JP3749215B2 - 空気清浄装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、テーブル型の空気清浄装置に係り、特に排気空気の一部を吸込口に戻す循環流が形成されるようにした空気清浄装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、空気中の各種粉塵や煙草の煙を除去するために、喫煙コーナーに空気清浄装置が設置されていることが多くなっている。この種の空気清浄装置は、室内の空気を吸い込んで清浄化処理し、その清浄化処理した空気を排気する。
【0003】
例えば、特許文献1には、分煙機箱体に衝立を取り付けるとともに、排気空気の一部を衝立の側部から上方向及び横方向に吹き出してエアカーテンを形成する構成とした分煙機(空気清浄装置)が開示されている。このようにした分煙機では、別体の衝立等を設置しなくても、衝立さらにはエアカーテンにより室内を喫煙空間と非喫煙空間とを簡易に区分けすることができるという効果が得られる。
【0004】
また、特許文献2には、テーブル型の空気清浄機(空気清浄装置)であって、テーブル上面に対向するダクトを人のほぼ頭上高さに配設し、このダクトから排気空気の一部がテーブル上面の吸込口に向かって吐出される構成とした空気清浄機が開示されている。このようにした空気清浄機では、吸込口による吸込側誘引気流と吐出口による吐出側誘引気流とによって煙草の煙を効果的に捕集することができるという効果が得られる。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−174011号公報
【特許文献2】
特開平10−281509号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記特許文献1に開示されているように排気空気の一部を衝立の側端部から吹き出してエアカーテンを形成する場合、喫煙空間で発生した煙草の煙がエアカーテンにかき乱されて拡散させ、同時に装置近傍の非喫煙空間等の空気を誘引作用で巻き込み、空気清浄装置の吸込口方向に流れ込ませてしまい、それにより発生する余剰空気により煙草の煙を含む空気が逆に非喫煙空間に流出してしまうことがある。
【0007】
また、上記特許文献2に開示されているようにテーブル上面に対向するダクトを人のほぼ頭上高さに配設する場合、大型化するとともに、頭上高さにあるダクトが喫煙者に威圧感を与えたり、喫煙者が頭部をぶつける等の危険が発生したりしてしまう。
【0008】
本発明は上記のような点に鑑みてなされたものであり、空気清浄装置本体に衝立を設けることにより、喫煙空間と非喫煙空間とを簡易に区分けすることができるとともに、エアカーテンを形成するのではなく、衝立を利用して排気空気の一部を吸込口に戻す循環流が形成されるようにして、大型化したり、喫煙者に威圧感を与えたりすることなく、高い分煙効果が得られる空気清浄装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の空気清浄装置は、吸込口から吸い込んだ空気を清浄化処理する捕集器と、その清浄化処理した空気を排気する送風機とを内装するテーブル型の空気清浄装置本体と、上記空気清浄装置本体の少なくとも片方の端部に設けられた衝立と、上記衝立に設けられた誘風路とを備え、上記誘風路として、上記空気清浄装置本体側に開口するフラップが上記衝立の側辺及び上辺に沿って設けられており、上記空気清浄装置本体にはメイン排気口とは別に送風機の排気の一部を排出する循環用排気口が上記フラップの開口に対向するよう形成され、上記送風機からの排気空気の一部が、上記誘風路により誘導され、上記衝立上辺の所定位置で下降流となる構成にした点に特徴を有する。
【0010】
