JP3746950B2 - 浴槽内の温水を用いる温水暖房装置 - Google Patents

浴槽内の温水を用いる温水暖房装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術の分野】
本発明は、浴槽に貯留された温水を用いて暖房を行う温水暖房装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、浴槽に貯留された温水を利用した温水暖房装置としては、特開平1−147229号において風呂の残り湯を床下に配設された床暖房パネルに供給して床暖房に用いるものが開示されている。この種の温水暖房装置においては、床下に配設された床暖房パネルや循環路内に湯垢や油分等が付着するのを防止するため、供給される温水をフィルタにより濾過してから床暖房パネルに供給している。
【0003】
しかしながら、このようにフィルタを用いて床暖房パネルに供給される温水を濾過した場合であっても、長期間の使用により床暖房パネルや循環路の内壁に前記フィルタを通過した湯垢等が付着し、暖房能力が低下するという不都合がある。また、定期的にフィルタの交換を行わなければならず、装置の維持管理が面倒であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、浴槽に貯留された温水を用いて暖房を行う温水暖房装置の改良を目的とし、さらに詳しくは前記不都合を解消するために、長期間使用した場合であっても暖房能力が低下することのない温水暖房装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本願発明者等が種々実験を行った結果、前記循環路や前記温水ヒータ内を流れる温水の流速が毎秒0.5m以上であれば、前記循環路や前記温水ヒータ内に湯垢等が付着しないことを知見した。
【0006】
そこで、前記目的を達成するために本発明の温水暖房装置は、暖房に用いられる温水ヒータと、該温水ヒータと浴槽とを接続する循環路と、該循環路に接続され前記温水ヒータに前記浴槽内の温水を供給する循環ポンプと、該循環ポンプの作動を制御する制御手段とを備え、前記循環ポンプを作動させて前記浴槽内に貯留されている温水を前記循環路を介して前記温水ヒータに供給して暖房運転を行う温水暖房装置であって、前記制御手段は、前記温水ヒータ内に流れる温水の流速を毎秒0.5m以上とする速流運転を行うことを特徴とする。
【0007】
本発明の温水暖房装置においては、前記温水ヒータ内に湯垢等が付着しないように前記温水ヒータ内に流れる温水の流速を毎秒0.5m以上とする速流運転を行う。これにより、浴槽内に貯留された温水を用いて暖房を行った場合であっても、前記温水ヒータに湯垢等が付着しないので、フィルター等を用いることなく長期間使用しても暖房能力が低下しない温水暖房装置を提供することができる。本発明の温水暖房装置においては、前記暖房運転の際に常に温水の流速を毎秒0.5m以上の速流運転としてもよく、前記暖房運転の際は流速を毎秒0.5m未満とし、前記暖房運転とは別個に前記速流運転を行ってもよい。
【0009】
さらに、本発明の温水暖房装置は、前記循環路に、前記温水ヒータからの復水を前記浴槽の外に排出する排水路と、前記温水ヒータからの復水を前記浴槽に戻すか前記排水路から排出するかを切り換える切換弁とを設け、前記制御手段により、暖房運転の指示がなされたときに前回の暖房運転から所定期間が経過しているときは、前記速流運転時に少なくとも前記浴槽内の温水が前記排水路から排水されるまで前記切換弁を介して前記循環路と前記排水路とを接続し、その後前記切換弁を切り換えて前記循環路と前記排水路とを遮断することを特徴とする
【0010】
温水暖房装置は、通常気温が高くなると使用されなくなる。従って、気温の低い時期が終わって温水暖房装置が使用されなくなってから気温が低くなって再度使用される時期までには何カ月かの長い期間が経過する。このように、長い不使用期間の後に温水暖房装置を使用するときは、浴槽内の温水を温水暖房装置に供給してその復水を浴槽内に戻すのは使用者の心理上抵抗がある。そこで、本発明の温水暖房装置においては、暖房運転の指示がなされたときに前回の暖房運転から所定期間が経過しているときは、少なくとも前記浴槽内の温水が前記排水路から排水されるまで前記切換弁を前記排水路に接続して前記循環路及び前記温水ヒータ内を清浄な状態とする。また、その後に前記切換弁を切り換えて前記循環路と前記排水路とを遮断する。これにより、長い不使用期間の後に温水暖房装置を使用する場合であっても、使用者の心理上の抵抗を生じさせることがない。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の温水暖房装置の実施形態の一例について、図1乃至図3を参照して説明する。図1は本発明の実施形態の一例である温水暖房装置を示す説明図、図2は温水ヒータがトイレ内の水タンクに設置されている状態を示す説明的断面図、図3は図1の温水暖房装置の作動を示すフローチャートである。
