JP3745564B2 - 欠陥検査方法および欠陥検査装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体デバイスの製造工程などで使用される、撮像素子を用いてパターン欠陥などを検査する欠陥検査方法および欠陥検査装置に関するもので、特に成膜した導体パターン表面の凸凹が激しい場合において検出率を向上させる方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスの製造工程において、成膜やエッチング時に導体パターンの短絡や欠落が発生したり、反応副生成物などが異物として付着し、デバイス不良が発生する。従来これらの不良を、成膜やエッチングなどのプロセス過程で検査する有効な装置として、白色光やレーザ光光源を用いた画像比較式欠陥検査装置が広く用いられている。図12は特開昭60−202949号公報に開示された従来の検査装置の概略を示す構成図であり、図において、21は検査体となるウエハ、22は可動ステージ、23は光源、24aは検査光、24bは反射光、25は絞り、26はハーフミラー、27は対物レンズ、28はミラー、29はカメラ、30は撮像素子、31は画像処理コンピュータ、32は画像メモリ、33は画像モニタ、40は欠陥アドレス格納部、41は判定結果出力部である。
【0003】
このように構成された従来の欠陥検査装置では、デバイスを製造するために導体パターンなどが形成されたウエハ21が可動ステージ22に設置され、光源23により照明される。この光源23から発生する光は絞り25により適切な光量に調整され検査光24aとして用いられる。この検査光24aはハーフミラー26によりウエハ21の方向へ曲げられ、対物レンズ27により集光されウエハ21へ導入される。ウエハ21上の種々の物質に対応した反射光24bは対物レンズ27により拡大され、ハーフミラー26、ミラー28を通じてカメラ29に内蔵された撮像素子30に導入される。撮像素子30において反射光24bの強弱で表された光学像は電荷像に変換され、電気信号として取り出される。この電気信号は画像処理コンピュータ31で画像素子信号として処理され、予め同様にして採集し画像メモリ32に格納されていた比較データと比較され欠陥判定がなされる。欠陥判定されたアドレスは欠陥アドレス格納部40に格納され、判定結果が判定結果出力部41に出力されるので、どの部位に欠陥が存在するかを知ることができる。またモニタ33により画像を目視検査することもできる。
【0004】
上記従来の検査装置による従来の検査方法では、通常検査者が画像モニタ33を観て、検査画像全体のコントラストが鮮明になるように、絞り25を調整して適正照明条件を決め、画像として認識させる。この場合目視で適正と判断できるのは、グレイイメージ、すなわち例えば信号なし(最も暗い)を0、信号飽和(最も明るい)を100とした場合、10から90程度の幅広い範囲となり、撮像素子30に取り込まれた光学像はこの範囲の素子信号に変換される。例えば図13に示す検査画像データの範囲Aに含まれる種々の物質の素子信号は、それぞれの物質の光反射率に比例した値となり、導体パターン34は80、酸化膜38は25、導体パターンの短絡35は80、欠落36は25、付着した導体異物37は60程度となる。これに対し欠陥を含まない比較画像データの同様の範囲(図示せず)における導体パターン、酸化膜それぞれの素子信号は80、25程度となり、上記欠陥を含む検査画像データとの差信号の絶対値は、欠陥箇所のみ大きくなるため、そのアドレスを欠陥位置と判断することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年頻繁に用いられるスパッタによるアルミニウム成膜などではグレインと呼ばれる膜表面の凹凸の激しい結晶粒界が形成され、この部位において光反射率が低減する。そのため、導体パターン欠落部などの欠陥部との信号差が小さくなり、正常パターンであるのか、欠陥であるのかを判別することが困難となり、検査装置の機能を果たさない場合が生じていた。
【0006】