本発明の他の空気清浄装置は、吸込口から吸い込んだ空気を清浄化処理する捕集器と、その清浄化処理した空気を排気する送風機とを内装するテーブル型の空気清浄装置本体と、上記空気清浄装置本体の少なくとも片方の端部に設けられた衝立と、上記衝立に設けられた誘風路とを備え、上記誘風路として、上記空気清浄装置本体側に開口するフラップが上記衝立の側辺及び上辺に沿って設けられており、上記空気清浄装置本体にはメイン排気口とは別に送風機の排気の一部を排出する循環用排気口が上記フラップの開口に対向するよう形成され、上記送風機からの排気空気の一部が、上記誘風路により誘導され、上記衝立上辺の所定位置で前記吸込口へ向かう下降流となる構成にした点に特徴を有する。
【0012】
また、本発明の空気清浄装置の他の特徴とするところは、上記循環用排気口が上記空気清浄装置本体の両側面に形成されており、これら循環用排気口からの排気空気がそれぞれ上記フラップに沿って誘導され、上記衝立上辺の所定位置で互いにぶつかりあって下降流となる点にある。
【0013】
また、本発明の空気清浄装置の他の特徴とするところは、上記フラップの途中に障害部が設けられており、上記循環用排気口からの排気空気が上記フラップに沿って誘導され、上記衝立上辺の所定位置で上記障害部にぶつかって下降流となる点にある。
【0014】
また、本発明の空気清浄装置の他の特徴とするところは、上記フラップの縁に上記衝立と平行になる部分を含む垂下部が形成されている点にある。
【0015】
また、本発明の空気清浄装置の他の特徴とするところは、上記空気清浄装置本体により排気されてから上記誘風路を介して下降流となるまでの流れに、鋭角に曲がる流れが含まれない点にある。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の空気清浄装置の好適な実施形態について説明する。
【0017】
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態のカウンターテーブル型の空気清浄装置を示す斜視図、図2は正面図、図3は部分透過側面図である。空気清浄装置は、空気清浄装置本体1と、空気清浄装置本体1の片方の端部に設けられた長方形の衝立5とを備える。
【0018】
空気清浄装置本体1は、キャスタ等の脚4を有するテーブル本体2と、テーブル本体2上の天板3とにより構成されている。
【0019】
天板3の中央には吸込口6が形成されている。また、天板3上には喫煙者の有無に応じて自動的にスイッチON/OFFするための人感センサ等が配置されている。
【0020】
テーブル本体2内には、図3に示すように、静電式集塵方式により清浄化処理を行うアイオナイザ(荷電部)及びコレクタ(集塵部)を有した捕集器7と、送風機としてのファン8とが内装されている。なお、本発明において捕集器7の仕様は静電式集塵方式に限定されるものではなく、濾過捕集方式や静電濾過集塵方式等を用いることも可能である。
【0021】
また、テーブル本体2の下面には図示しないメイン排気口が設けられている。さらに、テーブル本体2の両長辺側の側面下部には衝立5に近い位置に循環用排気口9が形成されている。ファン8が駆動すると、吸込口6から吸い込まれて捕集器7により清浄化処理された空気のほとんどがメイン排気口から吹き出すとともに、一部が循環用排気口9から側方に吹き出す。
【0022】
一方、衝立5は窓10を有し、圧迫感を感じないように見通しをよくするための透明なガラス板や樹脂板が嵌め込まれている。衝立5のサイズは任意であるが、例えば高さは、日本人の平均身長等を基にして、喫煙者を衝立5の反対側の非喫煙空間から遮断する程度の大きさとすればよく、更にいえば、煙草の煙の発生源よりも高い位置まで上辺が到達しているほうが望ましい。また幅は、高さと同様の考えで煙の発生源よりも広い位置まで両側辺が到達しているほうが望ましい。
【0023】
