JP3745771B1 - 環状同芯撚りビードコードの製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 リール21を所定位置で環状コア1のコア面を横断往復させ、環状コア1を、側線ワイヤ2の巻き付け点となるクランプユニット13を支点にして、振り子運動させることにより、リール21から側線ワイヤ2の巻き付け点までの距離をほぼ一定に保ち、巻き付けの際に、リール21から引き出される側線ワイヤ2が緩んだりせず、一定の張力で側線ワイヤ2が環状コア1に巻き付けられるようにした。又、リールを環状コアに対してボックス式に移動させて、環状コアに側線ワイヤを巻き付ける方式においては、リールを環状コアに接近移動の時に、リールを逆回転させることにより、側線ワイヤの緩みを防止するようにした。
【選択図】図1
Description
この環状同芯撚りビードコードは、図17(a)、(b)に示すように、環状コア1の周囲に側線ワイヤ2のシース層を設けたものであり、側線ワイヤ2を、環状コア1の輪の外側から輪の中を通し、再び輪の外側から輪の中を通すことにより、環状コア1に側線ワイヤ2を螺旋状に巻き続けて製造されている。
まず、特許文献1には、環状コアの回りに側線ワイヤを螺旋状に巻回する際に、側線ワイヤとして、予め環状コアの少なくとも2倍以上の径にくせづけしたものを使用してビードコードを製造する方法が開示されている。この方法により製造したビードコードをタイヤに使用した場合、いわゆる腰が強いというフィーリング感が得られ、グリップ力、旋回力、応答性が向上するとされている。
特許文献1に開示された方法によって製造されるビードコードの場合、タイヤの腰を強くするために環状コアの半径よりも2倍以上の半径に、予めくせづけした側線ワイヤを巻回するようにしている。このため、自動化し難く、コストアップの要素が多い。また、環状コアの回りを巻回する側線ワイヤの環状径が大きい場合、人手で巻回するのも大変であるし、予めくせづけされているので、引き出し時に抵抗が増え、巻き付け時のトラブルの原因になる。また、側線ワイヤをリールに巻き取った後、環状コアの回りを巻回させる際に、常に一定以上の張力をかけておかないと巻きが緩むし、少しの張力でも環状コアが歪み易く、巻き付け性に悪影響を与える。
そして、このボックス移動式では、側線ワイヤを巻いたリールが、環状コアの側線ワイヤの巻き付け点に対し、接近及び離間を繰り返す移動の内、接近移動の際に、リールの軌道上の上部位置に固定されたラックと、リールの背面に設けたピニオンとを噛み合わせ、リールが環状コアに接近するのに伴って、リールを巻き出し方向と逆方向に回転させるようにする。これにより、リールが環状コアに接近する際に、側線ワイヤに緩みが生じず、リールが環状コア内まで送られることになるので、側線ワイヤが蛇行することなく環状コアに巻きつけられ、成形性が向上する。ボックス移動式では、環状コアの側線ワイヤの巻き付け点に対する接近移動の時に、リールを逆回転させることにより、側線ワイヤの緩みを防止することができるため、側線ワイヤに予めリール径外径より小さいコイル径を付与しておいて、リール内で強いスプリングバックを発生させる必要がない。したがって、予め付与する側線ワイヤのコイル径を大きくしても、リール内でもつれが生じないので、巻き量を多くして、装置の稼働率を向上させることができる。また、側線ワイヤに予め付与するコイル径の上限を上げることにより、ビードコードの面内耐変形力を向上させることが可能になる。
また、側線ワイヤが膨れるのを防止し、環状コアに側線ワイヤを螺旋状に巻き付ける際に、効果的に側線ワイヤの剛性を分散させるために、リールに巻き取る前の側線ワイヤのコイル径を予め次式のいずれかを満足するように、調整しておくことが好ましい。
0.90DR≦DSO≦3.3DR
又は
0.55DC≦DSO≦2.0DC
式中、DRは、リールの外径、DSOは、調整された側線ワイヤのコイル径、DCは、環状コアの中心径である。
