JP3748016B2 - 基板処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハや液晶表示器用のガラス基板などの基板をキャリアに収納した状態で、洗浄液や薬液などの処理液を使って基板に所要の処理を施す基板処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体製造工程などでは、半導体ウエハなどの基板をキャリアに収納した状態で薬液処理を施した後、基板を収納したキャリアのまま洗浄槽に浸漬したり、あるいは基板を収納したキャリアに洗浄液のシャワーを供給して洗浄処理を行っている。このような洗浄処理では、基板とキャリア内面との接触部分に洗浄液が行き渡りにくいので、前記接触部分を十分に洗浄しようとすると、洗浄処理時間が長くなったり、洗浄液の使用量が多くなるという問題がある。
【0003】
このような問題を解決するために、特開昭51−51162号や特公昭55−29579号に開示された装置では、キャリアの底に開口を設けておくとともに、このキャリアの開口を通してキャリア内の基板を受け持ち支持する支持具を洗浄槽に設けている。基板を収納したキャリアがその洗浄槽の底部にまで沈められると、洗浄槽内の支持具がキャリア内の基板を受け持ち支持し、基板とキャリアとの間に隙間が生じる。この隙間に洗浄液が流入して基板とキャリアとの接触部分を洗浄するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した特開昭51−51162号や特公昭55−29579号の装置によっても次のような問題が生じる。
すなわち、洗浄槽に浸漬されたキャリアは洗浄槽の底部に接触した状態で継続支持されるので、キャリアと洗浄槽の底部との接触部分に洗浄液が行き渡りにくくなる。そのため、基板の洗浄効果は高められても、キャリアの洗浄(すなわち、キャリアに付着している薬液を洗浄液で置換すること)が不十分になる。洗浄後の基板は、それを収納するキャリアとともに、次の工程に移行して所要の処理を受けるので、キャリアに薬液が残留付着していると次工程で基板を汚染する原因になる。また、一般にキャリアは基板を定ピッチで並べる溝などが形成された入り組んだ構造をしているので、キャリアの全体に洗浄液を過不足なく行き渡らせるのは困難である。
【0005】
同様の問題は基板の洗浄処理に限らず、基板をキャリアに収納した状態で複数の薬液槽に順に浸漬して処理するような薬液処理の場合にも生じる。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、基板をキャリアに収納した状態で、処理液を使って基板に所要の処理を施す装置において、基板とキャリアとの接触部分だけでなく、キャリア全体にも処理液を十分に行き渡らせて置換効率を高めることができる基板処理装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、基板をキャリアに収納した状態で、処理槽内で処理液を使って基板に所要の処理を施す基板処理装置において、処理槽内に入れられたキャリア内の基板がキャリア内面から離れるように、処理槽内で基板を受け持ち支持する固定ガイドと、前記処理槽内に入れられたキャリアの特定箇所を受け持ち支持する固定支持機構と、前記処理槽内に入れられたキャリアの前記特定箇所とは別の箇所を受け持ち支持する昇降可能な可動支持機構と、を備えており、前記可動支持機構は、その上昇移動過程で前記固定支持機構からキャリアを受け取り、その下降移動過程で前記固定支持機構にキャリアを受け渡すことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の基板処理装置において、前記可動支持機構に支持されたキャリアの上昇移動過程で基板は前記固定ガイドからキャリアへ受け渡され、前記可動支持機構に支持されたキャリアの下降移動過程で基板はキャリアから前記固定ガイドへ受け渡されることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の基板処理装置において、前記処理槽内に入れられたキャリアが前記固定支持機構に受け持ち支持された際に、前記固定ガイドは、前記処理槽内に入れられたキャリア内の基板がキャリア内面から離れるように、基板を受け持ち支持することを特徴とする。さらに請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の基板処理装置において、前記固定支持機構は、開口を有するベース部材を備え、前記固定ガイドは、前記開口を跨ぐように前記ベース部材の上面に対向配置された一対の板状部材を備え、前記可動支持機構は、前記開口を介して上昇移動することにより前記固定支持機構からキャリアを受け取ることを特徴とする。
