する位相角をそ
れぞれ個別に演算する電流位相角演算手段と、各電流位
相角演算手段により演算された各電流のある基準軸に対
する位相角に基づいて、トルク指令への補正量を演算す
るトルク補正量演算手段と、トルク補正量演算手段によ
り演算されたトルク指令補正量とトルク指令とを加算す
る加算手段とから成る。
【0032】従って、請求項4の発明の速度センサレス
ベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装
置においては、互いにロータ回転周波数の異なる、すな
わち滑り周波数の異なる誘導電動機を、1台の同一のV
VVFインバータにより駆動する場合、各誘導電動機の
インピーダンスに応じて、誘導電動機に流れる電流の位
相に差が生じる。お互いの電流位相の差が大きい場合に
は、ロータの回転周波数の差が大きい場合であり、空転
状態に相当する。
【0033】すなわち、電流位相の差に応じてトルク指
令を補正することにより、各誘導電動機の空転を抑制し
て、トルクを最大限にレールへ伝達することが可能とな
る。これにより、速度検出器が不要となるため、速度検
出機構の誤動作に起因するトルク擾乱を除去すると共
に、速度検出器の撤去に伴なう誘導電動機の容量増加を
期待することができる。
【0034】さらに、請求項5の発明では、上記請求項
1または請求項2の発明の速度センサレスベクトル制御
を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置において、
上記トルク指令補正手段としては、少なくとも各電流検
出手段により検出された各電流値、または各第1の電流
検出手段により検出された各電流値および電流演算手段
により演算された電流値に基づいて、各誘導電動機に発
生する誘起電圧をそれぞれ個別に推定演算する誘起電圧
演算手段と、各誘起電圧演算手段により推定演算された
各誘導電動機の誘起電圧に基づいて、トルク指令への補
正量を演算するトルク補正量演算手段と、トルク補正量
演算手段により演算されたトルク指令補正量とトルク指
令とを加算する加算手段とから成る。
【0035】従って、請求項5の発明の速度センサレス
ベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装
置においては、互いにロータ回転周波数の異なる、すな
わち滑り周波数の異なる誘導電動機を、1台の同一のV
VVFインバータにより駆動する場合、各誘導電動機の
インピーダンスの差に応じて、誘導電動機に発生する誘
起電圧に差が生じる。例えば、誘起電圧の差が大きい場
合には、ロータの回転周波数の差が大きい場合を示し、
空転状態に相当するのが分かる。
【0036】すなわち、推定演算された誘起電圧に応じ
てトルク指令を補正することにより、各誘導電動機の空
転を抑制して、トルクを最大限にレールへ伝達すること
が可能となる。
【0037】これにより、速度検出器が不要となるた
め、速度検出機構の誤動作に起因するトルク擾乱を除去
すると共に、速度検出器の撤去に伴なう誘導電動機の容
量増加を期待することができる。
【0038】さらにまた、請求項6の発明では、上記請
求項1または請求項2の発明の速度センサレスベクトル
制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置におい
て、上記トルク指令補正手段としては、少なくとも各電
流検出手段により検出された各電流値、または各第1の
電流検出手段により検出された各電流値および電流演算
手段により演算された電流値に基づいて、各誘導電動機
に発生する磁束をそれぞれ個別に推定演算する磁束演算
手段と、各磁束演算手段により推定演算された各誘導電
動機の磁束に基づいて、トルク指令への補正量を演算す
るトルク補正量演算手段と、トルク補正量演算手段によ
り演算されたトルク指令補正量とトルク指令とを加算す
る加算手段とから成る。
【0039】従って、請求項6の発明の速度センサレス
ベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装
置においては、互いにロータ回転周波数の異なる、すな
わち滑り周波数の異なる誘導電動機を、1台の同一のV
VVFインバータにより駆動する場合、各誘導電動機の
インピーダンスの差に応じて、誘導電動機に発生する磁
束に差が生じる。磁束の差が大きい場合には、ロータの
回転周波数の差が大きい場合を示し、空転状態に相当す
ることが分かる。
【0040】すなわち、推定演算された磁束に応じてト
ルク指令を補正することにより、各誘導電動機の空転を
抑制して、トルクを最大限にレールへ伝達することが可
能となる。
【0041】これにより、速度検出器が不要となるた
め、速度検出機構の誤動作に起因するトルク擾乱を除去
すると共に、速度検出器の撤去に伴なう誘導電動機の容
量増加を期待することができる。
【0042】一方、請求項7の発明では、各誘導電動機
に流れる全体の電流を検出する電流検出手段と、電流検
出手段により検出された電流値に基づいて、各誘導電動
機が同時に空転することを抑制するように、トルク指令
を補正するトルク指令補正手段と、トルク指令補正手段
により補正されたトルク指令に追従したトルクを各誘導
電動機が出力するように、VVVFインバータを制御す
るトルク制御手段とを備える。
【0043】従って、請求項7の発明の速度センサレス
ベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装
置においては、各誘導電動機に流れる全電流値に基づい
て、トルク指令を補正する。各誘導電動機の情報を得る
手段は存在せず、各誘導電動機の空転を検知することは
不可能あるいは困難であると考えられるが、各誘導電動
機が同時に空転状態になったことを全電流により検知す
ることは可能である。
【0044】すなわち、各誘導電動機に流れる全電流値
によって各誘導電動機の同時空転を検知し、トルクを補
正することにより、各誘導電動機の同時空転を抑制し
て、トルクのレールへの伝達率を向上することが可能と
なる。
【0045】これにより、速度検出器が不要となるた
め、速度検出機構の誤パルスに起因するトルク擾乱を除
去すると共に、速度検出器の撤去に伴なう誘導電動機の
容量増加を期待することができる。
【0046】さらに、前記請求項1および請求項2の発
明の場合と比較して、電流検出手段の数を低減すること
が可能となるため、低コスト化を図ることができる。ま
た、請求項8の発明では、上記請求項7の発明の速度セ
ンサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機
の制御装置において、上記トルク指令補正手段として
は、少なくとも電流検出手段により検出された電流値に
基づいて、各誘導電動機を1台の誘導電動機とみなした
場合の当該誘導電動機のロータの回転周波数を推定演算
するロータ周波数演算手段と、ロータ周波数演算手段に
より推定演算された誘導電動機のロータ周波数に基づい
て、トルク指令への補正量を演算するトルク補正量演算
手段と、トルク補正量演算手段により演算されたトルク
指令補正量とトルク指令とを加算する加算手段とから成
る。
【0047】従って、請求項8の発明の速度センサレス
ベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装
置においては、各誘導電動機に流れる全電流値に基づい
て、各誘導電動機を1台の誘導電動機とみなした場合の
誘導電動機のロータ回転周波数を推定演算し、この推定
演算されたロータ回転周波数に基づいてトルク指令を補
正する。
【0048】すなわち、ロータ回転周波数推定値によっ
て各誘導電動機の同時空転を検知し、トルクを補正する
ことにより、各誘導電動機の同時空転を抑制して、トル
クを最大限にレールへ伝達することが可能となる。
【0049】これにより、従来の空転抑制制御にある、
同時空転抑制のためのトルク指令補正のアルゴリズムを
継承することが可能となり、蓄積された技術を生かした
高信頼性システムを構築することができる。
【0050】また、速度検出器が不要となるため、速度
検出機構の誤動作に起因するトルク擾乱を除去すると共
に、速度検出器の撤去に伴なう誘導電動機の容量増加を
期待することができる。
【0051】さらに、前記請求項1および請求項2の発
明の場合と比較して、各誘導電動機の個別の空転を抑制
できない分、空転抑制の性能は若干劣るものの、粘着力
に余裕のあるような動作点を有する電気車、すなわち電
気車の推進力に対して誘導電動機の数が多く、1台の誘
導電動機に分担される推進力が小さい電気車において十
分な性能を有する。
【0052】さらに、請求項9の発明では、上記請求項
7の発明の速度センサレスベクトル制御を用いた電気車
駆動用誘導電動機の制御装置において、上記トルク指令
補正手段としては、少なくとも電流検出手段により検出
された電流値に基づいて、各誘導電動機を1台の誘導電
動機とみなした場合の当該誘導電動機に発生する誘起電
圧を推定演算する誘起電圧演算手段と、誘起電圧演算手
段により推定演算された誘導電動機の誘起電圧に基づい
て、トルク指令への補正量を演算するトルク補正量演算
手段と、トルク補正量演算手段により演算されたトルク
指令補正量とトルク指令とを加算する加算手段とから成
る。
【0053】従って、請求項9の発明の速度センサレス
ベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装
置においては、各誘導電動機に流れる全電流値に基づい
て、各誘導電動機を1台の誘導電動機とみなした場合の
誘起電圧を推定演算し、この推定演算された誘起電圧に
基づいてトルク指令を補正する。
【0054】すなわち、誘起電圧によって各誘導電動機
の同時空転を検知し、トルクを補正することにより、各
誘導電動機の同時空転を抑制して、トルクを最大限にレ
ールへ伝達することが可能となる。
【0055】これにより、速度検出器が不要となるた
め、速度検出機構の誤動作に起因するトルク擾乱を除去
すると共に、速度検出器の撤去に伴なう誘導電動機の容
量増加を期待することができる。
【0056】さらに、前記請求項1および請求項2の発
明の場合と比較して、各誘導電動機の個別の空転を抑制
できない分、空転抑制の性能は若干劣るものの、粘着力
に余裕のあるような動作点を有する電気車、すなわち電
気車の推進力に対して誘導電動機の数が多く、1台の誘
導電動機に分担される推進力が小さい電気車において十
分な性能を有する。
【0057】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して詳細に説明する。 (第1の実施の形態)図1は、本実施の形態による速度
センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動