また、衝立5には両側辺に沿うフラップ11と上辺に沿うフラップ12とが設けられており、これらフラップ11、12がコーナー部材13を介して連続する。フラップ11、12は、図4(a)に示すように、衝立5の側方に延出する基端部14と、基端部14から円弧状に屈曲して衝立5に対して垂直方向に延出する垂直部15と、垂直部15から円弧状に屈曲する垂下部16とを有し、内側(空気清浄装置本体1側)に開口する。フラップ11、12の垂下部16は衝立5と平行になるまで垂下させ、より好ましくは図中点線16aに示すように衝立5と平行にさらに垂下させる。
【0024】
上述したようにテーブル本体2の両側面下部には循環用排気口9が形成されているが、これら循環用排気口9を縦長とし、その幅とフラップ11の開口幅とを同程度として、循環用排気口9とフラップ11の下部開口とが対向するようにする。
【0025】
上記のようにした本実施形態の空気清浄装置では、ファン8が駆動すると、吸込口6から空気を吸い込んで、捕集器7により煙草の煙中の粒子状物質等を捕集する。そして、その清浄化処理された空気がメイン排気口から床面に沿って極緩流状態で吹き出すとともに(流れX5)、一部が循環用排気口9から側方に所定の風速で吹き出す(流れX1)。
【0026】
循環用排気口9から側方に吹き出す排気空気は基端部14、垂直部15および垂下部16に囲まれた空間である誘風路でもあるフラップ11の下部内面に入り込んで、誘風路を連続して有するフラップ内で上昇流となり、フラップ11の誘風路に沿って流れるとともに(流れX2)、コーナー部13を介して曲がってフラップ12の誘風路に沿って流れる(流れX3)。
【0027】
ここで、空気清浄装置本体1の両側での条件(循環用排気口9からの排気量、フラップ11の寸法、循環用排気口9からフラップ11までの距離等)を同じにしておけば、フラップ11、12の内面に沿って両側から流れてくる排気空気はフラップ12の中央で互いにぶつかりあって下降流となる。そして、この下降流は、鉛直下方に流れるのではなく、フラップ12の形状効果や吸込口6に近いほど低圧となっていることから吸込口6に向かって斜め下方に流れて(流れX4)、吸込口6から吸い込まれる。
【0028】
なお、フラップ11、12の形状について、図5(a)に示すように垂下部がなかったり、図5(b)に示すように垂下部が短かったりすると、排気空気がフラップ11、12の内面(誘風路)に沿って流れるうちに外に必要以上に溢れ出してしまい、フラップ12の中央で十分な下降流を得ることができなくなる。したがって、図4(a)に示したように、垂下部16を少なくとも衝立5と平行になるまで垂下させる。また、図4(a)に示した以外にも、例えば図4(b)に示すように、衝立5の側方に延出する基端部17と、基端部17から直角に屈曲して衝立5に対して垂直方向に延出する垂直部18と、垂直部18から直角に屈曲して衝立5と平行になる垂下部19とを有する断面コの字状としてもよい。
【0029】
以下、本実施形態の空気清浄装置に関して行った各種試験の結果について説明する。
【0030】
まず、図6を参照して、本実施形態の空気清浄装置の各部での循環流の風向及び風速について説明する。各測定位置S1〜S7は図示のとおりであり、本体風量を13.8[m3/min]とした場合と18.6[m3/min]とした場合に、吸込口6での平均風速、循環用排気口9付近(測定位置S1、S7)での風向及び風速v1、v7、フラップ11の途中(測定位置S2、S6)での風向及び風速v2、v6、フラップ12の途中(測定位置S3、S5)での風向及び風速v3、v5、フラップ12の中央(測定位置S4)での風向及び風速v4[m/s]をそれぞれ測定した。
【0031】
図中矢印により各測定位置S1〜S7で測定された風向を示す。ここで、フラップ12の中央(測定位置4)では、鉛直下方に流れるのではなく、衝立5に対して約35〜40度の角度で斜め下方に流れていた。また、この下降流はフラップ12の中央を挟んで100〜150[mm]の幅L(吸込口6の幅より狭い範囲)で確認された。
【0032】