この不具合を生じる場合の具体的な例を図を用いて説明する。図14は従来の検査方法の具体的な例を示す図である。図14(a)は、画像範囲Aで取り込み画像メモリ32に格納される比較画像データおよび位置Rでの素子信号の例を示したもの、また図14(b)は画像範囲Aで取り込んだ欠陥を含む検査画像データ、位置Rに対応する位置Eでの素子信号および位置Eと位置Rでの差信号を示したものである。図14(a)において、34aは導体パターンで凹凸のない部位、38は酸化膜で、素子信号は例えばそれぞれ80、25程度となる。また図14(b)において、34aは導体パターンで凹凸のない部位、34bはグレインが形成され凹凸を有した部位、38は酸化膜、35、36、37は欠陥となる導体短絡部、導体欠落部、付着した導体異物であり、素子信号は、それぞれ、80、35、25、80、25、60程度となる。ここで図14(b)の検査画像データと図14(a)の比較画像データの素子信号の差信号を演算すると、図14(b)に示すようになり、例えば欠陥判定しきい値を15とし、差信号の絶対値がこれを越えているか否かを判定すると、欠陥である導体短絡部や欠落部、導体異物の値が越えているとともに、正常導体パターンであるグレイン34bの差信号の絶対値もしきい値を越え、欠陥と判定される。
【0007】
またグレインのみでなく、粗面キャパシタのように表面積を稼ぐため故意に凹凸を持たせて導体パターンを形成させた場合にも、光反射率が低減するため、同様に正常パターンと認識できない問題があった。このような場合にも、正常部位を欠陥と判定し正常なデバイスを不良として廃棄するか、成膜やエッチング等のプロセス過程では検査を行なわず全プロセス過程を終えた後に行う電気信号検査により不良判定を行なわざるを得なかった。また温度やガス量など新規に製造プロセス条件を検討する場合には、プロセス過程の外観検査で欠陥発生率を評価できなかった。
【0008】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、グレインや表面凹凸を故意に設けた導体パターンに対しても、成膜、あるいはエッチングなどの工程で発生する導体パターンの短絡、欠落、異物付着などの欠陥を高い確率で検出できる検査装置を得るものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第1の発明に係わる欠陥検査方法は、光学像を電荷像に変換し電気信号として取り出す撮像素子を用いて、正常な導体パターンで表面凹凸を有する部位含有する範囲を素子信号取り込み範囲として選択し、前記素子信号取り込み範囲における導体パターンのすべての素子信号が飽和するように光学像の光量を制御し、前記のように制御された光量を用いて検査対象となる部位の素子信号を取り込み、該検査対象となる部位から取り込んだ素子信号と比較する部位から取り込んだ素子信号との差信号を用いて欠陥を判定するものである。
【0010】
また第2の発明に係わる欠陥検査方法は、撮像素子により正常な導体パターンで表面凹凸を有する部位含有する範囲を素子信号取り込み範囲として選択し、前記素子信号取り込み範囲における導体パターンのすべての素子信号が飽和するように光学像の光量を制御し光量を決定させる。さらにその後に、検査対象となる部位全体の素子信号のオフセット調整を行って下限値を下げ、かつ前記素子信号を増幅する。かかる後に再び前記表面凹凸を有する導体パターン部位の素子信号を用いて光量を制御し、光量増大分を乗じる数値処理を行なうことにより信号差を大きくするようにした後に、該検査対象となる部位から取り込んだ素子信号と比較する部位から取り込んだ素子信号との差信号を用いて欠陥を判定するものである。
【0011】
また第3の発明に係わる欠陥検査装置は、検査体からの検査光を導入し該光学像を電荷像に変換し電気信号として取り出す撮像素子と、該撮像素子により正常な導体パターンで凹凸を有する範囲を素子信号取り込み範囲として選択し素子信号として取り込む素子信号取り込み部と、該素子信号取り込み範囲における導体パターンのすべての素子信号が飽和したか否かを判定する素子信号判定部と、該素子信号判定部からの信号を受け取り、前記導体パターンのすべての素子信号が飽和するように前記検査光の光量を制御する光量制御部を備えるものである。
【0012】
