JP3748197B2 - 物品管理棚 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、物品に取り付けられたICカードと無線通信を行うリーダライタのアンテナ部が前記物品を収納するための棚に組み込まれた物品管理棚に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ICカードとリーダライタを用い、無線通信により物品の管理を行う物品管理システムは、ICカードとリーダライタとの間で非接触で物品に関する情報を送受することができ、バーコードによる管理に比して、物品の所在状況の管理等が極めて簡単に行い得ることから、最近、種々の物品管理に適用されつつある。
【0003】
本出願人は、既にこのような物品管理システムを図書館等に適用し、従来の貸出業務に加え、リアルタイムで書籍の位置情報を得、貸出状況の把握、書籍の所在状況の把握を行うことにより、図書の管理を行えるようにした物品管理システムを提案している。このような図書の管理においては、例えば以下に述べるような物品管理棚を用いることが考えられる。
【0004】
図6は一つの物品管理棚を示す斜視図である。物品管理棚10は、上下に平行に複数段(図示では3段)設けられた棚板1a,1b,1aにより3つの棚が構成されている。
各棚板1a,1b,1aにおいて、棚板1aの面内にはワンループアンテナ2Aを形成するループ線が埋設され、棚板1bの面内にはツーループアンテナ2Bを形成するループ線が埋設されている。
【0005】
ワンループアンテナ2Aは、棚板1aの外形状に沿った長方形状をなし、ツーループアンテナ2Bは、棚板1bの形状のほぼ半分の位置で折り返した形状を有する8の字形状をなしている。なお、これらループアンテナ2A,2Bは後述する同調回路と接続しており、この同調回路が同軸ケーブル20を介して、リーダライタ6に接続されている。
【0006】
図7には同調回路3の一例を示す。同調回路3はトランス3aとコンデンサ3bで基板上に構成され、ループ線2aと共振を取ってインピーダンス整合を図り、同軸ケーブル20に接続されている。また、同軸ケーブル20はコネクタ20aを介してリーダライタ6に接続されている。
【0007】
図8はワンループアンテナ2Aとツーループアンテナ2Bを上下に隣接させた場合の作用について説明するものである。図8(a)は上段棚板1bのツーループアンテナ2Bに通電した場合、8の字によって形成される二つのループ面よりそれぞれ生じる磁束φ1とφ2とは互いに逆向きとなる。従って、それに隣接するワンループアンテナ2Aと鎖交する全磁束は、互いに反対方向を向く磁束φ1とφ2とにより、互いに相殺されてほぼ0(理想的には0)となり、ワンループアンテナ2Aとツーループアンテナ2Bは互いに結合されないこととなる。即ち、8の字アンテナより発生する磁束はワンループアンテナ2Aには鎖交しない。
【0008】
次に図8(b)は下段の棚板1aのワンループアンテナ2Aに通電した場合、磁束φ0は図中の矢印のように発生する。なお、図8(c)は図8(b)のA方向矢視図である。ここで、上段のツーループアンテナ2Bでは誘起されるべき磁束φ1とφ2がほぼ同じであり、反対方向となるため誘動起電力が相殺される。即ち、下段のループアンテナとの相互誘導が無い状態となる。
【0009】
従って、図8の説明より、ワンループアンテナとツーループアンテナを互いに交互に上下棚板に設けるようにした場合、即ち、互いに隣接する各棚毎に異なる形状タイプのアンテナを交互に設けるようにした場合は、これらループアンテナ間の結合が回避されることが理解される。図8は上下で隣接するループアンテナ間で説明しているが、前後方向に複数の棚板を並べて複数の棚を構成する場合も、互いに隣接するループアンテナ(棚)毎に異なる形状タイプを用いることにより、互いに隣接しあったループアンテナ間では結合が生じないよう作用し合うことは明らかである。
【0010】
