JP3747756B2 - 塔状構造物のカルマン渦振動抑制装置 - Google Patents

塔状構造物のカルマン渦振動抑制装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、風によって塔状構造物周囲に生じるカルマン渦に起因した該塔状構造物の振動を抑制する制振装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、図6に平面視にて示すように、風の流れ4の中に柱状物2が存在すると、この柱状物2の下流にはカルマン渦4aが発生する。このカルマン渦4aは、同図(a)、(b)に示すように、柱状物2の左右両側に交互に発生するので、このカルマン渦4aにより生じる圧力差によって柱状物2は周期的な揚力を受け、風の流れる方向に対して直角方向(図中の波線矢印の方向)に、すなわち左右に振動する。この振動はカルマン渦4aの発生周波数f(Hz)で生じ、該発生周波数は以下の式で表される。
f=St・V/D ……(1)
ここで、Stはストラハル数であり、円柱の場合は0.2、角柱の場合は約0.1である。また、V(m/sec)は風速、D(m)は柱状物2の代表寸法であり、円柱の場合は直径である。
【0003】
(1)式からわかるように、前記発生周波数fは風速Vに応じて変化するため、風速Vが変化してこの発生周波数fと柱状物2の固有振動数とが一致すると、柱状物2が共振して激しく揺れてしまう。
【0004】
通常はこれを防ぐため、図7(a)に平面視にて示すように塔状構造物1の隅形状を工夫し、例えば突起物6を設けて気流の流れを変えて、カルマン渦の周期的な発生を防ぐか、あるいは同図(b)のように構造物1を貫通する風穴8を設け、当該風穴8を吹き抜ける風により構造物2下流に乱流を生じさせてカルマン渦を生じないようにする等の方法がとられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の方法では、構造物外面に突起物や風穴を設けなければならないため、構造物の外観デザインが大きな制約を受けてしまう。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、構造物の外観デザインを制約することなく、風により生じるカルマン渦に起因した振動を抑制する塔状構造物の制振装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために請求項1に示す発明は、風によって塔状構造物周囲に生じるカルマン渦に起因した該塔状構造物の振動を抑制する制振装置であって、該塔状構造物の固有振動数を変更可能な剛性可変手段と、該塔状構造物に吹き付ける風速を検出する風速検出手段と、該風速検出手段で検出した風速が、該塔状構造物の固有振動数に一致する発生周波数のカルマン渦を発生させる風速であるときに、前記剛性可変手段の剛性可変機構を作動させて塔状構造物の固有振動数を変更させる作動制御手段と、を備え、該塔状構造物は柱梁架構が高さ方向に積層構築された多層構造物でなり、該剛性可変手段と風速検出手段とは、該塔状構造物の各層毎にその柱梁架構に設けられており、該作動制御手段は各層の該剛性可変機構を切り換え作動させて低剛性と高剛性との二値に変更する、ことを特徴とする。
【0008】
上記発明によれば、塔状構造物に吹き付ける風の風速を各層毎に設けてある風速検出手段にて検出し、当該風速が、該塔状構造物の固有振動数に一致する発生周波数のカルマン渦を発生させる風速である場合には、作動制御手段によって各層毎に設けてある剛性可変機構を作動させる。すると、該作動によって剛性可変手段が作動して該塔状構造物の剛性を変更し、該塔状構造物の固有振動数を変更する。したがい、前記カルマン渦と前記構造物とが共振することを防止できる。
【0009】
