JP3748645B2 - 発光方法とその発光を用いた表示または記録方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の化合物を用いた発光方法、詳細には、特定の化合物に紫外線照射する発光方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
表示装置に用いられる色素化合物としては、染料や顔料が知られている。
【0003】
一方、表示装置の薄型化に対応するため、プラズマディスプレイなどの蛍光物質を用いた表示方法等が開発されている。
【0004】
また、紙幣、有価証券などの偽造防止のための蛍光物質を真贋識別の表示方法が特開平8−239609号公報に提案されている。
【0005】
また、蛍光物質は蛍光ペンなどの装飾性の高い塗料、インクなどに用いられてきた。また、蛍光灯における電源スイッチの所在表示などにも用いられてきた。
【0006】
このように、蛍光物質は種々の表示方法等の発光方法に有用であることが見出されているが、用途や使用条件によって蛍光物質に要求される物性が異なるため、その要求される物性に応じた種々の蛍光物質を用いて視認性に十分な強い蛍光を発する発光方法を提供することが望まれている。
【0007】
従って、本発明の目的は、視認性に十分な強い蛍光を発する発光方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、種々検討を重ねた結果、特定の化合物に紫外線を照射することにより、上記目的を達成し得ることを知見した。
【0009】
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、下記〔化4〕(前記〔化1〕と同じ)の一般式(I)または(II)で表される化合物に、紫外線を照射する発光方法を提供するものである。
【0010】
【化4】
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の発光方法について詳述する。
【0025】
上記一般式(I)および( II )おいて、R8 〜R11で表される、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第二ブチル、第三ブチル、ペンチル、第二ペンチル、第三ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシルなどが挙げられ、Mで表されるk価の金属原子としては、特に限定されるものではないが、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、カドミウム、銀、アンチモン、鉛、ジルコニウム、モリブデン、ルビジウム、錫、ランタニド系列の金属等が挙げられる。
【0026】
上記一般式(I)または(II)で表される化合物の具体例としては、下記の化合物 No.1 、 No.2 、 No.9等が挙げられる。ただし、本発明は、これらの化合物に限定されるものではない。
【0027】
【化7】
【0028】
【化8】
【0035】
【化15】
【0039】
本発明に用いられる上記一般式(I)または(II)で表される化合物は、紫外線を照射することにより明瞭な蛍光を発するので、蛍光表示または記録材料に用いられる蛍光物質として有用である。従って、本発明の発光方法による発光を用いて、優れた表示または記録方法を提供することができる。
【0040】
本発明に係る上記一般式(I)または(II)で表される化合物(蛍光物質)の表示装置への適用方法としては特に限定されるものではなく、該化合物の単結晶などの固体状態に紫外線を直接照射する方法、該化合物を水または有機溶媒等に溶解させた溶液もしくはエマルジョン、サスペンジョン等に分散させた分散体として、これらに紫外線を照射する方法、該化合物を、紙、木材、砂、石、プラスチック、ガラス、金属等の基材の全面または一部に塗布してして紫外線を照射する方法(例えば、上記溶液または上記分散体を塗工液として上記基材に塗布し固定化した後、紫外線を照射する方法)、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレン、ポリエチレン等のプラスチックに配合してフィルム状または成形品として紫外線を照射する方法等が挙げられ、中でも、上記化合物を上記基材の全面または一部に塗布してして紫外線を直接照射する方法、特に、上記溶液または分散体を塗工液として上記基材に塗布し固定化した後、紫外線を照射する方法が好ましい。また、上記基材としては紙であることが好ましい。上記の塗工液には、必要に応じてワックス、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリビニルアルコール等のバインダー、充填剤、顔料、染料、界面活性剤等が配合されてもよく、蛍光発光の目的のみに用いられる蛍光層形成材料として用いられるものであっても、インク、下塗りまたは上塗り塗料、保護被膜等の他の目的に用いられる材料に蛍光発光機能を付加させたものであってもよい。特に、上記塗工液がインクであることが好ましい。これらの方法によって得られる発光は、必要な情報を不可視情報として表示または記録する機能を果たすばかりでなく、適用された表示または記録材料の美観を高める効果をも有する。
【0041】
本発明に係る前記化合物を上記基材に塗布し固定化して紫外線を直接照射する方法においては、不透明基材へ固定化した場合には表示方向と同一方向から照射し、透明基材へ固定化した場合には表示方向と同一または反対の方向から照射し、透明な基材に練混んだ場合には表示方向によらず照射可能である。
【0042】
また、本発明の発光方法における紫外線照射の光源としては、紫外線を含む光源であれば特に限定されるものではなく、人工の光源のほか太陽光などの自然光でもよい。特に、本発明に係る化合物に有効な励起波長を主として含む光源が好ましく、各種レーザーの他、ブラックランプなどの紫外線を選択的に発する光源が好ましい。
【0043】
また、本発明の発光方法により得られる発光はカラーディスプレイなどに用いる場合には可視光域であることが必要であるが、偽造防止などに用いる場合には機械による検出が可能であれば可視光の他、赤外波長域の光でもよい。
【0044】
本発明に係る前記化合物を前記の方法で適用した表示または記録材料は、必要な情報を通常時は不可視情報として表示または記録し、紫外線照射時にこれを可視情報として表示するばかりでなく、適用された表示または記録材料の美観を高める効果をも有するので、印刷物、警報装置、照明装置、画像表示装置等の他、装飾品、玩具、容器等としても用いることができる。