機の制御装置の概略構成例を示すブロック図であり、図
13と同一要素には同一符号を付して示している。
【0058】図1において、直流を任意の周波数の交流
に変換するVVVFインバータ1の交流側に、電気車駆
動用の複数n台(n>1:図では4台)の誘導電動機
3,4,5,6が接続され、トルク指令に追従したトル
クを各誘導電動機3,4,5,6が出力するように、ト
ルク制御部2がVVVFインバータ1を制御するように
なっている。
【0059】また、各誘導電動機3,4,5,6は、車
輪25,26,27,28を介してそれぞれレール12
に接している。一方、制御装置は、電流検出器7,8,
9,10と、トルク指令補正部17と、トルク制御部2
とから構成している。
【0060】電流検出器7,8,9,10は、n台(4
台)のそれぞれ各誘導電動機3,4,5,6に対応して
備えられ、各誘導電動機3,4,5,6に流れる電流を
それぞれ個別に検出する。
【0061】トルク指令補正部17は、電流検出器7,
8,9,10により検出された各電流値に基づいて、ト
ルク指令を補正する。トルク制御部2は、トルク指令補
正部17により補正されたトルク指令に追従したトルク
を各誘導電動機3,4,5,6が出力するように、VV
VFインバータ1を制御する。
【0062】次に、以上のように構成した本実施の形態
の速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘
導電動機の制御装置の作用について説明する。図1にお
いて、電流検出器7,8,9,10では、各誘導電動機
3,4,5,6に流れる電流I1u,I1w,I2u,I2w,
I3u,I3w,I4u,I4wが検出される。この電流検出器
7,8,9,10により検出された各誘導電動機3,
4,5,6に流れる電流I1u,I1w,I2u,I2w,I3
u,I3w,I4u,I4wは、トルク指令補正部17へ入力
される。
【0063】トルク指令補正部17では、入力であるト
ルク指令Tm* が、各誘導電動機3,4,5,6に流れ
る電流I1u,I1w,I2u,I2w,I3u,I3w,I4u,I
4wに基づいて補正される。この補正後のトルク指令Tm
* cmpは、トルク制御部2へ入力される。
【0064】トルク制御部2では、補正後のトルク指令
Tm* cmpに各誘導電動機3,4,5,6が出力する
トルクが一致するように、VVVFインバータ1が制御
される。
【0065】すなわち、トルク制御部2では、補正後の
トルク指令Tm* cmpから求められる電流指令と、電
流検出器7,8,9,10により検出された各誘導電動
機3,4,5,6に流れる電流値I1u,I1w,I2u,I
2w,I3u,I3w,I4u,I4wとが一致するように電流制
御を行なうことにより、補正後のトルク指令Tm* cm
pに追従したトルクがVVVFインバータ1に出力され
る。
【0066】電気車では、各誘導電動機3,4,5,6
が、車輪25,26,27,28を介してレール12に
接している。そして、電気車の車体速度と車輪速度とが
微少な速度差を持つことにより、各誘導電動機3,4,
5,6の出力するトルクをレール12に伝えることがで
きる。車体速度と車輪速度が一致することは、レール1
2上を車輪25,26,27,28が全く滑りを持た
ず、転がる状態を意味する。各誘導電動機3,4,5,
6の出力するトルクの中で、レール12へ伝わるトルク
あるいは力は、粘着力とも呼ばれ、電気車の推進力とな
る。
【0067】前述したように、車輪25,26,27,
28と車体速度との速度差が大きくなると、車輪25,
26,27,28とレール12との間の粘着力が低下
し、電気車として十分な推進力を得られなくなる。そし
て、この状態では、各誘導電動機3,4,5,6のロー
タおよび車輪25,26,27,28は、レール12へ
の粘着力が低下した分、余剰なトルクにより急激な加速
トルクを得て、回転周波数が上昇して、空転が発生す
る。この空転は、車輪25,26,27,28からレー
ル12への粘着力、すなわち電気車の推進力の低下を表
わす現象であることから、電気車としては、各誘導電動
機3,4,5,6の空転を抑制して、レール12へ大き
なトルクを伝達することが重要である。
【0068】本実施の形態では、1台の同一のVVVF
インバータ1により4台の誘導電動機3,4,5,6を
駆動する場合、各誘導電動機3,4,5,6にかかる電
圧の大きさと周波数と位相とは全く同一となる。しかし
ながら、各誘導電動機3,4,5,6が空転等の原因に
よって別な回転速度を有する場合には、それぞれ別個の
滑り周波数を有することになる。
【0069】図2は、例えば誘導電動機3,4,5,6
の順にロータの回転周波数が遅い場合のVVVFインバ
ータ1の出力周波数ωiと滑り周波数ωsとの関係の一
例を示す図である。
【0070】図2に示すように、VVVFインバータ1
の出力周波数ωiは、各誘導電動機3,4,5,6に対
して一定となる。各誘導電動機3,4,5,6のロータ
の回転周波数ωrの個体差により、滑り周波数ωsにば
らつきが生じる。この滑り周波数ωsは、誘導電動機
3,4,5,6のインピーダンスに影響を与える。
【0071】図3は、誘導電動機の定常等価回路を示す
図である。図3から、滑りS(=ωs/ωi)に応じ
て、誘導電動機のインピーダンスが変化することが分か
る。このため、同一のVVVFインバータ1から同一の
電圧V1を各誘導電動機3,4,5,6に与えるにも関
わらず、滑り周波数ωsの差異により、各誘導電動機
3,4,5,6を流れる電流は同一でない。
【0072】上述したように、本実施の形態の速度セン
サレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の
制御装置では、電気車駆動用の各誘導電動機3,4,
5,6に流れる電流値I1u,I1w,I2u,I2w,I3u,
I3w,I4u,I4wに基づいて、トルク指令Tm* を補正
する、すなわち電流値によって個々の誘導電動機3,
4,5,6の空転を検知し、トルクを補正するようにし
ているので、各誘導電動機3,4,5,6の空転を抑制
して、トルクを最大限にレール12へ伝達することが可
能となる。
【0073】以上により、速度検出器が不要となるた
め、速度検出機構の誤パルスに起因するトルク擾乱を除
去すると共に、速度検出器の撤去に伴なう誘導電動機
3,4,5,6の容量増加を期待することができる。
【0074】(第2の実施の形態)図4は、本実施の形
態による速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆
動用誘導電動機の制御装置の概略構成例を示すブロック
図であり、図1と同一要素には同一符号を付してその説
明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0075】本実施の形態では、前記第1の実施の形態
において、各誘導電動機3,4,5,6に流れる電流の
検出方法が異なっている。すなわち、図1において、制
御装置は、電流検出器7,8,9と、電流検出器11
と、電流演算器24と、トルク指令補正部17と、トル
ク制御部2とから構成している。
【0076】電流検出器7,8,9は、n−1台(4−
1=3台)のそれぞれ各誘導電動機3,4,5に対応し
て備えられ、各誘導電動機3,4,5に流れる電流をそ
れぞれ個別に検出する。
【0077】電流検出器11は、前記VVVFインバー
タ1の出力端子T0と各誘導電動機3,4,5,6の入
力端子T1との間における共有した接続線に備えられ、
n台(4台)の各誘導電動機3,4,5,6に流れる全
体の電流(全電流)を検出する。
【0078】電流演算器24は、電流検出器7,8,9
により検出された各電流値と、電流検出器11により検
出された全電流値とに基づいて、n−1台の誘導電動機
3,4,5以外のn台目の誘導電動機6に流れる電流値
を演算する。
【0079】トルク指令補正部17は、電流検出器7,
8,9により検出された各電流値と、電流演算器24に
より演算された電流値とに基づいて、トルク指令を補正
する。
【0080】トルク制御部2は、トルク指令補正部17
により補正されたトルク指令に追従したトルクを各誘導
電動機3,4,5,6が出力するように、VVVFイン
バータ1を制御する。
【0081】次に、以上のように構成した本実施の形態
の速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘
導電動機の制御装置の作用について説明する。図4にお
いて、電流検出器7,8,9では、各誘導電動機3,
4,5に流れる電流I1u,I1w,I2u,I2w,I3u,I
3wが検出される。この電流検出器7,8,9により検出
された各誘導電動機3,4,5に流れる電流I1u,I1
w,I2u,I2w,I3u,I3wは、電流演算器24へ入力
される。
【0082】また、電流検出器11では、各誘導電動機
3,4,5,6に流れる全体の電流(全電流)が検出さ
れる。この電流検出器11により検出された各誘導電動
機3,4,5,6に流れる全電流Iu ,Iw は、電流演
算器24へ入力される。
【0083】ここで、全電流Iu ,Iw と各誘導電動機
3,4,5,6に流れる電流I1u,I1w,I2u,I2w,
I3u,I3w,I4u,I4wとの間には、以下に示すような
関係がある。
【0084】
【数1】
【0085】電流演算器24では、電流検出器7,8,
9により検出された各誘導電動機3,4,5の電流値I
1u,I1w,I2u,I2w,I3u,I3wと、電流検出器11
により検出された各誘導電動機3,4,5,6の全電流
I1u,I1wとに基づいて、例えば次式により、誘導電動
機6に流れる電流値I4u,I4wが演算される。
【0086】
【数2】
【0087】トルク指令補正部17では、入力であるト
ルク指令Tm* が、各誘導電動機3,4,5,6に流れ
る電流I1u,I1w,I2u,I2w,I3u,I3w,I4u,I
4wに基づいて補正される。この補正後のトルク指令Tm
* cmpは、トルク制御部2へ入力される。
【0088】トルク制御部2では、補正後のトルク指令
Tm* cmpに各誘導電動機3,4,5,6が出力する
トルクが一致するように、VVVFインバータ1が制御
される。
【0089】すなわち、トルク制御部2では、補正後の
トルク指令Tm* cmpから求められる電流指令と、電
流検出器7,8,9,10により検出された各誘導電動
機3,4,5,6に流れる電流値I1u,I1w,I2u,I
2w,I3u,I3w,I4u,I4wとが一致するように電流制
御を行なうことにより、補正後のトルク指令Tm* cm
pに追従したトルクがVVVFインバータ1に出力され
る。
【0090】上述したように、本実施の形態の速度セン
サレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の
