JP3600746B2 - 基板処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、純水や各種薬液等の処理液による浸漬洗浄処理が終了した複数の半導体基板、液晶表示装置用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板等(以下、単に「基板」と称する)を有機溶剤の蒸気を含む雰囲気中に移動させることによって乾燥処理を行う基板処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、上記基板の製造工程においては、フッ酸等の薬液による処理および純水による洗浄処理を順次行った後、純水から基板を引き出しつつイソプロピルアルコール(以下、「IPA」と称する)等の有機溶剤の蒸気を基板の周辺に供給して乾燥処理を行う基板処理装置が用いられている。
【0003】
一般に、このような基板処理装置は、外槽内に浸漬処理を行う処理槽とIPAを供給する供給ノズルとを配置して構成されている。処理槽内にて純水による最終の仕上げ洗浄処理が終了すると、供給ノズルからIPAが外槽内に供給され処理槽の上方にIPAの蒸気を含む雰囲気が形成される。そして、処理槽から基板を引き揚げると、基板の主面にIPAの蒸気が凝縮し、基板主面に付着した水滴がIPAによって置換される。その後、外槽内を減圧状態とすることによって基板が乾燥されるのである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような基板処理装置においては、複数の基板を1つの基板群として同時に処理することが多い。すなわち、所定間隔にて互いに平行に配列された複数の基板を一括して装置内に搬入し、処理槽内にて浸漬処理を施すとともに、処理槽から引き揚げて乾燥処理を行うのである。
【0005】
複数の基板を一括して処理する装置では、基板間における処理の均一性が当然に要求される。従って、乾燥処理の工程においても、一括して処理される複数の基板間の乾燥処理の態様が一様であることが必要であり、このためには複数の基板のそれぞれに接触するIPA蒸気の濃度が一定であることが重要である。
【0006】
しかしながら、複数の基板を処理する場合には、処理効率を向上させるべく、一括して処理する基板の枚数を増加させることがある。この場合、その増加の程度に応じて基板配列のピッチ(隣接する基板間の間隔)が狭くなる。そして、基板配列のピッチが狭くなると、基板間にIPAの蒸気が入り込みにくくなり、各基板表面におけるIPA蒸気の濃度の均一性が損なわれることとなる。その結果、基板間において乾燥処理にばらつきが生じ、乾燥ムラなどの問題が発生する。本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、複数の基板のそれぞれを均一に乾燥することができる基板処理装置を提供することを目的とする。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、複数の基板のそれぞれを均一に乾燥することができる基板処理装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、処理液による浸漬洗浄処理が終了した複数の基板を有機溶剤の蒸気を含む雰囲気中に移動させることによって前記複数の基板の乾燥処理を行う基板処理装置であって、(a)処理液を貯留し、複数の基板の前記浸漬洗浄処理を行う処理槽と、(b)前記処理槽を収容する外槽と、(c)前記処理槽の底部に設けられ、前記処理槽内に処理液を供給する処理液供給手段と、(d)前記外槽内に前記有機溶剤の蒸気を含む雰囲気を形成する有機溶剤雰囲気形成手段と、(e)前記浸漬洗浄処理が終了した前記複数の基板を前記処理槽から前記有機溶剤の蒸気を含む雰囲気中に引き揚げる引き揚げ手段とを備え、前記処理槽にて、少なくとも前記引き揚げ手段によって保持される前記複数の基板の主面を含む平面と交わる側壁に、複数の排液口を設け、前記複数の排液口は、処理液がオーバーフロする前記側壁の上端の近くに、前記引き揚げ手段によって保持される前記複数の基板の保持間隔と同じピッチに並べて、配置されているものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0010】
