JP3747612B2 - 鋼板の巻取方法及び装置 - Google Patents

鋼板の巻取方法及び装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼板の巻取方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、例えば熱間圧延鋼板をコイラにて巻取る際には、この熱間圧延鋼板の尾端がコイラ設備内で跳ねることを防止するため、また巻取った熱間圧延鋼板(巻取材)の巻き形状を良好に保つため、ラッパーロールにより巻取材の尾端を押付ける、いわゆるテーリング制御を行っている。
【0003】
従来のテーリング制御の一つとして、例えば以下の技術が挙げられる。
テーリング制御開始前、ラッパーロールは巻取コイルの外径の予測値から、一定間隔隔てた外側の位置で待機しておく。熱間圧延鋼板の尾端位置をトラッキングし、巻取完了のタイミングでラッパーロールを閉方向へ動作させる。この閉動作中に巻取材への押付圧力を検出し、この押付圧力を設定のテーリング押付圧力(低圧力)制御へ切換えて、巻取り完了させるものである。
【0004】
また、特開昭55−84222号公報には、ダウンコイラのラッパーロール位置を、コイルの厚さに応じて変えてゆく制御方法において、ラッパーロールに加えられる押付力を検出し、この押付力が予め定められた望ましい押付力と比較し、差があると望ましい押付力に保てるようラッパーロールの位置を変えるラッパーロールの制御方法が開示されている。この技術はラッパーロールをコイルの巻き始め直後からコイルの外径に押付けておくもので、この押付力を検出し、これが適正値になるようにラッパーロールの位置を変えるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来、ラッパーロールの巻取材への押付圧力が熱間圧延鋼板等の板形状に与える影響は明確ではなかった。また、従来のラッパーロールのテーリング制御は、ラッパーロールのテーリング制御開始前の待機位置からラッパロールがコイル外径に接触するまでは、位置制御にて高速でラッパーロールを動作させ、コイル外径に接触したことを圧力により検出した後、低押付圧力の定圧制御に切換えるという制御方式であった。この従来の制御技術では、ラッパーロールがコイル外径に接触する際に、衝撃力が加わりその過大な押付圧力により、鋼板形状が悪化し、特に中伸びとなるという問題点があった。
【0006】
本発明では、ラッパーロールにてテーリング制御を実施する際に、鋼板の形状を乱さない押付力制御を提供するものである。また、この基準押付力以下でテーリング制御を実施するためのテーリング制御方法及び装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、コイラに巻取った鋼板の尾端をラッパーロールで押さえるにあたり、ラッパーロールと巻取り中のコイル外周面との距離を測定し、該距離が所定値以下となった時点で、該ラッパーロール押付力を熱間圧延鋼板の板形状を乱さないように予め設定した値に切替え、ラッパーロールを前進させて鋼板外面に押付けることを特徴とする鋼板の巻取方法を提供する。本発明は、ラッパーロールを用いて鋼板の尾端を押付ける制御方法において、良好な圧延鋼板形状を得るために、ラッパーロールの鋼板への押付力を制限する制御を行うものである。
【0008】
記良好な形状を得る条件を満足するために、ラッパーロールと巻取り中のコイル外周面との距離を測定し、該距離が所定値以下となった時点で、ラッパーロールの押付力を熱間圧延鋼板の板形状を乱さないように予め設定した値以下となるような押付力としてラッパーロールを前進させて鋼板外面に押付ける。すなわち本発明は予測制御によってラッパーロールを鋼板にソフトタッチさせるものである。
【0009】
上記方法は次の装置を用いることによって、容易に実施をすることができる。すなわち、本発明の装置は、ラッパーロールと巻取り中のコイル外周面との距離を測定する距離計と、この距離計による測定結果に基づいてラッパーロールの押付力を調整する装置とラッパーロールを前進させる前進後退装置とを備えたことを特徴とする鋼板の巻取装置である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明によれば、ラッパーロールの鋼板への押付力を、ラッパーロールと鋼板とが接している間、常に基準値以下にするため、鋼板の板形状を良好に保つことができる。特に、ラッパーロールがコイル外周に接触する際の圧力を基準値以下とすることで板形状を良好に保つことができる。また、ラッパーロールと巻取り中の鋼板のコイル外周面との距離を正確に測定し、その測定結果に基づき、ラッパーロールの押付力を調整するようにしたので、鋼板への押付力を一定値以下とすることができるようになる。
【0011】
ラッパーロールの押付力を一定値以下に保つ方法としては、以下の公知の方法を用いればよい。ラッパーロール駆動用の油圧シリンダについては、ロッド側、反ロッド側それぞれの作動油の圧力を圧力センサによって検出しており、この出力差をとることによって、油圧シリンダの駆動圧力、すなわちラッパーロール押付力を演算することができる。この検出した押付力と、目標とする所定の押付力との偏差が零になるようなサーボループにより、押付力を一定に保つことができる。