また第4の発明に係わる欠陥検査装置は、前記第3の発明の欠陥検査装置に、光量を増大させることによりレベルが上がった素子信号のレベルを下げかつ増幅させる数値処理を施す素子信号処理部を備えるものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1の欠陥検査方法を実施するための、この発明に係る欠陥検査装置の構成を示す概略図であり、図において、1は光量制御部、2は素子信号取り込み部、3は素子信号判定部、4は素子信号処理部、21はウエハ、22は可動ステージ、23は光源、24aは検査光、24bは反射光、25は絞り、26はハーフミラー、27は対物レンズ、28はミラー、29はカメラ、30は撮像素子、31は画像処理コンピュータ、32は画像メモリ、33は画像モニタ、40は欠陥アドレス格納部、41は判定結果出力部である。
【0014】
このように構成された本実施の形態の欠陥検査装置では、従来の欠陥検査装置と同様に、デバイスを製造するために導体パターンなどが形成されたウエハ21が可動ステージ22に設置され、光源23により照明される。この光源23から発生する光は絞り25により適切な光量に調整され検査光24aとして用いられる。この検査光24aはハーフミラー26によりウエハ21の方向へ曲げられ、対物レンズ27により集光されウエハ21へ導入される。ウエハ21上の種々の物質に対応した反射光24bは対物レンズ27により拡大され、ハーフミラー26、ミラー28を通じてカメラ29に内蔵された撮像素子30に導入される。撮像素子30において反射光24bの強弱で表された光学像は電荷像に変換され、電気信号として取り出される。この電気信号は画像処理コンピュータ31で画像素子信号として処理され、予め同様にして採集し画像メモリ32に格納されていた比較データと比較され欠陥判定がなされる。欠陥判定されたアドレスは欠陥アドレス格納部40に格納され、判定結果が判定結果出力部41に出力されるので、どの部位に欠陥が存在するかを知ることができる。またモニタ33により画像を目視検査することもできる。
【0015】
次にこの欠陥検査装置を用いた本実施の形態による欠陥検査方法を図を用いて説明する。図2は本実施の形態の欠陥検査工程を示すフローチャート図、図3は本実施の形態における検査範囲および光量制御のための素子信号取り込み範囲の例を示す平面図で、図においてAは検査画像範囲、Bは素子信号取り込み範囲、34は導体パターンで、34aは凹凸のない部位、34bは凹凸を有する部位である。
【0016】
図1のように構成された欠陥検査装置において、本実施の形態による欠陥検査方法では、図2に示すように、まずウエハ21から図3に示された画像範囲Aの素子信号を取り込む。そしてその中で正常な導体パターンで凹凸を有する部位34bを含んだ素子信号取り込み範囲Bを設定し、素子信号取り込み部2に取り込む。この範囲Bの素子信号は導体パターンの凹凸のない部位34aと凹凸を有する部位34bを含むため、例えば80、35程度の値となるが、素子信号判定部3により信号のすべてが飽和信号直前の例えば90以上になっているかを判定し、90に満たない場合には光量制御部1に命令を出し、絞り25を調整して光量を増大させる。この処理を範囲Bの素子信号のすべてが90以上になるまで行なう。そして、この光量で比較画像データと検査画像データを読み込み、これらの差信号を求め、欠陥判定しきい値以上であれば欠陥と判定し、欠陥アドレス格納部40にアドレスを格納する。検査画像データが複数の場合は、再び同光量で検査画像データを読み込み、同様の処理を繰り返し行う。
【0017】
このように光量を制御する過程で検査物質の素子信号がどのように変わるかを、図を用いてさらに詳細に説明する。図4は撮像素子30により捉えた素子信号と検査物質の光反射率との関係を示す特性図、図5は素子信号判定部3で判定比較する信号レベルを決める原理を示す撮像素子信号と光量の関係を表す特性図である。
【0018】
まず撮像素子30に取り込まれる光学像はウエハ21上の物質の光反射率と、光源23による照明光量を掛け合わせた光の像であるため、図4に示すように、素子信号と光反射率の関係における直線の傾きは、光量を増大させる程大きくなり、例えば光量Mが光量Lより大きい場合、光量Mにおける直線の傾きΔyM/ΔxMは、光量Lにおける直線の傾きΔyL/ΔxLより大きくなる。したがって、光量を増大させることによりそれぞれの物質の素子信号差を大きくすることができる。さらに光量を増大させると、ある光量を超えたとき撮像素子で飽和するため一定値(例えば100)を越えない。したがって、図5に示すように、導体パターンの凹凸を有する部位34bの素子信号を飽和直前の90にした場合、既に飽和している導体パターンの凹凸のない部位34aの素子信号は100であり、その差を小さくすることができる。さらに図5に示す本実施の形態で制御された光量Qを用いた場合、検査物の素子信号は、導体異物37は100、絶縁体となる酸化膜38は65程度となる。
