JP3739145B2 - 建物の制振装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は地震時や強風時において、建物に発生する振動を抑制する制振装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高層の建物においては地震時や強風時における揺れの周期が長く、地震や強風がおさまった後においてもしばらくの間続いて悪感や恐怖感を与えるので、近年、高層建物の揺れ幅の最も大きい最上層部に周期が建物全体の固有振動周期に一致する制振装置を設置することが行われている。
【0003】
このような制振装置として本願出願人等が、例えば、特公平8ー6490号公報に記載しているように、対向面に所定半径の凹弧面を有する上下挟圧部材間に所定径の円柱状ころ部材を介在させてなる制振機構を建物の床上に設置すると共に、この制振機構の上部挟圧部材上にウエイトを載置して、該ウエイトの揺動する周期を建物全体の固有振動周期に一致させるようにし、建物の水平方向の減振作用を効果的に発揮させるように構成した装置を開発した。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記制振装置によれば、上部挟圧部材上にウエイトを載置しているので、装置全体の高さが高くなって、この装置を設置する部屋の階高が高くなったり安定性が悪くなるばかりでなく、ウエイト全体が上方に大きく露出していることと相まって外観を損し、建物との調和がとれ難いという問題点があり、その上、揺動した際に円柱状ころ部材が凹弧面から飛び出すのを防止するためのストッパを必要するものである。
【0005】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところはウエイト内蔵構造にして装置全体の高さを低くすると共に安定性を良くし、且つウエイトにストッパとしての作用を発揮させるようにした建物の制振装置を提供するにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1に記載した本発明の建物の制振装置は、平面矩形状に形成してなる枠体を上下に間隔を存して3層に重ね合わせ、上側枠体と中間枠体間の数個所に、対向面が凹弧面に形成された上下挟圧部材間にこれらの凹弧面で挟圧された状態で転動するローラを介在させてなる第1制振機構をそれらのローラを同一方向に向けた状態で介在させると共に中間枠体と下側枠体間の数個所に上記第1制振機構と同一構造を有する第2制振機構をそのローラが第1制振機構のローラと直交する方向に配した状態にして介在させ、さらに、上記上側枠体と中間枠体および下側枠体とで囲まれた空間中央部に上側枠体に吊支させたウエイトを配設してなる構造を有するものである。
【0007】
また、請求項2に係る発明は、平面矩形状に形成してなる枠体を上下に間隔を存して重ね合わせ状態に配して、これらの枠体間の数個所に対向面が凹弧面に形成された上下挟圧部材間にこれらの凹弧面で挟圧された状態で転動するローラを介在させてなる制振機構をそれらのローラを同一方向に向けた状態で介在させ、さらに、上記これらの上下枠体で囲まれた空間中央部に上側枠体に吊支させたウエイトを配設した構造を有するものである。
【0008】
上記建物の制振装置において、請求項3に係る発明は、上側枠体以外の枠体の内面にウエイトに対向させて該ウエイトの対向面から間隔を存して緩衝材を取り付けていることを特徴とするものであり、請求項4に係る発明は、上下に対向した枠体の対向面において、下側の枠体上に粘性オイルを収容している溝部材を配設し、上側の枠体の下面に該溝部材内を上記ローラの転動方向に移動可能な抵抗板を固着していることを特徴としている。
【0009】
【作用】
ウエイトが平面矩形状の枠体で囲まれた空間中央部内に配設され、その上端部を上側枠体に吊支させているので、ウエイトが装置に内蔵された構造に構成されていると共に装置全体の高さ及び重心が低くなり、設置する部屋の階高が低くできるとともに安定した制振作用を発揮し得る上に良好な外観を呈して建物と良く調和させることができる。