図1は本発明に係る基板処理装置の正面図であり、図2および図3はそれぞれ基板処理装置の平面図および側面図である。なお、図1および以下の各図には、それらの方向関係を明確にするため、XYZ直交座標系を適宜付している。
【0011】
本発明に係る基板処理装置は、外槽10と、処理槽15と、吐出ノズル20と、昇降機構40と、IPA・N2供給ノズル50とを備えている。
【0012】
処理槽15は、フッ酸等の薬液または純水(以下、これらを総称して「処理液」とする)を貯留して基板に順次表面処理を行う槽であり、外槽10の内部に収容されている。処理槽15には、処理液供給源25から吐出ノズル20を介して処理液を供給することができる。
【0013】
吐出ノズル20は、処理槽15の底部両側のそれぞれに設けられ、処理槽15内に処理液を供給するノズルである。吐出ノズル20は、処理槽15の長手方向(X方向)に沿って延びる円筒状のノズルであり、複数の円形の吐出孔20aを備えている。
【0014】
吐出ノズル20は外槽10外部の処理液供給源25に接続されており、処理液供給源25から供給された処理液は、吐出ノズル20の吐出孔20aから処理槽15内に吐出される。ここで、吐出孔20aは処理槽15中央底部に向けて設けられており、両側の吐出ノズル20から吐出された処理液は処理槽15の底壁と平行に流れ、やがて処理槽15底部中央にて衝突し、その後処理槽15の中央部近傍に上方に向けた処理液の流れ(層流)を形成することとなる。なお、吐出ノズル20から供給された処理液は処理槽15の上部から順次溢れ出るようにされており、このときの様子については後述する。また、複数の円形の吐出孔20aに代えて、1つのスリット状の吐出孔を設けるようにしてもよい。
【0015】
昇降機構40は、処理槽15に貯留されている処理液に複数の基板Wを浸漬させる機構である。昇降機構40は、リフター41と、リフターアーム42と、基板Wを保持する3本の保持部43、44、45とを備えている。3本の保持部43、44、45のそれぞれには基板Wの外縁部がはまり込んで基板Wを起立姿勢にて保持する複数の保持溝が所定間隔にてX方向に配列して設けられている。それぞれの保持溝は、Y方向に沿って形成された切欠状の溝である。3本の保持部43、44、45はリフターアーム42に固設され、リフターアーム42はリフター41によって鉛直方向(Z方向)に昇降可能に設けられている。
【0016】
このような構成により、昇降機構40は3本の保持部43、44、45によってX方向に相互に平行に配列されて保持された複数の基板Wを処理槽15に貯留されている処理液に浸漬する位置(図1の実線位置)とその処理液から引き揚げた位置(図1の2点鎖線位置)との間で昇降させることができる。なお、リフター41には、リフターアーム42を昇降させる機構として、ボールネジを用いた送りネジ機構やプーリとベルトを用いたベルト機構など種々の機構を採用することが可能である。また、昇降機構40が図1の2点鎖線位置において、装置外部の基板搬送ロボットと基板Wの受け渡しが行えるように、外槽10の上部にはスライド式開閉機構(図示省略)が設けられている。
【0017】
IPA・N2供給ノズル50は、外槽10内の2つの側壁10aの外側にそれぞれ設けられており、外槽10内にIPAの蒸気を含む雰囲気を形成するノズルである。IPA・N2供給ノズル50のそれぞれは、X方向に沿って伸びる中空の管状部材であり、X方向に等間隔にて配列された複数の吐出孔50aを備えている。また、IPA・N2供給ノズル50のそれぞれには、外槽10の外部に設けられたIPA供給源55から配管56を経由してIPA蒸気が供給される。そして、供給されたIPA蒸気は、複数の吐出孔50aから上方(+Z方向)へ向けて外槽10内に供給されるのである。図1に示すように、外槽10内において、側壁10aの上方は開放されており、IPA・N2供給ノズル50のそれぞれから供給されたIPA蒸気は側壁10aの上方を通過して、処理槽15の上方に至り、やがて処理槽15の上方にIPAの雰囲気を形成するのである。
【0018】
また、IPA・N2供給ノズル50は、窒素供給源59とも接続されており、窒素ガスのみを外槽10内に供給することおよびIPAと窒素との混合ガスを外槽10内に供給することができる。従って、IPA・N2供給ノズル50により、外槽10内には、IPA雰囲気、窒素雰囲気、またはIPA・窒素混合雰囲気を選択的に形成することができる。なお、「IPAの蒸気を含む雰囲気」とは、IPA雰囲気およびIPA・窒素混合雰囲気の双方を含むものである。
【0019】