【0019】
さらに図6は本実施の形態の欠陥検査方法で取り込む具体的な比較画像データと検査画像データの例を示す図である。図6(a)は、画像範囲Aで取り込み画像メモリ32に格納される比較画像データおよび上記光量制御により得た光量Qによる位置Rの素子信号の例を示したもの、また図6(b)は画像範囲Aで取り込んだ欠陥を含む検査画像データ、位置Rに対応する位置Eの素子信号、および位置Eと位置Rの差信号を示したものである。図6(a)において、34aは導体パターンで凹凸のない部位、38は酸化膜で、素子信号は例えばそれぞれ100、65程度となる。また図6(b)において、34は導体パターンで34aは凹凸のない部位、34bはグレインが形成され凹凸を有した部位、38は酸化膜、35、36、37は欠陥となる導体短絡部、導体欠落部、付着した導体異物であり、素子信号は、それぞれ、100、90、65、100、65、100程度となる。ここで図6(b)の検査画像データと図6(a)の比較画像データの素子信号の差信号を演算すると、図6(b)に示すようになり、例えば欠陥判定しきい値を15とし、差信号の絶対値がこれを越えているか否かを判定する。欠陥である導体短絡部や欠落部、導体異物の差信号の絶対値が35でしきい値15を越えるため不良と判定され、正常な導体パターンであるグレイン34bの差信号の絶対値は10としきい値以下となるため正常と判定され、正確な判断がなされる。
【0020】
尚本実施の形態では、本発明における光量を決定する工程において、信号処理するための素子信号取り込み範囲Bを図3に示す1本の導体パターン上の一部分とし、信号のすべてを飽和直前の90以上にするようにしたが、例えば図7に示す素子信号取り込み範囲Bを用いた場合、導体パターンと酸化膜の幅が同じで1:1となり導体パターンの占める面積比率が50%となるので、素子信号取り込み範囲B内の素子信号の50%以上が90以上となるというように、判定基準を決めれば、微細なパターンにおいても容易に素子信号取り込み範囲Bを設定できる。導体パターンと酸化膜の幅が1:1でない場合でも、導体パターンの面積比率を考慮して判定すればよい。
【0021】
また本実施の形態では、検査範囲Aは図3に示すような導体と酸化膜の繰り返しの線状パターンを含む例を示したが、例えば図8に示すようなグレイン34bを含む導体パターンが形成されたセル12が格子状に形成されたものであって、素子信号取り込み範囲Bをこのセルのいくつかを含むものとしてもよい。
【0022】
また本実施の形態では光量を絞りを用いて調整するように構成した例を示したが、絞り25に換えて、例えば連続的に光透過率を変えて構成した回転式フィルタなどを設置して、光量制御部1を用いて素子信号取り込み範囲Bの素子信号を飽和信号直前に設定できる。
【0023】
また、光量制御部1を用いて光源23自体の光量を調整することにより、素子信号取り込み範囲Bの素子信号を飽和信号直前に設定してもよい。
【0024】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、素子信号取り込み範囲Bの素子信号が飽和直前になるように光量を増大させ、この光量において検査画像範囲Aの光学像を取り込むことにより、導体パターンの凹凸のない部位34aと凹凸を有する部位34bの素子信号差を小さくし、特に導体欠落部36を検出するために酸化膜38との素子信号差を大きくする欠陥検査方法の例を示したが、素子信号差がさらに小さくなった場合においても欠陥検査ができる方法について説明する。例えば上記実施の形態1では凹凸を有する部位34bの素子信号が35、酸化膜38の素子信号が25の例を示したが、それぞれがプラスマイナス3程度の数値幅を持ち、例えば凹凸を有する部位34bが32、酸化膜38が28となった場合、図9に示すように光量Nにおいて素子信号の差は非常に小さくなる。ここで光量をQに増大させることにより、凹凸を有する部位34bと酸化膜38の信号差を大きくすることができるが、凹凸のない部位34aと凹凸を有する部位34bとの素子信号の差、および凹凸を有する部位34bと酸化膜38との素子信号の差がいずれも10程度となり、正常な部位34bと欠陥である導体欠落部36(酸化膜に相当する)との差を明確にできない。そこで本実施の形態では光量Qで取り込んだ素子信号に、例えば、図1に示した素子信号処理部4を用いて、次の数式(1)(2)、