請求項2に示す発明は、請求項1記載の塔状構造物のカルマン渦振動抑制装置において、前記剛性可変手段が塔状構造物に組み込まれた減衰力可変ダンパであり、前記作動制御手段は該減衰力可変ダンパの減衰力可変機構を作動させて前記塔状構造物の固有振動数を変更させることを特徴とする。
【0010】
上記発明によれば、風速検出手段にて検出した、塔状構造物に吹き付ける風の風速が、該塔状構造物の固有振動数に一致する発生周波数のカルマン渦を発生させる風速である場合には、作動制御手段によって減衰力可変ダンパの減衰力可変機構を作動させて、減衰力可変ダンパによって塔状構造物の剛性を変更し、該塔状構造物の固有振動数を変更する。したがい、前記カルマン渦と前記構造物とが共振することを防止できる。
また、前記減衰力可変ダンパは塔状構造物に組み込まれるため、該構造物の外面に表出することはなく、構造物の外観デザインを制約することはない。
【0011】
請求項3に示す発明は、請求項2記載の塔状構造物のカルマン渦振動抑制装置において、前記減衰力可変ダンパがオイルダンパであり、前記減衰力可変機構がオイルダンパのオリフィス径を変更するオリフィス径切換機構であることを特徴とする。
【0012】
上記発明によれば、風速検出手段にて検出した、塔状構造物に吹き付ける風の風速が、該塔状構造物の固有振動数に一致する発生周波数のカルマン渦を発生させる風速である場合には、作動制御手段によってオイルダンパのオリフィス径切換機構を作動させて、オイルダンパのオリフィス径を変更する。すると、オイルダンパの減衰力が変化するため、塔状構造物の剛性が変化して、その固有振動数を変えることができる。したがい、前記カルマン渦と前記構造物とが共振することを防止できる。
また、オイルダンパのオリフィス径を切り換えるという簡単な構成のため、作動の信頼性は高いとともに安価に設置できる。
【0013】
請求項4に示す発明は、請求項2記載の塔状構造物のカルマン渦振動抑制装置において、前記減衰力可変ダンパが摩擦ダンパであり、前記減衰力可変機構が摩擦ダンパの摩擦力を変更する摩擦力切換機構であることを特徴とする。
【0014】
上記発明によれば、風速検出手段にて検出した、塔状構造物に吹き付ける風の風速が、該塔状構造物の固有振動数に一致する発生周波数のカルマン渦を発生させる風速である場合には、作動制御手段によって摩擦ダンパの摩擦力切換機構を作動させる。すると、摩擦ダンパの摩擦力が変化するため、塔状構造物の剛性が変化して、その固有振動数を変えることができる。したがい、前記カルマン渦と前記構造物と共振することを防止できる。
また、摩擦ダンパの摩擦力を切り換えるという簡単な構成のため、作動の信頼性は高いとともに安価に設置できる。
【0015】
請求項5に示す発明は、請求項1記載の塔状構造物のカルマン渦振動抑制装置において、前記剛性可変手段が塔状構造物に組み込まれたケーブルであり、前記作動制御手段は該ケーブルへの張力付与機構を作動させて前記塔状構造物の固有振動数を変更させることを特徴とする。
【0016】
上記発明によれば、風速検出手段にて検出した、塔状構造物に吹き付ける風の風速が、該塔状構造物の固有振動数に一致する発生周波数のカルマン渦を発生させる風速である場合には、作動制御手段によってケーブルの張力付与機構を作動させる。すると、ケーブルに張力が付与されて該ケーブルはバネ部材として機能するため、塔状構造物の剛性が変化して、その固有振動数を変えることができる。したがい、前記カルマン渦と前記構造物とが共振することを防止できる。
また、張力を付与するという簡単な構成のため、作動の信頼性は高いとともに安価に設置できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る一実施形態として、塔状構造物のカルマン渦振動抑制装置の全体構成を示す概念図であり、図1(a)に側面図を、図1(b)に平面図を示す。
