JP3746522B2 - イネ科植物の発芽種子由来のタンパク質および不溶性食物センイを含有する物質並びにその用途 - Google Patents
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Description
本発明は、イネ科植物の発芽種子由来のタンパク質および不溶性食物センイを含有する物質およびその用途に関する。
背景技術
潰瘍性大腸炎はわが国では1970年代頃から急速に患者数が増加してきた疾患で、激しい粘血性下痢、腹痛などを主訴とし、直腸に初発後、寛解と再発を繰り返しながら次第に上行性に深部大腸へと広がってゆく慢性かつびまん性の大腸の疾患である。この疾患の原因については、食事の西欧化に伴って増加したことから、食事との関連が検討されているが、現在のところ不明である。また、ある種の自己免疫疾患ではないかという説もあるが、いまのところ定説はなく、治療についても有用な薬は殆どなく、サラゾスルファピリジン系の薬剤が軽症の場合において治療効果があるとされている位である。この薬剤にしても、投与量が非常に多く、抗生物質の一種であるため下痢などの副作用が問題となることもある。
現在開発が進められている潰瘍性大腸炎治療剤にしても、このサラゾスルファピリジン系のものの改良に過ぎず、副作用についてはあまり改良されていないのが現状である。
ところで、癌はわが国において、現在、死亡原因の1位とされている。また癌は極めて難治性の疾患であり、治癒率もそれほど高くないのが現状である。現在は癌の治療法として外科的切除術、放射線照射、化学療法(抗癌剤投与)、免疫療法などがあり、それぞれの治療法において急速な進歩が見られている。しかしながら、単独の治療法で癌を治療することは現在極めて困難とされている。
外科的手法は、癌細胞そのものを取り除いてしまうことからかなり有効な手法ではあるが、これだけでは完全な治癒は難しくほとんどの場合放射線療法や化学療法を併用されている。その際にいちばん問題となるのが、放射線療法や化学療法で生じる副作用である。どちらの治療法にしても、細胞増殖活性の極めて高い癌細胞を攻撃するため、腸の粘膜細胞のような増殖速度の高い組織にもかなりのダメージを与えることになる。その結果腸粘膜がかなり損傷を受け、経口で摂取した栄養素の吸収の著しい低下やそれにともなった激しい下痢などが生じて、患者はかなりのダメージを受けることになる。ひどい場合にはそれがもとで死亡してしまうことすらある。その際に腸の粘膜を保護し、下痢などを防止するのに有効な手段は今までのところほとんど見あたらなかった。
また、大腸ガンやクローン病などで腸管を大量に切除した患者は、手術後消化不良や電解質吸収不全などにより、通常の排便に困難が生じ下痢などが極めて高い頻度で発生し、通常の社会生活にかなり大きな影響が出てくる。また何らかの原因で人工肛門などを装着した患者も同様な悩みを抱えている。これらの問題を解決する現状の手段としては、吸収残さの少ない経口流動食などがある。しかし、この経口流動食は、患者に経済的な負担をかけるほか、摂取にはある程度の苦痛を伴い、なおかつ食事制限がかかってくるため精神的な負担も強いることとなるため、これらの負担を軽減できる有効な手段が切望されていた。
従って、本発明は、上記の課題を解決できる安全な素材を提供することを目的とする。
また、本発明は、かかる素材を含む医薬組成物および食品組成物を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、潰瘍性大腸炎を治療する方法を提供することも目的とする。
さらにまた、本発明は、癌治療の副作用を防止または低減する方法を提供することも目的とする。
本発明は、また、腸管切除患者や人工肛門設置患者の排便を改善する方法を提供することも目的とする。
発明の開示
本発明者らは、前記課題を解決すべく検討を重ねた結果、イネ科植物の発芽種子から分離された物質であって、タンパク質と不溶性食物センイを含んだ画分からなる物質(以下、「タンパク質−不溶性食物センイ含有物質」という。)が、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。本発明の要旨は、以下の通りである。
(1)イネ科植物の発芽種子から分離された物質であって、タンパク質と不溶性食物センイを含有する物質。