このスイング式を採用する製造装置は、環状コア1を周方向に回転させるドライビングユニット10と、リール21に巻かれた側線ワイヤ2を環状コア1の巻き付け部に供給する側線ワイヤ2のサプライ部20とを有する。
ドライビングユニット10は、弓形の保持アーム11に設置され、駆動モータと連結された、環状コア1を周方向に回転させる2つのピンチローラ12a、12bを有する。
保持アーム11に保持された環状コア1は、振り子運動の周期の一端で、図2の実線で示すように、リール21が、環状コア1の輪の外に位置し、環状コア1の振り子運動の周期の他端で、図3の実線で示すように、環状コア1の輪の中に位置するように、スイングする。
0.90DR≦DSO≦3.3DR
又は
0.55DC≦DSO≦2.0DC
式中、DRは、リールの外径、DSOは、調整された側線ワイヤのコイル径、DCは、環状コアの中心径である。
即ち、リール21が、環状コア1の外側の図8(a)に示す位置にある状態から、図8(b)に示す環状コア1の輪の中にリール21が位置する状態まで環状コア1を振り子運動させ、この図8(b)に示す位置で、リール21を図8(c)に示す環状コア1の反対面に移し替え、次いで、環状コア1の反対面にリール21がある状態で、図8(c)に示す位置から図8(d)に示す環状コア1の輪の外にリール21が位置する状態まで、環状コア1を振り子運動させ、リール21を環状コア1の反対面から元の面の始点位置(図8の(a)の位置)に戻すというサイクルを繰り返す。このように、この発明では、図8の(a)→(b)→(c)→(d)→(a)のように、リール21に対して、環状コア2を振り子移動させ、図8の(b)→(c)、(d)→(a)のように、環状コア1のコア面に対してリール21を直角移動させることにより、側線ワイヤ2を環状コア1の周囲に螺旋状に巻き付けている。
また、図20に示すように、固定設置された側線ワイヤ2のリール3に対して、環状コア1が近接と離間を繰り返すように直線的に往復動させ、環状コア1がリール3に対して近接する際に、側線ワイヤが緩む方式の製造方法により、製造したものを従来例として示した。
(1)蛇行性
コードを定盤等の平面上に置き、コードが定盤から浮いている箇所の最大隙間をスケールで測定して次のように評価した。試料数nは20本である。
◎:隙間0.5mm以下が11本以上あり、他は全て隙間が1.0mm以下である。
○:隙間0.5mm以下が11本未満であり、隙間1.0mm以下が11本以上ある。
△:隙間1.0mm以下が11本未満であり、隙間1.5mm以下が11本以上ある。
×:隙間1.5mm以下が11本未満である。
(2)成形性
環状コアまたは一層巻き中間線表面への側線ワイヤの配列性を目視で評価した。試料数nは20本である。
◎:20本とも配列の乱れがない。
○:配列の乱れのないものが18本以上ある。
△:配列の乱れのないものが10本以上且つ、18本未満である。
×:配列の乱れのないものが10本未満である。
(3)巻量指数
側線ワイヤのリールに対して、環状コアが近接と離間を繰り返すように直線的に往復動させ、側線ワイヤと環状コアの巻き付け点までの距離が変化する巻き方を従来例とし、その巻量を100とした場合、この発明で巻付け可能な巻量を指数で示した。
このボックス移動式を採用する製造装置は、環状コア101を周方向に回転させるために駆動モータと連結された2つのピンチローラ111a、111bからなるドライビングユニット110と、リール121に巻かれた側線ワイヤ102を環状コア101の巻き付け部に供給する側線ワイヤ102のサプライ部120と、環状コア面に対して平行に環状コア101の外側から内側へ向かって移動させ、環状コアの輪の中を通して環状コアの反対面に環状コアをくぐれる距離だけ僅かに直角に移動させ(ここまでで半巻き)、環状コアの反対面と平行に環状コアの内側から外側へ移動させ、環状コアの反対面から元の面の始点位置に直角に移動させて戻して一巻きを完了させるスライドユニット130とからなる。