図9はICカードが取り付けられた書籍を示す斜視図であり、ICカード5はタグ状をなし、書籍4の背表紙4aの下部に貼付けられている。ICカード5は図10に示すように、ループ状をなすカードアンテナ5aとそれに接続されたICチップ5bとからなる。また書籍4の表紙下部には、その端部がICカード5の端部に近接するように共振カード7が貼付けられる。共振カード7はこのカードアンテナ5aと共振して書籍の載置方向が異なる場合、例えばICカードとループアンテナが直接通信し難いような場合にも、共振カードの共振とループアンテナにより通信を可能としている。
【0011】
図11は各棚板と書籍との配置関係を示したものであり、(a)は斜視図、(b)は側面図である。これらの図より明らかなように、ループアンテナ2Aや2Bのループコイルの垂直面内にICカード5のカードアンテナの面が位置するように書籍4の載置位置に対して各棚板1a、1bのループアンテナ2A,2Bが設けられている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように従来の技術においては、ワンループアンテナとツーループアンテナを互いに交互に上下棚板に設けるようにした場合、即ち、互いに隣接する各棚毎に異なる形状タイプのアンテナを交互に設けるようにした場合は、これらループアンテナ間の結合が回避され、これらの間での電磁誘導による誤作動が防止できることが理解される。
しかしながら、図6に示した管理棚の構造においては、最上段の棚板と最下段の棚板に配置されたワンループアンテナ2A,2Aが互いに同じ形状を有するため、これらの間で電磁誘導が生じて、誤動作が生じる恐れがあり、例えば、最上段の棚(棚板2)に配置された書籍のICカード5と通信を行った場合、最下段の棚に配置された書籍のICカード5とも通信が行われることとなる。これは例えば、下段の棚のループアンテナが動作すると、上段のループアンテナと結合してしまうことに起因する。従って、従来の技術においては、1つのICカード(1つの書籍)が最上段の棚に載置されている場合において、最下段の棚のループアンテナとも送受が行われる場合が生じ、従って、載置場所の誤認識が生じる等、信頼性の高い物品管理ができなくなるという問題がある。
【0013】
そこで、本発明は上述した問題点を解決するために成されたものであり、複数の棚に配置されたそれぞれのループアンテナ間で磁気結合が生じるのを防止でき、信頼性に優れた物品管理棚を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するため、本発明は、物品に取り付けられたICカードと無線通信を行うリーダライタのアンテナ部が前記物品を収納するための複数の棚のそれぞれに組み込まれた物品管理棚において、前記アンテナ部は隣接する棚で互いに磁束を相殺するよう異なる形状とされており、前記複数の棚の最上段もしくは最下段に棚板とほぼ同じ形状のワンループアンテナが配置され、前記ワンループアンテナが配置された棚に隣接した棚に棚板の形状のほぼ半分に折返した形状のツーループアンテナが配置され、前記ツーループアンテナが配置された棚に隣接した棚に棚板の形状のほぼ4分割した3ヶ所の折返し位置を有する形状のフォーループアンテナが配置されることを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明は、物品に取り付けられたICカードと無線通信を行うリーダライタのアンテナ部が前記物品を収納するための複数の棚のそれぞれに組み込まれた物品管理棚において、前記アンテナ部は隣接する棚で互いに磁束を相殺するよう異なる形状とされており、前記複数の棚の最上下段の棚板に、棚板の形状のほぼ4分割した3ヶ所の折返し位置を有する形状のフォーループアンテナが配置され、中央段の棚板に、棚板の形状とほぼ同じ形状のワンループアンテナが配置され、前記最上下段と中央段の間に位置する棚板に、棚板の形状のほぼ半分に折返した形状のツーループアンテナが配置されることを特徴とするものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図書管理に適用される物品(図書)管理棚に例をとって、図面を用いて説明する。
実施の形態1.