【0010】
さらに、請求項1に記載の制振装置によれば、建物が第1制振機構のローラ転動方向に揺れた場合、上側枠体に吊支されているウエイトが上側枠体と一体的に所定周期の位相遅れでもって第1制振機構を介して振動を開始し、第1制振機構の上部挟圧部材がローラを介して下部挟圧部材の凹弧面上を揺動することにより建物の振動エネルギーを吸収して制振する。又、建物に前記振動方向に直交する振動外力が作用した場合には第1制振機構に対して直交方向に配設した第2制振機構によって上記同様に制振作用を行わせる。従って、これらの第1、第2の制振機構により建物に作用する水平面におけるいずれの方向の振動も制振し得るものである。
【0011】
また、請求項2に記載の制振装置によれば、この制振装置を建物の床面上における少なくとも2個所に一方の制振装置の制振機構と他方の制振装置の制振機構とを互いに直交する方向に向けた状態で設置するものである。このように床面上に互いにその制振機構の向きを直交させた状態で制振装置を設置しておくと、建物が一方の制振装置の制振機構のローラ転動方向に揺れた場合、請求項1に係る発明と同様に上側枠体に吊支されているウエイトが上側枠体と一体的に所定周期の位相遅れでもって制振機構を介して振動を開始し、この制振機構の上部挟圧部材がローラを介して下部挟圧部材の凹弧面上を揺動することにより建物の振動エネルギーを吸収して制振するものであり、この振動方向に直交する方向に揺れが発生した場合、他方の制振装置によって上記同様に制振作用を行わせるものである。
【0012】
さらに、大きな揺れが発生した場合、制振機構を介して上側枠体と一体的に振動するウエイトが枠体で囲まれた空間中央部に設けられているので、該ウエイトが所定周期の位相遅れでもって下側枠体の内面に当接してそれ以上の揺動を阻止され、従って、ウエイトの揺動方向に対して逆方向の振動エネルギーを急激に減衰させることができると共にウエイトがストッパーの役目を果たして上下挟圧部材の凹弧面上を転動するローラが上下挟圧部材間から外れるのを防止することができる。
【0013】
この場合、請求項3に記載したように、ウエイトと対向する枠体の内面に緩衝材を取付けておくことにより、ウエイトが枠体の内面に直接当接させることなく緩衝材に受止させて枠体やウエイトの損傷を防止することができる。また、請求項4に係る発明によれば、下側枠体に対して上側枠体が制振機構を介して揺動した場合、その揺動方向に下側枠体の上面に固着している粘性オイル収容溝部材内を上側枠体の下面に取付けている抵抗板が相対的に移動し、粘性オイルの粘性抵抗によって種々の周波数の振動を含んでいる地震の変動振動を吸収することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例を図面について説明すると、上側枠体1と中間枠体2と下側枠体3とを上下方向に一定間隔を存して重ね合わせ状態に配していると共に上側枠体1と中間枠体2との四隅部における対向面間に第1制振機構4Aを介在させ、中間枠体2と下部枠体3との四隅部における対向面間に第2制振機構4Bを介在させてあり、さらに、上側枠体1と中間枠体2および下側枠体3とで囲まれた空間部5の中央部に、上側枠体1に吊支されたウエイト6を内蔵状態に配設して制振装置を構成している。
【0015】
上記上側枠体1と中間枠体2及び下側枠体3は上下面が平坦な一定長さのI形鋼または角パイプを一体に組み合わせて略同一大きさの平面矩形状の枠体に形成されてあり、ウエイト6はその横断面形状をこれらの枠体1〜3の四方内面間で囲まれた上記空間部5の横断面形状よりも小さく形成された立方体形状を有していて該ウエイト6の四方壁面と中間枠体2及び下側枠体3との対向面間に隙間5aを設けていると共にウエイト6の上端部を上記上側枠体1と略同一平面形状の一定厚みを有する矩形状の水平フランジ部6aに形成し、この水平フランジ部6aを上側枠体1の上面に重ね合わせてボルトにより一体に連結、固着し、該水平フランジ部6aを介してこのウエイト6を上側枠体1から上記空間部5内に吊り下げた構造としているものである。