本発明に係る基板処理装置において、処理槽15にて、昇降機構40によって保持されて処理槽15内で浸漬処理される基板Wの主面と直角な、X方向に延在する側壁(以下、基板主面直交側壁と称する)15aには、複数の排液口31が設けられている(図3参照)。
【0020】
本発明に係る基板処理装置における処理槽15の基板主面直交側壁15aに設けられた前記排液口31は、昇降機構40によって保持される基板Wの保持間隔と同じピッチに並べて複数配置されている。
【0021】
また、本発明に係る基板処理装置における処理槽15の基板主面直交側壁15aに設けられた前記排液口31は、基板主面直交側壁15aにて処理液がオーバフロする上端30aの近くに設けられ、少なくとも昇降機構40によって保持されて処理槽15内で浸漬処理される基板の上端縁より高い位置に設けられる。
【0022】
また、本実施形態の基板処理装置においては、処理槽15の基板主面直交側壁15aに設けられた前記排液口31は、基板主面直交側壁15aの上端30aにおける次の位置の下方に配置する。すなわち、基板主面直交側壁15aの上端30aにて、昇降機構40によって保持されて処理槽15内で浸漬処理される基板の主面を含む平面が基板主面直交側壁15aの上端30aと交わる位置の両側位置の下方に配置する。
【0023】
また、本実施形態の基板処理装置においては、処理槽15は、前記基板主面直交側壁15aと、基板Wの主面と平行な、Y方向に延在する側壁(以下、基板主面平行側壁と称する)15bおよび、底壁15cとで構成されるが、基板主面平行側壁15bにも排液口31が複数設けられている(図1参照)。基板主面平行側壁15bに設けられた前記排液口31は、基板主面直交側壁15aに設けられた排液口31と、同じピッチで並び、基板主面平行側壁15bの上端30bから同じだけ下方の位置、すなわち、基板主面直交側壁15aに設けられた排液口31と同じ高さに位置する。
【0024】
本実施形態の基板処理装置においては、処理槽15の基板主面直交側壁15に開口の排液口31および、基板主面平行側壁15bに開口の排液口31は、各々、開口形状が円形で、基板主面直交側壁15や基板主面平行側壁15bの壁面に対し垂直に貫通するように開口形成されており、その内部は処理槽15の内から外に向かって開口面積が次第に小さくなるように、先細りテーパ状に開口している。
【0025】
上述のように、吐出ノズル20から供給された処理液は処理槽15の上部から順次溢れ出る。このときに、処理槽15の側壁の形成された排液口31からも処理液が流れ出る。なお、処理槽15から流れ出た処理液は、回収された後、装置外部に排出されたり、浄化されて循環使用される。
【0026】
本実施形態においては、吐出ノズル20が純水供給手段に相当し、IPA・N2供給ノズル50が有機溶剤雰囲気形成手段に相当し、昇降機構40が引き揚げ手段に相当する。
【0027】
次に、上記の基板処理装置における処理の手順について図4から図7を参照しつつ説明する。図4から図7は、基板処理装置における処理の様子を説明する図である。
【0028】
上記基板処理装置において基板Wに処理を行うときは、まず、昇降機構40が図外の基板搬送ロボットから複数の基板Wを受け取る。そして、図4に示すように、外槽10が密閉されるとともに、昇降機構40がX方向に平行配列させて保持したそれら基板Wを降下させて処理槽15に貯留された純水中に浸漬させる。この段階においては、吐出ノズル20から処理槽15に純水が供給され続けており、処理槽15の上端30a,30bからは純水が溢れ出し続けている。また、排液口31からも純水が流れ出している。処理槽15から溢れ出した純水は外槽10に落下して回収され、装置外の廃液ラインに排出される。また、IPA・N2供給ノズル50からは窒素ガスが供給され、外槽10内は窒素雰囲気とされている。
【0029】
次に、処理槽15に貯留された純水に複数の基板Wを浸漬した状態を維持しつつ、吐出ノズル20から処理槽15に薬液または純水を順次供給することによりエッチングや洗浄処理を予め定められた順序に従って進行させる(図5の状態)。この段階においては、処理槽15の上端30a,30bから薬液または純水が溢れ出し続けており、溢れ出した処理液は外槽10に落下して回収される。なお、IPA・N2供給ノズル50からは窒素ガスが供給され、外槽10内は窒素雰囲気とされていることは上記と同様である。
【0030】