【0045】
特に、紙幣、有価証券等の偽造防止の必要な有価物として適用した場合には上記機能を利用することによってその真贋の識別を容易に行なうことができる。従って、本発明の発光方法による発光を用いて真贋識別方法を提供することができる。該真贋識別方法としては、紙幣や有価証券などの全面に塗布して必要に応じて特定の波長の紫外線を照射して得られる発光スペクトルを機械検出する方法や、さらに本発明に係る前記化合物(蛍光物質)を塗布した面に透明性が熱などにより可逆的に変化するコート層を設けて蛍光を通常時にはマスキングして真贋の確認時にのみ加熱などにより蛍光が検出できるようにする方法や、隠し文字などを紙面の一部に印刷して目視、または機械的に確認する方法等の周知の技術を適用することができる。
【0046】
また、本発明に係る前記化合物は励起光によって一定の色の光を発光するので、発光を利用したカラー表示に用いることもできる。具体的には、上記発光を、カラー表示のための青、緑、赤の光の三原色の一部または全部の光源(プラズマ表示装置における光の三原色の光源)、カラー液晶表示材料におけるカラーレジスト等の染料、顔料の代替として用いることができ、特に上記発光を、カラー表示のための青、緑、赤の光の三原色の一部または全部の光源として用いることが好ましい。従来染料や顔料が用いられてきた分野においては光源を白色光などの可視光光源から紫外光光源に置き換えればよい。
【0047】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例によって何ら制限を受けるものではない。
【0048】
〔実施例1〕
下記〔表1〕に記載の試験化合物2gをエチルセロソルブ18gに溶解して無色透明の記録液を得た。得られた記録液を霧吹きを用いて厚さ2mmのガラス基板に幅1mm、5mmの直線を各々長さ5cmになるようビニルテープでマスキングして塗布した。このガラス基板を50℃/10mmHgで乾燥して試験片とした。下記〔表1〕に記載の各種光源下でガラス基板の裏側から254nmの紫外線を照射して目視により観察して表示性能を評価した。発光を示さないものは×、線幅によっては発光が目視で確認可能なものは△、線幅によらず明瞭な発光を示したものは○として評価した。その結果を下記〔表1〕に示す。また、評価結果が○であったものについては発光の色調を横に記載した。
【0049】
【表1】
【0050】
【化19】
【0051】
〔実施例2〕
下記〔表2〕に記載の試験化合物0.3gをN−メチル−2−ピロリドン66g、蒸留水23.7g及びエチレングリコール10gに分散して、インクジェット用インクとして普通紙に「隠し文字」と記録した。254nmの紫外線を照射して文字が読み取れるか評価した。文字全部が読み取れるものを◎、「隠」の文字は判読できないが「し文字」が読み取れるものを○、文字は読み取れないが発光は確認できるものを△、発光が認められないものを×として評価した。その結果を下記〔表2〕に示す。
【0052】
【表2】
【0053】
〔実施例3〕
下記〔表3〕に記載の試料化合物20gおよび10%ポリビニルアルコール水溶液100gをボールミルで粉砕して分散液を得た。得られた分散液に炭酸カルシウム25gを添加して充分に分散させて塗液とした。この塗液を50g/m2 の基紙上に厚さ32μmで塗布し、乾燥して試験片を得た。得られた試験片に254nmの紫外線を照射して発光の有無を目視で確認した。明瞭な発光を示したものを○、発光しないものを×とした。その結果を下記〔表3〕に示す。
【0054】
【表3】
【0055】
〔実施例4〕
プリペイドカード用白色ポリエステルシートを基材として、下記〔表4〕に記載の試験化合物2重量部、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂(エスレックA:積水化学株式会社製)10重量部、飽和ポリエステル樹脂(バイロン103:東洋紡績株式会社製)5重量部、トルエン20重量部、及びメチルエチルケトン60重量部からなる溶液を塗布して乾燥し、蛍光層を形成した。この蛍光層の上に、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂(エスレックスC:積水化学株式会社製)3重量部、ベヘン酸1重量部、THF15重量部からなる溶液を塗布して乾燥し、可逆感熱記録層を形成した。この可逆感熱記録層は透明状態と白濁状態が熱により可逆的に変化する。熱処理により可逆感熱記録層全体を白濁状態として、さらに部分的に熱処理して1mm×50mmの直線状の透明部分10本を形成し、254nmの紫外線照射時の白濁部と透明部の発光の有無を各々目視により評価した。発光が認められるものを○、認められないものを×とした。その結果を下記〔表4〕に示す。
【0056】
【表4】
【0057】
以上の結果より、本発明に係る前記化合物を表示目的に応じた態様で固定化して紫外線を照射したときのみ、所望の色および、または形状を表示できることが判る。
【0058】
【発明の効果】
本発明の発光方法によれば、視認性に十分な強い蛍光を発することができ、特に、表示目的の場合には、所望の色および形状を表示することができる。
Claims (8)
- 請求項1記載の発光方法による発光を用いる表示または記録方法。
- 請求項1記載の発光方法による発光を用いる真贋識別方法。
- 上記発光を、カラー表示のための青、緑、赤の光の三原色の一部または全部に用いる請求項2記載の表示方法。
- 上記一般式(I)または(II)で表される化合物を、基材の全面または一部に塗布して発光させる請求項2記載の表示または記録方法。
- 上記一般式(I)または(II)で表される化合物を、溶解させた溶液または分散させた分散体を、塗工液として基材に塗布し固定化して発光させる請求項5記載の表示または記録方法。
- 上記塗工液が、インクである請求項6記載の表示または記録方法。
- 上記基材が、紙である請求項5記載の表示または記録方法。
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JP31819696A JP3748645B2 (ja) | 1996-11-28 | 1996-11-28 | 発光方法とその発光を用いた表示または記録方法 |
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