JP3394330B2 - 衝撃ダンパーを用いた高層構造物における制振構造 - Google Patents

衝撃ダンパーを用いた高層構造物における制振構造

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JP3394330B2 JP18059194A JP18059194A JP3394330B2 JP 3394330 B2 JP3394330 B2 JP 3394330B2 JP 18059194 A JP18059194 A JP 18059194A JP 18059194 A JP18059194 A JP 18059194A JP 3394330 B2 JP3394330 B2 JP 3394330B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】A.発明の目的 (1) 産業上の利用分野 この発明は、高層建築物及び塔状構造物等の高層構造物
において付加重錘(付加質量体ともいう)によるダイナ
ミックダンパーを用いて風や地震等の強制外力により当
該構造物に生起する振動を低減する制振構造に関する。
【0002】(2) 従来の技術 高層建築物や塔状構造物等の高層構造物はその柔構造特
性から、風・地震等の外力を受けて大きく揺れる傾向が
あるが、その制振のために、ダイナミックダンパーを利
用することは公知である。そして、近年においては、そ
のダイナミックダンパーをコンピュータからの信号を受
け、油圧シリンダー等の起振器(アクチュエータ)を介
して能動的に作動させるいわゆるアクティブマスダンパ
ーが特に有効なものとして使用されている。
【0003】該アクティブマスダンパーにおいては、構
造物の屋上あるいは適宜階層内にボールベアリングや積
層ゴム体等の支持手段により移動可能に付加重錘を取り
付け、該付加重錘を油圧シリンダー等からなる起振器に
より構造物に作用する振動を打ち消す方向に加振させて
振動を低減するようになっている。そして、該加振器を
振動検出器・制御部を介して駆動するものである。すな
わち、構造物に入力する振動を振動検出器によって検出
し、該検出した振動を演算処理装置いわゆるコンピュー
ターにより振動の大きさ、周波数特性、応答加速度等を
解析した後、構造物の応答が最小となるような付加重錘
への最適加振力ならびに加振方向を算定し、該処理装置
の指令に基づき加振器を駆動し、付加重錘を加振するこ
とにより入力振動を打ち消すようになっている。図7は
その振動モデルを示すものであって、構造物Sは質量M
を有し、その屋上部にばね100、加振器102を備
え、質量mの付加重錘からなる1自由度のダイナミック
ダンパーPが配される。加振器102はセンサー106
からの検出信号を入力し解析する処理部104を介して
駆動される。
【0004】しかしながら、従来のアクティブマスダン
パーによれば、付加重錘は最大振幅に見合う移動域を保
持するように設定されており、このため大きなストロー
クを要し、また付加重錘の重量化が困難であるので自ず
からエネルギー散逸の増大化にも限度がある。このた
め、従来のアクティブマスダンパーによれば、振幅が大
きく、設置空間が大きくなる割には、エネルギー消費が
小さく、構造物の大型化に対処し得ないという問題があ
る。
【0005】(3) 発明が解決しようとする課題 本発明は、上記実情に鑑み、ダイナミックダンパーの特
性を活用しつつ、エネルギー散逸が大きく優れた制振性
能を発揮するとともに、設置空間の節約を図りうる高層
構造物における制振構造を得ることを目的とする。本発
明はこのため、いわゆる衝撃ダンパーの新規な適用のも
とにこの目的を達成しようとするものである。
【0006】B.発明の構成 (1) 問題点を解決するための手段 本発明の高層構造物における制振構造は、具体的には次
の技術的手段を採る。すなわち、第1番目の高層構造物
における制振構造の発明は、請求項1に記載のとおり、
主振動系の高層構造物において、付加重錘が重畳的に配
された2自由度以上のダイナミックダンパーが独立的に
配され、前記付加重錘の移動域の途中に剛性の調整され
た主振動系に属する被衝突物体(ストッパー)を配して
なることを特徴とする。 上記構成において、本発明に