このボックス移動式では、環状コア101の側線ワイヤの巻き付け点に対する接近移動の時に、リール121を逆回転させることにより、側線ワイヤ102の緩みを防止することができるため、リール121内で側線ワイヤ102に予めリール121の外径より小さいコイル径を付与しておいて、リール121内で強いスプリングバックを発生させる必要がない。したがって、側線ワイヤ102に予め付与するコイル径を大きくしても、リール121内で側線ワイヤ102のもつれが生じないので、側線ワイヤ102のコイル径の上限を上げることにより、ビードコードの面内耐変形力を向上させることが可能になる。
即ち、リール121は、環状コア101面に対して環状コア1の外側の図16(a)に示す始点位置から内側へ向かって図16(b)に示すリール121が環状コア101の輪の中を通る位置まで移動する。そして、この図16(b)に示す位置で、図16(c)に示す環状コア101の反対面に移動し、環状コア101の反対面を環状コア101の内側の図16(c)に示す位置から図16(d)に示す外側の位置まで移動した後、環状コア1の反対面から元の面の始点位置(図16の(a)の位置)に戻るというサイクルを繰り返す。このように、この発明では、図16の(a)→(b)→(c)→(d)→(a)のように、リール121を移動させて、側線ワイヤ102を環状コア101の周囲に螺旋状に巻き付けており、図16の(a)→(b)、(c)→(d)が環状コア101のコア面に対して移動、(b)→(c)、(d)→(a)がコア面に対して直角移動するようにしている。
また、側線ワイヤ102のリール121が、環状コア101の側線ワイヤ102の巻き付け点に対する接近移動の時に、接近移動の距離に応じて、ラック140とピニオン141との噛み合わせにより、側線ワイヤ102の巻き出し方向と逆方向に逆回転させて、側線ワイヤ102の緩みを防止する機構の有無により、側線ワイヤ102のリール121への巻き量を指数で示した。但し、緩みを防止する機構がない場合を、100とした。
2 側線ワイヤ
3 リール
4 ドライビングユニット
10 ドライビングユニット
11 保持アーム
12a、12b ピンチローラ
13 クランプユニット
13a、13b ローラ
14 スタンド
20 サプライ部
21 リール
22 カセットスタンド
23 カセット
23a 巻き出し穴
24 ガイドロッド
25 エアーシリンダ
26 ロッド
27 押し出し板
30 揺動機構
31 回転円盤
32 クランクシャフト
101 環状コア
102 側線ワイヤ
104 クランプユニット
110 ドライビングユニット
104a、104b ローラ
111a、111b ピンチローラ
120 サプライ部
121 リール
122 カセット
122a 巻き出し穴
130 スライドユニット
131 移動台
132 カセットスタンド
133 ガイドロッド
134 クランク機構
135 エアーシリンダ
136 レール
137 駆動モータ
138a ロッド
140 ラック
141 ピニオン
Claims (9)
- 環状コアを周方向に回転させながら、該環状コアの輪の中と外で、側線ワイヤを巻いたリールを環状コア面に対して横断往復させて巻回移動を繰り返し、リールから引き出される側線ワイヤを、環状コア面に対する側線ワイヤの巻き付け振れ角β S が、29度を超えないようにリールを横断移動させることにより、環状コアの周囲に螺旋状に巻き続けてシース層を一層又は複数層形成する環状同芯撚りビードコードの製造方法において、上記リールの巻回移動が、環状コア面に対して、順次平行移動、直角移動、平行移動、直角移動のサイクルを繰り返し、側線ワイヤを巻いたリールが、環状コアの側線ワイヤの巻き付け点に対し、接近及び離間を繰り返す移動の内、接近移動の際に、リールが環状コアに接近するのに伴って、環状コアに接近するリールを巻き出し方向と逆方向に回転させるようにすることを特徴とする環状同芯撚りビードコードの製造方法。