制御装置では、電気車駆動用の各誘導電動機3,4,
5,6に流れる電流値I1u,I1w,I2u,I2w,I3u,
I3w,I4u,I4wに基づいて、トルク指令Tm* を補正
する、すなわち電流値によって個々の誘導電動機3,
4,5,6の空転を検知し、トルクを補正するようにし
ているので、各誘導電動機3,4,5,6の空転を抑制
して、トルクを最大限にレール12へ伝達することが可
能となる。
【0091】以上により、速度検出器が不要となるた
め、速度検出機構の誤パルスに起因するトルク擾乱を除
去すると共に、速度検出器の撤去に伴なう誘導電動機
3,4,5,6の容量増加を期待することができる。
【0092】(第3の実施の形態)図5は、本実施の形
態による速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆
動用誘導電動機の制御装置におけるトルク指令補正部1
7の概略構成例を示すブロック図であり、前記図1およ
び図4と同一要素には同一符号を付してその説明を省略
し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0093】すなわち、図5に示すように、本実施の形
態のトルク指令補正部17は、4つのロータ周波数演算
部20,21,22,23と、トルク補正量演算部18
と、加算器19とから構成している。なお、トルク補正
量演算部18、および加算器19により、第2のトルク
指令補正部29を構成している。
【0094】ロータ周波数演算部20,21,22,2
3は、それぞれ各誘導電動機3,4,5,6に対応して
備えられ、前記各電流検出器7,8,9,10により検
出された各電流値、または前記各電流検出器7,8,9
により検出された各電流値および前記電流演算器24に
より演算された電流値に基づいて(本例では、各電流検
出器7,8,9,10により検出された各電流値の場合
を例とする)、各誘導電動機3,4,5,6のロータの
回転周波数をそれぞれ個別に推定演算する。
【0095】トルク補正量演算部18は、各ロータ周波
数演算手段20,21,22,23により推定演算され
た各誘導電動機3,4,5,6のロータ回転周波数に基
づいて、前記トルク指令への補正量を演算する。
【0096】加算器19は、トルク補正量演算部18に
より演算されたトルク指令補正量と前記トルク指令とを
加算する。次に、以上のように構成した本実施の形態の
速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導
電動機の制御装置の作用について説明する。
【0097】なお、ここでは、前記図1および図4と異
なる部分の作用についてのみ述べる。図5において、ロ
ータ周波数演算部20,21,22,23には、電流検
出器7,8,9,10により検出された各誘導電動機
3,4,5,6に流れる電流I1u,I1w,I2u,I2w,
I3u,I3w,I4u,I4wが入力される。
【0098】ロータ周波数演算部20,21,22,2
3では、それぞれの各誘導電動機3,4,5,6に流れ
る電流値I1u,I1w,I2u,I2w,I3u,I3w,I4u,
I4wに基づいて、各誘導電動機3,4,5,6のロータ
の回転周波数を推定演算し、ロータ回転周波数WR1h,
WR2h,WR3h,WR4hが出力される。
【0099】この各ロータ周波数演算部20,21,2
2,23では、例えば次のような具体的な演算により、
ロータ回転周波数WR1h,WR2h,WR3h,WR4hが演
算される。
【0100】ここでは、2次磁束軸をd軸に一致させ、
d軸と直交する軸をq軸とするdq軸回転座標系を導入
する。近年の電気車制御では、トルク制御部2の中が、
このdq軸回転座標系を導入したベクトル制御系である
ことが多い。
【0101】例えば、ロータ周波数演算部20に入力さ
れる各誘導電動機3,4,5,6の相電流I1u,I1w
は、a軸とa軸に直交するb軸とからなる静止座標系か
らdq軸回転座標系までの位相角θabにより、以下のよ
うにdq軸座標系上の電流値Id ,Iq に変換される。
【0102】
【数3】
【0103】そして、このq軸電流Iq に基づいて、例
えば次式により、滑り周波数WShを推定することがで
きる。同式は近似式であり、厳密実機の滑り周波数と一
致はしないが、演算が容易である利点を有する。
【0104】
【数4】
【0105】ただし、R2:2次抵抗、L2:2次イン
ダクタンス、M:相互インダクタンス、φ2* :2次磁
束指令値である。次に、この滑り周波数WSh に基づい
て、例えば次式により、回転周波数WRh を求めること
ができる。
【0106】WRh =W1−WSh ただし、W1は1次周波数である。一方、第2のトルク
指令補正部29には、このようにして求められたロータ
回転周波数WR1h,WR2h,WR3h,WR4hが入力され
る。
【0107】第2のトルク指令補正部29では、ロータ
回転周波数WR1h,WR2h,WR3h,WR4hに基づいてト
ルク指令指令Tm* を補正し、補正後のトルク指令Tm
* cmpが出力される。
【0108】すなわち、この第2のトルク指令補正部2
9では、トルク指令補正量演算部18において、入力さ
れたロータ回転周波数推定値WR1h,WR2h,WR3h,
WR4hに基づいて、各誘導電動機3,4,5,6の空転
を抑制するように、トルク指令補正量ΔTmが演算され
る。
【0109】このトルク指令補正量演算部18では、例
えば次のような具体的な演算により、トルク指令補正量
ΔTmが演算される。すなわち、入力されたロータ回転
周波数WR1h,WR2h,WR3h,WR4hの中から、最大
の値WRmax および最小の値WRmin が抽出される。
【0110】次に、この最大値WRmax ,最小値WRmi
n を用いて、例えば次式により、トルク指令補正量ΔT
mが演算される。 ΔTm=−G・(WRmax −WRmin ) ただし、Gはゲインを表わすものである。また、これら
の関係は、回転が正転であると仮定している。
【0111】ロータ回転周波数の最大値WRmax と最小
値WRmin との差は、空転を表わす一つの指標であり、
最大値WRmax と最小値WRmin との間に差がある場
合、トルクを絞るようにトルク指令補正量ΔTmを設定
することにより、各誘導電動機3,4,5,6の空転を
抑制することができる。
【0112】一方、加算器19では、このようにして求
められたトルク指令補正量ΔTmとトルク指令Tm*
を加算して、トルク指令Tm* が補正される。次に、ト
ルク制御部2では、加算器19からの出力である補正後
のトルク指令Tm* cmpに追従したトルクを出力する
ように、VVVFインバータ1が制御される。
【0113】なお、上記において、第2のトルク指令補
正部29への入力は、推定演算されたロータ回転周波数
WR1h,WR2h,WR3h,WR4hであり、前述した従来
におけるロータ回転周波数に基づくトルク指令補正のア
ルゴリズムをそのまま継承することができる。
【0114】上述したように、本実施の形態の速度セン
サレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の
制御装置では、電気車駆動用の各誘導電動機3,4,
5,6に流れる電流値I1u,I1w,I2u,I2w,I3u,
I3w,I4u,I4wに基づいて、各誘導電動機3,4,
5,6のロータの回転周波数WR1h,WR2h,WR3h,
WR4hを推定演算し、この推定演算されたロータ回転周
波数WR1h,WR2h,WR3h,WR4hに基づいてトルク
指令を補正する、すなわち各ロータ回転周波数の推定値
によって空転を検知し、トルクを補正するようにしてい
るので、各誘導電動機3,4,5,6の空転を抑制し
て、トルクを最大限にレール12へ伝達することが可能
となる。
【0115】以上により、従来の空転抑制制御にある、
各誘導電動機のロータ回転周波数に基づくトルク指令補
正のアルゴリズムを継承することが可能となり、蓄積さ
れた技術を生かした高信頼性システムを構築することが
できる。
【0116】また、速度検出器が不要となるため、速度
検出機構の誤パルスに起因するトルク擾乱を除去すると
共に、速度検出器の撤去に伴なう誘導電動機3,4,
5,6の容量増加を期待することができる。
【0117】(第4の実施の形態)図6は、本実施の形
態による速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆
動用誘導電動機の制御装置におけるトルク指令補正部1
7の概略構成例を示すブロック図であり、前記図1およ
び図4と同一要素には同一符号を付してその説明を省略
し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0118】すなわち、図6に示すように、本実施の形
態のトルク指令補正部17は、4つの電流位相角演算部
30,31,32,33と、トルク補正量演算部18
と、加算器19とから構成している。なお、トルク補正
量演算部18、および加算器19により、第2のトルク
指令補正部29を構成している。
【0119】電流位相角演算部30,31,32,33
は、それぞれ各誘導電動機3,4,5,6に対応して備
えられ、前記各電流検出器7,8,9,10により検出
された各電流値、または前記各電流検出器7,8,9に
より検出された各電流値および前記電流演算器24によ
り演算された電流値(本例では、各電流検出器7,8,
9,10により検出された各電流値の場合を例とする)
のある基準軸に対する位相角をそれぞれ個別に演算す
る。
【0120】トルク補正量演算部18は、各電流位相角
演算部30,31,32,33により演算された各電流
のある基準軸に対する位相角に基づいて、前記トルク指
令への補正量を演算する。
【0121】加算器19は、トルク補正量演算部18に
より演算されたトルク指令補正量と前記トルク指令とを
加算する。次に、以上のように構成した本実施の形態の
速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導
電動機の制御装置の作用について説明する。
【0122】なお、ここでは、前記図1および図4と異
なる部分の作用についてのみ述べる。図6において、電
流位相角演算部30,31,32,33には、電流検出
器7,8,9,10により検出された各誘導電動機3,
4,5,6に流れる電流I1u,I1w,I2u,I2w,I3
u,I3w,I4u,I4wが入力される。
【0123】電流位相角演算部30,31,32,33
では、ある基準軸に対する各電流の位相が演算される。
ここで、前述の「ある基準軸」について述べる。すなわ
ち、通常、図1または図4に示すトルク制御部2の内部
では、ある座標系上で諸状態量を制御しており、この座
標系は、回転座標系である場合や、静止座標系である場
合もある。前述の「ある基準軸」とは、これら制御に用