採用されるダイナミックダンパーの付加重錘は起振器に
より駆動される態様、いわゆるアクティブマスダンパー
を採ることも、また、起振器を廃した態様を採ること
も、いずれも自由である。
【0007】図1は本発明の2自由度ダイナミックダン
パーによる基本モデルを示す。図において、1は主振動
系の高層構造物であり質量Mを有し、地盤Eに対し所定
の剛性をもって立設される。しかして、この構造物1上
に、もしくは構造物1内に、2つの質量m1,m2を有
する付加重錘2,3よりなる2自由度のダイナミックダ
ンパーDが配され、このダイナミックダンパーDに対し
て付加重錘2,3の移動域の途中に、この構造物1に固
設されるとともに剛性の調整された被衝突物体としての
ストッパー5が配される。
【0008】第2番目の高層構造物における制振構造の
発明は、請求項4に記載のとおり、主振動系の高層構造
物1において、主付加重錘2の上に副付加重錘3を重畳
的に配された2自由度以上のダイナミックダンパーが独
立的に配され、前記副付加重錘3の移動域の途中に剛性
の調整された主振動系に属する被衝突物体(ストッパ
ー)5を配してなることを特徴とする。
【0009】第3番目の高層構造物における制振構造の
発明は、請求項7に記載のとおり、主振動系の高層構造
物1において、主付加重錘2の上に副付加重錘3を重畳
的に配された2自由度以上のダイナミックダンパーが独
立的に配され、前記副付加重錘3の移動域の途中に剛性
の調整された主付加重錘に属する被衝突物体(ストッパ
ー)5を配してなることを特徴とする。
【0010】(2) 作用 第1番目の発明の制振構造について、基本モデルに基づ
いてその作用を説明する。風・地震等の外力を受けて構
造物1が揺れると、付加重錘2,3は相対的に構造物1
の揺れ変位と反対もしくは同一の方向に動く。構造物1
の振動幅が小さいとき、付加重錘2,3は通常のダイナ
ミックダンパー機能を発揮する。すなわち、付加重錘
2,3は一対のものとして構造物1に作用する振動を打
ち消す方向に反力を与えることになり、これにより構造
物の振動は低減される。構造物1の振動幅が大きくなる
と、付加重錘2,3はその移動域の途中に配されたスト
ッパー5に衝突する。そして、その衝突エネルギーが構
造物1の振動エネルギーを消散させる。本ダイナミック
ダンパーにおいては、付加重錘2,3が2自由度に配さ
れたものとなっているので、各々の付加重錘2,3は独
立して変位し、ストッパー5にわずかな時間差を存して
連続的に衝突する。これにより、より大きな衝突エネル
ギーを得る。更にまた、ストッパー5は剛度が低められ
て所定の剛度に調整されたものとなっているので、付加
重錘2,3の衝突前後の動きが容易に予測され、精確に
起振器を駆動することができる。
【0011】特に、請求項2の制振構造については、構
造物1の振動幅が小さいとき(これをレベル1と称す
る)、付加重錘2,3を起振器をもって能動的すなわち
アクティブに作用させ、いわゆるアクティブマスダンパ
ー機能を発揮させる。すなわち、付加重錘2,3は協同
して構造物1に作用する振動を打ち消す方向に反力を与
えることになり、これにより構造物の振動は低減され
る。構造物1の振動幅が大きくなると(これをレベル2
と称する)、付加重錘2,3をパッシブに作用させ、通
常のダイナミックダンパー機能を発揮させる。構造物1
の振動幅が更に大きくなると(これをレベル3と称す
る)、付加重錘2,3はその移動域の途中に配されたス
トッパー5に衝突する。そして、その衝突エネルギーが
構造物1の振動エネルギーを消散させる。
【0012】第2番目の発明の制振構造については、構
造物1の振動幅が小さいとき、主及び副付加重錘2,3
は受働的すなわちパッシブに作用し、通常のダイナミッ
クダンパー機能を発揮する。すなわち、主及び副付加重
錘2,3は一対のものとして構造物1に作用する振動を
打ち消す方向に反力を与えることになり、これにより構
造物の振動は低減される。構造物1の振動幅が大きくな
ると、副付加重錘3はその移動域の途中に配されたスト
ッパー5に衝突する。そして、その衝突エネルギーが構
造物1の振動エネルギーを消散させる。
【0013】特に、請求項5の制振構造については、構
造物1の振動幅が小さいとき、すなわちレベル1のと