【0018】
図1(a)に示すように、本実施形態に係るカルマン渦振動抑制装置が設けられる塔状構造物1は、柱梁架構3が高さ方向に積層構築された多層構造物1であり、その平断面は矩形状である。尚、以下では、図1(b)に示すように前記矩形平断面の短軸方向をX方向、長軸方向をY方向とする。
【0019】
基本的に、カルマン渦振動抑制装置は、塔状構造物1の前記X方向およびY方向の水平剛性Kx、Ky(N/m)を変更可能な剛性可変手段5と、塔状構造物1に吹き付ける風のX方向およびY方向の風速Vx、Vyを検出する風速検出手段7と、前記剛性可変手段5を作動する剛性可変機構(図示なし)に指令を与える作動制御手段9とから構成される。そして、前記風速検出手段7で検出したいずれかの風速Vx、Vyが、各々塔状構造物1のY方向、若しくはX方向の固有振動数に一致する発生周波数のカルマン渦を生じる風速(以下、共振風速Vrx、Vryと記す。)近傍に達したときに、前記剛性可変手段5の剛性可変機構を作動させて、上記に該当する塔状構造物1のY方向、若しくはX方向の固有振動数fy、fxを変更して、該固有振動数fy、fxと前記カルマン渦の発生周波数との一致を防ぎ、これらの間で生じる共振を防止するものである。
【0020】
前記剛性可変手段5は、塔状構造物1の各階層毎にその柱梁架構3に設けられていて、各階層毎にX方向およびY方向の剛性を変更可能となっている。そして、本実施形態にあっては、各階層のX方向の剛性、若しくはY方向の剛性を前記剛性可変機構によって一斉に高く、若しくは低く切り換えて、塔状構造物1全体のX方向、若しくはY方向の水平剛性Kx、Kyを低剛性Kxl、Kylと高剛性Kxh、Kyhとの二値で変更するようになっている。尚、平時は低剛性Kxl、Kylに設定され、前記共振風速Vrx、Vryは、前記低剛性Kxl、Kyl時の塔状構造物の固有振動数fyl、fxlと同じ発生周波数のカルマン渦を生じる風速であり、以下の式にて表される。
Vrx=D・fyl/St ……(2)
Vry=D・fxl/St ……(3)
【0021】
前記風速検出手段7は、各階層毎に設けられた風向風速計であり、各階層毎にそこに吹き付ける風のX方向およびY方向の風速Vx、Vyをリアルタイムで計測し、逐一この計測データを作動制御手段9へ送信する。
【0022】
前記作動制御手段9は、前記計測データたる風速Vx、Vyのいずれか一方が、それに対応する前記共振風速Vrx、Vryに近くなると、前記平時の剛性たる低剛性Kxl、Kylから高剛性Kxh、Kyhへと変わるように、前記剛性可変手段5の剛性可変機構に剛性変更指令を送信する。そして、該当する方向の風速Vx、Vyが前記共振風速Vrx、Vryから離れると、前記低剛性Kxl、Kylへと復帰するように剛性復帰指令を送信する。
【0023】
かかる作動制御手段9は、記憶部、演算部、入力端末部、ディスプレイ部などからなるコンピュータ9であり、塔状構造物1内に配置されている。そして、前記風向風速計9や前記剛性可変手段5の剛性可変機構と回線を介して繋がっていて、前記指令や前記計測データを送受信する。
【0024】
この記憶部には、塔状構造物1の外形状やその固有振動数に基づいて予め計算された前記共振風速Vrx、Vry、およびこの共振風速Vrx、Vryの±α%に亘って設定された剛性変更対象範囲(図2を参照)が記憶されている。そして、演算部にて、計測データたる風速Vx、Vyと前記剛性変更対象範囲とを比較して、該風速Vx、Vyが該範囲に入っていると判定すると前記剛性変更指令を出力し、該範囲から外れたと判定すると前記剛性復帰指令を出力する。
【0025】
尚、この判定は、記憶部に制御モードとして種々登録されていて、例えば、各階層の風速の内、一カ所以上の風速が前記剛性変更対象範囲に入ると剛性変更指令を出力する制御モードや、全階層の平均風速が前記範囲に入ると剛性変更指令を出力する制御モードなどが登録されている。この制御モードの選択入力は、ディスプレイを見ながら入力端末部たるキーボードにてできるようになっている。