(2)イネ科植物の発芽種子から分離された物質であって、タンパク質と不溶性食物センイを含有する物質を有効成分として含む医薬組成物。
(3)イネ科植物の発芽種子から分離された物質であって、タンパク質と不溶性食物センイを含有する物質を含む食品組成物。
(4)イネ科植物の発芽種子から分離された物質であって、タンパク質と不溶性食物センイを含有する物質を有効量で患者に投与することを含む、潰瘍性大腸炎を治療する方法。
(5)イネ科植物の発芽種子から分離された物質であって、タンパク質と不溶性食物センイを含有する物質を有効量で患者に投与することを含む、癌治療の副作用を防止または低減する方法。
(6)イネ科植物の発芽種子から分離された物質であって、タンパク質と不溶性食物センイを含有する物質を有効量で患者に摂取させることを含む、腸管切除患者の排便を改善する方法。
(7)イネ科植物の発芽種子から分離された物質であって、タンパク質と不溶性食物センイを含有する物質を有効量で患者に摂取させることを含む、人工肛門設置患者の排便を改善する方法。
(8)医薬としての、イネ科植物の発芽種子から分離された物質であって、タンパク質と不溶性食物センイを含有する物質の使用。
(9)潰瘍性大腸炎を治療するための、イネ科植物の発芽種子から分離された物質であって、タンパク質と不溶性食物センイを含有する物質の使用。
(10)癌治療の副作用を防止または低減するための、イネ科植物の発芽種子から分離された物質であって、タンパク質と不溶性食物センイを含有する物質の使用。
(11)食品としての、イネ科植物の発芽種子から分離された物質であって、タンパク質と不溶性食物センイを含有する物質の使用。
(12)腸管切除患者の排便を改善するための、イネ科植物の発芽種子から分離された物質であって、タンパク質と不溶性食物センイを含有する物質の使用。
(13)人工肛門設置患者の排便を改善するための、イネ科植物の発芽種子から分離された物質であって、タンパク質と不溶性食物センイを含有する物質の使用。
本発明のイネ科植物の発芽種子由来の物質は、副作用がないという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
第1図は、実験群1および比較群1の下痢スコアを示す。
第2図は、比較群1の糞の様子(2−1)、実験群1の糞の様子(2−2)を示す生物の形態の写真である。
第3図は、実験群1および比較群1の大腸粘膜の様子を示す生物の形態の写真である。
第4図は、実験群2、3および比較群2の下痢スコアを示す。
第5図は、実験群4および比較群3の下痢スコアを示す。
第6図は、実験群5および比較群4の下痢スコアを示す。
第7図は、実験群6、7および比較群5〜7の下痢スコアを示す。
第8図は、実験群1aおよび比較群1a、2aの糞乾燥重量を示す。
第9図は、実験群1aおよび比較群1a、2aの小腸粘膜の様子(それぞれ、9-2、9-1および9-3)を示す生物の形態の写真である。
第10図は、実験群1bおよび比較群1bの糞便の様子を示す写真である。
第11図は、実験群1bおよび比較群1bの肛門付近の様子を示す写真である。
発明を実施するための最良の形態
本発明において、タンパク質−不溶性食物センイ含有物質とは、前述のようにイネ科植物の発芽種子から得られた成分である。イネ科植物とは、植物分類表において、イネ科に分類されるすべての植物を指す。具体的には米、大麦、小麦、ライ麦、あわ、ひえ、とうもろこし等が例示されるが、これに限定されるものではない。このうち、米、大麦およびライ麦などが好ましい。このイネ科植物の発芽種子を原料にして、タンパク質の含量が10〜70重量%で、不溶性食物センイの含量が20〜70重量%、好ましくはタンパク質の含量が10〜60重量%で、不溶性食物センイの含量が20〜50重量%のタンパク質−不溶性食物センイ含有物質を分離すればよい。ここでいうタンパク質の含量とは、ケルダール法を用いて得られた窒素量に、タンパク質換算係数として6.25を乗じて得た数値から求めたものである。また、食物センイの含量は、印南、桐山編集の「食物繊維」(pp38-pp40第一出版1989)に示されている方法に基づいて求めた各食物センイの和とした。