【0016】
第1制振機構4Aと第2制振機構4Bとはその構造は同一(凹弧面の半径やローラの半径は建物の横断面形状によって異なる場合がある)であり、図4〜図7に示すように、下面が所定半径の下向きの凹弧面7bに形成されている挟圧部材7aと、上面がこの挟圧部材7aの凹弧面7bと同一半径を有する上向きの凹弧面8bに形成されている挟圧部材8aとを上下に対向させ、これらの上下挟圧部材7a、8aの対向する凹弧面7b、8b間に所定半径のローラ9を挟圧状態に介在させてなるものである。また、上側挟圧部材7aは取付板10の下面両側部の2個所にその凹弧面7bを下向きにして並設状態に一体に固着され、同様に、下側挟圧部材8aは上記取付板10と同一形状の取付板11の上面両側部の2個所にその凹弧面8bを上向きにして並設状態に一体に固着されている。さらに、上下取付板10、11の一側部対向面に挟圧部材7a、8aの凹弧面7b、8bと同一湾曲面に形成された上向き凹弧状のラック7cと下向き凹弧状のラック8cを上下に対向させてそれぞれ固着している。
【0017】
ローラ9は回転中心軸12上の2個所に上記並設された両側挟圧部材間と同一間隔を存して固着されてそれぞれ上下挟圧部材7a、8aの凹弧面7b、8bに挟圧されてあり、さらに、両ローラ9、9間に大径のガイドローラ13を一体に固着してこのガイドローラ13を両側の挟圧部材7a、7a及び8a、8aの対向側面間に介在させ、上下挟圧部材7a、8aとローラ9とが凹弧面方向に正確に相対移動が可能となるように構成している。また、ローラ9の一側方に該ローラ9と一体的に上記上下ラック7c、8cに噛合したピニオン14を固着し、振動時に上下挟圧部材7a、8aがローラ9を介して相対的に揺動する際に、スリップが生じることなく確実な揺動を行わせるように構成している。
【0018】
このように構成した制振機構4A、4Bにおいて、上側枠体1と中間枠体2との四隅部における対向面間に第1制振機構4Aを、そのローラ9の転動方向を同一方向(図1においては前後方向)に向けた状態で介在させて上下挟圧部材7a、8aの取付板10、11を上側枠体1の下面と中間枠体2の上面にそれぞれ固着してあり、中間枠体2と下側枠体3との四隅部における対向面間に第2制振機構4Bを、そのローラ9の転動方向を第1制振機構4Aのローラ9の転動方向に対して直角方向(図においては左右方向)に向けた状態にして介在させ、上下挟圧部材7a、8aの取付板10、11を中間枠体2の下面とき下側枠体3の上面にそれぞれ固着している。
【0019】
また、左右に対向する第1制振機構4A、4Aのローラ9、9間と前後に対向する第2制振機構4B、4Bのローラ9、9間とはそれぞれ同一回転中心軸12によって一体に連結している。さらに、回転中心軸12が存在しない上側枠体1と中間枠体2とにおける両側枠体部対向面において、図2に示すように、中間枠体2の上面に高粘性のオイルを収容してなる断面U字状の溝部材15をその長さ方向を中間枠体2の長さ方向に向けて固着する一方、上側枠体1の下面に抵抗板16を固着して該抵抗板16の下部を溝部材15内の高粘性オイルに没入させている。同様に回転中心軸12が存在しない中間枠体2と下側枠体3とにおける前後枠体部対向面において、図3に示すように、下側枠体3の上面に高粘性オイルを収容してなる溝部材15をその長さ方向を下側枠体3の長さ方向に向けて固着する一方、中間枠体2の下面に抵抗板16を固着して該抵抗板16の下部を溝部材15の高粘性オイル内に没入させている。
【0020】
17は中間枠体2の四方内面に固着した突起形状のゴム製の緩衝材であって、上記ウエイト6の四方壁面と中間枠体2との対向面間の隙間5aに向かって突設してあり、地震や強風の発生によってウエイト6が大きく揺動した時に、該ウエイト6を受止して制振機構4A、4Bのローラ9が上下挟圧部材から外れるのを防止するものである。なお、この緩衝材17は下側枠体3の四方内面から突設させておいてもよい。
【0021】