いられる座標系上のある一つの軸を指すものであった
り、または電流基準を基準軸とすることもできる。
【0124】一方、第2のトルク指令補正部29には、
このようにして電流位相角演算部30,31,32,3
3で求められた、ある基準軸に対する電流位相角θi1,
θi2,θi3,θi4が入力される。
【0125】第2のトルク指令補正部29では、電流位
相角θi1,θi2,θi3,θi4に基づいて、トルク指令T
* を補正し、補正後のトルク指令Tm* cmpが出力
される。
【0126】すなわち、この第2のトルク指令補正部2
9では、トルク指令補正量演算部18において、入力さ
れた各電流位相角θi1,θi2,θi3,θi4に基づいて、
各誘導電動機3,4,5,6の空転を抑制するように、
トルク指令補正量ΔTmが演算される。
【0127】このトルク指令補正量演算部18では、例
えば次のような具体的な演算により、トルク指令補正量
ΔTmが演算される。すなわち、入力された各電流位相
差θi1,θi2,θi3,θi4の中から、最大の値θimaxお
よび最小の値θiminが抽出される。
【0128】次に、この最大値θimax,最小値θiminを
用いて、例えば次式により、トルク指令補正量ΔTmが
演算される。 ΔTm=−G・(θimax−θimin) ただし、Gはゲインを表わすものである。また、これら
の関係は、回転が正転であると仮定している。
【0129】各誘導電動機3,4,5,6のロータ回転
周波数が一致する場合、各誘導電動機3,4,5,6に
流れる電流値I1u,I1w,I2u,I2w,I3u,I3w,I
4u,I4wも一致する。
【0130】従って、電流位相の最大値θimaxと最小値
θiminとの差は、空転を表わす一つの指標であり、電流
位相の最大値θimaxと最小値θiminとの間に差がある場
合、トルクを絞るようにトルク指令補正量ΔTmを設定
することにより、各誘導電動機3,4,5,6の空転を
抑制することができる。
【0131】一方、加算器19では、このようにして求
められたトルク指令補正量ΔTmとトルク指令Tm*
を加算して、トルク指令Tm* が補正される。図7は、
前記図3に示す誘導電動機の等価回路に従って、誘導電
動機のインピーダンスのベクトルを示す図である。
【0132】なお、図7中には、滑り周波数が小さい誘
導電動機Aと滑り周波数が大きい誘導電動機Bの2つの
インピーダンスのベクトルを示している。誘導電動機の
インピーダンスZは、1次側インピーダンスZsと2次
側インピーダンスZrとの直列回路により表現され、以
下のように表わされる。
【0133】
【数5】
【0134】1次側インピーダンスZsは、図3より次
式のように表わされる。この1次側インピーダンスZs
は、滑り周波数ωsの影響を受けないため、滑り周波数
が大きい誘導電動機においても、滑り周波数が小さい誘
導電動機においても、同一となる。
【0135】
【数6】 また、2次側インピーダンスZrは、図3より次式のよ
うに表わされる。この2次側インピーダンスZrは、滑
り周波数ωsの影響を受ける。
【0136】
【数7】
【0137】ただし、S(=ωs/ωi):滑り。 例えば、滑り周波数ωsが非常に大きい場合には、上記
(5)式は下記の(6)式のように近似することがで
き、抵抗分が支配的である。また、滑り周波数ωsが非
常に小さい場合には、上記(5)式は下記の(7)式の
ように近似することができ、インダクタンス分が支配的
である。
【0138】
【数8】
【0139】上記(6)式、(7)式は究極の場合であ
るが、滑りSすなわち滑り周波数ωsに応じて、2次側
インピーダンスZrの偏角が変化するのが分かる。ここ
で、偏角とは、複素数Zにおけるatan(Imag
(Z)/Real(Z))のことで、インピーダンスZ
に電圧Vをかけた場合に流れる電流をIとすると、イン
ピーダンスの偏角は力率角に相当する。
【0140】前述のように、誘導電動機のインピーダン
スZは、1次側インピーダンスZsと2次側インピーダ
ンスZrの直列結合で表わされるため、2次側インピー
ダンスZrの偏角が滑り周波数ωsに応じて変化する
と、誘導電動機のインピーダンスZの偏角も同時に変化
する。
【0141】VVVFインバータの出力電圧をV1と
し、誘導電動機のインピーダンスをZとし、誘導電動機
に流れる電流をIとすれば、次式のようにオームの法則
が成り立つ。
【0142】
【数9】
【0143】前述のように、誘導電動機のインピーダン
スZの偏角は、この場合、VVVFインバータ1の出力
電圧V1とそれによって流れる誘導電動機の電流Iの力
率角に相当する。
【0144】従って、それぞれ滑り周波数が異なる誘導
電動機3,4,5,6が同一のVVVFインバータ1に
接続される場合には、誘導電動機のインピーダンスZの
偏角に応じて、各誘導電動機3,4,5,6に流れる電
流の位相に差が生じる。
【0145】上述したように、本実施の形態の速度セン
サレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の
制御装置では、互いにロータ回転周波数の異なる、すな
わち滑り周波数の異なる電気車駆動用の各誘導電動機
3,4,5,6を1台の同一のVVVFインバータ1に
より駆動する場合、各誘導電動機3,4,5,6のイン
ピーダンスZの偏角に応じて、各誘導電動機3,4,
5,6に流れる電流I1u,I1w,I2u,I2w,I3u,I
3w,I4u,I4wの位相に差が生じる。お互いの電流位相
の差が大きい場合には、ロータの回転周波数の差が大き
い場合であり、空転状態に相当する。
【0146】従って、電流位相の差に応じてトルク指令
を補正するようにしているので、各誘導電動機3,4,
5,6の空転を抑制して、トルクを最大限にレール12
へ伝達することが可能となる。
【0147】以上により、速度検出器が不要となるた
め、速度検出機構の誤動作に起因するトルク擾乱を除去
すると共に、速度検出器の撤去に伴なう誘導電動機の容
量増加を期待することができる。
【0148】(第5の実施の形態)図8は、本実施の形
態による速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆
動用誘導電動機の制御装置におけるトルク指令補正部1
7の概略構成例を示すブロック図であり、前記図1およ
び図4と同一要素には同一符号を付してその説明を省略
し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0149】すなわち、図8に示すように、本実施の形
態のトルク指令補正部17は、4つの誘起電圧演算部3
4,35,36,37と、トルク補正量演算部18と、
加算器19とから構成している。なお、トルク補正量演
算部18、および加算器19により、第2のトルク指令
補正部29を構成している。
【0150】誘起電圧演算部34,35,36,37
は、それぞれ各誘導電動機3,4,5,6に対応して備
えられ、前記各電流検出器7,8,9,10により検出
された各電流値、または前記各電流検出器7,8,9に
より検出された各電流値および前記電流演算器24によ
り演算された電流値に基づいて(本例では、各電流検出
器7,8,9,10により検出された各電流値の場合を
例とする)、各誘導電動機3,4,5,6に発生する誘
起電圧をそれぞれ個別に推定演算する。
【0151】トルク補正量演算部18は、各誘起電圧演
算部34,35,36,37により推定演算された各誘
導電動機3,4,5,6の誘起電圧に基づいて、前記ト
ルク指令への補正量を演算する。
【0152】加算器19は、トルク補正量演算部18に
より演算されたトルク指令補正量と前記トルク指令とを
加算する。次に、以上のように構成した本実施の形態の
速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導
電動機の制御装置の作用について説明する。
【0153】なお、ここでは、前記図1および図4と異
なる部分の作用についてのみ述べる。図8において、誘
起電圧演算部34,35,36,37には、電流検出器
7,8,9,10により検出された各誘導電動機3,
4,5,6に流れる電流 I1u,I1w,I2u,I2w,I
3u,I3w,I4u,I4wが入力される。
【0154】誘起電圧演算部34,35,36,37で
は、それぞれの各誘導電動機3,4,5,6に流れる電
流値I1u,I1w,I2u,I2w,I3u,I3w,I4u,I4w
に基づいて、各誘導電動機3,4,5,6に発生する誘
起電圧を推定演算し出力される。
【0155】この誘起電圧演算部34,35,36,3
7では、例えば次のような具体的な演算により、それぞ
れの誘導電動機3,4,5,6に発生する誘起電圧E1
h,E2h,E3h,E4hが推定演算される。なお、誘起電
圧の演算の方法は、以下の方法に限定されるものではな
い。誘導電動機の特性は、次式により表わされる。
【0156】
【数10】
【0157】ただし、V1:インバータ出力電圧、R
1:1次抵抗、σL1:1次等価漏れインダクタンス、
I:電流、φ:1次側等価2次磁束、E:誘起電圧、
p:微分演算子。誘起電圧は、例えば次式により、以下
のように推定演算することができる。
【0158】
【数11】
【0159】ただし、Eh:誘起電圧の推定演算値。前
記第4の実施の形態で説明したように、互いにロータの
回転周波数の異なる複数台の誘導電動機を同一の電圧を
与える1台のVVVFインバータで駆動する場合、誘導
電動機のインピーダンスの違いから、電流値がそれぞれ
異なる値を示す。
【0160】上記(10)式に示すように、誘起電圧の
推定演算値E1h,E2h,E3h,E4hは、電流の情報を含
むため、誘導電動機の回転周波数の違いに応じて、異な
る値を示す。
【0161】一方、第2のトルク指令補正部29には、
このようにして求められた誘起電圧E1h,E2h,E3h,
E4hが入力される。第2のトルク指令補正部29では、
誘起電圧E1h,E2h,E3h,E4hに基づいてトルク指令
指令Tm* を補正し、補正後のトルク指令Tm* cmp
が出力される。
【0162】すなわち、この第2のトルク指令補正部2
9では、トルク指令補正量演算部18において、入力さ
れた誘起電圧E1h,E2h,E3h,E4hに基づいて、各誘
導電動機3,4,5,6の空転を抑制するように、トル
ク指令補正量ΔTmが演算される。
【0163】このトルク指令補正量演算部18では、例
えば次のような具体的な演算により、トルク指令補正量
ΔTmが演算される。すなわち、入力された各誘起電圧
E1h,E2h,E3h,E4hの絶対値|E1h|,|E2h|,
|E3h|,|E4h|をそれぞれ演算し、誘起電圧の絶対
値が最大の値|E|max および最小の値|E|min が抽
出される。次に、この最大値|E|max ,最小値|E|
min を用いて、例えば次式により、トルク指令補正量Δ