このような、タンパク質−不溶性食物センイ含有物質を製造する具体的な方法としては、次の方法があげられる。つまり、イネ科植物の発芽種子を穀皮表面から徐々に削り穀皮を除去した(重量がもとの原料の重量の90%前後になるまで)後、アロイロン層や胚芽を含んだ画分を徐々に削り、胚乳だけになったところ(重量がもとの原料の重量の約80%前後になるまで)で終了し、アロイロン層−胚芽画分を分取すればよい。なお、この際の重量はあくまで目安であり、電子顕微鏡などでアロイロン層等の観察を行って分画を行うことが望ましい。
さらに経済的には、ビール原料として利用した後の大麦麦芽であるビール粕を利用するのが好ましい。このビール粕からタンパク質−不溶性食物センイ含有物質を得る具体的な方法の例としては特公平4−31666号公報に記載された方法を用いることができる。すなわち、湿体状態にあるビール粕を圧ぺん粉砕処理し、得られた圧ぺん粉砕処理物を水の存在下においてふるい分け処理すればよい。タンパク質−不溶性食物センイ含有物質はそのふるいを通過した画分である。詳細には、まず、湿体状態のビール粕を圧ペン粉砕処理する。ビール粕の圧ぺん処理には被処理原料に圧縮力を与える構造の粉砕機であればいかなる物でも使用可能であるが、特にロールミルの使用が望ましい。ロール間の間隙は0.05〜2mm、好ましくは0.1〜0.3mmである。ビール粕を圧ぺん処理する際に、ビール粕中の水分を65%以上に調整することが望ましい。次に、得られた圧ぺん粉砕処理物を水の存在下においてふるい分け処理する。このふるい分け処理により、穀皮画分がふるい上に残り、タンパク質−食物センイ含有画分がふるいを通過する。ふるい目の寸法は5〜50メッシュ、好ましくは20〜50メッシュとする。タンパク質−食物センイ含有画分を効率よく得るために、前記の圧ぺん処理とこのふるい分けを2〜5回繰り返して行うのがよい。上記のようにして得られるふるいを通過した画分は、通常、乾燥させてから用いられる。乾燥方法は特に限定されないが具体例としては、50〜100℃の温度の温風乾燥する方法、あるいは凍結乾燥による方法などがあげられる。また、場合によっては、湿体状態で用いることもできる。その場合の含水率は、通常、10〜90%程度に調整するとよい。
これらの素材に含まれるタンパク質を酵素等で低分子化することで水への分散性を高めてもよい。例えば、タンパク質−不溶性食物センイ含有物質を、pH9の水に分散させてから、オートクレーブなどの加熱分散処理を施す。液温が50℃になってからアルカリプロテアーゼ(例としてノボ社のアルカラーゼ)を0.02%前後添加して約24時間反応させることで、平均ペプチド鎖長が約5〜8となるようにタンパク質を低分子化することができる。なお、平均ペプチド鎖長は、TNBS法によって測定できる(中村ら、日本食品工業学会誌38 377-383 1991)。
また、タンパク質画分をある程度除去することにより不溶性食物センイ含量を高めてもよい。例えば、タンパク質−不溶性食物センイ含有物質を人工消化の方法に従って処理する方法がある(的場ら,Journal of Japanese Society of Food and Nutrition, 34 415-421 1981)。これは、タンパク質−食物センイ画分を、ペプシン塩酸溶液とパンクレアチン塩酸溶液中で順次反応後、未消化画分を得る方法である。どのように処理して、食物センイ含量を70重量%まで高めることができる。以上のような方法があるが特に限定されるものではない。
このタンパク質−不溶性食物センイ含有物質を経口投与することで潰瘍性大腸炎に由来する激しい下痢を改善するのみならず、日常的に摂取することにより潰瘍性大腸炎そのものにかかりにくくすることができる。この目的のためには、このタンパク質−不溶性食物センイ含有物質を1日あたり、1g以上、好ましくは12g以上摂取することが望ましい。タンパク質−不溶性食物センイ含有物質はイネ科植物の発芽種子から得られた成分であるので、過剰摂取は何等問題がなく、日常の食生活に取り入れることができる。また、投与ないしは摂取の時期は、食前、食間および食後のいずれの時期でもよい。
このタンパク質−不溶性食物センイ含有物質は、癌治療の副作用を防止または低減するために使用してもよい。癌治療としては、ガンマー線などの放射線を照射する放射線療法、メトトレキセートやフルオロウラシルなどの抗癌剤を投与する化学療法、およびそれらを併用する療法を挙げることができ、癌治療の副作用としては、腸粘膜損傷およびそれに伴う下痢などを挙げることができる。本発明においては、このタンパク質−不溶性食物センイ含有物質を癌治療の前に少なくとも1日前に投与すればよく、望ましくは1週間前から投与を行う。あるいはまた、このタンパク質−不溶性食物センイ含有物質を癌治療と同時かその後に投与してもよい。成人で一日あたり1g以上、好ましくは12g以上投与する。本素材はイネ科食物の発芽種子から得られた物質であり、過剰に摂取しても何等問題がない。したがって、癌治療をおこなっている期間、継続的に投与することが望ましい。