上記のように構成した制振装置Aは図8、図9に示すように、建物Bの最上層階の床C上の中央に設置し、その下側枠体3を床面上に固定される。そして、この制振装置Aにおいて、振動時にウエイト6が揺動する周期を建物全体の揺れの振動周期と一致させているものであり、制振装置Aの固有振動周期Tの設定は、制振機構4A、4Bの挟圧部材の凹弧面の半径Rとローラ9の半径rによって次式により決まる。
T=2π平方根〔2(R−r)/g〕(g:重力加速度)
又、建物Bは横断面長方形状等のように正面側の幅と側面幅とが異なっている場合、これらの方向に揺れる建物Bの固有振動周期が異なるので、夫々の揺れ方向に対応した上下制振機構4A、4Bの挟圧部材の凹弧面の半径Rとローラ9の半径rとを建物Bの固有振動周期と同一振動周期となるように設定してある。
【0022】
このように構成したので、地震が発生した場合或いは強風によって建物Bが前後方向に振動すると、上側枠体1に一体に固着して該上側枠体1から吊り下げているウエイト6も所定周期の位相遅れでもって同一方向に揺動を開始し、建物Bの振動エネルギーがウエイト6の振動エネルギーに変換されて建物Bの揺れが抑制されるものである。
【0023】
この場合、ウエイト6の揺動は、建物Bの揺れ方向に凹弧面7b、8bを設けた上下挟圧部材7a、8aを有する第1制振機構4Aによって行われ、該第1制振機構4Aの上下挟圧部材7a、8aがこれらの部材の対向凹弧面7b、8b間に介在させているローラ9の転動を介して前後方向に相対的に揺動するものである。同様に、建物Bが左右方向に振動した場合、その方向に凹弧面7b、8bを設けた上下挟圧部材7a、8aを有する第2制振機構4Bを介して建物Bの制振作用が行われるものである。従って、これらの第1制振機構4Aと第2制振機構4Bにより建物Bに作用する水平面方向における前後左右いずれの方向の振動も制振し得るのである。
【0024】
また、ウエイト6はその上端を上側枠体1に一体的に固定されて上側枠体1から該上側枠体1と中間枠体2及び下側枠体3とで囲まれた空間部5内に吊り下げられており、従って、制振装置全体の高さおよび重心位置が低くなって安定した装置の設置が可能となるばかりでなく、ウエイト6の重心高さが第1制振機構4Aと第2制振機構4Bの配設水平面に対して極めて接近した部位に位置するので、ウエイト6を介してのこれらの制振機構4A、4Bの作動を円滑且つ確実に行わせることができるものである。
【0025】
さらに、ウエイト6が大きく揺動した際にその周壁面が中間枠体2の内面から突設した緩衝材17に受止されることになり、そのため、ローラ9が制振機構4A、4Bの上下挟圧部材7a、8aから外れるのを阻止することができる。即ち、ウエイト6がストッパの役目を果たすことになる。なお、地震には種々の周波数の振動を含んでおり、このような変動振動は建物Bを大きく揺らすことはないが、居住性を阻害することになる。このため、上述したように上側枠体1と中間枠体2間、及び中間枠体2と下側枠体3間に互いにその作動方向を直交させた高粘性オイル収容溝部材15と抵抗板16とからなるオイルダンパーを配設し、これらのオイルダンパーによって変動振動を吸収するように構成しているものである。
【0026】
図10、図11は一方向のみの制振作用を行う制振装置を示すもので、上記の前後左右の揺れを制振する制振装置において、第1制振機構4A又は第2制振機構4Bの何れかと中間枠体2とを排除し、上下方向に間隔を存して重ね合わせられた上側枠体1と下側枠体3間に上記制振機構4A、4Bと同一構造を有する制振機構4を介在させると共に上側枠体1から下側枠体3内にウエイト6を吊り下げてなる構造としているものである。
【0027】
即ち、一定長さのI形鋼または角パイプを一体に組み合わせて略同一大きさの平面矩形状の上側枠体1と下側枠体3とを形成し、上側枠体1にウエイト6を吊支させて該ウエイト6を上側枠体1と下側枠体3の四方内面間で囲まれた空間部5内に垂下させている。ウエイト6はその横断面形状を空間部5の横断面形状よりも小さく形成されていて該ウエイト6の両側壁面と下側枠体3の振動方向に平行な対向面から突設した緩衝材17の先端との間に隙間5aを設けている。ウエイト6の上端部には上側枠体1と略同一平面形状の一定厚みを有する矩形状の水平フランジ部6aが一体に設けられてあり、この水平フランジ部6aを上側枠体1の上面に重ね合わせてボルトにより連結、固着し、該水平フランジ部6aを介してこのウエイト6を上側枠体1から上記空間部5内に吊り下げた構造としているものである。