また、表1に各測定位置1〜7で測定された風速を示す。表1からも分かるように、0.1[m/s]程度の誤差はあるものの空気清浄装置の両側で同程度の風速の流れが発生していた。そして、本体風量が13.8[m3/min]の場合、フラップ12の中央での下降流として風速v4=0.6[m/s]が得られ、また、本体風量が18.6[m3/min]の場合、フラップ12の中央位置での下降流として風速v4=0.8[m/s]が得られた。なお、v4が1.0[m/s]を超える風速となると、空気清浄装置本体近傍でのライターの炎が維持できないなどの問題が発生するので、超えないようにすることが望ましい。
【0033】
【表1】
Figure 0003749215
【0034】
次に、図7〜12を参照して、本実施形態の空気清浄装置の吸込範囲について説明する。図7、8には、本体風量を13.8[m3/min]とした場合に、本実施形態の空気清浄装置と衝立なし空気清浄装置(他の条件は同じ)との吸込範囲の比較を示す。
【0035】
図8は、側面から観察した場合に、正面中央位置(図7の平面A)においてどの範囲まで吸込が確認されたかを表す。衝立5がない場合、図中三角で示すように、吸込口6の上方では天板3から550[mm]程度の高さまでの範囲で吸込が確認され、そこから両端部方向に離れるにつれて吸込が確認される高さは徐々に低くなった。
【0036】
それに対して、本実施形態の空気清浄装置の場合、図中丸で示すように、衝立5がない場合よりも全体的に高い範囲での吸込が確認された。しかも、衝立5のない端部方向に離れる場合は吸込が確認される高さは徐々に低くなったが、衝立5のある端部方向に離れる場合は逆に吸込が確認される高さは高くなった(天板3から700[mm]程度)。
【0037】
また、図7は、正面から観察した場合に、側面中央位置(図8の平面B)においてどの範囲で吸込が確認されたかを表す。衝立5がない場合、図中三角で示すように、吸込口6の上方では天板から550[mm]程度の高さ位置までの範囲で吸込が確認され、そこから両側方向に離れるにつれて吸込が確認される高さは徐々に低くなった。
【0038】
それに対して、本実施形態の空気清浄装置の場合、図中丸で示すように、衝立5がない場合と同様に空気清浄装置の両側方向に離れるにつれて吸込が確認される高さは徐々に低くなったが、衝立5がない場合よりも全体的に高い範囲での吸込が確認された。
【0039】
さらに図7には、本実施形態の空気清浄装置で、衝立5寄りの位置(図8の平面C)、衝立5から離れた位置(図8の平面D)それぞれにおいてどの範囲で吸込が確認されたかを表す。図中菱形で示すように、衝立5寄りの位置では、側面中央位置(図中丸)と同等或いは高い範囲での吸込が確認された。また、図中四角で示すように、衝立5から離れた位置でも、衝立5がない場合の側面中央位置(図三角)より高い範囲での吸込が確認された。
【0040】
同様に、図9、10には、本体風量を18.6[m3/min]とした場合に、本実施形態の空気清浄装置での吸込範囲を示す。なお、図中三角で示す衝立5がない場合の結果は図7、8で示したものである(本体風量13.8[m3/min])。本体風量を18.6[m3/min]とした場合も、図7、8(本体風量13.8[m3/min])で述べたのと同様のことがいえるが、特に空気清浄装置の衝立5のない端部方向や両側方向での吸込範囲の落ち込みをより緩やかにすることができる。
【0041】
図11には本実施形態の空気清浄装置(本体風量18.6[m3/min])の吸込範囲を立体的に表す。一方、図12には衝立なし空気清浄装置(本体風量13.8[m3/min])の吸込範囲を立体的に表す。これら図11、12では本体風量の差があるので直接比較はできないが、本実施形態の空気清浄装置ではより大きな範囲での厚みのある吸込が可能となっていることが理解される。
【0042】
次に、図13(a)を参照して、本実施形態の空気清浄装置の分煙性能について説明する。図13(a)に示すように、本実施形態の空気清浄装置を壁に対して斜め45度に設置し(コーナー斜め置き)、非喫煙空間(衝立5を挟んで空気清浄装置本体1と反対側)において衝立5から一定距離に置いたデジタル粉塵計101により粉塵濃度を計測した。