【0012】
本実施形態の温水暖房装置1は、図1に示すように、浴槽2内に貯留されている温水を利用してトイレ3内に設置される温水ヒータ4を加熱し、トイレ3内を暖房するものである。この温水暖房装置1は、主に入浴後の浴槽2内の残り湯を利用してトイレ3内を暖房するものである。
【0013】
温水暖房装置1は、浴槽2に接続される第1循環パイプ5と、熱源機6に接続される第2循環パイプ7と、温水ヒータ4に接続される第3循環パイプ8と、第3循環パイプ8の復路8bに接続され温水ヒータ4からの復水を排出する排水パイプ9との接続を切り換える切換ユニット10を備えている。この切換ユニット10には、第1循環パイプ5と第2、第3循環パイプ7,8との接続を切り換える第1切換弁11と、第3循環パイプ8の復路8bと排水パイプ9との接続を切り換える第2切換弁12と、浴槽2内の温水を温水ヒータ4に循環させる循環ポンプ13とを備えている。
【0014】
また、切換ユニット10内には、第1及び第2切換弁11,12と循環ポンプ13の作動を制御する制御手段であるコントローラ14と、第3循環パイプ8の往路8a側に設けられ温水ヒータ4に供給される温水の温度を検出するサーミスタ15が内蔵されている。また、浴槽2の近傍の第1循環パイプ5には、浴槽2内の温水の水位を検知する水位センサ16が設けられている。コントローラ14は、サーミスタ15と、水位センサ16と、浴室内に設けられ浴槽2の湯張りや追焚等の運転を制御する浴室リモコン17と、トイレ3内に設置されているトイレ用リモコン18に電気的に接続されている。この浴室リモコン17及びトイレ用リモコン18には温水暖房装置1の運転のON/OFFを操作する運転スイッチ19が設けられている。
【0015】
温水ヒータ4は、図2に示すように、トイレ3内の貯水タンク20の前面に断熱材21を介して一体に配設され第3循環パイプ8の往路8aと復路8bとが接続されている。また、温水ヒータ4内には貯水タンク20の上部から手洗い用の水を給水する給水パイプ22が螺旋状に配設されており、手洗い用の水が温水ヒータ4内で暖められるようになっている。
【0016】
次に、本実施形態の温水暖房装置1の作動について図1乃至図3を参照して説明する。まず、使用者が入浴を行うときは通常温水暖房装置1は運転されておらず、運転スイッチ19はOFFの状態となっている(STEP1においてNO)。このように温水暖房装置1が運転されていないときは、切換ユニット10においては、コントローラ14は第1切換弁11により第1循環パイプ5と第2循環パイプ7とを接続した状態となっている(STEP2)。なお、第2切換弁12により第3循環パイプ8の復路8bと排水パイプ9とは遮断されている。この状態で浴槽2内の温水の追焚を行ったときは、浴槽2内の温水は熱源機6に内蔵されている循環ポンプ(図示せず)によって第1及び第2循環パイプ5,7を介して浴槽2と熱源機6との間で循環され、熱源機6によって加熱される。
【0017】
次に、使用者が入浴を終え浴室リモコン17又はトイレ用リモコン18の運転スイッチ19をONにしたときは(STEP1においてYES)、コントローラ14は、第1循環パイプ5と第3循環パイプ8とを接続する(STEP3)。また、前回の暖房運転が行われてからの期間が1カ月を越えているかどうかを検出する(STEP4)。冬季などでほぼ毎日暖房運転が行われているときは、前回の暖房運転が行われてから1カ月以内である(STEP4においてYES)。従って、コントローラ14は温水ヒータ4、第1及び第3循環パイプ5,8内に流れる温水の流速が毎秒0.5m以上となるように循環ポンプ13を作動させて速流運転を行う(STEP5)。このとき、第2切換弁12により第3循環パイプ8の復路8bと排水パイプ9とは遮断されている。この、速流運転が行われる時間は、少なくとも温水が第1循環パイプ5、温水ヒータ4及び第3循環パイプ8内を通過して浴槽2内に戻される時間とする。この時間は循環ポンプ13の吐出量と第1循環パイプ5、温水ヒータ4及び第3循環パイプ8の断面積から計算される。この速流運転によって、第1循環パイプ5、温水ヒータ4及び第3循環パイプ8内に湯垢等が付着することを防止することができる。
【0018】
速流運転が終了すると、コントローラ14は暖房運転を開始する(STEP6)。この暖房運転においては、温水ヒータ4、第1及び第3循環パイプ5,8内に流れる温水の流速が毎秒0.5m未満となるように循環ポンプ13を作動させる。この暖房運転によって、浴槽2内の温水を利用してトイレ3内を暖房することができると共に、手洗い用の水を暖めることができる。この暖房運転においては、コントローラ14はサーミスタ15によって温水ヒータ4に供給される温水の温度を検出しており、コントローラ14は温水の温度が温水ヒータ4により暖房をするために充分な温度である規定値(例えば20℃)以上であるときは暖房運転を継続する(STEP7においてNO)。そして、温水の温度が規定値未満になったときは(STEP7においてYES)、循環ポンプ13の作動を停止させて暖房運転を終了させる(STEP8)。このとき、トイレ用リモコン18に暖房運転が終了した旨が報知される。