Tmが演算される。
【0164】
【数12】
【0165】ただし、Gはゲインを表わすものである。
また、これらの関係は、回転が正転であると仮定してい
る。誘起電圧の絶対値は、回転周波数に比例するもので
あり、各誘導電動機3,4,5,6のロータ回転周波数
が一致する場合、各誘導電動機3,4,5,6に発生す
る誘起電圧の絶対値|E1h|,|E2h|,|E3h|,|
E4h|も一致する。
【0166】従って、誘起電圧の絶対値の最大値|E|
max と最小値|E|min との差は、空転を表わす一つの
指標であり、誘起電圧の絶対値の最大値|E|max と最
小値|E|min の間に差がある場合、トルクを絞るよう
にトルク指令補正量ΔTmを設定することにより、各誘
導電動機3,4,5,6の空転を抑制することができ
る。
【0167】一方、加算器19では、このようにして求
められたトルク指令補正量ΔTmとトルク指令Tm*
を加算して、トルク指令Tm* が補正される。なお、上
記では、トルク指令補正演算部18の一例として、誘起
電圧の絶対値に基づいてトルク指令補正量ΔTmを導出
する場合について示したが、これに限らず、例えば誘起
電圧の位相に基づいてトルク指令補正量ΔTmを導出す
ることもできる。
【0168】上述したように、本実施の形態の速度セン
サレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の
制御装置では、互いにロータ回転周波数の異なる、すな
わち滑り周波数の異なる電気車駆動用の各誘導電動機
3,4,5,6を1台の同一のVVVFインバータ1に
より駆動する場合、各誘導電動機3,4,5,6のイン
ピーダンスZの差に応じて、各誘導電動機3,4,5,
6に発生する誘起電圧E1h,E2h,E3h,E4hに差が生
じる。例えば、お互いの誘起電圧の差が大きい場合に
は、ロータの回転周波数の差が大きい場合を示し、空転
状態に相当することが分かる。
【0169】従って、推定演算された誘起電圧に応じて
トルクを補正するようにしているので、各誘導電動機
3,4,5,6の空転を抑制して、トルクを最大限にレ
ール12へ伝達することが可能となる。
【0170】以上により、速度検出器が不要となるた
め、速度検出機構の誤動作に起因するトルク擾乱を除去
すると共に、速度検出器の撤去に伴なう誘導電動機の容
量増加を期待することができる。
【0171】(第6の実施の形態)図9は、本実施の形
態による速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆
動用誘導電動機の制御装置におけるトルク指令補正部1
7の概略構成例を示すブロック図であり、前記図1およ
び図4と同一要素には同一符号を付してその説明を省略
し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0172】すなわち、図9に示すように、本実施の形
態のトルク指令補正部17は、4つの磁束演算部38,
39,40,41と、トルク補正量演算部18と、加算
器19とから構成している。なお、トルク補正量演算部
18、および加算器19により、第2のトルク指令補正
部29を構成している。
【0173】磁束演算部38,39,40,41は、そ
れぞれ各誘導電動機3,4,5,6に対応して備えら
れ、前記各電流検出器7,8,9,10により検出され
た各電流値、または前記各電流検出器7,8,9により
検出された各電流値および前記電流演算器24により演
算された電流値に基づいて(本例では、各電流検出器
7,8,9,10により検出された各電流値の場合を例
とする)、各誘導電動機3,4,5,6に発生する磁束
をそれぞれ個別に推定演算する。
【0174】トルク補正量演算部18は、各磁束演算部
38,39,40,41により推定演算された各誘導電
動機3,4,5,6の磁束に基づいて、前記トルク指令
への補正量を演算する。
【0175】加算器19は、トルク補正量演算部18に
より演算されたトルク指令補正量と前記トルク指令とを
加算する。次に、以上のように構成した本実施の形態の
速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導
電動機の制御装置の作用について説明する。
【0176】なお、ここでは、前記図1および図4と異
なる部分の作用についてのみ述べる。図9において、磁
束演算部38,39,40,41には、電流検出器7,
8,9,10により検出された各誘導電動機3,4,
5,6に流れる電流 I1u,I1w,I2u,I2w,I3u,
I3w,I4u,I4wが入力される。
【0177】磁束演算部38,39,40,41では、
それぞれの各誘導電動機3,4,5,6に発生する磁束
を推定演算し出力される。この磁束演算部38,39,
40,41では、例えば次のような具体的な演算によ
り、それぞれの誘導電動機3,4,5,6に発生する磁
束φ1h,φ2h,φ3h,φ4hが推定演算される。この場
合、誘導電動機の1次側等価2次磁束が推定演算され
る。なお、磁束の演算の方法は、以下の方法に限定され
るものではない。磁束は、例えば次式より、以下のよう
に推定演算することができる。
【0178】
【数13】
【0179】ただし、φh:1次側等価2次磁束の推定
演算値。前記第4の実施の形態で説明したように、互い
にロータの回転周波数の異なる複数台の誘導電動機を同
一の電圧を与える1台のVVVFインバータで駆動する
場合、誘導電動機のインピーダンスの違いから、電流値
がそれぞれ異なる値を示す。
【0180】上記(11)式に示すように、磁束の推定
演算値φ1h,φ2h,φ3h,φ4hは、電流の情報を含むた
め、誘導電動機の回転周波数の違いに応じて、異なる値
を示す。
【0181】一方、第2のトルク指令補正部29には、
このようにして求められた磁束φ1h,φ2h,φ3h,φ4h
が入力される。第2のトルク指令補正部29では、磁束
φ1h,φ2h,φ3h,φ4hに基づいてトルク指令指令Tm
* を補正し、補正後のトルク指令Tm* cmpが出力さ
れる。
【0182】すなわち、この第2のトルク指令補正部2
9では、トルク指令補正量演算部18において、入力さ
れた各磁束φ1h,φ2h,φ3h,φ4hに基づいて、各誘導
電動機3,4,5,6の空転を抑制するように、トルク
指令補正量ΔTmが演算される。
【0183】このトルク指令補正量演算部18では、例
えば次のような具体的な演算により、トルク指令補正量
ΔTmが演算される。すなわち、入力された各磁束φ1
h,φ2h,φ3h,φ4hのある基準軸に対する位相角∠φ1
h,∠φ2h,∠φ3h,∠φ4hがそれぞれ演算される。
【0184】ここで、前述の「ある基準軸」について述
べる。すなわち、通常、図1または図4に示すトルク制
御部2の内部では、ある座標系上で諸状態量を制御して
おり、この座標系は、回転座標系である場合や、静止座
標系である場合もある。前述の「ある基準軸」とは、こ
れら制御に用いられる座標系上のある一つの軸を指すも
のであったり、または電流基準を基準軸とすることもで
きる。
【0185】すなわち、磁束の位相角∠φ1h,∠φ2h,
∠φ3h,∠φ4hの中から、最大の値∠φmax および最小
の値∠φmin が抽出される。次に、この最大値∠φmax
,最小値∠φmin を用いて、例えば次式により、トル
ク指令補正量ΔTmが演算される。
【0186】
【数14】
【0187】ただし、Gはゲインを表わすものである。
また、これらの関係は、回転が正転であると仮定してい
る。各誘導電動機3,4,5,6のロータ回転周波数が
一致する場合、各誘導電動機3,4,5,6共に、同一
な磁束φ1h,φ2h,φ3h,φ4hを発生する。
【0188】従って、磁束の位相角の最大値∠φmax と
最小値∠φmin との差は、空転を表わす一つの指標であ
り、磁束の位相角の最大値∠φmax と最小値∠φmin と
の間に差がある場合、トルクを絞るようにトルク指令補
正量ΔTmを設定することにより、各誘導電動機3,
4,5,6の空転を抑制することができる。
【0189】一方、加算器19では、このようにして求
められたトルク指令補正量ΔTmとトルク指令Tm*
を加算して、トルク指令Tm* が補正される。なお、上
記では、トルク指令補正演算部18の一例として、磁束
の位相角に基づいてトルク指令補正量ΔTmを導出する
場合について示したが、これに限らず、例えば磁束の絶
対値に基づいてトルク指令補正量ΔTmを導出すること
もできる。
【0190】上述したように、本実施の形態の速度セン
サレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の
制御装置では、互いにロータ回転周波数の異なる、すな
わち滑り周波数の異なる電気車駆動用の各誘導電動機
3,4,5,6を1台の同一のVVVFインバータ1に
より駆動する場合、各誘導電動機3,4,5,6のイン
ピーダンスZの差に応じて、各誘導電動機3,4,5,
6に発生する磁束に差が生じる。例えば、お互いの磁束
の差が大きい場合には、ロータの回転周波数の差が大き
い場合を示し、空転状態に相当することが分かる。
【0191】従って、推定演算された磁束に応じてトル
クを補正するようにしているので、各誘導電動機3,
4,5,6の空転を抑制して、トルクを最大限にレール
12へ伝達することが可能となる。
【0192】以上により、速度検出器が不要となるた
め、速度検出機構の誤動作に起因するトルク擾乱を除去
すると共に、速度検出器の撤去に伴なう誘導電動機の容
量増加を期待することができる。
【0193】(第7の実施の形態)図10は、本実施の
形態による速度センサレスベクトル制御を用いた電気車
駆動用誘導電動機の制御装置の概略構成例を示すブロッ
ク図であり、図1および図4と同一要素には同一符号を
付してその説明を省略し、ここでは異なる部分について
のみ述べる。
【0194】本実施の形態では、前記第1および第2の
実施の形態において、各誘導電動機3,4,5,6に流
れる電流の検出方法が異なっている。すなわち、図10
において、VVVFインバータ1の交流側に、電気車駆
動用の少なくとも1台(図では4台)の誘導電動機3,
4,5,6が接続され、トルク指令に追従したトルクを
各誘導電動機3,4,5,6が出力するように、トルク
制御部2がVVVFインバータ1を制御するようになっ
ている。
【0195】一方、制御装置は、電流検出器11と、ト
ルク指令補正部17と、トルク制御部2とから構成して
いる。電流検出器11は、前記VVVFインバータ1の
出力端子T0と各誘導電動機3,4,5,6の入力端子
T1との間における共有した接続線に備えられ、4台の
各誘導電動機3,4,5,6に流れる全体の電流(全電
流)を検出する。
【0196】トルク指令補正部17は、電流検出器11
により検出された全電流値に基づいて、各誘導電動機が
同時に空転することを抑制するように、トルク指令を補