【0043】
また、衝立なし空気清浄装置(他の条件は同じ)についても同じ条件で粉塵濃度を計測した。
【0044】
なお、試験は約100[m3]の実験室チャンバー(縦6700×横6000×高さ2500[mm])内にて実施した。この場合に、人モデルを用いて蚊取り線香を1500[mm]の高さ位置に配置し、デジタル粉塵計101も同じく1500[mm]の高さ位置に、吸込口中心点から1500[mm]離れた位置に配置した。
【0045】
本実施形態の空気清浄装置の場合、デジタル粉塵計101での計測結果は平均濃度0.068[mg/m3]であった。一方、衝立なし空気清浄装置の場合、デジタル粉塵計101での計測結果は平均濃度0.252[mg/m3]であった。この結果からも、本実施形態の空気清浄装置では、粉塵を含む空気の非喫煙空間への漏れを効果的に防止することができ、高い分煙効果が得られることが明らかとなった。
【0046】
次に、図13〜15を参照して、本実施形態の空気清浄装置の設置状態(レイアウト)ごとの分煙性能について説明する。図13(a)に示すコーナー斜め置き、図13(b)に示すコーナー横置き(衝立5の片側が壁に近い)、図13(c)に示すコーナー直角置き(衝立5の両側が壁から離れている)それぞれについて分煙性能を数値化する分煙率を算出した。
【0047】
また、具体的な仕様についての説明は省略するが、上記従来例で説明したように排気空気の一部を衝立の側部から上方向及び横方向に吹き出してエアカーテンを形成する空気清浄装置についても同じ条件で分煙率を算出した。
【0048】
ここで、分煙率[%]は、下式
分煙率=[1−漏洩率]×100(但し、漏洩率=(デジタル粉塵計での飽和濃度の最終5点の平均値)÷(均一混合時飽和濃度の最終5点の平均値)とする。)
により算出した。なお、上記分煙率や漏洩率は社団法人日本空気清浄協会発行の「業務用分煙機器性能試験方法指針(JACA No.36−2000)」中の解説などに準拠する方法で求めた。また、完全混合濃度については、簡便にした本発明中の均一混合時飽和濃度(同解説中のk=0時定常解に相当するように容積Vを変更して求めた濃度)とした。
【0049】
図14には、本実施形態の空気清浄装置における時間と粉塵濃度(黒点が計算による均一混合時飽和濃度、白点がデジタル粉塵計101での粉塵濃度)との関係を示す。図14(a)がコーナー斜め置きの場合、図14(b)がコーナー横置きの場合、図14(c)がコーナー直角置きの場合である。
【0050】
本実施形態の空気清浄装置の場合、コーナー斜め置きの場合の分煙率は約75[%]、コーナー横置きの場合の分煙率は約79.3[%]、コーナー直角置きの場合の分煙率は約81.6[%]であり、設置状態(レイアウト)にかかわらずいずれも高い数値が得られた。
【0051】
一方、図15には、衝立付きでエアカーテンを形成する空気清浄装置における時間と粉塵濃度(黒点が計算による均一混合時飽和濃度、白点がデジタル粉塵計101での粉塵濃度)との関係を示す。図15(a)がコーナー斜め置きの場合、図15(b)がコーナー横置きの場合、図15(c)がコーナー直角置きの場合である。
【0052】
エアカーテンを形成する空気清浄装置の場合、コーナー斜め置きの場合の分煙率は約59[%]、コーナー横置きの場合の分煙率は約11.8[%]、コーナー直角置きの場合の分煙率は約33.5[%]であった。コーナー斜め置きの場合にある程度の分煙率が得られるが、コーナー横置きやコーナー直角置きの場合、分煙率が極端に低下してしまう。これは、特にコーナー横置きやコーナー直角置きの場合には、喫煙空間で発生した煙草の煙がエアカーテンに巻き込まれて非喫煙空間に拡散されてしまうためと考えられる。
【0053】