i)0≦(現信号値)<90のとき
(新信号値)=c×(現信号値)−d ・・・(1)
ただし、(新信号値)<0であれば(新信号値)=0
ii)90≦(現信号値)のとき
(新信号値)=(現信号値) ・・・(2)
を用いて素子信号の幅を増大させ、レベルを下げるような数値処理を行なう。数式(1)におけるcおよびdは特に規定するものではないが、少なくとも導体パターンの凹凸を有する部位と酸化膜の信号値が10以上90以下程度になることが好ましい。例えばc=2、d=100とすると図10に示すように、前記2つの信号が2倍に増幅され、上記範囲に設定できる。ただしこの処理において他の信号値が0以下になることは好ましくないので、0以下であれば0とする。さらにこれに対し、再び光量を増大させて、凹凸を有する部位34bの素子信号が飽和直前の90になるように光量を増大させて光量Pを求め、増大分を乗じた数値処理、すなわち、次の数式(3)(4)、
i)(現信号値)<100のとき
(新信号値)=(現信号値)×(現光量)/(前光量) ・・・(3)
ii)(現信号値)≧100のとき
(新信号値)=(現信号値) ・・・(4)
を用いた演算を行なう。すると図10に示すように、凹凸のない部位34aと凹凸を有する部位34bの信号差が小さくなり、酸化膜の素子信号との差を大きくできるため、凹凸を有する部位34bを正常と認識し、導体欠落部36を欠陥と認識できる。図11は本実施の形態による上記手順を示す欠陥検査方法の一部を示すフローチャート図で、図2の検査画像データ取り込み工程5と差信号演算工程6との間に設けられる。
【0025】
また本実施の形態では、数値処理により素子信号のレベルを下げるとともに、増幅させた後、再び光量を増大する例を示したが、再び光量を増大させなくてもよいように導体パターンの凹凸を有する部位の信号が90程度になるように逆算して、cおよびdを決めてもよい。例えば信号値が50以上100以下の場合、c=2.036、d=91.8とすると、信号値を10以上90以下の適切な数値幅に拡大できるとともに、凹凸を有する部位の素子信号を飽和信号に近づけることができるため、凹凸のない部位34aと凹凸を有する部位34bの信号差が小さくなり、酸化膜の素子信号との差を大きくできるため、凹凸を有する部位34bを正常と認識し、導体欠落部36を欠陥と認識できる。
【0026】
また本実施の形態では、数値処理により素子信号のレベルを下げるとともに、増幅させた例を示したが、電気信号の数値処理、すなわち電気的オフセット調整、およびアンプ増幅を行なってもよい。
【0027】
【発明の効果】
この発明は、以上説明したように、素子信号取り込み範囲Bにおける導体パターンのすべての素子信号が飽和するように検査光の光量を増大させ、この光量において検査画像範囲Aの光学像を取り込むことにより、正常な導体パターンで凹凸のない部位34aと正常な導体パターンで凹凸を有する部位34bの導体パターンの素子信号差を無くすとともに、欠陥となる導体欠落部36を検出するための酸化膜38との素子信号差を大きくすることができ、正常な導体パターンで凹凸を有し光反射率が低下している場合でも、正確な欠陥判定ができる。
【0028】
また素子信号取り込み範囲Bにおける導体パターンの導体パターンのすべての素子信号が飽和するように検査光の光量を増大させ、この光量において検査画像範囲Aから取り込んだ素子信号を、数値処理により拡大させ、さらに素子信号取り込み範囲Bの導体パターンのすべての素子信号が飽和するように増大させた光量増大分を乗じた数値処理を行なうことにより、正常な導体パターンで凹凸のない部位34aと正常な導体パターンで凹凸を有する部位34bの導体パターンの素子信号差を無くすとともに、欠陥となる導体欠落部36を検出するための酸化膜38との素子信号差を大きくすることができ、正常な導体パターンで凹凸を有した部位と酸化膜の光反射率差が小さい場合でも、正確な欠陥判定ができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の欠陥検査装置の概略を示す構成図である。