【0010】
【作用】
本発明の作用は次のとおりである。
請求項1に記載の発明によれば、基板を収納したキャリアが処理槽内に入れられると、固定ガイドがキャリア内の基板をキャリアの内面から離れるように受け持ち支持するので、基板とキャリアとの間に処理液が十分に行き渡る。また、固定支持機構と可動支持機構は、キャリアの異なる箇所を持ち変え支持しながら、キャリアを処理槽内で昇降させるので、キャリアの特定箇所がキャリア支持機構に接触し続けることがなく、キャリア全体にも処理液が十分に行き渡る。具体的には、固定支持機構がキャリアを受け持ち支持した状態で可動支持機構が上昇すると、その上昇過程で可動支持機構が固定支持機構からキャリアを受け取ることにより、キャリアと固定支持機構との間が離間して、この部分に処理液が行き渡る。また、可動支持機構が下降すると、可動支持機構から固定支持機構へキャリアが受け渡されることにより、キャリアと可動支持機構との間が離間して、この部分に処理液が行き渡る。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、可動支持機構がキャリアを上昇させている過程で、基板は固定ガイドからキャリアへ受け渡され、固定ガイドと基板とが接触し続けることがない。したがって、基板と固定ガイドとが接触する部分にも処理液が十分に行き渡る。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、処理槽内に入れられたキャリアが固定支持機構に受け持ち支持された際に、固定ガイドは、処理槽内に入れられたキャリア内の基板がキャリア内面から離れるように、基板を受け持ち支持するので、基板とキャリアとの間に処理液が十分に行き渡る。また、請求項4に記載の発明によれば、固定支持機構は、開口を有するベース部材を備え、固定ガイドは、開口を跨ぐようにベース部材の上面に対向配置された一対の板状部材を備え、可動支持機構は、開口を介して上昇移動することにより固定支持機構からキャリアを受け取るので、基板と固定ガイドとが接触する部分にも処理液が十分に行き渡るとともに、キャリアと可動支持機構との間にも処理液が行き渡る。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の一実施例を説明する。
図1は本発明に係る基板処理装置の概略構成を示した破断正面図、図2はその破断側面図、図3は要部の斜視図である。
【0014】
本実施例に係る基板処理装置は、半導体ウエハなどの基板Wを収納したキャリアCに洗浄液(例えば、純水)を供給してキャリアCとともに基板Wを洗浄する装置である。本装置は、基板Wを収納したキャリアCが入れられる内側の処理槽1と、この処理槽1からオーバーフローした洗浄液を回収するための外槽2とを備えている。処理槽1および外槽2には、それぞれの槽内の洗浄液を排出するための排液管1a,2aが設けられている。処理槽1の底部には槽内に洗浄液を供給するための洗浄液供給管3が配設されているとともに、その上部には槽内の基板WおよびキャリアCに向けて洗浄液を噴射するための複数個のシャワーノズル4が上下2段にわたって配設されている。
【0015】
例えば、待機状態において処理槽1は洗浄液で満たされてオーバーフローしている。この処理槽1に、前工程で薬液処理された基板WがキャリアCに収納された状態で入れられる。続いて処理槽1内の洗浄液が排液管1aを介して急速排水される。このときシャワーノズル4から洗浄液が噴射されて、基板Wの乾燥を防止するとともに、洗浄液の噴射力によって基板Wの洗浄効果が高められる。処理槽1内の処理液が排出されると、洗浄液供給管3およびシャワーノズル4から処理槽1内へ再び給水して基板Wの洗浄を行う。以上のような過程が所要回数繰り返されて、キャリアCとともに基板Wが洗浄される。
【0016】
次に、処理槽1内に設けられた本実施例の要部構成について説明する。
本装置は、処理槽1内に入れられたキャリアC内の基板WがキャリアCの内面から離れるように、処理槽1内で基板Wを受け持ち支持する固定ガイド5と、処理槽1内に入れられたキャリアCの異なる箇所を交互に受け持ち支持しながら、キャリアCを処理槽1内で昇降させるキャリア支持機構6とを備えている。
【0017】
具体的にはキャリア支持機構6は次のように構成されている。