基板Wに対する表面処理が進行すると、やがて最終の仕上洗浄処理に至る。本実施形態では、仕上洗浄処理も通常の洗浄処理と同じく、吐出ノズル20からの処理液供給を純水に切り替え、処理槽15内を純水に置換することによって行われる。そして、図6に示すように、処理槽15内における浸漬処理を終了して昇降機構40が基板Wを純水から引き上げる前に、IPA・N2供給ノズル50からIPA蒸気が所定時間供給され、外槽10内にIPAの蒸気を含む雰囲気が形成される。このときには、処理槽15の上方にもIPAの蒸気を含む雰囲気が形成される。なお、IPA・N2供給ノズル50からはIPAと窒素との混合ガスを供給するようにしてもよい。
【0031】
処理槽15の上方にIPAの蒸気を含む雰囲気が形成された後、図7に示すように、昇降機構40が複数の基板Wを処理槽15内の純水から引き揚げ、IPAの蒸気を含む雰囲気まで移動させる。そして、基板Wの表面はIPAの蒸気を含む雰囲気中に曝されることとなり、基板Wの表面にはIPA蒸気が凝縮し、当該表面に付着していた水滴と置換する。
【0032】
その後、基板Wが図1中の2点鎖線位置にまで到達した時点で、基板Wの引き揚げが完了する。この時点においては、IPA・N2供給ノズル50から窒素ガスを所定時間供給して外槽10内の雰囲気を窒素雰囲気とする。また、吐出ノズル20からの純水供給が停止されるとともに、処理槽15内に貯留されていた純水は、図示を省略する急速排出機構によって急速排水される。その後、外槽10内を減圧雰囲気とすることにより、基板Wの表面に凝縮していたIPAが完全に乾燥する。減圧乾燥処理後の基板Wは基板搬送ロボットに渡されて一連の処理が終了する。なお、基板Wを引き揚げた時点で、その基板Wの清浄度が十分でない場合は、処理槽15内に再び純水を貯留し、図4から図7にて説明した工程(但し、薬液供給による薬液処理を除く)を繰り返すことも可能である。
【0033】
以上において、基板Wの少なくとも一部が処理液中に浸漬されているときには、吐出ノズル20から薬液または純水が処理槽15内に供給され続けている。そして、処理槽15の上端30a,39bからは処理液が溢れ出し続けているのである。図8は処理槽から処理液が流れ出る様子を示す側面図であり、図9はその平面図である。また、図10は、処理槽内の処理液の流れおよび処理槽上方の気流の流れの様子を示す図である。
【0034】
処理槽15の内部において、処理液は基板Wと基板Wの間を通過した処理液の上昇流は、気液界面に達すると水平な向きへ方向転換し、基板主面直交側壁15aへ向かい基板主面直交側壁15aの上端30aからオーバーフローする。かかる処理槽15内での処理液の流れは、気液界面近くでは乱流になりがちであるが、基板主面直交側壁15aには、処理液がオーバーフローする基板主面直交側壁15aの上端30a近くに、複数の排液口31を設けているので、気液界面近くの処理液の流れに、基板主面直交側壁15aに設けられた排液口31へ向かう流れが加わり、複数設けられた各排液口に対応して優先的に流れる複数の流れの筋が生じる。そして、これら排液口31は、昇降機構40によって保持される基板Wの保持間隔と同じピッチに並べて複数配置されているので、昇降機構40によって保持される複数の基板Wのそれぞれの主面の両側に位置する部分の処理液が、優先的に槽外に流れ出ることとなる。
【0035】
なお、本実施形態の基板処理装置においては、処理槽15の基板主面直交側壁15aに設けられた前記排液口31は、基板主面直交側壁15aの上端30aにおける次の位置の下方、すなわち、昇降機構40によって保持されて処理槽15内で浸漬処理される基板Wの主面を含む平面が基板主面直交側壁15aの上端aと交わる位置の両側位置の下方に配置するので、昇降機構40によって保持される複数の基板Wのそれぞれの主面の両側に位置する部分の処理液は、よりいっそう優先的に槽外に流れ出ることとなる。
【0036】
このような処理液の流出態様は、最終の仕上洗浄処理終了後、処理槽15内の純水から複数の基板Wを引き揚げ、IPAの蒸気を含む雰囲気まで移動させる段階(図7の段階)においても同様である。
【0037】