き、副付加重錘3を起振器をもってアクティブに作用さ
せ、アクティブマスダンパー機能を発揮させる。すなわ
ち、副付加重錘3は主振動系並びに主付加重錘2の動き
に対応し、かつ主付加重錘2に協働して、構造物1に作
用する振動を打ち消す方向に反力を与えることになり、
これにより構造物の振動は低減される。構造物1の振動
幅が大きくなり、レベル2になると、主並びに副付加重
錘2,3はパッシブに動作し、通常のダイナミックダン
パー機能を発揮させる。構造物1の振動幅が更に大きく
なり、レベル3になると、副付加重錘3はその移動域の
途中に配されたストッパー5に衝突する。これにより、
主付加重錘2の変位が制限され、また、その衝突エネル
ギーが構造物1の振動エネルギーを消散させる。
【0014】第3番目の発明の制振構造については、構
造物1の振動幅が小さいとき、主及び副付加重錘2,3
は通常のダイナミックダンパー機能を発揮する。すなわ
ち、主及び副付加重錘2,3は一対のものとして構造物
1に作用する振動を打ち消す方向に反力を与えることに
なり、これにより構造物の振動は低減される。構造物1
の振動幅が大きくなると、副付加重錘3はその移動域の
途中に配されたストッパー5に衝突する。そして、その
衝突エネルギーが構造物1の振動エネルギーを消散させ
る。
【0015】特に、請求項8の制振構造については、構
造物の振動幅が小さいとき、すなわちレベル1のとき、
副付加重錘3を作用させ、アクティブマスダンパー機能
を発揮させる。すなわち、副付加重錘3は主振動系並び
に主付加重錘2の動きに対応し、かつ主付加重錘2に協
働して、構造物に作用する振動を打ち消す方向に反力を
与えることになり、これにより構造物の振動は低減され
る。構造物の振動幅が大きくなり、レベル2になると、
主並びに副付加重錘2,3はパッシブに動作し、通常の
ダイナミックダンパー機能を発揮させる。構造物の振動
幅が更に大きくなり、レベル3になると、副付加重錘3
はその移動域の途中に配されたストッパーに衝突する。
これにより、主付加重錘2の変位が制限され、また、そ
の衝突エネルギーが構造物1の振動エネルギーを消散さ
せる。
【0016】更に、請求項10に具現化される制振構造
については、2つの副付加重錘3A,3Bにより減衰性
が増大し、主付加重錘2の変位幅が小さくなる。
【0017】(3) 実施例 本発明の高層構造物における制振構造の実施例を図面に
基づいて説明する。 (第1実施例) 図2及び図3はその一実施例(第1実施例)を示す。す
なわち、図2はその縦断面構成を示し、図3はその平面
構成を示す。これらの図において、先の基本モデルと同
等の部材については同一の符号が付されている。また、
図において、X,Yは構造物1の平面層のそれぞれ直角
方向成分の座標を示す。
【0018】図2及び図3に示されるように、本実施例
のダイナミックダンパーDにおいては、第1の付加重錘
(主付加重錘)2は転動子10に支持されて構造物1の
床面上に転動自在に配され、第2の付加重錘(副付加重
錘)3はこの第1の付加重錘2上に同じく転動子11に
転動自在に支持される。これらの付加重錘2,3は一方
向、図例ではX方向への移動のみが許容される。すなわ
ち、本実施例では、付加重錘2,3の側面部に対応する
構造物1の壁体1Aに固設された案内部材12に沿って
一方向へのみ移動するようになされているが、その他適
宜の一方向移動規制手段を採用しえる。
【0019】第1の付加重錘2の下面には突起2aが突
出され、構造物1の床面に凹設された凹部1a内に十分
な移動域を存して配される。しかして、突起2aと凹部
1aとの間には、ばね体14と、起振器15とが介装さ
れる。同様にして、第1の付加重錘2の上面の凹部2b
と該凹部2b内に配される第2の付加重錘3の下面の突
起3aとの間には、ばね体16と起振器17とが介装さ
れる。ばね体14,16は所要のばね定数と減衰性を有
し、付加重錘2,3の復帰作用をなす。また、起振器1
5,17は付加重錘2,3をそれぞれ独立して強制的に
変位させる。該起振器15,17は電気信号により正確
かつ迅速に作動する電磁式油圧シリンダー、電磁パルス
により駆動される電磁パルス起振器、等が使用される。
【0020】ストッパー5は、構造物1の一部をなし、
その剛性を調整され、第1・第2の付加重錘2,3の移
