JP3748407B2 - アイドルストップ装置 - Google Patents

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  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車のエンジン制御に利用する。本発明は、運転中の車両が停車したことを含む一定の条件下で、エンジンを自動的に停止させるためのアイドルストップ制御に関する。本発明は、アイドルストップ制御装置により回転を停止した状態にあるエンジンを、さらに一定の条件下で自動的に再始動させる制御装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジンからの排気ガスを減少させるとともに、騒音を低減するなどの環境保全のために、自動車が停車してエンジンがアイドリング状態になったときに、自動的にエンジンの回転を停止させるアイドルストップ装置が多数の車両に装備されるようになった。とくに、バスやトラックなどの大型車両については、アイドルストップ装置を装備することを求める社会的な要望が大きい。
【0003】
アイドルストップ装置には、走行状態にある車両が停車するとともに、クラッチが切られる、あるいは変速装置がニュートラルになる、エンジン回転速度がアイドリング速度になるなどを電気的に検出し、これらを条件として運転操作がなくとも自動的にエンジンの回転を停止させる制御手段が設けてある。そして、この制御手段により自動的にエンジンの回転を停止した状態にあるとき、(1)クラッチ・ペダルが踏まれ、かつ(2)シフトレバーがニュートラル位置にあることを含む条件にしたがって、運転者がエンジンの始動スイッチの操作を行わなくとも、自動的にエンジンを再始動するように制御されるものが知られている。このようなエンジンを自動的に停止する、あるいは再始動するように制御する装置は、停留所ごとに停止および走行をひんぱんに繰り返す市内バスなどに広く利用されるようになった。
【0004】
なお上記条件については、上記(1)、(2)に示す二つの条件に限るものではなく、このほかにパーキング・ブレーキがかけられている、電池電圧が正常である、ブレーキ用空気圧が正常である、その他いくつかの条件を付加して自動的にエンジンを再始動するための条件とするものがさまざまな形態で知られている。(1)、(2)にあることを含む条件とはその意味である。
【0005】
このようなアイドルストップ装置については、たとえば特開平11−141367号公報にくわしい説明がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本願発明者は、アイドルストップ制御に関するさまざまな試験を行ったところ、運転者の中にはつぎのような現象を不具合であるとして訴える者があった。すなわち、アイドルストップ制御にしたがってエンジンの回転が停止している状態から、エンジンを再始動させる運転操作を行うときに、クラッチ・ペダルを踏み込み、このときほとんど同時にシフトレバーを発進ギヤ位置(1速または2速)に操作すると、自動的な再始動が行われないことがある、というものである。
【0007】
これを詳しく調査したところつぎのようなことが明らかになった。すなわち上で説明したように、アイドルストップ装置の制御により回転を停止しているエンジンを再始動させるためには、
(1)シフトレバーがニュートラル位置にあり、かつ
(2)クラッチ・ペダルが踏み込まれる
が同時に成立することが条件であるところ、運転者が無意識のうちに、シフトレバーを操作するタイミングがわずかに早くなり、この二つの条件が同時に成立していない場合があることがわかった。つまり、クラッチ・ペダルが踏み込まれた、という状態になったときに、シフトレバーが正しくニュートラル位置になく、ニュートラル位置から発進ギヤ位置(あるいは後退ギヤ位置)への操作がすでに開始されていて、シフトレバーは移動中の状態になっている場合がある。このときには、わずかなタイミングのずれにより、シフトレバーがニュートラル位置にあるという認識が行われないことになって、エンジンの再始動が実行されないことになる。
【0008】
車両の設計者としては「このような現象は不具合ではない、本来の制御論理に適合するようにシフトレバーをわずかに遅らせて操作すればよい」として取り上げないことにする設計も可能である。しかし、本願発明者はこれをさらに詳しく検討した。運転操作としては、クラッチ・ペダルを踏み込むとき、これとほとんど同時にシフトレバーを操作することもあり得るし、それを認めることによりさらに運転操作性が改善されることになるのではないかと考えた。すなわち安全性が確保されるならば、この不具合として訴えられた現象を改善することにより、ユーザにさらに操作性の優れた商品を提供することができるものと判断した。
【0009】
本発明はこのような背景に行われたものであって、アイドルストップ装置の制御により回転を停止しているエンジンを再始動させる操作について、その運転操作性を改善することを目的とする。本発明は、安全性を損なうことなく、エンジンを再始動させる操作の操作性を改善することができるアイドルストップ装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、アイドルストップ制御により回転を停止しているエンジンを再始動させる制御論理の中で、シフトレバーが ニュートラル位置になくなった、という認識をわずかな時間tだけ遅らせることを最大の特徴とする。この変更は、シフトレバーの位置センサの変更により実施することもできるが、ハードウエアを変更改造するのではなく、アイドルストップ装置の制御ソフトウエアをわずかに追加または変更することにより実施することが合理的である。