- 環状コアを周方向に回転させながら、該環状コアの輪の中と外で、側線ワイヤを巻いたリールを環状コア面に対して横断往復させて巻回移動を繰り返し、リールから引き出される側線ワイヤを、環状コア面に対する側線ワイヤの巻き付け振れ角β S が、29度を超えないようにリールを横断移動させることにより、環状コアの周囲に螺旋状に巻き続けてシース層を一層又は複数層形成する環状同芯撚りビードコードの製造方法において、環状コアへの側線ワイヤの巻き付け点を支点にして前記環状コアを、環状コア面に沿って振り子運動させ、振り子周期の一端で、前記リールが環状コアの輪の中を横断する位置に、振り子周期の他端で、前記リールが環状コアの輪の外を横断する位置に移動させ、前記リールを、環状コアの輪の中と外で、環状コア面に対して横断移動を繰り返すことにより、リールから引き出される側線ワイヤを環状コアの周囲に螺旋状に巻き続けることを特徴とする環状同芯撚りビードコードの製造方法。
- 側線ワイヤの巻始め端末を未加硫又は半加硫ゴムシートで仮止めして、リールから引き出される側線ワイヤを、環状コアの周囲に螺旋状に巻き続けることを特徴とする請求項1又は2に記載の環状同芯撚りビードコードの製造方法。
- 前記リールに巻き取られた側線ワイヤのコイル径が、事前に次式のいずれかを満足するように調整されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の環状同芯撚りビードコードの製造方法。
0.90DR≦DSO≦3.3DR
又は
0.55DC≦DSO≦2.0DC
式中、DRは、リールの外径、DSOは、調整された側線ワイヤのコイル径、DCは、環状コアの中心径である。 - 環状コアを周方向に回転させるドライビングユニットと、リールに巻かれた側線ワイヤを環状コアの巻き付け部に供給する固定設置された側線ワイヤのサプライ部と、側線ワイヤの環状コアへの巻付け部の巻付け点を支点として環状コアをその面に沿って振り子運動させる揺動ユニットと、固定設置される側線ワイヤのサプライ部に設けられ、環状コアの振り子運動を妨げない距離をおいて環状コアの面を挟んで対向するリール受け渡し機構とを備え、固定設置されたサプライ部のリールが、環状コアの振り子運動の周期の一端で、環状コアの輪の中に位置し、環状コアの振り子運動の周期の他端で、環状コアの輪の外に位置するように、環状コアを側線ワイヤの巻付け点を支点として振り子運動させる環状同芯撚りビードコードの製造装置。
- 環状コアを周方向に回転させるドライビングユニットと、リールに巻かれた側線ワイヤを環状コアの巻き付け部に供給する側線ワイヤのサプライ部と、サプライ部のリールを、環状コア面に対して平行に環状コアの外側から内側へ向かって移動させ、環状コアの輪の中を通して環状コアの反対面に直角に移動させ、環状コアの反対面と平行に環状コアの内側から外側へ移動させ、環状コアの反対面から元の面の始点位置に直角に移動させて戻すスライドユニットと、環状コアの巻き付け点に対し、接近及び離間を繰り返すリールの移動の内、接近移動の時に、リールの軌道上の上部位置に沿うように設けられたラックに、リール背面のピニオンを噛み合わせて、リールが環状コアに接近するのに伴って、環状コアに接近するリールを巻き出し方向と逆方向に回転させる側線ワイヤの緩み防止機構とを備える環状同芯撚りビードコードの製造装置。
- 前記ドライビングユニットに、環状コアを回転させる2つのピンチローラと、この2つのピンチローラの側線ワイヤのサプライ部側に、環状コアをルーズに案内するクランプユニットとを設け、このクランプユニットを、側線ワイヤのサプライ部から供給された側線ワイヤを環状コアに巻付ける際の巻付け点にした請求項5又は6記載の環状同芯撚りビードコードの製造装置。
- 側線ワイヤのサプライ部に、環状コアの輪の中を通して環状コアの反対面に環状コアをリールがくぐれる最小限の距離をおいて対向する2つのリール受け渡し機構を設けた請求項5〜7のいずれかの項に記載の環状同芯撚りビードコードの製造装置。
- 側線ワイヤのサプライ部が、リール外径より少し大きい径で、且つリール内幅に相当する円筒形の外周壁を有するカセット内に、リールを回転可能に収容し、カセットの外周壁に設けた引き出し孔から側線ワイヤを引き出すようにした請求項5〜8のいずれかの項に記載の環状同芯撚りビードコードの製造装置。
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