動域の途中に配される。図において、ばね5a,5bを
もってその調整された剛性を表示する。第1ばね5aは
第1の付加重錘2に対してのものであり、第2ばね5b
は第2の付加重錘3に対するものである。すなわち、ス
トッパー5は構造物1の一部をなすものであるが、構造
物1の躯体とは異なった所定の剛性、換言すれば低い剛
性を持つように形成される。
【0021】上述したダイナミックダンパーDはX方向
のみの移動が許容される態様のものであるが、Y方向の
みのものに関しても配置態様が変わるだけで、同一構成
を採る。
【0022】図4は本ダイナミックダンパーDの平面配
置の一例を示す。図において、DxはX方向ダイナミッ
クダンパー、DyはY方向ダイナミックダンパーを示
し、構造物1の適宜階層に配される。通常は、構造物1
の固有振動モードの卓越する個所が選ばれる。
【0023】なお、起振器15,17は、コンピュータ
からの駆動信号を受けて駆動されるものであるが、その
回路構成は図7に示す従来公知の構成を採る。
【0024】(実施例の作用・効果) このように構成された本実施例の高層構造物における制
振構造は次のように作動する。風・地震等の外力を受け
て構造物1が揺れると、付加重錘2,3は構造物1と変
位的に独立したものとなっているので、相対的に構造物
1の揺れ変位と反対もしくは同一の方向に動く。構造物
1の振動幅が小さいとき、すなわちレベル1のとき、付
加重錘2,3を起振器15,17をもって能動的すなわ
ちアクティブに作用させ、いわゆるアクティブマスダン
パー機能を発揮させる。すなわち、付加重錘2,3は協
働して、構造物1に作用する振動を打ち消す方向に反力
を与えることになり、これにより構造物の振動は減衰さ
れる。この付加重錘2,3の変位は起振器15,17に
より正確に制御される。
【0025】構造物1の振動幅が大きくなると、起振器
15,17は中立(ニュートラル)状態となり、先ずレ
ベル2では、付加重錘2,3はパッシブに作用し、通常
のダイナミックダンパー機能を発揮する。更に、構造物
1の振動幅が大きくなりレベル3に達すると、付加重錘
2,3はその移動域の途中に配された第1・第2ばね5
a,5bを介してストッパー5に衝突する。そして、そ
の衝突エネルギーが構造物1の振動エネルギーを消散さ
せる。本ダイナミックダンパーDにおいては、付加重錘
2,3が2自由度に配されたものとなっているので、各
々の付加重錘2,3は独立して変位し、ストッパー5に
連続的に、換言すればわずかな時間差を存して衝突す
る。これにより、より大きな衝突エネルギーを得る。更
にまた、ストッパー5は剛度が低められて調整されたも
のとなっているので、付加重錘2,3の衝突前後の動き
が正確に予測される。
【0026】このように、本実施例の高層構造物におけ
る制振構造によれば、ストッパー5は剛性の調整された
ものであり、付加重錘2,3は2自由度であるので、付
加重錘2,3の衝突前後の運動が正確に予測され、か
つ、制御でき、これにより、大きな衝突エネルギーを得
ることができる。付加重錘2,3の衝突エネルギーによ
り大きなエネルギー散逸を図ることができ、構造物1の
振動はより速く減衰される。この結果、付加重錘2,3
の移動は小さいので、ダイナミックダンパーの小型化を
達成でき、設置空間の節減を図ることができる。
【0027】(第2実施例) 図5は本発明の他の実施例(第2実施例)を示す。図に
おいて、先の実施例と同等の部材については同一の符号
が付されている。本実施例の制振構造によれば、ダイナ
ミックダンパーDを構成する2つの付加重錘2,3がそ
れぞれ独立して構造体1に取り付けた起振器15,17
により駆動されることを特徴とする。その作用・効果は
第1実施例に準じる。
【0028】(第3実施例) 先の図例(第1実施例、第2実施例)では、第1及び第
2の付加重錘2,3はともにストッパー5に衝接するも
のであるが、第2の付加重錘3のみがストッパー5に衝
接する態様は本発明の他の実施例(第3実施例)を構成
する。すなわち、本実施例の制振構造は図2・図3ある
いは図5において、ストッパー5に付設された第1ばね
5aが省略されたものであり、他の構成は変わりがな
い。構造物1の振動幅が小さいとき、すなわちレベル1
のとき、付加重錘2,3を起振器をもって能動的すなわ