また、このタンパク質−不溶性タンパク質を経口で摂取することで腸管大量切除または人工肛門設置患者の便通改善を促すことができる。本発明のこの目的のためには、このタンパク質−不溶性食物センイを1日あたり、4g以上、好ましくは12g以上摂取することが望ましい。タンパク質−不溶性食物センイはイネ科食物の発芽種子由来の成分であるので、過剰摂取は何等問題がない。
本発明のタンパク質−不溶性食物センイ含有物質を飲食品に添加してもよい。本発明のタンパク質−不溶性食物センイ含有物質を添加することのできる飲食品としては、天然物およびその加工品を含む飲食物等を挙げることができる。飲食品1gに対し、上記のタンパク質−不溶性食物センイ含有物質を0.01〜1g添加することができる。また、本発明のタンパク質−不溶性食物センイ含有物質を、溶液、懸濁液、粉末、顆粒、カプセル剤などの形態に製剤化して、飲食品に添加してもよい。
本発明のタンパク質−不溶性食物センイ含有物質を医薬として製剤化して使用することもできる。この場合、製剤の投与形態は特に限定されないが、例えば投与経路として、経口投与、経腸投与等を挙げることができる。経口投与または経腸投与の場合、上記のタンパク質−不溶性食物センイ含有物質をそのまま投与してもよいが、医薬的に許容できる賦形剤とともに、液剤、懸濁剤、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤などの形態で投与してもよい。その場合、製剤中の上記のタンパク質−不溶性食物センイ含有物質の含有量は、1〜50%が適当であり、1〜30%程度が好ましい。賦形剤としては、乳糖、白糖、ブドウ糖などの糖類、デンプン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム等の無機物、結晶セルロース、蒸留水、精製水、ゴマ油、ダイズ油、トウモロコシ油、オリーブ油、綿実油等の一般に使用されているものを例示することができる。製剤化する際には、結合剤、滑沢剤、分散剤、懸濁剤、乳化剤、希釈剤、緩衝剤、抗酸化剤、細菌抑制剤などの添加剤を使用することができる。また、他の医薬品と混合、あるいは併用することも可能である。なお、上記の製剤は殺菌処理を行なってもよい。
以下の実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明の範囲はこれらの実施例により限定されるものではない。実施例中、特にことわらない限り、%表示は重量基準によるものとする。
〔調製例1〕
湿体状態のビール粕(水分:77.6%重量%)をロールミル(ロール回転数:100rpm,ロール間隙:0.1mm)で圧ぺんした後、水中で50メッシュふるいを用いてふるい分けし、その通過画分をスチームドライヤーで乾燥した後、粉砕してタンパク質−不溶性食物センイ含有物質を得た。この分析値は第1表および第2表に示すとおりである。
第1表に示した粗タンパク質はケルダール法を用いて(窒素のタンパク質換算係数は6.25とした。)、粗脂肪はジエチルエーテルを抽出溶媒としたソックスレー抽出法を用いて、灰分は当該試料をるつぼに入れて直接灰化法で測定し、食物センイは第2表で得られたヘミセルロース、セルロース、リグニンの合計量として算出した。
第2表に示したヘミセルロース、セルロース、リグニンの分析は、印南、桐山編集の「食物繊維」(pp38-pp40第一出版1989)に示されている方法に基づいて行った。
〔調製例2〕
ロールミルの間隙を2mmにして、別のビール粕を原料に調製例1と同様の処理を行い、タンパク質含量、不溶性食物センイ含量の異なるビール粕由来のタンパク質−不溶性食物センイ含有物質を得た。この分析値を第3表に示す。
〔調製例3、4〕
調製例1で示した方法のうち、別のビール粕を原料にロールミルや水中フルイの条件を若干変えてタンパク質含量、不溶性食物センイ含量の異なるビール粕由来のタンパク質−不溶性食物センイ含有物質を得た。この分析値を第4表に示す。