【0026】
次に、図1および図2を用いて、このカルマン渦振動抑制装置の作用を説明する。尚、風向がX方向の場合もY方向の場合もその作用は同じであるため、以下ではX方向の風が吹き付けた場合についてのみ説明する。
【0027】
平時には、剛性可変機構によって各階層毎の剛性可変手段5は低い剛性に設定されていて、塔状構造物1全体のY方向の剛性Kyは低剛性Kylになっている。そして、この時の塔状構造物1の固有振動数はfylであり、このfylの発生周波数でカルマン渦が発生する共振風速Vryは前記(2)式で与えられる風速である。
【0028】
また、かかる塔状構造物1に吹き付ける風のX方向の風速Vxは、常時風向風速計7にて計測されて逐一コンピュータ9へと送信される。この計測データVxは、コンピュータ9内の演算部にて、前記剛性変更対象範囲内、すなわちVrx±α%に入っているかリアルタイムで比較される。そして、該風速Vxが前記範囲内であると判定した場合には、コンピュータ9は前記剛性可変機構に剛性変更指令を送信して、剛性可変手段5は高い剛性に切り換えられて、塔状構造物1は高剛性Kyh(>Kyl)となり、その固有振動数はfylからfyh(>fyl)に変化する。このため、この固有振動数は、共振風速Vryで生じるカルマン渦の発生周波数fylから大きく外れるので、塔状構造物1のY方向の振動がカルマン渦の発生と共振して、該塔状構造物1が大きく振動することは防止される。そして、更に風速Vxが大きくなる、若しくは逆に小さくなって該風速Vxが前記剛性変更対象範囲Vrx±α%から外れると、コンピュータから剛性可変機構へと剛性復帰指令が送信されて、塔状構造物1は平時の低剛性Kylに切り換えられる。
【0029】
尚、本実施形態にあっては、塔状構造物1全体の剛性Kx、Kyを変更するのに、各階層毎に設けられた全ての剛性可変手段5を一斉に同じ方向に切り換えるようにしたが、塔状構造物1全体の剛性が変更できればこれに限るものではなく、これら剛性可変手段5のいくつかを選択的に切り換えて、塔状構造物1全体の剛性を変更しても良い。
【0030】
また、本実施形態にあっては、予め塔状構造物1の共振風速Vrx、Vryを計算してコンピュータ9内の記憶部に格納しておいたが、計測された風速Vx、Vyから逐一演算部にて計算しても良い。
【0031】
ここで、前記剛性可変手段の具体例について説明する。
図3から図5は、剛性可変手段が塔状構造物の柱梁架構3に組み込まれている状態を示す側面図であり、順にオイルダンパ、摩擦ダンパ、ケーブルを示す。尚、図3にあっては、その図3(a)中のオイルダンパを破断して示すとともに、同図中におけるB線矢視図、C線矢視図を各々図3(b)、図3(c)に示す。
【0032】
図3に示すオイルダンパ11は、各階層の柱梁架構3に設けられたブレース3c、3dに介設されていて、塔状構造物の層間に生じる水平方向の相対変位を減衰してその水平振動を抑制する制振装置である。
このオイルダンパ11は、シリンダ13と、その内部を二つの油圧室13a、13bに画成するピストン15とからなり、前記シリンダ13が一方のブレース3cに、また前記ピストン15のロッド15aが他方のブレース3dに係合されている。このピストン15には、ピストン軸に点対称に一対のオリフィス21が形成されていて、前記二つの油圧室13a、13bは連通されている。そして、層間変位すると、該変位はオイルダンパ11に伝えられて、シリンダ13内をピストン15は軸方向に摺動するが、その際に油圧室13a、13b内の油がオリフィス21を通過して流動抵抗を生じ、これが減衰力となって水平振動を減衰する。
【0033】
