JP3748254B2 - コーヒー液の製造方法 - Google Patents
コーヒー液の製造方法Info
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はコーヒー液の製造方法に関し、詳しくは、ろ過工程により清澄化するコーヒー液の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
焙煎コーヒー豆から抽出されたコーヒー抽出液は、その後、容器に充填されて、場合によっては長期間保存されることがある。その際に、一般に濁りが発生し易く、濁りが発生すると沈殿物が生じることになるが、これは商品価値を著しく低下させるだけでなく、雑味をもたらす原因になり味覚や風味を損なうことにもなっている。
【0003】
そこで、コーヒー抽出液を清澄化する試みがなされており、例えば、コーヒー抽出液を凍結させ、長時間静置して濁り成分を析出・凝集させた後、抽出液を解凍し遠心分離法にて濁り成分を除去し、更に遠心分離後の上澄み液をろ過する方法が提案されている(特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−304891号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術は、コーヒー抽出液を凍結させる凍結設備を必要とするだけでなく、凍結後4ケ月以上の長期間にわたって静置させることを要し、到底、実生産には採用し難い方法であった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の有する問題点に鑑みて、凍結設備などを必要とすることなく、しかも、コーヒー抽出液中の濁り成分を除去するろ過工程において長期間のろ過工程を要することなく、ろ過作業効率を高くできるコーヒー液の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的は各請求項記載の発明により達成される。すなわち、本発明に係るコーヒー液の製造方法の特徴構成は、焙煎コーヒー豆から抽出されたコーヒー抽出液のpHを、水酸化カリウム溶液により7.09〜8.32に調整した後、細孔径4.5〜40μmのフィルターにてろ過することにある。
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、殊更、凍結設備など大掛かりな設備を用いずとも、ろ過工程を行う前に、コーヒー抽出液のpH値を特定範囲に制御することによって、ろ過工程の効率を低下させることなく、コーヒー抽出液中の濁り成分を効果的に除去でき、それでいてコーヒーの香り、味などを格別低下させないことを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち本発明の構成によれば、抽出されたコーヒー抽出液に存在する濁り成分が少なく、ろ過工程での目詰まりを少なくできるので、長期間のろ過工程を要することなく、ろ過に用いるフィルターの交換間隔を長くできるので、フィルター消費量を低減できると共にろ過作業効率を高くできて、生産コストの低減と生産性向上をはかることができる。
しかも、細孔径4.5〜40μmのフィルターにてろ過するようにしているので、液中の濁り成分や沈殿物質などを一層確実に除去できると共に、生産性も高く維持できる。フィルターの細孔径4.5μm未満では、清澄化には好ましいものの、フィルターの対する加圧力が高くなり生産性が低下するので好ましくない。フィルターの細孔径40μmを越える場合は、液中の濁り成分や沈殿物質などを確実に除去し難くなるようになり好ましくない。フィルターの細孔径は、20μm以下であることがより一層好ましい。
水酸化カリウム溶液により行うようにしているので、pHを安定して高目に調整することが容易であり、安全衛生上も取り扱い易く都合がよい。のみならず、水酸化カリウムが添加量とpH調整の効果の関係と発泡による弊害などもない点で特に好ましい。
【0009】
その結果、凍結設備などを必要とすることなく、しかもコーヒー抽出液中の濁り成分を除去するろ過工程において長期間のろ過工程を要することなく、ろ過作業効率を高くできるコーヒー液の製造方法を提供できた。
【0010】
pHが7.09未満では、コーヒー抽出液中の濁り成分を低減することができず、ろ過工程においても、詰まりが早くなり、ろ過完了するのに長時間を要することになって好ましくない。pHが8.32を越える範囲では、かえってコーヒー抽出液中の濁り成分が残存し、ろ過工程で詰まり易くなって、長時間を要することになって好ましくない。
【0013】
前記コーヒー抽出液が熱水抽出して得られたものであると共に、前記水酸化カリウムを2.5〜3.75%添加してpH調整することが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。焙煎コーヒー豆から抽出されたコーヒー抽出液のpHは、通常、5〜6程度であるが、コーヒー抽出液に更に水酸化カリウム等のpH調整剤を添加して、7.09〜8.32に調整する。pH調整されたコーヒー抽出液を、その後、細孔径4.5〜40μmの内から適宜選択されたポリプロピレン製のフィルターを用いてろ過する。
【0016】
以下に、具体的実施例を基に、本実施形態を説明する。
【0017】
【実施例】
(実施例1)
240kgのコーヒー豆を粉砕してこれをコーヒー抽出機に投入し、得られた抽出液(100℃以下)を遠心分離機により遠心分離処理を行った。遠心分離機としては、ウエストファリア社製のMSD45−06−076を用い、回転数5400rpmにて、24000L/hの流量で処理した。この抽出液に、水酸化カリウムをコーヒー固形量に対して2.5%添加しpH調整した後、細孔径4.5μmのポリプロピレン製フィルター(日本ポール社製)を用いてろ過し、目詰まりによるフィルターへの圧力変化を経時的に測定した。ろ過前のpHは、7.09であった。
【0018】
(実施例2)
コーヒー抽出液に対して、水酸化カリウムをコーヒー固形量に対して3.75%添加し、pH調整を8.32した他は、実施例1と同様にして、フィルターへの圧力変化を経時的に測定した。
【0019】
(比較例1)
コーヒー抽出液に対して、pH調整を行わなかった他は、実施例1と同様にして、フィルターへの圧力変化を経時的に測定した。尚、pHは5.61であった。
【0020】
(比較例2)
コーヒー抽出液に対して、水酸化カリウムをコーヒー固形量に対して8.75%添加し、pH調整を9.76した他は、実施例1と同様にして、フィルターへの圧力変化を経時的に測定した。
【0021】
実施例1〜2、比較例1〜2の測定結果を表1に示す。又、ろ過圧力が2(kg/cm2)に達するまでの時間(分)を表2に示す。尚、フィルター通過前後および経過時間による液の濁り度合いを調べるため、波長720nmでの濁度(O.D値。吸光度)を(株)日立製作所製分光光度計(U−1500)により測定した。
【0022】
【表1】
【表2】
表1、2に示すように、比較例1〜2は60分以内にいずれもろ過圧力が2.0kg/cm2 に達してしまうのに対して、実施例1〜2は同じ圧力に達するのに長くかかり、それだけフィルター交換頻度を効果的に低減できて、生産コストを低くでき、かつ生産性を向上させることができる。特に、実施例2では90分経過してもろ過圧力は0.70kg/cm2 であり、フィルター交換頻度を顕著に低減できて、高い生産性を維持できることになる。又、濁度については、フィルターによるろ過効果が発揮されており、液中の濁り成分や沈殿物質などは確実に除去されて清澄化されていたことが分かる。特に、実施例1,2は、比較例1,2に調べて清澄化が進行しており、この点でも優れている。
【0024】
〔別実施の形態〕
(1)上記実施形態ではポリプロピレン製フィルターを使用した例を示したが、フィルターとしてはこれに限定されるものではなく、食品衛生上支障のない範囲で他の材質のフィルターを使用してもよい。
Claims (2)
- 焙煎コーヒー豆から抽出されたコーヒー抽出液のpHを、水酸化カリウム溶液により7.09〜8.32に調整した後、細孔径4.5〜40μmのフィルターにてろ過するコーヒー液の製造方法。
- 前記コーヒー抽出液が熱水抽出して得られたものであると共に、前記水酸化カリウムを2.5〜3.75%添加してpH調整する請求項1のコーヒー液の製造方法。
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