〔調製例5〕
調製例1で得られたタンパク質−不溶性食物センイ含有物質を原料に水への分散性の良い素材を調製した。
調製例1で得られたタンパク質−不溶性食物センイ含有物質を50g(乾燥状態のもの)量りとり、水酸化ナトリウムでpHを9に調製して1Lに定量した。これにオートクレーブ(121℃,10分)などの加熱処理を施し50℃に冷却後アルカリプロテアーゼ(例としてノボ社のアルカラーゼ)を0.02%前後添加して24時間反応させ、その後酵素を加熱失活させて凍結乾燥をおこなった。これを粉砕して極めて水への分散性の良いタンパク質−不溶性食物センイ含有物質を得た。なお本品の平均ペプチド鎖長をTNBS法(中村ら、日本食品工業学会誌38 377-383 1991)によって測定したところ、約5〜8であった。
〔調製例6〕
調製例1で得られたタンパク質−不溶性食物センイ含有物質から、食物センイ含量を高めた素材を調製した。
調製例1で得られた画分を100gサンプリングし、酵素溶液(0.087% pepcin/0.096N HCl+0.03M NaCl)を1600ml添加しさらに0.1M NaHCO3を1200ml添加して37℃で4時間反応させて加熱失活後、濾液が中性になるまで水洗洗浄後、酵素溶液(2.17% pancreatin/Tris-HCl 0.5M pH8)を1000ml添加し、さらに0.01N HClを4000ml加え37℃で24時間以上(ここでは26時間)反応後加熱失活させて濾過洗浄して凍結乾燥を行なってから粉砕した。この処理により、タンパクの含量は15%、食物センイの含量は70%になった。
〔試験例1〕
調製例1で得られたタンパク質−不溶性食物センイ含有物質を用いて潰瘍性大腸炎の激しい下痢や大腸粘膜の異常を治療できるかについて実験した。
材料及び方法
供試動物として、SD系雄ラット(3週令、50g前後)を1週間固形飼料(CE−2、日本クレア製)で予備飼育して実験環境に順化したものを各群5匹ずつに区分けして使用した。試験例1で用いた飼料は第5表に示すとおりである。
潰瘍性大腸炎はデキストラン硫酸ナトリウムを飼料に混合して与えることで実験的に発症させた。なおこの方法は岩永らの方法を改良したものである(Journal of Gastroenterology 29, 430-438, 1994)。タンパク質−不溶性食物センイ含有物質も飼料に混合して与えるものとし、自由摂取とした。5日間飼育後、糞便及び肛門の様子を観察し、下痢の様子をスコア化して評価した。その後大腸を全摘出し10%ホルマリン緩衝液で固定後粘膜の切片を作成し、粘膜像の観察も行った。
結果
結果を第1図〜第3図に示す。第1図は、実験群1および比較群1の下痢スコアを示す。第1図の下痢スコアは、下痢の程度を0;正常、1;やや柔らかい、2;かなり柔らかい、3;採糞がほぼ不可能、4;下痢だけでなく肛門に若干爛れがある、5;肛門の爛れがかなりひどい下痢の6段階に分けて各ラットのスコアをつけて平均をとったものである。第2図は、比較群1の糞の様子(2−1)、実験群1の糞の様子(2−1)を示す。第3図は、実験群1および比較群1の大腸粘膜の様子を示す。第1図〜第3図に示すように、タンパク質−不溶性食物センイ含有物質を摂取したときにのみ、下痢の改善や大腸粘膜の損傷が防止された。また、タンパク質−不溶性食物センイ含有物質を摂取したときにのみ、肛門の爛れも防止できた。第2図および第3図において各実験群1例ずつの開示にとどめたが、タンパク質−不溶性食物センイ含有物質摂取群のうち5匹中4匹で正常な粘膜像が観察された。本実験により、潰瘍性大腸炎誘発剤と同時に摂取しても、タンパク質−不溶性食物センイ含有物質は有効に症状の改善を促すことがわかった。なお,調製例2〜4のタンパク質−不溶性食物センイ含有物質についても同様な効果が認められる。
〔試験例2〕
調製例1で得られたタンパク質−不溶性食物センイ含有物質を用いて潰瘍性大腸炎の激しい下痢や大腸粘膜の異常を治療できるかについて実験した。
材料及び方法
基本的には試験例1に準じたが、試験例1に記載の比較群1(対照群)の飼料で予め5日間飼育して全ラットに潰瘍性大腸炎を発症させてから第6表に示すデキストラン硫酸ナトリウムを含まない飼料で3日間飼育して下痢の回復の程度を試験例1と同様にスコア化して評価した。なお、試験例1の結果から、下痢が治まったものは大腸粘膜も極めて正常に近いものと判断した。