処理槽15内の純水から複数の基板Wを引き揚げるときに、昇降機構40によって保持される複数の基板Wのそれぞれの主面の両側に位置する部分の純水が優先的に槽外に流れ出るのにともなって、図10に示すように、複数の基板W間の純水の流れが整流されることとなる(図10中の実線矢印)。つまり、基板主面直交側壁15aに排液口31を設けたことによって、槽内の流れを誘導し、安定した処理液の流れを形成しているのである。そして、複数の基板W間の気液界面における整流された純水流に誘導されて、当該気液界面の近傍上方に純水流の向きと同じ向きにてIPA蒸気の安定した気流が生じる(図10中の点線矢印)。複数の基板Wのそれぞれの間において気液界面の近傍上方に安定したIPA蒸気の気流が生じることにより、基板引き揚げ時の各基板Wに接触するIPA蒸気の濃度が安定して均一なものとなる。その結果、複数の基板Wのそれぞれを均一に乾燥することができるのである。
【0038】
本実施形態の基板処理装置においては、特に、基板配列のピッチが狭くなった場合であっても、複数の基板Wのそれぞれの主面の両側に位置する部分の処理液が優先的に槽外に流れ出ることとなるため、基板配列のピッチにかかわらず、各基板Wに接触するIPA蒸気の濃度を安定して均一なものとできる。
【0039】
これにより、昇降機構40によって保持される複数の基板Wの全てについて、乾燥処理の面内均一性が向上するとともに、基板W間のばらつきも低減されるのである。
【0040】
また、昇降機構40によって保持される複数の基板Wのそれぞれの主面の両側に位置する部分の純水が優先的に槽外に流れ出るのにともなって、基板W間に浮遊する汚染物質が基板Wに転写する前に当該汚染物質を効率よく槽外に排出することができる。すなわち、基板Wに対してエッチングや洗浄処理を進行させるにつれて、基板Wからパーティクル等の汚染物質が剥離し、その汚染物質は吐出ノズル20から上方に向けた処理液の流れによって処理液表面に流される。そのような汚染物質を効率よく排出しなければ、基板Wが気液界面を通過するときに汚染物質が基板Wに付着するのであるが、本実施形態の基板処理装置においては、複数の基板Wのそれぞれの主面の両側に位置する部分の純水を優先的に槽外に流し出すことができ、基板W間に浮遊する汚染物質を効率よく槽外に排出することができるため、基板Wが気液界面を通過してもその基板Wへの汚染物質の付着を抑制することができる。
【0041】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記の例に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、1つの処理槽で薬液に処理および純水による洗浄処理の双方を行う、いわゆるワンバス式の処理装置であったが、本発明に係る基板処理装置は、薬液処理および純水洗浄処理を異なる処理槽で行ういわゆる多槽式の処理装置であっても適用可能である。多槽式の処理装置に適用する場合は、IPA蒸気によって乾燥を行う最終の仕上水洗槽に適用するのが効果的である。
【0042】
また、上記実施形態においては、処理槽15の基板主面直交側壁15aに設けられた前記排液口31は、基板主面直交側壁15aの上端30aにおける次の位置の下方すなわち、基板主面直交側壁15aの上端30aにて、昇降機構40によって保持されて処理槽15内で浸漬処理される基板Wの主面を含む平面が基板主面直交側壁15aの上端30aと交わる位置の両側位置の下方に配置しており、この位置の下方が最適ではあるが、しかし、これに限定されるものではなく、例えば、昇降機構40によって保持されて処理槽15内で浸漬処理される基板Wの主面を含む平面が基板主面直交側壁15aの上端30aと交わる位置の下方に位置するようにしてもよい。
【0043】
また、上記実施形態においては、排液口31は、各々、開口形状は円形であるが、これに限定されるものではなく、例えば、楕円形とか、下向きの楔型のような三角形、その他の多角形等でもよい。
【0044】
また、上記実施形態においては、排液口31は、各々、処理槽15の内から外へ向かって開口面積が次第に小さくなるように、先細りテーパ状に開口しているが、処理槽15の内から外へ向かって開口面積が次第に大きくなるように、先太りテーパ形状でもよく、あるいは、開口面積が変化しない形状でもよい。
【0045】
また、上記実施形態においては、排液口31は、各々、処理槽15の側壁の壁面に対し垂直に貫通形成しているが、処理槽15の内から外に向かって、先下がりに傾斜して貫通させて排液速度を高めるようにしても良く、貫通する向きは限定されない。
【0046】
また、上記実施形態においては、処理槽15の基板主面直交側壁15に開口の排液口31および、基板主面平行側壁15bに開口の排液口31は、各々、側壁内側の鉛直面に開口しているが、基板主面直交側壁15や基板主面平行側壁15bの各上端面に開口形状してもよい。