以上述べた第1の実施形態の空気清浄装置によれば、空気清浄装置本体1に衝立5を設けたので、喫煙空間と非喫煙空間とを簡易に区分けすることができる。そして、エアカーテンを形成するのではなく、排気空気の一部を吸込口6に戻す循環流を形成することにより、煙草の煙が非喫煙空間に拡散されることのない高い分煙効果を得ることができる。この場合に、衝立5を利用して循環流が形成されるので、ダクトを人のほぼ頭上高さに配設するような必要はなく、空気清浄装置が大型化したり、喫煙者に威圧感を与えたりすることもない。
【0054】
特に、第1の実施形態の空気清浄装置では、衝立5の上辺で下降流が発生する構成にしたので、煙草の煙を効果的に捕集することができる。例えば図16に示すように、衝立5内にダクト部51を形成し、衝立5の上部に形成した吹出口52からダクト部51内の排気空気を吹き出す構成も考えられるが、この場合、吹出口52から吹き出す排気空気は天板3と平行に流れながら徐々に下降していく。そのため、図中空間S(吹出口52と同程度の高さ位置で、吸込口6を挟んで衝立5と反対側の空間)の空気が吹出口52から吹き出す排気空気に押し出されて、空気清浄装置から離れていく結果になってしまうこともある。それに対して、本実施形態のように下降流を発生させることによって、効果的なプッシュプル気流を発生させて、煙草の煙を効果的に捕集することができる。
【0055】
また、第1の実施形態の空気清浄装置では、空気清浄装置本体1により排気されてからフラップ11、12を介して下降流となるまでの流れ(図1の流れX1〜X4)が直進するか、90度に曲がるかだけである。鋭角に曲がる個所がある場合、その個所で吹き溜まりができて流れが妨げられることがあるので、鋭角に曲がる流れが含まれないようにしたものである。例えば、図16において吹出口52に下向きのガイド等を設け、鋭角に曲がる流れを生じさせて無理やり下降流を発生させるのでは、その個所で吹き溜まりができてしまうおそれがある。
【0056】
また、フラップ11、12を用いるので、軽量化、コストダウン化を図るとともに、フラップ11、12の内面を簡単に清掃することができる。
【0057】
(第2の実施形態)
図17に示す第2の実施形態の空気清浄装置は、喫煙者の有無に応じて自動的にスイッチON/OFFするための人感センサ20を衝立5に配置した例である。このようにした第2の実施形態では、より広い範囲で喫煙者の有無を検知することが可能となる。
【0058】
(第3の実施形態)
図18に示す第3の実施形態の空気清浄装置は、フラップ12の途中(図ではフラップ12の中央)に障害板21を設けた例である。この場合、フラップ11、12の内面に沿って両側から流れてきた排気空気は障害板21にぶつかってそれぞれ下降流となる。このようにした第3の実施形態では、下降流を発生させる位置を自由に変更することができる。例えば具体的に図示しないが、吸込口6を空気清浄装置のいずれかの側面方向に偏らせて配置する場合、下降流の発生位置を吸込口6の位置に合わせて変更することができる。
【0059】
また、図19に示すように、フラップ12の途中に斜めに配置した2枚の障害板21を設けてもよい。この場合、フラップ11、12の内面に沿って両側から流れてきた排気空気は障害板21にぶつかってそれぞれ吸込口6方向に流れる下降流となるので、二方向からのプッシュ気流を発生させることができる。この場合にも、空気清浄装置本体1により排気されてからフラップ11、12を介して下降流となるまでの流れ(流れX1〜X4)には、鋭角に曲がる流れが含まれない。
【0060】
(第4の実施形態)
図20に示す第4の実施形態の空気清浄装置は、本発明でいう誘風路として、フラップ11、12ではなく、衝立5の両側辺及び上辺に沿って配設したダクト22を用いた例である。ダクト22はダクト23を介して循環用排気口9に連通する。衝立5上辺のダクト22中央には開口部24が形成されており、その開口部24で下降流が発生する。このようにした第4の実施形態では、循環させる排気空気の漏れを完全になくすことができる。
【0061】
(第5の実施形態)