結果
結果を第4図に示す。第4図は、実験群2、3および比較群2の下痢スコアを示す。スコア化による評価の方法は、試験例1と同様である。第4図に示すように、タンパク質−不溶性食物センイ含有物質を摂取した群では下痢の回復が極めて早かった。その程度は現在治療薬と用いられているサラゾスルファピリジンよりも有意に良いものであった。本実験により、潰瘍性大腸炎になった後に摂取しても、タンパク質−不溶性食物センイ含有物質は有効に病状の改善を促すことがわかった。なお,調製例2〜4のタンパク質−不溶性食物センイ含有物質についても同様な効果が確認できる。
〔試験例3〕
調製例5で調製したタンパク質−不溶性食物センイ含有物質を用いて潰瘍性大腸炎の激しい下痢や大腸粘膜の異常を治療できるかについて実験した。
材料及び方法
基本的には試験例1に準じて行った。試験例3で用いた飼料は第7表に示すとおりである。5日間飼育後、糞便及び肛門の様子を観察し、下痢の様子をスコア化して評価した。
結果
結果を第5図に示す。第5図は、実験群4および比較群3の下痢スコアを示す。スコア化による評価の方法は、試験例1と同様である。第5図に示すように、調製例5のタンパク質−不溶性食物センイ含有物質も、極めて有効に潰瘍性大腸炎の主たる症状を改善した。
〔試験例4〕
調製例6で調製したタンパク質−不溶性食物センイ含有物質を用いて潰瘍性大腸炎の激しい下痢や大腸粘膜の異常を治療できるかについて実験した。
材料及び方法
供試動物として、Std−ddY系雄マウス(6週令、30g前後)を1週間固形飼料(CE−2、日本クレア製)で予備飼育して実験環境に順化したものを各群5匹ずつに区分けして使用した。試験例4で用いた飼料は第8表に示すとおりである。
潰瘍性大腸炎はデキストラン硫酸ナトリウムを飼料に混合して与えることで実験的に発症させた。なおこの方法は岩永らの方法を改良したものである(Journal of Gastroenterology 29, 430-438 1994)。調製例6のタンパク質−不溶性食物センイ含有物質も飼料に混合して与えるものとし、自由摂取とした。3日間飼育後、4日目に糞便及び肛門の様子を観察し、下痢の様子をスコア化して評価した。
結果
結果を第6図に示す。第6図は、実験群5および比較群4の下痢スコアを示す。スコア化による評価の方法は、試験例1と同様である。第6図に示すように、調製例6のタンパク質−不溶性食物センイ含有物質も、極めて有効に潰瘍性大腸炎の主たる症状を改善した。
〔試験例5〕
調製例1で得られたタンパク質−不溶性食物センイ含有物質を用いて抗癌剤使用時の激しい腸粘膜損傷や下痢を防止または改善できるかどうかについて評価した。
材料及び方法
SD系雄ラット(4週令)を固形飼料(CE−2、日本クレア製)で1週間予備飼育してから組分けを行い、(組分け時の体重136.2g)1群の匹数は5匹とした。その後1週間第9表に示す試験飼料を自由摂取させて飼育し、7日目から3日間連続してメトトレキセート(日本レダリー社製)を腹腔内に5mg/kg体重で投与した。さらに5日間飼育して5日目に4時間絶食させた後ウレタン麻酔下にて空腸(胃幽門部から15ー30cmの部分)をサンプリングした。その後ホルマリンで固定し、パラフィン包埋してヘマトキシーエオジン染色を行い顕微鏡で観察した。
比較例として、1)比較対照群(食物センイをセルロースとした)と2)腸粘膜にとって極めて良い栄養源とされているグルタミンを添加した群を設定した。最後の3日間に採糞し、乾燥重量を測定した。
結果
結果を第8図および第9図に示す。第8図は、実験群1aおよび比較群1a、2aの糞乾燥重量を示す。比較群1aおよび2aは、下痢が激しかった。第9図は、実験群1aおよび比較群1a、2aの小腸粘膜の様子(それぞれ、2-2、2-1および2-3)を示す。第8図および第9図に示すように、タンパク質−不溶性食物センイ含有物質を摂取した実験群1aでは糞便排泄が正常だったが、比較群1aおよび2aでは下痢のため乾燥糞便排泄量低下が認められた。また腸粘膜像の観察結果から、タンパク質−不溶性食物センイ含有物質を摂取したときのみ正常な粘膜像が認められ、抗癌剤の副作用から腸粘膜が保護されていると思われる。
〔試験例6〕
調製例1で得られたタンパク質−不溶性食物センイ含有物質を用いて放射線照射による腸粘膜損傷を低減もしくは防止できうるかについて評価した。