正する。
【0197】トルク制御部2は、トルク指令補正部17
により補正されたトルク指令に追従したトルクを各誘導
電動機3,4,5,6が出力するように、VVVFイン
バータ1を制御する。
【0198】次に、以上のように構成した本実施の形態
の速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘
導電動機の制御装置の作用について説明する。図10に
おいて、電流検出器11では、各誘導電動機3,4,
5,6に流れる全体の電流(全電流)が検出される。こ
の電流検出器11により検出された各誘導電動機3,
4,5,6に流れる全電流Iu ,Iw は、トルク指令補
正部17へと入力される。
【0199】トルク指令補正部17では、入力であるト
ルク指令Tm* が、各誘導電動機3,4,5,6に流れ
る全電流Iu ,Iw に基づいて補正される。この補正後
のトルク指令Tm* cmpは、トルク制御部2へ入力さ
れる。
【0200】トルク制御部2では、補正後のトルク指令
Tm* cmpに各誘導電動機3,4,5,6が出力する
トルクが一致するように、VVVFインバータ1が制御
される。
【0201】すなわち、トルク制御部2では、補正後の
トルク指令Tm* cmpから求められる電流指令と、電
流検出器11により検出された各誘導電動機3,4,
5,6に流れる全電流値Iu ,Iw とが一致するように
電流制御を行なうことにより、補正後のトルク指令Tm
* cmpに追従したトルクがVVVFインバータ1に出
力される。
【0202】上述したように、本実施の形態の速度セン
サレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の
制御装置では、電気車駆動用の各誘導電動機3,4,
5,6に流れる全電流値に基づいて、トルク指令Tm*
を補正するようにしている。
【0203】すなわち、各誘導電動機3,4,5,6の
情報を得る手段は存在せず、各誘導電動機3,4,5,
6の空転を検知することは不可能あるいは困難であると
考えられるが、各誘導電動機3,4,5,6が同時に空
転状態になったことを全電流により検知することは可能
であり、この全電流値によって各誘導電動機3,4,
5,6の同時空転を検知し、トルクを補正するようにし
ているので、各誘導電動機3,4,5,6の同時空転を
抑制して、トルクのレール12への伝達率を向上するこ
とが可能となる。
【0204】以上により、速度検出器が不要となるた
め、速度検出機構の誤パルスに起因するトルク擾乱を除
去すると共に、速度検出器の撤去に伴なう誘導電動機
3,4,5,6の容量増加を期待することができる。
【0205】また、前記第1および第2の実施の形態の
場合と比較して、電流検出器の数を低減することが可能
となるため、低コスト化を図ることができる。さらに、
本実施の形態では、前記第1および第2の実施の形態の
場合と比較して、各誘導電動機3,4,5,6の個別の
空転を抑制できない分、空転抑制の性能は若干劣るもの
の、前記図14に示した粘着力に余裕のあるような動作
点を有する電気車、すなわち電気車の推進力に対して誘
導電動機の数が多く、1台の誘導電動機に分担される推
進力が小さい電気車において、十分な性能を発揮するこ
とができる。
【0206】なお、本実施の形態では、同一の1台のV
VVFインバータに複数台の誘導電動機が接続された集
中制御方式の電気車の場合について示しているが、同一
の1台のVVVFインバータが唯一の誘導電動機を駆動
制御する個別制御方式の電気車の場合についても、本発
明を同様に適用することが可能である。
【0207】(第8の実施の形態)図11は、本実施の
形態による速度センサレスベクトル制御を用いた電気車
駆動用誘導電動機の制御装置におけるトルク指令補正部
17の概略構成例を示すブロック図であり、前記図1お
よび図4と同一要素には同一符号を付してその説明を省
略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0208】すなわち、図11に示すように、本実施の
形態のトルク指令補正部17は、ロータ周波数演算部4
2と、トルク補正量演算部18と、加算器19とから構
成している。なお、トルク補正量演算部18、および加
算器19により、第2のトルク指令補正部29を構成し
ている。
【0209】ロータ周波数演算部42は、電流検出器1
1により検出された全電流値に基づいて、各誘導電動機
3,4,5,6を1台の誘導電動機とみなした場合のそ
の誘導電動機のロータの回転周波数を推定演算する。
【0210】トルク補正量演算部18は、ロータ周波数
演算部42により推定演算された誘導電動機のロータ回
転周波数に基づいて、前記トルク指令への補正量を演算
する。
【0211】加算器19は、トルク補正量演算部18に
より演算されたトルク指令補正量と前記トルク指令とを
加算する。次に、以上のように構成した本実施の形態の
速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導
電動機の制御装置の作用について説明する。
【0212】なお、ここでは、前記図1および図4と異
なる部分の作用についてのみ述べる。図11において、
ロータ周波数演算部42には、電流検出器11により検
出された各誘導電動機3,4,5,6に流れる全電流I
u ,Iw が入力される。
【0213】ロータ周波数演算部42では、各誘導電動
機3,4,5,6に流れる全電流値Iu ,Iw に基づい
て、4台の誘導電動機3,4,5,6を1台の誘導電動
機とみなした場合のロータの回転周波数を推定演算し、
ロータ回転周波数WRh が出力される。
【0214】このロータ周波数演算部42では、例えば
次のような具体的な演算により、ロータ回転周波数WR
h が推定演算される。ここでは、2次磁束軸をd軸に一
致させ、d軸と直交する軸をq軸とするdq軸回転座標
系を導入する。近年の電気車制御では、トルク制御部2
の中が、このdq軸回転座標系を導入したベクトル制御
系であることが多い。
【0215】例えば、ロータ周波数演算部42に入力さ
れる各誘導電動機3,4,5,6の相電流Iu ,Iw
は、a軸とa軸に直交するb軸とからなる静止座標系か
らdq軸回転座標系までの位相角θabにより、以下のよ
うにdq軸座標系上の電流値Id ,Iq に変換される。
【0216】
【数15】
【0217】ただし、NはVVVFインバータ1に接続
された誘導電動機の数であり、ここでは4となる。そし
て、このq軸電流Iq に基づいて、例えば次式により、
滑り周波数WShを推定することができる。同式は近似
式であり、厳密実機の滑り周波数と一致はしないが、演
算が容易である利点を有する。
【0218】
【数16】
【0219】ただし、R2:2次抵抗、L2:2次イン
ダクタンス、M:相互インダクタンス、φ2 * :2次磁
束指令値である。次に、この滑り周波数WSh に基づい
て、例えば次式により、回転周波数WRh を求めること
ができる。
【0220】WRh =W1 −WSh ただし、W1 は1次周波数である。一方、第2のトルク
指令補正部29には、このようにして求められたロータ
回転周波数WRh が入力される。
【0221】第2のトルク指令補正部29では、ロータ
回転周波数WRh に基づいてトルク指令Tm* を補正
し、補正後のトルク指令Tm* cmpが出力される。す
なわち、この第2トルク指令補正部29では、トルク指
令補正量演算部18において、入力されたロータ回転周
波数推定値WRh に基づいて、各誘導電動機3,4,
5,6の同時空転を抑制するように、トルク指令補正量
ΔTmが演算される。
【0222】このトルク指令補正量演算部18では、例
えば次のような具体的な演算により、トルク指令補正量
ΔTmが演算される。すなわち、入力されたロータ回転
周波数推定WRh に基づいて、その回転加速度ACCh
が演算される。
【0223】そして、この回転加速度があらかじめ設定
された所定値ACC* を超える場合には、両者の偏差に
応じたトルク指令補正量ΔTmが出力される。また、回
転加速度があらかじめ設定された所定値ACC* を超え
ない場合には、零がトルク指令補正量ΔTmとして出力
される。
【0224】
【数17】
【0225】ただし、Gはゲインを表わすものである。
また、これらの関係は、回転が正転であると仮定してい
る。誘導電動機の回転加速度の最大値ACCmax は、電
気車の重量および最大の推進力を与えた場合の直線運動
系を、誘導電動機周りの回転運動系へ換算することによ
り求めることができる。
【0226】この誘導電動機の回転加速度の最大値AC
Cmax は、空転していない状態での誘導電動機の回転加
速度の最大値を表わすものであり、実際の誘導電動機の
回転加速度が、この最大値ACCmax を上回る場合に
は、誘導電動機が空転している状況が考えられる。
【0227】従って、空転誤検知を考慮して、例えば以
下のように所定値ACC* を設定する。 ACC* =ACCmax +α ただし、α:空転誤検知を抑制するオフセット(>
0)。
【0228】そして、推定された回転加速度ACCh が
所定値ACC* を上回る場合には、各誘導電動機3,
4,5,6が同時に空転しているとみなし、トルクを絞
るようにトルク指令補正量ΔTmを設定することによ
り、各誘導電動機3,4,5,6の同時空転を抑制する
ことができる。
【0229】上述したように、本実施の形態の速度セン
サレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の
制御装置では、電気車駆動用の各誘導電動機3,4,
5,6に流れる全電流値Iu ,Iw に基づいて、4台の
誘導電動機3,4,5,6を1台の誘導電動機とみなし
た場合のロータ回転周波数WRh を推定演算し、この推
定演算されたロータ回転周波数WRh に基づいてトルク
指令を補正する、すなわちロータ回転周波数の推定値に
よって各誘導電動機3,4,5,6の同時空転を検知
し、トルクを補正するようにしているので、各誘導電動
機3,4,5,6の同時空転を抑制して、トルクを最大
限にレール12へ伝達することが可能となる。
【0230】以上により、従来の空転抑制制御にある、
同時空転抑制のためのトルク指令補正のアルゴリズムを
継承することが可能となり、蓄積された技術を生かした
高信頼性システムを構築することができる。
【0231】また、速度検出器が不要となるため、速度
検出機構の誤動作に起因するトルク擾乱を除去すると共
に、速度検出器の撤去に伴なう誘導電動機の容量増加を
期待することができる。
【0232】さらに、本実施の形態では、前記第1およ
び第2の実施の形態の場合と比較して、各誘導電動機
3,4,5,6の個別の空転を抑制できない分、空転抑
制の性能は若干劣るものの、前記図14に示した粘着力
に余裕のあるような動作点を有する電気車、すなわち電