【0028】
さらに、上側枠体1と下側枠体3との四隅部における対向面間に制振機構4を、そのローラ9の転動方向を同一方向(図10においては左右方向)に向けた状態で介在させて上下挟圧部材7a、8aの取付板10、11を上側枠体1の下面と下側枠体3の上面にそれぞれ固着している。また、前後に対向する制振機構4、4のローラ9、9間とを同一回転中心軸12によって一体に連結している。回転中心軸12が存在しない上側枠体1と下側枠体3とにおける前後枠体部対向面において、下側枠体3の上面に高粘性のオイルを収容してなる断面U字状の溝部材15をその長さ方向を前後枠体部の長さ方向に向けて固着する一方、上側枠体1の下面に抵抗板16を固着して該抵抗板16の下部を溝部材15内の高粘性オイルに没入させている。
【0029】
また、下側枠体3の左右枠体部の対向内面に突起形状のゴム製の上記緩衝材17を突設し、地震や強風の発生によってウエイト6が大きく揺動した時に、該ウエイト6を受止して制振機構4が上下挟圧部材から外れるのを防止している。
【0030】
このように構成した制振装置A1、A2は図12に示すように、建物Bの最上層階の床C上の2個所に互いに直交する方向に向けて固定する。即ち、一方の制振装置A1をそのローラ9の転動方向が前後方向となるように床C上に設置し、他方の制振機構A2をそのローラ9の転動方向が左右方向となるように床C上に設置する。
【0031】
このような設置状態において、地震が発生した場合或いは強風によって建物Bが前後方向に振動すると、上側枠体1に一体に固着して該上側枠体1から吊り下げているウエイト6も所定周期の位相遅れでもって同一方向に揺動を開始し、建物Bの振動エネルギーがウエイト6の振動エネルギーに変換されて建物Bの揺れが抑制されるものである。
【0032】
この場合、ウエイト6の揺動は、建物Bの揺れ方向に凹弧面7b、8bを設けた上下挟圧部材7a、8aを有する制振機構4によって行われ、建物Bが前後方向に揺れると、一方の制振装置A1の上下挟圧部材7a、8aがこれらの部材の対向凹弧面7b、8b間に介在させているローラ9の転動を介して前後方向に相対的に揺動し、建物Bが左右方向に振動した場合にはその方向に凹弧面7b、8bを設けた上下挟圧部材7a、8aを有する他方の制振装置A2を介して建物Bの制振作用が行われるものである。従って、これらの制振装置A1、A2により建物Bに作用する水平面方向における前後左右いずれの方向の振動も制振し得るのである。
【0033】
なお、建物Bの横断面形状が細長ければ短辺方向にだけ揺れが大きく生じるので、制振機構4としてはその方向の揺れを吸収するように設置しておけばよい。また、上側枠体1から吊支されたウエイト6の重量を大きくしたい場合には、上側枠体1の上面に重ね合わせたウエイト6の上端部の厚みを大きくすればよく、或いは、下側枠体3に脚部を設けてウエイト6の垂設長さを長くすることもできる。
【0034】
【発明の効果】
以上のように本発明の請求項1、2に係る制振装置によれば、平面矩形状の枠体を上下に配してこれらの上下枠体間の数個所に、対向面が凹弧面に形成された上下挟圧部材間にこれらの凹弧面で挟圧された状態で揺れ方向に転動するローラを介在させてなる制振機構を介在させ、さらに、これらの上下枠体で囲まれた空間中央部に上側枠体に吊支させたウエイトを配設した構造を有するものであるから、建物が制振機構のローラ転動方向に揺れた場合、上側枠体に吊支されているウエイトが上側枠体と一体的に所定周期の位相遅れでもって制振機構を介して振動を開始し、制振機構の上部挟圧部材がローラを介して下部挟圧部材の凹弧面上を揺動することにより建物の振動エネルギーを吸収して確実に制振することができる。
【0035】