材料及び方法
ST−Wistar系雄ラット(3週令)をカゼイン−蔗糖食(第10表の比較群3aの基本飼料)で1週間予備飼育してから組分けを行い、1群の匹数は7匹とした。その後10日間第10表に示す試験飼料を摂取させ11日目にラットの下腹部に限定して10Gy(60Coを線源とする)の放射線を照射した。その後さらに8日間飼育した時の生存率をもって、放射線による腸粘膜損傷に対するタンパク質−不溶性食物センイ含有物質の防止効果を判定した。
結果
結果は第11表に示すとおりで、タンパク質−不溶性食物センイ含有物質を摂取した場合に於いて死亡率の低下が認められ、これは放射線による腸粘膜の損傷を低減したことによるものと考えられる。
〔試験例7〕
調製例1で得られたタンパク質−不溶性食物センイ含有物質を用いて下部消化管(大腸)を大量に切除した場合に通常の糞便形成が行なわれるかどうかを検討した。
材料及び方法
供試動物として、SD系雄ラット(4週令、50g前後)を2週間、第12表に示す飼料で予備飼育して実験環境に順化したものを各群10匹ずつに区分けして、肛門と骨盤内に残存する大腸を残して大腸部分を全摘出し、小腸の末端と大腸の残りの部分で端々吻合を行い、2日間の回復後、第12表に示す飼料を再度投与して1週間飼育して、その時の糞便の様子及び肛門の様子を観察した。
結果
飼育最終日に糞便及び肛門の様子を観察したところ、第10図、第11図に示すように比較群1bでは液状の便でかなりひどい下痢を示したにもかかわらず、実験群1bではほぼ健常と変わらない便の性状を示していた。
また、肛門付近の観察でも、比較群1bの下痢によるかなりひどい爛れに対して、実験群1bでは調製例1で得られた当該成分により、ただれは認められず、通常とほぼ変わらない様子であった。
調製例1で調製したタンパク質−不溶性食物センイ含有物質は腸管切除時の糞便形成を極めて有効に行った。
〔調製例7〕
乾燥大麦麦芽の重量を正確に計った後に、佐竹製作所製の醸造用テスト精米機TDB2A(使用回転数500rpm)で穀皮表面から削り取り、削り取った麦芽粒の重量がもとの大麦麦芽の88−80%の範囲のものをタンパク質−不溶性食物センイ含有物質として得た。このタンパク質含量は11.5%、食物センイ含量は30%であった。
なお、比較として、発芽していない大麦について同条件で分画した。このタンパク質−不溶性食物センイ含有物質のタンパク質含量は16.3%、食物センイ含量は31.5%であった。
〔調製例8〕
乾燥して、穀皮を除去した発芽米の重量を正確に計った後に、佐竹製作所製の醸造用テスト精米機TDB2A(使用回転数500rpm)で米粒表面から削り取り、削り取った米粒の重量がもとの米粒の100−95%の範囲のものをタンパク質−不溶性食物センイ含有物質として得た。このタンパク質含量は17.6%、食物センイ含量は21.6%であった。
なお、比較として、発芽していない玄米について同条件で分画した。このタンパク質−不溶性食物センイ含有物質のタンパク質含量は16.3%、食物センイ含量は28.5%であった。
〔試験例8〕
調製例7および8で調製したタンパク質−不溶性食物センイ含有物質の効果を検討した。
材料及び方法
試験例1に従った。但し、試験例8で用いた飼料は第13表に示すとおりである。
結果
第13表に記載の実験群6、7および比較群5〜7の検討を行った結果を第7図に示す。第7図の下痢スコアは試験例1と同様の方法で評価したものである。
第7図に示すように、発芽した大麦および発芽した米由来のタンパク質−不溶性食物センイ含有物質を摂取した時にのみ下痢のスコアが低下した。したがって、これらのタンパク質−不溶性食物センイ含有物質は、いずれも潰瘍性大腸炎にともなう激しい下痢を防止できることが判明した。
なお、この試験例8において、全実験群の体重増加に変化は認められなかった。
〔調製例9〕
乾燥した穀皮を除去したライ麦麦芽の重量を正確に計った後に、佐竹製作所製の醸造用テスト精米機TDB2A(使用回転数500rpm)で穀粒表面から削り取り、削り取ったライ麦麦芽粒の重量がもとのライ麦麦芽の100−96%の範囲のものをタンパク質−不溶性食物センイとして得た。
このタンパク質含量は16.3%、食物センイ含量は35%であった。
〔調製例10〕