【0011】
アイドルストップ制御によりエンジン回転が停止している状態で、シフトレバーがニュートラル位置にあり、運転者がクラッチ・ペダルを踏み込むことにより、エンジンを再始動させるための運転操作を行うとき、この操作とほとんど同時にシフトレバーを発進ギヤ位置(または後退ギヤ位置)に操作しても、変速装置の本体ハードウエアは、その時点ではまだニュートラル位置にある。変速装置ハードウエアがニュートラル位置にあるかぎり、エンジン再始動の制御を実行しても安全性には問題ない。すなわち近年の車両の多くは運転席に設けたシフトレバーと、変速装置本体との間は、電気的または機械的な遠隔操作系により連結されている。したがって、シフトレバーがニュートラル位置から発進ギヤ位置に操作されてから、遠隔操作系を介して実際に変速装置のハードウエアが発進ギヤに切り替えられるには、現実の装置ではほぼ0.5秒以上の時間を要する。したがって、この時間的な余裕を利用して、シフトレバーがニュートラル位置になくなったことの認識を遅らせることができる。これにより、運転者の操作の自由度が拡大し、運転操作性が改善されることになる。
【0012】
すなわち本発明は、設定された停止の条件が成立するときにエンジン停止のための運転操作がなくともエンジンの回転を自動的に停止させる手段と、この手段によりエンジンの回転を停止させた状態にあるときクラッチ・ペダルが踏まれ、かつシフトレバーがニュートラル位置にあるときエンジンを自動的に始動させる手段とを備えたアイドルストップ装置において、前記エンジンを自動的に再始動させる手段は、シフトレバーがニュートラル位置にあることを検出するセンサの出力が消滅しても、短い時間tだけ非ニュートラル位置になったことについての認識を遅延させる手段を含むことを特徴とする。この短い時間tは、短かすぎる場合には効果が小さく、大きすぎる場合には、変速装置ハードウエアのギヤがニュートラル位置になくなってしまう。この時間tは、個々の装置にしたがって適切な値を選択することが合理的である。一例を示すと、0.1秒ないし0.5秒とすることが適当であった。さらに具体的な一例として、この時間tを約0.2秒とすることにより、多くの運転者が満足することができる結果を得た。
【0013】
この認識を遅延させる手段は、アイドルストップ装置の制御ソフトウエアをわずかに改造することにより実施することができる。具体的には、シフトレバーの位置検出出力を上記時間tにわたり保持し、クラッチ・ペダルが踏み込まれたことが検出された時点で、その時間tだけ前にシフトレバーがニュートラル位置にあったことを検出する手順を追加することにより実現することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
実施例装置の図面を利用して本発明実施例装置についてさらに詳しく説明する。図1は本発明実施例装置についてアイドルストップ制御系まわりのブロック構成図である。図2は本発明実施例装置の特徴ある制御についての要部制御フローチャートである。
【0015】
アイドルストップ制御回路1はプログラム制御回路である。半導体チップおよび周辺回路からなるハードウエアに、ソフトウエアが実装されて構成される。運転席のキースイッチがオン状態にあるかぎり、このアイドルストップ制御回路1には電源回路2から動作電源が供給されている。
【0016】
このアイドルストップ制御回路1の入力情報は図1の左側に描かれている各ハードウエアから与えられる。車速センサ3は変速装置の出力軸、すなわちプロペラ軸の回転を検出するセンサである。水温センサ4はエンジンの冷却水の温度センサである。エンジン回転センサ5はエンジンのクランク軸の回転を検出するセンサである。ニュートラル・スイッチ6は本発明に直接関係のあるスイッチであり、運転者が操作するシフトレバーがニュートラル位置にあるときにオン状態となり、シフトレバーがニュートラル位置から離れるとオフ状態になる。クラッチ・スイッチ7はクラッチ・ペダルが踏み込まれたときにオン状態になる。エア圧スイッチ8はブレーキ用エア圧が正常値にあるときにオフ状態にある。バッテリ・センサ9はバッテリの液量が正常位にあり、バッテリ液の比重が正常範囲にあるときにオフ状態にある。
【0017】