気車の推進力に対して誘導電動機の数が多く、1台の誘
導電動機に分担される推進力が小さい電気車において、
十分な性能を発揮することができる。
【0233】(第9の実施の形態)図12は、本実施の
形態による速度センサレスベクトル制御を用いた電気車
駆動用誘導電動機の制御装置におけるトルク指令補正部
17の概略構成例を示すブロック図であり、前記図1お
よび図4と同一要素には同一符号を付してその説明を省
略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0234】すなわち、図12に示すように、本実施の
形態のトルク指令補正部17は、誘起電圧演算部43
と、トルク補正量演算部18と、加算器19とから構成
している。なお、トルク補正量演算部18、および加算
器19により、第2のトルク指令補正部29を構成して
いる。
【0235】誘起電圧演算部43は、電流検出器11に
より検出された全電流値に基づいて、各誘導電動機3,
4,5,6を1台の誘導電動機とみなした場合のその誘
導電動機に発生する誘起電圧を推定演算する。
【0236】トルク補正量演算部18は、誘起電圧演算
部43により推定演算された誘導電動機の誘起電圧に基
づいて、前記トルク指令への補正量を演算する。加算器
19は、トルク補正量演算部18により演算されたトル
ク指令補正量と前記トルク指令とを加算する。
【0237】次に、以上のように構成した本実施の形態
の速度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘
導電動機の制御装置の作用について説明する。なお、こ
こでは、前記図1および図4と異なる部分の作用につい
てのみ述べる。
【0238】図12において、誘起電圧演算部43に
は、電流検出器11により検出された各誘導電動機3,
4,5,6に流れる全電流Iu ,Iw が入力される。誘
起電圧演算部43では、各誘導電動機3,4,5,6に
流れる全電流値Iu,Iw に基づいて、4台の誘導電動
機3,4,5,6を1台の誘導電動機とみなした場合の
誘起電圧を推定演算し、誘起電圧Eh が出力される。
【0239】この誘起電圧演算部43では、例えば次の
ような具体的な演算により、誘起電圧Eh が推定演算さ
れる。誘起電動機の特性は、次式により表わされる。
【0240】
【数18】
【0241】ただし、V1:インバータ出力電圧、R
1:1次抵抗、σL1:1次等価漏れインダクタンス、
I:全電流、φ:1次側等価2次磁束、E:誘起電圧、
p:微分演算子、N:VVVFインバータ1に接続され
た誘導電動機の数で、ここでは4である。誘起電圧は、
例えば次式により、以下のように推定演算することがで
きる。
【0242】
【数19】
【0243】ここで、演算された誘起電圧は、4台の誘
導電動機3,4,5,6を1台の誘導電動機とみなした
場合の近似的な値である。一方、第2のトルク指令補正
部29には、このようにして求められた誘起電圧Eh が
入力される。
【0244】第2のトルク指令補正部29では、誘起電
圧Eh に基づいてトルク指令Tm*を補正し、補正後の
トルク指令Tm* cmpが出力される。すなわち、この
第2のトルク指令補正部29では、トルク指令補正量演
算部18において、入力された誘起電圧Eh に基づい
て、各誘導電動機3,4,5,6の同時空転を抑制する
ように、トルク指令補正量ΔTmが演算される。
【0245】このトルク指令補正量演算部18では、例
えば次のような具体的な演算により、トルク指令補正量
ΔTmが演算される。すなわち、入力された誘起電圧E
h に基づいて、その絶対値の時間変化量d|Eh |が演
算される。
【0246】そして、この誘起電圧の絶対値の時間変化
量d|Eh |があらかじめ設定された所定値d|Eh |
* を超える場合には、両者の偏差に応じたトルク指令補
正量ΔTmが出力される。また、誘起電圧の絶対値の時
間変化量d|Eh |があらかじめ設定された所定値d|
Eh |* を超えない場合には、零がトルク指令補正量Δ
Tmとして出力される。
【0247】
【数20】
【0248】ただし、Gはゲインを表わすものである。
また、これらの関係は、回転が正転であると仮定してい
る。誘導電動機の誘起電圧の絶対値は、ほぼ回転周波数
×磁束量で表わされるため、誘起電圧の絶対値の時間変
化量d|Eh |は回転加速度×磁束量で表わされる。こ
の誘起電圧の絶対値の最大の時間変化量d|E|max
は、最大の加速度×磁束量として表わされる。
【0249】ここで、誘導電動機の回転加速度の最大値
ACCmax は、電気車の重量および最大の推進力を与え
た場合の直線運動系を、誘導電動機周りの回転運動系へ
換算することにより求めることができる。
【0250】この誘導電動機の回転加速度の最大値AC
Cmax は、空転していない状態での電動機の回転加速度
の最大値を表わすものであり、実際の誘起電圧の絶対値
の時間変化量d|Eh |が、最大の時間変化量d|E|
max を上回る場合には、誘導電動機が空転している状況
が考えられる。従って、空転誤検知を考慮して、例えば
以下のように所定値d|E|* を設定する。
【0251】
【数21】
【0252】ただし、α:空転誤検知を制御するオフセ
ット(>0)。そして、推定された誘起電圧の絶対値の
時間変化量d|E|h が所定値d|E|* を上回る場合
には、各誘導電動機3,4,5,6が同時に空転してい
るとみなし、トルクを絞るようにトルク指令補正量ΔT
mを設定することにより、各誘導電動機3,4,5,6
の同時空転を抑制することができる。
【0253】上述したように、本実施の形態の速度セン
サレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の
制御装置では、電気車駆動用の各誘導電動機3,4,
5,6に流れる全電流値Iu ,Iw に基づいて、4台の
誘導電動機3,4,5,6を1台の誘導電動機とみなし
た場合の誘起電圧Eh を推定演算し、この推定演算され
た誘起電圧Eh に基づいてトルク指令を補正する、すな
わち誘起電圧の推定値によって各誘導電動機3,4,
5,6の同時空転を検知し、トルクを補正するようにし
ているので、各誘導電動機3,4,5,6の同時空転を
抑制して、トルクを最大限にレール12へ伝達すること
が可能となる。
【0254】以上により、速度検出器が不要となるた
め、速度検出機構の誤動作に起因するトルク擾乱を除去
すると共に、速度検出器の撤去に伴なう誘導電動機の容
量増加を期待することができる。
【0255】さらに、本実施の形態では、前記第1およ
び第2の実施の形態の場合と比較して、各誘導電動機
3,4,5,6の個別の空転を抑制できない分、空転抑
制の性能は若干劣るものの、前記図14に示した粘着力
に余裕のあるような動作点を有する電気車、すなわち電
気車の推進力に対して誘導電動機の数が多く、1台の誘
導電動機に分担される推進力が小さい電気車において、
十分な性能を発揮することができる。
【0256】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の速度セン
サレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の
制御装置によれば、1台のVVVFインバータにより電
気車駆動用の少なくとも1台の誘導電動機を駆動するベ
クトル制御方式の制御装置において、各誘導電動機に流
れる電流の情報に基づいてトルクを補正して、速度検出
器を用いずに各誘導電動機の空転を抑制することが可能
となり、大きなトルクをレールへ伝達して十分な推進力
を得ることができる。
【0257】これにより、速度検出器が不要となるた
め、速度検出機構の誤パルスに起因するトルク擾乱を除
去すると共に、速度検出器の撤去に伴なう誘導電動機の
容量増加を期待することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による速度センサレスベクトル制御を用
いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置の第1の実施の
形態を示すブロック図。
【図2】VVVFインバータの出力周波数と誘導電動機
のロータ回転周波数と滑り周波数との関係を示す図。
【図3】誘導電動機の定常等価回路を示す図。
【図4】本発明による速度センサレスベクトル制御を用
いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置の第2の実施の
形態を示すブロック図。
【図5】本発明による第3の実施の形態の速度センサレ
スベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御
装置におけるトルク指令補正部の構成例を示すブロック
図。
【図6】本発明による第4の実施の形態の速度センサレ
スベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御
装置におけるトルク指令補正部の構成例を示すブロック
図。
【図7】誘導電動機のインピーダンスのベクトルを示す
図。
【図8】本発明による第5の実施の形態の速度センサレ
スベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御
装置におけるトルク指令補正部の構成例を示すブロック
図。
【図9】本発明による第6の実施の形態の速度センサレ
スベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御
装置におけるトルク指令補正部の構成例を示すブロック
図。
【図10】本発明による速度センサレスベクトル制御を
用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置の第7の実施
の形態を示すブロック図。
【図11】本発明による第8の実施の形態の速度センサ
レスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制
御装置におけるトルク指令補正部の構成例を示すブロッ
ク図。
【図12】本発明による第9の実施の形態の速度センサ
レスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制
御装置におけるトルク指令補正部の構成例を示すブロッ
ク図。
【図13】従来のベクトル制御方式の電気車駆動用誘導
電動機の制御制御装置の概略構成例を示すブロック図。
【図14】電気車の車体速度と車輪速度との差と粘着力
との関係を示す模式図。
【符号の説明】