乾燥した穀皮を除去したライ麦の重量を正確に計った後に、佐竹製作所製の醸造用テスト精米機TDB2A(使用回転数500rpm)で穀粒表面から削り取り、削り取ったライ麦粒の重量がもとのライ麦粒の100−96%の範囲のものをタンパク質−不溶性食物センイとして得た。
このタンパク質含量は12.9%、食物センイ含量は35%であった。
この分析値は第14表に示すとおりである。
〔試験例9〕
調製例9で得られたタンパク質−不溶性食物センイ含有物質を用いて潰瘍性大腸炎の激しい下痢や大腸粘膜の異常を治療できるかについて、調製例10で得られた画分と比較実験した。
材料及び方法
供試動物として、SD系雄ラット(3週令、50g前後)を1週間固形飼料で予備飼育して実験環境に順化したものを各群5匹ずつに区分けして使用した。この試験例9で用いた飼料は第15表に示すとおりである。
調製例9および10で得られたタンパク質−不溶性食物センイ含有物質も飼料に混合して与えるものとし、自由摂取とした。5日間飼育後、糞便及び肛門の様子を観察し、下痢の様子をスコア化して評価した。その後大腸を全摘出しホルマリンで固定後粘膜の切片を作成し、粘膜像の観察も行った。結果は第16表に示すとおりで、調製例9で得られたタンパク質−不溶性食物センイ含有物質を摂取したときにのみ、下痢の改善や肛門の爛れ、大腸粘膜の損傷を防止できていた。
なお、下痢の程度は0;正常、1;やや柔らかい、2;かなり柔らかい、3;採糞がほぼ不可能、4;下痢だけでなく肛門に若干ただれがある、5;肛門のただれがかなりひどい下痢の6段階に分類した。また、大腸粘膜像のダメージスコアはMorrisらの方法に従い、数字が大きくなるほど粘膜のダメージがひどいものとした。
結果
上記実験の結果は第16表に示す通りである。試験例9で調製したタンパク質−不溶性食物センイ含有物質は潰瘍性大腸炎に特有な下痢の治療作用を示し、大腸粘膜の障害も極めて有効に防止した。
調製例11
調製例2で示した方法のうち、別のビール粕を原料に乾燥方法をスチームドライヤーによる乾熱乾燥に変えて凍結乾燥によって製造した。すなわち湿体状態のビール粕をロールミルで圧ぺんした後、水中で50メッシュふるいを用いてふるい分けし、その通過画分を−20度で予備凍結しその後定法に従い凍結乾燥をおこなった。
その分析結果を第17、18表に示す。
以下にその試験例を示す。
試験例10
調製例11で得られたタンパク質−不溶性食物センイ含有物質を用いて潰瘍性大腸炎の激しい下痢や大腸粘膜の異常を治療できるかについて実験した。
材料及び方法
供試動物や潰瘍性大腸炎の発症方法は試験例1に従った。ただし、試験例10で用いた飼料は第19表に示すとおりである。
結果
第20表に結果を示す。実験例1では下痢スコアの低下を認め、肛門付近の爛れもなかった。
なお、上記の試験例で、試験した物質以外にも、本発明の範囲内にあるイネ科植物の発芽種子由来の物質が同様の効果を奏するであろうことは、当業者に容易に理解されよう。
産業上の利用可能性
本発明のイネ科植物の発芽種子由来の物質は、潰瘍性大腸炎による下痢の治療作用を示し、大腸粘膜の障害も有効に防止することができる。また、本発明のイネ科植物の発芽種子由来の物質は、抗癌剤摂取時の重篤な副作用である腸粘膜の損傷防止とそれに伴う下痢の発生を有効に抑制できる。さらに、本発明のイネ科植物の発芽種子由来の物質は、腸管切除患者や人工肛門設置患者の排便を有効に改善することができる。なお、本発明のイネ科植物の発芽種子由来の物質は副作用がない。
Claims (5)
- イネ科植物の発芽種子から分離された物質であって、アロイロン層および胚芽を含む画分を含有し、かつ、タンパク質を10〜70重量%、不溶性食物センイを20〜70重量%含有する物質を有効成分として含む、潰瘍性大腸炎を治療するための医薬組成物。
- イネ科植物の発芽種子から分離された物質であって、アロイロン層および胚芽を含む画分を含有し、かつ、タンパク質を10〜70重量%、不溶性食物センイを20〜70重量%含有する物質を有効成分として含む、下痢、腸粘膜損傷、またはその双方から選ばれる癌治療の副作用を防止または低減するための医薬組成物。
- 癌治療がガンマー線照射による治療である請求項2記載の医薬組成物。
- 癌治療が抗癌剤投与による治療である請求項2記載の医薬組成物。
- 癌治療が抗癌剤投与とガンマー線照射の併用による治療である請求項2記載の医薬組成物。
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