JP3747917B2 - 血圧計用カフ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、測定部位として例えば上腕や手首に巻回し、その測定部位を圧迫して血圧を測定するのに使用する血圧計用カフに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、その種の血圧計用カフは、図5(全体斜視図)に示すようなものである。この血圧計用カフ70は、外側カフ片71と、内側カフ片72と、外側カフ片71及び内側カフ片72で形成された帯状袋の内部に設けられた空気袋73と、空気袋73の外側に配置されて空気袋73の外側への膨らみを抑えると共に、所定の湾曲形状を弾性的に保持するクリップ板74とを備える。外側カフ片71及び内側カフ片72にはそれぞれ面ファスナ75,76が設けられ、この面ファスナ75,76によりカフ70を測定部位に巻付状態で固定する。
【0003】
このようなカフ70は、例えば図6に示すような手首血圧計に装備され、血圧計本体80に取付けられる。
【0004】
一方、図4(上図が収縮状態、下図が膨張状態)に概略的に示すように、阻血カフ50を内外2枚のカフ片51,52にて袋状に形成し、阻血カフ50に空気を入れて阻血カフ50の厚さ方向に膨らみをもたせるための両側壁部53を内側のカフ片51の両側端で手首に巻付ける周方向に設けてなるカフがある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特許第2840075号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図5のようなカフ70に使用される空気袋73は、一般に図3(上図が収縮状態、下図が膨張状態)に示すように、外壁部61と内壁部62からなり、その両壁部61,62が巻付方向の両側端63で溶着等により互いに固着されてなるものである。
【0007】
しかしながら、このような空気袋73が膨らむと、空気袋73の幅(巻付方向に直角な方向の寸法)が狭くなり、カフ70を巻付けた測定部位内に存在する動脈に空気袋73の膨張による圧力が十分に伝わらなくなり、血圧測定精度の信頼性が低下してしまう。特に、手首血圧計のカフの場合、上腕に比べて腱等が集中しており阻血を行うのには障害が多く、上腕に比べて十分な阻血能力がより重要である。そこで、幅が狭くなる従来のカフ構成であると、阻血部分に十分な圧力が掛かり難く、良好な阻血ができ難い。
【0008】
また、上記特許文献1記載のようなカフでは、阻血カフ50は、両側壁部53が外側に張り出して膨らむので、阻血カフ50の幅は膨らんでも変わらない。しかしながら、空気排出後に、両側壁部53が元の内側に折り畳まれた状態に戻らなくなるという問題が生じる。
【0009】
本発明は、そのような従来の問題点に着目してなされたもので、流体袋を膨張させても幅が変化せず、しかも膨張時に幅方向に膨らむこともなく、膨張・収縮でも元の形状を維持できる血圧計用カフを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の血圧計用カフは、流体の出入により膨張・収縮する流体袋を備えるものにおいて、前記流体袋が、外側に位置する平面視ほぼ矩形の第1の流体室と、この第1の流体室に相対して連接され内側に位置する平面視ほぼ矩形の第2の流体室とを有し、前記第1及び第2の流体室を連接する部分が、各流体室の平面視領域よりも狭い領域部分で固着され、かつこの固着部分で囲まれる領域内に前記第1及び第2の流体室を連通する穴を備えたことを特徴とする。
【0011】
このカフでは、流体袋が第1及び第2の流体室を有し、その第1及び第2の流体室を連接する部分が、各流体室の平面視領域よりも狭い領域部分で固着され、かつこの固着部分で囲まれる領域内に第1及び第2の流体室を連通する穴を備えるので、流体袋に流体(空気、水等)を入れないときは、流体袋は収縮したままの形状を維持する。流体袋に流体を入れると、流体袋は収縮状態から幅方向に張り出そうとする。しかし、第1及び第2の流体室を連接する部分が、各流体室の平面視領域よりも狭い領域部分で固着されているため、流体袋は幅方向には突出せず、カフの厚さ方向にほぼ真っ直ぐに伸びるのに伴ってカフが厚さ方向に膨張する。このため、流体袋は膨張時に幅方向に膨らまず、流体袋の幅は膨張前と殆ど変わらない。一方、流体袋の流体を排出すると、流体袋は収縮状態に容易に戻り、膨張前の状態に復元する。
【0012】
このカフにおいて、固着部分で囲まれる領域内に形成される穴は、具体的には例えば、一対の対向縁が流体袋の巻付方向に延び、別の一対の対向縁が巻付方向と直交する方向に延びる矩形状である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施の形態に基づいて説明する。
【0014】
その一実施形態に係る血圧計用カフに内蔵される空気袋(流体袋)の部分斜視図を図1に示す。この空気袋10は、外側に位置する外壁部11と、内側に位置する内壁部12と、外壁部11及び内壁部12の巻付方向に延びる一対の両側端11a,11b、12a,12bにそれぞれ連接し、当該空気袋10の内側方向に折り畳まれた側壁部13,14と、この両側壁部13,14を空気袋10内で連接する連結部15とを有する。側壁部13は外壁部11及び内壁部12の側端11a,12aに接着剤や溶着等により固着され、同様に側壁部14は外壁部11及び内壁部12の側端11b,12bに接着剤や溶着等により固着されている。
【0015】
この空気袋10では、側壁部13は片16,17からなり、片17は連結部15に一体に設けられ、片16は連結部15と片17との境界に接着剤や溶着等で固着され、接合部が形成される。同様に側壁部14は片18,19からなり、片19は連結部15に一体に設けられ、片18は連結部15と片19との境界に固着され、接合部が形成される。
【0016】