ちアクティブに作用させ、いわゆるアクティブマスダン
パー機能を発揮させる。すなわち、付加重錘2,3は協
働して、構造物1に作用する振動を打ち消す方向に反力
を与えることになり、これにより構造物の振動は減衰さ
れる。これらの付加重錘2,3の変位は起振器15,1
7により正確に制御される。構造物1の振動幅が大きく
なると、先ずレベル2では、付加重錘2,3をパッシブ
に作用させ、通常のダイナミックダンパー機能を発揮さ
せる。更に、構造物1の振動幅が大きくなりレベル3に
達すると、第2の副付加重錘3はその移動域の途中に配
されたばね5bを介してストッパー5に衝突する。本実
施例において、起振器17のみをもって第2の副付加重
錘3をアクティブに作用させても本質的な差異はない。
【0029】(第4実施例) 図6は本発明の更に他の実施例(第4実施例)を示す。
先の実施例(第1〜第3実施例)ではいずれもストッパ
ーが構造物1に設置されたものであるが、本実施例では
ストッパーが第1のいわゆる主付加重錘内に設置され
る。本図において、先の実施例と同等の部材について、
同一の符合が付されている。もっと詳しくは、本実施例
では、構造物1の床面に転動子10を介して、主付加重
錘2が移動自在に支持され、また、この主付加重錘2内
にストッパー5を挟んで互いに反対方向に変位する2つ
の副付加重錘3(第1副付加重錘3A、第2副付加重錘
3B)が転動子11を介して移動自在に支持される。主
付加重錘2は構造物1にばね体14を介して所定の復元
力並びに減衰性をもって取り付けられ、また、2つの副
付加重錘3A,3Bも主付加重錘2にばね体16を介し
て所定の復元力並びに減衰性をもって取り付けられる。
【0030】しかして、この構成のダンパは次のように
作動する。構造物1の振動幅が小さいとき、主及び副付
加重錘2,3はパッシブに動作し、通常のダイナミック
ダンパー機能を発揮する。すなわち、主及び副付加重錘
2,3は一対のものとして構造物1に作用する振動を打
ち消す方向に反力を与えることになり、これにより構造
物の振動は低減される。構造物1の振動幅が大きくなる
と、副付加重錘3A,3Bはその移動域の途中に配され
たストッパー5に衝突する。そして、その衝突エネルギ
ーが構造物1の振動エネルギーを消散させる。この構成
によれば、2つの副付加重錘3A,3Bは互いに対向し
て設置されることにより、減衰性が増大し、主付加重錘
2の変位の制限幅をより小さく採ることができる。
【0031】同図のダンパーDにおいて、主付加重錘2
と構造物1との間、及び副付加重錘3と主付加重錘2と
の間にそれぞれ起振器15,17(破線表示)を介装さ
せることができる。この起振器15,17の作動により
アクティブマスダンパーとしてレベル1の振動に対応す
ることができる。なお、この場合、主付加重錘2に対す
る起振器15を省略することができる。
【0032】本発明は上記各実施例に限定されたもので
はなく、本発明の基本的技術思想の範囲内で種々設計変
更が可能である。すなわち、以下の態様は本発明の技術
範囲内に包含されるものである。叙上の実施例では、
付加重錘が2個のいわゆる2自由度のものを示したが、
付加重錘が3個(3自由度)もしくはそれ以上のものを
除外するものではない。図例では一方向のダイナミッ
クダンパーを示したが、各付加重錘2,3が全方向へ移
動しうる無方向性のダイナミックダンパーを採用しう
る。この場合、各付加重錘2,3は円形断面形状をなし
ストッパー5も円形をなす。
【0033】C.発明の効果 本発明の高層構造物における制振構造によれば、ストッ
パーは剛性の調整されたものであり、付加重錘は少なく
とも2自由度であるので、付加重錘の衝突前後の運動が
正確に予測され、かつ、制御でき、これにより、大きな
衝突エネルギーを得ることができる。また、付加重錘の
衝突エネルギーにより大きなエネルギー散逸を図ること
ができ、構造物の振動はより速く減衰される。付加重錘
の移動は小さいので、ダイナミックダンパーの小型化を
達成でき、設置空間の節減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高層構造物における制振構造の基本モ
デルを示す図。
【図2】その一実施例(第1実施例)の縦断面図。