さらに、ウエイトが平面矩形状の枠体で囲まれた空間中央部内に配設され、その上端部を上側枠体に吊支させているので、ウエイトが装置に内蔵された構造となって装置全体の高さ及び重心を低くすることができ、従って、安定した制振作用を発揮し得る上に良好な外観を呈して建物と良く調和させることができるものであり、その上、ウエイトが大きく揺動した場合、下側枠体の内面に当接してそれ以上の揺動を阻止され、従って、ウエイトの揺動方向に対して逆方向の振動エネルギーを急激に減衰させることができると共にウエイトがストッパーの役目を果たして上下挟圧部材の凹弧面上を転動するローラが上下挟圧部材間から外れるのを防止することができる。
【0036】
この場合、請求項3に記載したように、ウエイトと対向する枠体の内面に緩衝材を取付けておくことにより、ウエイトが枠体の内面に直接当接させることなく緩衝材に受止させて枠体やウエイトの損傷を防止することができる。また、請求項4に係る発明によれば、下側枠体に対して上側枠体が制振機構を介して揺動した場合、その揺動方向に下側枠体の上面に固着している粘性オイル収容溝部材内を上側枠体の下面に取付けている抵抗板が相対的に移動し、粘性オイルの粘性抵抗によって種々の周波数の振動を含んでいる地震の変動振動を吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】前後左右の制振機能を有する制振装置の簡略正面図、
【図2】その中間枠体を上方から見た状態の平面図、
【図3】下側枠体を上方から見た状態の平面図、
【図4】制振機構の側面図、
【図5】その正面図、
【図6】その縦断正面図、
【図7】下側挟圧部材を上から見た状態の平面図、
【図8】制振装置を設置した建物全体の簡略正面図、
【図9】その簡略平面図、
【図10】本発明の別な制振装置の簡略正面図、
【図11】その下側枠体を上方から見た状態の平面図、
【図12】この制振機構を設置した建物の簡略平面図。
【符号の説明】
1 上側枠体
2 中間枠体
3 下側枠体
4、4A、4B 制振機構
5 空間部
6 ウエイト
7a、8a 上下挟圧部材
7b、8b 凹弧面
9 ローラ
15 粘性オイル収容溝部材
16 抵抗板
17 緩衝材

Claims (4)

  1. 地表に対して水平方向に振動する建物の床上に設置して建物の振動を減衰する制振装置であって、平面矩形状に形成してなる枠体を上下に間隔を存して3層に重ね合わせ、上側枠体と中間枠体間の数個所に、対向面が凹弧面に形成された上下挟圧部材間にこれらの凹弧面で挟圧された状態で転動するローラを介在させてなる第1制振機構をそれらのローラを同一方向に向けた状態で介在させると共に中間枠体と下側枠体間の数個所に上記第1制振機構と同一構造を有する第2制振機構をそのローラが第1制振機構のローラと直交する方向に配した状態にして介在させ、さらに、上記上側枠体と中間枠体および下側枠体とで囲まれた空間中央部に上側枠体に吊支させたウエイトを配設したことを特徴とする建物の制振装置。
  2. 地表に対して水平方向に振動する建物の床上に設置して建物の振動を減衰する制振装置であって、平面矩形状に形成してなる枠体を上下に間隔を存して重ね合わせ状態に配して、これらの枠体間の数個所に対向面が凹弧面に形成された上下挟圧部材間にこれらの凹弧面で挟圧された状態で転動するローラを介在させてなる制振機構をそれらのローラを同一方向に向けた状態で介在させ、さらに、上記これらの上下枠体で囲まれた空間中央部に上側枠体に吊支させたウエイトを配設したことを特徴とする建物の制振装置。
  3. 上側枠体以外の枠体の内面に該ウエイトの対向面から間隔を存して緩衝材を取り付けていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の建物の制振装置。
  4. 上下に対向した枠体の対向面において、下側の枠体上に粘性オイルを収容している溝部材を配設し、上側の枠体の下面に該溝部材内を上記ローラの転動方向に移動可能に抵抗板を固着していることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の建物の制振装置。
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