この空気袋10によると、第1の空気室(流体室)1は、外壁部11、側壁部13の片16、連結部15及び側壁部14の片18で形成され、第2の空気室2は、内壁部12、側壁部13の片17、連結部15及び側壁部14の片19で形成される。更に、この空気袋10では、連結部15に穴20が適当な間隔を置いて形成されている。この穴20は、連結部15により二分割された空気袋10内の第1及び第2の空気室1,2を連通するためのもので、穴20を形成することで空気の流通が良くなる。
【0017】
このように構成した空気袋10では、空気が送り込まれると、空気圧により外壁部11及び内壁部12が空気袋10の厚さ方向に膨らみ、それに伴って側壁部13,14が厚さ方向に伸びる。しかし、側壁部13,14は連結部15で連接されているため、外側に突出するようなことはなく、最大でほぼ真っ直ぐな状態になるまで伸びる。このため、空気袋10は膨張時に幅方向には膨らまず、空気袋10の幅は膨張前と殆ど変わらない。一方、空気袋10の空気を排出すると、外壁部11と内壁部12が接近するのに連れて、側壁部13,14は連結部15により折り畳まれた状態に容易に戻り、膨張前の状態に復元する。
【0018】
この空気袋10において、側壁部13,14を外壁部11及び内壁部12よりも硬質にすれば、膨張時における空気袋10の重心バランスが良くなり、この空気袋10を用いたカフで測定部位をより安定して圧迫できるようになる。
【0019】
両側壁部13,14を外壁部11及び内壁部12より硬質にするには、側壁部13,14と外壁部11及び内壁部12との材質を同じにする場合には、例えば同種の軟質塩化ビニルシートを使用するなら、一例として側壁部13,14の厚さを0.4mm、外壁部11及び内壁部12の厚さを0.2mmとする。或いは、異なる材質にする場合は、側壁部13,14が外壁部11及び内壁部12より硬くなるように、各々の材質や厚さを適宜選定する。
【0020】
別実施形態に係る血圧計用カフに内蔵される空気袋の部分斜視図を図2に示す。この空気袋30は、外壁部31、内壁部32、側壁部33,34及び連結部35を有する。側壁部33は片36,37からなり、片36,37は一体に固着されると共に、連結部35の端部に固着され、接合部が形成される。同様に側壁部34は片38,39からなり、片38,39は一体に固着されると共に、連結部35の端部に固着され、接合部が形成される。
【0021】
この空気袋30では、第1の空気室3は、外壁部31、側壁部33の片36、連結部35及び側壁部34の片38で形成され、第2の空気室4は、内壁部32、側壁部33の片37、連結部35及び側壁部34の片39で形成される。また、ここでの連結部35は、上記空気袋10の連結部15のように帯状を成すものではなく、複数個で構成され、複数個の連結部35が適当な間隔で側壁部33,34に固着されることで、側壁部33,34が連結部35によって連接されている。連結部35間に形成された穴40は空気流路として作用する。この空気袋30も上記空気袋10と同様の作用効果を奏する。
【0022】
なお、上記実施形態の空気袋10,30は一例であり、種々の変更が可能である。例えば、連結部15に形成する穴20の形状や個数は適宜変更すればよい。また、上記実施形態では、外壁部及び内壁部と側壁部はそれぞれ個別に作製してから固着しているが、例えば射出成形により、外壁部、内壁部、側壁部及び連結部を有する空気袋を一体形成してもよい。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の血圧計用カフによれば、流体袋が第1及び第2の流体室を有し、その第1及び第2の流体室を連接する部分が、各流体室の平面視領域よりも狭い領域部分で固着され、かつこの固着部分で囲まれる領域内に第1及び第2の流体室を連通する穴を備えるので、流体袋は膨張時に幅方向に膨らまず、流体袋の幅は膨張前と殆ど変わらない。一方、流体袋の流体を排出すると、流体袋は収縮状態に容易に戻り、膨張前の状態に復元し、膨張・収縮でも元の形状を維持する。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態に係る血圧計用カフに内蔵される空気袋の部分斜視図である。
【図2】別実施形態に係る血圧計用カフに内蔵される空気袋の部分斜視図である。
【図3】従来例に係る空気袋の収縮状態(上図)及び膨張状態(下図)を示す部分斜視図である。
【図4】別の従来例に係る空気袋の収縮状態(上図)及び膨張状態(下図)を示す部分斜視図である。
【図5】一般的な空気袋の一例を示す斜視図である。
【図6】図5のような空気袋を装備した手首血圧計の斜視図である。
【符号の説明】
1,3 第1の空気室(流体室)
2,4 第2の空気室(流体室)
10,30 空気袋(流体袋)
11,31 外壁部
12,32 内壁部
13,14 側壁部
15,35 連結部
33,34 側壁部
Claims (3)
- 流体の出入により膨張・収縮する流体袋を備える血圧計用カフにおいて、
前記流体袋は、外側に位置する平面視ほぼ矩形の第1の流体室と、この第1の流体室に相対して連接され内側に位置する平面視ほぼ矩形の第2の流体室とを有し、前記第1及び第2の流体室を連接する部分は、各流体室の平面視領域よりも狭い領域部分で固着され、かつこの固着部分で囲まれる領域内に前記第1及び第2の流体室を連通する穴を備えたことを特徴とする血圧計用カフ。 - 前記穴は、一対の対向縁が流体袋の巻付方向に延び、別の一対の対向縁が巻付方向と直交する方向に延びる矩形状であることを特徴とする請求項1記載の血圧計用カフ。
- 前記流体袋は、外側に位置する外壁部と、内側に位置する内壁部と、外壁部及び内壁部の巻付方向に延びる一対の両側端をそれぞれ連接する側壁部とを備え、両側壁部は外壁部及び内壁部よりも硬質であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の血圧計用カフ。
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