但し、本発明に係るオイルダンパ11は剛性可変手段としても使用するため、該ダンパ11は、前記減衰力を変更可能な減衰力可変ダンパとなっている。すなわち、該ダンパ11は、オリフィス径を変更するオリフィス径切換機構によって前記流動抵抗に起因した減衰力を大小に切換可能となっており、その減衰力の変更によって各階層の水平剛性を変更できるようになっている。
【0034】
このオリフィス径切換機構は、該ピストン15がその軸方向に分断されて2部材17、19からなることで実現されていて、この両者17、19は互いに軸中心に相対回転可能、軸方向に相対変位不可能に係合している。そして、これらの内の一方は、駆動機構25によって軸中心に駆動回転する回転ピストン17、他方は回転不可能な非回転ピストン19となっている。この非回転ピストン19には、図3(c)に示すように前述した一対のオリフィス21のみが形成されているが、回転ピストン17には、図3(b)に示すように前記一対のオリフィス21以外に、そこから90度の同一円周上に位置して、前記オリフィス21よりも小径なオリフィス23が形成されている。そして、この回転ピストン17が軸中心に駆動回転して、前記オリフィス21若しくは小径オリフィス23のいずれかを、前記非回転ピストン19のオリフィス21と一致させて油の流路を形成することで、オリフィス径を切り換えるようになっている。
【0035】
図4に示す摩擦ダンパ26は、各階層の柱梁架構3の上下梁3a、3b間に介設されていて、塔状構造物の層間に生じる水平方向の相対変位を、該変位に伴って生じる摩擦力によって減衰する制振装置である。
この摩擦ダンパ26は、上梁3aにコラム状のブラケット27aを介して固定された摩擦板29aと、下梁3bに同じくコラム状のブラケット27bを介して固定された滑り板29bとからなり、この摩擦板29aと滑り板29bとは水平方向に摺動可能に当接している。そして、層間変位した際に摩擦板29aと滑り板29bとが摺動して、その時生じる摩擦力によって振動を減衰する。
【0036】
但し、本発明に係る摩擦ダンパ26は剛性可変手段としても使用するため、該ダンパ26は、その減衰力たる前記摩擦力を変更可能な減衰力可変ダンパとなっている。すなわち、該ダンパ26は、摩擦力切換機構として、摩擦板29aと滑り板29bとが重なった状態で両者を一緒に挟む把持機構31が設けられ、この時の狭圧力を大小に変更可能に構成されている。そして、該狭圧力を大小に変化することで、前記摩擦板29aと滑り板29bとの当接力を変化させて、摺動時の摩擦力を大小に変更可能であり、その摩擦力の変更によって各階層の水平剛性を変更できるようになっている。
【0037】
図5に示す鋼製のケーブル33は、各階層の柱梁架構3の上下梁3a、3b間に介設されていて、自身に張力が付与されるとバネ部材として機能して前記柱梁架構3に水平剛性を付与する剛性可変手段である。
このケーブル33は、その一端33bが柱梁架構3の下梁3bに固定される一方、他端は、上梁3aに固設された張力付与機構としてのウインチ35に巻回されている。そして、このウインチ35によってケーブル33に張力が付与されるようになっている。
【0038】
このケーブル33は、張力が付与されるとバネ部材として作用するので、張力付与時には柱梁架構3の水平剛性は大きくなる。一方、張力が付与されていない時には、該ケーブル33はバネ部材として機能しないため、柱梁架構3の水平剛性は変わらない。したがい、前記ウインチ35にてケーブル33張力を入り切りすることで柱梁架構3の水平剛性を変更することができる。
【0039】
尚、本実施形態においては、塔状構造物の剛性可変手段の好例として、柱梁架構に組み込まれたオイルダンパ、摩擦ダンパ、ケーブルを示したが、塔状構造物の剛性を変更できれはこれに限るものではない。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1および2に示す発明によれば、塔状構造物の外観デザインを制約することなく、カルマン渦と前記構造物とが共振することを防止できるので、耐久性、居住性、美的外観に優れた塔状構造物を構築できる。