処理槽1の底面に、中央部が矩形状にくり抜かれたベース板7が支柱8を介し取付け支持されている。このベース板7の上面の4箇所にガイトピン9が設けられている。一方、キャリアCの一対の脚部Caには、その底面両端部にガイド孔Cbが開けられており、キャリアCがベース板7に載置されたときに、ガイトピン9がガイド孔Cbに嵌合して、キャリアCを位置決め案内するようになっている。さらに処理槽1の底面には、防水構造の一対のエアーシリンダ10が配設されており、これらのエアーシリンダ10の各ロッドに、キャリアCの脚部Caの中央部を受け持ち支持する支持ブロック11がそれぞれ取付けられている。支持ブロック11は、上向きに開口した断面「コ」の字形状であって、その上端部は長手方向に鉤状に切り欠かれて、キャリアCの短手方向の動きを規制するようになっている。なお、キャリアCの脚部両端部を支える上述したベース板7およびガイトピン9は、本発明における固定支持機構に相当する。また、キャリアCの脚部中央部を支えてキャリアCを昇降させるエアーシリンダ10および支持ブロック11は、本発明における可動支持機構に相当する。
【0018】
固定ガイド5は、ベース板7の開口7aを長手方向に跨ぐようにベース板7の上面に対向配置された一対の板状部材から構成されている。この固定ガイド5の上端には、キャリアC内に定ピッチで収納された基板Wを下からそれぞれ受け持ち支持する複数個の溝5aが形成されている。
【0019】
次に上述した構成を備えた実施例装置の動作を図4を参照して説明する。
前工程で薬液処理を受けた基板WがキャリアCに収納された状態(図4(a)参照)で、図示しない搬送ロボットなどによって処理槽1に搬入される。処理槽1内に入れられたキャリアCは処理槽1内を下降して、その脚部底面のガイド孔Cbがベース板7のガイトピン9に嵌合するようにベース板7上に置かれる。キャリアCの下降移動の過程で、ベース板7に立設された固定ガイド5がキャリアCの底部開口に嵌入することにより、キャリアC内の基板Wが固定ガイド5に受け渡され、各基板Wは固定ガイド5の溝5aによって案内支持される。その結果、図4(b)に示すように、基板WがキャリアCの内面から離れて、基板Wの周縁とキャリアCの内面との間に間隙G0ができる。この間隙G0に洗浄液が行き渡るので、基板Wの周縁部に薬液が残留することなく基板Wが効果的に洗浄処理される。
【0020】
同じく図4(b)に示すように、キャリアCがベース板7に置かれた状態において、ベース板7に支持されているキャリアCの脚部両端以外の箇所(脚部中央部)は、支持ブロック11との間に間隙G1が介在している。この間隙G1の部分に洗浄液が行き渡ることにより、キャリアCの脚部中央に薬液が残留することなくキャリアCが洗浄処理される。
【0021】
キャリアCがベース板7に置かれた後、一対のエアーシリンダ10が同期して駆動されることにより、一対の支持ブロック11が同時に上昇移動する。支持ブロック11の上昇過程で、キャリアCがベース板7から支持ブロック11に受け渡されて、キャリアCの脚部中央部が支持ブロック11によって支持される。キャリアCが支持ブロック11とともに上昇することにより、キャリアCの脚部両端部とベース板7との間に間隙G2ができる。この間隙G2の部分に洗浄液が行き渡ることにより、キャリアCの脚部底面の中央部分に薬液が残留することなくキャリアCが洗浄処理される。
【0022】
キャリアCが支持ブロック11ととにもさらに上昇すると、図4(C)に示すように、固定ガイド5に受け持ち支持されていた基板WがキャリアCに受け渡されることにより、固定ガイド5と基板Wとの間に間隙G3ができる。この間隙G3の部分にも洗浄液が行き渡ることにより、基板Wと固定ガイド5との接触部分の洗浄効果が高められる。
【0023】
支持ブロック11が上限位置に達すると、一対のエアーシリンダ10が同期して収縮作動することにより、支持ブロック11が下降する。その結果、上述した支持ブロック11の上昇過程とは逆の順序で、まず、キャリアC内の基板Wが固定ガイド5に受け渡され、続いてキャリアCがベース板7に受け渡された後、支持ブロック11が下限位置に戻る。
【0024】
基板Wの洗浄処理の間、以上のようなキャリアCの昇降動を適宜の回数繰り返し行うことにより、基板Wの周縁部の特定箇所がキャリアCの内面や固定ガイド5に接触し続けることが回避されるので、基板Wの全体を良好に洗浄することができる。また、キャリアCもベース板7と支持ブロック11によって、脚部底面の両端部と中央部とが交互に受け持ち支持されるので、キャリアCの脚部底面の特定箇所がベース板7や支持ブロック11に接触し続けることがなく、キャリアCの全体を良好に洗浄することができる。しかも、キャリアCは洗浄処理中に昇降動するので、キャリアCの内面の多数の溝など、入り組んだところにも洗浄液が隈なくに行き渡り、キャリアCの洗浄効果を一層高めることができる。
【0025】
本発明は上述した実施例に限らず、次のように変形実施することもできる。