このアイドルストップ制御装置1の制御出力は、図1の右側に表示されている装置に供給される。すなわち、インテーク・シャッタ電磁弁10はエンジンの空気吸入通路に設けられた電磁弁であり、アイドルストップが実行されるときに閉塞状態に制御される。エンジン回転が停止したときに通常の導通状態に復帰する。アイドルストップ燃料カット・リレー13は、エンジンの燃料供給路に設けられ、アイドルストップが実行されるときに燃料供給路を遮断する。このリレー13もエンジンが回転を停止したときに通常の状態に復帰する。二つのスタータ・リレー11および12は、エンジンのスタータ・モータに電流を供給するためのリレーであり、信頼性を高くするために二重化されている。油圧低下ブザー・キャンセル・リレー14はアイドルストップが実行されたときに、エンジン油圧が低下することによりそのつどブザーが鳴ることを防ぐための装置である。クーラ・オフ・リレー15は、アイドルストップが実行されたときにクーラの駆動が停止されるが、それがそのつど警報されることのないように設けられたものである。クーラ遅延リレー16はアイドルストップ制御により停止状態になったとき、クーラの予冷を利用するためにブロアファンの作動停止を一時的に遅延させるための装置である。インジケータ・ランプ17はアイドルストップ状態にあることを運転席に表示するためのランプである。ダイアグ・モニタ出力18は製造および保守にさいして、ダイアグ・モニタを接続してこのアイドルストップ制御回路1を調節設定するための端子である。
【0018】
この装置の動作を簡単に説明すると、このアイドルストップ制御回路1が動作状態にあり、車速センサ3からの入力情報により車速が零になると、水温、エア圧、およびバッテリに異常警報がないことを確認して、所定時間後(例: 0.5秒ないし2秒後)に、インテーク・シャッタを閉塞するとともに、エンジンに供給する燃料流路を閉塞する。これによりエンジンは自動的に回転を停止する。これは例えば車両が停留所に停車したとき、あるいは渋滞中の路面で停車したときなどに、運転者の操作によらず自動的に実行される。
【0019】
この状態で、すなわちアイドルストップ制御によりエンジン回転が停止している状態で、運転者がクラッチ・ペダルを踏み込むと、クラッチ・スイッチ7がオン状態になり、このときニュートラル・スイッチ6によりシフト・レバーがニュートラル位置にあることが検出されると、エンジンは自動的に再始動する。本発明の装置は、このニュートラル・スイッチ6の状態を検出するタイミングにわずかな時間ずれを許容するように、アイドルストップ制御回路1のソフトウエアを改良したものである。
【0020】
図2に示すフローチャートを参照して説明すると、このソフトウエアによる判定は、エンジンがアイドルストップ制御により自動的に停止した状態にあり、クラッチが踏まれ、ニュートラル・スイッチがオン状態にあることにより行われる。ここで、ニュートラル・スイッチがオン状態にあるとの条件に、ニュートラル・スイッチ6が現時点でオンでなくとも、わずかな時間tだけ前にオンであったのならば、自動的な再始動を許容するように構成されているところに特徴がある。この時間tは0.1秒ないし0.5秒程度に設定される。上述のように一つの実施例としてこの時間tは0.2秒として多くの運転者から好評であった。
【0021】
この構成は、アイドルストップ制御回路1のソフトウエアにより実現することができる。すなわち、ニュートラル・スイッチ6の入力情報について短い時間tだけその情報を保持するループを設け、ニュートラル・スイッチが現時点でオンでなかったときには、時間tだけ前の情報を参照し、これがオン状態であったなら再始動の条件が成立するように設計すればよい。追加すべきソフトウエアの内容は図2に一点鎖線で囲む部分である。
【0022】
【発明の効果】
本発明により、アイドルストップ装置の制御にしたがって回転を停止しているエンジンを再始動させる操作について、その運転操作性を改善することができる。すなわち、クラッチ・ペダルを踏み込むとほとんど同時に、あるいはクラッチ・ペダルを踏み込むよりわずかに前に、シフトレバーをニュートラル位置から移動させても、これは再始動のための運転操作であるとして、エンジンを再始動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例のブロック構成図。
【図2】本発明実施例装置の要部動作を説明するフローチャート。
【符号の説明】
1 アイドルストップ制御回路
2 電源回路
3 車速センサ
4 水温センサ
5 エンジン回転センサ
6 ニュートラル・スイッチ
7 クラッチ・スイッチ
8 エア圧スイッチ
9 バッテリ・センサ
10 インテーク・シャッタ電磁弁
11 スタータ・リレー(1)
12 スタータ・リレー(2)
13 アイドルストップ燃料カット・リレー
14 油圧低下ブザー・キャンセル・リレー
15 クーラ・オフ・リレー
16 クーラ遅延リレー
17 インジケータ・ランプ
18 ダイアグ・モニタ出力

Claims (2)

  1. 設定された停止の条件が成立するときにエンジン停止のための運転操作がなくともエンジンの回転を自動的に停止させる手段と、この手段によりエンジンの回転を停止させた状態にあるときクラッチ・ペダルが踏まれ、かつシフトレバーがニュートラル位置にあることを含む条件が成立するときエンジンを自動的に始動させる手段とを備えたアイドルストップ装置において、
    前記エンジンを自動的に再始動させる手段は、前記シフトレバーの操作が前記クラッチ・ペダルの踏み込みよりわずかに早くまたはほぼ同時に行われて、シフトレバーがニュートラル位置にあることを検出するセンサの出力が消滅しても、短い時間tだけ非ニュートラル位置になったことについての認識を遅延させる手段を含むことを特徴とするアイドルストップ装置。
  2. 前記短い時間tは、0.1秒ないし0.5秒である請求項1記載のアイドルストップ装置。
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