【0012】
本発明の実施例を図を用いて説明する。
図1は、本発明による熱間圧延鋼板巻取装置の概要を示す説明図である。熱間圧延鋼板1の尾端をコイラマンドレルロール4に巻取完了する前に、予め定めた時間又は距離タイマー分だけ前のタイミングで、ラッパーロール2の閉動作を開始する。この閉動作開始タイミングは、ランアウトテーブルに設置したトラッキング検出器3の検出値およびコイラマンドレルロール4の回転数から、熱間圧延鋼材1の尾端検出を行い実施すればよく、帯板のコイルへの巻付を2巻分位残した時点で押付圧を基準値以下としたラッパーロールをコイル外周へ押し当てればよい。また、ラッパーロール2と巻き取り中の熱間圧延鋼板の外周面6との距離は、コイラーハウジングに設置した距離検出器5とラッパーロールを動作させる図示省略した油圧シリンダのストローク位置とから計測する。又は、距離検出器5をラッパーロール自体に装着してもよい。巻き取り中の熱間圧延鋼板の外周面6へのラッパーロール2の押付は、計測された熱間圧延鋼板の外周面6とラッパーロール2との距離から、ラッパーロール2が熱間圧延鋼板の外周面6に接触する瞬間に、予め設定した熱間圧延鋼板の板形状を乱さない低圧力で行うようにすればよい。このように、コイルとラッパーロール間の距離を測って所定位置までは高圧(高速)でラッパーロールを移動し、その後低圧(低速)でコイルに押し当てるようにすることで、ラッパーロール移動の時間短縮が可能となる。
【0013】
コイラーハウジングに設置した距離検出器(距離計)とラッパロールを前後進させる油圧シリンダの位置を用いてラッパーロールとコイル外周面距離を測定する場合のフローチャートを図4に示した。鋼板の尾端が所定の位置を通過したとき制御を開始し、ラッパーロールとコイル外周面間の距離を演算し、この距離が設定距離内でないときはラッパーロールを高圧(高速)で閉とし演算を繰り返す。設定距離以内になったら、ラッパーロール押付力目標を低圧に切替え、ラッパーロールを低圧(低速)で閉め、ラッパーロールがコイル外周にタッチしたら、一定押付圧(低圧)制御し、巻取り完了する。
【0014】
本発明の効果を従来例と比較して図2、図3のタイムチャートで示した。図2は本発明の実施例である。図3は従来技術を示すもので、ラッパーロールがコイル外周面と接触した後押付圧力を検出しこの検出に基づき低圧力制御に切り換えるフィードバック方式の制御を示すものである。
図2、図3は横軸に時間を取ってあり、1目盛り5秒、縦軸にラッパーロールの押付力を取ってあり、1目盛り10トンである。図2、3には、テーリング開始時刻11、21、コイルタッチ時刻12、22、押付力のピーク値13、23、コイラ停止時刻14、24、押付力15、25がそれぞれ示されている。
【0015】
図3に示す比較例では、ラッパーロールが巻き取られた熱間圧延鋼板の外周面に接触したコイルタッチ時刻22の瞬間に非常に過大な押付力が加わっており、押付力のピーク値23は最終押付力25に比べて約5倍の大きな値を示している。これに対し、図2に示す実施例では、あらかじめ低圧力とした状態でラッパーロールが巻き取られた熱間圧延鋼板の外周面と接触しており、押付力のピーク値13は最終押付力15とほぼ等しい。これにより、熱間圧延鋼板の板形状の劣化を防止することができる。なお、熱延後の変形を起こし易い鋼板に限らず、ラッパーロールを用いてコイル尾端の巻き緩みを防止しつつ鋼板を巻き取る場合はすべての場合に有効である。
【0016】
また、ラッパーロール押し付け時の低圧力について、本例では6トン程度としているが、これは板厚、品種、温度等を考慮して板に変形を発生しない押付力とすればよい。
【0017】
【発明の効果】
本発明により、鋼板を巻取る際に、ラッパーロールの鋼板に対する押付力を低圧に抑えることができ、板形状の悪化を著しく改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による熱間圧延鋼板巻取り装置の説明図である。
【図2】実施例の制御効果を示すタイムチャートである。
【図3】比較例の制御を示すタイムチャートである。
【図4】実施例のフローチャートである。
【符号の説明】
1 熱間圧延鋼板(熱間圧延鋼板)
2 ラッパーロール
3 トラッキング検出器
4 コイラマンドレルロール
5 距離検出器
6 熱間圧延鋼板外周面
11、21 テーリング開始時刻
12、22 コイルタッチ時刻
13、23 押付力のピーク値
14、24 コイラ停止時刻
15、25 押付力

Claims (2)

  1. コイラに巻取った鋼板の尾端をラッパーロールで押さえるにあたり、ラッパーロールと巻取り中のコイル外周面との距離を測定し、該距離が所定値以下となった時点で、該ラッパーロール押付力を熱間圧延鋼板の板形状を乱さないように予め設定した値に切替え、ラッパーロールを前進させて鋼板外面に押付けることを特徴とする鋼板の巻取方法。
  2. ラッパーロールと巻取り中のコイル外周面との距離を測定する距離計と、該距離計による測定結果に基づき該ラッパーロールの押付力を調整する装置と、ラッパーロールを前進させる前進後退装置とを備えたことを特徴とする鋼板の巻取装置
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