1…VVVFインバータ、 2…トルク制御部、 3,4,5,6…誘導電動機、 7,8,9,10…電流検出器、 11…電流検出器、 12…レール、 13,14,15,16…速度検出器、 17…トルク指令補正部、 18…トルク補正量演算部、 19…減算器、 20,21,22,23,42…ロータ周波数演算部、 24…電流演算器、 25,26,27,28…車輪、 29…第2のトルク指令補正部、 30…電流位相角演算部、 31,32,33…電流位相角演算部、 34,35,36,37,43…誘起電圧演算部、 38,39,40,41…磁束演算部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5H115 BA02 BB01 BC03 CA13 CB09 FA09 FA22 FA23 FA24 FB11 FB26 FC30 JA06 JC11 JC12 JC13 JC15 JC30 5H572 AA01 BB10 CC01 DD03 EE03 EE10 GG04 HB08 HC01 HC08 JJ04 JJ22 JJ23 JJ25 LL14 LL22 LL25 LL27 LL30 LL50 5H576 AA01 BB10 CC01 DD02 DD04 EE01 GG04 HB01 JJ04 JJ05 JJ06 JJ22 JJ23 JJ25 LL14 LL22 LL25 LL30 LL34 LL35 LL39 LL60

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直流を任意の周波数の交流に変換する1
    台の可変電圧可変周波数インバータ(VVVFインバー
    タ)により、電気車駆動用の複数n台(n>1)の誘導
    電動機を駆動するベクトル制御方式の制御装置におい
    て、 前記n台の誘導電動機に流れる電流をそれぞれ個別に検
    出する電流検出手段と、 前記各電流検出手段により検出された各電流値に基づい
    て、トルク指令を補正するトルク指令補正手段と、 前記トルク指令補正手段により補正されたトルク指令に
    追従したトルクを前記各誘導電動機が出力するように、
    前記VVVFインバータを制御するトルク制御手段と、 を備えて成ることを特徴とする速度センサレスベクトル
    制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置。
  2. 【請求項2】 直流を任意の周波数の交流に変換する1
    台の可変電圧可変周波数インバータ(VVVFインバー
    タ)により、電気車駆動用の複数n台(n>1)の誘導
    電動機を駆動するベクトル制御方式の制御装置におい
    て、 前記n−1台の誘導電動機に流れる電流をそれぞれ個別
    に検出する第1の電流検出手段と、 前記n台の誘導電動機に流れる全体の電流を検出する第
    2の電流検出手段と、 前記各第1の電流検出手段により検出された各電流値
    と、前記第2の電流検出手段により検出された全電流値
    とに基づいて、前記n−1台の誘導電動機以外のn台目
    の誘導電動機に流れる電流値を演算する電流演算手段
    と、 前記各第1の電流検出手段により検出された各電流値
    と、前記電流演算手段により演算された電流値とに基づ
    いて、トルク指令を補正するトルク指令補正手段と、 前記トルク指令補正手段により補正されたトルク指令に
    追従したトルクを前記各誘導電動機が出力するように、
    前記VVVFインバータを制御するトルク制御手段と、 を備えて成ることを特徴とする速度センサレスベクトル
    制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置。
  3. 【請求項3】 前記請求項1または請求項2に記載の速
    度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電
    動機の制御装置において、 前記トルク指令補正手段としては、 少なくとも前記各電流検出手段により検出された各電流
    値、または前記各第1の電流検出手段により検出された
    各電流値および前記電流演算手段により演算された電流
    値に基づいて、前記各誘導電動機のロータの回転周波数
    をそれぞれ個別に推定演算するロータ周波数演算手段
    と、 前記各ロータ周波数演算手段により推定演算された各誘
    導電動機のロータ回転周波数に基づいて、前記トルク指
    令への補正量を演算するトルク補正量演算手段と、 前記トルク補正量演算手段により演算されたトルク指令
    補正量と前記トルク指令とを加算する加算手段と、 から成ることを特徴とする速度センサレスベクトル制御
    を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置。
  4. 【請求項4】 前記請求項1または請求項2に記載の速
    度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電
    動機の制御装置において、 前記トルク指令補正手段としては、 少なくとも前記各電流検出手段により検出された各電流
    値、または前記各第1の電流検出手段により検出された
    各電流値および前記電流演算手段により演算された電流
    値のある基準軸に対する位相角をそれぞれ個別に演算す
    る電流位相角演算手段と、 前記各電流位相角演算手段により演算された各電流のあ
    る基準軸に対する位相角に基づいて、前記トルク指令へ
    の補正量を演算するトルク補正量演算手段と、 前記トルク補正量演算手段により演算されたトルク指令
    補正量と前記トルク指令とを加算する加算手段と、 から成ることを特徴とする速度センサレスベクトル制御
    を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置。
  5. 【請求項5】 前記請求項1または請求項2に記載の速
    度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電
    動機の制御装置において、 前記トルク指令補正手段としては、 少なくとも前記各電流検出手段により検出された各電流
    値、または前記各第1の電流検出手段により検出された
    各電流値および前記電流演算手段により演算された電流
    値に基づいて、前記各誘導電動機に発生する誘起電圧を
    それぞれ個別に推定演算する誘起電圧演算手段と、 前記各誘起電圧演算手段により推定演算された各誘導電
    動機の誘起電圧に基づいて、前記トルク指令への補正量
    を演算するトルク補正量演算手段と、 前記トルク補正量演算手段により演算されたトルク指令
    補正量と前記トルク指令とを加算する加算手段と、 から成ることを特徴とする速度センサレスベクトル制御
    を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置。
  6. 【請求項6】 前記請求項1または請求項2に記載の速
    度センサレスベクトル制御を用いた電気車駆動用誘導電
    動機の制御装置において、 前記トルク指令補正手段としては、 少なくとも前記各電流検出手段により検出された各電流
    値、または前記各第1の電流検出手段により検出された
    各電流値および前記電流演算手段により演算された電流
    値に基づいて、前記各誘導電動機に発生する磁束をそれ
    ぞれ個別に推定演算する磁束演算手段と、 前記各磁束演算手段により推定演算された各誘導電動機
    の磁束に基づいて、前記トルク指令への補正量を演算す
    るトルク補正量演算手段と、 前記トルク補正量演算手段により演算されたトルク指令
    補正量と前記トルク指令とを加算する加算手段と、 から成ることを特徴とする速度センサレスベクトル制御
    を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置。
  7. 【請求項7】 直流を任意の周波数の交流に変換する1
    台の可変電圧可変周波数インバータ(VVVFインバー
    タ)により、電気車駆動用の少なくとも1台の誘導電動
    機を駆動するベクトル制御方式の制御装置において、 前記各誘導電動機に流れる全体の電流を検出する電流検
    出手段と、 前記電流検出手段により検出された電流値に基づいて、
    前記各誘導電動機が同時に空転することを抑制するよう
    に、トルク指令を補正するトルク指令補正手段と、 前記トルク指令補正手段により補正されたトルク指令に
    追従したトルクを前記各誘導電動機が出力するように、
    前記VVVFインバータを制御するトルク制御手段と、 を備えて成ることを特徴とする速度センサレスベクトル
    制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置。
  8. 【請求項8】 前記請求項7に記載の速度センサレスベ
    クトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置
    において、 前記トルク指令補正手段としては、 少なくとも前記電流検出手段により検出された電流値に
    基づいて、前記各誘導電動機を1台の誘導電動機とみな
    した場合の当該誘導電動機のロータの回転周波数を推定
    演算するロータ周波数演算手段と、 前記ロータ周波数演算手段により推定演算された誘導電
    動機のロータ周波数に基づいて、前記トルク指令への補
    正量を演算するトルク補正量演算手段と、 前記トルク補正量演算手段により演算されたトルク指令
    補正量と前記トルク指令とを加算する加算手段と、 から成ることを特徴とする速度センサレスベクトル制御
    を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置。
  9. 【請求項9】 前記請求項7に記載の速度センサレスベ
    クトル制御を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置
    において、 前記トルク指令補正手段としては、 少なくとも前記電流検出手段により検出された電流値に
    基づいて、前記各誘導電動機を1台の誘導電動機とみな
    した場合の当該誘導電動機に発生する誘起電圧を推定演
    算する誘起電圧演算手段と、 前記誘起電圧演算手段により推定演算された誘導電動機
    の誘起電圧に基づいて、前記トルク指令への補正量を演
    算するトルク補正量演算手段と、 前記トルク補正量演算手段により演算されたトルク指令
    補正量と前記トルク指令とを加算する加算手段と、 から成ることを特徴とする速度センサレスベクトル制御
    を用いた電気車駆動用誘導電動機の制御装置。
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