図21に示す第5の実施形態の空気清浄装置は、衝立5を空気清浄装置本体1の片方の側面方向のみで突出させた例である。この場合、フラップ12の端部に閉塞部25を設け、その閉塞部25が本発明でいう障害部として機能して下降流が発生するようにする。このようにした第5の実施形態では、空気清浄装置本体1を壁に密着させるタイプの空気清浄装置に本発明を適用することができる。なお、フラップ12の端部に閉塞部25を設けるのではなく、フラップ12の端部も壁に密着させて閉塞し、壁を本発明でいう障害部として利用するようにしてもよい。
【0062】
(第6の実施形態)
図22に示す第6の実施形態の空気清浄装置は、空気清浄装置本体1の両方の端部に衝立5を設けた例である。このようにした第6の実施形態では、空気清浄装置本体1の両方の端部において下降流を発生させることができ、煙草の煙をより効果的に捕集することができる。
【0063】
以上、本発明を種々の実施形態とともに説明したが、本発明はこれらの実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能である。例えば、上記実施形態ではカウンターテーブル型の空気清浄装置を説明したが、椅子に座って使用するローテーブル型としてもよい。また、上記実施形態では長方形の衝立5を説明したが、上辺をアーチ状等としてもよい。
【0064】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、空気清浄装置本体に衝立を設けたので、喫煙空間と非喫煙空間とを簡易に区分けすることができる。そして、排気空気の一部を吸込口に戻す循環流を形成することにより、煙草の煙が非喫煙空間に拡散されることのない高い分煙効果を得ることができる。この場合に、衝立を利用して循環流が形成されるので、邪魔になる大型の構造物であるダクトを人のほぼ頭上高さに配設するような必要はなく、空気清浄装置が大型化したり、喫煙者に威圧感を与えたりすることもない。特に、本発明の空気清浄装置においては、衝立の上辺で下降流が発生する構成にしたので、煙草の煙を効果的に捕集することができる。
【0065】
更に、本発明の誘風路として、排気空気の一部を流すフラップを用い、空気清浄装置側に開口した形態とすることにより、排気空気の一部をごくわずかに衝立面に沿うように空気清浄装置本体側に流れるようにすることができ、エアカーテンのように煙草の煙をかき乱して拡散させるなどして、煙草の煙を含む空気が逆に非喫煙空間に流出してしまうことがないように効果的に捕集することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態の空気清浄装置を示す斜視図である。
【図2】第1の実施形態の空気清浄装置を示す正面図である。
【図3】第1の実施形態の空気清浄装置を示す部分透過側面図である。
【図4】フラップ11、12の断面図である。
【図5】好ましくないフラップの断面図である。
【図6】空気清浄装置の各部での循環流の風向及び風速について説明するための図である。
【図7】正面から観察した場合に、空気清浄装置の側面中央位置、衝立寄りの位置、衝立から離れた位置においてどの範囲で吸込が確認されたかを表す図である。
【図8】側面から観察した場合に、空気清浄装置の正面中央位置においてどの範囲で吸込が確認されたかを表す図である。
【図9】正面から観察した場合に、空気清浄装置の側面中央位置、衝立寄りの位置、衝立から離れた位置においてどの範囲で吸込が確認されたかを表す図である。
【図10】側面から観察した場合に、空気清浄装置の正面中央位置においてどの範囲で吸込が確認されたかを表す図である。
【図11】本実施形態の空気清浄装置の吸込範囲を立体的に表す図である。
【図12】衝立なし空気清浄装置の吸込範囲を立体的に表す図である。
【図13】空気清浄装置の設置状態を説明するための図であり、(a)がコーナー斜め置きを示す図、(b)がコーナー横置きを示す図、(c)がコーナー直角置きを示す図である。