【0019】
暖房運転が終了すると、コントローラ14は速流運転を開始する(STEP9)。そして、浴槽2内の温水が排水されない間は(STEP11においてNO)、1時間ごと(STEP10においてYES)に速流運転を行う(STEP9)。これにより、暖房運転終了後に第1循環パイプ5、温水ヒータ4及び第3循環パイプ8内に湯垢等が付着するのを防止することができる。また、使用者により浴槽2の温水が排水された場合は(STEP11においてYES)、水位センサ16によって水位の低下が認識されるので、コントローラ14は循環ポンプ13を作動させて温水ヒータ4及び第3循環パイプ8内に残留している温水を第1循環パイプ5から浴槽2内に排出し(STEP12)、浴槽2内の温水と共に浴槽2外に排出する。
【0020】
一方、例えば夏期から秋期にかけて温水暖房装置1が使用されておらず、冬季になって初めて使用者により暖房運転の操作がなされたときには、前回の暖房運転から1カ月以上が経過している(STEP4においてNO)。このとき、コントローラ14は、第2切換弁12によって第3循環パイプ8の復路8bと排水パイプ9とを接続し(STEP13)、この状態で速流運転を行う(STEP14)。この速流運転においては、浴槽2内の温水が第3循環パイプ8及び温水ヒータ4を通過して排水パイプ9から排出されるため、第3循環パイプ8及び温水ヒータ4内が清浄な状態となる。この速流運転は、少なくとも浴槽2内の温水が第3循環パイプ8及び温水ヒータ4内を通過して排水パイプ9から排出されるまで行う。そして、速流運転の終了後は、コントローラ14が第2切換弁12を切り換えて第3循環パイプ8の復路8bと排水パイプ9とを遮断し(STEP15)、温水の流速が毎秒0.5m未満の暖房運転を行う(STEP6)。
【0021】
以上のように、本実施形態の温水暖房装置1によれば、浴槽2内の残り湯でトイレ3の暖房を行うと共に手洗い用の水の加熱するので、新たに燃料を消費することなく暖房等を行うことができる。また、速流運転を行うことにより第3循環パイプ8及び温水ヒータ4内に湯垢等が付着しないため、長期間使用しても暖房能力が低下するおそれがない。また、温水ヒータ4はトイレ3の貯水タンク20に断熱材21を介して一体となっているためコンパクトであり、狭いトイレであっても設置することができる。さらに、本実施形態においては、暖房運転時は温水の流速を毎秒0.5m未満としているので、循環ポンプ13の消費電力も少なく、騒音も小さい。
【0022】
なお、上記実施形態においては、速流運転を行った後に毎秒0.5m未満の流速で暖房運転を行っているが、これに限らず、暖房運転において常に温水の流速を毎秒0.5m以上としてもよい。また、上記実施形態においては、温水ヒータ4をトイレ3の室内を暖房するヒータとしているが、これに限らず、トイレ3の床や洗面所の床等を暖房する床暖房パネルとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の一例である温水暖房装置を示す説明図。
【図2】温水ヒータがトイレ内の水タンクに設置されている状態を示す説明図。
【図3】図1の温水暖房装置の作動を示すフローチャート。
【符号の説明】
1…温水暖房装置、2…浴槽、4…温水ヒータ、5…第1循環パイプ(循環路)、8…第3循環パイプ(循環路)、13…循環ポンプ、14…コントローラ(制御手段)

Claims (1)

  1. 暖房に用いられる温水ヒータと、該温水ヒータと浴槽とを接続する循環路と、該循環路に接続され前記温水ヒータに前記浴槽内の温水を供給する循環ポンプと、該循環ポンプの作動を制御する制御手段とを備え、前記循環ポンプを作動させて前記浴槽内に貯留されている温水を前記循環路を介して前記温水ヒータに供給して暖房運転を行う温水暖房装置であって、
    前記循環路に、前記温水ヒータからの復水を前記浴槽の外に排出する排水路と、前記温水ヒータからの復水を前記浴槽に戻すか前記排水路から排出するかを切り換える切換弁とを設け、
    前記制御手段は、前記温水ヒータ内に流れる温水の流速を毎秒0.5m以上とする速流運転を行い、暖房運転の指示がなされたときに前回の暖房運転から所定期間が経過しているときは、前記速流運転時に少なくとも前記浴槽内の温水が前記排水路から排水されるまで前記切換弁を介して前記循環路と前記排水路とを接続し、その後前記切換弁を切り換えて前記循環路と前記排水路とを遮断することを特徴とする温水暖房装置。
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