【0047】
また、上記実施形態においては、処理槽15の基板主面直交側壁15に開口の排液口31および、基板主面平行側壁15bに開口の排液口31は、各々、側壁を貫通して処理槽15の外へ流れ落ちるようにしたが、個々の排液口31が例えばポンプ等の吸引排気手段へ連通して、排液口31から勢い強く流出するようにしてもよい。
【0048】
また、上記実施形態においては、基板主面平行側壁15bにも排液口31を開口形成しているが、排液口31は、基板主面平行側壁15bに開口する排液口31は必須のものではなく、処理槽15にて、少なくとも、昇降機構40によって保持されて処理槽15内で浸漬処理される基板Wの主面と直角な側壁である基板主面直交側壁15aに開口形成されていればよい。但し、処理槽内の薬液の濃度や純水の清浄度を均一に保つことが望ましく、このためには処理槽15の基板主面直交側壁15aおよび基板主面平行側壁15bの全てから、すなわち槽壁の全周から均一に処理液を流し出すことが望ましい。そのためには、基板主面直交側壁15aおよび基板主面平行側壁15bの全てに排液口31を形成しておけば、容易に処理槽15の全周から均一に処理液を流し出すことができるのである。
【0049】
また、上記実施の形態では、有機溶剤の蒸気としてIPA蒸気を使用したが、これに限らず、有機溶剤の蒸気として、エタノールやメタノール等その他の有機溶剤を用いてもよい。
【0050】
【発明の効果】
以上、説明したように、請求項1に記載の発明によれば、処理槽にて、少なくとも引き揚げ手段によって保持される前記複数の基板の主面を含む平面と交わる側壁に、複数の排液口を設け、前記複数の排液口は、処理液がオーバーフロする前記側壁の上端の近くに、前記引き揚げ手段によって保持される前記複数の基板の保持間隔と同じピッチに並べて配置しているため、気液界面における処理液の流れを安定させることができ、それに伴って複数の基板のそれぞれの間において気液界面の近傍上方に安定した気流が生じることにより、各基板に接触する有機溶剤の蒸気の濃度が安定して均一なものとなる。その結果、複数の基板のそれぞれを均一に乾燥することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る基板処理装置の正面図である。
【図2】図1の基板処理装置の平面図である。
【図3】図1の基板処理装置の側面図である。
【図4】図1の基板処理装置における処理の様子を説明する図である。
【図5】図1の基板処理装置における処理の様子を説明する図である。
【図6】図1の基板処理装置における処理の様子を説明する図である。
【図7】図1の基板処理装置における処理の様子を説明する図である。
【図8】処理槽から処理液が流れ出る様子を示す側面図である。
【図9】処理槽から処理液が流れ出る様子を示す平面図である。
【図10】処理槽内の処理液の流れおよび処理槽上方の気流の流れの様子を示す図である。
【符号の説明】
10 外槽
15 処理槽
15a 基板主面交差側壁
15b 基板主面平行側壁
20 吐出ノズル
31 排液口
40 昇降機構
50 IPA・N2供給ノズル
W 基板

Claims (1)

  1. 処理液による浸漬洗浄処理が終了した複数の基板を有機溶剤の蒸気を含む雰囲気中に移動させることによって前記複数の基板の乾燥処理を行う基板処理装置であって、
    (a)処理液を貯留し、複数の基板の前記浸漬洗浄処理を行う処理槽と、
    (b)前記処理槽を収容する外槽と、
    (c)前記処理槽の底部に設けられ、前記処理槽内に処理液を供給する処理液供給手段と、
    (d)前記外槽内に前記有機溶剤の蒸気を含む雰囲気を形成する有機溶剤雰囲気形成手段と、
    (e)前記浸漬洗浄処理が終了した前記複数の基板を前記処理槽から前記有機溶剤の蒸気を含む雰囲気中に引き揚げる引き揚げ手段と、
    を備え、
    前記処理槽にて、少なくとも前記引き揚げ手段によって保持される前記複数の基板の主面を含む平面と交わる側壁に、複数の排液口を設け、
    前記複数の排液口は、処理液がオーバーフロする前記側壁の上端の近くに、前記引き揚げ手段によって保持される前記複数の基板の保持間隔と同じピッチに並べて、配置されていることを特徴とする基板処理装置。
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