図1は一つの物品管理棚を示す斜視図である。
物品管理棚10Aは、上下に平行に複数段(図示では3段)設けられた棚板1a,1b,1cにより3つの棚が構成されている。
各棚板1a,1b,1cにおいて、棚板1aの面内にはワンループアンテナ2Aを形成するループ線が埋設され、棚板1bの面内にはツーループアンテナ2Bを形成するループ線が埋設され、棚板1cの面内にはフォーループアンテナ2Cを形成するループ線が埋設されている。
【0020】
ワンループアンテナ2Aは、棚板1aの外形状に沿った長方形状をなし、ツーループアンテナ2Bは、棚板1bの形状のほぼ半分の位置で折り返した形状を有する8の字形状をなし、フォーループアンテナ2Cは棚板1cのほぼ4分割した3ヶ所の位置で折り返した形状を有している。
なお、これらループアンテナ2A,2B,2Cは従来技術で説明した同調回路3と接続しており、この同調回路3が同軸ケーブル20を介して、図1に示されるリーダライタ6に接続されている。
【0021】
以上の構成において、各ループアンテナ2A,2B,2Cにおいて鎖交する磁束は、例えば、図2において、フォーループアンテナ2Cに(c)に示すように磁束Φ1,Φ2が発生した場合、これらは、ツーループアンテナ2Bに対しては(b)に示すように鎖交し、これら磁束は互いにうち消されて相殺され(Φ3=0)、ツーループアンテナ2Bにおいて誘導起電力が発生されることはなく、また、ワンループアンテナ2Aに対しては(c)に示すように鎖交し、やはりこれら磁束は互いにうち消されて相殺され(Φ4=0)、ワンループアンテナ2Aにおいて誘導起電力が発生されることはない。勿論、図2より明らかなように、ツーループアンテナ2Bとワンループアンテナ2Aとの関係においても、同じとなり、一方のループアンテナで発生した磁束が他方のループアンテナと鎖交する磁束の総数は零となり、やはり誘導起電力の発生が防止される。
【0022】
実施の形態2.
図3は実施の形態2における物品管理棚10Bを示したものであり、物品管理棚を5段とすると共に、最上下段の棚板11c、11cに、棚板の形状のほぼ4分割した3ヶ所の折返し位置を有する形状のループアンテナ(フォーループアンテナ)12C、12Cが配置され、中央段の棚板11aに、棚板の形状とほぼ同じ形状のループアンテナ(ワンループアンテナ)12Aが配置され、前記最上下段と中央段の間に位置する棚板11b、11bに、棚板の形状のほぼ半分に折り返した形状のループアンテナ(ツーループアンテナ)12B,12Bが配置されるようにしたものである。各ループアンテナはR/W6に接続されている。
【0023】
このような構成においては、ループ面積の大きなストレート形状のアンテナは一つであるので、磁界が遠くまで到達しても、他に同一形状のループアンテナが無いため、電磁誘導により誤動作が生じる恐れがなくなる。なお、ループアンテナ12Cとループアンテナ12Bの位置を上下反対にしても良いことは言うまでもない。
【0024】
図4は実施の形態2の作用について説明する図である。
図2の場合と同様、例えばフォーループアンテナで(a)のように磁束Φ1,Φ2が発生した場合、ツーループアンテナ、フォーループアンテナではそれぞれ(b)(c)(d)に示すように磁束が鎖交することとなり、互いに相殺され(Φ3=Φ4=Φ5=0)これらに誘導起電力が発生することはない。また、最下段のフォーループアンテナにおいては、Φ1,Φ2は0とはならないが、これら磁束は極めて少なくなり、誘導起電力は極めて小さくなり、誤動作が生じにくいものとすることができる。これは、磁束はループアンテナの一つのループ面積が大きいほど大きくなり、遠くまで届くこととなるが、実施の形態においては、最上下の間隔に比べてそのループ面積を極めて小さくできることに起因する。なお、ツーループアンテナとワンループアンテナの関係でも前述したように互いに誘導起電力の発生が防止されることは明らかである。
【0025】
実施の形態3.