【図14】本実施形態の空気清浄装置における時間と粉塵濃度との関係を示す図であり、(a)がコーナー斜め置きの場合の関係を示す図、(b)がコーナー横置きの場合の関係を示す図、(c)がコーナー直角置きの場合の関係を示す図である。
【図15】衝立付きでエアカーテンを形成する空気清浄装置における時間と粉塵濃度との関係を示す図であり、(a)がコーナー斜め置きの場合の関係を示す図、(b)がコーナー横置きの場合の関係を示す図、(c)がコーナー直角置きの場合の関係を示す図である。
【図16】下降流を発生させないタイプの空気清浄装置を示す斜視図である。
【図17】第2の実施形態の空気清浄装置を示す斜視図である。
【図18】第3の実施形態の空気清浄装置を示す斜視図である。
【図19】障害板21の他の配置例を説明するための図である。
【図20】第4の実施形態の空気清浄装置を示す斜視図である。
【図21】第5の実施形態の空気清浄装置を示す斜視図である。
【図22】第6の実施形態の空気清浄装置を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 空気清浄装置本体
2 テーブル本体
3 天板
5 衝立
6 吸込口
7 捕集器
8 ファン
9 循環用排気口
11、12 フラップ
16、19 垂下部
21 障害板
22、23 ダクト
24 開口部

Claims (6)

  1. 吸込口から吸い込んだ空気を清浄化処理する捕集器と、その清浄化処理した空気を排気する送風機とを内装するテーブル型の空気清浄装置本体と、
    上記空気清浄装置本体の少なくとも片方の端部に設けられた衝立と、
    上記衝立に設けられた誘風路とを備え、
    上記誘風路として、上記空気清浄装置本体側に開口するフラップが上記衝立の側辺及び上辺に沿って設けられており、
    上記空気清浄装置本体にはメイン排気口とは別に送風機の排気の一部を排出する循環用排気口が上記フラップの開口に対向するよう形成され、
    上記送風機からの排気空気の一部が、上記誘風路により誘導され、上記衝立上辺の所定位置で下降流となる構成にしたことを特徴とする空気清浄装置。
  2. 吸込口から吸い込んだ空気を清浄化処理する捕集器と、その清浄化処理した空気を排気する送風機とを内装するテーブル型の空気清浄装置本体と、
    上記空気清浄装置本体の少なくとも片方の端部に設けられた衝立と、
    上記衝立に設けられた誘風路とを備え、
    上記誘風路として、上記空気清浄装置本体側に開口するフラップが上記衝立の側辺及び上辺に沿って設けられており、
    上記空気清浄装置本体にはメイン排気口とは別に送風機の排気の一部を排出する循環用排気口が上記フラップの開口に対向するよう形成され、
    上記送風機からの排気空気の一部が、上記誘風路により誘導され、上記衝立上辺の所定位置で前記吸込口へ向かう下降流となる構成にしたことを特徴とする空気清浄装置。
  3. 上記循環用排気口が上記空気清浄装置本体の両側面に形成されており、これら循環用排気口からの排気空気がそれぞれ上記フラップに沿って誘導され、上記衝立上辺の所定位置で互いにぶつかりあって下降流となることを特徴とする請求項1又は2に記載の空気清浄装置。
  4. 上記フラップの途中に障害部が設けられており、上記循環用排気口からの排気空気が上記フラップに沿って誘導され、上記衝立上辺の所定位置で上記障害部にぶつかって下降流となることを特徴とする請求項1又は2に記載の空気清浄装置。
  5. 上記フラップの縁に上記衝立と平行になる部分を含む垂下部が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の空気清浄装置。
  6. 上記空気清浄装置本体により排気されてから上記誘風路を介して下降流となるまでの流れに、鋭角に曲がる流れが含まれないことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の空気清浄装置。
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