【0041】
請求項3〜5に示す発明によれば、安価に設置できるとともに、その作動信頼性は高くメンテナンスに負荷をかけずに済み、塔状構造物の総費用を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る一実施形態として、塔状構造物のカルマン渦振動抑制装置の全体構成を示す概念図であり、(a)に側面図を、(b)に平面図を示す。
【図2】本発明に係る剛性可変手段が作動する、共振風速の周囲に設定された剛性変更対象範囲を説明するグラフであって、横軸は風速、縦軸は構造物の水平方向振幅である。
【図3】剛性可変手段としてのオイルダンパが塔状構造物の柱梁架構に組み込まれている状態を示す図であり、(a)にその側面図を示すとともに、同(a)中におけるB線矢視図、C線矢視図を各々(b)、(c)に示す。
【図4】剛性可変手段としての摩擦ダンパが塔状構造物の柱梁架構に組み込まれている状態を示す側面図である。
【図5】剛性可変手段としてのケーブルが塔状構造物の柱梁架構に組み込まれている状態を示す側面図である。
【図6】風の流れの中にある柱状物の下流に発生するカルマン渦を示す平面図である。
【図7】従来の、カルマン渦と塔状構造物との共振を防止する方法を示す平面図であり、(a)に塔状構造物の隅部に突起物を設ける方法、(b)に塔状構造物に風穴を設ける方法を各々示す。
【符号の説明】
1 塔状構造物、多層構造物
3 柱梁架構
5 剛性可変手段
7 風速検出手段
9 作動制御手段、コンピュータ

Claims (5)

  1. 風によって塔状構造物周囲に生じるカルマン渦に起因した該塔状構造物の振動を抑制する制振装置であって、
    該塔状構造物の固有振動数を変更可能な剛性可変手段と、
    該塔状構造物に吹き付ける風速を検出する風速検出手段と、
    該風速検出手段で検出した風速が、該塔状構造物の固有振動数に一致する発生周波数のカルマン渦を発生させる風速であるときに、前記剛性可変手段の剛性可変機構を作動させて塔状構造物の固有振動数を変更させる作動制御手段と、
    を備え
    該塔状構造物は柱梁架構が高さ方向に積層構築された多層構造物でなり、
    該剛性可変手段と風速検出手段とは、該塔状構造物の各層毎にその柱梁架構に設けられており、
    該作動制御手段は各層の該剛性可変機構を切り換え作動させて低剛性と高剛性との二値に変更する、
    ことを特徴とする塔状構造物のカルマン渦振動抑制装置。
  2. 前記剛性可変手段が塔状構造物に組み込まれた減衰力可変ダンパであり、前記作動制御手段は該減衰力可変ダンパの減衰力可変機構を作動させて前記塔状構造物の固有振動数を変更させることを特徴とする請求項1記載の塔状構造物のカルマン渦振動抑制装置。
  3. 前記減衰力可変ダンパがオイルダンパであり、前記減衰力可変機構がオイルダンパのオリフィス径を変更するオリフィス径切換機構であることを特徴とする請求項2記載の塔状構造物のカルマン渦振動抑制装置。
  4. 前記減衰力可変ダンパが摩擦ダンパであり、前記減衰力可変機構が摩擦ダンパの摩擦力を変更する摩擦力切換機構であることを特徴とする請求項2記載の塔状構造物のカルマン渦振動抑制装置。
  5. 前記剛性可変手段が塔状構造物に組み込まれたケーブルであり、前記作動制御手段は該ケーブルへの張力付与機構を作動させて前記塔状構造物の固有振動数を変更させることを特徴とする請求項1記載の塔状構造物のカルマン渦振動抑制装置。
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