(1)上述した実施例では、基板Wと固定ガイド5との間に間隙G3ができる程度にまでキャリアCの昇降ストロークを長めに設定したが、基板Wと固定ガイド5との間は必ずしも離間させる必要はない。固定ガイド5はキャリアCとは異なり、通常は基板Wに対する接触部分が極めて小さく、また固定ガイド5自体の構造も入り組んでいないので、基板Wとの接触部分に薬液が行き渡りやすいからである。
【0026】
(削除)
【0027】
(2)実施例では、複数枚の基板WをキャリアCに収納して処理するように構成したが、本発明は一枚の基板をキャリアに収納して処理する場合にも適用することができる。
【0028】
(3)実施例では、シャワーノズルを備えた洗浄処理装置を例に採ったが、本発明はこのようなシャワーノズルを備えていない通常の浸漬式の洗浄処理装置にも適用することができる。
【0029】
(4)本発明は上述したような洗浄処理に限らず、前工程で薬液処理された基板WをキャリアCに収納した状態で、別の薬液で処理するような基板処理装置にも適用することができる。
【0030】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば次の効果を奏する。
請求項1に記載の発明によれば、基板がキャリア内面から離れるように固定ガイドが基板を受け持ち支持するとともに、固定支持機構と可動支持機構とによってキャリアの異なる箇所を持ち変え支持しながら可動支持機構がキャリアを昇降させるので、基板とキャリアとの接触部分だけでなく、キャリアの全体にも処理液が行き渡り、基板やキャリアに付着していた薬液を残留させることなく処理液で置換することができる。また、処理槽内でキャリアを昇降移動させているので、入り組んだ構造のキャリアであっても、処理液の置換効率を高めることができる。
【0031】
請求項2に記載の発明によれば、可動支持機構がキャリアを上昇させている過程で、固定ガイドからキャリアへ基板が受け渡されて、基板が固定ガイドから離れるので、基板と固定ガイドとの間にも処理液を十分に行き渡らせることができる。
【0032】
請求項3に記載の発明によれば、基板とキャリアとの間に処理液を十分に行き渡らせることができ、また、請求項4に記載の発明によれば、基板と固定ガイドとが接触する部分 にも処理液が十分に行き渡らせることができるとともに、キャリアと可動支持機構との間にも処理液を行き渡らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る基板処理装置の一実施例の破断正面図である。
【図2】 実施例装置の破断側面図である。
【図3】 実施例装置の要部構成を示すの斜視図である。
【図4】 実施例装置の動作説明に供する図である。
【符号の説明】
1…処理槽
3…洗浄液供給管
4…シャワーノズル
5…固定ガイド
6…キャリア支持機構
7…ベース板
9…ガイトピン
10…エアーシリンダ
11…支持ブロック
W…基板
C…キャリア
Claims (4)
- 基板をキャリアに収納した状態で、処理槽内で処理液を使って基板に所要の処理を施す基板処理装置において、
処理槽内に入れられたキャリア内の基板がキャリア内面から離れるように、処理槽内で基板を受け持ち支持する固定ガイドと、
前記処理槽内に入れられたキャリアの特定箇所を受け持ち支持する固定支持機構と、
前記処理槽内に入れられたキャリアの前記特定箇所とは別の箇所を受け持ち支持する昇降可能な可動支持機構と、を備えており、
前記可動支持機構は、その上昇移動過程で前記固定支持機構からキャリアを受け取り、その下降移動過程で前記固定支持機構にキャリアを受け渡すことを特徴とする基板処理装置。 - 請求項1に記載の基板処理装置において、
前記可動支持機構に支持されたキャリアの上昇移動過程で基板は前記固定ガイドからキャリアへ受け渡され、前記可動支持機構に支持されたキャリアの下降移動過程で基板はキャリアから前記固定ガイドへ受け渡されることを特徴とする基板処理装置。 - 請求項1または2に記載の基板処理装置において、
前記処理槽内に入れられたキャリアが前記固定支持機構に受け持ち支持された際に、前記固定ガイドは、前記処理槽内に入れられたキャリア内の基板がキャリア内面から離れるように、基板を受け持ち支持することを特徴とする基板処理装置。 - 請求項1ないし3のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記固定支持機構は、開口を有するベース部材を備え、
前記固定ガイドは、前記開口を跨ぐように前記ベース部材の上面に対向配置された一対の板状部材を備え、
前記可動支持機構は、前記開口を介して上昇移動することにより前記固定支持機構からキャリアを受け取ることを特徴とする基板処理装置。
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