【図3】図2のIII −III 線断面図。
【図4】ダイナミックダンパーの平面配置図。
【図5】本発明の他の実施例(第2実施例)の縦断面
図。
【図6】本発明の更に他の実施例(第4実施例)の縦断
面図。
【図7】従来のダイナミックダンパーによる制振構造の
概念図。
【符号の説明】
D…ダイナミックダンパー、1…高層構造物、2…第1
の付加重錘(主付加重錘)、3…第2の付加重錘(副付
加重錘)、3A…第1副付加重錘、3B…第2副付加重
錘、5…ストッパー、15,17…起振器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 下田 郁夫 神奈川県藤沢市桐原町8番地 オイレス 工業株式会社藤沢事業場内 (72)発明者 持丸 昌已 神奈川県藤沢市桐原町8番地 オイレス 工業株式会社藤沢事業場内 (72)発明者 永井 潔 東京都港区北青山2丁目5番8号 株式 会社間組内 (72)発明者 木本 幸一郎 東京都港区北青山2丁目5番8号 株式 会社間組内 (56)参考文献 特開 平5−10053(JP,A) 特開 平2−204582(JP,A) 特開 平3−272343(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04H 9/02 341

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】主振動系の高層構造物において、 付加重錘が重畳的に配された2自由度以上のダイナミッ
    クダンパーが独立的に配され、 前記付加重錘の移動域の途中に、該主振動系に揺れが生
    じたとき小さい振動幅に対しては該付加重錘は衝突せ
    ず、該主振動系の大きい振動幅に対しては該付加重錘が
    衝突する剛性の調整された主振動系に属する被衝突物体
    を配してなる、ことを特徴とする高層構造物における制
    振構造。
  2. 【請求項2】付加重錘は起振器により駆動される請求項
    1に記載の高層構造物における制振構造。
  3. 【請求項3】付加重錘は2自由度のダイナミックダンパ
    ーである請求項1又は2に記載の高層構造物における制
    振構造。
  4. 【請求項4】主振動系の高層構造物において、 主付加重錘の上に副付加重錘を重畳的に配された2自由
    度以上のダイナミックダンパーが独立的に配され、 前記副付加重錘の移動域の途中に、該主振動系に揺れが
    生じたとき小さい振動幅に対しては該付加重錘は衝突せ
    ず、該主振動系の大きい振動幅に対しては該付加重錘が
    衝突する剛性の調整された主振動系に属する被衝突物体
    を配してなる、ことを特徴とする高層構造物における制
    振構造。
  5. 【請求項5】副付加重錘は起振器により駆動される請求
    項4に記載の高層構造物における制振構造。
  6. 【請求項6】主及び副付加重錘は2自由度のダイナミッ
    クダンパーである請求項4又は5に記載の高層構造物に
    おける制振構造。
  7. 【請求項7】主振動系の高層構造物において、 主付加重錘の上に副付加重錘を重畳的に配された2自由
    度以上のダイナミックダンパーが独立的に配され、 前記副付加重錘の移動域の途中に、該主振動系に揺れが
    生じたとき小さい振動幅に対しては該付加重錘は衝突せ
    ず、該主振動系の大きい振動幅に対しては該付加重錘が
    衝突する剛性の調整された主付加重錘に属する被衝突物
    体を配してなる、ことを特徴とする高層構造物における
    制振構造。
  8. 【請求項8】主及び副付加重錘は起振器により駆動され
    る請求項7に記載の高層構造物における制振構造。
  9. 【請求項9】主及び副付加重錘は2自由度のダイナミッ
    クダンパーである請求項7又は8に記載の高層構造物に
    おける制振構造。
  10. 【請求項10】副付加重錘は主付加重錘の上に被衝突物
    体を介して互いに反対方向に変位する2つの第1副付加
    重錘と第2副付加重錘とからなる請求項7に記載の高層
    構造物における制振構造。
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