図5は、実施の形態3を示したものであり、物品管理棚10Cを5段とすると共に、最上下段の棚板11a,11aに、棚板の形状とほぼ同じ形状のワンループアンテナ12A,12Aが配置され、中央段の棚板11cに、棚板の形状のほぼ4分割した3ヶ所の折返し位置を有する形状のフォーループアンテナ12Cが配置され、前記最上下段と中央段の間に位置する棚板11b、11bに、棚板の形状のほぼ半分に折り返した形状のツーループアンテナ12B、12Bが配置されるようにしたものである。なお、これらループアンテナ間で互いに磁束が相殺され、誘導起電力の発生が防止されることは、実施の形態2で説明したと同様であり、ここでの説明を省略する。
【0026】
このような実施の形態においても、ループ面積の大きなストレート形状のループアンテナが互いに最も遠く離れた位置に配置されるため、磁束の鎖交により電磁誘導が生じる恐れが極めて少なくなり、誤動作を防止でき信頼性を高めることができる。
【0027】
【発明の効果】
以上に詳述したように、本発明は、物品に取り付けられたICカードと無線通信を行うリーダライタのアンテナ部が前記物品を収納するための複数の棚のそれぞれに組み込まれた物品管理棚において、前記アンテナ部は隣接する棚で互いに磁束を相殺するよう異なる形状とされているようにしたため、複数の棚に配置されたそれぞれのループアンテナ間で電磁結合が生じるのを防止でき、信頼性、機能性に優れた物品管理棚を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1における物品管理棚を示す斜視図である。
【図2】実施の形態1の動作を示す図である。
【図3】実施の形態2における物品管理棚を示す斜視図である。
【図4】実施の形態2の動作を示す図である。
【図5】実施の形態3における物品管理棚を示す斜視図である。
【図6】従来の物品管理棚を示す斜視図である。
【図7】同調回路を示す回路図である。
【図8】第1、第2ループアンテナを隣接した場合の作用を示す図である。
【図9】書籍にICカードを貼着した状態を示す斜視図である。
【図10】ICカードを示す簡略構成図である。
【図11】ループアンテナと書籍の配置関係を示す図である。
【符号の説明】
1a,1b,1c,11a,11b,11c 棚板、2A,12A ワンループアンテナ、2B,12B ツーループアンテナ、2C,12C フォーループアンテナ、4 書籍、5 ICカード、6 リーダライタ、10A,10B,10C 物品管理棚。
Claims (2)
- 物品に取り付けられたICカードと無線通信を行うリーダライタのアンテナ部が前記物品を収納するための複数の棚のそれぞれに組み込まれた物品管理棚において、前記アンテナ部は隣接する棚で互いに磁束を相殺するよう異なる形状とされており、前記複数の棚の最上段もしくは最下段に棚板とほぼ同じ形状のワンループアンテナが配置され、前記ワンループアンテナが配置された棚に隣接した棚に棚板の形状のほぼ半分に折返した形状のツーループアンテナが配置され、前記ツーループアンテナが配置された棚に隣接した棚に棚板の形状のほぼ4分割した3ヶ所の折返し位置を有する形状のフォーループアンテナが配置されることを特徴とする物品管理棚。
- 物品に取り付けられたICカードと無線通信を行うリーダライタのアンテナ部が前記物品を収納するための複数の棚のそれぞれに組み込まれた物品管理棚において、前記アンテナ部は隣接する棚で互いに磁束を相殺するよう異なる形状とされており、前記複数の棚の最上下段の棚板に、棚板の形状のほぼ4分割した3ヶ所の折返し位置を有する形状のフォーループアンテナが配置され、中央段の棚板に、棚板の形状とほぼ同じ形状のワンループアンテナが配置され、前記最上下段と中央段の間に位置する棚板に、棚板の形状のほぼ半分に折返した形状のツーループアンテナが配置されることを特徴とする物品管理棚。
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