【図2】 この発明の実施の形態1の欠陥検査方法の手順を示すフローチャート図である。
【図3】 この発明の光量制御のための素子信号を取り込む範囲を示す平面図である。
【図4】 この発明の撮像素子の信号と光反射率の関係を示す特性図である。
【図5】 この発明の撮像素子の信号と光量の関係を示す特性図である。
【図6】 この発明の実施の形態1の比較画像と検査画像を示す平面図である。
【図7】 この発明の他の実施の形態の光量制御のための素子信号を取り込む範囲を示す平面図である。
【図8】 この発明の他の実施の形態の光量制御のための素子信号を取り込む範囲を示す平面図である。
【図9】 この発明の実施の形態2の撮像素子の信号と光量の関係を示す特性図である。
【図10】 この発明の実施の形態2の撮像素子の信号と光量の関係を示す特性図である。
【図11】 この発明の実施の形態2の欠陥検査方法の手順の一部を示すフローチャート図である。
【図12】 従来の欠陥検査装置の概略を示す構成図である。
【図13】 従来の検査される欠陥の例を示した平面図である。
【図14】 従来の欠陥検査装置による比較画像と検査画像を示す平面図である。
【符号の説明】
1 光量制御部、2 素子信号取り込み部、3 素子信号判定部、4 素子信号処理部、5 検査画像データ取り込み工程、6 差信号演算工程、12 導体パターンが形成されたセル、21 ウエハ、22 ステージ、23 光源、24a 検査光、24b 反射光、25 絞り、26 ハーフミラー、27 対物レンズ、28 ミラー、29 カメラ、30 撮像素子、31 画像処理コンピュータ、32 画像メモリ、33 画像モニタ、34 正常な導体パターン、34a 凹凸のない部位、34b 凹凸を有する部位、35 導体短絡部、36 導体欠落部、37 導体異物付着部、38 酸化膜、40 欠陥アドレス格納部、41 判定結果出力部
Claims (4)
- 検査体に照射する検査光の光量に初期値を与え検査画像を取り込む第1の工程と、前記初期値の光量を照射して取り込んだ画像の中から、正常な導体パターンで凹凸を有する部位を含有する範囲を素子信号取り込み範囲として選択し、撮像素子を用いて光学像を素子信号として取り込む第2の工程と、前記素子信号取り込み範囲における導体パターンのすべての素子信号が飽和するように前記検査光の光量を制御する第3の工程と、前記のように制御された光量を用いて検査対象となる部位と該検査部位に対応する比較部位の素子信号を取り込む第4の工程と、前記検査体の検査対象となる部位から取り込んだ素子信号と比較する部位から取り込んだ素子信号との差信号を用いて欠陥を判定する第5の工程とを備えたことを特徴とする欠陥検査方法。
- 光量を増大させることによりレベルが上がった素子信号のレベルを下げ、かつ増幅させる数値処理を施す工程を第4の工程と第5の工程の間に設けたことを特徴とする請求項1記載の欠陥検査方法。
- 検査体を照明する光源と、照明された検査光量を調整する絞りと、検査体からの検査光を導入し該光学像を電荷像に変換し電気信号として取り出す撮像素子と、該電気信号を画像の素子信号として処理する画像処理コンピュータと、検査画像と比較するための比較画像を取り込む画像メモリと、正常な導体パターンで凹凸を有する範囲を素子信号取り込み範囲として選択し、素子信号として取り込む素子信号取り込み部と、該素子信号取り込み範囲における導体パターンのすべての素子信号が飽和したか否かを判定する素子信号判定部と、前記素子信号判定部の判定に従って、上記導体パターンのすべての素子信号が飽和するように前記検査光の光量を増大させる命令を前記検査光量を調整する絞りに与える光量制御部とを備えたことを特徴とする欠陥検査装置。
- 光量を増大させることによりレベルが上がった素子信号のレベルを下げ、かつ増幅させる数値処理を施す素子信号処理部を備えたことを特徴とする請求項3記載の欠陥検査装置。
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